(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881856
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する触媒、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
B01J 29/40 20060101AFI20160225BHJP
B01J 37/30 20060101ALI20160225BHJP
C10G 3/00 20060101ALI20160225BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20160225BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20160225BHJP
C07C 1/20 20060101ALI20160225BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20160225BHJP
【FI】
B01J29/40 M
B01J37/30
C10G3/00 B
C07C11/04
C07C11/06
C07C1/20
!C07B61/00 300
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-547673(P2014-547673)
(86)(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公表番号】特表2015-506824(P2015-506824A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】CN2012074518
(87)【国際公開番号】WO2013091335
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】201110427280.0
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 磊
(72)【発明者】
【氏名】劉中民
(72)【発明者】
【氏名】朱書魁
(72)【発明者】
【氏名】于政錫
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許第101239875(CN,B)
【文献】
特開2009−255014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩を硝酸ランタン溶液に1−12時間浸漬してから、ろ過、乾燥及び焼成し、ランタン改良の分子篩を得るステップ、
得られたランタン改良の分子篩をケイ素源に1−12時間浸漬してから、ろ過、乾燥及び焼成し、ランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒を得るステップ、を含み、
前記ケイ素源はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラエチルシランからなる群から選ばれる1種又は2種以上である、触媒の製造方法であって、
前記触媒は、メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造するための触媒であり、且つランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒であり、
前記分子篩触媒における分子篩がHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩であり、
ランタン及びシラン化による共改良により、触媒にランタンを担持させ、且つケイ素化合物により表面酸性が修飾されており、
その中、ランタンの担持量は触媒総重量の0.5−5重量%であり、酸化ケイ素に換算するとケイ素化合物の担持量は触媒総重量の0.1−10重量%である
ことを特徴とする、触媒の製造方法。
【請求項2】
ランタンの担持量は触媒総重量の1−5重量%であり、酸化ケイ素に換算するとケイ素化合物の担持量は触媒総重量の1−10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ケイ素源がテトラエトキシシランであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(1)メタノール及び/又はジメチルエーテルと触媒とを接触させ、第1の炭化水素を反応生成するステップ、
(2)ステップ(1)の前記第1の炭化水素をエチレン及びプロピレンを含有する第1のC1−C5成分及び第1のC6以上成分に分離するステップ、
(3)ステップ(2)で分離して得られた第1のC6以上成分とメタノール及び/又はジメチルエーテルとを混合し、混合物を得て、前記混合物と請求項1に記載の触媒と接触させ、第2の炭化水素を反応生成するステップ、
(4)ステップ(3)で得られた第2の炭化水素をエチレン及びプロピレンを含有する第2のC1−C5成分及び第2のC6以上成分に分離し、第2のC1−C5成分は目的生成物として収集し、第2のC6以上成分はステップ(3)でリサイクルするステップ、及び
(5)ステップ(3)及び(4)を重複するステップ(但し、ステップ(3)においてステップ(4)で分離し得られた第2のC6以上成分とメタノール及び/又はジメチルエーテルとを混合して得られた混合物を使用する)、を含み、
C6以上成分のリサイクル及びそれとメタノール及び/又はジメチルエーテルとの混合供給・反応により、ステップ(4)で連続的にエチレン及びプロピレンを含有する第2のC1−C5生成物を得る、メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する方法であって、
前記触媒は、メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造するための触媒であり、且つランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒であり、
前記分子篩触媒における分子篩がHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩であり、
ランタン及びシラン化による共改良により、触媒にランタンを担持させ、且つケイ素化合物により表面酸性が修飾されており、
その中、ランタンの担持量は触媒総重量の0.5−5重量%であり、酸化ケイ素に換算するとケイ素化合物の担持量は触媒総重量の0.1−10重量%である
ことを特徴とする、方法。
【請求項5】
反応温度が400−600℃であり、圧力が0−2.0MPaであり、且つメタノール及び/又はジメチルエーテル供給の重量空間速度が0.2−10h−1であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は固定床、移動床又は流動化床の反応器で行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタノール及び/又はジメチルエーテルから低炭素数のエチレン系炭化水素を製造する技術に関し、具体的にはメタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する触媒、前記触媒の製造方法、並びに前記触媒を使用して物質リサイクル技術によりメタノール及び/又はジメチルエーテルから高選択的にエチレン及びプロピレンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン、プロピレンは現代化学工学の基本的な原料であり、工業上でエチレン及びプロピレンは主に石油加工により得られた軽質油(ナフサ及び軽油)を原料として生産され、完全に石油資源に依存する。社会経済の発展に従い、エチレン系炭化水素に対するニーズが日々拡大し、エチレン系炭化水素の生産新技術の研究開発は何時でも重要な研究方向である。その中、石炭からメタノールを経て低炭素数のエチレン系炭化水素を製造するルート(MTO)は最も応用展望を有する非石油ルートのエチレン、プロピレンを生産する新規なルートである。数十年以来、世界各国は膨大の人力及び物力をかけてこのルートに対して研究開発して来た。
【0003】
1976年にMobil Oil社が初めてメタノールをZSM−5分子篩触媒で炭化水素に転換する反応を行った。その後、USP4,035,430にメタノールがZSM−5分子篩触媒でガソリンに転換された過程が記載されている。USP4,542,252にメタノールがZSM−5分子篩触媒で低炭素数のエチレン系炭化水素を製造する技術が記載されている。USP3,911,041、USP4,049,573、USP4,100,219、JP60−126233、JP61−97231、 JP62−70324及びEP6501に、リン、マグネシウム、シリコン又はアルカリ金属元素により改良されたZSM−5分子篩触媒を使用し、メタノールから低炭素数のエチレン系炭化水素を製造する反応が記載されている。また、本出願人がUSP5,367,100にリン及びランタンにより改良されたZSM−5分子篩触媒を使用し、メタノール又はジメチルエーテルから低炭素数のエチレン系炭化水素を製造する反応を公開した。その気相生成物におけるエチレン及びプロピレンの合計選択率は僅か約65重量%であり、エチレン、プロピレン及びブチレンの合計選択率は85重量%を超えた。
【0004】
1984年に、ユニオンカーバイド社(UCC)が新型のシリコアルミノリン酸塩シリーズの分子篩(SAPO−n)を開発した(USP 4440871)。その中、SAPO−34分子篩は適宜な酸性及び細孔構造を有するため、MTO反応において優れた触媒性能を示し、ZSM−5ゼオライト分子篩に取って代わって、新世代のMTO触媒の活性成分になった。SAPO−34の細孔が小さく且つ楕円形かご構造を有するため、メタノール転換反応においてコーキングにより失活し易いから、SAPO−34分子篩を活性成分とするMTO触媒は微球状の流動触媒に製造し且つ流動化反応過程に使用する必要がある。流動化反応における触媒の頻繁な再生及び摩耗により触媒の損失を回避できなく、MTO過程の生産コストを増加させた。
【0005】
メタノールからエチレン系炭化水素を製造する流動化床技術の不足を克服するために、コーキング防止の触媒及び触媒の摩耗小の固定床技術を開発することは依然として当該技術の重要な発展方向である。上記先行技術から分かるとおり、ZSM−5ゼオライト分子篩を活性成分とする触媒では、生成物におけるエチレン及びプロピレンの選択率が低い一つの主要な原因はメタノール転換において大量の芳香族炭化水素の生成物を生成することである。従って、生成物におけるエチレン及びプロピレンの選択率を向上させるルートは(1)生成された芳香族炭化水素をさらにエチレン系炭化水素に転換すること、又は(2)生成された芳香族炭化水素をリサイクルしエチレン系炭化水素の生成を促進し、芳香族炭化水素生成物の生成を抑制すること、である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的はメタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造するための触媒及びその製造方法、並びに前記触媒を使用してエチレン及びプロピレンを製造する方法であり、炭化水素類の生成物におけるエチレン及びプロピレンの選択率が90重量%を超えることにより、メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンに転換する収率及び原料の利用率を向上させた方法を提供するものである。
【0007】
上記目的を実現するために、本発明の発明人はランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒を研究した。ランタンによる改良はゼオライト分子篩の酸性及び水熱安定性を効果的に調節てきるが、シラン化の技術はゼオライト分子篩の表面の酸性に対して“不活性化”修飾を行うことができる。改良後の触媒がメタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造するための反応に用いる場合では、生成物におけるアルカンの生成を低減させ、エチレン及びプロピレンの選択率を向上させることができる。また、本発明の発明人はリサイクル技術により生成された芳香族炭化水素とメタノール及び/又はジメチルエーテルと共供給することでメタノール及び/又はジメチルエーテルをエチレン系炭化水素に転換することを促進し、芳香族炭化水素の生成物の生成を抑制し且つエチレン及びプロピレンの選択率を高めることを研究した。上記のことに基づき、本発明を完成した。
【0008】
従って、一つの方面から見れば、本発明は、ランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒であり、前記分子篩触媒における分子篩がHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩であり、ランタン及びシラン化による共改良により、触媒にランタン及びケイ素化合物を担持させ、その中、ランタンの担持量は触媒総重量の0.5−5重量%であり、酸化ケイ素に換算するとケイ素化合物の担持量は触媒総重量の0.1−10重量%であり、残りはHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩である、メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造するための触媒、を提供する。
【0009】
本発明の一つの好ましい実施形態において、ランタンの担持量は触媒総重量の1−5重量%であり、酸化ケイ素に換算するとケイ素化合物の担持量は触媒総重量の1−10重量%であり、且つ残りはHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩である。
【0010】
他の方面から見れば、本発明は、HZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩を硝酸ランタン溶液に1−12時間浸漬してから、ろ過、乾燥及び焼成し、ランタン改良の分子篩を得るステップ、得られたランタン改良の分子篩をケイ素源に1−12時間浸漬してから、ろ過、乾燥及び焼成し、ランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒を得るステップ、を含み、前記ケイ素源はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラエチルシランからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、上記の触媒を製造する方法、を提供する。
【0011】
本発明の他の好ましい実施形態において、ケイ素源がテトラエトキシシランである。
【0012】
また、もう一つの方面から見ると、本発明は、
(1)メタノール及び/又はジメチルエーテルと上記の触媒と接触させ、炭化水素を反応生成するステップ、
(2)ステップ(1)の前記炭化水素を第1のC
1−C
5成分(但し、第1のC
1−C
5成分が副生成物として収集する)及びC
6以上成分に分離するステップ、
(3)ステップ(2)で分離して得られたC
6以上成分を供給口に返送し、メタノール及び/又はジメチルエーテルとを混合し、混合物を得て、前記混合物と上記の触媒と接触させ、C
6以上成分がメタノール及び/又はジメチルエーテルを高選択率でエチレン及びプロピレンに転換することを促進し、高選択率のエチレン及びプロピレンを含む炭化水素を反応生成するステップ、
(4)ステップ(3)で得られた高選択率のエチレン及びプロピレンを含む炭化水素を高選択率のエチレン及びプロピレンを含有する第2のC
1−C
5成分及びC
6以上成分に分離し、C
6以上成分はステップ(3)でリサイクルし、第2のC
1−C
5成分は目的生成物として収集するステップ、及び
(5)ステップ(3)及び(4)を重複するステップ(但し、ステップ(3)においてステップ(4)で分離し得られた第2のC
6以上成分とメタノール及び/又はジメチルエーテルとを混合して得られた混合物を使用する)、を含み、
C
6以上成分のリサイクル及びそれとメタノール及び/又はジメチルエーテルと混合供給・反応により、連続的に高選択率でのエチレン及びプロピレンを含有する第2のC
1−C
5生成物を得ることを特徴とする、メタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する方法、を提供する。
【0013】
本発明のもう一つの好ましい実施形態において、反応温度が400−600℃であり、圧力が0−2.0MPaであり、且つメタノール及び/又はジメチルエーテルの供給の重量空間速度が0.2−10h
−1である。
【0014】
本発明のもう一つの好ましい実施形態において、前記方法は固定床、移動床又は流動化床の反応器で行う。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目的を実現するために、本発明の発明人はメタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン、プロピレンを製造する触媒を研究開発した。前記触媒は、ランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒であり、前記分子篩触媒における分子篩がHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩であり、ランタン及びシラン化による共改良により、触媒にランタンを担持させ、且つケイ素化合物により表面酸性が修飾されており、その中、ランタンの担持量は触媒総重量の0.5−5重量%であり、酸化ケイ素に換算するとケイ素化合物の担持量は触媒総重量の0.1−10重量%であり、残りはHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩であるものである。
【0016】
また、本発明の発明人は上記触媒の製造方法も研究開発した。前記製造方法はHZSM−5及び/又はHZSM−11ゼオライト分子篩を使用し、分子篩を硝酸ランタン溶液に1−12時間浸漬してから、ろ過、100−120℃で乾燥し、450−650℃の空気雰囲気で焼成し、ランタン改良の分子篩を得るステップ、得られたランタン改良の分子篩をテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラエチルシランからなる群から選ばれる1種又は2種以上であるケイ素源、好ましくはテトラメトキシシランに1−12時間浸漬してから、ろ過、100−120℃で乾燥し、450−650℃の空気雰囲気で焼成し、ランタン及びシラン化による共改良の分子篩触媒を得るステップ、を含む。
【0017】
さらに、本発明の発明人はメタノール及び/又はジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンに転換製造の新たなプロセスも研究開発した。前記プロセスは、メタノール及び/又はジメチルエーテルと触媒とを接触させ、炭化水素を反応生成し、炭化水素をC
1−C
5成分及びC
6以上成分に分離すること、分離して得られたC
6以上成分をリサイクルし、メタノール及び/又はジメチルエーテルとを混合供給し、得られた混合物と触媒とを接触させ、新たな組成を有する炭化水素を反応生成すること、得られた新たな組成を有する炭化水素をC
1−C
5成分及びC
6以上成分に分離し、C
6以上成分がリサイクルし、C
1−C
5成分は目的生成物として収集すること、C
6以上成分のリサイクル及びそれとメタノール及び/又はジメチルエーテルと混合供給・反応により、メタノール及び/又はジメチルエーテルをエチレン及びプロピレンに転換することを促進し、連続的に高選択率でエチレン及びプロピレンを含有するC
1−C
5生成物を得ること、を含む。
【0018】
本発明使用の触媒では、ランタンの担持量が触媒総重量の0.5−5%であり、好ましくは1−5%であり、且つ前記シラン化改良による酸化ケイ素の担持量が触媒総重量の0.1−10%であり、好ましくは1−10%である。
【0019】
本発明に係る前記方法において、反応物質がメタノール又はジメチルエーテル並びに二者の混合物であり、メタノールが水含有メタノールであってもよく、メタノールの重量濃度が50−100%である。気化後のメタノール又はジメチルエーテルを反応器に導入し、触媒と接触反応する。
【0020】
本発明に係る前記メタノール/ジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する使用方法では、反応方式が固定床及び移動床の何れかの形式であり、流動化床にも適用することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る前記メタノール/ジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する使用方法では、反応条件は、反応温度が350−650℃であり、好ましくは400−600℃であり、反応圧力が0−5.0MPaであり、好ましくは0−2.0 MPaであり、メタノール/ジメチルエーテル供給の重量空間速度が0.1−20 h
−1であり、好ましくは0.2−10 h
−1である。
【0022】
本出願における前記の圧力はゲージ圧を指す。
【0023】
本発明に係る前記メタノール/ジメチルエーテルからエチレン及びプロピレンを製造する触媒及使用方法では、最終的に高選択率でエチレン及びプロピレンを含有するC
1−C
5生成物が得られ、C
1−C
5生成物におけるエチレン及びプロピレンの選択率が90重量%を超える。
【0024】
実施例
以下は実施例を通じて本発明を詳細に説明するが、本発明以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
特別な説明がなければ、本願における部数、百分比及び含有量は重量を基準にするものである。
【0026】
実施例1:触媒の製造
1)100g HZSM−5ゼオライト分子篩原粉末(南開大学触媒工場、SiO
2/Al
2O
3モル比=50)を称量し、3重量%La担持量になるように硝酸ランタン溶液を調製した。称量されたHZSM−5ゼオライト分子篩を硝酸ランタン溶液に一晩浸漬した後、上層余液をデカントした。浸漬後のHZSM−5ゼオライト分子篩固体を120℃で乾燥した後、550℃、空気中で3時間焼成し、ランタン改良のHZSM−5ゼオライト分子篩を得た。
【0027】
2)ステップ1)で製造されたランタン改良のHZSM−5ゼオライト分子篩を50g取り、テトラエトキシシラン(TEOS)に常温で12時間浸漬し、上層液体をデカントした後、浸漬後のHZSM−5ゼオライト分子篩固体を120
℃で乾燥し、550
℃空気中で6時間焼成し、ランタン及びシラン化による共改良のHZSM−5触媒を得た。触媒の名称はMATO−1とした。
【0028】
3)ランタン及びシラン化による共改良のHZSM−5触媒に対して元素分析を行い、ランタンの担持量は触媒総重量の2.8%であり、酸化ケイ素に換算するとシラン化による担持量は触媒総重量の4.8%であった。
【0029】
実施例2:触媒の製造
1)100g HZSM−5ゼオライト分子篩原粉末(南開大学触媒工場、SiO
2/Al
2O
3モル比=50)を称量し、5重量%La担持量になるように硝酸ランタン溶液を調製した。称量されたHZSM−5ゼオライト分子篩を硝酸ランタン溶液に一晩浸漬した後、上層余液をデカントした。浸漬後のHZSM−5ゼオライト分子篩固体を120℃で乾燥した後、550℃、空気中で3時間焼成し、ランタン改良のHZSM−5ゼオライト分子篩を得た。
【0030】
2)ステップ1)で製造されたランタン改良のHZSM−5ゼオライト分子篩を50g取り、テトラエトキシシラン(TEOS)に常温で24時間浸漬し、上層液体をデカントした後、浸漬後のHZSM−5ゼオライト分子篩固体を120
℃で乾燥し、550
℃、空気中で6時間焼成し、ランタン及びシラン化による共改良のHZSM−5触媒を得た。触媒の名称はMATO−2とした。
【0031】
3)ランタン及びシラン化による共改良のHZSM−5触媒に対して元素分析を行い、ランタンの担持量は触媒総重量の4.6%であり、酸化ケイ素に換算するとシラン化による担持量は触媒総重量の6.9 %であった。
【0032】
実施例3:触媒の製造
1)100g HZSM−11ゼオライト分子篩原粉末(南開大学触媒工場、SiO
2/Al
2O
3モル比=61)を称量し、5重量%La担持量になるように硝酸ランタン溶液を調製した。称量されたHZSM−11ゼオライト分子篩を硝酸ランタン溶液に一晩浸漬した後、上層余液をデカントした。浸漬後のHZSM−5ゼオライト分子篩固体を120℃で乾燥した後、550℃、空気中で3時間焼成し、ランタン改良のHZSM−11ゼオライト分子篩を得た。
【0033】
2)ステップ1)で製造されたランタン改良のHZSM−11ゼオライト分子篩を50g取り、テトラエトキシシラン(TEOS)に常温で24時間浸漬し、上層液体をデカントした後、浸漬後のHZSM−5ゼオライト分子篩固体を120
℃で乾燥し、550
℃、空気中で6時間焼成し、ランタン及びシラン化による共改良のHZSM−11触媒を得た。触媒の名称はMATO−3とした。
【0034】
3)ランタン及びシラン化による共改良のHZSM−11触媒に対して元素分析を行い、ランタンの担持量は触媒総重量の4.8%であり、酸化ケイ素に換算するとシラン化による担持量は触媒総重量の7.3%であった。
【0035】
参考実施例:反応の評価
実施例1、2、及び3で製造されたMATO−1、MATO−2及びMATO−3触媒を反応触媒とし、タブレット成形してから粉砕し、40−60目にふるい分けた。それぞれ10g触媒を反応器に装入し、550
℃、空気雰囲気で1時間処理し、窒素ガスの雰囲気下で0.5時間吹付けた。供給ポンプによりメタノールを反応器に供給し、触媒と550
℃温度下で接触反応し、反応圧力が0MPaであった。原料であるメタノールの供給の重量空間速度が2h
−1であり、反応生成物に対してガスクロマトグラフィーによりオン‐ライン分析した。総生成物の組成、C
1−C
5の組成及びC
6以上成分の組成は表1、2及び3に示されている。総生成物の組成においてC
1−C
5成分はそれぞれ84.26重量%、85.63重量%及び85.89重量%であり、C
6以上成分はそれぞれ15.74重量%、14.37重量%及び14.11重量%であった。その中、C
1−C
5成分におけるエチレン及びプロピレンの選択率はそれぞれ56.19重量%、53.52重量%及び55.23重量%であった。
【0039】
実施例4:反応の評価
実施例1、2、及び3に製造されたMATO−1、MATO−2及びMATO−3触媒を反応触媒とし、タブレット成形してから粉砕し、40−60目に篩い分けた。それぞれ10g触媒を反応器に装入し、550
℃、空気雰囲気で1時間処理し、窒素ガスの雰囲気下で反応温度を450
℃に降温した。参考実施例3の表3のMATO−2触媒におけるメタノール転換反応のC
6以上生成物の組成中のベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン及びテトラメチルベンゼンの比率に従い、芳香族炭化水素の溶液を調製した。調製された芳香族炭化水素の溶液とメタノール(CH
2で計算する)とを重量比1:1で計量ポンプにより反応器に供給し、触媒と接触反応した。反応圧力が0MPaであり、メタノール供給の重量空間速度が1h
−1であり、反応生成物はガスクロマトグラフィーによりオン‐ラインで分析し、総生成物の組成、C
1−C
5の組成及びC
6以上成分の組成は表4、5及び6に示されている。総生成物の組成において、C
1−C
5成分はそれぞれ52.15重量%、53.24重量%及び53.76重量%であり、C
6以上成分はそれぞれ47.85重量%、46.76重量%及び46.24重量%であった。その中、C
1−C
5成分におけるエチレン及びプロピレンの選択率はそれぞれ90.43重量%、90.45重量%及び90.11重量%であった。
【0043】
実施例5:反応の評価
実施例1、2、及び3で製造さらたMATO−1、MATO−2及びMATO−3触媒を反応触媒とし、タブレット成形してから粉砕し、40−60目に篩い分けた。それぞれ10g触媒を反応器に装入し、550
℃、空気雰囲気で1時間処理し、窒素ガスの雰囲気下で反応温度を500
℃に降温した。実施例4の表6のMATO−2触媒におけるメタノール転換反応のC
6以上生成物の組成中のベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン及びテトラメチルベンゼンの比率に従い、芳香族炭化水素の溶液を調製した。調製された芳香族炭化水素の溶液とメタノール(CH
2で計算する)とを重量比1:1で計量ポンプにより反応器に供給し、触媒と接触反応した。背圧弁により反応システムの圧力に0.5MPa調節し、メタノール供給の重量空間速度が4h
−1であり、反応生成物に対してガスクロマトグラフィーによりオン‐ラインで分析し、総生成物の組成、C
1−C
5の組成及びC
6以上成分の組成は表7、8及び9に示されている。総生成物の組成において、C
1−C
5成分はそれぞれ50.32重量%、51.86重量%及び51.21重量%であり、C
6以上成分はそれぞれ49.68重量%、48.14重量%及び48.79重量%であった。その中、C
1−C
5成分におけるエチレン及びプロピレンの選択率はそれぞれ90.95重量%、91.22重量%及び91.45重量%であった。
【0047】
実施例6:反応の評価
実施例1、2、及び3で製造されたMATO−1、MATO−2及びMATO−3触媒を反応触媒とし、タブレット成形してから粉砕し、40−60目に篩い分けた。それぞれ10g触媒を反応器に装入し、550
℃、空気雰囲気で1時間処理し、窒素ガスの雰囲気下で反応温度を500
℃に降温した。実施例4の表6のMATO−2触媒におけるメタノール転換反応のC
6以上生成物の組成中のベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン及びテトラメチルベンゼンの比率に従い、芳香族炭化水素の溶液を調製した。調製された芳香族炭化水素の溶液とジメチルエーテル(CH
2で計算する)とを重量比0.5:1で計量ポンプにより反応器に供給し、触媒と接触反応した。ジメチルエーテル供給の重量空間速度が3h
−1であり、背圧弁により反応システムの圧力を1.0MPaに調節し、反応生成物に対してガスクロマトグラフィーによりオン‐ラインで分析し、総生成物の組成、C
1−C
5の組成及びC
6以上成分の組成は表10、11及び12に示されている。総生成物の組成において、C
1−C
5成分はそれぞれ67.46重量%、68.57重量%及び68.83重量%であり、C
6以上成分はそれぞれ32.54重量%、31.43重量%及び31.17重量%であった。その中、C
1−C
5成分におけるエチレン及びプロピレンの選択率はそれぞれ90.76重量%、91.03重量%及び90.90重量%であった。