(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リフレクタ(200)の前記反射面(200a)は、前記反射面(200a)上の前記少なくとも1つの定義曲線(O)の両側からの光が光像において最大照度を有する領域の一方の側においてこの領域に続いて結像されるように形成されていること
を特徴とする、請求項1に記載のライトモジュール。
定義された照度分布を有する定義された配光を発生させるリフレクタから出発し、該リフレクタは、光像において最大照度を有する領域として結像される反射面(200a)上の定義曲線(O)と平行に、該定義曲線の少なくとも一方の側において切り取りが行われていること
を特徴とする、請求項1又は2に記載のライトモジュール。
定義された照度分布を有する定義された配光を発生させるリフレクタから出発し、該リフレクタは、光像において最大照度を有する領域として結像される反射面(200a)上の定義曲線(O)に対して直交して切り取りが行われていること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のライトモジュール。
前記少なくとも1つの光源は、縦長の形態を有し、該光源は、前記リフレクタに対し、前記リフレクタの前記反射面により発生される発光部像が光像において明暗境界と平行に位置するように配設されていること
を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のライトモジュール。
前記少なくとも1つの光源の光放射面は、平坦に形成されており、明暗境界を形成する前記リフレクタの境界エッジは、前記少なくとも1つの光源の前記光放射面が遠近法的に短くされる領域に配設されていること
を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のライトモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)自動車用のライトモジュールであって、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つのリフレクタと、少なくとも1つのレンズとを含み、前記光源から放射された光は、前記少なくとも1つのリフレクタの反射面により配光が形成され、該ライトモジュールが車両内に取り付けられた状態において、前記少なくとも1つのレンズを介し、車両の前方の領域へ結像され、前記少なくとも1つのリフレクタの前記反射面は、前記リフレクタの第1焦点が前記反射面と前記少なくとも1つのレンズとの間に位置し且つ第2焦点が前記リフレクタの前記レンズとは反対側に位置するように形成されており、前記リフレクタの前記反射面は、発生された光像が少なくとも1つの明暗ラインを有するように形成されていること。
(形態2)形態1に記載のライトモジュールにおいて、光像において少なくとも1つの明暗ラインを形成するために、前記リフレクタは、実質的にリフレクタ・部分シェルとして、例えばリフレクタ・ハーフシェルとして形成されており、該リフレクタ・部分シェルの境界エッジの領域からの光が、光像において明暗ラインにおける配光を形成することが好ましい。
(形態3)形態2に記載のライトモジュールにおいて、前記リフレクタ・部分シェルは、該ライトモジュールの取り付けられた状態において、下方に向かって開いていることが好ましい。
(形態4)形態2又は3に記載のライトモジュールにおいて、前記リフレクタ・部分シェルの前記境界エッジは、実質的に前記少なくとも1つの光源が位置する面の上側に延在していることが好ましい。
(形態5)形態2〜4のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、前記境界エッジは、前方に向かって、前側のリフレクタ開口部に向かって上方へ曲げられていることが好ましい。
(形態6)形態1〜5のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、前記少なくとも1つの光源は、縦長の形態を有し、該光源は、前記リフレクタに対し、前記リフレクタの前記反射面により発生される発光部像が実質的に光像において明暗境界と平行に位置するように配設されていることが好ましい。
(形態7)形態1〜6のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、前記少なくとも1つの光源は、平坦な光出射面を有することが好ましい。
(形態8)形態1〜7のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、前記少なくとも1つの光源の光放射面は、好ましくは実質的に平坦に形成されており、明暗境界を形成する前記リフレクタの境界エッジは、前記少なくとも1つの光源の前記光放射面が遠近法的に短くされる領域に配設されていることが好ましい。
(形態9)形態1〜8のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、前記リフレクタの前記反射面は、前記反射面上の少なくとも1つの定義曲線に沿って反射される前記少なくとも1つの光源からの光が光像において最大照度を有する領域として結像されるように形成されていることが好ましい。
(形態10)形態9に記載のライトモジュールにおいて、前記リフレクタの前記反射面は、前記反射面上の前記少なくとも1つの定義曲線の両側からの光が光像において最大照度を有する領域の一方の側においてこの領域に続いて結像されるように形成されていることが好ましい。
(形態11)形態9又は10に記載のライトモジュールにおいて、定義された照度分布を有する定義された配光を発生させるリフレクタから出発し、該リフレクタは、光像において最大照度を有する領域として結像される反射面上の定義曲線と実質的に平行に、該定義曲線の少なくとも一方の側において切り取りが行われていることが好ましい。
(形態12)形態9〜11のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、定義された照度分布を有する定義された配光を発生させるリフレクタから出発し、該リフレクタは、光像において最大照度を有する領域として結像される反射面上の定義曲線に対して実質的に直交して切り取りが行われていることが好ましい。
(形態13)形態1〜12のいずれか1つに記載のライトモジュールにおいて、前記少なくとも1つのレンズは、アクロマートとして構成されていることが好ましい。
(形態14)形態1〜13のいずれか1つに記載のライトモジュールを少なくとも1つ備えた車両用投光装置。
【0009】
本発明によるライトモジュールは、投射系に関するものであり、該投射系では、光源からの光がリフレクタの形式の一次光学系により集束されて(投射)レンズへ向けられ、該レンズは、所望の光像をライトモジュールないし車両の前方の領域へ投射する。
【0010】
リフレクタにより実際の中間像が発生される古典的な構造と比べ、本発明においてリフレクタは、光源の仮想中間像(virtuelles Zwischenbild)を発生させ、該仮想中間像は、集光レンズ(収束レンズ)の形式のレンズを通ってライトモジュールないし車両の前方の領域へ結像される。そのためにリフレクタは、双曲線状のリフレクタ(hyperbolischer Reflektor)として形成されているか、又は実質的に双曲線状のリフレクタの特性を有する。
【0011】
この際、本発明の第1バリエーションでは、光像(ライトイメージ)において少なくとも1つの明暗ラインを形成するために、リフレクタは、実質的にリフレクタ・部分シェルとして、例えばリフレクタ・ハーフシェルとして形成されていることが考慮されており、この際、リフレクタ・部分シェルの境界エッジの領域からの光が、光像において明暗ラインにおける配光を形成する。
【0012】
このバリエーションにおいてリフレクタの縁部(フルリフレクタの言わば「縁切取部」)は、仮想対象物体とレンズとの間のハッチ(ないし開口部 Luke)として作用する。レンズの近傍に位置するリフレクタの部分は、近似的に開口絞りのように働き、従って光像に関して造形上の余地を提供したとしても僅かであり、その理由は、開口度が変化しても(結像される)像部分(Bildausschnitt)は変化しないままであり、即ち光像は、本質的には変化されないか又は変化されたとしても僅かなためである。
【0013】
しかし更にレンズから離れているリフレクタの部分は、もっと視野絞りの特徴を有し、これらの領域の変化は、結像される像部分も変化させ、それに対応してこれらの領域は、光像の形成のために使用することが可能である。
【0014】
例えば、後続段落で更に詳細に説明する、ハーフシェルとして形成され且つ下方に向かって開いているリフレクタにおいて、リフレクタの上側の領域は、前域における配光の強度を減少させるために切り取ることが可能であり、それに対し、下側のエッジにおける切り取りにより、明暗ラインにおける配光の形状を変更することが可能である。
【0015】
本発明の具体的な一実施形態において、リフレクタ・部分シェルは、ライトモジュールの取り付けられた状態において、下方に向かって開いており、従って光像において上側に位置する明暗ラインが得られる。
【0016】
更にリフレクタ・部分シェルの境界エッジは、実質的に少なくとも1つの光源が位置する面の上側に延在していることを考慮することができる。
【0017】
このようにして光像における明暗ラインは、例えば法的に許されるロービーム配光において要求されているように0.57°(ECE規則)ないし0.4°(SAE規則)だけ低くすることが可能である。
【0018】
更に境界エッジが前方に向かって、前側のリフレクタ開口部に向かって上方へ曲げられていることを考慮することができる。
【0019】
この際「上方へ」曲げられているとは、とにかく、光源が位置する面から境界エッジが離れていくように曲げられている、即ち湾曲していることを意味する。例えば光源が水平面に対して傾斜されており且つ傾斜された光源と境界エッジが基本的に平行に延在することを考慮することができるが、この際、配光は、配光の外側の縁部領域において上方へ曲げられてしまい、従って光が法的に許される領域の上側の領域へ達するという現象が発生することになる。
【0020】
上方へ曲げられた境界エッジの延在経過によりこの現象に対抗することができ、従って明暗境界の上側の許されない領域へ光が達することはない。
【0021】
リフレクタの明暗境界の結像の鮮明度を増加させるために、少なくとも1つの光源が縦長の形態を有し、該光源がリフレクタに対し、リフレクタの反射面により発生される発光部像(所謂フィラメント像 Wendelbild)が実質的に光像において明暗境界と平行に位置するように配設されていることを考慮することができ、その理由は、非鮮明さの広がりは、明暗境界に対して横方向(横断方向:左右方向)に測定すると、発光部像の大きさに直接的に比例しているためである。
【0022】
従って光源の縦軸線は、発生させるべき明暗境界と実質的に平行に延在し、この際、明暗境界に対する数度の傾斜は、光学的に十分に有意義であると言える。
【0023】
つまりそのような光源は、横方向の大きさよりも明らかに長い縦方向の大きさを有し、例えば、n個のLEDが一列に配設されており、従って光源が1個のLEDの幅とn個のLEDの長さを有するという(1xn)配設構成による、複数の発光ダイオードから成る光源とすることができる。そのような縦長の光源の他の例としては、キセノンランプ(Xe-Brenner)のアーク放電や、白熱電球のフィラメントがある。
【0024】
同様に、実際のシェード(絞り Blende)として機能するリフレクタの明暗境界の結像の鮮明度を増加させるために、少なくとも1つの光源が、平坦な光出射面を有することが考慮されており、この際、該光出射面は、リフレクタの反射面の方に向けられている。
【0025】
この際、好ましくは、少なくとも1つの光源の光放射面は、実質的に平坦に形成されており、この際、明暗境界を形成するリフレクタの境界エッジが、少なくとも1つの光源の光放射面が遠近法的に短くされる領域に配設されていることが考慮される。
【0026】
この後者の措置は、独自の措置としてか、又は上述の光源の縦長の形態と共に実現することが可能である。
【0027】
上述の実施形態では、リフレクタが実際のシェードとして機能し、即ちリフレクタの境界エッジ(単数ないし複数)が光像において明暗境界として(ないし最大照度の領域として)結像されることにより、リフレクタが光像において1つの又は複数の明暗境界を発生させる。
【0028】
他の一バリエーションでは、リフレクタの反射面が、該反射面上の少なくとも1つの定義曲線(定義されたカーブ)に沿って反射される少なくとも1つの光源からの光が光像において最大照度を有する領域として結像されるように形成されていることが考慮されている。
【0029】
リフレクタを用いた1つ又は複数の明暗境界の発生は、所謂火線(Kaustik)の現象を基礎としており、従ってシェードを使用することなく、基本的に任意に形成される1つ又は複数の明暗境界を発生させることが可能である。反射面上の少なくとも1つの定義曲線は、光像においてコースティックライン(コースティックは「燃える」を意味する)、即ち最大照度を有するラインとして結像され、一方の側(例えばこのラインの下側)において照度(Helligkeit)は減少し、他方の側(つまり例えばこのラインの上側)において光は全く結像されない。
【0030】
この際、リフレクタの反射面は、該反射面上の少なくとも1つの定義曲線の両側からの光が光像において最大照度を有する領域の一方の側においてこの領域に続いて結像されることが考慮されている。
【0031】
それに対応し、実質的に水平の明暗曲線(コースティックライン)においては、両方のリフレクタ領域からの光がコースティックラインの下側に結像され、明暗ラインの下側の配光を発生させる。
【0032】
本発明によるそのようなリフレクタは、例えばリフレクタを構造空間に関してより小さく構成するために、フレキシブルに変化させることが可能である。
【0033】
例えば、定義された照度分布を有する定義された配光を発生させるリフレクタから出発し、該リフレクタが、光像において最大照度を有する領域として結像される反射面上の定義曲線と実質的に平行に、該定義曲線の少なくとも一方の側において切り取りが行われていることを考慮することができる。
【0034】
実質的に定義曲線と平行なこの切り取り(Beschneiden)により、光像の形状は実質的に維持され、この際、光像は、より暗くなる。
【0035】
他のバリエーションでは、定義された照度分布を有する定義された配光を発生させるリフレクタから出発し、該リフレクタが、光像において最大照度を有する領域として結像される反射面上の定義曲線に対して実質的に直交して切り取りが行われていることを考慮することができる。
【0036】
実質的に定義曲線に対して直角なこの切り取りにより、光像は、より小さくなるが、光像において残る領域の照度は、実質的に変わらないままである。
【0037】
勿論、実際のシェードとして形成されたリフレクタに、火線を発生させる1つ又は複数の定義曲線を設けることも考慮することができ、それにより光像の発生に関して多数の造形可能性が得られる。
【0038】
本発明によるライトモジュールは、特に、ライトモジュールの全構造深さ(奥行き)がもはや一次光学系(リフレクタ)と二次光学系(レンズ)の焦点距離の合計により決定されるのではなく、両方の焦点距離の差により決定され、従って理論的に極めて減少することが可能であるという利点を有する。この際、実際の制限(光源の最終的な大きさ、製造誤差など)が与えられており、従って構造深さの減少に限界があるとしても、本発明によるライトモジュールないし投光装置では、構造容積が従来周知のシステムよりも明らかに小さくなっている。
【0039】
一次光学系の焦点距離と二次光学系の焦点距離の差だけが直接的に構造サイズに反映されるので、焦点距離自体は、光像の改善のために援用することのできる言わば自由なデザインパラメータである。
【0040】
本発明によるライトモジュールでは、全屈折力がリフレクタとレンズに分割される。この際、レンズの横断面は、実際の中間像とその他類似の固有値とを有する古典的な投射系と比肩可能であり、従って要求されるレンズの開口数は低下する。色収差は、屈折時にのみ発生し、反射時には発生しないので、屈折力の一部がリフレクタにより担われることにより、既に色忠実度の改善を達成することができる。
【0041】
更にレンズをアクロマート(色消しレンズ)として構成することができ、このことは、同様に色ずれ(Farbfehler)の修正に有用である。極めて大きい開口数を有する古典的な投射レンズでは、レンズをアクロマートとして構成することは不可能である。
【0042】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0044】
図1は、光源
10と、リフレクタ2と、レンズ3とを含む、自動車用のライトモジュール1を概略図として示している。
【0045】
この際、リフレクタ2の反射面2aは、リフレクタ2の第1焦点F1が反射面2aとレンズ3との間に位置するように形成されている。第2焦点F2は、リフレクタ2のレンズ3とは反対側、即ち(投射方向で見て)リフレクタ2の後方に位置している。
【0046】
光源
10から放射された光は、リフレクタ2の反射面2aにより配光形成され、ライトモジュール1が車両内に取り付けられた状態において、レンズ3を介し、車両の前方の領域へ結像される。
【0047】
本発明によるライトモジュール1(並びに以下で示される全てのモジュールないしシステムにも該当)は、投射系に関するものであり、該投射系では、光源からの光がリフレクタの形式の一次光学系により集束されて(投射)レンズへ向けられ、該レンズは、所望の光像(ライトイメージ)をライトモジュールないし車両の前方の領域へ投射する。リフレクタにより実際の中間像が発生される古典的な構造に比べ、本発明においてリフレクタ2は、光源の仮想中間像(ないし虚像としての中間像 virtuelles Zwischenbild)を発生させ、該仮想中間像は、実質的にリフレクタ2の後方の焦点F2に位置することになり、そして該仮想中間像は、集光レンズ(収束レンズ)の形式のレンズ3を通ってライトモジュールないし車両の前方の領域へ結像される。そのためにリフレクタ2は、双曲線状のリフレクタ(hyperbolischer Reflektor)として形成されているか、又は実質的に双曲線状のリフレクタの特性を有し、またレンズ3の焦点は、実質的にリフレクタ2の後方の焦点F2に位置している。
【0048】
図1を観察すると、複数の矢印を用いて限定されているリフレクタ2の領域を見ることができる。
図1に図示されたリフレクタ2を、上向き矢印により特徴付けられた領域の上側と、下向き矢印により特徴付けられた領域の下側とで切り取ると、境界光線として記入された両方の光線S1、S2とそれらの間に位置する光線とだけがリフレクタ2から出射し、レンズ3により結像される。
【0049】
本ライトモジュールにおいて基本的な本発明による特徴は、発生される光像が少なくとも1つの明暗ラインを有するようにリフレクタの反射面が構成されていることにある。
【0050】
図1から良く見てとれるように、リフレクタ2において、例えばリフレクタを切り取る(カットする Beschneiden)ことにより、配光に所望の形状を与えることが可能であり、特に、例えばロービーム配光の場合又は部分ハイビーム配光の場合がそうであるように、配光に少なくとも1つの明暗境界を設けることが可能である。
【0051】
リフレクタの縁部(フルリフレクタの言わば「縁切取部」)は、仮想対象(虚像)とレンズとの間のハッチ(ないし開口部 Luke)として作用する。(この際、ハッチとは、開口部を有する「シェード」のことであり、光線の一部分を切り取る実際の部材(絞り部材)のことである。また仮想対象は、リフレクタの後方に位置し、即ち焦点F2のところに位置する。)レンズに近傍に位置するリフレクタの部分は、近似的に開口絞り(Aperturblende)のように働き、従って光像に関して造形上の余地を提供したとしても僅かであり、その理由は、開口度が変化しても(結像される)像部分(Bildausschnitt)は変化しないままであり、即ち光像は、本質的には変化されないか又は変化されたとしても僅かなためである。
【0052】
しかし更にレンズから離れているリフレクタの部分は、もっと視野絞りの特徴を有し、これらの領域の変化は、結像される像部分も変化させ、それに対応してこれらの領域は、光像の形成のために使用することが可能である。
【0053】
例えばハーフシェルとして形成され且つ下方に向かって開いている、
図2〜
図5に図示されたリフレクタにおいて、リフレクタの上側の領域は、前域における配光の強度を減少させるために切り取ることが可能であり、それに対し、下側のエッジにおける切り取りにより、明暗ラインにおける配光の形状を変更することが可能である。
【0054】
図2〜
図5は、光源10と、反射面20aを有するリフレクタ20と、レンズ30とを有するライトモジュール1を示している。この際、サイズの比率は、純粋に一例であって、特にレンズは遥かに小さくすることができ、また例えばリフレクタと同じ大きさにすることもできる。
【0055】
リフレクタ20は、部分シェルとして、特にハーフシェルとして形成されており、光源10は、光をこのハーフシェル内へ放射し、該ハーフシェルの反射面20aにおいてその光が反射される。
【0056】
リフレクタ・ハーフシェル20は、
図4及び
図5に図示されているように、下方に向かって1つの境界エッジ20’、20’’により境界付けられている。この境界エッジ20’、20’’の周辺の領域から反射される光源10からの光は、レンズにより、光像において明暗境界の近傍ないし明暗境界へ投射され、即ち下側の境界エッジ20’、20’’は、光像において明暗境界として結像され、該明暗境界は、光像を上方に向かって境界付けている。
【0057】
この例における境界エッジ20’、20’’(その切り取り方法については後続段落で更に説明する)は、水平面内に位置しているので、明暗境界も、
図6及び
図7から良く見てとれるように、実質的に水平に延在する直線を形成している。
【0058】
境界エッジ20’、20’’の上側の反射面20aの領域から出射する光は、光像において明暗境界の下側の領域へ結像され、前域照射を発生させる。そのために典型的にリフレクタは、光源の仮想像がレンズの焦点に正確に位置するのではなく、幾らか該焦点を超えてないし該焦点の側方にずれて位置するように形成されている。前側の境界エッジ20’’’の「切り取り」即ち変化/変更により、前域の光形状ないし照明形態に影響を及ぼすことが可能である。
【0059】
また図示されているように、リフレクタ・部分シェル20の境界エッジ20’、20’’は、実質的に光源10が位置する面の上側に延在していることを考慮することができる。このようにして光像における明暗ラインは、
図6及び
図7に図示されているように、例えば法的に許されるロービーム配光において要求されているように0.57°(ECE規則)ないし0.4°(SAE規則)だけ低くすることが可能である。
【0060】
この際、光源10は、特に
図4から良く見てとれるように、幾らか前方へ(即ち下向きに)傾斜させることができ、従って光源10が位置する面は、それに対応して傾斜されている。
【0061】
リフレクタ20の下側の境界エッジ20’’が、
図4に図示されているように、光源10が位置する(傾斜された)面と実質的に平行に延在すると、明暗境界の経過は、
図6に図示されているようになる。この際、
図6から良く見てとれるように、配光(配光の状態ないし分布形態)は、配光の外側の縁部領域において上方へ曲げられてしまい、従って光が法的に許される領域の上側の領域へ達してしまう。このことは、
図5で模式的に図示されているように、曲線20’と曲線20’’との間の領域からの光がレンズを介して上方へ偏向され、それにより許される明暗境界を超えて投射されることにより起こる。
【0062】
リフレクタ20を曲線20’に沿って切り取り(beschneiden)、その結果として得られる下側の境界エッジがエッジ20’だけで形成されている場合には、
図7に図示された、外側の領域において上方へ曲げられた明暗境界を伴わない法的に許される光像を得ることができる。
【0063】
図6及び
図7において(水平方向で見て)ほぼ5°のところに位置する非対称部分は、エッジ20’により形成されるのではなく、通常、
図2〜
図5では非図示のリフレクタセグメントにより(
図8及び
図9に図示されているようなセグメント22に基づき)発生されるものである。
【0064】
リフレクタの明暗境界の結像の鮮明度を増加させるために、少なくとも1つの光源が縦長の形態を有し、該光源がリフレクタに対し、リフレクタの反射面により発生される発光部像(所謂フィラメント像 Wendelbild)が実質的に光像において明暗境界と平行に位置するように配設されていることを考慮することができ、その理由は、非鮮明さの広がりは、明暗境界に対して横方向(横断方向:左右方向)に測定すると、発光部像の大きさに直接的に比例しているためである。
【0065】
従って光源の縦軸線は、発生させるべき明暗境界と実質的に平行に延在し、この際、明暗境界に対する数度の傾斜は、光学的に十分に有意(sinnvoll)であると言える。
【0066】
つまりそのような光源は、横方向の大きさよりも明らかに長い縦方向の大きさを有し、例えば、n個のLEDが一列に配設されており、従って光源が1個のLEDの幅とn個のLEDの長さを有するという(1xn)配設構成による、複数の発光ダイオードから成る光源とすることができる。そのような縦長の光源の他の例としては、キセノンランプ(Xe-Brenner)のアーク放電や、白熱電球のフィラメントがある。
【0067】
同様に、実際のシェード(絞り Blende)として機能するリフレクタの明暗境界の結像の鮮明度を増加させるために、少なくとも1つの光源が、平坦な光出射面を有することが考慮されており、この際、該光出射面は、リフレクタの反射面の方に向けられている。
【0068】
この際、好ましくは、光源の面と、リフレクタの下側の境界エッジが位置する面とは、実質的に平行な面内に延在している。
【0069】
例えば、光源の光放射面が好ましくは実質的に平坦に形成されており、この際、明暗境界を形成するリフレクタの境界エッジが、少なくとも1つの光源の光放射面が遠近法的に短くされる領域に配設されていることを考慮することもできる。(「遠近法的に短くされる」について。例えば
図1において、平坦な光源10を光源10の直上に位置するリフレクタ2上の一点から観察すると、光源10は、実際の長さに対応する長さをもって観察される(観察方向は光源10に対して垂直である)。ところが光源10を例えばリフレクタ2の縁部から、即ち垂直線に対して0°とは異なる角度で光源10へ指向される観察方向のもとで観察すると、光源10は、実際よりもより短くなって観察される。つまり光源10は、遠近法的に短くされていることになる。)
【0070】
この後者の措置は、独自の措置としてか、又は上述の光源の縦長の形態と共に実現することが可能である。
【0071】
上述の実施形態では、リフレクタが実際のシェードとして機能し、即ちリフレクタの境界エッジ(単数ないし複数)が光像において明暗境界として(ないし最大照度の領域として)結像されることにより、リフレクタが光像において1つの又は複数の明暗境界を発生させる。
【0072】
図8及び
図9は、リフレクタ21と、光源11と、レンズ31とを有するライトモジュール1を示している。リフレクタ21は、
図2〜
図5に基づいて説明した上記の実施形態と比肩可能な、反射面21aと、下側の境界エッジ21’とを有する。
【0073】
この境界エッジ21’により、光像において水平な明暗境界が発生される。レンズの近傍にあるリフレクタ21の領域は、それに対応して光像においては遥か側方外側にあり、またそれに対応して下方へ下げられており、従って光像において発生する明暗ラインの非鮮明さは、煩わしいものではない。
【0074】
HV(基準線:水平面H−Hの線と垂直面V−Vの線の交点)に比較的近傍の光像の重要な部分は、上述の光源の遠近法的な短縮を利用することができ、従ってそこでは明暗ラインが十分に鮮明に結像される。
【0075】
具体的な一例において、双曲線状のリフレクタは、ほぼ40mmの焦点距離を有し、またレンズは、ほぼ100mmの焦点距離を有する非球面状の集光レンズ(収束レンズ)である。
【0076】
図8及び
図9から更に見てとれるように、リフレクタ21は、反射面22aを備えた追加的なリフレクタ領域22を有する。このリフレクタ領域ないしこのリフレクタセグメント22は、ロービーム配光において直接的にHVの周辺の中央領域を照射する。この際、このリフレクタセグメント22ないしその反射面22aは、所謂火線(Kaustik)を発生させるように設計されている。
【0077】
具体的に
図10は、複数の反射ポイントP1、P2、P3、P4、P5、P6が(円形の記しにより)強調されている反射面22aを模式的に示している。
図11は、これらの反射ポイントP1〜P6により発生された光像における発光部像W1〜W6を示している。リフレクタにおいてポイントP1〜P6を結ぶ線に沿って見ていくと、最初に発光部像W1、W2、W3が、対応するポイントP1〜P3と共に移っていく。ポイントP3は、極値ポジション、即ち光像において発光部のための折り返し点を表わし、つまりP3からは、P3からP4へ、そしてP5からP6へと更に進むにつれ、発光部像W4、W5、W6は、再び発光部像W1の方向へ戻っていくためである。
【0078】
つまり発光部像W3は、その最も外側の境界エッジW3’により火線に接触し(より詳細な説明は後続段落を参照)、リフレクタ22ないしリフレクタ面22aは、ポイントP3の近傍において、明暗境界の鮮明度を変化することなく切り取ることが可能である。
【0079】
このプロセスを
図10及び
図11に基づいて説明したようにリフレクタの複数のラインにおいて繰り返すと、最終的には、リフレクタ22のための完全な切取曲線が得られ、それにより該切取曲線は、
図8及び
図9に図示されているような形状をもつことになる。
【0080】
この際、
図12は、その上側の図において、切り取りの行われていないリフレクタにより発生された光像を示し、
図12の下側の図は、
図10及び
図11に基づいて説明したように、火線の包絡線における各々の発光部結像に対応する各々の反射ポイントの近傍においてリフレクタを切り取った場合の光像を示している。切り取りによりリフレクタ22の形状が得られる。
【0081】
切り取りにより明暗境界は、良好に出現し、特に
図12から良く見てとれるように、斜めの明暗曲線の改善された直線的な経過が得られている。
【0082】
図8及び
図9において例示したライトモジュールにおいて、全構造深さ(奥行き)は、ほぼ70mmである。レンズについては100mmの直径から出発したものであり、この際、切り取りは、光線路に基づき、極めてフレキシブルに構成することが可能である。大きな効果損失を甘受することなく、極めて小さくレンズを切り取ること(40mmx30mmの最小サイズに至るまで)が可能である。図面における例は、65mmx45mmの光出射面を示している。
【0083】
また別々に切替可能な複数のLED列を有する光源として複数列式のLEDを使用することにより、LEDの切り替えによってのみ、ロービームとハイビームの変換が可能である。
【0084】
レンズから離れて(即ちリフレクタに向かって近づくように)光源をずらすと、光源はより高く結像される。リフレクタの近傍に一列が位置するようにLED光源を配設することにより、近傍のこのLED列は、上方へずらされた配光を発生させ、該配光は、ハイビーム配光に関する法的な要求を満たすことができる。つまり後方のLED列は、レンズの焦点面において、前側の列よりもより深く下側に結像される。
【0085】
任意選択的に複数列配列式のLED光源は、ロービームに関するチップを通って延在する軸線の周辺で回転可能である。このようにしてハイビーム列は、目標を定めて焦点をぼかされ、このことは、均質な発生像とより大きなハイビーム高さをもたらす。
【0086】
図13は、光源100と、リフレクタ200(反射面200aを有する)と、レンズ300とを有するライトモジュール1を示しており、この際、リフレクタ200の反射面200aは、反射面200aの所定の定義曲線(定義されたカーブ)に沿って反射される光源100からの光が光像において最大照度を有する領域として結像されるように形成されている。
【0087】
光源100は、1つ又は複数の発光ダイオードを含み、該発光ダイオードは、垂直方向に配設されており、つまりそれらの光出射面は、垂直面内に位置し、そしてこの光源100は、側方に配設されたリフレクタ200を照射し、該リフレクタ200は、
図14の光像において図示されているように、実質的に水平に延在する明暗境界を発生させる。明暗境界は、本発明により専ら火線によって発生される。
【0088】
ここでは、ほぼ70mmの焦点距離を有する基本的に双曲線状のリフレクタと、ほぼ90mmの焦点距離を有する非球面状の集光レンズ(収束レンズ)とが使用され、該ライトモジュール1の構造深さ(奥行き)は、ほぼ50mmである。
【0089】
この際、リフレクタを用いた明暗境界の発生は、所謂火線(Kaustik)の現象を基礎としており、従ってシェードを使用することなく、基本的に任意に形成される1つ又は複数の明暗境界を発生させることが可能である。反射面上の少なくとも1つの定義曲線は、光像においてコースティックライン(コースティックは「燃える」を意味する)、即ち最大照度を有するラインとして結像され、一方の側(例えばこのラインの下側)において照度(Helligkeit)は減少し、即ち減少する配光分布を示し、他方の側(つまり例えばこのラインの上側)において光は全く結像されない。
【0090】
図15は、光源110を有するライトモジュールを示しており、この場合、再び垂直に配設された1つ又は複数のLEDを含んでおり、この光源110は、反射面210aを有する側方に配設されたリフレクタ210を照射する。光は、レンズ310を介し、ライトモジュールの前方の領域へ投射される。
【0091】
このライトモジュールを用い、際立った最大値を有する半円形状の配光が発生される(
図16を参照)。左右対称の(鏡像的な)配光との重ね合わせを、ハイビームを構成するために使用することが可能である。実質的に垂直の明暗境界(
図16を参照)は、リフレクタ210の境界エッジ210’を介して発生される。
【0092】
本発明により、例えばほぼ70mmの焦点距離を有する基本的に双曲線状のリフレクタが使用され、この例では、更にほぼ90mmの焦点距離を有する非球面状の集光レンズ(収束レンズ)が使用される。ライトモジュールの構造深さ(奥行き)は、ほぼ50mmである。
【0093】
最後に、
図8及び
図9による部分リフレクタにおいて
図10〜
図12に基づいて既に短く説明したが、
図13によるライトモジュールにおいても使用される火線の現象を
図17〜
図20に基づいて今一度より詳細に説明する。
【0094】
図17は、一例として側方に配設されたリフレクタ2000を示しており、該リフレクタ2000の反射面2000aが光源1000により照射される。リフレクタ2000の反射面2000aは、本発明により、反射面2000a上の定義曲線Oに沿って反射される光源1000の光が、光像において最大照度を有する領域として結像されるように形成されている。
【0095】
図18に図示された光像において、
図17におけるラインOの周辺(近傍)の領域からの光は、水平の明暗境界に接し且つその下側の領域を照射する(
図18における水平の斜線部の領域Loを参照)。この例においてラインOは、実質的に水平に延在する。反射面2000a上のポイント2から出射する光は、おおよそ、光像において「2」で記された領域を照射する。
【0096】
反射面2000a上の定義曲線Oの両側からの光、即ち図示の例では定義曲線Oの上側と下側からの光は、光像において最大照度を有する領域の一方の側、即ち当該領域の下側及び当該領域に引き続いて結像される。
【0097】
それに対応し、
図18に図示されているように実質的に水平の明暗曲線(コースティックライン)においては、両方のリフレクタ領域からの光がコースティックラインの下側に結像され、明暗ラインの下側の配光を発生させている。
【0098】
この際、上半分からの光は、下半分からの光よりも強く下方へ反射される。反射面2000a上で上側のポイント「1」からポイント「2」を介してポイント「3」へ動くと、この「1」から「3」へと延在する曲線の周辺の領域からの光線により、光像においては、上方から下方へ延在する湾曲した領域LBが得られる。最も下側のポイントでは、ポイント「1」と「3」からの光線が交わっている。
【0099】
図19は、今一度、反射面2000aを有するリフレクタ2000を示している。垂直方向に延在する3つの異なる区画「A」と「B」と「C」が記入されており、これらの区画は、
図20の光像において3つの領域「A」と「B」と「C」を発生させる。ラインOの周辺の領域からの光は、各々明暗境界において結像され、ラインOの上側と下側からの光は、明暗境界の下側において結像される。適切な区画化と、好ましくは互いに連続的に接続する個々の区画の対応的な構成により、明暗境界を有する所望の光像の発生に関し、大きな造形自由度が得られる。