(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶媒は、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1,2−エチレングリコール、ジメチルアミン、n−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
チタン系触媒、例えばテトラ(イソプロピル)チタネートの使用は、少量であっても、ポリカーボネート類の脱重合を可能にする。しかしながら、そのようなアルコーリシスから得られたジヒドロキシ芳香族化合物は黄色を有している可能性がある。発明者らは、白色ジヒドロキシ芳香族化合物、例えばビスフェノールAは着色ジヒドロキシ芳香族化合物を酸、例えば塩酸、リン酸、または次亜リン酸と、溶媒、例えばメタノールまたはトルエンの存在下、高温で接触させることにより生成させることができることを発見した。発明者らはまた、粗ジヒドロキシ芳香族化合物の色はその代わりに、溶解させた粗ジヒドロキシ化合物を塩基、例えばアルカリ塩基で処理することにより低減させることができることを見出した。
【0012】
理論に縛られないが、アルコーリシス中に形成されたジヒドロキシ芳香族化合物はチタン系エステル交換触媒と複合体化することができ、安定な着色複合体が形成されると考えられる。さらに、酸またはアルカリ塩基を溶媒の存在下で使用することにより、着色複合体は加水分解し、複合体化されていないジヒドロキシ芳香族化合物を生成することができ、よって、その色が低減すると考えられる。
【0013】
本明細書では、「ポリカーボネート」は、式(1)の繰り返し構造カーボネート単位を有する組成物を意味し、
【化1】
式中、R
1基の総数の少なくとも60パーセントは芳香族部分を含み、その残りは、脂肪族、脂環式、または芳香族である。一実施形態では、各R
1はC
6−30芳香族基であり、すなわち、少なくとも1つの芳香族部分を含む。R
1は、式HO−R
1−OH、特に式(2)のジヒドロキシ化合物から誘導することができ、
HO−A
1−Y
1−A
2−OH
(2)
式中、A
1およびA
2の各々は単環式二価芳香族基であり、Y
1は単結合またはA
1をA
2から分離する1つ以上の原子を有する架橋基である。一実施形態では、1つの原子はA
1をA
2から分離する。特定的には、各R
1は、式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導することができ、
【化2】
式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、ハロゲン、C
1−12アルコキシ、またはC
1−12アルキルであり、ならびにpおよびqはそれぞれ独立して、0から4の整数である。R
aは、pが0の時、水素であり、かつ、同様にR
bは、qが0の時、水素であることが理解されるであろう。また、式(3)では、X
aは、2つのヒドロキシ−置換芳香族基を連結する架橋基であり、架橋基および各C
6アリーレン基のヒドロキシ置換基は、C
6アリーレン基上で互いにオルト、メタ、またはパラ(特定的にはパラ)に配置される。一実施形態では、架橋基X
aは単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、またはC
1−18有機基である。C
1−18有機架橋基は環状または非環状、芳香族または非芳香族とすることができ、ならびにハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、またはリンなどのヘテロ原子をさらに含むことができる。C
1−18有機基は、これに連結されたC
6アリーレン基がそれぞれ、C
1−18有機架橋基の共通のアルキリデン炭素または異なる炭素に連結されるように配置することができる。一実施形態では、pおよびqはそれぞれ1であり、ならびにR
aおよびR
bはそれぞれ、各アリーレン基上のヒドロキシ基に対してメタに配置されたC
1−3アルキル基、特定的にはメチルである。
【0014】
一実施形態では、X
aは置換または非置換C
3−18シクロアルキリデン、式−C(R
c)(R
d)−のC
1−25アルキリデン(式中、R
cおよびR
dはそれぞれ独立して、水素、C
1−12アルキル、C
1−12シクロアルキル、C
7−12アリールアルキル、C
1−12ヘテロアルキル、または環状C
7−12ヘテロアリールアルキルである)、または式−C(=R
e)−の基(式中、R
eは二価C
1−12炭化水素基である)である。この型の基としては、メチレン、シクロヘキシルメチレン、エチリデン、ネオペンチリデン、およびイソプロピリデン、ならびに2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンが挙げられる。
【0015】
別の実施形態では、X
aはC
1−18アルキレン基、C
3−18シクロアルキレン基、縮合C
6−18シクロアルキレン基、または式−B
1−G−B
2−の基(式中、B
1およびB
2は同じかまたは異なるC
1−6アルキレン基であり、GはC
3−12シクロアルキリデン基またはC
6−16アリーレン基である)である。例えば、X
aは式(4)の置換C
3−18シクロアルキリデンとすることができ、
【化3】
式中、R
r、R
p、R
q、およびR
tはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、酸素、またはC
1−12炭化水素基であり、Qは直接結合、炭素、または二価酸素、硫黄、あるいは−N(Z)−(式中、Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1−12アルキル、C
1−12アルコキシ、またはC
1−12アシルである)であり、rは0から2であり、tは1または2であり、qは0または1であり、ならびにkは0から3であり、ただし、R
r、R
p、R
q、およびR
tの少なくとも2つは一緒になり、縮合脂環式、芳香族、またはヘテロ芳香族環となることを条件とする。縮合環が芳香族である場合、式(4)で示される環は、環が縮合された場合、不飽和炭素−炭素結合を有するであろうことが理解されるであろう。kが1であり、iが0である場合、式(4)で示される環は4個の炭素原子を含み、kが2である場合、式(4)で示される環は5個の炭素原子を含み、ならびにkが3である場合、環は6個の炭素原子を含む。一実施形態では、2つの隣接する基は(例えば、R
qおよびR
tは一緒になり)芳香族基を形成し、ならびに別の実施形態では、R
qおよびR
tは一緒になり1つの芳香族基を形成し、ならびにR
rおよびR
pは一緒になり第2の芳香族基を形成する。R
qおよびR
tが一緒になり芳香族基を形成する場合、R
pは二重結合酸素原子、すなわち、ケトンとすることができる。
【0016】
「ポリカーボネート類」はホモポリカーボネート類(ここで、ポリマ中の各R
1は同じである)、カーボネート中に異なるR
1部分を含むコポリマ類(「コポリカーボネート類」)、カーボネート単位および他の型のポリマ単位、例えばエステル単位を含むコポリマ類、ならびにホモポリカーボネート類またはコポリカーボネート類の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。
【0017】
ポリカーボネート含有組成物は様々な起源に由来する可能性があり、電子廃棄物はそれらの1つである。ポリカーボネート類、特に難燃剤ポリカーボネート類(「FRポリカーボネート類」)は電子装置内の様々な構成要素およびハウジングにおいて使用される。装置が廃棄されるとすぐに、プラスチックは金属およびガラス構成要素から分離され、処理され、工業用の潜在的供給原料が提供される。これらの供給原料は電子廃棄物由来のプラスチックと呼ばれる。ポリカーボネート含有電子廃棄物の例としては、フロートシンク(float sink)電子廃棄物およびトロンメル電子廃棄物由来のプラスチックが挙げられる。
【0018】
「フロートシンク電子廃棄物」は液体分離プロセスを介して得られる。粉砕された後、電子廃棄物材料は、フロートシンク槽において選択された液体中でのそれらの相対浮力により分離される。例えば、そのようなプロセスでは、第1のフロート/シンク槽は淡水で充填される。ポリエチレンおよびポリプロピレンは浮き、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、およびFRポリカーボネート(これらは沈む)から除去される。これらの「沈降物」は、1.035g/cc密度の水溶液を含む第2の槽、ならびにパドル羽根を備えた3つの回転ドラムに入る。ポリスチレンはこの槽内で浮き、一方、ABSおよびFRポリカーボネートは沈む。FRポリカーボネートおよびABSは相溶性ブレンドであり、これを製造加工業者は、フロートシンク電子廃棄物プラスチックとして販売する。フロートシンク電子廃棄物プラスチックは、例えば、グローバルエレクトリックアンドエレクトロニックプロセシング(Global Electric and Electronic Processing)(GEEP)から入手可能である。
【0019】
「トロンメル電子廃棄物」プラスチックは、粉砕され、物理的にトロンメルスクリーニングを介して選別された、電子廃棄物である。トロンメル電子廃棄物プラスチックは、例えば、GEEPから入手可能である。
【0020】
他の電子廃棄物材料は最初に手作業で分離され、その後にサイズ低減される。主としてポリカーボネート/ABSブレンドであると考えられるそれらの部分はその後、手で選ばれ、サンプリングされる。そのような電子廃棄物プラスチックは、例えば、リサイクルトロニクス(Recycletronics)から入手可能である。
【0021】
任意で、ポリカーボネート廃棄物は溶媒で前処理することができ、比較的高いポリカーボネート(PC)量を有するポリカーボネート含有組成物を提供することができる。例えば、ポリカーボネート類は、リサイクルグレードポリカーボネートまたは電子廃棄物プラスチックからの、難燃剤および大部分のABSを除去するアセトンのような好適な溶媒での前処理による抽出により単離することができる。単離されたポリカーボネート含有組成物はその後、脱重合のために使用することができる。
【0022】
ポリカーボネート含有組成物はまた、リン含有難燃剤を含むFRポリカーボネート樹脂生成物を含む。
【0023】
ポリカーボネート含有組成物中のリン含有難燃剤は、有機ホスフェートおよびリン−窒素結合を含む有機化合物を含む。
【0024】
1つの型の有機ホスフェートは式(GO)
3P=Oの芳香族ホスフェートであり、式中、各Gは独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアラルキル基であり、ただし、少なくとも1つのGは芳香族基であることを条件とする。G基の2つは一緒になり、環状基、例えば、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトを提供することができる。芳香族ホスフェートとしては、フェニルビス(ドデシル)ホスフェート、フェニルビス(ネオペンチル)ホスフェート、フェニルビス(3,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ビス(ドデシル)p−トリルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、などが挙げられる。特定の芳香族ホスフェートは各Gが芳香族であるもの、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェート、などである。
【0025】
二または多官能性芳香族リン含有化合物、例えば、下記式の化合物もまた、有用であり、
【化4】
式中、各G
1は独立して、1から30個の炭素原子を有する炭化水素であり、各G
2は、独立して1から30個の炭素原子を有する炭化水素またはヒドロカルボノキシであり、各Xは独立して臭素または塩素であり、mは、0から4であり、ならびにnは、1から30である。二または多官能性芳香族リン含有化合物としては、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、それぞれ、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノールAのビス(ジフェニル)ホスフェート、それらのオリゴマおよびポリマ対応物、などが挙げられる。
【0026】
リン−窒素結合を含む例示的な好適な難燃剤化合物としては塩化ホスホニトリル、リンエステルアミド類、リン酸アミド類、ホスホン酸アミド類、ホスフィン酸アミド類、およびトリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドが挙げられる。有機リン含有難燃剤は、一般に、全てのフィラーを排除した、100重量部の総組成物に基づき、約0.1から約20重量部、例えば、約2から約18重量部または約4から約16重量部、任意で約2から約15重量部の量で存在する。
【0027】
ポリカーボネート含有組成物中のポリカーボネート類は、アルコーリシスにより脱重合させることができる。本明細書では、アルコーリシスは、アルコールを溶媒および反応物の両方として使用することにより、ポリカーボネートを脱重合してジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキル類を生成させるプロセスを示す。
【0028】
アルコールは、C
1−10−アルコール、例として、アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびアリールアルコール、例えばフェノール、クレゾール類、などとすることができる。アルキルアルコールの存在下でのアルコーリシスは炭酸ジアルキルを生成させる。アリールアルコールの存在下でのアルコーリシスは炭酸ジアリールを生成させる。本明細書における記載および実施例が炭酸ジアルキルに言及する場合、炭酸ジアリールを回収するアルコーリシス、およびポリカーボネートを生成するための回収された炭酸ジアリールの使用もまた、本開示の範囲内にあることが認識される。メタノールが使用される場合、アルコーリシスはメタノリシスと呼ばれ、エタノールが使用される場合、プロセスはエタノーリシスと呼ばれる、など。本明細書における記載および実施例がメタノリシスに言及する場合、当業者は、他のアルコール類は、一般にアルコーリシスと呼ばれるものに対して同じ意味で使用することができること、ならびに後者は発明の範囲内にあることを理解するであろう。
【0029】
エステル交換触媒はポリカーボネート類のアルコーリシスを促進することができる。触媒は、チタンイソプロポキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水素化ホウ素の四級アンモニウム塩、水素化アルミニウムの四級アンモニウム塩、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ金属のアリールオキシド、アルカリ土類金属のアリールオキシド、アルカリ金属の有機塩、アルカリ土類金属の有機塩、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物、有機スズ化合物、鉛化合物、オニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、亜鉛化合物またはジルコニウム化合物の1つ以上とすることができる。
【0030】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシウムとすることができる。水素化ホウ素および水素化アルミニウムの四級アンモニウム塩は、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウムおよびテトラメチルアンモニウムボロヒドリドとすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化物は、水素化リチウム、水素化ナトリウムまたは水素化カルシウムとすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコキシドは、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカルシウムメトキシドとすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアリールオキシドは、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi(式中、Arはアリーレン基を表す)、およびNaO−Ar−ONa(式中、Arはアリーレン基を表す)とすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の有機塩は、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、または安息香酸ナトリウムとすることができる。亜鉛化合物は酸化亜鉛、酢酸亜鉛または亜鉛フェノキシドとすることができる。ホウ素化合物は酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸アンモニウム、またはホスホニウムボレートとすることができる。ケイ素化合物は酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素(tetraalkylsilicon)、テトラアリールケイ素(tetraarylsilicon)、またはジフェニル−エチル−エトキシケイ素とすることができる。ゲルマニウム化合物は酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、およびゲルマニウムエトキシドまたはゲルマニウムフェノキシドとすることができる。スズ化合物は、酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、または酢酸スズとすることができる。スズに結合されたアルコキシ基またはアリールオキシ基を有するスズ化合物は、エチルスズトリブトキシドおよび有機スズ化合物を含むことができる。鉛化合物は、酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、および塩基性炭酸鉛を含む。鉛のアルコキシドおよびアリールオキシドもまた、金属エステル交換触媒として使用することができる。鉛のアリールオキシドの1つの例は鉛ジフェノキシドである。オニウム化合物は四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、または四級アルソニウム塩を含むことができる。アンチモン化合物は酸化アンチモンおよび酢酸アンチモンを含むことができる。マンガン化合物は酢酸マンガン、炭酸マンガンおよびホウ酸マンガンを含むことができる。チタン化合物は、酸化チタン、チタンアルコキシドおよびチタンアリールオキシドを含む。ジルコニウム化合物は酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアリールオキシド、およびジルコニウムアセチルアセトナートを含む。
【0031】
前記に加えて、本明細書で使用されるエステル交換触媒は、テトラブチルアンモニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムアセタート、またはテトラブチルホスホニウムフェノラートを含むことができる。本明細書で使用されるエステル交換触媒は、前記化合物の1つ以上とすることができる。特定の実施形態では、触媒はチタンテトラ(イソプロピル)チタネート、アルミニウムイソプロポキシド、ジブチルスズオキシド、金属フェノキシド、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせである。便宜的に、触媒は炭酸ジフェニル生成ユニットからの触媒パージストリームである。
【0032】
触媒がチタン系触媒である場合、触媒は十分な量の水を、ジヒドロキシ芳香族化合物、ジアルキル化合物およびアルコールのブレンドに添加し、触媒を二酸化チタンに変換する(これは濾過して除去することができる)ことにより、除去することができる。
【0033】
触媒の触媒活性量は、ポリカーボネート含有組成物およびアルコールの総重量に基づき、4wt%、3wt%、2wt%、1wt%、0.5wt%、0.25wt%、0.1wt%、0.05wt%、0.025wt%、0.01wt%未満とすることができる。
【0034】
ポリカーボネートのアルコーリシスは一般に、少なくとも30℃の温度、特定的には70℃から200℃の温度、より特定的には100°から180℃、最も特定的には130oから170℃で実施される。30℃未満の温度では、反応速度が経済的操業には遅すぎる可能性がある。大気または超大気圧、例えば40barまで、特定的には50mbarから40bar、より特定的には5barから20barの自己圧力(autogeneous pressure)が使用され得る。
【0035】
ポリカーボネートのアルコーリシスは、温度および圧力ならびに使用される特定のポリカーボネート含有組成物および触媒によって、約0.5から約10時間、特定的には約1から約5時間、より特定的には約2から約4時間の間実施することができる。便宜的に、ポリカーボネートの変換は4時間未満で99%完了する。
【0036】
1:1から10:1、特定的には2:1から8:1、より特定的には2:1から6:1のアルコール対ポリカーボネート含有組成物の重量比を使用することができる。メタノール、エタノール、またはブタノールなどのアルコール対ポリカーボネート含有組成物のモル比は、8:1から80:1、特定的には16:1から64:1、より特定的には16:1から48:1とすることができる。本明細書で設定されたもの以外の他の比も使用することができるが、試薬および溶媒の両方として使用されるので、わずかに過剰のアルコールが望ましい可能性がある。
【0037】
アルコールおよび炭酸ジアルキルの組み合わせはジヒドロキシ芳香族化合物から蒸留により分離することができる。アルコール/炭酸ジアルキルストリーム(50wt%までの炭酸ジアルキルを含む)は、ポリカーボネート類のアルコーリシスのために再利用することができる。あるいは、アルコール/炭酸ジアルキル混合物は、アルコールリッチサブストリームおよび炭酸ジアルキルリッチサブストリームに分離することができ、各ストリームは75%超のアルコールまたは炭酸ジアルキルを含む。アルコールリッチサブストリームは、ポリカーボネート類を脱重合するために再利用することができる。一実施形態では、サブストリームの1つまたは両方は、さらなる反応において使用する前に精製することができる。
【0038】
アルコーリシスはジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキル類、例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチルを生成する。特定のジヒドロキシ芳香族化合物のいくつかの例示的な例としては下記が挙げられる:4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオリン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7−ジヒドロキシカルバゾール、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、例えば5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノール、など、カテコール、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、例えば2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノン、など、または前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組み合わせ。
【0039】
ジヒドロキシ芳香族化合物の他の具体例としては、下記が挙げられる:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」または「BPA」とも呼ばれる)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)、および1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール。1つの特定の実施形態では、ポリカーボネートのアルコーリシスから誘導されたジヒドロキシ芳香族化合物はビスフェノールAである。
【0040】
チタン系触媒、例えばテトラ(イソプロピル)チタネートの使用は、少量であっても、ポリカーボネート類の脱重合を可能にする。しかしながら、そのようなアルコーリシスから得られたジヒドロキシ芳香族化合物は黄色を有している可能性がある。例えば、ポリカーボネート含有組成物のアルコーリシスから誘導された粗ジヒドロキシ芳香族化合物、例えばビスフェノールAは、例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して比色計により測定した場合、約2,600超の、米国公衆衛生協会(American Public Health Association)カラーインデックス(「APHA値」と呼ばれる)に基づく明度を有する可能性があり、一方、例えば、同じ手順を用いて測定した場合、純粋ビスフェノールA標準サンプルは約15のAPHA値しか有さない。APHAは単一数の黄色度指数である。より高いAPHA値は、より黄色に着色したサンプルということになる。
【0041】
発明者らは驚いたことに、粗ジヒドロキシ芳香族化合物の色は、粗ジヒドロキシ化合物を酸で、溶媒の存在下、高温で処理することにより低減させることができることを見出した。
【0042】
あるいは、粗ジヒドロキシ芳香族化合物の色は、最初に任意でそれを溶媒に溶解し、その後、溶液を塩基で、続いて酸で処理することにより低減させることができる。ジヒドロキシ芳香族化合物は沈殿し、低減された色を有する。プロセスは室温で実施することができる。例示的な塩基としては、アルカリ塩基、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
【0043】
例示的な酸としては、塩酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、スルホン酸(sulphonic acid)、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、酸は塩酸、亜リン酸、次亜リン酸、スルホン酸、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0044】
例示的な溶媒としてはケトン、アルコール、アミン、または炭化水素が挙げられる。溶媒の組み合わせを使用することができる。特定的には、溶媒は、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1,2−エチレングリコール、ジメチルアミン、n−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせとすることができる。便宜的に、溶媒はジヒドロキシ芳香族化合物を溶解する。高温は溶媒の沸点とすることができる。
【0045】
使用される酸の量はビスフェノールAの重量に対して10wt%とすることができる。
【0046】
粗ジヒドロキシ芳香族化合物、酸、および溶媒の組み合わせは、特定の酸および使用される酸の量によって、高温で10分から10時間、特定的には30分から5時間加熱することができる。より少ない色を有するジヒドロキシ芳香族化合物は、溶液が冷却されるとすぐに沈殿することができる。
【0047】
粗ジヒドロキシ芳香族化合物、アルカリ塩基、および溶媒の組み合わせは、他方、高温まで加熱させる必要はない。酸を組み合わせに添加することができ、ジヒドロキシ芳香族化合物が沈殿する。
【0048】
プロセス後、ジヒドロキシ芳香族化合物の色は、著しく低減され得る。例えば、APHA値は約2,600超から約800未満、700、600、500、400、300、200、150、または100まで低減され得る。
【0049】
異なる触媒、例えばアルミニウム系またはスズ系触媒がポリカーボネート含有組成物のアルコーリシスで使用される場合、チタン系触媒をアルコーリシスで使用した場合と比べて、より少ない色を有するジヒドロキシ芳香族化合物が得られ得る。
【0050】
得られたジヒドロキシ芳香族化合物は、そのままで販売することができ、あるいは、ポリカーボネートを製造するための重合を含むさらなる反応で使用することができる。得られた炭酸ジアルキルはフェノールと反応することができ、炭酸ジフェニルを提供する。一実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルは、さらなる反応における使用前に精製することができる。
【0051】
例えば、ジヒドロキシ芳香族化合物は、カルボニル源、すなわち、カーボネート前駆体との重合によりポリカーボネートを形成させるために使用することができる。ポリカーボネートを生成するためのジヒドロキシ芳香族化合物の重合は、界面または溶融重合法によるものとすることができる。界面重合のための反応条件は様々であり得るが、プロセスは一般に、ジヒドロキシ芳香族化合物を苛性ソーダまたはカリ水溶液中に溶解または分散させる工程、得られた混合物を水に混和しない溶媒媒質に添加する工程、ならびに反応物をカーボネート前駆体と、触媒、例えばトリエチルアミンまたは相間移動触媒の存在下、制御されたpH条件下、例えば、8から12で接触させる工程を含む。最も普通に使用される水に混和しない溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、などが挙げられる。
【0052】
カーボネート前駆体としては、ハロゲン化カルボニル、例えば臭化カルボニルまたは塩化カルボニル、あるいはハロホルメート(haloformate)、例えば二価フェノールのビスハロホルメート類(例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノン、などのビスクロロホルメート類)またはグリコールのビスハロホルメート類(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、などのビスハロホルメート)が挙げられる。前記型のカーボネート前駆体の少なくとも1つを含む組み合わせもまた使用することができる。一実施形態では、カーボネート結合を形成するための界面重合反応はホスゲンをカーボネート前駆体として使用し、ホスゲン化反応と呼ばれる。
【0053】
使用することができる相間移動触媒の中には、式(R
3)
4Q
+Xの触媒があり、式中、各R
3は同じかまたは異なり、C
1−10アルキル基であり、Qは窒素またリン原子であり、ならびにXはハロゲン原子またはC
1−8アルコキシ基またはC
6−18アリールオキシ基である。相間移動触媒としては、例えば、[CH
3(CH
2)
3]
4NX、[CH
3(CH
2)
3]
4PX、[CH
3(CH
2)
5]
4NX、[CH
3(CH
2)
6]
4NX、[CH
3(CH
2)
4]
4NX、CH
3[CH
3(CH
2)
3]
3NX、およびCH
3[CH
3(CH
2)
2]
3NXが挙げられ、式中、XはCl
−、Br
−、C
1−8アルコキシ基またはC
6−18アリールオキシ基である。相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量に基づき、0.1から10wt%とすることができる。別の実施形態では、相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量に基づき0.5から2wt%とすることができる。
【0054】
分枝ポリカーボネートブロックは、分岐剤を重合中に添加することにより調製することができる。連鎖停止剤(キャッピング剤とも呼ばれる)を重合中に含ませることができる。連鎖停止剤は分子量増大速度を制限し、それで、ポリカーボネートにおける分子量を制御する。
【0055】
あるいは、溶融プロセスを使用してポリカーボネート類を製造することができる。溶融重合は、バッチプロセスとして、または連続プロセスとして実行され得る。どちらの場合にも、使用される溶融重合条件は2つ以上の明確な反応段階を含むことができ、例えば、第1の反応段階では、開始ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアリールがオリゴマポリカーボネートに変換され、第2の反応段階では、第1の反応段階で形成されたオリゴマポリカーボネートが高分子量ポリカーボネートに変換される。そのような「段階的」重合反応条件は、連続重合系での使用にとりわけ好適であり、この場合、開始モノマは第1の反応容器内でオリゴマ化され、その中で形成されたオリゴマポリカーボネートは、1つ以上の下流反応器に連続して移動され、そこで、オリゴマポリカーボネートは高分子量ポリカーボネートに変換される。典型的には、オリゴマ化段階では、生成されたオリゴマポリカーボネートは、約1,000から約7,500ダルトンの、数平均分子量を有する。1つ以上のその後の重合段階では、ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)は、約8,000と約25,000ダルトンの間まで増加される(ポリカーボネート標準を使用して)。
【0056】
「溶融重合条件」という用語は、エステル交換触媒の存在下で、ジヒドロキシ芳香族化合物と炭酸ジアリールの間の反応を達成するのに必要なそれらの条件を意味すると理解される。典型的には、溶媒はそのプロセスでは使用されず、反応物ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアリールは溶融状態にある。反応温度は約100℃から約350℃、特定的には約180℃から約310℃とすることができる。圧力は、反応の初期段階では、大気圧、超大気圧、または大気圧から約15torrの圧力範囲とすることができ、後の段階では、減圧、例えば約0.2から約15torrとすることができる。反応時間は一般に約0.1時間から約10時間である。
【0057】
ポリカーボネート類の溶融エステル交換重合生成において使用される触媒はαまたはβ触媒を含むことができる。β触媒は典型的に揮発性であり、高温で分解する。よって、β触媒は初期低温重合段階での使用に好ましい。α触媒は典型的には、β触媒よりも熱的に安定で、より揮発性が低い。
【0058】
α触媒はアルカリまたはアルカリ土類イオンの起源を含むことができる。これらのイオンの起源としては、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム、ならびにアルカリ土類水酸化物、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。アルカリおよびアルカリ土類金属イオンの他の可能な起源としては、カルボン酸の対応する塩(例えば酢酸ナトリウム)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の誘導体(例えばEDTA四ナトリウム塩、およびEDTAマグネシウム二ナトリウム塩)が挙げられる。他のαエステル交換触媒としては、不揮発性無機酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えばNaH
2PO
3、NaH
2PO
4、Na
2HPO
3、KH
2PO
4、CsH
2PO
4、Cs
2HPO
4、など、あるいはリン酸の混合塩、例えばNaKHPO
4、CsNaHPO
4、CsKHPO
4、などが挙げられる。前記触媒のいずれかの少なくとも1つを含む組み合わせが使用され得る。
【0059】
可能なβ触媒は、四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせを含むことができる。四級アンモニウム化合物は構造(R
4)
4N
+X
−の化合物とすることができ、式中、各R
4は同じかまたは異なり、C
1−20アルキル基、C
4−20シクロアルキル基、またはC
4−20アリール基であり、ならびにX
−は有機または無機アニオン、例えば水酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ギ酸、炭酸、または重炭酸である。有機四級アンモニウム化合物の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムアセタート、テトラメチルアンモニウムホルメート、テトラブチルアンモニウムアセタート、および前記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドがしばしば使用される。四級ホスホニウム化合物は構造(R
5)
4P
+X
−の化合物とすることができ、各R
5は同じかまたは異なり、C
1−20アルキル基、C
4−20シクロアルキル基、またはC
4−20アリール基であり、ならびにX
−は有機または無機アニオン、例えば水酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ギ酸、炭酸、または重炭酸である。X
−が多価アニオン、例えば炭酸または硫酸である場合、四級アンモニウムおよびホスホニウム構造内の正および負電荷は適正に平衡化されることが理解される。例えば、R
20−R
23がそれぞれ、メチル基であり、X
−が炭酸である場合、X
−は2(CO
3−2)を表すことが理解される。有機四級ホスホニウム化合物の例としては、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラメチルホスホニウムアセタート、テトラメチルホスホニウムホルメート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセタート(TBPA)、テトラフェニルホスホニウムアセタート、テトラフェニルホスホニウムフェノキシド、および前記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。TBPAがしばしば使用される。
【0060】
使用されるαおよびβ触媒の量は、重合反応で使用されるジヒドロキシ化合物の総モル数を基本にすることができる。β触媒、例えば、ホスホニウム塩の、重合反応において使用される全ジヒドロキシ化合物に対する比に言及する場合、ジヒドロキシ化合物1モルあたりのホスホニウム塩のモル数を示すことが好都合であり、反応混合物中に存在する各個々のジヒドロキシ化合物のモルの合計で割ったホスホニウム塩のモル数を意味する。α触媒は、使用されるジヒドロキシ化合物1モルあたり1×10
−2から1×10
−8モル、特定的には、1×10
−4から1×10
−7モルの金属を提供するのに十分な量で使用することができる。β触媒(例えば、有機アンモニウムまたはホスホニウム塩)の量は、反応混合物中のジヒドロキシ化合物の合計1モルあたり1×10
−2から1×10
−5、特定的には1×10
−3から1×10
−4モルとすることができる。
【0061】
分枝ポリカーボネートブロックは、分岐剤を重合中に添加することにより調製することができる。これらの分岐剤は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、および前記官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含む多官能性有機化合物を含む。具体例としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸トリクロリド(trimellitic trichloride)、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられる。分岐剤は、0.05から2.0重量%のレベルで添加することができる。直鎖ポリカーボネート類および分枝ポリカーボネート類を含む混合物を使用することができる。下記分枝構造の量は2,000ppmまたはそれ未満である。
【化5】
【化6】
【化7】
【0062】
ある一定の実施形態では、粗ジヒドロキシ芳香族化合物の色を低減するための方法であって、粗ジヒドロキシ芳香族化合物はチタン系エステル交換触媒を含み、粗ジヒドロキシ芳香族化合物は約2,000を超えるAPHA値を有し(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して比色計により測定した場合)、方法は、粗ジヒドロキシ芳香族化合物を酸と、溶媒の存在下、高温で接触させ、粗ジヒドロキシ芳香族化合物を溶解させる工程、ならびに溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物および酸の組み合わせを冷却し、ジヒドロキシ芳香族化合物を沈殿させる工程を含み、沈殿したジヒドロキシ芳香族化合物は、約800未満のAPHA値を有する(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)。別の実施形態では、粗ジヒドロキシ芳香族化合物の色を低減するための方法であって、粗ジヒドロキシ芳香族化合物はチタン系エステル交換触媒を含み、粗ジヒドロキシ芳香族化合物は約2,000を超えるAPHA値を有し(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して比色計により測定した場合)、方法は粗ジヒドロキシ芳香族化合物を溶媒で溶解させる工程、溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物を塩基と接触させる工程、ならびに溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物および塩基の組み合わせを酸で中和し、ジヒドロキシ芳香族化合物を沈殿させる工程を含み、沈殿したジヒドロキシ芳香族化合物は、約800未満のAPHA値を有する(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)。これらの実施形態のどちらにおいても、任意で:ジヒドロキシ芳香族化合物はビスフェノールAであり、触媒はテトラ(イソプロピル)チタネートであり、酸は塩酸、リン酸、スルホン酸、次亜リン酸、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、溶媒はケトン、アルコール、アミン、炭化水素、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、例えば、溶媒はトルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1,2−エチレングリコール、ジメチルアミン、n−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはそれらの組み合わせである。
【0063】
あるいは、約800より低いAPHA値を有するジヒドロキシ芳香族化合物(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)をポリカーボネート含有組成物から生成させるための方法は、ポリカーボネート含有組成物をアルコールおよびチタン系エステル交換触媒の存在下、70℃から200℃の温度および50mbarから40barの圧力で加熱し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させ、ジヒドロキシ芳香族化合物を、約2,000を超えるAPHA値を有する粗ジヒドロキシ芳香族化合物として回収する工程(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して比色計により測定した場合)、回収された粗ヒドロキシル芳香族化合物を酸と、溶媒の存在下、高温で接触させ、よって約800より低いAPHA値を有する精製ジヒドロキシ芳香族化合物を生成させる工程(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)を含み、あるいは、約800より低いAPHA値を有するジヒドロキシ芳香族化合物(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)をポリカーボネート含有組成物から生成させるための方法は、ポリカーボネート含有組成物を、アルコールおよびチタン系エステル交換触媒の存在下、70℃から200℃の温度および50mbarから40barの圧力で加熱しジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させ、ジヒドロキシ芳香族化合物を、約2,000を超えるAPHA値を有する粗ジヒドロキシ芳香族化合物として回収する工程(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)、回収された粗ジヒドロキシ芳香族化合物を溶媒に溶解する工程、溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物を塩基と接触させる工程、ならびに溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物および塩基の組み合わせを酸で中和し、よって、約800より低いAPHA値を有する精製ジヒドロキシ芳香族化合物を生成させる工程を含む。これらの実施形態のいずれかにおいて、任意で:ジヒドロキシ芳香族化合物はビスフェノールAであり、触媒はテトラ(イソプロピル)チタネートであり、酸は塩酸、リン酸、スルホン酸、次亜リン酸、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、溶媒はケトン、アルコール、アミン、炭化水素、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、例えば、溶媒はトルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1,2−エチレングリコール、ジメチルアミン、n−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはそれらの組み合わせであり、ポリカーボネート含有組成物はリン含有難燃剤を含み、ポリカーボネート含有組成物はアクリロニトリルブタジエンスチレンを含み、あるいはアルコールはメタノールである。
【0064】
別の実施形態では、ポリカーボネート組成物を製造するための方法は、ポリカーボネート含有組成物をアルコールおよびチタン系エステル交換触媒の存在下、70℃から200℃の温度および50mbarから40barの圧力で加熱し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させ、ジヒドロキシ芳香族化合物を、約2,000を超えるAPHA値を有する粗ジヒドロキシ芳香族化合物として回収する工程(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)、回収された粗ヒドロキシル芳香族化合物を酸と、溶媒の存在下、高温で接触させ、約800より低いAPHA値を有する、精製ジヒドロキシ芳香族化合物を提供する工程、ならびに精製ジヒドロキシ芳香族化合物およびカルボニル源を重合させ、ポリカーボネート組成物を提供する工程を含む。あるいは、ポリカーボネート組成物を製造するための方法は、ポリカーボネート含有組成物をアルコールおよびチタン系エステル交換触媒の存在下、70℃から200℃の温度および50mbarから40barの圧力で加熱し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させ、ジヒドロキシ芳香族化合物を、約2,000を超えるAPHA値を有する粗ジヒドロキシ芳香族化合物として回収する工程(例えば、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液対メタノールブランクに対して、比色計により測定される)、回収された粗ヒドロキシル芳香族化合物を溶媒に溶解させる工程、溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物を塩基と接触させる工程、溶解させた粗ジヒドロキシ芳香族化合物および塩基の組み合わせを酸で中和し、約800より低いAPHA値を有する、精製ジヒドロキシ芳香族化合物を提供する工程、ならびに精製ジヒドロキシ芳香族化合物を重合させ、ポリカーボネート組成物を提供する工程を含む。
【0065】
様々な実施形態を下記非限定的な実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0066】
実施例において使用される、または実施例のプロセスにより生成される材料を表1に記載する。
【0067】
【表1】
【0068】
[試験方法]
サンプルの米国公衆衛生協会カラーインデックス(APHA)を、メタノール中の70重量パーセント(重量/体積)溶液に対し、マクベスカラーアイ(Macbeth color eye)7000A機器を使用して測定した。ブランク(メタノール)に対するAPHAシフトを、サンプルのAPHAとして与える。
【0069】
<実施例1>
43gの標準BPAを300mlのメタノールに溶解し、透明溶液を形成させた。0.2gのTi−イソプロポキシド触媒を添加した後、溶液が黄色になった。溶液は、2112のAPHA値を有した(サンプルA)。この黄色溶液の100mlサンプルを取り、50mlの15%NaOH溶液を室温で添加した。溶液の黄色が低減した。溶液を50%HCl溶液で、BPAの沈殿が完了するまで中和した。得られたBPAのAPHAを測定すると、612であった。
【0070】
<実施例2>
43gの標準BPAを300mlのメタノールに溶解し、透明溶液を形成させた。その後、0.2gのTi−イソプロポキシド触媒を溶液に添加した。溶液が黄色になった。この黄色溶液の100mlサンプルを取り、50mlの5%HCl溶液を添加し、30分100℃で加熱した。溶液は無色になり、混合物を室温にした。沈殿が完了するまで水を添加した。沈殿したBPAを濾過した。得られたBPAのAPHA値を測定すると、56であった。酸処理前、BPAサンプル(サンプルA)は、2112のAPHAを有した。
【0071】
<実施例3−14>
ポリカーボネート含有組成物のメタノリシスから得られた粗BPAの色を低減させるために、一連の実験を実施した。米国公衆衛生協会カラーインデックスに基づくサンプルの明度(「APHA値」と呼ばれる)を表2に列挙する。これらの実験は、BPA純度は酸の存在下でのトルエン結晶化により改善することができることを示した。粗BPAのトルエンを用いた再結晶化は、純度を79%から99.7%まで増強させる。トルエン結晶化による色に関する様々な酸の結果を、表2でAPHA値と共に一覧にした。
【0072】
<実施例3>
この実施例はポリカーボネート原料#1のTi−イソプロポキシド触媒を用いたメタノリシスを示す。
【0073】
メタノリシス研究は、ジャケットオイルヒータを有する加熱ジャケットおよび冷却水槽を有する冷却コイルが取り付けられた2リットル(チタン)アマル(Amar)高圧反応器内で実施した。反応器にはまた底部放出弁が取り付けられ、反応質量が取り出された。各実験の開始前に、反応器を数回加圧窒素でフラッシングし、よって、反応器の内側で酸素を含まない雰囲気を確保した。その後、反応器に、100gのポリカーボネート原料#1、600gのメタノールおよび266mg(0.04wt%)のTPTを入れた。反応器を再び、数回加圧窒素でフラッシングした。これにより、系のゼロリーク条件も確保された。かくはん速度をその後、所望の値に調整した。反応器内容物を、13barの自己圧力を用いて反応器ジャケットを通して熱油を循環させることにより150℃まで加熱した。反応器の温度を、冷却コイルを通して冷水を循環させることにより設定温度の±0.5℃以内で制御した。所望の温度に到達した時点で、時間を時間ゼロと記した。系全体をこのようにバッチモードで180分間動作させた。実験の終わりに、反応器内容物を、冷却コイルを通して冷却水を循環させることにより、25℃−30℃まで冷却した。反応器をその後、手動で通気弁を開くことにより減圧して大気圧とし、底部排水弁を用いて反応器内容物を排出させた。
【0074】
反応質量の除去後、アセトン(1L)を反応器に添加し、90℃−100℃まで、2−3時間加熱した。洗浄中、ABSのスチレン−アクリロニトリル部分は、アセトン中で懸濁液を形成し、これはABSをアセトン中に微細ろ過性懸濁液として崩壊させた。懸濁液をその後蒸留し、アセトンを回収した。
【0075】
BPA、メタノール、およびDMCを含む反応混合物を濾過し、不溶性物を分離した。濾液を蒸留して、メタノールおよびDMCを除去した。後に残った固体BPAのAPHA値を測定すると、2662であった。
【0076】
粗BPAをトルエン中で酸を使用せずに再結晶化させた。得られたBPAのAPHA値(サンプルB)は増加し、測定すると、2882であった。
【0077】
<実施例4>
25gの実施例3からの粗BPAを、125mlのトルエンおよび10mlの5%HClで処理し、110℃まで1時間加熱したが、著しい色の低減はなかった。追加の40mlの5%HClを添加し、さらに2時間加熱した。色の低減が観察され、混合物を室温まで冷却させた。冷却時に分離した固体材料を濾過し、トルエンで、続いて水で洗浄した。実施例4に対する結果を表2に示す。
【0078】
<実施例5>
5%HClを、5%リン酸の代わりに使用したことを除き、実施例4を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例4で記載されるものと同一であった。実施例5に対する結果を表2に示す。
【0079】
<実施例6>
5%HClを、5%次亜リン酸の代わりに使用したことを除き、実施例4を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例4で記載されるものと同一であった。実施例6に対する結果を表2に示す。
【0080】
<実施例7>
実施例3で使用した灰色ポリカーボネート(ポリカーボネート原料#1)の代わりに赤色ポリカーボネート(ポリカーボネート原料#2)を使用したことを除き、実施例3を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例3で記載されるものと同一であった。実施例7に対する結果を表2に示す。
【0081】
<実施例8>
実施例3からのサンプルを実施例7からのサンプルにより置き換えたことを除き、実施例4を繰り返した。また、5%HClを、ビスフェノールAに関して1%メタンスルホン酸の代わりに使用した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例4で記載されるものと同一であった。実施例8に対する結果を表2に示す。
【0082】
<実施例9>
ビスフェノールAに関して、1%メタンスルホン酸を1%トルエンスルホン酸の代わりに使用したことを除き、実施例8を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例7で記載されるものと同一であった。実施例9に対する結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
<実施例10−12>
メタノリシスはまた、ポリカーボネート原料#1でジブチルスズオキシド、アルミニウムイソプロポキシド、およびテトラ(イソプロピル)チタネート+リン酸を用いて証明された。結果を表3に示す。これらの実験では、BPAの色はTi−イソプロポキシドを使用した場合と比べて低減した。得られたBPAの収率および純度は全ての場合において同様であった。
【0085】
<実施例10>
触媒はTi−イソプロポキシドの代わりに、266mg(0.04wt%)のTi−イソプロポキシド触媒を65mgのリン酸と共に(Ti−イソプロポキシド:リン酸1:0.6)使用したことを除き、実施例3を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例3で記載されるものと同一であった。実施例10に対する結果を表3に示す。
【0086】
<実施例11>
触媒はTi−イソプロポキシドの代わりにAl−イソプロポキシドを使用したことを除き、実施例3を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例3で記載されるものと同一であった。実施例11に対する結果を表3に示す。
【0087】
<実施例12>
触媒はTi−イソプロポキシドの代わりにジブチルスズオキシドを使用したことを除き、実施例3を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例3で記載されるものと同一であった。実施例12に対する結果を表3に示す。
【0088】
<実施例13>
触媒はTi−イソプロポキシドの代わりにTyzar IAMを使用し、ポリカーボネート原料#1をPCにより置き換えたことを除き、実施例3を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例3で記載されるものと同一であった。実施例13に対する結果を表3に示す。
【0089】
<実施例14>
触媒はTi−イソプロポキシドの代わりに酢酸亜鉛を使用したことを除き、実施例3を繰り返した。プロセスおよび条件はそれ以外では、実施例3で記載されるものと同一であった。実施例14に対する結果を表3に示す。触媒としての酢酸亜鉛はうまく働かなかった。というのも、収率が非常に低かったからである。このサンプルに対するAPHAは測定しなかった。
【0090】
【表3】
【0091】
単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は文脈で明確に別記されない限り複数の指示対象を含む。「または」は、「および/または」を意味する。よって、「難燃剤またはABSを含む組成物」への言及は、例えば、難燃剤、ABS、または両方を含む組成物を意味する。同じ構成成分または特性を対象にする全ての範囲の終点は包含され、独立して組み合わせ可能である。別に規定されない限り、本明細書で使用される技術および科学用語はこの発明が属する分野の当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0092】
本明細書では、「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金、反応生成物、などを含む。化合物は標準命名法を使用して記載される。例えば、いずれの示された基によっても置換されていない任意の位置はその原子価が示された結合、または水素原子により満たされていると理解される。2つの文字または記号間にないダッシュ記号(「−」)は置換基のための付着点を示すために使用される。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を介して付着される。
【0093】
本明細書では、「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は広く、炭素および水素を含み、任意で1から3個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、ハロゲン、ケイ素、硫黄、またはそれらの組み合わせを有する置換基を示し、「アルキル」は、直鎖または分枝鎖、飽和一価炭化水素基を示し、「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖、飽和、二価炭化水素基を示し、「アルキリデン」は、1つの共通の炭素原子上に2つの原子価を有する、直鎖または分枝鎖、飽和、二価炭化水素基を示し、「アルケニル」は、炭素−炭素二重結合により結合された少なくとも2つの炭素を有する、直鎖または分枝鎖一価炭化水素基を示し、「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族一価単環式または多環式炭化水素基を示し、「シクロアルケニル」は、少なくとも3個の炭素原子を有し、少なくとも1の不飽和度を有する、非芳香族環状二価炭化水素基を示し、「アリール」は、1つまたは複数の芳香環中に炭素のみを含む芳香族一価基を示し、「アリーレン」は、1つまたは複数の芳香環中に炭素のみを含む芳香族二価基を示し、「アルキルアリール」は、以上で規定されたアルキル基で置換されたアリール基を示し、4−メチルフェニルは例示的なアルキルアリール基であり、「アリールアルキル」は、以上で規定されたアリール基で置換されたアルキル基を示し、ベンジルは例示的なアリールアルキル基であり、「アルコキシ」は、酸素架橋(−O−)を介して付着される、指示された数の炭素原子を有する以上で規定されたアルキル基を示し、ならびに「アリールオキシ」は、酸素架橋(−O−)を介して付着される、指示された数の炭素原子を有する以上で規定されたアリール基を示す。
【0094】
別記されない限り、前記基の各々は非置換とすることができ、または置換することができ、ただし、置換は化合物の合成、安定性、または使用に著しく悪影響を及ぼさないことを条件とする。「置換された」という用語は本明細書では、指定された原子または基上の少なくとも1つの水素が別の基に置き換えられることを意味し、ただし、指定された原子の正常原子価を超えないことを条件とする。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、そうすると、その原子上の2つの水素が置き換えられている。置換基または変数の組み合わせが許容され、ただし、置換が化合物の合成または使用に著しく悪影響を及ぼさないことを条件とする。「置換された」位置上に存在することができる例示的な基としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、アルカノイル(例えば、C
2−6アルカノイル基、例えばアシル)、カルボキサミド、C
1−6またはC
1−3アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアルキニル(少なくとも1つの不飽和結合および2から8、または2から6個の炭素原子を有する基を含む)、C
1−6またはC
1−3アルコキシ基、C
6−10アリールオキシ、例えばフェノキシ、C
1−6アルキルチオ、C
1−6またはC
1−3アルキルスルフィニル、C
1−6またはC
1−3アルキルスルホニル、アミノジ(C
1−6またはC
1−3)アルキル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、など、各環は置換または非置換芳香族である)を有するC
6−12アリール、1から3つの別々のまたは縮合環および6から18個の環炭素原子を有するC
7−19アルキレンアリール(ベンジルは例示的なアリールアルキル基である)、または1から3つの別々のまたは縮合環および6から18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ(ベンジルオキシは例示的なアリールアルコキシ基である)。
【0095】
本明細書で引用される全ての参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。典型的な実施形態を説明目的のために明記してきたが、前記記載は、本明細書における範囲を制限すると判断すべきではない。したがって、当業者であれば、本明細書における精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変、適応、および代案を思いつくであろう。