特許第5882012号(P5882012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882012
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】事象記録装置および事象記録方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20160225BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   G01D9/00 F
   H02J13/00 301A
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-220000(P2011-220000)
(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公開番号】特開2013-79863(P2013-79863A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】上野 俊也
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−090869(JP,A)
【文献】 特開2006−146513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00 − 42
G01R 11/66
G01R 21/00 − 14
G06F 17/40
G06Q 50/06
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の電気的特性値を測定する測定部と、
当該測定部によって前記電気的特性値が測定される都度、当該測定された当該電気的特性値を予め規定されたしきい値と比較することによって前記入力信号に関する予め規定された事象の発生開始および発生停止を検出して、当該発生開始および当該発生停止のうちの当該検出した一方の発生状態を記録部に記録する発生状態記録処理を実行する処理部と
現在の日時を示す日時情報を出力する時計部と、
日時に関する記録条件に対応させられて前記しきい値が複数記憶される記憶部とを備え、
前記処理部は、前記測定部によって前記電気的特性値が測定される都度、
前記時計部から前記日時情報を取得する時刻取得処理と、前記複数の記録条件のうちの前記時刻取得処理で取得した前記日時情報で示される日時に関する前記記録条件を有効記録条件として特定する記録条件特定処理とを実行すると共に、前記発生状態記録処理において、当該記録条件特定処理で特定した前記有効記録条件に対応する前記しきい値を用いて前記事象の発生開始および発生停止を検出する事象記録装置であって、
前記処理部は、新たな前記記録条件の特定に応じた前記しきい値の変更の直前および直後における前記発生状態記録処理において検出した前記一方の発生状態が相違するときに、当該直後における発生状態記録処理において検出した当該一方の発生状態を前記新たな記録条件を特定したことと共に前記記録部に記録する事象記録装置。
【請求項2】
入力信号の電気的特性値を測定すると共に、当該電気的特性値の測定の都度、当該測定した当該電気的特性値を予め規定されたしきい値と比較することによって前記入力信号に関する予め規定された事象の発生開始および発生停止を検出して、当該発生開始および当該発生停止のうちの当該検出した一方の発生状態を記録する発生状態記録処理を実行し、
前記電気的特性値の測定の都度、
時計部から現在の日時を示す日時情報を取得する時刻取得処理と、日時に関する記録条件に対応させられて前記しきい値が複数記憶されている記憶部を参照して当該複数の記録条件のうちの当該取得した日時情報で示される日時に関する前記記録条件を有効記録条件として特定する記録条件特定処理とを実行すると共に、前記発生状態記録処理において、前記記録条件特定処理で特定した前記有効記録条件に対応する前記しきい値を用いて前記事象の発生開始および発生停止を検出する事象記録方法であって、
新たな前記記録条件の特定に応じた前記しきい値の変更の直前および直後における前記発生状態記録処理において検出した前記一方の発生状態が相違するときに、当該直後における発生状態記録処理において検出した当該一方の発生状態を前記新たな記録条件を特定したことと共に記録する事象記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号の電気的特性値と予め規定されたしきい値とを比較することにより、入力信号に関する予め規定された事象の発生の有無を検出して記憶する事象記録装置および事象記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の事象記録装置と同種の機能を有するものとして、下記特許文献に開示されている自己診断機能付配電システムが知られている。この自己診断機能付配電システムは、電圧成分検出部、電流成分検出部、診断部、記録部および送信部を含む複合センサを備えている。
【0003】
この場合、複合センサは、電流成分や電圧成分等の複数の成分を検出し、かつその異常値の判定、記録、さらにそれらを中央監視装置へ送信する。具体的には、電圧成分検出部は、電圧トランス(PT)を介して配電ラインの各相電圧を検出し、高圧ノイズや欠相、高調波ノイズ、過電圧等の判定成分を取り込む。電流成分検出部は、電流トランス(CT)を介して配電ラインの各相電流を検出し、短絡電流や過電流、地絡電流、相不平衡電流等の判定成分を取り込む。診断部は、電圧成分検出部、電流成分検出部の各出力の診断を行うものであり、各出力が例えば異常状態や異常となる以前の初期兆候を示すある一定の設定値を超えたか、または設定値より小さいかの診断を行い、その結果を記録部、送信部に出力する。記録部は、診断部による診断結果を蓄積記録する。送信部は、診断部による診断結果や記録部に蓄積記録した情報を高周波信号により高周波トランスを通して配電ラインから中央監視装置に送信する。
【0004】
この自己診断機能付配電システムによれば、複合センサを用いて配線系統の状態を検出するための複数の要素を検出して状態の診断を行い、検出診断情報を記録し、検出診断情報を配電線に重畳して送信するので、管理者の単純な計測記録、分析、評価をなくすことができ、中央では一定レベルの配線系統の管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−339225号公報(第2−3頁、第1,3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した従来の自己診断機能付配電システムには、解決すべき以下の課題が存在している。すなわち、上記の自己診断機能付配電システムでは、診断部は、電圧成分検出部や電流成分検出部の各出力の診断を、これらの各出力が一定の設定値を超えたか等に基づいて行っている。しかしながら、電圧成分検出部によって検出される配電ラインの各相電圧(電圧成分検出部に対する入力信号)や、電流成分検出部によって検出される配電ラインの各相電流(電流成分検出部に対する入力信号)は、時間帯や曜日などの時間的要因によって変化するものである。このため、一定の設定値に基づいて診断を行うこの自己診断機能付配電システムには、例えば、平日の昼間の時間帯のように、検出される電流成分が多いのが正常であるにも拘わらず、一定の設定値を超えることにより、異常であると誤診断される事態や、逆に、夜間や休日のように、検出される電流成分が少ないのが正常であるにも拘わらず、一定の設定値を下回ることにより、異常であると誤診断される事態が生じるおそれがあるという解決すべき課題が存在している。
【0007】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、時間的要因によって電気的特性が変化する入力信号に発生する事象を正確に検出して記憶し得る事象記録装置、および事象記録方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の事象記録装置は、入力信号の電気的特性値を測定する測定部と、当該測定部によって前記電気的特性値が測定される都度、当該測定された当該電気的特性値を予め規定されたしきい値と比較することによって前記入力信号に関する予め規定された事象の発生開始および発生停止を検出して、当該発生開始および当該発生停止のうちの当該検出した一方の発生状態を記録部に記録する発生状態記録処理を実行する処理部と現在の日時を示す日時情報を出力する時計部と、日時に関する記録条件に対応させられて前記しきい値が複数記憶される記憶部とを備え、前記処理部は、前記測定部によって前記電気的特性値が測定される都度、前記時計部から前記日時情報を取得する時刻取得処理と、前記複数の記録条件のうちの前記時刻取得処理で取得した前記日時情報で示される日時に関する前記記録条件を有効記録条件として特定する記録条件特定処理とを実行すると共に、前記発生状態記録処理において、当該記録条件特定処理で特定した前記有効記録条件に対応する前記しきい値を用いて前記事象の発生開始および発生停止を検出する事象記録装置であって、前記処理部は、新たな前記記録条件の特定に応じた前記しきい値の変更の直前および直後における前記発生状態記録処理において検出した前記一方の発生状態が相違するときに、当該直後における発生状態記録処理において検出した当該一方の発生状態を前記新たな記録条件を特定したことと共に前記記録部に記録する
【0010】
また、請求項記載の事象記録方法は、入力信号の電気的特性値を測定すると共に、当該電気的特性値の測定の都度、当該測定した当該電気的特性値を予め規定されたしきい値と比較することによって前記入力信号に関する予め規定された事象の発生開始および発生停止を検出して、当該発生開始および当該発生停止のうちの当該検出した一方の発生状態を記録する発生状態記録処理を実行し、前記電気的特性値の測定の都度、時計部から現在の日時を示す日時情報を取得する時刻取得処理と、日時に関する記録条件に対応させられて前記しきい値が複数記憶されている記憶部を参照して当該複数の記録条件のうちの当該取得した日時情報で示される日時に関する前記記録条件を有効記録条件として特定する記録条件特定処理とを実行すると共に、前記発生状態記録処理において、前記記録条件特定処理で特定した前記有効記録条件に対応する前記しきい値を用いて前記事象の発生開始および発生停止を検出する事象記録方法であって、新たな前記記録条件の特定に応じた前記しきい値の変更の直前および直後における前記発生状態記録処理において検出した前記一方の発生状態が相違するときに、当該直後における発生状態記録処理において検出した当該一方の発生状態を前記新たな記録条件を特定したことと共に記録する
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の事象記録装置および請求項記載の事象記録方法によれば、処理部が、電気的特性値が測定される都度、記憶部に記憶されている複数の記録条件のうちの現在の日時に関する記録条件を有効記録条件として発生状態記録処理を実行するため、時間的要因によって電気的特性が変化する入力信号に発生する事象の発生開始および発生停止をきめ細やかに、しかも正確に検出して記録部に記録することができる。
【0012】
また、の事象記録装置では、処理部が、新たな記録条件の特定に応じたしきい値の変更の直前および直後における発生状態記録処理において検出した一方の発生状態が相違するときに、直後における発生状態記録処理において検出した一方の発生状態を新たな記録条件を特定したことと共に記録部に記録する。したがって、この事象記録装置によれば、新たな記録条件を特定したことが併せて記録されているときに、この事象の発生開始または発生停止が、新たな記録条件の特定、つまり、しきい値の変更に起因して発生した可能性のあることを認識することができるため、電気的特性値が変化したことにのみ起因して発生した事象の発生開始や発生停止とは異なるものであると判別することができる(つまり、事象の発生開始や発生停止の要因をより正確に判別することができる)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】事象記録装置1の構成を示す構成図である。
図2】日時情報に関する記録条件と、各記録条件に対応するしきい値とが記憶された条件データテーブルTB1の説明図である。
図3】事象記録装置1の動作(事象記録処理)を説明するためのフローチャートである。
図4】事象記録装置1の動作(事象記録処理)を説明するための有効電力Wの波形図である。
図5】記憶部6に記録される事象の発生状態を示す発生データテーブルTB2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、事象記録装置1および事象記録方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、事象記録装置1の構成について説明する。なお、以下では、事象記録装置1が入力信号の一例としての交流信号に関する事象の発生状態を記録する例を挙げて説明する。
【0016】
図1に示す事象記録装置1は、電圧検出部2、電流検出部3、時計部4、操作部5、記憶部6、出力部7および処理部8を備え、一例として一対の電線9,9を介して不図示の負荷に供給される交流信号(一例として、商用電源として供給されている交流電圧)S1に関する予め規定された事象の発生開始および発生停止を検出して、この検出した一方の発生状態(発生開始または発生停止)を記録する。
【0017】
本例では一例として、事象記録装置1は、交流信号S1の有効電力W(電気的特性値の一例)が予め規定されたしきい値Wth以上となる事象を「予め規定された事象」として、その発生開始および発生停止を検出して、検出した一方の発生状態が事象の発生開始であるときには、事象の発生開始を示す情報(本例では一例として、この情報を「発生開始」の文字で表記するものとする)を、また検出した一方の発生状態が事象の発生停止であるときには、事象の発生停止を示す情報(本例では一例として、この情報を「発生停止」の文字で表記するものとする)を、検出した日時を示す日時情報(日時データDt)と共に記憶部6に記録することで、事象の発生状態を記録する。なお、以下では、上記した事象の発生開始を示す情報および発生停止を示す情報を合わせて事象の発生情報(発生データDoc)ともいう。
【0018】
電圧検出部2は、一対の電圧プローブ2a,2aを介して各電線9,9に接続されて、電線9,9間に発生する交流信号S1を入力すると共に、交流信号S1の電圧V1を検出する。また、電圧検出部2は、事象記録装置1の基準クロックSckに同期して作動するA/D変換器(不図示)を備え、検出した電圧V1をA/D変換器でサンプリングすることにより、電圧V1の振幅(電圧値)を示す電圧データDvに変換して出力する。
【0019】
電流検出部3は、1つの電流プローブ3aを介して一対の電線9,9のうちの一方の電線9に接続されて、各電線9,9に流れる交流電流I1を検出すると共に、電圧に変換する。また、電流検出部3は、基準クロックSckに同期して作動するA/D変換器(不図示)を備え、電圧に変換された交流電流I1をサンプリングすることにより、交流電流I1の振幅(電流値)を示す電流データDiに変換して出力する。
【0020】
時計部4は、一例としてリアルタイムクロックIC(例えば、基準クロックSckまたはその分周クロックに同期して作動するIC)を備えて構成されて、例えば、現在の日時(本例では、日付および時分秒(秒については、一例として1/10秒まで))を示す日時データ(日時情報)Dtを生成して処理部8に出力する。
【0021】
操作部5は、一例として、記憶部6に記憶させる新たなしきい値Wthおよび記録条件などの設定操作や、記憶部6に記憶されているしきい値Wthおよび記録条件などに対する編集操作や、記憶部6に記録されている後述の発生データテーブルTB2(事象の発生データDocが記録されているデータテーブル)の内容を表示させる表示操作を行うための各種の操作キー(不図示)を備えて構成されている。また、操作部5は、操作キーが操作されたときには、しきい値Wthおよび記録条件の設定内容や、しきい値Wthおよび記録条件に対する編集内容や、表示指示を示す操作データDopを出力する。
【0022】
記憶部6は、記憶部および記録部の一例であって、例えば、RAMなどの半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive )で構成されて、図2に示す条件データテーブルTB1(記録条件およびそれに対応する有効電力Wのしきい値Wth)を記憶すると共に、図5に示す発生データテーブルTB2(事象の発生データDoc(発生停止または発生開始)とその日時データDt(発生日時))が記録される。本例では、記録条件は、一例として、図2に示すように、No(優先順位を示す番号)、日付、継続日数、開始時刻、終了時刻および設定名で構成されて、日時情報に関する条件(本例では、互いに異なる日時に関する条件)として規定されている。なお、本例では、各記録条件の概要を示す設定名を記録条件の一部として条件データテーブルTB1に記憶させる構成を採用しているが、設定名を省略する構成を記録条件として採用することもできる。なお、記憶部および記録部を別体に構成して、記憶部に条件データテーブルTB1を記憶させて、記録部に発生データテーブルTB2を記録することができる。また、記録部を事象記録装置1の外部に設けて、インターフェース部を介して記録部に発生データテーブルTB2を記録することもできる。
【0023】
出力部7は、一例として、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成されて、処理部8から指定されたデータを画面上に表示させる。例えば、処理部8が操作部5から出力される操作データDopに基づいてしきい値Wthおよび記録条件の設定や編集を実行しているときには、出力部7は、処理部8によって設定や編集が行われている条件データテーブルTB1の内容を画面に表示させる。また、出力部7は、処理部8が操作部5から出力される操作データDopに応じて事象の発生データDocについての表示処理を実行しているときには、処理部8によって記憶部6から読み出された発生データテーブルTB2の内容を画面に表示させる。
【0024】
処理部8は、例えば、CPUおよび内部メモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、しきい値Wthや記録条件についての記憶処理および編集処理、事象記録処理50(図3参照)、並びに表示処理を実行する。また、処理部8は、電圧検出部2および電流検出部3と共に測定部を構成して、電圧データDvおよび電流データDiに基づいて交流信号S1の有効電力Wを測定(算出)する。
【0025】
次に、事象記録装置1の動作と共に、事象記録方法について説明する。一例として、会社において使用する交流信号S1の有効電力Wに発生する事象を記録する例について説明する。
【0026】
最初に、事象記録装置1では、オペレータが操作部5を操作することにより、操作部5から処理部8に対して、しきい値Wthおよび記録条件に対する設定内容や編集内容を示す操作データDopが出力される。この際に、処理部8は、入力した操作データDopに基づいて、しきい値Wthや記録条件についての記憶処理および編集処理を実行して、図2に示す条件データテーブルTB1を記憶部6に記憶させる。
【0027】
本例では、一例として、この条件データテーブルTB1には、No.1(優先順位が1番)の記録条件として、2011年X月Y日(祝日)から継続日数分だけ(この例では、継続日数が1日であるため、2011年X月Y日だけ)、開始時刻として「終日」との情報が記憶されることで、午前0時から午後の24時に亘って(つまり、一日に亘って。この場合、終了時刻の設定は不要であるため、未設定)記録するという記録条件(設定名「祝日」)が、対応するしきい値Wth(5[kW])と共に記憶されている。一般的に、祝日に会社に出社する社員の数は極めて少なく、これに伴い正常な状態では消費電力(すなわち、有効電力)も極めて少ない。このため、これに対応させて、例えば何らかの原因により、消費電力の少ない正常な状態から正常の範囲を超えて有効電力Wが増加する事象の発生を確実に区別して検出し得るように、有効電力Wのしきい値Wthについても、最も低い数値に設定されている。
【0028】
また、No.2(優先順位が2番)の記録条件として、毎週の土日から継続日数分(本例では1日分)だけ、つまり、毎週、土曜日と日曜日に、開始時刻として「終日」との情報が記憶されることで、午前0時から午後の24時に亘って(つまり、土曜日と日曜日のそれぞれにおいて一日に亘って)記録するという記録条件(設定名「週末」)が、対応するしきい値Wth(7[kW])と共に記憶されている。一般的に、土日は会社が休みの日であることから、会社に出社する社員の数は平日と比較して少ないが、祝日よりは多いと考えられ、これに伴い正常な状態での消費電力も平日よりは少なく、祝日よりも多い。このため、これに対応させて有効電力Wのしきい値Wthについても、平日の数値と祝日の数値の中間の数値に設定されている。
【0029】
また、No.3(優先順位が3番)の記録条件として、毎日(この場合、継続日数の設定は不要であるため、未設定)、開始時刻を8時30分とし、終了時刻を17時15分として記録するという記録条件(設定名「業務時間中」)が、対応するしきい値Wth(10[kW])と共に記憶されている。本例の場合には、より優先順位の高い記録条件として、上記した祝休日での記録条件が設定されているため、このNo.3の記録条件が適用されるときは、設定名の通り、平日(月曜日から金曜日)の業務時間中である。このため、正常な状態での消費電力は最も多くなることから、これに対応させて有効電力Wのしきい値Wthについても、最も高い数値に規定されている。
【0030】
また、最も優先順位の低いデフォルトの記録条件として、記録条件(設定名「通常」)が、対応するしきい値Wth(8[kW])と共に記憶されている。このデフォルトの記録条件は、オペレータが設定したいずれの条件にも当てはまらないときに適用される基本の記録条件である。本例の場合には、この記録条件が適用されるのは、祝休日(終日)と平日の業務時間中とを除く他の時間、すなわち、平日の業務時間以外の時間帯である。この時間帯には、残業時間も含まれるため、上記したNo.3の記録条件(設定名「業務時間中」)に対応するしきい値Wthよりも若干低い数値に規定されている。
【0031】
このようにして条件データテーブルTB1が記憶部6に記憶されている状態において、事象記録装置1では、電圧検出部2が、各電線9,9間に発生する交流信号S1を電圧プローブ2a,2aを介して入力すると共に交流信号S1の電圧V1を検出して、基準クロックSckに同期して(例えば、1msの周期で)電圧データDvを出力する。また、電流検出部3が、各電線9,9に流れる交流電流I1を電流プローブ3aを介して検出して、基準クロックSckに同期して電流データDiを出力する。
【0032】
処理部8は、この状態において、図3に示す事象記録処理50を実行する。この事象記録処理50では、処理部8は、まず、特性値測定処理を実行する(ステップ51)。この特性値測定処理において、処理部8は、電圧検出部2から出力される電圧データDvおよび電流検出部3から出力される電流データDiを基準クロックSckに同期してそれぞれ取得して、取得した電圧データDvおよび電流データDiに基づいて、交流信号S1の有効電力W(負荷に供給される有効電力)を測定する。
【0033】
具体的には、一例として、処理部8は、交流信号S1についての少なくとも一波長分の電圧データDvおよび電流データDiを取得する度に(予め規定された記録周期(例えば、200ms)毎に)、取得した電圧データDvおよび電流データDiに基づいて交流信号S1についての電気的特性値としての有効電力Wを算出(測定)して、内部メモリに記録する。これにより、特性値測定処理が完了する。
【0034】
次いで、処理部8は、時刻取得処理を実行する(ステップ52)。この時刻取得処理では、処理部8は、特性値測定処理の終了直後に、時計部4から日時データDtを取得して、特性値測定処理において測定した有効電力Wの測定日時を示す日時データDtとして、この有効電力Wに対応させて内部メモリに記録する。これにより、時刻取得処理が完了する。
【0035】
続いて、処理部8は、記録条件特定処理を実行する(ステップ53)。この記録条件特定処理では、処理部8は、内部メモリに記録されている有効電力Wに対応する日時データDtに関する(該当する)記録条件を、記憶部6に記憶されている条件データテーブルTB1を参照して、有効記録条件として特定する。つまり、処理部8は、特性値測定処理の完了の都度(測定部によって電気的特性値が測定される都度)、記録条件特定処理を実行する。
【0036】
例えば、図4に示すように、測定を開始した1日目が2011年X月Y日(祝日)であり、3日目が土曜日で、4日目が日曜日となる6日間に亘り、同図に示すように推移する有効電力Wを測定した場合には、1日目は、2011年X月Y日に該当する。このため、処理部8は、終日に亘り、No.1の記録条件を有効記録条件として特定する。
【0037】
また、2日目は、2011年X月Y日でもなく、かつ土日にも該当しない。このため、処理部8は、開始時刻の8時30分から終了時刻の17時15分までの間については、No.3の記録条件を有効記録条件として特定する。一方、2日目の0時から開始時刻(8時30分)に達するまでの時間帯、および2日目の終了時刻(17時15分)から夜の24時に達するまでの時間帯は、No.3の記録条件には該当しない。このため、処理部8は、この時間帯については、No.1〜No.3のいずれの記録条件をも満たさないため、デフォルトの記録条件を有効記録条件として特定する。
【0038】
また、3日目および4日目は、土日に該当する。このため、処理部8は、両日共に、終日に亘り、No.2の記録条件を有効記録条件として特定する。また、5日目および6日目は、処理部8は、2日目と同様にして、開始時刻の8時30分から終了時刻の17時15分までの間については、No.3の記録条件を有効記録条件として特定し、他の時間帯については、デフォルトの記録条件を有効記録条件として特定する。
【0039】
次いで、処理部8は、事象の発生状態を示す発生データDoc(発生情報)を記録する発生状態記録処理を実行する。この発生状態記録処理では、処理部8は、特定した有効記録条件に対応付けられているしきい値Wthを用いて、測定した電気的特性値としての有効電力Wと、そのしきい値Wthとを比較することにより、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生開始および発生停止を検出し、事象の発生開始および発生停止のいずれかを検出したときには、検出した一方の発生状態を示す発生データDoc(「発生開始」の文字または「発生停止」の文字)を、ステップ52で取得した日時データDtと共に記憶部6に記録する。
【0040】
具体的には、処理部8は、まず、測定した電気的特性値としての有効電力Wと、特定した有効記録条件に対応付けられているしきい値Wthとを比較して、この有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生の有無を検出(判別)する(ステップ54)。
【0041】
このステップ54において、事象の発生が有ること(事象が発生していること)を検出したときには、処理部8は、記憶部6に記録されている発生データテーブルTB2を参照して、直前に記録された事象の発生状態を示す発生データDoc(発生データテーブルTB2に記録されているなかで最新の発生データDoc)が「発生停止」であるか否かを検出する(ステップ55)。
【0042】
このステップ55での検出の結果、直前に記録された事象の発生状態が「発生停止」であることを検出したときには、処理部8は、ステップ54において検出した事象の発生が、事象の発生開始および発生停止のうちの事象の発生開始を示すものであると検出(特定)して、この検出した一方の発生状態(事象の発生開始)を示す発生データDoc(「発生開始」)を発生データテーブルTB2に、取得した日時データDtと共に最新の発生データDocとして記録する(ステップ56)。
【0043】
また、この発生データテーブルTB2への発生データDoc(「発生開始」)の記録に際して、処理部8は、ステップ53での記録条件特定処理において、有効記録条件として新たな記録条件を特定しているとき(有効記録条件として特定する記録条件を変更しているとき)には、すなわち、ステップ53での記録条件特定処理の実行によって新たな記録条件を特定した時点を基準としてその直前の発生状態記録処理において検出した一方の発生状態(ステップ56において記録された発生データDocの直前に記録された発生データDocで示される事象の発生状態)と、その直後の発生状態記録処理(現在実行中の発生状態記録処理)において検出した一方の発生状態(ステップ56において記録された発生データDocで示される事象の発生状態)とが相違するときには、有効電力Wそのものの変化に起因して有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象が発生したのではなく、新たな記録条件の特定(記録条件の変更)に伴うしきい値Wthの変更に起因して、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象が発生した可能性もある。
【0044】
このため、この場合(新たな記録条件を特定した時点(つまり、新たな記録条件の特定に応じてしきい値が変更となった時点)の直前および直後における発生状態記録処理で検出された一方の発生状態が相違する場合)には、処理部8は、事象の発生開始を示す発生データDoc(「発生開始」)と共に、新たな記録条件を特定したこと(記録条件を変更したこと)を示す情報(本例では一例として、この情報を「新規記録条件」の文字で表記するものとする)を発生データDocの一部として発生データテーブルTB2に記録する。また、この事象記録処理50を最初に実行したときには、発生データテーブルTB2には、直前に記録された事象の発生状態を示す発生データDocが何ら記録されていない。この場合には、ステップ56に移行して、ステップ54において検出された事象の発生状況を示す発生データDoc(「発生開始」)を、取得した日時データDtと共に発生データテーブルTB2に記録して、ステップ51に移行する。
【0045】
一方、ステップ55での検出の結果、直前に記録された事象の発生状態が「発生開始」であることを検出したときには、処理部8は、ステップ54において検出した事象の発生状態が、事象の発生開始を示すものではなく、事象が継続して発生している状態にあると特定(検出)して、記憶部6に記録されている発生データテーブルTB2への発生データDocの記録を行うことなく、発生状態記録処理を完了させて、ステップ51に移行する。
【0046】
また、上記のステップ54において、事象の発生が無いこと(事象が発生していないこと)を検出したときには、処理部8は、記憶部6に記録されている発生データテーブルTB2を参照して、直前に記録された事象の発生状態を示す発生データDoc(発生データテーブルTB2に記録されているなかで最新の発生データDoc)が「発生開始」であるか否かを検出する(ステップ57)。
【0047】
このステップ57での検出の結果、直前に記録された事象の発生状態が「発生開始」であることを検出したときには、処理部8は、ステップ54において検出した事象の発生が、事象の発生開始および発生停止のうちの事象の発生停止を示すものであると検出(特定)して、この検出した一方の発生状態(事象の発生停止)を示す発生データDoc(「発生停止」)を発生データテーブルTB2に、取得した日時データDtと共に最新の発生データDocとして記録する(ステップ58)。
【0048】
また、この発生データテーブルTB2への発生データDoc(「発生停止」)の記録に際して、処理部8は、ステップ53での記録条件特定処理において、有効記録条件として新たな記録条件を特定しているとき(有効記録条件として特定する記録条件を変更しているとき)には、すなわち、ステップ53での記録条件特定処理の実行によって新たな記録条件を特定した時点を基準としてその直前の発生状態記録処理において検出した一方の発生状態(ステップ58において記録された発生データDocの直前に記録された発生データDocで示される事象の発生状態)と、その直後の発生状態記録処理(現在実行中の発生状態記録処理)において検出した一方の発生状態(ステップ58において記録された発生データDocで示される事象の発生状態)とが相違するときには、有効電力Wそのものの変化に起因して有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生が停止した(つまり、有効電力Wがしきい値Wthを下回る事象が発生した)のではなく、新たな記録条件の特定(記録条件の変更)に伴うしきい値Wthの変更に起因して、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生が停止した可能性もある。
【0049】
このため、この場合(新たな記録条件を特定した時点(つまり、新たな記録条件の特定に応じてしきい値が変更となった時点)の直前および直後における発生状態記録処理で検出された一方の発生状態が相違する場合)には、処理部8は、事象の発生停止を示す発生データDoc(「発生停止」)と共に、新たな記録条件を特定したこと(記録条件を変更したこと)を示す情報(「新規記録条件」)を発生データDocの一部として発生データテーブルTB2に記録する。また、この事象記録処理50を最初に実行したときには、発生データテーブルTB2には、直前に記録された事象の発生状態を示す情報が何ら記録されていない。この場合には、ステップ58に移行して、ステップ54において検出された事象の発生状況を示す発生データDoc(「発生停止」)を、取得した日時データDtと共に発生データテーブルTB2に記録して、ステップ51に移行する。
【0050】
一方、ステップ57での検出の結果、直前に記録された事象の発生状態が「発生停止」であることを検出したときには、処理部8は、ステップ54において検出した事象の停止が、事象の発生停止を示すものではなく、事象が継続して停止している状態にあると特定(検出)して、記憶部6に記録されている発生データテーブルTB2への発生データDocの記録を行うことなく、発生状態記録処理を完了させて、ステップ51に移行する。
【0051】
以下、図4に示す具体例を挙げて、事象記録処理50について説明する。なお、一例として、処理部8は、1日目の0時丁度(時刻t1)から、事象記録処理50の実行を開始するものとする。
【0052】
処理部8は、特性値測定処理を実行して(ステップ51)、時刻t1での有効電力Wを測定して、内部メモリに記録する。次いで、時刻取得処理を実行して(ステップ52)、時計部4から時刻t1を示す日時データDtを取得して、有効電力Wに対応させて内部メモリに記録する。
【0053】
続いて、処理部8は、記録条件特定処理を実行して(ステップ53)、内部メモリに記録されている有効電力Wに対応する日時データDtに合致する記録条件を、記憶部6に記憶されている条件データテーブルTB1を参照して、有効記録条件として特定する。この場合、上記したように、処理部8は、No.1の記録条件を1日目の有効記録条件として特定する。
【0054】
次いで、処理部8は、事象の発生状態を示す発生データDocを記録する発生状態記録処理の実行を開始し、まず、測定した有効電力Wと、有効記録条件(No.1の記録条件)に対応付けられているしきい値Wthとを比較することにより、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生の有無を検出する(ステップ54)。この場合、図4に示すように、時刻t1では、測定された有効電力Wは、しきい値Wth(5[kW])を下回っている。このため、処理部8は、事象の発生が停止していることを検出する。
【0055】
続いて、処理部8は、ステップ57において、記憶部6に記録されている発生データテーブルTB2を参照して、直前に記録された事象の発生状態を示す発生データDocが「発生開始」であるか否かを検出するが、この時点では発生データテーブルTB2には、発生データDocが何ら記録されていない。このため、処理部8は、ステップ58に移行して、ステップ54において検出された事象の発生状態を示す発生データDoc(「発生停止」)を、図5に示すように、取得した日時データDtと共に発生データテーブルTB2に記録させて、ステップ51に移行する。
【0056】
その後、処理部8は、ステップ51において、有効電力Wを記録周期(例えば、200ms)で測定(算出)する度、ステップ52〜58を実行して、事象の発生開始および発生停止を検出したときには、その旨(一方の発生状態として事象の発生開始または事象の発生停止)を示す発生データDocを日時データDtと合わせて発生データテーブルTB2に順次記録する。
【0057】
これにより、時刻t2のときには、交流信号S1の有効電力Wがしきい値Wth(5[kW])以上となる(事象が発生する)ため、処理部8は、ステップ54からステップ55に移行し、さらにステップ56を実行することにより、図5に示すように、日時データDt(時刻t2)と共に事象の発生開始を示す発生データDoc(「発生開始」)を発生データテーブルTB2に記録する。また、時刻t3のときには、交流信号S1の有効電力Wがしきい値Wth(5[kW])を下回る(事象の発生が停止する)ため、処理部8は、ステップ54からステップ57に移行し、さらにステップ58を実行することにより、同図に示すように、日時データDt(時刻t3)と共に事象の発生停止を示す発生データDoc(「発生停止」)を発生データテーブルTB2に記録する。これにより、1日目の事象記録処理50が完了する。
【0058】
2日目は、上記したように、2011年X月Y日でもなく、かつ土日にも該当しない。このため、処理部8は、開始時刻の8時30分から終了時刻の17時15分までの間については、No.3の記録条件を有効記録条件として特定し、0時から開始時刻(8時30分)に達するまでの時間帯、および終了時刻(17時15分)から夜の24時に達するまでの時間帯は、デフォルトの記録条件を有効記録条件として特定して、事象記録処理50を実行する。したがって、業務時間内に有効電力Wが増加するものの、増加の度合いが正常な状態の範囲内であることから、有効電力Wがしきい値Wth(10[kW]や8[kW])以上となる事象が発生しないため、発生データテーブルTB2への発生データDocの記録は行わない。これにより、2日目の事象記録処理50が完了する。
【0059】
3日目および4日目は、上記したように土日に該当する。このため、処理部8は、両日共に、終日に亘り、No.2の記録条件を有効記録条件として特定して、事象記録処理50を実行する。この場合、3日目の時刻t4のときに、交流信号S1の有効電力Wがしきい値Wth(7[kW])以上となる(事象が発生する)ため、処理部8は、ステップ54からステップ55に移行し、さらにステップ56を実行することにより、図5に示すように、日時データDt(時刻t4)と共に事象の発生開始を示す発生データDoc(「発生開始」)を発生データテーブルTB2に記録する。また、時刻t5のときに、交流信号S1の有効電力Wがしきい値Wth(7[kW])を下回る(事象の発生が停止する)ため、処理部8は、ステップ54からステップ57に移行し、さらにステップ58を実行することにより、同図に示すように、日時データDt(時刻t5)と共に事象の発生停止を示す発生データDoc(「発生停止」)を発生データテーブルTB2に記録する。一方、4日目は、有効電力Wがしきい値Wth(7[kW])以上となる事象が発生しない。このため、処理部8は、発生データテーブルTB2への発生データDocの記録は行わない。これにより、3日目および4日目の事象記録処理50が完了する。
【0060】
5日目は、上記したように、2011年X月Y日でもなく、かつ土日にも該当しない。このため、処理部8は、開始時刻の8時30分から終了時刻の17時15分までの間については、No.3の記録条件を有効記録条件として特定し、0時から開始時刻(8時30分)に達するまでの時間帯、および終了時刻(17時15分)から夜の24時に達するまでの時間帯は、デフォルトの記録条件を有効記録条件として特定して、事象記録処理50を実行する。この場合、デフォルトの記録条件を有効記録条件として特定している時刻t6のときに、交流信号S1の有効電力Wがしきい値Wth(8[kW])以上となる(事象が発生する)ため、処理部8は、ステップ54からステップ55に移行し、さらにステップ56を実行することにより、図5に示すように、日時データDt(時刻t6)と共に事象の発生開始を示す発生データDoc(「発生開始」)を発生データテーブルTB2に記録する。
【0061】
また、有効電力Wに変化はないものの、処理部8は、開始時刻である時刻t7において、有効記録条件を新たな記録条件(No.3の記録条件)に特定する(デフォルトの記録条件からNo.3の記録条件に変更する)。この新たな記録条件の特定(記録条件の変更)に伴い、しきい値Wthが8[kW]から10[kW]に上がるため、有効電力Wがしきい値Wth(10[kW])を下回って、事象の発生が停止する。したがって、処理部8は、ステップ54からステップ57に移行し、さらにステップ58を実行することにより、図5に示すように、日時データDt(時刻t7)と共に事象の発生停止を示す発生データDoc(「発生停止」)を発生データテーブルTB2に記録する。また、処理部8は、新たな記録条件の特定(記録条件の変更)に起因して、事象の発生が停止したため、同図に示すように、新たな記録条件の特定によって事象の発生が停止した可能性を示す情報(「新規記録条件」)も発生データDocの一部として発生データテーブルTB2に記録する。
【0062】
また、有効電力Wに変化はないものの、処理部8は、終了時刻である時刻t8において、有効記録条件を新たな記録条件(デフォルトの記録条件)に特定する(No.3の記録条件からデフォルトの記録条件に変更する)。この新たな記録条件の特定(記録条件の変更)に伴い、しきい値Wthが10[kW]から8[kW]に下がるため、有効電力Wがしきい値Wth(8[kW])以上となって、事象の発生が開始する。したがって、処理部8は、ステップ54からステップ55に移行し、さらにステップ56を実行することにより、図5に示すように、日時データDt(時刻t8)と共に事象の発生開始を示す発生データDoc(「発生開始」)を発生データテーブルTB2に記録する。また、処理部8は、新たな記録条件の特定(記録条件の変更)に起因して、事象の発生が開始したため、同図に示すように、新たな記録条件の特定によって事象の発生が停止した可能性を示す情報(「新規記録条件」)も発生データDocの一部として発生データテーブルTB2に記録する。これにより、5日目の事象記録処理50が完了する。
【0063】
6日目も、5日目と同様にして、2011年X月Y日でもなく、かつ土日にも該当しない。このため、処理部8は、5日目と同様にして有効記録条件を特定して、事象記録処理50を実行する。この場合、デフォルトの記録条件を有効記録条件として特定している開始時刻前の時刻t9のときに、交流信号S1の有効電力Wがしきい値Wth(8[kW])を下回る(事象が発生が停止する)。したがって、処理部8は、ステップ54からステップ57に移行し、さらにステップ58を実行することにより、図5に示すように、日時データDt(時刻t9)と共に事象の発生停止を示す発生データDoc(「発生停止」)を発生データテーブルTB2に記録する。その後は、業務時間内に有効電力Wが増加するものの、増加の度合いが正常な状態の範囲内であることから、有効電力Wがしきい値Wth(10[kW]や8[kW])以上となる事象が発生しない。このため、処理部8は、発生データテーブルTB2への発生データDocの記録は行わない。これにより、6日目の事象記録処理50が完了する。
【0064】
また、処理部8は、事象記録処理50の実行中や終了後において、操作部5から出力される操作データDopに応じて表示処理を実行することにより、記憶部6から発生データテーブルTB2の内容を読み出して、その内容を出力部7に表示させる。
【0065】
このように、この事象記録装置1および事象記録方法では、処理部8が、有効電力Wを測定する都度、条件データテーブルTB1に記憶されている複数の記録条件のうちの時計部4から取得した日時データDtで示される日時に関する記録条件を有効記録条件として特定し、この特定した有効記録条件に対応するしきい値Wthと測定した有効電力Wとを比較することによって事象の発生開始および発生停止を検出して、事象の発生開始および発生停止のうちの検出した一方の発生状態を日時データDtと共に記憶部6の発生データテーブルTB2に記録する。
【0066】
したがって、この事象記録装置1および事象記録方法によれば、例えば業務時間内(平日の昼間の時間帯)や夜間や休日毎に、つまり時間的要因に基づいて、交流信号S1についての有効電力W(電気的特性値)に対するしきい値Wthを変更して、交流信号S1に関する事象の発生(本例では、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生)の有無を検出して、記録することができる。
【0067】
すなわち、この事象記録装置1および事象記録方法によれば、正常時の有効電力Wがそもそも多い業務時間においては、しきい値Wthを高めることで、業務時間外や土日や休日と比べて正常時の有効電力Wの多い状態(正常な範囲内で多い状態)を異常な状態として誤って検出する事態の発生を確実に防止しつつ、有効電力Wが何らかの原因によって正常な範囲を超えてさらに増加したときには、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象を確実に発生させると共にこれを検出して、記録することができる。また、この事象記録装置1および事象記録方法によれば、正常時の有効電力Wがそもそも少ないために、正常な状態から異常な状態に移行する有効電力Wの増加分が少ない業務時間外や土日や休日においても、それに合わせてしきい値Wthを低くすることで、有効電力Wが正常な範囲を超えて増加したときには、有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象を確実に発生させると共にこれを検出して、記録することができる。
【0068】
これにより、この事象記録装置1および事象記録方法によれば、日時に関する記録条件に対応させてしきい値を記憶部6に複数記憶させておくことで、時間的要因によって電気的特性が変化する交流信号S1に発生する事象の発生開始および発生停止をきめ細やかに、しかも正確に検出して記憶部6に記録することができる。
【0069】
また、この事象記録装置1および事象記録方法では、処理部8は、新たな記録条件の特定に応じたしきい値の変更の直前および直後における発生状態記録処理において検出した一方の発生状態が相違するときに、直後における発生状態記録処理において検出した一方の発生状態(「発生開始」および「発生停止」のいずれか一方)を新たな記録条件を特定したこと(情報「新規記録条件」)と共に記憶部6の発生データテーブルTB2に記録する。
【0070】
したがって、この事象記録装置1および事象記録方法によれば、検出した一方の発生状態を示す「発生開始」または「発生停止」と共に、情報「新規記録条件」が記録されているときには、この事象の発生開始または発生停止が、新たな記録条件の特定(記録条件の変更、つまり、しきい値Wthの変更)に起因して発生した可能性のあることを認識することができるため、有効電力Wが上昇または低下したことにのみ起因する事象の発生開始や発生停止とは異なるものであると判別することができる(つまり、事象の発生開始や発生停止の要因をより正確に判別することができる)。
【0071】
なお、事象記録装置1および事象記録方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、上記の例では、条件データテーブルTB1に記憶させる記録条件と、それに対応するしきい値Wthの各数を、デフォルトの記録条件を含めて4つに規定しているが、記録条件の数は必要に応じて増減することができるし、デフォルトの記録条件の使用の有無についても適宜変更することができる。また、記録条件の内容についても、上記の例に限定されるものではなく、適宜変更することもできる。
【0072】
また、図2に示すように、日付、継続日数、開始時刻および終了時刻で構成される条件であって、互いに異なる日時に関する複数の条件を記録条件として規定する例を挙げて説明したが、同じ日時に関する複数の条件を記録条件として規定する構成を採用することもできる。この構成では、同じ日時に関する記録条件については、しきい値Wthを異なる値に規定して、各記録条件に付加した優先順位の高い方の記録条件を有効記録条件として特定する。
【0073】
また、例えば、交流信号S1の電気的特性値として有効電力Wを測定し、予め規定された事象の発生として、この有効電力Wがしきい値Wth以上となる事象の発生を検出して記録する例を挙げて説明したが、交流信号S1の電圧実効値や電流実効値を電気的特性値として測定し、予め規定された事象の発生として、電圧実効値や電流実効値がしきい値以上となる事象の発生を検出して記録する構成および方法を採用することもできる。また、電気的特性値がしきい値以上となる事象の発生を検出して記録する構成に代えて、電気的特性値がしきい値以下となる事象の発生を検出して記録する構成を採用することもできる。さらには、電気的特性値が、下限値および上限値からなるしきい値範囲内に含まれる事象の発生や、しきい値範囲外となる事象の発生を検出して記録する構成を採用することもできる。
【0074】
また、入力信号の一例として交流信号S1を例に挙げて説明したが、入力信号は交流信号に限定されない。例えば、交流信号に直流信号が重畳している信号、直流信号自体および漏れ電流などを入力信号として、この入力信号に関する予め規定された事象の発生開始および発生停止を検出する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1 事象記録装置
4 時計部
6 記憶部
8 処理部
Dt 日時データ
S1 交流信号
W 有効電力
Wth しきい値
図1
図2
図3
図4
図5