【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
微粒子ゴム粉末についての平均粒子径、粘度平均分子量及び比重の測定は以下により行った。
【0031】
・平均粒子径:光源として赤色半導体レーザ(波長680nm)を用いる島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−2200」により測定し、粒度分布の平均値を平均粒子径とした。
【0032】
・粘度平均分子量:粘度はLAUDA社製「粘度測定器PVS1」により測定した。標準試料として1,4−ポリイソプレン(分子量:600、1500、7500、21000、80000、210000、750000、1000000の8種類)を用い、粘度法による[η]=KM
αの係数K、αを算出し(ここで、[η]は固有粘度、Mは分子量を表す。)、その係数を用いて、式から各試料の粘度平均分子量を求めた。
【0033】
・比重:島津製作所製の比重計「MICROMERITICS」を用いて測定した。
【0034】
[微粒子ゴム粉末1:エポキシ化率が10モル%の微粒子ゴム粉末]
天然ゴムラテックス(レジテックス社製「LA−NR」、DRC=60質量%」)100gに、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)2.4gを加えて乳化状態を安定化させ、50rpmで攪拌しながら40℃で加熱し、DRC=80質量%になるまで水分を飛ばした。そこに30質量%過酸化水素水14.2g、ギ酸5.4gを滴下し、60℃で24時間反応させた。これに水100gを加えて水中に再分散させ、室温で1時間攪拌した後、乾燥することで、微粒子ゴム粉末1を得た。得られた微粒子ゴム粉末1は、エポキシ化率が10モル%であり、平均粒子径が0.6μmであり、粘度平均分子量が1,200,000であり、比重は0.92であった。
【0035】
[微粒子ゴム粉末2:エポキシ化率が25モル%の微粒子ゴム粉末]
過酸化水素水の量を35.4gとし、ギ酸の量を13.6gとし、その他は微粒子ゴム粉末1と同様にして、微粒子ゴム粉末2を得た。得られた微粒子ゴム粉末2は、エポキシ化率が25モル%であり、平均粒子径が0.5μmであり、粘度平均分子量が1,180,000であり、比重は0.93であった。
【0036】
[微粒子ゴム粉末3:エポキシ化率が40モル%の微粒子ゴム粉末]
過酸化水素水の量を56.6gとし、ギ酸の量を21.7gとし、その他は微粒子ゴム粉末1と同様にして、微粒子ゴム粉末3を得た。得られた微粒子ゴム粉末3は、エポキシ化率が40モル%であり、平均粒子径が0.5μmであり、粘度平均分子量が1,120,000であり、比重は0.93であった。
【0037】
[微粒子ゴム粉末4:エポキシ化率が60モル%の微粒子ゴム粉末]
過酸化水素水の量を85.0gとし、ギ酸の量を32.6gとし、その他は微粒子ゴム粉末1と同様にして、微粒子ゴム粉末4を得た。得られた微粒子ゴム粉末4は、エポキシ化率が60モル%であり、平均粒子径が0.5μmであり、粘度平均分子量が1,160,000であり、比重は0.93であった。
【0038】
[微粒子ゴム粉末5:エポキシ化率が80モル%の微粒子ゴム粉末]
過酸化水素水の量を113gとし、ギ酸の量を43.4gとし、その他は微粒子ゴム粉末1と同様にして、微粒子ゴム粉末5を得た。得られた微粒子ゴム粉末5は、エポキシ化率が80モル%であり、平均粒子径が0.6μmであり、粘度平均分子量が1,120,000であり、比重は0.93であった。
【0039】
[第1実施例](ポリマー代替)
上記で得られた微粒子ゴム粉末1〜3をポリマー代替として用いて、バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従って、常法に従いタイヤ用ゴム組成物を調製した。詳細には、まず第一混合段階で、硫黄及び加硫促進剤を除く成分を混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。表中の各成分は以下の通りである。
【0040】
・天然ゴム:RSS#3
・エポキシ化天然ゴム1:マレーシアMRB社製「ENR−25」
・エポキシ化天然ゴム2:マレーシアMRB社製「ENR−50」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック・デグサ社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1種」
・ステアリン酸:花王株式会社製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業株式会社製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
【0041】
・ポリブタジエンゴムゲル:日本ゼオン株式会社製のブタジエンゴムラテックス「Nipol LX111A2」(DRC=54質量%)を100rpmで攪拌させながら、過酸化ベンゾイル(BPO)により80℃でパーオキサイド架橋し、ゲル化させたものを乾燥して、ポリブタジエンゴムゲルを得た。得られたゲル粉末の粒子径は0.3μm、比重は0.92であった。
【0042】
・スチレンブタジエンゴムゲル:日本ゼオン株式会社製のスチレンブタジエンゴムラテックス「Nipol LX110」(DRC=40.5質量%)を100rpmで攪拌させながら、過酸化ベンゾイル(BPO)により80℃でパーオキサイド架橋し、ゲル化させたものを乾燥して、スチレンブタジエンゴムゲルを得た。得られたゲル粉末の粒子径は0.2μm、比重は0.95であった。
【0043】
得られた各ゴム組成物について、160℃×20分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、動的粘弾性試験を行い、tanδ(0℃)とtanδ(60℃)を評価するとともに、引張試験を行い、M300とEBを評価し、更に硬度を評価した。各評価方法は次の通りである。
【0044】
・tanδ(0℃):USM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数50Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度0℃の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。0℃でのtanδは、湿潤路面に対するグリップ性能(ウェット性能)の指標として一般に用いられているものであり、上記指数が大きいほどtanδが大きく、ウェット性能に優れることを示す。
【0045】
・tanδ(60℃):温度を60℃に変え、その他はtanδ(0℃)と同様にして、tanδを測定し、その逆数について、比較例1の値を100とした指数で表示した。60℃でのtanδは、低発熱性の指標として一般に用いられているものであり、上記指数が大きいほどtanδが小さく、従って、発熱しにくく、タイヤとしての低燃費性に優れることを示す。
【0046】
・M300,EB:JIS K6251に準拠した引張試験を行い(ダンベル3号)、M300(300%伸長時モジュラス)及びEB(切断時伸び)について、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、M300、EBが大きく、補強性に優れることを示す。
【0047】
・硬度:JIS K6253に準拠して測定し(タイプAデュロメータ)、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、硬度が高いことを示す。
【0048】
結果は表1に示す通りであり、微粒子形状のゴム粉末でない一般的なエポキシ化天然ゴムを用いた比較例2,3では、ウェット性能については若干改善されていたものの、改善効果は小さく、また低燃費性の改良効果は得られず、更に、補強性、特にM300の低下がみられた。
【0049】
これに対し、エポキシ化天然ゴムからなる微粒子ゴム粉末を用いた実施例1〜7であると、ウェット性能の改善効果に優れ、また低燃費性の改善効果にも優れていた。また、補強性、特にEBが高く、M300の低下も見られなかった。
【0050】
【表1】
【0051】
[第2実施例](フィラー代替)
上記で得られた微粒子ゴム粉末4,5をフィラー代替として用いて、バンバリーミキサーを使用し、下記表2に示す配合(質量部)に従って、常法に従いタイヤ用ゴム組成物を調製した。詳細には、まず第一混合段階で、硫黄及び加硫促進剤を除く成分を混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。表2中の各成分は第1実施例と同じである。
【0052】
得られた各ゴム組成物について、第1実施例と同様に、tanδ(0℃)、tanδ(60℃)、M300、EB及び硬度を評価した(なお、基準となる比較例1は第1実施例と同じ)。
【0053】
結果は表2に示す通りであり、微粒子形状のゴム粉末でない一般的なエポキシ化天然ゴムを用いた比較例4では、ウェット性能については改善されていたものの、低燃費性の改良効果は得られず、また、補強性、特にM300と、硬度の低下がみられた。ポリブタジエンゴムゲルを用いた比較例5では、ウェット性能と低燃費性の双方につき改善効果が不十分であり、補強性、特にM300の低下がみられた。スチレンブタジエンゴムゲルを用いた比較例6でも、低燃費性の改善効果が不十分であり、補強性、特にM300の低下がみられた。これに対し、エポキシ化天然ゴムからなる微粒子ゴム粉末を用いた実施例8〜12であると、ウェット性能を損なうことなく、低燃費性の改善効果に優れていた。また、EBとM300が向上しており、補強性の改善効果が見られた。
【0054】
【表2】
【0055】
[第3実施例]
バンバリーミキサーを使用し、下記表3に示す配合に従って、常法に従いタイヤ用ゴム組成物を調製した。詳細には、まず第一混合段階で、硫黄及び加硫促進剤を除く成分を混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。表中のSBRは、スチレンブタジエンゴム(JSR株式会社製「SBR1502」)であり、その他は表1と同じである。
【0056】
得られた各ゴム組成物について、第1実施例と同様に、tanδ(0℃)、tanδ(60℃)、M300、EB及び硬度を評価した(評価は、いずれも比較例7を基準として、それに対する指数で示した)。
【0057】
結果は表3に示す通りであり、微粒子形状のゴム粉末でない一般的なエポキシ化天然ゴムを用いた比較例8,9では、ウェット性能については改善されていたものの、低燃費性が悪化しており、また、補強性、特にM300の低下がみられた。スチレンブタジエンゴムを用いた比較例10では、ウェット性能と低燃費性の双方につき改善効果がみられたが、補強性、特にM300の低下がみられた。これに対し、エポキシ化天然ゴムからなる微粒子ゴム粉末をポリマー代替として用いた実施例13,15であると、ウェット性能の改善効果に優れ、また低燃費性の改善効果にも優れていた。また、補強性、特にM300が向上しており、比較例8〜10のような低下は見られなかった。また、微粒子ゴム粉末をフィラー代替として用いた実施例14では、ウェット性能を損なうことなく、低燃費性の改善効果に優れていた。また、EBとM300が向上しており、補強性の改善効果が見られた。
【0058】
【表3】