特許第5882044号(P5882044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882044
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】変性ポリイソシアネート組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/62 20060101AFI20160225BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20160225BHJP
   C09D 157/10 20060101ALI20160225BHJP
   C09D 157/12 20060101ALI20160225BHJP
   C09D 5/02 20060101ALN20160225BHJP
【FI】
   C08G18/62
   C09D175/04
   C09D157/10
   C09D157/12
   !C09D5/02
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-279280(P2011-279280)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-129722(P2013-129722A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100149799
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 陽一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107504
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 克則
(72)【発明者】
【氏名】中島 和子
(72)【発明者】
【氏名】上柳 薫
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−517171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/62
C09D 157/10
C09D 157/12
C09D 175/04
C09D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体と、ポリイソシアネートとを、イソシアネート基/水酸基の当量比が3から100の範囲で反応させることを含む、変性ポリイソシアネート組成物の製造方法
【請求項2】
ポリイソシアネートが、平均官能基数2以上の脂肪族、脂環族、芳香族ポリイソシアネートから選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の変性ポリイソシアネート組成物の製造方法
【請求項3】
スルホン酸塩が、スルホン酸基と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる少なくとも一種との塩である、請求項1又は2に記載の変性ポリイソシアネート組成物の製造方法
【請求項4】
スルホン酸塩が、スルホン酸基と、下記一般式(1)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種との塩である、請求項1又は2に記載の変性ポリイソシアネート組成物の製造方法
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1から30の1価又は2価の炭化水素であり、炭化水素の場合は、任意選択的にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含むことができる。R1、R2及びR3は互いに同じでも異なってもよく、R1とR2は互いに結合して5員又は6員のシクロアルキル基を形成することができ、R1とR2は互いに結合して、架橋員として付加的に窒素及び/又は酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成することができ、R1、R2及びR3は互いに結合して、架橋員として付加的に窒素原子及び/又は酸素原子を含むことができる多員の多重環を形成することができる。R1、R2及びR3は同時に水素原子にはならず、nは1から2の数を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に容易に分散する変性ポリイソシアネート組成物、及びそれを用いたコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、従来溶剤系塗料として利用されていた常温架橋型二液ウレタンコーティング組成物も水系化が望まれている。しかし、二液ウレタンコーティング組成物に硬化剤として用いられるポリイソシアネートは、水に分散しにくく、また水と反応し易く、二酸化炭素を発生するという問題点があったため、高乳化性を有し、水分散状態でイソシアネート基と水との反応が抑えられるポリイソシアネートの開発が進められている。
【0003】
特許文献1では比較的低分子量の1価のポリエチレンオキシドアルコールと、ポリイソシアネートとの反応物が、特許文献2では活性水素と末端が封鎖されたポリオキシエチレンを含有するビニル重合体と、ポリイソシアネートとの反応物が、特許文献3では低分子量ヒドロキシスルホン酸及びポリエーテル型ヒドロキシスルホン酸と、ポリイソシアネートとの反応物が、特許文献4では特殊なアミノアルキルスルホン酸とポリイソシアネートとの反応物が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2、3では水に対する分散性は不十分であり、また、ポリエチレンオキシドを含有するため、形成する塗膜の硬度や、塗膜の耐水性の低下は避けられない。特許文献3、4ではポリイソシアネートとの反応系が不均一となり、安定な製品を得ることが難しく、工業化が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−222150号公報
【特許文献2】特開2002−194045号公報
【特許文献3】特開平8−176267号公報
【特許文献4】特表2003−533566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水に容易に分散する変性ポリイソシアネート組成物、及びそれを用いたコーティング組成物を提供すること、すなわち優れた水分散性を得ることができる変性ポリイソシアネート組成物、また、良好な硬度と、良好な耐水性を持つ塗膜を形成することができるコーティング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体と、ポリイソシアネートとの反応により得られる変性ポリイソシアネート組成物が優れた水分散性を得ることが可能となることを見出し、また、それを用いたコーティング組成物を用いることにより、良好な硬度と、良好な耐水性を持つ塗膜を形成することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体と、ポリイソシアネートとの反応により得られる変性ポリイソシアネート組成物。
[2]ポリイソシアネートが、平均官能基数2以上の脂肪族、脂環族、芳香族ポリイソシアネートから選ばれる少なくとも一種である、[1]に記載の変性ポリイソシアネート組成物。
[3]スルホン酸塩が、スルホン酸基と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる少なくとも一種との塩である、[1]または[2]に記載の変性ポリイソシアネート組成物。
[4]スルホン酸塩が、スルホン酸基と、下記一般式(1)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種との塩である、[1]または[2]に記載の変性ポリイソシアネート組成物。
【化1】

(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1から30の1価又は2価の炭化水素であり、炭化水素の場合は、任意選択的にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含むことができる。R1、R2及びR3は互いに同じでも異なってもよく、R1とR2は互いに結合して5員又は6員のシクロアルキル基を形成することができ、R1とR2は互いに結合して、架橋員として付加的に窒素及び/又は酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成することができ、R1、R2及びR3は互いに結合して、架橋員として付加的に窒素原子及び/又は酸素原子を含むことができる多員の多重環を形成することができる。R1、R2及びR3は同時に水素原子にはならず、nは1から2の数を表す。)
[5]水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体と、ポリイソシアネートとを、イソシアネート基/水酸基の当量比が3から100の範囲で反応させることを含む、[1]から[4]のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート組成物の製造方法。
[6][1]から[4]のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート組成物を含んでなるコーティング組成物。
[7][6]に記載のコーティング組成物によってコーティングされたコーティング済基材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の変性ポリイソシアネート組成物は水に分散させた場合、分散性が優れており、本発明の変性ポリイソシアネート組成物を含んでなるコーティング組成物は、良好な硬度と、良好な耐水性を持つ塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明に用いるポリイソシアネートは、平均官能基数2以上の脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートから選ばれる少なくとも一種であり、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類のジイソシアネート化合物、及び/又はこれらジイソシアネート化合物から誘導される。
【0010】
脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6−ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,6−ジイソシアナトヘキサン(以下、HDI)、1,9−ジイソシアナトノナン、1,12−ジイソシアナトドデカン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、水添XDI)、1,3−または1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル−1−イソシアナト−3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、IPDI)、4−4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン(以下、水添MDI)、2,5−または2,6−ジイソシアナトメチルノルボルナンなどが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては例えばキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。この中でもHDI、IPDI、水添XDI、水添MDIは、工業的に入手し易いため好ましい。中でもHDIは耐候性と塗膜の柔軟性が非常に優れており最も好ましい。
【0011】
前記のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートは、2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン構造、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造を有するポリイソシアネート、3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させることにより得られるビウレット構造、2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応して得られるオキサダイアジントリオン構造、1つのイソシアネート基と1つの水酸基を反応して得られるウレタン基を複数有する構造、2つのイソシアネート基と1つの水酸基を反応して得られるアロファネート構造、1つのイソシアネート基と1つのカルボキシル基を反応させて得られたアシル尿素基、及び/又は1つのイソシアネート基と1つの1級あるいは2級アミンを反応させた尿素構造を有することができる。
【0012】
また、例えば1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナト−ヘキサノエートなどの脂肪族トリイソシアネート等も使用可能である。
【0013】
また、これらのポリイソシアネートは、親水基によって変性されていてもよい。
これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0014】
本発明に用いる水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体は、水酸基を有する重合性モノマー類から選ばれる少なくとも一種と、スルホン酸基又はその塩を有する重合性モノマー類から選ばれる少なくとも一種との共重合体であることが好ましく、その際任意にその他のモノマー類を併用してもよい。
スルホン酸基の塩を有する重合性モノマーとしては、スルホン酸基を有する重合性モノマーから選ばれる少なくとも一種と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種との塩が挙げられる。
【0015】
スルホン酸基を有する重合性モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、2−(アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−(アクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、アリルスルホコハク酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−メチル−1,3−ブタジエン−1−スルホン酸、2−メチル−1−プロペン−3−スルホン酸等が挙げられる。
【0016】
中でもスチレンスルホン酸、2−(アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−(アクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、が好ましい。
【0017】
更には例えばアクリル酸、メタクリル酸のようなカルボキシル基を有する重合性モノマーや例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートのようなリン酸基を有する重合性モノマーを適宜併用することも可能である。
【0018】
これらスルホン酸基を有するモノマーはスルホン酸基のまま重合に供してもよいし、またモノマーのスルホン酸基を、後述する対カチオン源で中和した後重合に供してもよい。
【0019】
スルホン酸塩の対カチオン源としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドミウム、鉛、アルミニウムなどの金属;アンモニア等の無機成分;および有機成分であるアミン化合物などから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
それらの中でも、ナトリウム、カリウム、及び3級アミン化合物が好ましい。
3級アミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるものがより好ましい。
【化2】

(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1から30の1価又は2価の炭化水素であり、炭化水素の場合は、任意選択的にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含むことができる。R1、R2及びR3は互いに同じでも異なってもよく、R1とR2は互いに結合して5員又は6員のシクロアルキル基を形成することができ、R1とR2は互いに結合して、架橋員として付加的に窒素及び/又は酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成することができ、R1、R2及びR3は互いに結合して、架橋員として付加的に窒素原子及び/又は酸素原子を含むことができる多員の多重環を形成することができる。R1、R2及びR3は同時に水素原子にはならず、nは1から2の数を表す。)
【0020】
具体的には例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリトリデシルアミン、トリステアリルアミンのような直鎖三級アミン類;トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリ分岐トリデシルアミンのような分岐三級アミン類;N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルイソブチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチル−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチル(分岐)トリデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N,N−ジエチルヘキシルアミン、N,N−ジエチルオクチルアミン、N,N−ジエチル−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジエチルラウリルアミンのような混合炭化水素基を有する三級アミン類などの他に、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルエチルアミン、トリシクロヘキシルアミンのような脂環三級アミン類;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジベンジルメチルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチル−4−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N,N−ジエチルフェニルアミン、N,N−ジフェニルメチルアミンのような芳香環置換基を持つ三級アミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン;N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンのような環状アミン類;ピリジン、キノリンのような芳香族アミン類等、もしくはこれらの任意の混合物が例示される。
【0021】
これらの中で好ましい例としては、総炭素数5から30の三級のアミン類から選ばれる少なくとも一種が挙げられ、具体的には例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリデシルアミン、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリ分岐トリデシルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルイソブチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチル−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチル(分岐)トリデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、N,N−ジエチルヘキシルアミン、N,N−ジエチルオクチルアミン、N,N−ジエチル−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジエチルラウリルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジベンジルメチルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N,N−ジエチルフェニルアミン、N,N−ジフェニルメチルアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン等、もしくはこれらの任意の混合物が例示される。
【0022】
水酸基を有する重合性モノマー類としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ブテン−1−オール−3、2−メチルブテン−3−オール−2、3−メチルブテン−3−オール−1、3−メチルブテン−2−オール−1等の不飽和アルコール類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。この中でも(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等が好ましく用いられる。
【0023】
これらの、共存するポリイソシアネートと相互作用し得る水酸基を有する重合性モノマー類に加えて、任意にその他のモノマー類を共重合することもできる。
【0024】
その他のモノマー類としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸フルフリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル等の含フッ素側鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロペンテン−1等のフッ素化オレフィン類;及びスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等が挙げられる。
【0025】
また、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ポリブタジエンの如きエポキシ基を有するモノマーも使用可能である。
【0026】
また、例えばペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、フルオレン、9,9−ビスフェニルフルオレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン等の縮合多環炭化水素骨格を有するモノマーや、例えばインドール、キノリン、インドリジン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン等の縮合複素環骨格を有するモノマーも使用可能である。具体的には例えば、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ジビニルアントラセン、N−ビニルカルバゾール、N−アクリロイルカルバゾール、ジビニルフルオレン、9,9−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−((メタ)アクリロイルオキシ−2(または1)メチルエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。
【0027】
更に例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の親水性モノマーを併用してもよい。
上記の全てのモノマー類はその一種または二種以上を混合して使用してよい。
【0028】
これら(メタ)アクリル系モノマー類は、ラジカル重合、イオン重合等、公知の方法で重合されるが、通常は重合開始剤を用いたラジカル重合法を用いるのが簡便である。
ラジカル重合開始剤の例としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキサイド類;2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0029】
重合形態としては例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合等、通常の重合方法が用いられる。
重合は、溶媒に水酸基を有する重合性モノマー、スルホン酸基を有する重合性モノマー、必要に応じてその他のモノマー、および重合開始剤を同時もしくは別々に一括、または同時もしくは別々に分割、または同時もしくは別々に連続的に添加することにより行われる。
【0030】
この中でも、モノマーおよび重合開始剤を別々に、分割もしくは連続的に添加する方法が好ましく用いられる。
添加、重合反応時の溶媒は、疎水性溶剤でも親水性溶剤でもよい。
疎水性溶剤としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン等、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類等が挙げられる。
親水性溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルアルコール類のエステル類、これらを単独または混合して使用することができる。
【0031】
例えばミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS、HAWS、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が、より好ましく例示される。
【0032】
重合温度や時間は、反応の進行に応じて適宜決められるが、温度は通常0℃から150℃程度、重合時間は0.5時間から48時間程度である。
【0033】
このようにして調製された水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体の水酸基価は、3から80mgKOH/gの範囲であることが好ましい。Tgは、−40℃から100℃の範囲であることが好ましい。数平均分子量は、300から20000の範囲であることが好ましい。ビニル重合体中のスルホン酸塩の濃度は、ビニル重合体分子量1000当り、約0.1から3当量が好ましい。
【0034】
本発明の変性ポリイソシアネート組成物は、水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体と、ポリイソシアネートとを混合反応させることで得られる。
混合する比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比が3から100の範囲であることが好ましい。
【0035】
反応温度や時間は、反応の進行に応じて適宜決められるが、温度は通常0℃から150℃程度、混合時間は0.5時間から48時間程度である。
調製の際に用いられる溶媒は、親水性溶剤でも疎水性溶剤でもよいし、使用しなくてもよい。疎水性溶剤としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン等、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類等が挙げられる。親水性溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルアルコール類のエステル類、これらを単独または混合して使用することができる。
【0036】
また、本発明の変性ポリイソシアネート組成物には、水酸基とスルホン酸基又はその塩とを有するビニル重合体と、ポリイソシアネートに加えて、更に酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤の少なくとも1種を添加できる。
【0037】
本発明によって得られる変性ポリイソシアネート組成物はコーティング組成物に用いることができる。有機溶剤系のコーティング組成物に用いることも出来るが、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水系コーティング組成物に用いることもできる。特に、建築用塗料、自動車用塗料、自動車補修用塗料、プラスチック用塗料、接着剤、建材、家庭用水系塗料、その他コーティング剤、シーリング剤、インキ、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤にも使用することができる。
また、これらの樹脂類としては例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、フッ素樹脂類などが挙げられる。
アクリル樹脂類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類;及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、p−スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸等のその他の重合性モノマー類等から選ばれた単独または混合物を重合させて得られるアクリル樹脂類が挙げられる。
【0038】
コーティング組成物の重合方法としては、乳化重合が一般的であるが、懸濁重合、分散重合、溶液重合でも製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
ポリエステル樹脂類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどのジオール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類、例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどのテトラオール類の群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂類、及び例えば低分子量ポリオールの水酸基にε−カプロラクトンを開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0039】
ポリエーテル樹脂類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール類、及びこれらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0040】
これらの樹脂類は水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和することができる。
カルボキシル基、スルホン基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第三級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0041】
好ましい樹脂類は、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類である。
必要に応じて、メラミン系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レべリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性を良くするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性を良くするために、更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤を添加してもよい。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明の実施例を示す。
[製造例1]
フラスコにジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)44重量部を入れ、窒素気流下で攪拌しながら70℃に昇温した。その後、メタアクリル酸メチル(MMA)40重量部と、アクリル酸−n−ブチル(n−BA)25重量部と、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)5重量部と、スチレン(St)10重量部と、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸とN,N−ジメチルベンジルアミンとの塩20重量部と、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)4重量部からなる混合液を5時間かけて添加し、その後2時間保持した。
反応終了後、不揮発分70%、水酸基価21.5mgKOH/g、スルホン酸濃度0.6当量/1000gのビニル重合体を得た。
【0043】
[製造例2]
メタアクリル酸メチル(MMA)40重量部を30重量部に、メタアクリル酸−n−ブチル(n−BA)25重量部を16重量部に、スチレン(St)10重量部をメタアクリル酸シクロヘキシル15重量部に、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸とN,N−ジメチルベンジルアミンとの塩20重量部を34重量部に代えた以外は製造例1と同様に行い、不揮発分70%、水酸基価21.5mgKOH/g、スルホン酸濃度1.0当量/1000gのビニル重合体を得た。
【0044】
[比較製造例1]
メタアクリル酸−n−ブチル(n−BA)16重量部、及び2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸とN,N−ジメチルベンジルアミンとの塩34重量部の合計50重量部を、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(1分子当たりオキシエチレン単位を平均9個含有)50重量部に代えた以外は製造例2と同様に行い、不揮発分70%のビニル重合体を得た。
【0045】
[実施例1]
製造例1で得られたビニル重合体50重量部に、イソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「デュラネートTPA−100(イソシアネート含有率23.1%、平均官能基数3.2、不揮発分100%)」100重量部を添加し、120℃で3時間攪拌した。反応終了後、不揮発分90%、NCO基含有率14%の変性ポリイソシアネート組成物を得た。
【0046】
[実施例2]
製造例1で得られたビニル重合体を、製造例2で得られたビニル重合体に代えた以外は実施例1と同様に行い、不揮発分90%、NCO基含有率14%の変性ポリイソシアネート組成物を得た。
【0047】
[比較例1]
製造例1で得られたビニル重合体を、比較製造例1で得られたビニル重合体に代えた以外は実施例1と同様に行い、不揮発分90%、NCO基含有率14%の変性ポリイソシアネート組成物を得た。
【0048】
得られた変性ポリイソシアネート組成物に対し、下記の方法で水分散性を評価した。
[水分散性評価]:30ccのスクリューカップに、供試変性ポリイソシアネート組成物4gと脱イオン水6gをとり、スパチュラで攪拌し、その分散挙動を見た。判定方法は以下の通りである。
○(良) :分散液が均一となる
×(不可):分散液が不均一となる
水分散性の評価結果を表1に示す。
【表1】