特許第5882045号(P5882045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882045
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】放射線遮蔽バッグ
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20160225BHJP
   G21F 5/002 20060101ALI20160225BHJP
   G21F 5/005 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   G21F3/00 M
   G21F3/00 G
   G21F5/00 W
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-279684(P2011-279684)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-130456(P2013-130456A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】511310580
【氏名又は名称】株式会社サンメック
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恒介
(72)【発明者】
【氏名】中藤 信司
(72)【発明者】
【氏名】菅野 拓実
(72)【発明者】
【氏名】清水 剛
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−024347(JP,A)
【文献】 実開昭60−082296(JP,U)
【文献】 実開昭57−097300(JP,U)
【文献】 特開2002−145390(JP,A)
【文献】 特開2008−170174(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0214120(US,A1)
【文献】 特開2004−026202(JP,A)
【文献】 特開2008−302958(JP,A)
【文献】 実開昭55−168900(JP,U)
【文献】 除染廃棄物用容器開発のこと〜耐紫外線、耐熱、耐低温等の条件を満たす除染廃棄物容器〜,インターネット,日本,メディアインターナショナル株式会社,2011年11月25日,添付資料1「除染廃棄物用大型容器」,URL,https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSMyNzQyNiM4ODUyOSMyNzQyNl8xXzJYTW9sYkJIY04ucGRmPzExNTM.pdf?1153
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 3/00−3/04
G21F 5/00−5/14
G21F 1/00−1/12
G21F 9/36
B65D 88/00−90/66
B65F 1/00−1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部と底部とで囲まれた収納空間と上方に向く開口部とを有するバッグ本体と、前記バッグ本体に取り付けられて前記バッグ本体を吊り下げるベルトと、前記バッグ本体の前記開口部を開閉する蓋部材とを有し、前記蓋部材は、天井部と周壁部とを有し、前記周壁部が前記バッグ本体の前記側壁部の外側に設置されて前記天井部で前記開口部が塞がれるものであり、
前記バッグ本体の前記側壁部と前記底部ならびに前記蓋部材の前記天井部と前記周壁部が、多数本の鉛毛の集合体である遮蔽層と、前記遮蔽層の表裏両面を覆う可撓性シートとで構成され
前記側壁部の外面に可撓性の止着シートが取り付けられており、前記蓋部材の前記周壁部の外面と前記止着シートとが、面ファスナーを介して接合可能であり、
前記止着シートは、前記側壁部の外面の周囲全長にわたって取り付けられており、前記止着シートに、周囲方向に間隔を空けて上縁部から切り込まれた複数の切り込み部と、前記切り込み部で挟まれた複数の止着片とが形成され、それぞれの止着片が、前記面ファスナーを介して前記周壁部の外面に接合可能であることを特徴とする放射線遮蔽バッグ。
【請求項2】
前記遮蔽層は、多数本の鉛毛が合成樹脂材料によって接合されて所定の厚さに成形されており、前記側壁部と前記底部および前記蓋部材が変形可能である請求項1記載の放射線遮蔽バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質で汚染された汚染物を収納して運搬や保管を行うことができる放射線遮蔽バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
放射性物質で汚染された汚染物質を運搬し保管する放射線遮蔽容器として以下の特許文献1と特許文献2などに記載されているものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された放射線遮蔽容器は、鋼製オープンドラム缶である胴体の内部に、鋼菅部材で構成された大きさの異なる複数の収納容器が収納されている。
【0004】
特許文献2に記載された放射線遮蔽容器は、規格ドラム容器の内部にステンレス鋼で形成された筒が多重に重ねられて収納されており、筒と筒との隙間内に、鉛やタングステンまたはコンクリートなどの放射線遮蔽体が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−51908号公報
【特許文献2】特開2010−8224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載された放射線遮蔽容器は、原子力プラントで発生する比較的濃度の高い放射線を発する放射性廃棄物を保管するのを主たる目的として製造されるものである。
【0007】
現在、放射線で汚染された場所でいわゆる除染作業が行われようとしている。この除染作業で土地の表面から削られた土壌や雑草や枯葉などは低濃度の放射線を発する放射性汚染物質であり、その運搬や保管の際にこれら放射性汚染物質から発せられる放射線を遮蔽することが必要である。
【0008】
特許文献1や特許文献2に記載された放射線遮蔽容器は、大型で重量が大きいため、これら放射線遮蔽容器を、土壌の除染作業箇所に運び込むのは容易ではない。一方において、土地の表面から削られた土壌や雑草や枯葉などを、何ら遮蔽対策を行うことなく運搬したり積み上げて放置しておくことは好ましくない。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、土壌などの比較的低濃度の放射線を発生する放射性汚染物質を、放射線遮蔽対策を施して比較的容易に運搬することができ、さらにこれら放射性汚染物質の一時的な保管にも適した放射線遮蔽バッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、側壁部と底部とで囲まれた収納空間と上方に向く開口部とを有するバッグ本体と、前記バッグ本体に取り付けられて前記バッグ本体を吊り下げるベルトと、前記バッグ本体の前記開口部を開閉する蓋部材とを有し、前記蓋部材は、天井部と周壁部とを有し、前記周壁部が前記バッグ本体の前記側壁部の外側に設置されて前記天井部で前記開口部が塞がれるものであり、
前記バッグ本体の前記側壁部と前記底部ならびに前記蓋部材の前記天井部と前記周壁部が、多数本の鉛毛の集合体である遮蔽層と、前記遮蔽層の表裏両面を覆う可撓性シートとで構成され
前記側壁部の外面に可撓性の止着シートが取り付けられており、前記蓋部材の前記周壁部の外面と前記止着シートとが、面ファスナーを介して接合可能であり、
前記止着シートは、前記側壁部の外面の周囲全長にわたって取り付けられており、前記止着シートに、周囲方向に間隔を空けて上縁部から切り込まれた複数の切り込み部と、前記切り込み部で挟まれた複数の止着片とが形成され、それぞれの止着片が、前記面ファスナーを介して前記周壁部の外面に接合可能であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の放射線遮蔽バッグは、バッグ本体と蓋体とが鉛毛と可撓性シートとで構成されているため、従来の金属製の放射線遮蔽容器に比べて軽量に構成でき、大きさも必要に応じて自由に変えることができる。全体が軽量であるため、ベルトでバッグ本体を吊り下げた状態で、人の手や機械の力で容易に運搬することができる。
【0013】
また、バッグ本体の開口部を塞ぐ蓋体が鉛毛を有しているため、バッグ本体の開口部からの放射線の漏洩を抑制しやすくなる。特に、蓋体が天井部と周壁部を有して、その双方が鉛毛を含んでおり、周壁部がバッグ本体の側壁部の外側に重なる構造であるため、開口部の周囲を側壁部と周壁部とで多重に遮蔽できることになり、開口部での放射線の遮蔽効果をきわめて高い水準に設定できる。
【0014】
本発明は、前記遮蔽層は、多数本の鉛毛が合成樹脂材料によって接合されて所定の厚さに成形されており、前記側壁部と前記底部および前記蓋部材が変形可能である。
【0015】
本発明の放射線遮蔽バッグは、バッグ本体と蓋部材の全体が変形可能であるため、取り扱いや運搬が容易であり、収納空間に汚染物質を詰め込む作業も容易である。
【0018】
本発明の放射線遮蔽バッグは、バッグ本体の開口部の周囲を、側壁部と周壁部の2重遮蔽構造にできるが、バッグ本体に設けられた止着シートと蓋部材の周壁部の外面とを面ファスナーで固定することで、開口部を塞いでいる蓋体を、閉鎖状態で安定させることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の放射線遮蔽バッグは、従来の金属製の遮蔽容器に比べ軽量に構成でき、ベルトを使用して人の力でまたは機械の力で容易に運搬することができる。しかも、バッグ本体と蓋体のほぼ全域が鉛毛と可撓性シートとで構成されているため、全体に軟質で、取り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の放射線遮蔽バッグの実施の形態を示す分解斜視図、
図2図1に示す放射線遮蔽バッグの正面図、
図3図2に示す放射線遮蔽バッグの底面図、
図4】バッグ本体の上端部と蓋部材を示す部分正面図、
図5】バッグ本体の底部と側壁部との接合部を示す部分断面図、
図6】バッグ本体の上端部と蓋部材との嵌合状態を示す部分断面図、
図7】本発明の放射線遮蔽バッグの第2の実施の形態を示す正面図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す放射線遮蔽バッグ1は、バッグ本体10と蓋部材20およびバッグ本体を吊り下げるためにベルト2を有している。
【0022】
バッグ本体10は、図3の底面図に現れている底部11と、底部11の周囲から立ち上がる側壁部12を有している。図1に示すように、バッグ本体10は、底部11と側壁部12とで囲まれた収納空間13を有し、側壁部12の上縁部12aが囲まれた部分が、前記収納空間13を上方に開放する開口部14となっている。
【0023】
バッグ本体10は、底部11が円形で、側壁部12が円筒形である。よって、収納空間13は円筒空間であり、開口部14も円形である。
【0024】
蓋部材20は、天井部21とその下に連続する周壁部22を有している。天井部21は円形であり、周壁部22は短い円筒形状である。
【0025】
図2図6に示すように、バッグ本体10の上端部に蓋部材20が設置されると、蓋部材20の周壁部22が、バッグ本体10の側壁部12の上部12bの外側に重なるように嵌合して、バッグ本体10の開口部14が蓋部材20の天井部21で塞がれる。
【0026】
各図に示した実施の形態の放射線遮蔽バッグ1は、底部11と天井部21が円形で、側壁部12と周壁部22が円筒形状であるが、これらの形状は円形や円筒形に限られるものではなく、例えば、底部11と天井部21が四角形その他の多角形であり、側壁部12と周壁部22が四角筒または多角形の筒であってもよい。
【0027】
図5では、バッグ本体10を構成する底部11の一部ならびに側壁部12の下部の一部が断面図で示され、図6に、前記側壁部12の上部の一部ならびに蓋部材20を構成する天井部21と周壁部22の一部が断面図で示されている。
【0028】
図5図6に示すように、バッグ本体10を構成する底部11と側壁部12および蓋部材20を構成する天井部21と周壁部22は全て、遮蔽層と、遮蔽層の外面を覆う外面シートと、遮蔽層の内面を覆う内面シートの積層体で構成されている。
【0029】
図5図6に示すように、バッグ本体10の底部11の積層体は、遮蔽層31aならびに外面シート32aと内面シート33aで構成され、側壁部12の積層体は、遮蔽層31bならびに外面シート32bと内面シート33bで構成されている。蓋部材20の天井部21は、遮蔽層31cならびに外面シート32cと内面シート33cで構成され、周壁部22は遮蔽層31dならびに外面シート32dと内面シート33dで構成されている。
【0030】
遮蔽層31a,31b,31c,31dは、同じ材料構成でほぼ同じ厚さでほぼ同じ密度ならびにほぼ同じ比重となるように構成されている。遮蔽層は、例えば太さが0.2〜0.8mmの鉛毛(鉛繊維)と、これとほぼ同じ太さのガラス繊維との混合体であり、鉛毛とガラス繊維がポリ塩化ビニル(PVC)やその他の合成樹脂材のバインダーで接合されている。遮蔽層31a,31b,31c,31dの厚さ寸法は2〜10mm程度であり、外力で比較的容易に変換可能である。
【0031】
外面シート32a,32b,32c,32dと、内面シート33a,33b,33c,33dは同じ材料で形成されており、合成樹脂シート、ナイロン繊維などの合成樹脂繊維と合成樹脂シートとの複合材料、金属網や樹脂網などの補強材(割り布)が樹脂シートに積層された積層体などの可撓性のシートで構成されている。
【0032】
図5に示すように、底部11の周縁部に外面シート32aの縁部32a1と内面シート33aの縁部33a1が延び出ている。側壁部12の下縁部12cでは、外面シート32bの縁部32b1と内面シート33bの縁部33b1が下方へ延び出ている。底部11の周囲に位置する縁部32a1,33a1および側壁部12の下縁部12cから延び出ている縁部32b1,33b1が、互いに縫合されまたは接着剤で接着されまたはヒートシールされ、またはこれら手段の組み合わせで強固に接合されている。これにより、バッグ本体10の側部11と側壁部12とが隙間が生じないように結合されている。
【0033】
図6に示すように、側壁部12の上縁部12aでは、外面シート32bと内面シート33bとが連続しており、あるいはシームレスで接合されている。
【0034】
蓋部材20では、天井部21の周縁部に外面シート32c縁部32c1と内面シート33cの縁部33c1が延び出ている。蓋部材20の周壁部22の上端部22aに、外面シート32dの縁部32d1と内面シート33dの縁部33d1が延び出ている。天井部21の周縁部において、縁部32c1と縁部33c1および縁部32d1と縁部33d1とが、互いに縫合されまたは接着剤で接着されまたはヒートシールされ、またはこれら手段の組み合わせで強固に接合されている。これにより、蓋部材20の天井部21と周壁部22とが隙間が生じないように結合されている。
【0035】
図6に示すように、蓋部材20の周壁部22の下端部22bでは、外面シート32dと内面シート33dとが連続しており、あるいはシームレスで接合されている。
【0036】
ベルト2は、ナイロン繊維などの合成樹脂繊維が編まれて構成されて、厚手で強度を有し且つ柔軟に変形できる。ベルト2は2帯設けられており、図3に示すように、バッグ本体10の底部11の外面で交差し、ビニールシートなどで形成された留めシート3aによって4箇所で底部11に固定されている。図1図2に示すように、バッグ本体10の外面においても、ベルト2がビニールシートなどで形成された留めシート3bによって側壁部12に固定されている。そして、2帯のベルト2のループ部が、バッグ本体10の開口部14よりも上方に延びている。
【0037】
図1図2などに記載されているように、蓋部材20の天井部21の上面に、取っ手4が取り付けられている。取っ手4は前記ベルト2と同じ素材で形成されている。
【0038】
図1図2図4に示すように、バッグ本体10の側壁部12の上部に、止着シート40が取り付けられている。止着シート40は、合成樹脂シート、ナイロン繊維などの合成樹脂繊維と合成樹脂シートとの複合材料、金属網や樹脂網などの補強材(割り布)が樹脂シートで挟まれた積層体などの可撓性のシートで構成されている。止着シート40の下帯部41は、側壁部12の周囲全周に渡って延びており、下帯部41が側壁部12の外面に、縫合や接着またはヒートシールなどの固定手段で固定されている。止着シート40の上帯部は側壁部12に接合されておらず、周方向に沿って一定の間隔を空けて上縁部から下向きに切り込んだ複数の切り込み部42が形成されており、切り込み部42で挟まれた部分が複数の止着片43となっている。
【0039】
図4図6に示すように、止着片43の内面には面ファスナー44を構成する一方の面シート44aが固定されており、蓋部材20の周壁部22の外面には面ファスナー44を構成する他方の面シート44bが固定されている。面シート44a,44bの一方はその表面に多数の合成樹脂製のループを有し、他方はその表面に多数の合成樹脂製のフックを有している。
【0040】
次に、上記放射線遮蔽バッグ1の使用方法を説明する。
図1に示すように、蓋部材20を取り外した状態で、バッグ本体10の収納空間13の内部に、除染作業で生じた土壌、草木、枯葉、土砂などを収納する。蓋部材20を装着する前に、図1図4に示すように、バッグ本体10に設けられた複数の止着片43を下向きに折り返しておく。図2図6に示すように、蓋部材20は、周壁部22をバッグ本体10の側壁部12の上部12bの外側に重ねるようにして設置し、天井部21で開口部14を塞ぐ。
【0041】
蓋部材20が設置された後に、図2図6に示すように、複数の止着片43で蓋部材20の周壁部22の外面を覆い、面ファスナー44によってそれぞれの止着片43を周壁部22の外面に固定する。
【0042】
放射線遮蔽バッグ1はバッグ本体10と蓋部材20の全体に、鉛毛を含む遮蔽層31a,31b,31c,31dが設けられ、収納領域が遮蔽層で覆われているため、収納空間13に放射性物質で汚染された土壌などが収納されたときに、放射線が放射線遮蔽バッグ1の外部に漏洩しにくくなる。
【0043】
また、バッグ本体10に蓋部材20が装着されると、図6に示すように、開口部14が遮蔽層31cを有する天井部21で塞がれるとともに、開口部14の周囲で、バッグ本体10の側壁部12と蓋部材20の周壁部22とが重ねられて、遮蔽層31bと遮蔽層31dの2重構造になる。そのため、開口部14およびその周辺から外部への放射線の漏洩を確実に抑制できるようになる。
【0044】
また、蓋部材20の周壁部22がバッグ本体10の側壁部12の全周の外側に重ねられて嵌合しているため、蓋部材20が外れにくい。特に、周壁部22の全周に止着片43が止着されるため、蓋部材20がさらに外れにくくなる。
【0045】
バッグ本体10と蓋部材20は、全体が遮蔽層と外面シートおよび内面シートとで構成されて変形可能であるため、収納空間13に種々の汚染物質を詰め込みやすくなる。またベルトを保持して人が運搬するときに、身体に当たる部分が軟質であるため、運搬作業の際に人体に与える疲労感も少ない。
【0046】
前記実施の形態では、蓋部材20が装着された後に、それぞれの止着片43を上向きに変形させて、蓋部材20の周壁部22の外面に面ファスナー44で装着するので、蓋部材20を装着した後の蓋部材20の固定作業がきわめて容易である。
【0047】
ただし、本発明では、図7の第2の実施の形態に示すように、バッグ本体10の側壁部12の外面の複数箇所にベルト片51を固定してその先部に雌型バックル52を取付け、蓋部材20の周壁部22の外面の複数箇所にベルト片53を固定してその先部に雄型バックル54を固定してもよい。この構造では、バッグ本体10に蓋部材20を装着した後に、少なくとも2箇所で、雄型バックル54と雌型バックル52とを嵌合させることで、蓋部材20の離脱を防止しやすくなる。
【0048】
なお、蓋部材20がバッグ本体10に装着された後に、テープで周壁部22と側壁部12とを固定してもよい。あるいは、蓋部材20の周壁部22に組み込まれた紐を結んで、蓋部材20をバッグ本体10に固定してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 放射線遮蔽バッグ
2 ベルト
10 バッグ本体
11 底部
12 側壁部
13 収納空間
14 開口部
20 蓋部材
21 天井部
22 周壁部
31a,31b,31c,31d 遮蔽層
32a,32b,32c,32d 外面シート
33a,33b,33c,33d 内面シート
40 止着シート
42 切り込み部
43 止着片
44 面ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7