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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは水性媒体と混合して調製した生地を用いて、モールドを用いずに描画、成形し、短時間加熱するだけで、描画入りの加熱成形食品を得ることができる調理粉末及び加熱成形食品用の組合せキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における上記目的は、澱粉と卵白と糖類とを含有する少なくとも2種類の調理粉末に、各々、加水混合時に熱凝固性蛋白を添加することなく、加水混合して少なくとも2種類の生地を調製し、描画模様入りの成形生地を作成して加熱し、描画模様入りの加熱成形食品を得るための調理粉末であって、該調理粉末が、少なくとも下記の(A)(B)の2種類の別包装された調理粉末を含有することを特徴とする、描画模様入りの加熱成形食品用調理粉末により達成される。
(A)成形食品の模様全体のベース部分用生地の調理粉末であって、加水混合した時の粘度が25℃において100Pa・s未満となるように調整されてなる調理粉末
(B)成形食品の模様の描画部分用生地の調理粉末であって、加水混合したときの粘度が
25℃において90〜140Pa・sとなるように調整されてなる調理粉末
【0006】
また、下記の工程を順次行うことにより得られる描画模様入りの加熱成形食品を調製するための調理粉末により達成される。
(1)澱粉と卵白と糖類とを含有する少なくとも下記の2種類の別包装された調理粉末(A)(B)を準備する工程
(A)成形食品の模様全体のベース部分用生地の調理粉末であって、加水混合した時の粘度が25℃において100Pa・s未満となるように調整されてなる調理粉末
(B)成形食品の模様の描画部分用生地の調理粉末であって、加水混合したときの粘度が25℃において90〜140Pa・sとなるように調整されてなる調理粉末
(2)上記調理粉末(A)(B)に各々加水混合して、調理粉末(A)からなるベース部分用生地(C)と、調理粉末(B)からなる描画部分用生地(D)とを調製する工程
(3)成形シートを準備する工程
(4)上記成形シート上に、描画部分用生地 (D)を描画模様として載置する工程
(5)上記描画部分用生地(D)が載置された成形シートの成形ベース部分に、ベース部分用生地(C)を展延する工程
(6)上記ベース部分用生地が展延された成形シートを加熱する工程
(7)上記成形シートから加熱された生地を剥離し、加熱成形食品を得る工程
【0007】
さらに、調理粉末(A)(B)と、成形シートとを組み合わせて包装してなる、描画模様入りの加熱成形食品用組合せキットにより達成される。
【0008】
また、加熱が加熱調理手段によって180秒以内に行われる調理粉末または加熱成形食品用組合せキットが好ましい。
【0009】
すなわち、本発明者らは、澱粉と卵白と糖類とを含有する粉末をベースにして、加水混合するだけで生地を調製でき、これを用いて、モールドを使わずに、幼児でも簡単に模様を描いた状態で加熱成形できないかと考え、検討を行った。
その結果、生地を調製する段階で、少なくとも2種類の異なる生地を準備し、クッキングシートや天板の上にまず所定粘度の生地で、例えば動物の目鼻などの線描模様を絞り出して描き、その上から、上記生地粘度以下のベースとなる生地を展延して所望の形に整え、それを電子レンジなどの加熱調理手段で加熱し、取り出すと、線描模様の描画部分がベースの生地と一体化した成形食品が得られ、手に持って食べやすく、調理する楽しさや、加熱した後の出来ばえが、クッキングシートや天板から剥がして反転するまでわからないという楽しさを付与した調理粉末とすることが出来ることを見出した。
さらには、シートとして、あらかじめ動物などの所定の図柄・模様が描画された成形シートを準備すると、幼児でも描画線に沿って生地を絞り出すことやベース生地を展延するだけで、調理することが出来るので、さらに簡便に出来ることを見出した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも2種類の調理粉末にそれぞれ加水してそのまま混合するだけで、粘度の異なる2種類の生地を調製できるので、調理粉末とは別に卵や牛乳を用意する必要がない。そして、クッキングシートや天板の上に、まず所定粘度の生地で線描模様を絞り出して描き、その上から、上記生地粘度以下のベースとなる生地をスプーンなどにより展延して所望の形に整えるだけでよいので、あらかじめモールドやデコレーション用の材料を準備する必要がない。また、操作も絞り出しや延ばすなどの単純な操作だけなので幼児でも簡単に成形することができる。
なお、調理操作が、塗り絵のような作業なので、お絵かきをしながら食品を調理しているような感覚を楽しむことができる。
また、描画模様を描く自由度があるため、創造的な面白さがある。
さらに、成形した生地は、電子レンジなどの加熱調理手段で短時間加熱するだけでよく、フライパンなどの調理器具を用いる煩雑さがない。さらに、加熱した生地を取り出すと、描画部分がベースの生地と一体化しているので、幼児でも手に持って食べやすく、手や口の周りがチョコソースなどのデコレーション部材で汚れることもない。また、調理する楽しさや、最終の仕上がり状態がクッキングシートや天板から剥がして反転するまでわからないという楽しさを体感できる。さらに、描画成形用のシートとして、あらかじめ動物などの図柄が描画された成形シートを準備すると、描画線に沿って生地を絞り出すことやベース生地を展延するだけで、調理することが出来るので、さらに低年齢の幼児にも楽しめる仕様とすることができる。
また、風味や色調、成形シートの図柄・模様をさまざまに変化させることができる、汎用性の高い粉末である。
さらに、キットとした場合には、成形シートの図柄をシリーズ化することや、描画の難易度に応じてレベル分けしてチャレンジできるようにすることなど、さまざまな仕掛けをすることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を詳しく説明する。
本発明の描画模様入りの加熱成形食品用調理粉末は、澱粉と卵白と糖類とを含有する少なくとも2種類の調理粉末(A)(B)からなる。
なお、本発明において粉末は、粉状、顆粒状などの粉体を意味する。
また、調理粉末(A)(B)は、各々、別包装されている。好ましくは、加熱成形後に各々異なる発色となるよう設計されていると、異なる色使いによる描画模様を描ける点で好適である。
【0013】
まず、調理粉末(A)について説明する。
調理粉末(A)は、成形食品の模様全体のベース部分用生地の調理粉末であって、加水混合して生地を調製したときに、好ましくは展延して用いるのに好適な物性となる調理粉末である。
なお、調理粉末(A)には、澱粉と卵白と糖類とを含有する。
【0014】
調理粉末(A)に用いられる澱粉は、穀類由来の澱粉であり、例えば、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、ワキシーコーンスターチ、粳米粉などや、これらの澱粉の加工澱粉やα化物などが挙げられる。
これらは単独でも複数組み合わせても良い。
澱粉の比率は特に限定するものではなく、後述する粘度となるよう、澱粉の種類や比率を調整したり、他の原料との比率を調整したり、加水量や混合条件に応じて適宜設定すればよい。
【0015】
卵白は、調理粉末(A)に加水混合後、成形するときに生地表面を滑らかに仕上げ、加熱後に生地が成形シートに残らずに形を保ったまま、きれいに剥離するための成分である。使用形態としては、通常、卵白粉として市販されているものや、卵白を所定量となるよう含む全卵粉などの粉末を用いても良い。
卵白の含有量は特に限定するものではないが、好ましくは調理粉末(A)の全体重量中
、1〜10重量%に設定されていることが望ましい。卵白が1重量%未満だと、生地表面を滑らかに仕上げる効果が得られにくく、加熱後に成形食品表面がざらついたり、粗い気泡が残る傾向や、成形シートから生地を剥離する際に形状が崩れたりシートに生地が残る傾向にある。
逆に、10重量%を超えると、卵白臭が感じられる傾向や、生地が硬くなったりする傾向にある。
【0016】
糖類は、単糖類(ブドウ糖、ガラクトース、マンノース、フルクトースなど)、二糖類(乳糖、ショ糖、麦芽糖など)、少糖類(オリゴ糖類)、糖アルコール、還元水あめ、異性化糖などの液糖類などが挙げられる。これらは単独でも複数組み合わせても良く、無水物でも含水物でも良い。なお、剤形は粉末が望ましいが、最終的に調理粉末化できる程度の量であれば液状でも良い。
なお、この中でも、加熱成形食品の風味と食感を良好にする点でショ糖(粉糖、上白糖、グラニュー糖など)が好適に用いられる。
また、生地の着色の目的で、加熱時に着色し易いブドウ糖を調理粉末(A)(B)のいずれかに含有させることや、着色させたい調理粉末の方に多く含有させるようにしても良い。
糖類の含有量は、好ましくは調理粉末(A)全体重量中、30〜45重量%に設定することが望ましい。糖類が30重量%未満だと、加熱成形食品の風味、食感が劣る傾向にあり、逆に45重量%を超えると、生地がだれやすい傾向や、加熱したときにふっくらとしたケーキやパンの様な組織になりにくくなる傾向にある。
【0017】
調理粉末(A)には、副原料を用いても良い。
副原料としては、例えば、膨張剤(ベーキングパウダーなど)、粉末油脂(バターなどの乳脂肪の粉末、植物油脂の粉末、これらの加工油脂の粉末など)、粉乳、色素、香料、食塩、酸成分(有機酸(クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、酢酸、酒石酸など)の粉末やこれらを主体とする醸造酢、梅酢、果実酢、果汁などの粉末)、安定剤、ゲル化剤、乳化剤、調味料、カルシウム類、ビタミンやミネラルなどの栄養強化剤などの粉末を添加しても良い。
【0018】
なお、この中でも、特に、膨張剤は、ふっくらとしたパンやケーキの様な物性を付与できる点で好適である。
また、炭酸カルシウムは、膨張剤を用いた場合に、生地組織内に発生する炭酸ガスが膨張する際に、粗い気泡とならず、細かい均一な安定した気泡となり、加熱された成形食品の仕上がりを表面が滑らかで緻密な組織とすることが出来る点で好適である。
【0019】
また、色素は、食用の着色料として販売されているものを用いても良いが、コーヒー、ココア、抹茶、果汁、野菜(かぼちゃ、いも類、ほうれん草、人参など)、卵黄などの、色素を含む食品材料を用いて着色しても良い。
【0020】
本発明に用いる調理粉末(A)は、上記の澱粉と、卵白と、糖質と、必要に応じ副原料とを粉体混合する、あるいは粉体混合後、造粒することにより調製すればよい。
【0021】
本発明に用いる調理粉末(B)は、成形食品の模様の描画部分用生地の調理粉末であって、加水混合したときに、好ましくは線描などが描き易い、絞り出して用いるのに好適な物性となる調理粉末である。
【0022】
なお、調理粉末(B)には、澱粉と卵白と糖類とを含有する。
これらは、上述した調理粉末(A)と同様の原料を用いて、加水混合したときに、後述する粘度となるよう適宜配合比率を設定して調製すればよい。
すなわち、調理粉末(B)には、澱粉と、卵白と、糖類を含有し、必要に応じ副原料を用い、これらを粉体混合する、あるいは粉体混合後、造粒することにより調製すればよい。
【0023】
卵白の含有量は特に限定するものではないが、好ましくは調理粉末(B)の全体重量中、1〜8.5重量%に設定されていることが望ましい。卵白が1重量%未満だと、生地表面を滑らかに仕上げる効果が得られにくく、加熱後に成形食品表面がざらついたり、粗い気泡が残る傾向にあり、また、成形シートから生地を剥離する際に形状が崩れたり、シートに生地が残る傾向にある。
逆に、8.5重量%を超えると、卵白臭が感じられる傾向や、生地の粘度が下がり、描画しにくくなる傾向にある。
【0024】
なお、調理粉末(B)は、加水混合して成形し、加熱したときに、調理粉末(A)からなる加熱成形品とは異なる色調となるように設定すると、異なる色使いによる描画模様を描ける点で好ましい。
異なる色調とする方法としては、例えば、いずれかの調理粉末に色素や有色原料(例えばココア粉末、抹茶粉末、果肉果汁、卵黄粉末、コーヒー粉末など)を加える、あるいは両方の調理粉末に異なる色素や有色原料をそれぞれ添加する、あるいはいずれかの調理粉末に熱により発色する原料を加える、若しくはいずれかの調理粉末に焼き色を呈する原料(例えばメイラード反応を生じやすいブドウ糖等の原料など)を加える、などの方法を行えばよい。
もしくは、調理粉末(A)、調理粉末(B)には、これらを添加せず、次に述べる水性
媒体中に異なる色調となるような着色原料(色素など)を添加することや、色素含有水性媒体(果汁、お茶など)を用いるようにしても良い。
【0025】
なお、調理粉末は(A)(B)2種類の例で説明したが、さらに異なる調理粉末を準備し、描画模様又はベース部分を色分けしても良いし、異なる組合せで加熱成形食品を作るようにしても良い。
【0026】
上記のようにして調製された調理粉末(A)と調理粉末(B)とを用いて、本発明に係る描画模様入りの加熱成形食品は、例えば次のようにして調製される。
すなわち、まず調理粉末(B)に加水して混合し、描画部分用生地(D)を調製する。このとき、加水混合に用いる水性媒体は、好ましくは非加熱の上水道の水でよく、ミネラルウォーター、溶質が溶解した水溶液、果汁、着色溶液などを用いても良い。この中でも上水道の水が、溶解性、簡便性の点で適している。
ここで、非加熱とは、加熱操作を要しない温度という意味であり、常温(室温)の他、冷却水でもよい。
また、加水混合するのは、家庭にあるスプーンやコップを用いて行えばよい
描画部分用生地(D)は、絞り出しなどによって線描を描くのに適した物性とするため、柔らかくて線状に絞り出し易いが、ダレにくく、線状形状を保持しやすい物性にする必要がある。そこで、描画部分用生地(D)は、25℃における粘度が90〜140Pa・sとなるよう加水混合することが重要である。
すなわち、粘度が90Pa・s未満であると、描画した生地がダレやすく、細かな模様や細い線が描きにくくなる。また、後述のベース部分用生地(B)を上から展延したときに、描画部分も引き伸ばされてしまう場合がある。
逆に、140Pa・sを超えると、生地を絞りだす際に幼児の力では絞り出しにくい場合や、加熱の際に膨化しづらく、熱が通りにくくなって生焼けっぽい風味、食感になる。
【0027】
次に、調理粉末(A)に加水して混合し、ベース部分用生地(C)を調製する。このときの水性媒体や加水混合する条件は、調理粉末(B)の場合と同様でよい。
ベース部分用生地(C)は、スプーンの背などを用いて、所望の模様全体にベース部分用生地(C)を展延するのに適した物性とするため、延ばし易いが、延ばした範囲に生地がとどまるような可塑性と硬度を有する必要がある。そこで、ベース部分用生地(C)は、25℃における粘度が100Pa・s未満となるように加水混合することが重要である。
また、好ましくは、ベース部分用生地(C)の粘度は、上記描画部分用生地(D)の粘度以下、さらに好ましくは描画部分用生地(D)よりも低い粘度に設定することが描画模様部分の形状を損なわずにベース部分用生地(C)を被せて展延できる点で好適である。すなわち、粘度が100Pa・sを超えると、生地が展延しにくくなり、無理に伸ばそうとすると、上述の描画部分用生地(D)で描画した線を崩してしまう場合がある。なお、加水量や混合時間は、上記の粘度の範囲となるよう、適宜設定すればよい。
【0028】
なお、上記のようにして調製したベース部分用生地(C)、描画部分用生地(D)は、そのまま成形、加熱に供し、全卵などの熱凝固性蛋白をさらに加える必要がない。
【0029】
上記の粘度は、調理粉末に加水し、混合したときの攪拌回数、水温、調理粉末の組成等によって調整すればよい。
なお、粘度の測定は、東機産業株式会社製のTVR10形粘度計を用いて測定する。まず、200ccトールビーカーに調理粉末と水(25℃)の合計量が100gとなるように充填して、25℃の品温に保持し、これを90秒の間に所定回数スプーンで攪拌した後の生地の粘度を上記粘度計で測定する。
測定条件は、以下の通りである。
ローター:M4形
回転数 :1.5r/min
温度 :25℃
データの読み取り:ローター回転3分後
【0030】
次に、天板やクッキングシート、ラップなどの上に、描画部分用生地(D)を、好ましくは、絞り出し袋に入れて、絞り出し、線描などの描画や着色したい部分の描画を行う。なお、絞り出し袋は市販の絞り出し袋を用いても良いが、簡易的にポリ袋などの袋に入れて、袋の底部分を1箇所切り取って絞り出し袋の代用としても良い。
【0031】
次に、ベース部分用生地(C)を、模様全体のベース部分に展延していく。展延するのは、手で行っても良いが、スプーンの背やヘラなどを使っても良い。
【0032】
次に、上記ベース部分用生地(C)が展延された成形シートを加熱する。なお、加熱はオーブントースターや電子レンジなどの加熱調理手段を用いることが好適である。加熱時間や温度は、生地の厚み、大きさ、配合比率などに応じて、生地全体に熱が通るように適宜設定すればよい。
例えば、電子レンジを使用する場合は、600Wで90秒以内、さらに好ましくは60秒前後でよい。
また、オーブントースターを使用する場合は、1000Wで180秒以内、さらに好ましくは150秒前後で調理すると良い。
特に、電子レンジのような電磁波を利用した加熱調理手段は、成形食品に焼き目がつきにくく、描画が鮮明にできるという点で好適である。
【0033】
このようにして得られた成形食品を、好ましくは、生地の温度が少し冷えてから、天板やクッキングシート、ラップなどから剥がし、反転すれば、描画模様入りの加熱成形食品が出来上がる。
得られた加熱成形食品は、そのまま喫食しても良く、あるいは、ジャムやマーガリン、
スプレッドなどのフィリング材料を塗って食べても良く、さらにデコレーションを施しても良く、複数枚作ってクリームや餡、チーズ、ハム、果物などのサンド素材をサンドしても良い。
【0034】
なお、上記の調理例では、フリーハンドで調理者の好きな模様を描画する仕様で説明したが、低年齢の幼児でも簡便に描画しやすくするために、あらかじめ模様が描画された所定の模様が描かれた成形シートを用い、模様の描画線上の描画模様に沿って載置できるようにするとさらに好適である。
成形シートの材質は、耐熱性で食品に使用可能な材質であれば良く、例えば、市販のクッキングシートに予め模様を印刷しておいたものなどが挙げられる。
【0035】
また、上記調理粉末(A)(B)と、成形シートとを組み合わせたキットにして製品化すると、さらに簡便性の点で好適である。なお、成形シートは1枚だけをキットにし、図柄違いでシリーズ化しても良く、また、複数枚のシートを一つのキットにセットしても良い。あるいは、デコレーションするトッピング、ソース、サンド素材をセットしても良い。
【0036】
なお、加水混合用の計量スプーン、生地を調製するためのトレイ、絞り出し袋もセットにしておくことは、さらに好適である。
【0037】
これらをセットにした一例を、以下図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の描画模様入りの加熱成形食品の一例を示す全体図である。
1はパンダの顔の模様の加熱成形食品全体、2はベース部分用生地(C)からなるベース部分、3は描画部分用生地(D)からなる描画部分である。描画部分3(3a、3b、3c、3d)は、パンダの耳部分3a、目の部分3b、鼻の部分3c、口の部分3dからなる。
【0038】
図2は、調理粉末(A)(B)と成形シート、加水混合用の計量スプーン、生地を調製するためのトレイをセットしたキットの一例を示す説明図である。
4は調理粉末(A)、5は調理粉末(B)、6は成形シート、7は計量スプーン、8はトレイ、9は絞り出し袋である。
【0039】
図3は
図2のキットを使って描画模様入りの加熱成形食品を調理する工程の一例を示す説明図である。この工程は(1)〜(8)の順に調理する。
【0040】
図2において、調理粉末(A)4、調理粉末(B)5は、それぞれポリエチレン製などの袋にそれぞれ別包装され、密封されている。
成形シート6は、耐熱性のクッキングシートで、表面に、
図1のパンダの顔の模様の加熱成形食品1を描画するための描線が印刷されている。なお、クッキングシートは耐熱性で食品用に使用可能な材質であればよい。また、クッキングシート表面にエンボス加工などを施しても良い。
計量スプーン7はプラスチック製で、調理粉末(A)(B)に加水混合する水性媒体を所定量計量できるように容量設定された水性媒体収容部7aを有している。また、計量スプーン7は、生地の展延用治具も兼ねており、水性媒体収容部7aの底部面積が広くなるよう浅くて広いスプーン形状となっている。
トレイ8はポリプロピレンやポリスチレン製の容器で、調理粉末(A)4、調理粉末(B)5をそれぞれ別個に加水混合して混合できる混合用凹部8a、8bを有している。
絞り出し袋9は、ポリエチレン製の袋形状で、描画部分用生地(D)を収容して線描を描くための袋である。絞り出し袋は、四角形でもよいが、三角錐形状などの他の形状にしてもよい。
【0041】
図3において、
図2のキットを用いた調理工程を説明する。
図3(1)において、トレイ8の混合用凹部8aに、調理粉末(B)5を振り入れ、計量スプーン7で所定量計量した水12を入れる。
次に、
図3(2)に示すように、計量スプーン7で混合し、描画部分用生地(D)10を調製する。
調理粉末(B)には、予めココアを添加してこげ茶色の描画部分用生地(D)10になるよう調整している。
さらに、
図3(3)において、絞り出し袋9に、計量スプーン7を使って描画部分用生地(D)10を充填し、絞り出し袋9の開口部をひねって閉じ、絞り出し袋9を点線部9aで、はさみ13などの切断手段で切断して絞り出し口を作る。なお、切断は、予め点線部9aに切り目を設けておき、手で切り取りできるようにしてもよい。
次に、
図3(4)において、成形シート6をテーブルなどの平らなところに広げ、絞り出し袋9から描画部分用生地(D)10を絞り出して、成形シート6のパンダの耳部分6a、目の部分6b、鼻の部分6cを塗りつぶし、口の部分6dを線描する。
さらに、
図3(5)において、トレイ8の混合用凹部8bに調理粉末(A)4を振り入れ、計量スプーン7で所定量計量した水を入れて計量スプーン7で混合し、ベース部分用生地(C)11を調製する。
調理粉末(A)には、黄色色素を少量添加してオフホワイトのベース部分用生地(C)11になるよう調製している。
なお、計量スプーン7は、描画部分用生地(D)調製後に、予め、テイッシュペーパーなどでふき取っておくと良い。
次に、
図3(6)において、計量スプーン7を使ってベース部分用生地(C)11を掬い取り、成形シート6の点線で囲われたベース部分6eに載置し、計量スプーン7の水性媒体収容部7aの背で成形シート6eの点線部分に沿って展延する。すなわち、このときベース部分用生地(C)11は、目の部分6b、鼻の部分6c、口の部分6dの上に被せるように生地が載せられ、耳の部分6aと接するよう展延されている。
このように、描画部分用生地(D)10の上からベース部分用生地(C)11を被せることにより、描画部分用生地(D)10とベース部分用生地(C)11とを境界線で塗り分けるような煩雑な操作が必要なく、幼児でも簡単に描画を完成させることができる。
さらに、
図3(7)において、成形シート6を電子レンジなどの加熱調理手段14に入れて所定時間加熱する。すると加熱によって生地の膨張と熱凝固が生じ、ベース部分用生地(C)11と、描画部分用生地(D)10とは一体化する。
そして、
図3(8)において、成形シート6のフチを持って、お皿などの上に、成形シート6を上面にして取り出し、成形シート6の真ん中が手で触れる程度に冷めたら、成形シート6をゆっくりと剥がせば、
図1に示すパンダの顔の模様の加熱成形食品1が得られ
る。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を、実施例に基づき具体的に説明する。
【0043】
<調理粉末(A)(B)の調製>
表1の組成に基づき各原料の粉末を粉体混合し、調製した。
調理粉末(A)は、オフホワイトのベース部分生地(C)を調製するものであり、調理粉末(B)はこげ茶色の描画部分生地(D)を調製するための調理粉末である。
<描画入り加熱成形食品の調製>
上記の通り調製した調理粉末を、表1の加水量及び混合条件により、
図3と上述の手順に従って、調理し、描画入り加熱成形食品を得た。
なお、混合条件は、段落[0029]の条件で25℃の水を所定量加えて、計量スプーン7を周回させた回数で示した。
また、調理粉末の組合せは表2の通りとした。
すなわち、実施例1〜5、及び比較例1〜3は、調理粉末(A)としてA−1を用い、これに調理粉末(B)として、B−1〜B−5、C−3〜C−5を各々組み合わせたものを
用いて評価した。
また、実施例6〜9及び比較例4〜5は、調理粉末(B)としてB−1を用い、これに調理粉末(A)としてA−2〜A−5、C−1〜C−2を各々組み合わせたものを用いた。
そして、各生地の滑らかさ、描画し易さ、広げ易さ、焼き上がり、生地の剥離・保形性、風味・食感について専門パネラー5名で評価した結果を表2に示す。
【0044】
評価の結果、実施例1〜9では、滑らかさ、描画し易さ、広げ易さ、焼き上がり、生地の剥離・保形性、風味・食感についておおむね良好であった。特に実施例1は、総合的に最良の結果を得ることが出来た。
【0045】
これに対し、比較例1〜5は、滑らかさ、広げ易さ、描き易さ、焼き上がり、生地の剥離・保形性、風味・食感のいずれかが悪かった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】