特許第5882053号(P5882053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882053
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】弾性波デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/08 20060101AFI20160225BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 41/22 20130101ALI20160225BHJP
   H01L 41/18 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   H03H3/08
   H03H9/25 Z
   H01L41/08 C
   H01L41/22 Z
   H01L41/08 L
   H01L41/18 101A
   H01L21/78 L
   H01L21/78 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-288729(P2011-288729)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-138362(P2013-138362A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】西舘 徹
【審査官】 ▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−105106(JP,A)
【文献】 特開2001−345658(JP,A)
【文献】 特開2009−206183(JP,A)
【文献】 特開2004−235705(JP,A)
【文献】 特開平02−164118(JP,A)
【文献】 特開2008−135999(JP,A)
【文献】 特開平09−331225(JP,A)
【文献】 特開2004−336503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/08
H01L 21/301
H01L 41/09
H01L 41/18
H03H 9/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上の複数の弾性波チップが形成される領域間に、前記複数の弾性波チップを分割する分割線の延伸方向に少なくとも一部の領域が延伸する金属層を形成する工程と、
前記金属層のうち前記少なくとも一部の領域にはレーザ光を照射しないように、前記圧電基板の前記分割線上にレーザ光を走査する工程と、
を含み、
前記金属層は、前記分割線の両側のうち一方に設けられた前記少なくとも一部の領域である第1領域と、前記両側のうち他方に設けられた前記少なくとも一部の領域である第2領域と、前記複数の弾性波チップが形成される領域間において前記第1領域と前記第2領域とを接続し、前記圧電基板上に形成されたIDT間には設けられていない第3領域と、を含み、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記延伸方向において重ならないように設けられていることを特徴とする弾性波デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記分割線において、前記複数の弾性波チップを個片化する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の弾性波デバイスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波デバイスの製造方法に関し、例えばレーザ光を圧電基板に照射する工程を含む弾性波デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性波を利用した弾性波デバイスは、小型軽量でかつ所定の周波数帯域外の信号に対する高減衰量を得られることから、例えば携帯電話端末などの無線機器のフィルタ等として用いられている。弾性波デバイスにおいては、圧電基板上にIDT(Interdigital Transducer)等の電極が形成されている。
【0003】
圧電基板に形成された複数の弾性波チップを個片化するために、レーザ光を圧電基板上に照射することが知られている。例えば、特許文献1には、ウエハにレーザ光を照射するレーザ加工装置が記載されている。例えば、特許文献2には、圧電基板ウエハを分割するために、レーザ光を圧電基板に照射することが記載されている。例えば、特許文献3には、半導体ウエハをテープに貼り付け、その後半導体ウエハを分割する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−100258号公報
【特許文献2】特開2001−345658号公報
【特許文献3】特開2010−182901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レーザ光を圧電基板に照射する際に、圧電基板上に形成された金属層にレーザ光を照射すると、デブリが発生し易くなる。導電性のデブリが圧電基板上の電極等上に飛散することにより、例えば電極間が短絡する。または、弾性波デバイスの特性が変化してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、導電性のデブリの飛散を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、圧電基板上の複数の弾性波チップが形成される領域間に、前記複数の弾性波チップを分割する分割線の延伸方向に少なくとも一部の領域が延伸する金属層を形成する工程と、前記金属層のうち前記少なくとも一部の領域にはレーザ光を照射しないように、前記圧電基板の前記分割線上にレーザ光を走査する工程と、を含み、前記金属層は、前記分割線の両側のうち一方に設けられた前記少なくとも一部の領域である第1領域と、前記両側のうち他方に設けられた前記少なくとも一部の領域である第2領域と、前記複数の弾性波チップが形成される領域間において前記第1領域と前記第2領域とを接続し、前記圧電基板上に形成されたIDT間には設けられていない第3領域と、を含み、前記第1領域と前記第2領域とは、前記延伸方向において重ならないように設けられていることを特徴とする弾性波デバイスの製造方法である。本発明によれば、電極間の短絡または弾性波デバイスの特性の変化を抑制することができる。
【0015】
上記構成において、前記分割線において、前記複数の弾性波チップを個片化する工程を含む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導電性のデブリの飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)および図1(b)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造工程の一部を示す平面図および断面図である。
図2図2は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
図3図3は、金属層を形成したウエハの平面図である。
図4図4は、実施例1のウエハの上面を拡大した平面図である。
図5図5(a)および図5(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
図6図6(a)および図6(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す平面図および断面図である。
図7図7(a)および図7(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その3)である。
図8図8は、実施例2のウエハの上面を拡大した平面図である。
図9図9(a)および図9(b)は、実施例2に係る弾性波デバイスの製造工程を示す平面図および断面図である。
図10図10は、実施例3のウエハの上面を拡大した平面図である。
図11図11は、実施例4のウエハの上面を拡大した平面図である。
図12図12は、実施例5に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、比較例について説明する。図1(a)および図1(b)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造工程の一部を示す平面図および断面図である。なお、ここでは、断面図においてはIDT等の電極指を図示するが、平面図においてはIDT全体を四角で図示している。図1(a)および図1(b)を参照し、サファイア基板12上に圧電基板10が貼り付けられている。圧電基板10上に複数の弾性波チップが形成される領域40が形成されている。領域40内には、圧電基板10上に電極14が形成されている。電極14は、例えばIDT等である。電極14は、配線18によりバンプ20と電気的に接続されている。
【0019】
領域40の間の圧電基板10上には金属層16が形成されている。分割線22は、圧電基板10を複数の弾性波チップに分割する予定の線である。金属層16は分割線22の延伸方向に延伸している。金属層16は、弾性波デバイスの製造工程において、圧電基板10に加わる応力により電荷が発生し、電荷が電極14に集まることにより、電極14が破壊することを抑制する機能を有する。金属層16を分割線22に沿って形成することにより、圧電効果により発生した電荷を逃がすことができる。比較例においては、金属層16内に分割線22が位置している。
【0020】
図1(b)のように、分割線22上にレーザ光24を照射し、レーザ光24を走査する。これにより、圧電基板10内に分割線22に沿って溝26を形成することができる。この溝26を用い、圧電基板10を分割する。しかしながら、レーザ光24が金属層16に照射されると、導電性のデブリ50が多く飛散する。デブリが、電極14上に付着すると、電極14間が短絡する。または、デブリにより弾性波が変調され、弾性波デバイスの周波数特性が変化してしまう。さらに、金属層16を介し溝26を形成するため、溝26が浅くなる。また、圧電基板10およびサファイア基板12内にレーザ光24の照射に起因した変質領域が形成され難い。これにより、分割線22に沿った圧電基板10の切断性が悪くなる。
【0021】
例えば、電極14上に保護膜として絶縁膜を形成した場合、デブリ50は絶縁膜上に付着する。このような場合であっても、絶縁膜が薄ければ、デブリが電極14の短絡の原因となる。また、デブリが弾性波デバイスの周波数特性の変化の原因となる。
【0022】
以下、上記問題を解決する実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
図2は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図1を参照し、ウエハ42はサファイア基板12および圧電基板10を有している。圧電基板10としては、例えばタンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム基板を用いることができる。圧電基板10の膜厚は、例えば30μmから40μm、サファイア基板12の膜厚は、例えば250μmから300μmとすることができる。サファイア基板12上に圧電基板10が貼り付けられている。圧電基板10上の複数の弾性波チップが形成される領域40内に電極14を形成する。領域40の間に金属層16を形成する。電極14と金属層16とは、例えばアルミニウム、銅等を主に含む金属である。電極14と金属層16との膜厚は、例えば1μm以下であり、例えば200nmから400nmである。電極14と金属層16とは同時に形成してもよいし、別々に形成してもよい。電極14は、例えばIDTである。電極14は、反射器を含んでもよい。図2においては、電極14として、IDTの電極指を示している。電極14および金属層16上には保護膜として絶縁膜を形成してもよい。
【0024】
図3は、金属層を形成したウエハの平面図である。図3を参照し、ウエハ42は、図2のように、サファイア基板12と圧電基板10とを張り合わせたウエハである。ウエハ42には、複数の弾性波チップとなる領域40がマトリックス状に形成されている。領域40の間に金属層16が形成されている。金属層16は、ウエハ42の端まで連続して延伸している。例えば、ウエハ42の端において、金属層16をウエハ42の裏面に電気的に接続する。これにより、弾性波デバイスの製造工程において、製造装置内のステージにウエハ42を吸着させて、各工程を行なうことにより、金属層16を接地することができる。これにより、弾性波デバイスの製造工程における、電極14の破壊を抑制できる。
【0025】
図4は、実施例1のウエハの上面を拡大した平面図である。図4を参照し、領域40には、電極14、配線18およびバンプ20が形成されている。電極14は、例えばIDTである。配線18は電極14間または電極14とバンプ20とを電気的に接続する。バンプ20は、例えばAuスタッドバンプであり、弾性波デバイスを外部とを電気的に接続するための端子である。金属層16は分割線22の延伸方向に延伸しているが、その延伸方向において、分割線22とは重なっていない。
【0026】
図5(a)および図5(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図5(a)のように、上面に電極14および金属層16が形成されたウエハ42の下面をダイシングテープ60に貼り付ける。ダイシングテープ60は、ダイシングリング62により保持されている。図5(b)のように、ウエハ42上面の圧電基板10にレーザ光24を照射する。レーザ光24は、分割線22に沿ってウエハ42上を走査される。レーザ光24を照射することにより、ウエハ42上面に溝26が形成される。また、圧電基板10およびサファイア基板12内にレーザ光24の照射に起因し基板内部の結晶が変質した変質領域27が形成される。レーザ光24の照射により、溝26および変質領域27の少なくとも一方が形成されればよい。
【0027】
図6(a)および図6(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す平面図および断面図である。図6(a)および図6(b)に示すように、金属層16にはレーザ光24を照射しないように、圧電基板10の分割線22上にレーザ光24を走査する。金属層16の分割線22からの距離Lは、例えば10μmから50μmである。距離Lは、金属層16のデブリが生成されず、かつ領域40間距離を小さくできる範囲で設定することができる。金属層16の幅Wは、例えば5μmから20μmである。集電による電極14の破壊を抑制し、かつ領域40間距離を小さくできる範囲で設定することができる。レーザ光24としては、例えばグリーンレーザを用いることができる。レーザ光24としては、例えば、Nd:YAGレーザの第2高調波を用いることができる。波長が500nm程度のレーザ光を用いることにより、圧電基板10に効率よく溝26および変質領域27を形成することができる。その他の構成は、図1(a)および図1(b)と同じであり、説明を省略する。
【0028】
図7(a)および図7(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。図7(a)に示すように、ウエハ42の上面(図7(a)では下面)に表面保護シート64を貼り付ける。ダイシングテープ60の上下を反転させ、分割線の延伸方向に延伸する溝68を有する支持ステージ66上に表面保護シート64を下にウエハ42を配置する。ウエハ42の下面(図7(a)では上面)側からブレイク刃70を矢印72のように分割線22上に押し当てる。これにより、ウエハ42に、溝26および変質領域27の少なくとも一方に沿ってクラック44が生じる。図7(b)を参照し、ウエハ42に、図3の縦方向および横方向の分割線22に沿ってクラック44を形成することにより、ウエハ42は弾性波チップ46に分割される。以上のように、分割線22において、複数の弾性波チップ46を個片化する。その後、弾性波チップ46をピックアップする。
【0029】
実施例1によれば、図4のように、金属層16を分割線22と重ならないように形成する。図6(a)および図6(b)のように、金属層16にはレーザ光24を照射しないように、圧電基板10の分割線22上にレーザ光24を走査する。このように、金属層16にレーザ光24が照射されないため、比較例の図1(b)のような導電性のデブリの飛散を抑制できる。圧電基板10は金属層16よりデブリが飛散し難い。また、デブリが飛散したとしても非導電性であり、かつ密度も小さい。よって、デブリが、電極14上に付着ことに起因する電極14間の短絡、および弾性波の変調による弾性波デバイスの周波数特性の変化を抑制できる。さらに、金属層16を介さず圧電基板10に溝26を形成するため、溝26を深く形成することができる。また、圧電基板10およびサファイア基板12内に変質領域27が形成され易い。これらにより、分割線22に沿った圧電基板10の切断性が悪化することを抑制できる。
【0030】
図3のように、金属層16は、圧電基板10の端部まで連続して延伸していることが好ましい。これにより、弾性波デバイスの製造工程における圧電効果に起因した電極14の破壊を抑制できる。また、金属層16は、ウエハ42の裏面と電気的に接続されていることが好ましい。これにより、圧電効果により生じた電荷を製造装置のステージに逃がすことができる。
【実施例2】
【0031】
実施例2は、分割線22の両側に金属層16を形成する例である。図8は、実施例2のウエハの上面を拡大した平面図である。図8に示すように、分割線22の両側に金属層16が形成されている。その他の構成は、実施例1の図4と同じであり説明を省略する。
【0032】
図9(a)および図9(b)は、実施例2に係る弾性波デバイスの製造工程を示す平面図および断面図である。図9(a)および図9(b)に示すように、レーザ光24は2つの金属層16の間に照射される。金属層16から分割線22の距離Lは、例えば10μmから50μmである。2つの距離Lは、同じでもよいし、異なっていてもよい。金属層16の幅Wは、例えば5μmから20μmである。2つの金属層16の幅は、同じでもよいし、異なっていてもよい。その他の構成は、実施例1の図6(a)および図6(b)と同じであり、説明を省略する。
【0033】
実施例1においては、金属層16が分割線22の一方にのみ設けられている。このため、ウエハ42とレーザ光24の走査方向とのアライメントが行ない難い。これに対し、実施例2のように、分割線22の両側にそれぞれ金属層16の第1領域および第2領域を形成することにより、ウエハ42とレーザ光24の走査方向とのアライメントを簡単に行なうことができる。一方、弾性波チップを形成する領域40間の距離を短縮するためには、実施例1のように、分割線22の一方のみに金属層16を設けることが好ましい。さらに、実施例1および2のように、金属層16は、分割線22の延伸方向に延伸する直線状でもよい。これにより、弾性波チップを形成する領域40間の距離を短縮することができる。直線状の範囲は、ウエハ42の端から端までの範囲でもよいし、1つの弾性波チップが形成される領域40の範囲でもよい。
【実施例3】
【0034】
実施例3は、分割線を挟んでジグザグに金属層16を形成する例である。図10は、実施例3のウエハの上面を拡大した平面図である。図10に示すように、金属層16は、第1領域16a、第2領域16bおよび第3領域16cを含んでいる。第1領域16aは、分割線22の両側のうち一方において分割線22の延伸方向に延伸する領域である。第2領域16bは、分割線22の両側のうち他方において分割線22の延伸方向に延伸する領域である。第3領域16cは、第1領域16aと第2領域16bとを接続する領域である。第1領域16aから第3領域16cにおける金属層16の幅は、互いに同じでもよいが異なっていてもよい。その他の構成は、実施例1の図4と同じであり説明を省略する。
【0035】
実施例3のように、金属層16は、分割線22の延伸方向に少なくとも一部の領域16aおよび16bが延伸していればよい。圧電基板10にレーザ光24を照射する際は、分割線の延伸方向に延伸する領域16aおよび16bにはレーザ光を照射しないようにすればよい。実施例3のように、第3領域16cにレーザ光24が照射されたとしても、レーザ光24が照射される領域は全体のごく一部のため、実施例1および実施例2と同様に、導電性のデブリの発生を抑制することができる。
【0036】
実施例3のように、前記第1領域と前記第2領域とは、前記延伸方向において重ならないように設けられている。これにより、金属層16を分割線22の両側にジグザグに形成できる。実施例2に比べ実施例3の方が、ウエハ42とレーザ光24の走査方向とのアライメントを簡単に行なうことができる。
【実施例4】
【0037】
実施例4は、第3領域16cがIDTの間に設けられていない例である。図11は、実施例4のウエハの上面を拡大した平面図である。図11に示すように、第3領域16cは、電極14(例えばIDT)の間に設けられていない。その他の構成は実施例3の図10と同じであり説明を省略する。
【0038】
第3領域16cに近い領域はデブリが飛散可能性がある。実施例4によれば、第3領域16cを、IDT間に設けていないため、IDT上へのデブリの飛散を抑制できる。また、バンプ20上に導電性のデブリが飛散した場合、バンプ20と外部との接続の密着性が悪化したり、他のバンプ20または電極14と電気的に短絡する可能性もある。よって、第3領域16cはバンプ20間に設けられていないことが好ましい。
【実施例5】
【0039】
実施例5は、ウエハが圧電基板の例である。図12は、実施例5に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面図である。ウエハ42にはサファイア基板12が設けられていない。その他の構成は、実施例1の図6(b)と同じであり説明を省略する。
【0040】
実施例1から実施例5のように、ウエハ42には圧電基板10が含まれていればよい。弾性波デバイスの例として、弾性表面波デバイスを例に説明したが、弾性波デバイスは、ラブ波デバイスまたは弾性境界波デバイスでもよい。
【0041】
実施例1から実施例5においては、弾性波チップとなる領域40の4辺全てに金属層16が形成されている例を説明したが、4辺のうち少なくとも1辺に金属層16が形成されていればよい。
【0042】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 圧電基板
12 サファイア基板
14 電極
16 金属層
16a 第1領域
16b 第2領域
16c 第3領域
18 配線
20 バンプ
22 分割線
24 レーザ光
26 溝
27 変質領域
40 弾性波チップを形成する領域
42 ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12