特許第5882057号(P5882057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882057
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】高吸収性2成分繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/06 20060101AFI20160225BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20160225BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20160225BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20160225BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20160225BHJP
   D01F 1/10 20060101ALI20160225BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20160225BHJP
   D04H 1/413 20120101ALI20160225BHJP
   D04H 1/541 20120101ALI20160225BHJP
【FI】
   D01F8/06
   A41B13/02 D
   A61F13/18 307
   B65D81/26 H
   D01F1/10
   D01F8/14 Z
   D04H1/413
   D04H1/541
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-530407(P2011-530407)
(86)(22)【出願日】2009年10月6日
(65)【公表番号】特表2012-505317(P2012-505317A)
(43)【公表日】2012年3月1日
(86)【国際出願番号】EP2009007160
(87)【国際公開番号】WO2010040500
(87)【国際公開日】20100415
【審査請求日】2011年6月13日
【審判番号】不服2014-16726(P2014-16726/J1)
【審判請求日】2014年8月22日
(31)【優先権主張番号】102008051430.6
(32)【優先日】2008年10月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505013549
【氏名又は名称】トレビラ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト、カイ
(72)【発明者】
【氏名】ダーリンガー、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】クラネルト、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニ、ベルナー
【合議体】
【審判長】 栗林 敏彦
【審判官】 渡邊 豊英
【審判官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特公平7−88603(JP,B2)
【文献】 特開2000−256920(JP,A)
【文献】 特開平8−188923(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10232078(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 8/06,A61F 13/15,A61F 13/49,A61F 13/53,B65D 81/26,D01F 1/10,D01F 8/14,D04H 1/413,D04H 1/541
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aが熱可塑性ポリマーを含有し、成分Bが熱可塑性ポリマーと部分的に中和されわずかに表面架橋されているアクリル酸の架橋ポリマーである高吸収性ポリマー(SAP)の混合物を含有する高吸収性2成分繊維であって、
(i)前記2成分繊維が、コア−シース構造を有し、前記成分Aがコアであり、前記成分Bがシースであり,
(ii)成分Bにおける熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリオレフィンポリマーであり、
(iii)成分Aにおける熱可塑性ポリマーが、溶融紡糸が可能なポリエステルポリマーであり、
(iv)成分Aにより含有される熱可塑性ポリマーの融点が、成分Bにより含有される熱可塑性ポリオレフィンポリマーの融点より少なくとも20℃以上高く、
(v)粉状化されたSAPの平均粒径D90が0.5〜10μmであり、15μmを超える粒径を有するSAPの割合は1質量%を超えず、
(vi)該混合物が0.5〜40質量%のSAP含有率を有する
ことを特徴とする高吸収性2成分繊維。
【請求項2】
粉状化されたSAPの平均粒径D90が1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の高吸収性2成分繊維。
【請求項3】
粉状化されたSAPの平均粒径D90が1〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の高吸収性2成分繊維。
【請求項4】
成分Bが1〜35質量%のSAP含有率を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高吸収性2成分繊維。
【請求項5】
成分Bが5〜30質量%のSAP含有率を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高吸収性2成分繊維。
【請求項6】
成分Aが溶融紡糸が可能なポリエステルから製造され、成分Bのポリマーがポリエチレンから製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高吸収性2成分繊維。
【請求項7】
成分Aがポリエチレンテレフタレートから製造されることを特徴とする請求項6に記載の高吸収性2成分繊維。
【請求項8】
成分Aと成分Bが供給され、同時押出し成形により2成分フィラメントに紡糸され、ドラフトされ、波形に成型され、固められることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高吸収性2成分繊維の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の高吸収性2成分繊維を含む布地表面構造。
【請求項10】
不織布であることを特徴とする請求項9に記載の布地表面構造。
【請求項11】
衛生用品における請求項9又は10に記載の布地表面構造の使用。
【請求項12】
おむつにおける請求項11に記載の布地表面構造の使用。
【請求項13】
生理用ナプキン又はパンティーライナーにおける請求項11に記載の布地表面構造の使用。
【請求項14】
食材の包装及び流体の包装における請求項9又は10に記載の布地表面構造の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高吸収性2成分繊維、その製造方法、それから製造された高吸収性織物表層構造、及び、特に衛生産業及び医療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸収性ポリマー(SAP)で高品質化された2成分繊維、及び、その不織布としての使用が、特許文献1に記載されている。該繊維はコア−シース(被覆)繊維であり、コアと、シースを形成する基本材料が、熱可塑性ポリマー、特にポリオレフィンから製造されている。コアはSAPがなく、シースはSAPを含む熱可塑性ポリマーの繊維状化合物を含有し、2成分フィラメントの断面積の10〜50%を形成する。シースを形成する該化合物は、平均粒径が1〜50μmのSAPを5〜50質量%含有する。
【0003】
2成分フィラメントの製造は、前述した2つのポリマー混合物の同時押出し成形により行われる。スパンボンド不織布は、適切な溶融紡糸工程を用い一工程段階においても得ることができる。
【0004】
しかしながら、上述した2成分繊維は、紡績特性、噴射ノズル寿命及び機械的安定性の観点から依然として改善の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE−A−10232078
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、良好な機械的安定性と良好な吸水性能を同時に満たす高吸収性2成分繊維を提供することにある。
【0007】
上記目的は、成分Aが少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含有し、成分Bが少なくとも1つの熱可塑性基本ポリマーと少なくとも1つの高吸収性ポリマー(SAP)の化合物を含有する高吸収性2成分繊維であって、
− 成分Aにより含有される熱可塑性ポリマーの融点が、成分Bにより含有される熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも20℃以上高く、
− SAPの平均粒径が0.5〜10μmであり、
− 該化合物が0.5〜40質量%のSAP含有率を有すること
を特徴とする高吸収性2成分繊維により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
「2成分繊維」との用語は、隣り合った構造又はコア−シース構造を有する2成分又は多成分繊維を意味するものと理解される。本発明によれば、コア−シース構造を有する2成分繊維が好ましく、成分Aがコアにより含有され、成分Bがシースにより含有される。
【0009】
繊維の製造に好適な高融点(mp≧100℃)を有する熱可塑性ポリマーは、好ましくは成分Aについて使用される。数ある中でも、好適なポリマー材料として、例えば、ポリヘキサメチレンアジピンアミド、ポリカプロラクタム、芳香族ポリアミドは部分的芳香族性のポリアミド(「アラミド」)等のポリアミド、ナイロン等の脂肪族ポリアミド、部分的又は全体的芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、例えば、ポリエーテルケトン(PEK)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエーテル及びケト基を有するポリマー、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられる。溶融紡糸が可能なポリエステルが好ましい。
【0010】
ポリエステル材料は、原則として、繊維製造に好適であることが知られたものであればいずれのタイプでもよい。溶融紡糸可能なポリエステルは、大部分は芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから誘導される基礎的要素からなる。一般的な芳香族ジカルボン酸ビルディングブロックは、ベンゼンジカルボン酸、特にテレフタル酸及びイソフタル酸の2価ラジカルであり、一般的なジオールは、2〜4個のC原子を有するものであり、エチレングリコール及び/又はプロパン−1,3−ジオールが特に好ましい。
【0011】
2成分繊維の成分Aが少なくとも85mol%のポリエチレンテレフタレート(PET)及び/又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなる場合には、特に有利である。次に、残りの15mol%は、いわゆる調整剤として作用するジカルボン酸部位とグリコール部位により形成され、特に製造されたフィラメントの物理的及び化学的特性を当業者が制御することを可能とする。そのようなジカルボンサン部位の具体例としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のイソフタル酸又は脂肪族ジカルボン酸のラジカルが挙げられ、調整作用を有するジオールラジカルの具体例としては、例えば、プロパンジオール又はブタンジオール、ジエチレン又はトリエチレングリコール、又は、微量に存在する場合には、約500〜2000の分子量を有するポリグリコール等の、より長鎖のジオールのラジカルが挙げられる。
【0012】
少なくとも95mol%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリエステルは、成分Aとして特に好ましく、特に修飾されていないPETからなるポリエステルが好ましい。
【0013】
そのようなポリエステルは、通常、25℃においてジクロロ酢酸中の溶液で測定した場合に、0.4〜1.4(dl/g)の固有粘度(IV)に相当する分子量を有する。
【0014】
成分Bとして好適な熱可塑性基本ポリマーは、ポリオレフィン(好ましくはポリエチレン及び/又はポリプロピレン)、もしくは、コポリエステルであり、成分Aにより含有される熱可塑性ポリマーの融点が、成分Bにより含有される熱可塑性ポリマーの融点より少なくとも20℃以上高い。上述したポリマーとして、ホモポリマー又はコポリマーを単独で使用してもよく、及び/又は、それらの混合物の形態として使用してもよい。基本ポリマーとしてポリエチレン(PE)が好適に使用される。慣習的に、特に商業的に入手可能なポリエチレンの等級が使用され得る。これらには、特に、例えばHDPE、LDPE及び/又はLLDPE等の繊維を形成する線状エチレン重合体が含まれる。そのようなエチレン重合体が、国際公開第2004/033771に開示されている。
【0015】
アクリル酸の架橋ポリマー(部分的に中和され、わずかに表面架橋されている)は、その多様な質量の1000倍までの質量を流体(例えば、水又は体液)において、ゲルを形成しながら吸収することができ、また加圧下で貯蔵することもできるSAPという。本発明において使用することができるSAPの選択は制限されるものではない。例えば、ブランドのFAVOR(Evonikの登録商標)、OASIS SAF(Technical Absorbents Ltd.の登録商標)、Luquasorb(BASFの登録商標)、Aquakeep、Norsocryl(Arkemaの登録商標)、及び/又は、AQUALIC CA(Nippon Shokubaiの登録商標)等の高吸収体のように、一般的に高吸収体とされるものはSAPとして用いることができる。
【0016】
本発明において使用されるSAPは、溶融紡糸工程に関しては、十分な熱安定性を有することが好ましい。本発明において使用されるSAPの場合は、一般的な研削法により、好ましくは1μm〜10μm、特に好ましくは1μm〜5μmの平均粒径(=D90)に粉状化される。その中に含まれる15μmを超える粒径を有するSAPの割合は、その存在により該紡糸工程が妨害されることのないよう1質量%を超えてはいけない。平均粒径の決定は、ISO 13320−1に従いレーザー光散乱法により行われる。例えば、Microtrac S 3500は、粒径分析のための測定装置として好適である。
【0017】
粉状化された高吸収体(SAP)は、例えば、混合押出機により成分Bの基本ポリマー中に混合される。この混合物は、充填度に応じて、成分Bのマスターバッチ(masterbatch)として供されるか、あるいは唯一の原材料として供される。この混合物におけるSAPの含有率は、通常、0.5〜40質量%であり、好ましくは1〜35質量%であり、特に好ましくは5〜30質量%である。
【0018】
本発明の2成分繊維の製造は、常法に従い行うことができる。初めに、成分A及びB(すなわち、上述した化合物)が提供され、同時押出し成形により2成分フィラメントに紡がれる。このためには、適切な噴射ノズルを具備する慣習的な装置が使用される。噴射ノズル口領域における出口速度は、上述した番手を有する繊維が形成されるよう紡糸速度に合わせられる。
【0019】
同時押出し成形は、前記化合物(すなわち、成分B)が、2成分フィラメントの断面積の20−80%を形成するような態様で実施される。
【0020】
紡糸速度とは、固まったストランドが取り除かれる速度を意味するものと理解される。そのように取り除かれたストランドは、直接ドラフティングに供給されてもよいし、巻きつけられ又は寝かされ、時がたった後の時点においてドラフトされてもよい。常法に従いドラフトされた繊維及びフィラメントは、次いで、波形に成形され、固められ、所望とする長さの短繊維にカットされる。
【0021】
本発明に係る2成分繊維の一番手は、最終形態において、0.9−30dtexであり、好ましくは0.9−13dtexである。SAPの早期の膨潤を抑止するために、膨潤能が無視できるほど小さい非水基準又はシステムにおいて紡績準備及びつや出し加工(例えば、塩の添加による)が使用される。
【0022】
本発明の目的と同様である、対応する高吸収性布地表面構造を、本発明に係る高吸収性2成分繊維から製造することができる。
【0023】
本書類の内容において、「布地表面構造」との用語は、最も広義の意味と解釈される。表面形成技術に従い製造される本発明の繊維を含むものであればいずれの構造であってもよい。そのような布地表面構造の例としては、織物、敷物、編地、ニットウエア、並びに、好ましくは不織布の表面構造が挙げられる。

【0024】
本発明に係る不織布は、連続合成繊維又は短繊維から形成することができる。本発明に係る高吸収性2成分短繊維が不織布用として好適に使用され得る。上述した短繊維の長さは、通常は1〜200mmであり、好ましくは3〜120mmであり、特に好ましくは3〜60mmである。
【0025】
本発明の他の態様において、布地表面(特に不織布)はまた、ホットメルト結合剤により固められ得る。このため、熱可塑性の繊維形成ポリマーから誘導され得る担体及びホットメルト繊維が更に加えられる。また、担体繊維は非溶解性の繊維形成ポリマーからも誘導され得る。そのようなホットメルト結合剤により固められたスパンボンド不織布が、例えば、EP−A−0446822及びEP−A−0590629に記載されている。
【0026】
担体繊維を誘導し得るポリマーの例としては、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6.6等の脂肪族ポリアミド、溶解性を改善するために芳香族m−ジアミン部位を含むポリ−(p−フェニレン テレフタレート)又は共重合体、又はポリ−(m−フェニレン イソフタレート等の芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリ−(p−ヒドロキシベンゾエート)等の芳香族ポリエステル、又は、好ましくはポリエチレンテレフタレート等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。
【0027】
追加の担体及びホットメルト繊維の相互の割合は、幅広い範囲から選択することができ、ホットメルト繊維の割合が、担体とホットメルト繊維を結合することにより所望される使用に十分な強度を達成するのに必要な割合で選択される。不織布中のホットメルト繊維から誘導されたホットメルトの割合は、不織布の質量を基準として、通常は50質量%未満である。
【0028】
不織布の原材料に比べ10〜50℃、好ましくは30〜50℃低い融点を有する修飾ポリエステルが特にホットメルトとして考慮される。そのようなホットメルトの具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、又は濃縮長鎖ジオール及び/又はイソフタル酸又は脂肪族ジカルボン酸で修飾したポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0029】
本発明の繊維から製造された布地表面構造はまた、機械的及び/又は化学的強化が施され得る。この強化は、公知の方法により実施することができる。適用可能な方法を制限するものではないが、ニードリング(needling)など、特に繊維を膨潤させない流体を使用した流体力学的強化などの機械的強化方法、並びに、化学的及び/又は熱可塑性法が好適である。
【0030】
布地表面構造の熱的強化は、一般に、本発明に含まれる2成分繊維の熱溶解性能を介して行われる。更に、布地表面構造はまた、化学結合により更に強化され得、特にアクリレート又はスチレンに基づく化学結合により強化され得る。
【0031】
布地表面構造は、1層又はいくつかの層により形成され得、少なくとも1層は本発明の繊維を含有する。
【0032】
本発明の2成分繊維から製造された不織布は、高吸収性ポリマーの水吸収性能を有する2成分短繊維の機械的安定性と熱溶解結合性能を組み合わせた利点を有する。
【0033】
SAPの高含有量とそれによる流体の吸収性能のため、本発明の2成分繊維から製造された不織布は、衛生産業及び医療における使用に有利に用いられる。更に、これらは、食材の特別な包装、流体を包装するための流出防止や、水分が敬遠される技術分野において使用され得る。
【0034】
そのような不織布の使用は、おむつ、失禁用製品、生理用ナプキン等の衛生用品において特に重要な意義を有する。日常使用されるこれらの製品において、汚水で処理され、それが下水道を詰まらせることはしばしば起こっている。
【0035】
10〜35質量%、好ましくは15〜30質量%、特に好ましくは20〜30質量%の好適な充填度(成分Bの基本ポリマーにおけるSAP含有量)を選択することにより、本発明の不織布の不織布構造は、SAPが膨潤したときに接着点が剥がれて破壊されることが可能となる。これを通して、製品は個々の繊維に大きく破壊され、それが下水道に処分されたときでさえ、下水道を詰まらせないという利点を有する。
【0036】
本発明によれば、10〜35質量%の充填度を有し、成分(成分B)が2成分フィラメントの断面積の20〜80%を形成し、SAPの平均粒径(D90)が1〜10μmであり、短繊維の長さが3〜60mmである2成分繊維が好ましい。
【0037】
本発明は、本発明の範囲を制限するものではない以下の例により、更に明確なものとなる。
【実施例】
【0038】
コア−シース(被覆)2成分繊維の製造例
慣習的に用いられるEvonik由来の高吸収性FAVOR4000を、流動床対向噴流ミルで、ISO13320−1に従いMicrotrac S 3500測定装置を用いてレーザー光散乱により決定される粒径d90<10μmに粉砕する。粉砕された高吸収体は、LLDP中にシースポリマーとして混合押出機により30質量%で混合される。
【0039】
コア成分用の原材料として100kgの標準PET(IV=0.65+/−0.05dl/g)が、SAP含有LLDPEシース化合物と共に常法で2成分短繊維に紡がれる。SAPの早期の膨潤を防止するため、紡績調製においてエステル油が使用される。紡績された産物は、更に加工されるまで紡績缶に置かれる。
【0040】
寸法短繊維は、ドラフティング、波形形成、及び熱処理により繊維搬送ライン上で紡績産物から製造される。この終わりまでに、紡績産物は格子(grate)を介してファイバーケーブルとして集められ、7つの回転ロールからなる第1のセプテットにより引き込まれ、第2のセプテットにおいて調整され、再度エステル油で調製される。
【0041】
ドラフティングは、このセプテットの6番目又は7番目のロール、又はこのセプテットと該ドラフティングのファクターより早い速度で作動している他のセプテットとの間で実施される。次いで、繊維はクリンピングチェンバー内で波型形成され、100℃のオーブン中に配置又は乾燥され、6mmの長さに切断される。