(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンパクトに折畳可能な収納ボックスでは、略長方形板状の底壁部と、底壁部の外周縁に対して蝶番のようなヒンジを利用して連結される4つの長方形板状の側壁部と、を備えて構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。この収納ボックスでは、折畳時、底壁部の外周縁の短辺側の二つの側壁部を、底壁部上に倒し、それらの側壁部の上面側に、底壁部の外周縁における残りの長辺側の二つの側壁部を、倒すことにより、コンパクトな形状に折り畳めた。そして、使用時には、各側壁部を起こして、隣接する側壁部の縁相互を所定のピンにより係合させて側壁部が倒れないようにして、直方体の箱形状に形成していた。また、この収納ボックスの底壁部は、鮮魚を運搬する等の使用時のために解けた氷水を溜め、そして、所定の開口から排水できるように、トレイ形状に形成されていた。なお、この収納ボックスでは、底壁部や側壁部の壁部位が、ヒンジにおけるヒンジピンを挿入させるスリーブ部を含めて、合成樹脂材料を利用した射出成形により、剛性を確保可能な板状に、形成されていた。
【0003】
また、壁部位が射出成形により形成される収納ボックスとしては、コンパクトに折り畳む際、長方形板状の底壁部の短辺側の側壁部を、ボックス自体の長方形の開口枠に設けたヒンジを利用して、下端から底壁部の中心側に引き込み、そして、底壁部の長辺側の二つの側壁部の上下方向の高さの略1/2の部位を、底壁部の中心側に折り込んで、折り畳むものもあった(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、収納ボックスとしては、内側容器が、合成樹脂製のシート材を利用して、トレイ形状の底壁部と、底壁部の外周縁の4辺から外方に延びる4つの側壁部と、を備えて構成されるものもあった(例えば、特許文献3参照)。この内側容器は、コンパクトに折り畳めるものではないものの、トレイ形状の底壁部と4つの側壁部とを、略平らな一枚のシート状に成形し、各側壁部を起こして、隣接する側壁部の縁相互を、所定の嵌合用凹凸部の嵌合により、結合させて、直方体の箱形状としていた。
【0005】
さらに、底壁部が、トレイ形状ではないものの、底壁部と4つの側壁部とを、略平らな一枚のシート状に成形し、各側壁部を起こして、隣接する側壁部の縁相互を、所定の嵌合用凹凸部の嵌合により、結合させて、直方体の箱形状として使用する収納ボックスもあった(例えば、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1,2の収納ボックスでは、底壁部や側壁部の壁部位が、ある程度の剛性を有するように、厚肉に形成されており、重くなっていた。さらに、これらの側壁部を回転させるヒンジが、蝶番のような構造であり、底壁部や側壁部を射出成形により形成する型構造が複雑となるとともに、一層、厚肉となって、重量増加を招いていた。
【0008】
また、特許文献3の収納ボックスの内側容器や特許文献4の収納ボックスでは、単に、底壁部と側壁部とを一体的なシート状に成形してなるものであり、軽量である。しかし、これらの収納ボックスは、シート状に成形した底壁部と側壁部との境界部位を折り曲げて、隣接する側壁部の縁相互を、所定の嵌合用凹凸部の嵌合により、結合させて、荷物を収納可能な箱形状に形成するものであった。すなわち、これらの内側容器や収納ボックスでは、底壁部と側壁部とを一体的にシート状に形成し、さらに、側壁部の縁には、側壁部自体の縁から、その高さ方向の全域において、インテグラルヒンジ部を介在させて、嵌合用凹凸部を設ける結合代を、外方に突出させるように延設していた。そのため、側壁部を底壁部側の底壁部上に折ってコンパクトに折り畳もうとすれば、側壁部自体の縁からヒンジ部を介在させて突出する結合代が、はみ出たり、あるいは、折り重なることなって、コンパクトに折り畳めない。
【0009】
そしてさらに、車両のラッゲジカーペットやフロアカーペット上において使用する場合には、発車時や停車時に滑らないことも必要となる。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、軽量で、かつ、不使用時に、極力、コンパクトに折り畳め、さらに、車両の床面に載置しても好適に使用できる収納ボックスを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る収納ボックスは、車両の床面に載置させて使用可能な略長方形状の底壁部と該底壁部の外周縁から上方に延びる四つの側壁部とを有してなる収納ボックスであって、
前記底壁部と前記側壁部とが、それぞれ、合成樹脂製のシート材から形成されるとともに、
前記底壁部が、底板部と該底板部の外周縁から略四角筒形状に立ち上がる縦板部とを備えたトレイ形状として、前記縦板部の上端に、前記各側壁部の下端を結合させる鍔状の取付座を配設させて構成され、
前記各側壁部が、それぞれ、下端の結合部近傍にインテグラルヒンジ部を配設させるとともに、該インテグラルヒンジ部を中心として回転させることにより、前記底壁部上に重ね可能として、前記結合部を前記底壁部の取付座に結合させて、配設され、
隣接する前記側壁部の縁相互を連結解除可能に連結する連結具が、隣接する前記側壁部の縁相互の間に、配設されるとともに、
前記連結具が、隣接する前記側壁部の縁側端面を突き合わせるように、連結する構成とし、さらに、
前記底壁部が、滑り止め用の凹凸面を下面に設けて、構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る収納ボックスは、隣接する側壁部の縁相互の連結を解除して、各側壁部の下端の結合部近傍のインテグラルヒンジ部を中心として回転させれば、各側壁部を底壁部上に重ねることができる。その際、隣接する側壁部の縁相互が、側壁部に設けられた連結具を利用して、突き合わされるように連結される構成であって、側壁部自体から結合代を延設させるようにはみ出させる構成でないことから、連結具を嵩張らないように構成すれば、各側壁部を底壁部上に折り重ねる際、側壁部自体に周囲に大きくはみ出る部位がなく、極力、コンパクトに折り畳むことができる。また、折畳時の回転中心が、インテグラルヒンジ部から形成されており、従来の蝶番のような構成で無く、各壁部を合成樹脂製のシート材から形成していることと相俟って、嵩張らず、軽量に構成できる。
【0013】
また、本発明に係る収納ボックスでは、底壁部が、底板部と底板部の外周縁から略四角筒形状に立ち上がる縦板部とを備えたトレイ形状としており、水滴や砂の付いた荷物を収納しても、底壁部が、縦板部で囲った内側の底板部上にそれらの水滴や砂を溜めておくことができることから、車両の床面を汚さずに使用できる。
【0014】
さらに、本発明に係る収納ボックスでは、底壁部が、滑り止め用の凹凸面を下面に設けて、構成されており、車両のラッゲジカーペットやフロアカーペット上に載置しても、発車時や停車時、あるいは、コーナリング時に滑り難く、好適に使用することができる。
【0015】
したがって、本発明に係る収納ボックスは、軽量で、かつ、不使用時に、極力、コンパクトに折り畳め、さらに、車両の床面に載置して好適に使用できる。
【0016】
また、本発明の収納ボックスでは、各側壁部の下端の結合部を底壁部の鍔状の取付座に結合させて製造されており、底壁部と各側壁部とを一体的な一枚のシート状として成形するのではないことから、各側壁部を底壁部の鍔状の取付座に結合する作業が加わるものの、省スペースで簡便に製造することができる。ちなみに、従来のような底壁部と各側壁部とを一体的な一枚のシート状として成形する場合には、そのシート形状がトレイ形状の底壁部と各側壁部とを連ならせて平らに展開された形状となって、大きな外形寸法となって、トレイ形状等を賦形する金型が大型化してしまい、簡便に製造し難い。
【0017】
更に、本発明に係る収納ボックスでは、前記各側壁部は、下端の前記結合部を、先端を外向きに折曲させて前記取付座上に当てる状態として、前記取付座に結合させ、
前記インテグラルヒンジ部は、前記取付座の内側の縁付近に配設させ
る。
【0018】
このような構成では、結合部が、先端を外向きに折曲させて、底壁部の取付座に結合されており、収納ボックスを折り畳む際における各側壁部を底壁部上に重ねる際、結合部付近のインテグラルヒンジ部では、取付座から底壁部の中央側に掛けて、単に、真直ぐ伸ばすだけでよいことから、各側壁部を、一層、嵩張らせずに、底壁部上に、重ねることができて、コンパクトに畳むことができ、不使用時、畳んだ収納ボックスを積み重ねて収納しても、嵩張らずに収納することができる。
【0019】
なお、底壁部と各側壁部とを連ならせた一体的な一枚のシート状として収納ボックスを成形する場合には、側壁部を底壁部上に畳もうとする時、底壁部と側壁部とが平らに連なった成形時の状態から、インテグラルヒンジ部を曲げて、180°反転させるように折り畳まなければならず、側壁部が曲げ前の状態に復元し易く、コンパクトに折り畳み難い。
【0020】
また、本発明に係る収納ボックスでは、前記底壁部と前記側壁部とは、それぞれ、補強用のビードを設けるように、合成樹脂製のシート材をヒートプレス成形して、形成するとともに、
少なくとも、前記底壁部は、前記凹凸面を形成可能な凹凸を設けた板状材を下面に積層させつつ、ヒートプレス成形して、形成することが望ましい。
【0021】
このような構成では、ビードにより、収納ボックスとしての箱形状の形状保持性を、一層、向上させることができる。勿論、底壁部や側壁部は、ビードを設けるように構成しても、所定の合成樹脂製のシート材を単に所定の金型を利用したヒートプレス成形するだけで、形成できることから、収納ボックスを簡便に製造することができる。
【0022】
さらに、底壁部は、その下面に凹凸面を設ける構成としても、単に、凹凸を設けた板状材を積層させるだけのヒートプレス成形により、簡単に、形成できて、一層、収納ボックスを簡便に製造することができる。
【0023】
さらに、本発明に係る収納ボックスでは、前記連結具は、隣接する前記側壁部の縁に沿ってスライダを上下させることにより、隣接する前記側壁部の縁相互の連結と連結解除とを行い可能なスライドファスナから形成することが望ましい。
【0024】
このような構成では、スライドファスナのスライダを、隣接する側壁部の縁相互の下端付近から上方に引っ張り上げれば、隣接する側壁部相互を立たせて、収納ボックスとして使用できる。逆に、そのスライダを引き下げれば、隣接する側壁部の縁相互の連結を解除できて、それぞれ、側壁部を底壁部上に倒せば、収納ボックスをコンパクトに折り畳むことができる。すなわち、上記のような構成では、簡単に、隣接する側壁部相互の連結と連結解除とを行うことができる。
【0025】
また、連結具が、スライドファスナであれば、スライダを引っ張り上げることにより、側壁部の縁の全域を隣接する側壁部の縁と連結できて、側壁部相互の連結強度を向上させることができ、収納ボックスとしての箱形状の形状保持性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の収納ボックス10は、
図1〜3に示すように、車両1のラッゲジカーペット2等の床面に載置させて使用するものであり、略長方形状の底壁部11と、底壁部11の外周縁から上方に延びる四つの側壁部22と、を有して、上方に開口10aを設けてなる略直方体形状としている。
【0028】
底壁部11は、長方形板状の底板部12と、底板部12の外周縁から略四角筒形状に立ち上がる縦板部13と、を備えたトレイ形状としており、さらに、縦板部13の上端には、各側壁部22の下端22bを結合させる鍔状の取付座14が、外方へ突出するように配設されている。さらに、底壁部11は、滑り止め用の凹凸面11bを下面11aに設けて構成されている。なお、取付座14の上面14aは、4つの直線部14bと、直線部14b間の略1/4円弧状のコーナ部14cとから構成され、各側壁部22の下端22bは、厳密には、直線部14bに結合されている。
【0029】
そして、底壁部11と各側壁部22とは、所定の合成樹脂製のシート材16,25をヒートプレス成形して、湾曲した断面U字状のビード(リブ)20,29を形成しつつ、所定形状に賦形されている。シート材16,25は、それぞれ、ポリエステル繊維布等からなるファブリック層17,26と、ポリエチレン等からなる独立発泡として軽量で防水性を有した板状のベース層18,27と、ポリエチレン等からなる網状として凹凸を有した板状材19,28、との三層構造として、これらのヒートプレス成形により、各層が接着されつつ所定形状に賦形されている。なお、ヒートプレス成形時には、各層の間に、適宜、接着剤を塗布しておく。
【0030】
そして、底壁部11では、下面11a側にシート材16の板状材19が露出するように、板状材19がベース層18に積層されて形成され、凹凸面11bが板状材19から形成されている。底壁部11に形成されるビード20は、底壁部11の剛性を高めるように、底板部12の部位に、平面視でX字状やL字状とした種々の形状として、複数配設されている。
【0031】
また、側壁部22では、収納ボックス10の内側となる内側部30と、収納ボックス10の外側となる外側部31と、を備えた長さ寸法で賦形され、収納ボックス10の開口10aの周縁となる側壁部22の上端22aで折り返して形成されている。なお、内側部30は、平板状とし、外側部31には、底板部12に沿って延びる複数のビード29が、上下に並設されて外表面側に露出するように、配設されている。
【0032】
そして、各側壁部22では、下端22bに、底壁部11の取付座14の上面14aにおける各直線部14bに結合される帯状の結合部24が形成されている。結合部24は、外側部31の下端で外向きに曲がるように形成され、取付座14の上面14aに当てて、結合手段としての縫合糸33の縫合により、取付座14に結合されている。
【0033】
なお、各側壁部22は、上端22a付近と内側部30の下端30a付近との部位で、内側部30と外側部31とが、結合手段としての縫合糸33の縫合により、結合されている。
【0034】
そして、各側壁部22は、下端の結合部24近傍、詳しくは、外側部31の下端の結合部24との境界部位であって取付座14の内側縁14d付近に、折り曲げ可能なインテグラルヒンジ部31aが形成されている。そして、各側壁部22(詳しくは、ヒンジ部31aの上方の本体部23)は、それぞれ、ヒンジ部31aを回転中心として回転させることにより、底壁部11上に重ね可能としている。
【0035】
なお、各側壁部22のヒンジ部31aからの上方の本体部23の高さ寸法は、各側壁部22を底壁部11上に重ねるように畳む際に、底壁部11からはみ出ず、かつ、前後左右で対向する側壁部22相互が、円滑に重ね可能な寸法に設定されている。
【0036】
また、各側壁部22の内側部30の下端30aは、側壁部22を底壁部11上に重ねるように、ヒンジ部31aを伸ばす際、底壁部11の縦板部13の内側、換言すれば、取付座14の内側に位置するように、設定され、極力、底壁部11上に重ねる側壁部22が嵩張らないように構成されている。
【0037】
さらに、隣接する側壁部22の縁22c相互の間には、隣接する縁22c相互を連結する連結具35が、配設されている。この連結具35は、連結する縁22c相互の連結を解除可能に連結するものであり、特に、隣接する側壁部22の縁22c側の端面22d相互を突き合わせるように、連結するものであって、実施形態の場合、スライドファスナから構成されている。
【0038】
このスライドファスナ35は、隣接する側壁部22の縁22c相互に、スライドファスナ35の一対のエレメント37を取り付けたテープ36の片縁部36aを、それぞれ、縫合等により結合させている。そして、このスライドファスナ35では、側壁部22の上端22a近傍から下端22b近傍まで、内側部30と外側部31との間に挟持されて、テープ36が取り付けられている。さらに、スライドファスナ35は、開口10aから離れた下端側の端末部35aが、側壁部22の下端22bから下がる位置、換言すれば、取付座14の上面14aから若干下がる位置に配置されている。
【0039】
このスライドファスナ35では、スライダ38を引き上げれば、隣接する側壁部22の縁22c相互が連結され、スライダ38を引き下げれば、隣接する側壁部22の縁22c相互が、連結解除されることとなる。そして、隣接する側壁部22の縁22c相互の連結解除時には、隣接する側壁部22の下端22b相互が、スライドファスナ35の端末部35aで連結されているものの、端末部35aが、取付座14の上面14aから若干下がる位置に配置されていることから、各側壁部22を底壁部11上の重ねる際には、下げたスライダ38を配置させた端末部35a付近が取付座14のコーナ部14c付近の内側で取付座14と干渉すること無く、円滑に撓んで、嵩張ること無く、各側壁部22を底壁部11上に重ねることが可能となる。
【0040】
さらに、各側壁部22が、両側の縁22cの端面22d間の長さ寸法L1を、底壁部11の取付座14における各側壁部22を結合させるための対応した直線部14bの長さ寸法L0と略等しくしており、各側壁部22を底壁部11上に重ねるように畳む際、側壁部22の下端22b近傍(ヒンジ部31a近傍)の縁22c相互が重ならず、各側壁部22を、嵩張ること無く奇麗に、畳むことができる。
【0041】
そして、実施形態の収納ボックス10では、スライダ38を引き下げて、隣接する側壁部22の縁22c相互の連結を解除して、
図4のA,B,Cに示すように、各側壁部22の下端22bの結合部24近傍のヒンジ部31aを伸ばすように回転させれば、各側壁部22を底壁部11上に重ねることができる。その際、隣接する側壁部22の縁22c相互が、側壁部22に配設された連結具35を利用して、突き合わされるように連結される構成であって、側壁部22自体から結合代を延設させるようにはみ出させる構成でないことから、連結具35を嵩張らない構成とすれば、各側壁部22を底壁部11上に折り重ねる際、側壁部22自体に周囲に大きくはみ出る部位がなく、極力、コンパクトに折り畳むことができる。
【0042】
また、実施形態では、各側壁部22の折畳時における回転中心が、インテグラルヒンジ部31aから形成されており、従来の蝶番のような構成で無く、各壁部11,22を合成樹脂製のシート材16,25から形成していることと相俟って嵩張らず、軽量に構成できる。
【0043】
さらに、実施形態の収納ボックス10では、底壁部11が、底板部12と底板部12の外周縁から略四角筒形状に立ち上がる縦板部13とを備えたトレイ形状としており、水滴や砂の付いた荷物を収納しても、底壁部11が、縦板部13で囲った内側の底板部12上にそれらの水滴や砂を溜めておくことができることから、車両1のラッゲジカーペット2の床面を汚さずに使用できる。
【0044】
さらにまた、実施形態の収納ボックス10では、底壁部11が、滑り止め用の凹凸面11bを下面11aに設けて、構成されており、車両1のラッゲジカーペット2やフロアカーペット上に載置しても、発車時や停車時、あるいは、コーナリング時に滑り難く、好適に使用することができる。
【0045】
したがって、実施形態の収納ボックス10は、軽量で、かつ、不使用時に、極力、コンパクトに折り畳め、さらに、車両1の床面に載置して好適に使用できる。
【0046】
また、実施形態の収納ボックス10では、各側壁部22の下端の結合部24を底壁部11の鍔状の取付座14に結合させて製造されており、底壁部11と各側壁部22とを一体的な一枚のシート状として成形するのではないことから、各側壁部22を底壁部11の鍔状の取付座14に結合する作業が加わるものの、省スペースで簡便に製造することができる。ちなみに、従来のような底壁部と各側壁部とを一体的な一枚のシート状として成形する場合には、そのシート形状がトレイ形状の底壁部と各側壁部とを連ならせて平らに展開された形状となって、大きな外形寸法となって、トレイ形状等を賦形する金型が大型化してしまい、簡便に製造し難い。
【0047】
そして、実施形態の収納ボックス10では、各側壁部22は、下端22bの結合部24が、先端を外向きに折曲させて取付座14の上面14aに当てる状態として、取付座14に結合させ、インテグラルヒンジ部31aが、取付座14の内側の縁14d付近に配設されている。
【0048】
そのため、実施形態の収納ボックス10では、結合部24が、先端24aを外向きに折曲させて、底壁部11の取付座14に結合されており、収納ボックス10を折り畳む際における各側壁部22を底壁部11上に重ねる際、結合部24付近では、略1/4円弧状の略90°で曲がっていたヒンジ部31aを、単に、取付座14から底壁部11の中央側に掛けて、真直ぐ伸ばすだけでよいことから、各側壁部22を、一層、嵩張らせずに、底壁部11上に、重ねることができて、コンパクトに畳むことができ、不使用時、畳んだ収納ボックス10を積み重ねて収納しても、嵩張らずに収納することができる。
【0049】
なお、実施形態と相違して、底壁部と各側壁部とを連ならせた一体的な一枚のシート状として収納ボックスを成形する場合には、側壁部を底壁部上に畳もうとする時、底壁部と側壁部とが平らに連なった成形時の状態から、インテグラルヒンジ部を曲げて、180°反転させるように折り畳まなければならず、側壁部が曲げ前の状態に復元し易く、コンパクトに折り畳み難い。
【0050】
また、実施形態では、結合部24を取付座14に結合させたり、内側部30と外側部31との結合等に、縫合糸33を使用した縫合により、結合させた場合を示したが、熱融着や接着剤を利用した接着、あるいは、リベット留めやハトメ止め等によって、結合させたり、あるいは、適宜、それらの結合構造を併用してもよい。
【0051】
さらに、結合部24の取付座14への結合作業は、各結合部24を鍔状に突出した取付座14に対して、縫合等により結合することとなって、各側壁部22における本体部23と結合部24とを平らにした状態で、その結合部24を底壁部の取付座14の上面14aに、単に載せるだけで行なえることから、容易に行なえる。
【0052】
さらに、実施形態の収納ボックス10では、底壁部11と側壁部22とが、それぞれ、補強用のビード20,29を設けるように、合成樹脂製のシート材16,25をヒートプレス成形して、形成されるとともに、少なくとも、底壁部11が、凹凸面11bを形成可能な凹凸を設けた板状材19,28を下面11aに積層させつつ、ヒートプレス成形して、形成されている。
【0053】
そのため、実施形態の収納ボックス10では、ビード20,29により、収納ボックス10としての箱形状の形状保持性を、一層、向上させることができる。勿論、底壁部11や側壁部22は、ビード20,29を設けるように構成しても、所定の合成樹脂製のシート材16,25を単に所定の金型を利用したヒートプレス成形するだけで、形成できることから、収納ボックス10を簡便に製造することができる。
【0054】
さらに、底壁部11は、その下面11aに凹凸面11bを設ける構成としても、単に、凹凸を設けた板状材19,28を積層させるだけのヒートプレス成形により、簡単に、形成できて、一層、収納ボックス10を簡便に製造することができる。
【0055】
そしてさらに、実施形態の収納ボックス10では、連結具35が、隣接する側壁部22の縁22cに沿ってスライダ38を上下させることにより、隣接する側壁部22の縁22c相互の連結と連結解除とを行い可能なスライドファスナ35から形成されている。
【0056】
そのため、実施形態の収納ボックス10では、スライドファスナ35のスライダ38を、隣接する側壁部22の縁22c相互の下端22b付近から上方に引っ張り上げれば、隣接する側壁部22相互を立たせて、収納ボックス10として使用できる。逆に、そのスライダ38を引き下げれば、隣接する側壁部22の縁22c相互の連結を解除でき、その後、それぞれ、側壁部22を底壁部11上に倒せば、
図4のCに示すように、収納ボックス10をコンパクトに折り畳むことができる。すなわち、上記のような構成では、簡単に、隣接する側壁部22相互の連結と連結解除とを行うことができる。
【0057】
また、連結具35が、スライドファスナ35であれば、スライダ38を引っ張り上げることにより、側壁部22の縁22cの全域を隣接する側壁部22の縁22cと連結できて、側壁部22相互の連結強度を向上させることができ、収納ボックス10としての箱形状の形状保持性を良好にすることができる。
【0058】
なお、実施形態では、隣接する側壁部22自体の縁22cの端面22dを突き合わせるように、連結する連結具として、スライドファスナ(線ファスナ)35を例示したが、実施形態のように、側壁部22が、その縁22cを底壁部11の取付座14におけるコーナ部14cに大きく進入させず、その長さ寸法L1を取付座14の直線部14bの長さ寸法L0程度以内で構成され、かつ、連結具35が、側壁部22自体から延設されるように大きく突出せず、折り畳み時に底壁部11の取付座14の内側にエリア内に折り曲げ等して収納可能な大きさであれば、
図5に示す収納ボックス10Aのように、面ファスナ45を使用しても良い。この面ファスナ45では、一方の側壁部22にテープ材(帯材、ベルト材)46を固着させて、テープ材46の先端と連結する他方の側壁部22とに、対応する雄側材47と雌側材48とが配設されて、構成されている。この収納ボックス10Aでは、隣接する側壁部22の縁22c相互の連結時には、側壁部22相互を引き起こして、面ファスナ45の相互に係合する雄側材47と雌側材48とを張り合わせればよく、そして、縁22c相互の連結解除時には、雄側材47と雌側材48とを剥がせばよく、そしてその後、曲げていたヒンジ部31aを真直ぐ伸ばすようにして、取付座14の内側のエリアにテープ材46を収納しつつ、側壁部22を底壁部11上に倒せば、コンパクトに収納ボックス10Aを畳むことができる。
【0059】
さらに、
図6に示す収納ボックス10Bのように、クリップ構造の連結具55としてもよい。この連結具55は、一方の側壁部22にテープ材(帯材、ベルト材)56を固着させて、テープ材56の先端の係合孔57に挿入係止される係止ピン58が、他方の側壁部22に設けられて構成されている。この収納ボックス10Bでは、隣接する側壁部22の縁22c相互の連結時には、テープ材56の係合孔57に係止ピン58を挿入係止させればよく、そして、縁22c相互の連結解除時には、係合孔57から係止ピン58を外せばよく、そしてその後、曲げていたヒンジ部31aを真直ぐ伸ばすようにして、取付座14の内側のエリアにテープ材56を収納しつつ、側壁部22を底壁部11上に倒せば、コンパクトに収納ボックス10Bを畳むことができる。
【0060】
なお、
図5に示す連結具としての面ファスナ45や
図6の連結具55に関し、側壁部22のコンパクトな折り畳みに支障がなければ、
図5や
図6の二点鎖線に示すように、面ファスナ45や連結具55を上下方向に長く形成してもよい。
【0061】
また、実施形態の収納ボックス10では、底壁部11を形成するシート材16が、網状シートからなる板状材19を積層させて形成したが、
図7に示す収納ボックス10Cのように、底壁部11を形成するシート材65として、ファブリック層66と、下面側に、凹凸面11bを形成可能な凹凸67aを設けて、防水性と形状保持性を有したポリプロピレン等の合成樹脂製のベース層67と、を備えた2層タイプのものを使用し、ヒートプレス成形により、底壁部11を製造しても良い。
【0062】
さらに、
図8に示す収納ボックス10Dのように、底壁部11を形成するシート材75として、ファブリック層76と、ポリエチレン等からなる独立発泡として軽量で防水性を有した板状のベース層77と、凹凸面11bを形成可能に不織布からなる板状材78と、の三層タイプのものを使用し、ヒートプレス成形により、底壁部11を製造しても良い。
【0063】
さらにまた、実施形態の収納ボックス10では、底壁部11と側壁部22とが同じ積層状態のシート材16,25から形成した場合を示したが、側壁部22を構成するシート材は、凹凸面11bが不要となることから、底壁部11のシート材16と異ならせて、凹凸面11bを形成する板状材28を使用せずに、シート材25を構成してもよい。
【0064】
また、実施形態の収納ボックス10では、側壁部22が、上端22aに折目を付けてシート材25を山折りして、内側部30と外側部31とを二枚重ねで結合して一枚状に一体化する構造としており、剛性を高めて構成することができる。
【0065】
そしてさらに、二枚重ねで側壁部22を構成しても、結合部24やヒンジ部31aを外側部31の一枚状の部位から形成しており、結合部24の取付座14への結合作業が、嵩張らないことから、容易となり、かつ、ヒンジ部31aも容易に曲げることができる。
【0066】
なお、実施形態の収納ボックス10において、側壁部22の上端22a側の剛性を高めるため、
図3の二点鎖線に示すように、上端22aの内部に、合成樹脂若しくは金属等からなる芯材80を配設してもよい。
【0067】
また、実施形態では、底壁部11を長方形形状としたが、底壁部11の略長方形状は、正方形状を含むものであり、底壁部11の底板部12を正方形状として構成してもよい。
【0068】
さらに、底壁部11の下面11aの凹凸面11bは、車両1のカーペット2上で滑り難ければ、凹凸の大きさにこだわらず、細かい凹凸を設けた面でも良い。