特許第5882080号(P5882080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5882080二水石膏の加熱処理装置及び混合石膏の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882080
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】二水石膏の加熱処理装置及び混合石膏の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/32 20060101AFI20160225BHJP
   F27B 7/08 20060101ALI20160225BHJP
   F27B 7/16 20060101ALI20160225BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20160225BHJP
   B01F 9/02 20060101ALI20160225BHJP
   C04B 11/036 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   F27B7/32
   F27B7/08
   F27B7/16
   B09B3/00 303A
   B01F9/02 D
   C04B11/036
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-31897(P2012-31897)
(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2013-167423(P2013-167423A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591095823
【氏名又は名称】株式会社九電工
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】稲富 康利
【審査官】 蛭田 敦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−91895(JP,A)
【文献】 特開2007−132552(JP,A)
【文献】 特開2009−102205(JP,A)
【文献】 特開平10−263510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 3/00 〜 7/42
C04B 11/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入側から出側にかけて下り傾斜で配置されたロータリキルンと、該ロータリキルンの入側に配置され、二水石膏Aを前記ロータリキルンの上流側領域に供給する第1の供給手段と、前記ロータリキルンの入側に前記第1の供給手段と併設して配置され、二水石膏Bを前記ロータリキルンの中間部領域に供給する第2の供給手段と、前記ロータリキルンの外側に配置されて、前記第1の供給手段によって供給された二水石膏Aを加熱して無水石膏とする第1の高周波加熱部と、前記ロータリキルンの外側に配置され、前記第2の供給手段によって供給された二水石膏Bを加熱して半水石膏とする第2の高周波加熱部と、前記ロータリキルンの出側に設けられて、前記無水石膏と前記半水石膏の混合物を回収する回収口とを有する二水石膏の加熱処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の二水石膏の加熱処理装置において、前記二水石膏A、Bを貯蔵するホッパーを有し、前記第1、第2の供給手段は、前記ホッパーに同時貯蔵された二水石膏A、Bを前記ロータリキルンの上流側領域及び中間部領域にそれぞれ搬送するスクリューコンベアであることを特徴とする二水石膏の加熱処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の二水石膏の加熱処理装置において、前記ロータリキルンの内周面には、複数の攪拌羽根が軸方向に沿って設けられているとともに、前記各攪拌羽根は少なくとも前記ロータリキルンの上流側領域、中間部領域及び下流側領域でそれぞれ分割され、前記分割された各攪拌羽根の隙間は前記ロータリキルンの内側全周に形成され、前記隙間には前記ロータリキルンの一方側から前記ロータリキルン内に配置された支持部材に取付けられた石膏温度検出手段がそれぞれ設けられていることを特徴とする二水石膏の加熱処理装置。
【請求項4】
二水石膏Aをロータリキルンの上流側領域に入れ加熱し無水石膏を製造する第1工程と、
二水石膏Bを前記ロータリキルンの中間部領域に入れて加熱して半水石膏を製造する第2工程と、
前記ロータリキルンの下流側領域で前記無水石膏と前記半水石膏を混合して混合物とする第3工程とを有することを特徴とする混合石膏の製造方法。
【請求項5】
二水石膏Aをロータリキルンの上流側領域に入れて加熱しβII型無水石膏を製造する第1工程と、
二水石膏Bを前記ロータリキルンの中間部領域に入れて、上流側領域から搬送された前記βII型無水石膏の顕熱を利用して加熱し、前記二水石膏Bから半水石膏を製造する第2工程と、
前記ロータリキルンの下流側領域で前記βII型無水石膏と前記半水石膏を混合して混合物とする第3工程とを有することを特徴とする混合石膏の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の混合石膏の製造方法において、前記βII型無水石膏を製造する加熱温度は320〜400℃の範囲にあることを特徴とする混合石膏の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二水石膏を加熱処理して半水石膏等を製造する二水石膏の加熱処理装置及び混合石膏の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃石膏ボードや焼物の型材等の廃石膏や火力発電所の硫酸ガス処理で発生する二水石膏を、加熱処理装置により加熱処理して半水石膏等を製造することが知られている。また、二水石膏は、加熱処理される温度によって半水石膏(約130℃)、βIII型無水石膏(約180℃)、βII型無水石膏(約320℃)と性状を変えることやこれらの製造方法も知られている。さらに、βIII型無水石膏は、吸湿や吸水により容易に半水石膏に戻りやすい性質があり、βII型無水石膏は、水和反応しにくい性質がある。また、半水石膏の用途として、速硬性を要する土壌固化材に多く用いられる。以上のことは公知文献に記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、半水石膏の製造装置としては、外部に高周波加熱部を設置したロータリキルンによって、温度制御して効率よく二水石膏から半水石膏を製造する加熱処理装置が公開されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、このような装置を利用して、投入する二水石膏の加熱量を調整し、その一部を脱水させて半水石膏を製造し、他は加熱不足を起こさせて、二水石膏のままで残して、二水石膏と半水石膏の混合した性状の石膏を製造する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−122645号公報
【特許文献2】特開2007−132552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示されている二水石膏の加熱処理装置は一度に同一の性状の石膏のみが製造される装置である。そのために半水石膏等を混合した混合石膏を、それぞれの土壌改造の現場に要求される石膏の硬化速度に対応した土壌固化材として使用する時は、半水石膏とβII型無水石膏を現場等で所定の割合で混合して使用していた。
また、従来の加熱処理装置を利用して、炉内に投入された二水石膏の一部を、加熱不足を起こさせて脱水してない石膏にしようとすると、又は、二水石膏と半水石膏とβIII型無水石膏とβII型無水石膏の混合物を化石燃料バーナーでの熱風加熱で熱風のロータリーキルンの入口温度320℃以上で同時に製造しようとすると、温度管理や投入量の管理が難しく製造される石膏比率のばらつきがうまく制御できないという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、半水石膏と、βII型無水石膏又はβIII型無水石膏とを任意の混合比率で一度に製造及び混合可能な二水石膏の加熱処理装置及び混合石膏の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る二水石膏の加熱処理装置は、入側から出側にかけて下り傾斜で配置されたロータリキルンと、該ロータリキルンの入側に配置され、二水石膏Aを前記ロータリキルンの上流側領域に供給する第1の供給手段と、前記ロータリキルンの入側に前記第1の供給手段と併設して配置され、二水石膏Bを前記ロータリキルンの中間部領域に供給する第2の供給手段と、前記ロータリキルンの外側に配置されて、前記第1の供給手段によって供給された二水石膏Aを加熱して無水石膏とする第1の高周波加熱部と、前記ロータリキルンの外側に配置され、前記第2の供給手段によって供給された二水石膏Bを加熱して半水石膏とする第2の高周波加熱部と、前記ロータリキルンの出側に設けられて、前記無水石膏と前記半水石膏の混合物を回収する回収口とを有する。
【0007】
第1の発明に係る二水石膏の加熱処理装置において、前記二水石膏A、Bを貯蔵するホッパーを有し、前記第1、第2の供給手段は、前記ホッパーに同時貯蔵された二水石膏A、Bを前記ロータリキルンの上流側領域及び中間部領域にそれぞれ搬送するスクリューコンベアであることが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る二水石膏の加熱処理装置において、前記ロータリキルンの内周面には、複数の攪拌羽根が軸方向に沿って設けられているとともに、前記各攪拌羽根は少なくとも前記ロータリキルンの上流側領域、中間部領域及び下流側領域でそれぞれ分割され、前記分割された各攪拌羽根の隙間は前記ロータリキルンの内側全周に形成され、前記隙間には前記ロータリキルンの一方側から前記ロータリキルン内に配置された支持部材に取付けられた石膏温度検出手段がそれぞれ設けられているのが好ましい。
【0009】
前記目的に沿う第2の発明に係る混合石膏の製造方法は、二水石膏Aをロータリキルンの上流側領域に入れ加熱し無水石膏を製造する第1工程と、二水石膏Bを前記ロータリキルンの中間部領域に入れて加熱して半水石膏を製造する第2工程と、前記ロータリキルンの下流側領域で前記無水石膏と前記半水石膏を混合して混合物(混合石膏)とする第3工程とを有する。
【0010】
前記目的に沿う第3の発明に係る混合石膏の製造方法は、二水石膏Aをロータリキルンの上流側領域に入れて加熱しβII型無水石膏を製造する第1工程と、二水石膏Bを前記ロータリキルンの中間部領域に入れて、上流側領域から搬送された前記βII型無水石膏の顕熱を利用して加熱し、前記二水石膏Bから半水石膏を製造する第2工程と、前記ロータリキルンの下流側領域で前記βII型無水石膏と前記半水石膏を混合して混合物(混合石膏)とする第3工程とを有する。
【0011】
第3の発明に係る混合石膏の製造方法において、前記βII型無水石膏を製造する加熱温度は320〜400℃の範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜3記載の二水石膏の加熱処理装置は、第1、第2の供給手段から投入される二水石膏の投入位置が異なるので、上流側領域で無水石膏が製造され、中間部領域で半水石膏が製造されて、下流側領域で無水石膏と半水石膏が混合された状態で混合石膏を製造することができる。
【0013】
特に、請求項2記載の二水石膏の加熱処理装置は、第1、第2の供給手段が、ロータリキルン内に二水石膏を搬送するスクリューコンベアであるので、スクリューコンベアの長さやスクリューコンベアの端部又はその途中に設けられた投入口の位置を変えることで容易に二水石膏の投入位置を変更することができる。
【0014】
請求項3記載の二水石膏の加熱処理装置は、ロータリキルンの内周面に、複数の攪拌羽根が軸方向に沿って設けられているとともに、攪拌羽根は少なくとも上流側領域、中間部領域及び下流側領域でそれぞれ分割され、分割された各攪拌羽根の隙間はロータリキルンの内側全周に形成され、隙間にはロータリキルンの一方側からロータリキルン内に配置された支持部材に取付けられた石膏温度検出手段がそれぞれ設けられているので、ロータリキルンの上流側領域、中間部領域及び下流側領域にある石膏に直接に接することで品温を正確に測定することができる。
【0015】
請求項4記載の混合石膏の製造方法は、二水石膏Aをロータリキルンの上流側領域に入れて加熱し無水石膏を製造する第1工程と、二水石膏Bをロータリキルンの中間部領域に入れて加熱して半水石膏を製造する第2工程と、ロータリキルンの下流側領域で無水石膏と半水石膏を混合して混合物とする第3工程とを有するので、効率よく混合石膏の製造が可能となる。
【0016】
請求項5、6記載の混合石膏の製造方法は、二水石膏Aをロータリキルンの上流側領域に入れて加熱しβII型無水石膏を製造する第1工程と、二水石膏Bをロータリキルンの中間部領域に入れて、上流側領域から搬送されたβII型無水石膏の顕熱を利用して加熱し、二水石膏Bから半水石膏を製造する第2工程と、ロータリキルンの下流側領域でβII型無水石膏と半水石膏を混合して混合物とする第3工程とを有するので、上流側領域から搬送されたβII型無水石膏の顕熱を利用でき効率よく混合石膏の製造ができる。
【0017】
特に、請求項6に記載の混合石膏の製造方法は、βII型無水石膏を製造する加熱温度が320〜400℃の範囲にあることで、ロータリキルンの上流側領域で製造されたβII型無水石膏と、中間部領域でβII型無水石膏の顕熱を利用して製造された半水石膏とを下流側領域で混合した混合物を効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態に係る二水石膏の加熱処理装置を示す説明図である。
図2】同二水石膏の加熱処理装置の平面図である。
図3】(A)、(B)は同二水石膏の加熱処理装置の左側面図、右側面図(集塵手段は除く)である。
図4】(A)、(B)はロータリキルンの垂直断面図、水平断面図である。
図5】同二水石膏の加熱処理装置の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る二水石膏の加熱処理装置10は、入側12から出側13にかけて下り傾斜で配置されたロータリキルン11と、ロータリキルン11の入側12に配置され、二水石膏14(二水石膏A)をロータリキルン11の上流側領域に供給する第1の供給手段19と、ロータリキルン11の入側12に第1の供給手段19と併設して配置され、二水石膏14(二水石膏B)をロータリキルン11の中間部領域に供給する第2の供給手段20と、ロータリキルン11の外側に配置されて、第1の供給手段19によって供給された二水石膏14(二水石膏A)を加熱して無水石膏54とする第1の高周波加熱部17と、ロータリキルン11の外側に配置され、第2の供給手段20によって供給された二水石膏14(二水石膏B)を加熱して半水石膏60とする第2の高周波加熱部18と、ロータリキルン11の出側13に設けられて、無水石膏54と半水石膏60の混合物(混合石膏61)を回収する回収口16とを有することを特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0020】
ここで、無水石膏には、βII型無水石膏、βIII型無水石膏、αIII型無水石膏があり、半水石膏には、β型半水石膏、α型半水石膏がある。また、混合石膏は、無水石膏及び半水石膏の2種以上の石膏が混合された石膏をいう。さらに、石膏とは、二水石膏、半水石膏、無水石膏又は混合石膏を総称した名称としている。
【0021】
ロータリキルン11は、内部で二水石膏14(二水石膏A、二水石膏B)を加熱処理する中空の円筒状回転体であり、入側12に二水石膏14が供給され、出側13で加熱処理した無水石膏54及び半水石膏60を排出する。この入側12に設けられた供給蓋32には、二水石膏14(二水石膏A、二水石膏B)をそれぞれロータリキルン11内に投入する第1の供給手段19及び第2の供給手段20が挿入されている。第1の供給手段19及び第2の供給手段20の供給蓋32から外側に突出した部分には、二水石膏14(二水石膏A、二水石膏B)をそれぞれ取り込む第1の取り込み口28及び第2の取り込み口30が設けられ、第1の取り込み口28及び第2の取り込み口30は、二水石膏14が貯蔵されたホッパー21の底部に連接している。また、ホッパー21のネック部分の開口状態を調整する供給2重ダンパ65が設けられている。
【0022】
第1の供給手段19はスクリューコンベアであって、筒状である第1の供給管22内に二水石膏14(二水石膏A)を搬送する第1のスクリュー羽根23が設けられている。そして、第1のスクリュー羽根23を駆動する第1の供給モータ24は、第1の供給管22の端部に設けられている。また、第1の供給手段19と平行に並んで設けられた第2の供給手段20はスクリューコンベアであって、第2の供給管25内に、二水石膏14(二水石膏B)を搬送する第2のスクリュー羽根26が設けられている。そして同様に、第2のスクリュー羽根26を駆動する第2の供給モータ27は、第2の供給管25の端部に設けられている。また、第1及び第2の供給モータ24、27は、回転数を可変制御できるインバータモータで構成される。
【0023】
第1の供給管22の一端部に、第1の取り込み口28が設けられており、予め破砕された粒状の二水石膏14が貯蔵されるホッパー21の底部と連通している。また、第1の供給管22の他端部に、第1のスクリュー羽根23を介して運ばれた二水石膏14をロータリキルン11に投入するための第1の投入口29が設けられている。同様に、第2の供給管25の一端部に、第2の取り込み口30が設けられており、二水石膏14が貯蔵されるホッパー21の底部と連通している。また、第2の供給管25の他端部に、第2のスクリュー羽根26を介して運ばれた二水石膏14をロータリキルン11に投入するための第2の投入口31が設けられている。
【0024】
第1、第2の投入口29、31は、ロータリキルン11内に突出した第1、第2の供給管22、25の端部に設けられており、第1の投入口29は、ロータリキルン11の上流側領域である第1の高周波加熱部17の上方領域に設けられている。第2の投入口31は、ロータリキルン11の中間部領域である第2の高周波加熱部18の上方領域に設けられている。そのために、第1の供給管22の長さは、第2の供給管25の長さより短くなっている。
【0025】
また、第1及び第2の供給管22、25の長さが長くなると(特に第2の供給管25)、これを水平に支えるのに、第1及び第2の供給管22、25を供給蓋32から排出蓋34まで貫通させることにより、又は支持材(図示せず)を継ぎ足して固定することにより供給蓋32及び排出蓋34によって支えてもよい。この場合、第1及び第2の供給管22,25のそれぞれの中間部に、第1及び第2の投入口29、31を設けて、第1及び第2の投入口29、31における開口部に設けられた蓋の開閉を制御することで、二水石膏14のロータリキルン11の軸方向での投入位置及び投下量を設定できるので、製造される半水石膏60と無水石膏54の混合割合を可変可能な構造にしてもよい(図示せず)。
【0026】
図1図2図3(A)に示すように、ロータリキルン11は、前述したように円筒状回転体であって、ロータリキルン11外周下部の入側12の近傍に設けられた駆動ローラ38と出側13の近傍に設けられたフリーローラ38aで支持されている。また、駆動ローラ38を回転駆動する駆動モータ39は、駆動ローラ38に直結しロータリキルン11を摩擦駆動する。また、摩擦駆動の代わりに、チェーン(図示せず)とロータリキルン11の外部歯車で回転させてもよい。さらに、駆動モータ39は、回転数を可変制御できるインバータモータで構成してもよい。
【0027】
また、ロータリキルン11は、入側12から出側13に無水石膏54と半水石膏60の混合物である混合石膏61が流れるように下り勾配を0.5〜5度の角度にして設置されている。また、入側12から出側13へ無水石膏54等を送る機構は、上記の様に下り傾斜を設けた機構に限定するものでなく、上り傾斜でも、ロータリキルン11の内周面に、らせん状の羽根(図示せず)を設けて入側12から出側13に無水石膏54と半水石膏60の混合物である混合石膏61を送るようにしてもよい。
【0028】
さらに、図4(A)、(B)に示すように、ロータリキルン11の内周面には軸方向に沿って複数の攪拌羽根15が設けられ、各攪拌羽根15は、上流側領域、中間部領域及び下流側領域に隙間を有して分割されている(ここでは、分割攪拌羽根15a〜15dに4分割されている)。さらに、複数(ここでは8枚で、最低でも4枚)の攪拌羽根15は、ロータリキルン11の内周面に円周方向に略均等間隔で設けられている。また、分割攪拌羽根15a〜15dの羽根の断面形状はL字や板状も考えられるが、効率よく石膏をかき混ぜるためには羽根の横断面が略フック状であるのが望ましい。
【0029】
第1及び第2の高周波加熱部17、18は、ロータリキルン11の外側の底部に、ロータリキルン11とは、数ミリ〜数十ミリメートルの隙間を持って、非接触で固定設定し、入側12から出側13にかけて設けられており、軸方向に分割して配置された高周波加熱コイル部を有している。高周波加熱コイル部は、高周波ケーブルを渦巻き状にしたコイルであり、高周波インバータ(図示せず)から高周波電流を流すことにより、ロータリキルン11の周壁を電磁誘導作用により発熱させる。この発熱作用により、ロータリキルン11の内壁面に接する二水石膏14を加熱する。
【0030】
ロータリキルン11内の雰囲気温度を検出する第1及び第2の炉内温度検出手段46、46aは、ロータリキルン11の出側13に設けられた排出蓋34から支持部材の一例である第1及び第2の支持棒62、62aを介して設けられている。また、第1の炉内温度検出手段46は、ロータリキルン11の中間部領域にある分割攪拌羽根15bの位置の中空空間部に、さらに、第2の炉内温度検出手段46aは、ロータリキルン11の下流側領域にある分割攪拌羽根15dの位置の中空空間部に設けられている。そして、ロータリキルン11内の気体の圧力を検出する圧力検出手段44は支持部材の一例である第4の支持棒64を介してロータリキルン11の下流側領域に設けられている。
【0031】
さらに、分割された攪拌羽根15(分割攪拌羽根15a〜15d)の隙間に、第1〜第4の石膏温度検出手段42、42a、43、43a(サーミスタ、熱電対を用いてもよい)が、ロータリキルン11の一方側(出側口)からロータリーキルン11内に配置された支持部材の一例である第3の支持棒63を介して設けられている。第1の石膏温度検出手段42は、ロータリキルン11の上流側領域にある分割攪拌羽根15aと分割攪拌羽根15bの間にある隙間に設けられている。
【0032】
また、第2の石膏温度検出手段42aは、ロータリキルン11の中間部領域にある分割攪拌羽根15bと分割攪拌羽根15cの隙間に設けられている。また、第3の石膏温度検出手段43は、ロータリキルン11の中間部領域にある分割攪拌羽根15cと分割攪拌羽根15dの間にある軸方向の隙間に設けられている。さらに、第4の石膏温度検出手段43aは、ロータリキルン11の下流側領域の分割攪拌羽根15dの下流側に設けられている。こうすることにより、第1〜第4の石膏温度検出手段42、42a、43、43aは、攪拌羽根15に邪魔されることなく攪拌された無水石膏54等と接触して正確な温度を測定できる。なお、各攪拌羽根15の隙間は、ロータリキルン11の内側全周に形成されている。
【0033】
ロータリキルン11の上流側領域の外周面壁の温度を検出する第1及び第2の非接触温度検出手段40、40a(赤外線放射温度計等)と、ロータリキルン11の中間部領域及び下流側領域の外周面壁の温度を検出する第3及び第4の非接触温度検出手段41、41aとを設けて、ロータリキルン11の上流側領域、中間部領域及び下流側領域の壁面温度を検出する。
【0034】
ロータリキルン11の入側12の開口部は、第1、第2の供給手段19、20が貫通して設けられた供給蓋32によって塞がれている。そして、供給蓋32とロータリキルン11の内周面は第1のシール部材33で密閉されている。同様に、ロータリキルン11の出側13の開口部は、排出蓋34によって蓋がれており、排出蓋34とロータリキルン11の外周面は第2のシール部材35で密閉されている。さらに、排出蓋34には、下方に無水石膏54と半水石膏60の混合物を排出するための回収口16及び上方に水蒸気を排出する排気口45が設けられている。また、回収口16の開口状態を調整する排出2重ダンパ66が設けられている。
【0035】
図1図3(B)に示すように、回収口16には、排出管48を介してロータリキルン11内で製造された無水石膏54と半水石膏60の混合物である混合石膏61を排出する石膏排出手段(排出スクリューコンベア)49が接続されている。この石膏排出手段49は、円筒状の石膏排出管55と、石膏排出管55内で混合石膏61を搬送する排出スクリュー羽根56と、排出スクリュー羽根56を駆動するための排出モータ50で構成されている。また、排出スクリュー羽根56によって搬送された混合石膏61を排出するための石膏排出孔57が、石膏排出管55の上端部に設けられている。この石膏排出孔57から排出される混合石膏61は、石膏排出孔57の下部に設置された袋58に貯められる。さらに、石膏排出手段49は、ベルトコンベアやバケットコンベアで代用することもできる。
【0036】
石膏排気口45には、排気管47を介してロータリキルン11内の水蒸気を含んだ空気を排気し清浄するための集塵手段51が接続されている。集塵手段51の内部に、無水石膏54や半水石膏60の粉塵を濾過するろ布59が設けられて、ろ布59を介して清浄化された空気や水蒸気を排気する排気ファン52が集塵手段51の外部に設けられている。
【0037】
さらに、高周波加熱するためには、ロータリキルン11の材質は円筒状の鋼板(比透磁率が大きい)、又は鋼板の錆が石膏に混入するのを避けるため外周面側が鋼板で内周面側が比透磁率の小さいステンレス板を接合したクラッド鋼、若しくは、磁性のあるステンレス鋼、鋼板の内側表面にセラミックや樹脂等をコーティングしたもの又はステンレス管の外表面に鉄等の磁性体を溶射したものが望ましい。
【0038】
次に、本発明の実施の形態に係る二水石膏の加熱処理装置10の動作について説明する。
ロータリキルン11内において、上流側領域から中間部領域にかけて又は中間部領域から下流側領域にかけて、石膏の品温は、上流から下流方向に温度が下がっていく温度勾配を持っている。第1の石膏温度検出手段42によって加熱中の二水石膏A又は無水石膏54の品温が測定され、第2の石膏温度検出手段42aによって二水石膏Bと混合される直前の製造された無水石膏54の品温が測定され、第1の高周波加熱部17の温度制御がなされる。
さらに、第3の石膏温度検出手段43によって加熱中の半水石膏60又は無水石膏54の品温が測定され、第4の石膏温度検出手段43aによって無水石膏54と半水石膏60が混合された混合石膏61の品温が測定され、第2の高周波加熱部18の温度制御がなされる。
【0039】
第1〜第4の非接触温度検出手段40、40a、41、41aにより検出されるそれぞれに対応する壁面温度は、二水石膏14の供給開始前又は供給中断時に、高周波加熱で壁面を設定温度まで昇温する制御、無水石膏54等の品温制御、加熱終了時の冷却時間の制御等に用いる。
【0040】
次に、二水石膏の加熱処理装置10を用いた、本発明の一実施の形態に係る混合石膏の製造方法について説明する。この実施の形態では、二水石膏14を第1及び第2の高周波加熱部17、18によりそれぞれ加熱して生成したβII型無水石膏(無水石膏54)とβ型半水石膏(半水石膏60)を混合して混合石膏61を製造している。
初期運転時、二水石膏14が供給されていない状態では、駆動モータ39を駆動してロータリキルン11を回転させるとともに、ロータリキルン11を、高周波加熱部17、18にて加熱する。その温度は、第1〜第4の非接触温度検出手段40、40a、41、41aにて検出される。その後、第1及び第2の供給モータ24、27を駆動させ、第1及び第2のスクリュー羽根23、26を介して二水石膏14をロータリキルン11内に供給開始する。
二水石膏の加熱処理装置10において、ロータリキルン11内の上流側領域で二水石膏AがβII型無水石膏に転移する320〜400℃になるように、第2の石膏温度検出手段42aを用いて温度検出しながら、第1の高周波加熱部17を加熱制御する。
また、ロータリキルン11内の中間部領域で二水石膏Bが半水石膏60に転移する120〜150℃になるように、第4の石膏温度検出手段43aを用いて温度検出しながら、第2の高周波加熱部18を加熱制御する。
【0041】
また、第1の炉内温度検出手段46及び第2の炉内温度検出手段46aで検出した炉内温度と、第1〜第4の石膏温度検出手段42、42a、43、43aで検出される石膏の品温と炉内温度との相関を、統計手法により求めることで、第1及び第2の炉内温度検出手段46、46aで検出した温度に基づいてロータリキルン11内の温度制御を行うこともできる。
なお、二水石膏14の投入量は、設定された混合石膏61の混合比率になるように、第1及び第2の供給モータ24、27のそれぞれの回転数によって調整される。
【0042】
第1の投入口29から投入される二水石膏14(二水石膏Aとも呼ぶ)は、ロータリキルン11の上流側領域に投入され、第1の高周波加熱部17によりその領域で昇温されβII型無水石膏に転移する320〜400℃になるまで加熱される。
第2の投入口31から投入される二水石膏14(二水石膏Bとも呼ぶ)は、ロータリキルン11の中間部領域に供給されて二水石膏Aが転移した無水石膏54と混合され、第2の高周波加熱部18によりその領域で昇温され半水石膏60に転移する120〜150℃になるように加熱される。
このように、ロータリキルン11の上流側領域では、二水石膏Aが無水石膏54(βII型無水石膏)に転移し、ロータリキルン11の中間部領域においては、二水石膏Bが半水石膏60に転移していくことにより、混合石膏61が製造される。
つまり、ロータリキルン11の上流側領域より中間部領域にかけて、加熱温度を低下させる温度勾配を持たせることで、二水石膏14から転移する無水石膏54及び半水石膏60の混合物である混合石膏61を効率よく製造できる。
【0043】
また、ロータリキルン11の上流側領域で、第1の高周波加熱部17の加熱温度を、二水石膏AがβIII型無水石膏に転移する170〜210℃の加熱温度に設定して二水石膏AからβIII型無水石膏を製造し、第2の高周波加熱部18の加熱温度を二水石膏Bが半水石膏60に転移する120〜150℃の加熱温度に設定することで、βIII型無水石膏と半水石膏60の混合石膏61を製造することも可能である。
【0044】
次に、攪拌について説明する。ロータリキルン11が時計回り方向に回転駆動(0.3〜5rpm)されると、二水石膏A、B及び製造されたβII型無水石膏、半水石膏60は内周面に設けられた攪拌羽根15より掬われ、回転動作で上方に持上げられ、徐々に落下しながら攪拌される。このようなロータリキルン11の回転と攪拌羽根15の働きにより、効率的に二水石膏A、B及び製造されたβII型無水石膏、半水石膏60を攪拌することで均一に加熱されて、良質な混合石膏61ができる。
【0045】
なお、二水石膏14の処理に要する時間は、二水石膏14の粒径ばらつきや含水率によっても変わるので、ロータリキルン11の駆動モータ39の回転数や下り傾斜の角度(傾き角度)や供給モータ24、27の回転数を調整して、ロータリキルン11内にある二水石膏14の滞留時間を設定し混合石膏61を製造する。
【0046】
製造された混合石膏61はロータリキルン11の端部に設けられた回収口16を介して排出管48を経由して、さらに、石膏排出手段49の排出スクリュー羽根56によって運ばれ石膏排出孔57より落下して袋58に集められる。
【0047】
また、二水石膏の加熱処理装置10の終了運転時は、第1及び第2のスクリュー羽根23、26を駆動する第1及び第2の供給モータ24、27の回転を止めて、ロータリキルン11内への二水石膏14の供給を停止させる。
【0048】
ロータリキルン11内で二水石膏14を加熱処理することにより生じる水蒸気は、排気ファン52で強制排気する。その時、排気口45より排気管47を通り無水石膏54及び半水石膏60の粉塵を含んだ水蒸気を集塵手段51に導入し、ろ布59で無水石膏54及び半水石膏60の粉塵を捕集し、水蒸気を含んだ空気を排気ファン52により排気する。無水石膏54を製造する場合は、送風ファン37により、外気を入れてもよく、送風ファン37にて、送風管36を介して適宜、ロータリーキルン11内に入側12から空気を供給する。また、供給される空気は、排気ファン52で強制排気された水蒸気と熱交換したものでもよい。
【0049】
そして、最終成果物である混合石膏61の確認方法は、石膏排出手段49等に水分計(図示せず)を取付け、排出される混合石膏61を一部抽出し、ヒータで無水石膏54になるまで加熱し水分量の蒸発による重量変化を測定する。そして、混合石膏61に占める無水石膏54と半水石膏60の比率等を推定し品質を確認することができる。
【0050】
さらに、本発明の他の実施の形態に係る混合石膏の製造方法について説明する。本実施の形態の方法では、二水石膏の加熱処理装置10の第1の高周波加熱部17により二水石膏Aを加熱して生成したβII型無水石膏の有する顕熱のみを利用して、中間部領域から下流側領域で二水石膏Bを半水石膏に変えている。
ロータリキルン11の上流側領域で、二水石膏Aを320〜400℃で加熱して製造されたβII型無水石膏は、加熱処理されて330℃近い温度の顕熱熱量を持っている。βII型無水石膏は、ロータリキルン11の中間部領域に投入される二水石膏Bとともに攪拌されるので、βII型無水石膏の顕熱熱量を二水石膏Bの脱水熱量(顕熱+水分蒸気+解離熱)に利用することができ、二水石膏Bを半水石膏に変えることができる。βII型無水石膏の有する顕熱熱量等は二水石膏Bが必要とする十分な熱量が必要であり、βII型無水石膏の有する顕熱熱量と二水石膏Bの投入量を制御して半水石膏の生成を行う。混合石膏における半水石膏の混合比率(半水石膏が全体に占める割合)が30%以下では中間部領域から下流側領域で第2の高周波加熱部18の加熱を要しないで、混合石膏を製造することが可能である。半水石膏の混合比率を大きくすると、βII型無水石膏の有する顕熱熱量だけでは熱量不足となり、この場合は、不足する熱量を第2の高周波加熱部18により加熱供給する必要がある。
【0051】
そして、βII型無水石膏の顕熱熱量を半水石膏の製造に利用することで、二水石膏の加熱処理装置10の使用するエネルギーの低減ができる。また、βII型無水石膏の有する顕熱熱量を利用することで、βII型無水石膏と半水石膏が混合された混合石膏自体の品温をいちはやく下げることができ、取扱が容易になり袋詰め等の作業が迅速に行える。
【0052】
次に、半水石膏、無水石膏として、α型半水石膏、αIII型無水石膏を使用した二水石膏の加熱処理装置80及び混合石膏の製造方法について、図5を参照して説明する。
石膏は、硫酸カルシウムの一般名称であり、7種の形態がある。その中の半水石膏は、α型、β型があり、α型半水石膏は、β型半水石膏に比べ硬化時間が短くより大きな強度(3倍)がある。これまでは述べたβ型は、大気中加熱法で製造できるが、α型は、加圧水蒸気加熱して製造する必要がある。
そのため、二水石膏の加熱処理装置80では、二水石膏からα型半水石膏及びαIII型無水石膏を生成する際、ロータリキルン11内で石膏の加熱処理により生じる水蒸気を循環させ、第1、第2、第3の循環配管67、69、71を介して再度、ロータリキルン11に供給する。すなわち、二水石膏の加熱処理装置80は、二水石膏の加熱処理装置10に水蒸気を循環される手段を設けたものとなっている。
【0053】
図5に示すように、二水石膏の加熱処理装置80において、集塵手段51には第1の循環配管67を介してロータリキルン11内の加熱された水蒸気を循環させるための循環ファン68が設けられている。そして、循環ファン68には第2の循環配管69を介して、水蒸気を加熱するための循環加熱手段70が設けられている。さらに、循環加熱手段70より第3の循環配管71を介して、加熱された水蒸気は循環風導入口72を経由して、ロータリキルン11内に循環する。また、第2の循環配管69の途中から分岐して、分岐配管73を介して余剰の水蒸気を排気する排気弁74が設けられている。
【0054】
次に、その動作について説明すると、二水石膏を加熱してα型半水石膏を製造する場合は、集塵手段51から排気ファン52によりロータリキルン11内の加熱された水蒸気を排気する代わりに、ロータリキルン11内の加熱された水蒸気を、循環ファン68によって、第1、第2、第3の循環配管67、69、71を介して再度、ロータリキルン11内に循環させている。また、水蒸気が加圧されているので、その循環風路の途中に設けられた循環加熱手段70によって循環する水蒸気は加熱されて過熱水蒸気として循環させている。また、圧力を調節するために、排気弁74にて半水化や無水化により一部を排気して、水蒸気の圧力を調整している。なお、ロータリキルン11内の水蒸気の圧力は、圧力検出手段44で検知し、通常は1.5〜4気圧程度の加圧状態を維持しながら加熱し水蒸気を供給する。
この場合、供給2重ダンパ65と排出2重ダンパ66は閉じて、ロータリキルン11を密閉状態に保つようにする。また、供給2重ダンパ65と排出2重ダンパ66は、気密性があるロータリーバルブでもよい。
【0055】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、本実施の形態において、二水石膏14を供給する第1及び第2の供給管22、25はともに入側12の供給蓋32に設けたが、一方を排出蓋34に設け、出側13にさらにホッパーを設けて二水石膏14を供給してもよい。また、出側13にさらにホッパーを設けて、そのホッパーより成分調整剤や凝固遅延剤や促進剤や、セメント系や石灰系の固化剤を供給してロータリキルン11内で混合してもよい。
また、ロータリキルン11の上流側領域で、無水石膏54を製造し、中間部領域から下流側領域で半水石膏60を製造したが、上流側領域で、320〜400℃の加熱温度で加熱しβII型無水石膏を製造し、中間部領域から下流側領域で170〜210℃の加熱温度で加熱しβIII型無水石膏を製造してもよい。さらに、上流側領域で、120〜150℃の加熱温度で加熱し半水石膏60を製造し、中間部領域から二水石膏を供給し、半水石膏60と二水石膏14の比率のばらつきが少ない混合をしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10:二水石膏の加熱処理装置、11:ロータリキルン、12:入側、13:出側、14:二水石膏、15:攪拌羽根、15a、15b、15c、15d:分割攪拌羽根、16:回収口、17:第1の高周波加熱部、18:第2の高周波加熱部、19:第1の供給手段、20:第2の供給手段、21:ホッパー、22:第1の供給管、23:第1のスクリュー羽根、24:第1の供給モータ、25:第2の供給管、26:第2のスクリュー羽根、27:第2の供給モータ、28:第1の取り込み口、29:第1の投入口、30:第2の取り込み口、31:第2の投入口、32:供給蓋、33:第1のシール部材、34:排出蓋、35:第2のシール部材、36:送風管、37:送風ファン、38:駆動ローラ、38a:フリーローラ、39:駆動モータ、40:第1の非接触温度検出手段、40a:第2の非接触温度検出手段、41:第3の非接触温度検出手段、41a:第4の非接触温度検出手段、42:第1の石膏温度検出手段、42a:第2の石膏温度検出手段、43:第3の石膏温度検出手段、43a:第4の石膏温度検出手段、44:圧力検出手段、45:排気口、46:第1の炉内温度検出手段、46a:第2の炉内温度検出手段、47:排気管、48:排出管、49:石膏排出手段、50:排出モータ、51:集塵手段、52:排気ファン、54:無水石膏、55:石膏排出管、56:排出スクリュー羽根、57:石膏排出孔、58:袋、59:ろ布、60:半水石膏、61:混合石膏、62:第1の支持棒、62a:第2の支持棒、63:第3の支持棒、64:第4支持棒、65:供給2重ダンパ、66:排出2重ダンパ、67:第1の循環配管、68:循環ファン、69:第2の循環配管、70:循環加熱手段、71:第3の循環配管、72:循環風導入口、73:分岐配管、74:排気弁、80:二水石膏の加熱処理装置
図1
図2
図3
図4
図5