特許第5882130号(P5882130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882130
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   G05D1/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-109593(P2012-109593)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-238907(P2013-238907A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】新井 直樹
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−198424(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3097635(JP,U)
【文献】 特開2008−114743(JP,A)
【文献】 特開昭62−140114(JP,A)
【文献】 特開平4−177509(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3009408(JP,U)
【文献】 特開2000−122723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により駆動輪を駆動させて走行可能であるとともに、転舵手段により転舵可能な搬送車と、
この搬送車に設けられ、床に設けられた誘導ラインを検出する誘導ライン検出センサと、
この誘導ライン検出センサの検出に基づいて、前記誘導ラインに沿って前記搬送車を走行させる走行制御部と、
を備えた搬送装置であって、
前記誘導ラインは、
前記搬送車が走行する経路に沿って非連続に一定間隔で直進誘導ラインを配置した直進誘導部を備えるとともに、前記搬送車の進行方向に直交する方向に右折あるいは左折誘導する箇所を備え、前記右折誘導する箇所では、進行方向に延びる直進誘導部に対して右方向に直角に延びる右折誘導部を備え、一方、左折誘導する箇所では、進行方向に延びる直進誘導部に対して左方向に直角に延びる左折誘導部を備え、さらに、停止指示用の停止誘導ラインを備え、
前記誘導ライン検出センサは、
車幅方向に沿って、中央、左側、右側に配置された中央センサ、左側センサ、右側センサを備え、さらに、前記中央センサと前記左側センサとの間、および前記中央センサと前記右側センサとの間に、それぞれ、左側補助センサ、右側補助センサを備え、
前記誘導ラインおよび前記誘導ライン検出センサは、
前記直進誘導部では、前記中央センサのみが前記直進誘導ラインを検出し、
前記左折誘導部の左折誘導ラインは、前記左側センサ、前記左側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出する長さおよび配置とし、
前記右折誘導部の右折誘導ラインは、前記右側センサ、前記右側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出する長さおよび配置とし、
前記停止誘導ラインは、前記中央センサ、前記左側補助センサ、前記右側補助センサが同時に前記誘導ラインを検出する長さおよび配置とし、
さらに、前記停止誘導ライン、前記左折誘導ラインおよび前記右折誘導ラインの長さおよび幅は、前記直進誘導ラインの長さおよび幅と同寸法とし、
前記走行制御部は、
前記左側センサ、前記左側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出したときには、前記転舵手段を左折作動させ、前記右側センサ、前記右側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出したときには、前記転舵手段を右折作動させ、前記中央センサ、前記左側補助センサ、前記右側補助センサが同時に前記誘導ラインを検出したときには前記駆動源を停止させ、
さらに、全センサのいずれかにより前記誘導ラインを、設定時間内に検出する場合は正常走行と判定し、設定時間を超えても検出されない場合は、非正常走行と判定する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記誘導ラインは、前記搬送車を停止させる指示用の停止指示部では、一対の停止誘導ラインを、その長手方向を進行方向に直交する方向に向けた横向き状態で、進行方向に沿って直列に並べて配置した
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置において、
前記誘導ラインは、前記左折誘導部および前記右折誘導部の手前に、直進状態からの動作変化を行うことを示す動作変化指示部を備え、
この動作変化指示部は、前記直進誘導ラインに直交する方向に前記直進誘導ラインと同寸法の一対の動作変化指示ラインを備え、前記中央センサ、前記左側センサ、前記右側センサ、前記左側補助センサ、前記右側補助センサが、同時に前記動作変化指示ラインを検出するよう形成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置において、
前記走行制御部は、各補助センサの検出状態に基づいて、前記搬送車が、前記誘導ラインに対して左右方向にずれていることの判定を行うずれ判定部を備え、かつ、このずれ判定部が、前記搬送車のずれを検出した際には、前記転舵手段を前記ずれを解消する側に転舵させる補正処理を実行することを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に敷設した磁気テープなどの誘導ラインに沿って走行する搬送車を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面に敷設した磁気テープなどの誘導ラインに沿って自動走行する搬送車を備えた搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の搬送装置は、搬送車が転舵を行って搬送方向を変化させた場合に、その転舵量を正確に把握するために、誘導ラインを検知するセンサとして、中央部を例えば円環状に囲んだ複数のセンサを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−114743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、中央部を囲む多数のセンサを設置する必要があるため、コストが嵩む。
【0006】
本発明は、上述の従来の問題に着目して成されたもので、安価に自動走行を達成可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために請求項1に係る発明は、
駆動源により駆動輪を駆動させて走行可能であるとともに、転舵手段により転舵可能な搬送車と、
この搬送車に設けられ、床に設けられた誘導ラインを検出する誘導ライン検出センサと、
この誘導ライン検出センサの検出に基づいて、前記誘導ラインに沿って前記搬送車を走行させる走行制御部と、
を備えた搬送装置であって、
前記誘導ラインは、
前記搬送車が走行する経路に沿って非連続に一定間隔で直進誘導ラインを配置した直進誘導部を備えるとともに、前記搬送車の進行方向に直交する方向に右折あるいは左折誘導する箇所を備え、前記右折誘導する箇所では、進行方向に延びる直進誘導部に対して右方向に直角に延びる右折誘導部を備え、一方、左折誘導する箇所では、進行方向に延びる直進誘導部に対して左方向に直角に延びる左折誘導部を備え、さらに、停止指示用の停止誘導ラインを備え、
前記誘導ライン検出センサは、
車幅方向に沿って、中央、左側、右側に配置された中央センサ、左側センサ、右側センサを備え、さらに、前記中央センサと前記左側センサとの間、および前記中央センサと前記右側センサとの間に、それぞれ、左側補助センサ、右側補助センサを備え、
前記誘導ラインおよび前記誘導ライン検出センサは、
前記直進誘導部では、前記中央センサのみが前記直進誘導ラインを検出し、
前記左折誘導部の左折誘導ラインは、前記左側センサ、前記左側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出する長さおよび配置とし、
前記右折誘導部の右折誘導ラインは、前記右側センサ、前記右側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出する長さおよび配置とし、
前記停止誘導ラインは、前記中央センサ、前記左側補助センサ、前記右側補助センサが同時に前記誘導ラインを検出する長さおよび配置とし、
さらに、前記停止誘導ライン、前記左折誘導ラインおよび前記右折誘導ラインの長さおよび幅は、前記直進誘導ラインの長さおよび幅と同寸法とし、
前記走行制御部は、
前記左側センサ、前記左側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出したときには、前記転舵手段を左折作動させ、前記右側センサ、前記右側補助センサ、前記中央センサが前記誘導ラインを同時に検出したときには、前記転舵手段を右折作動させ、前記中央センサ、前記左側補助センサ、前記右側補助センサが同時に前記誘導ラインを検出したときには前記駆動源を停止させ、
さらに、全センサのいずれかにより前記誘導ラインを、設定時間内に検出する場合は正常走行と判定し、設定時間を超えても検出されない場合は、非正常走行と判定する
ことを特徴とする搬送装置とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の搬送装置では、中央センサ、左側センサ、右側センサの3つのセンサの検出に基づいて、直進走行、右折、左折が可能である。
したがって、必要なセンサの数を減らして、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施例1の搬送装置の搬送車10を下側から見た底面図である。
図2図2は実施例1の搬送装置の制御系を示すブロック図である。
図3図3は実施例1の搬送装置の走行制御システムによる処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において直進誘導ライン21を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20を正常に走行している場合の各センサの状態を示す図である。
図5図5は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において直進誘導ライン21を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20の走行中に右方向に比較的小さなずれが生じた場合の各センサの状態を示す図である。
図6図6は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において直進誘導ライン21を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20の走行中に右方向に比較的大きなずれが生じた場合の各センサの状態を示す図である。
図7図7は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において左折誘導を行う箇所を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20を走行した場合の各センサの状態を示す図である。
図8図8は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において右折誘導を行う箇所を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20を走行した場合の各センサの状態を示す図である。
図9図9は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において停止誘導を行う箇所を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20を走行した場合の各センサの状態を示す図である。
図10図10は実施例1の搬送装置の説明図であり、(a)は誘導ライン20において緩やかなカーブ誘導を行う箇所を示す平面図であり、(b)は搬送車10がこの誘導ライン20から外れた場合の各センサの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
以下に、図1図10に基づいて、実施例1の搬送装置について説明する。
この搬送装置は、搬送車10と、誘導ライン20を備えている。
そこで、まず、搬送車10について説明する。
【0012】
図1は搬送車10を下側から見た底面図であり、搬送車10は、車体11と、左右一対の左側駆動輪12aおよび右側駆動輪12bと、左右一対のキャスタ輪13,13と、第1〜第5誘導ライン検出センサ31,32,33,34,35とを備えている。
【0013】
車体11は、図示のような長方形状を成し、図示は省略するが、上面側に荷物を積載可能に形成されている。
両駆動輪12a,12bは、車体11の前部の下面に同軸に設置され、それぞれ、左側モータ(左側駆動源)14aおよび右側モータ(右側駆動源)14bにより駆動される。なお、矢印FRが進行方向を示し、矢印Lが搬送車10の車幅方向で左方向を示し、矢印Rが搬送車10の車幅方向で右側を示している。
キャスタ輪13,13は、車体11の後部の下面であって、両駆動輪12a,12bの車両後方に設けられ、水平方向を向いた回転軸(図示省略)は、それぞれ車体11に水平方向に回動可能に指示された回動軸13a,13aを中心に水平方向に回動可能に支持されている。
【0014】
第1〜第5誘導ライン検知センサ(以下、単にセンサという)31〜35は、誘導ライン20を検出するもので車体11の下面において両駆動輪12a,12bよりも車両後方側の位置に設置されている。第1〜第5センサ31〜35は、左側から順に車幅方向に並んで設けられ、中央センサとしての第3センサ33を車幅方向の中央に配置して等間隔に配置されている。
そして、第1センサ31が、左側センサとして、車幅方向の最も車両左側に配置され、一方、第5センサ35が、右側センサとして車幅方向の最も車両右側に配置されている。また、第2センサ32が、左側補助センサとして、第3センサ33と第1センサ31との間の車幅方向中央に配置され、第4センサが、右側補助センサとして、第3センサ33と第5センサ35との間の車幅方向中央に配置されている。
【0015】
また、各センサ31〜35は、前述のように誘導ライン20を検出するもので、例えば、誘導ライン20が磁気を有した金属などにより形成されている場合は、各センサ31〜35として磁気センサを用いる。また、誘導ライン20としてカラーテープを用いた場合は、各センサ31〜35として、色を識別するカラーセンサを用いる。本実施例1では、前者のように、誘導ライン20として金属を用い、各センサ31〜35として、磁気センサを用いている。
【0016】
左側モータ14aおよび右側モータ14bは、図2に示す走行制御システム(走行制御部)40により各センサ31〜35の検出に応じて駆動される。すなわち、走行制御システム40は、センサ31〜35からの信号を入力し、駆動制御部41による電圧制御により、第1モータドライバ42および第2モータドライバ43を駆動させ、車体11に搭載されたバッテリ50の電力を各モータ14a,14bに供給して、搬送車10の走行を制御する。
この制御により、搬送車10は、直進走行時には、両モータ14a,14bが等速駆動される。また、左折時には、車体11の左側モータ14aを停止させて、右側モータ14bのみを駆動させる左折制御を実行する。右折時には、これとは逆に、車体11の右側モータ14bを停止させて、左側モータ14aのみを駆動させる右折制御を実行する。
【0017】
次に、誘導ライン20について説明する。
誘導ライン20は、本実施例1では、磁気を有したステンレス鋼などの耐腐食性に富む金属を用いている。また、誘導ライン20は、搬送車10が走行する経路に沿ってライン状に設けてもよいが、本実施例1では、誘導ライン20は、非連続に一定間隔で形成している。
【0018】
すなわち、誘導ライン20は、搬送車10を直進させる部分では、図4(a)に示すように、幅H1、長さL1の長方形シート状の直進誘導ライン21を、一定の間隔LSで一直線上に配置する。なお、図において矢印FWが進行方向を示している。また、直進誘導ライン21の、幅H1は、誘導ライン20が、搬送車10の車幅方向中央に配置されている場合に、各センサ31〜35のうちで車幅方向中央の第3センサ33のみが誘導ライン20を検出し、他のセンサ31,32,34,35が検出しない寸法に設定されている。
また、誘導ライン20において、搬送車10を緩やかなカーブを描いて走行させるカーブ誘導部では、図10(a)に示すように、直進誘導ライン21と同様の大きさの直進誘導ライン21b,21bを、走行させたいカーブに沿って前記間隔LSで配置する。
【0019】
したがって、各センサ31〜35は、図4(a)や図10(a)に示すように、直進誘導ライン21を配列した方向である誘導方向に沿って走行する場合、この誘導ライン20が搬送車10の車幅方向中央に位置している場合は、図4(b)、図10(b)に丸印で示すように、車幅方向中央の第3センサ33のみが誘導ライン20を検出する。
【0020】
一方、誘導ライン20は、略直角に転舵させる左折誘導箇所および右折誘導箇所では、以下のような形態とする。
すなわち、搬送車10を左折させる箇所では、誘導ライン20は、図7(a)に示すように、まず、図において上下方向に誘導する直進誘導ライン21の進行方向先端位置に、直進誘導ライン21に直交する方向にその長手方向を向けた横向き状態の一対の動作変化指示ライン(動作変化指示部)22,22を左右対称に配置する。さらに、動作変化指示ライン22のうちの転舵方向側である左側に配置されたものに、直進誘導ライン21による進行方向側にさらに重ねて、左折誘導ライン23aを配置する。
また、搬送車10を右折させる箇所では、誘導ライン20は、図8(a)に示すように、一対の動作変化指示ライン22の転舵方向である右側のものに重ねて右折誘導ライン23bを設置している。
【0021】
なお、これらの動作変化指示ライン22、各左右折誘導ライン23a,23bは、それぞれ、直進誘導ライン21と同寸法の長方形帯状に形成されている。
また、動作変化指示ライン22の長さL1と各センサ31〜35の配置との関係は、以下の通りである。
図7(a)、図8(a)に示すように、一対の動作変化指示ライン22を搬送車10の進行方向の直交方向に直列に並べた場合、搬送車10が、図において下側の直進誘導ライン21に誘導された搬送車10が、これら動作変化指示ライン22,22の位置に達したときには、全てのセンサ31〜35が、動作変化指示ライン22,22を検出する寸法に設定されている。また、左折誘導ライン23aは、搬送車10がさらに進んだ場合に、第1〜第3センタ31〜33により検出され、他のセンサ34,35には検出されない長さに設定され、右折誘導ライン23bは、搬送車10の同様の状態で、第3〜第5センサ33〜35により検出され、他のセンサ31,32には検出されない長さに設定されている。
【0022】
したがって、センサ31〜35は、図7(a)に示すように、誘導ライン20が左折を誘導する箇所では、図7(b)に示すように、まず、全センサ31〜35が、動作変化指示ライン22,22を検出し、この状態からさらに直進した際に、第1〜第3センサ31〜33が左折誘導ライン23aを検出する。
【0023】
一方、図8(a)に示すように、誘導ライン20が右折を誘導する箇所では、図8(b)に示すように、まず、全センサ31〜35が、動作変化指示ライン22,22を検出し、この状態からさらに直進した際に、第3〜第5センサ33〜35が右折誘導ライン23bを検出する。
【0024】
さらに、誘導ライン20は、搬送車10を停止させる箇所では、図9(a)に示すように、一対の停止誘導ライン24a,24bを、その長手方向を進行方向に直交する方向に向けた横向き状態で、進行方向に沿って直列に並べて配置する。これらの停止誘導ライン24a,24bの長さは、直進誘導ライン21と同様のL1の寸法であり、かつ、搬送車10が、その車幅方向中央を停止誘導ライン24a,24bの長手方向の中央に配置した場合、全センサ31〜35のうちで車両中央側に配置された第2〜第4センサ32〜34が両停止誘導ライン24a,24bを検出するよう設定されている。
【0025】
したがって、図9(a)に示すように、誘導ライン20が停止を指示する箇所では、図9(b)に示すように、車両中央側の第2〜第4センサ32〜34が、停止誘導ライン24aを検出し、この状態からさらに直進した際に、同じく第2〜第4センサ32〜34が停止誘導ライン24bを検出する。
よって、最初の第2〜第4センサ32〜34による停止誘導ライン24aの検出が動作変化指示に相当し、次の停止誘導ライン24bの検出で、停止指示と判定する。
【0026】
次に、走行制御システム40が実行する走行制御の処理の流れを図3のフローチャートにより説明する。
このフローチャートは、搬送車10による走行を開始するために起動させた時点からの処理の流れを示している。また、起動時には、搬送車10を誘導ライン20の上に配置してから起動する。
【0027】
最初のステップS101では、各センサ31〜35の出力を読み込み、ステップ102に進む。
ステップS102では、各センサ31〜35の何れかにより誘導ライン20を検出しているか否かにより誘導ライン20の識別ができているか(OK)否かを判定し、この識別ができている場合は、ステップS103に進み、識別ができていない場合は、ステップS101に戻る。
【0028】
ステップS102にて誘導ライン20が検出されている場合に進むステップS103では、両モータ14a,14bを駆動させ、ステップS104に進む。
ステップS104では、各センサ31〜35の出力を読み込み、この読込時間をカウントした後、ステップS105に進む。
【0029】
ステップS105では、全センサ31〜35のいずれかにより誘導ライン20を予め設定された時間内に検出されたか否か判定し、設定時間(一定時間)内に検出が成された場合は、ステップS106に進む。また、停止用の設定時間を超えても検出が成されない場合はステップS113に進む。
【0030】
たがって、正常に走行している場合は、一定時間内に誘導ライン20の検出が行われ、ステップS106に進むことになる。
【0031】
一方、正常に走行している場合に直進誘導ライン21と直進誘導ライン21との間隔LSを走行する時間に相当する時間を超えても誘導ライン20の検出が成されない場合は、搬送車10が、誘導ライン20から外れたとして、ステップS105においてNOと判定されてステップS113に進む。
【0032】
ステップS106では、各センサ31〜35の検出結果に基づいて、正常、補正、動作変化のいずれかの判定を行い、この判定結果に基づいて、正常判定時にはステップS107に進み、補正判定時にはステップS108に進み、動作変化判定時にはステップS109に進む。
【0033】
ここで、正常、補正、動作変化の判定について説明を加える。
正常とは、図4(b)に示すように、各センサ31〜35のうち、車幅方向中央のセンサ33のみが誘導ライン20を検出している状態である。この場合、搬送車10は、車幅方向の中央に誘導ライン20(直進誘導ライン21)が配置された状態で誘導ライン20に沿って走行している。
この正常判定時には、ステップS107に進んで、両モータ14a,14bに対して現在の駆動状態を維持させる補完動作を行う。
【0034】
また、補正判定とは、搬送車10の車幅方向中央の位置が、誘導ライン20から、車幅方向にずれて走行しており、搬送車10の車幅方向中央に誘導ライン20が来るように走行補正が必要な状態を言う。
例えば、図5(b)および図6(b)は、搬送車10の車幅方向中央が、誘導ライン20に対して右方向にずれた状態における各センサ31〜35の検出状態を示しており、図5(b)はこのずれ量が相対的に小さな場合を、図6(b)は、このずれ量が相対的に大きな場合を示している。
【0035】
すなわち、図5(b)のように、搬送車10の右方向へのずれ量が小さい場合は、同図の最上段の直進走行の行に示すように、左側補助センサとしての第2センサ32が誘導ライン20を検出する。一方、図6(b)のように、搬送車10の右方向のずれ量が大きい場合は、同図の最上段の直進走行の行に示すように、最も左側の第1センサ31が誘導ライン20を検出する。
【0036】
上記とは逆に搬送車10が、誘導ライン20に対して左方向にずれた場合、そのずれ量が小さな場合は、右側補助センサとしての第4センサ34が誘導ライン20を検出し、更にずれ量が大きい場合は、最も右側の第5センサ35が誘導ライン20を検出する。
【0037】
以上のように、直進走行中に車幅方向中央の第3センサ33以外の各センサ31,32,34,35が誘導ライン20を検出した場合に、補正が必要な状態であると判定する。
そして、ステップS106において、上記のように補正判定された場合は、ステップS108に進んで、左右のずれを補正し直進状態へ補正する補正動作を行う。
この左右ずれ補正では、各モータ14a,14bに対し、ずれ方向とは逆方向側のものの回転数を低下させる、あるいは、ずれ方向のものの回転数を上昇させる制御を行うことにより、搬送車10を走行させながら、その車幅方向中央位置を、誘導ライン20に近付ける制御を行う。本実施例1では、左右ずれ補正動作として、両モータ14a,14bのうちの、ずれ方向とは反対側のものの回転数を低下させることする。また、この回転数の低下量として、あらかじめ、各センサ31〜35の1間隔相当のずれを補正できる回転数低下量およびその低下時間が設定されており、1回の補正により、この回転数低下を設定時間だけ実行する。また、ずれ量が大きい場合は、この1回の補正量を大きくするのが好ましい。そこで、本実施例1では、ずれ量が大きい場合には、回転数の低下量と低下時間の一方、あるいは両方をずれ量が小さい場合よりも大きくしている。
【0038】
次に、動作変化判定について説明する。
動作変化判定は、搬送車10に対して右折、左折、停止の誘導指示が成される場合であり、この場合、各センサ31〜35のうち複数の3以上のセンサが誘導ライン20を検出することになる。この動作変化判定時には、上述のようにステップS106からステップS109に進む。
このステップS109では、動作変化に備えて両モータ14a,14bの回転数を低下させて搬送車10を減速させる減速動作を行った後、ステップS110に進む。
【0039】
次のステップS110では、動作変化指示として、さらに、右折、左折、停止のいずれの誘導が成されているかを判定する。
前述したように、右折誘導の場合は、まず、図8(b)の走行状況に分けて記載した上から2行目の動作変化走行の行に示すように全センサ31〜35が誘導ライン20(動作変化指示ライン22,22)の検出を行うことにより、動作変化指示と判定する。その後、同図の3行目の右折走行の行に示すように車幅方向中央および右側の第3〜第5センサ33〜35が右折誘導部としての右折誘導ライン23bの検出を行うことにより、右折誘導と判定する。
そして、ステップS110において、右折誘導と判定した場合は、ステップS111に進んで、両モータ14a,14bに対して、右折動作させる。
この右折動作の場合、左側モータ14aを駆動させたまま、右側モータ14bを停止させる。したがって、搬送車10は、左側駆動輪12aを中心に、右方向に旋回する。この場合、搬送車10が、略直角に旋回するのに必要な右側モータ14bの停止時間があらかじめ設定されている。
【0040】
また、左折誘導の場合は、まず、図7(b)の走行状況に分けて記載した上から2行目の動作変化走行の行のように全センサ31〜35が誘導ライン20(動作変化指示ライン22,22)の検出を行うことにより、動作変化指示と判定する。その後、同図の3行目の左折走行の行のように車幅方向中央および左側の第1〜第3センサ31〜33が左折誘導部としての左折誘導ライン23aの検出を行うことにより、左折誘導と判定する。
そして、ステップS110において、左折誘導と判定した場合は、ステップS112に進んで、両モータ14a,14bに対して、左折動作させる。
左折動作の場合、上記の右折時とは逆に、右側モータ14bを駆動させたまま、左側モータ14aを停止させる。したがって、搬送車10は、左側駆動輪12aを中心に、左方向に旋回する。この場合も、搬送車10が、略直角に旋回するのに必要な側モータ14の停止時間があらかじめ設定されている。
【0041】
また、停止誘導の場合は、図9(b)の走行状況に分けて記載した上から2行目の動作変化走行の行に示すように、車幅方向中央側の3つの第2〜第4センサ32〜34が誘導ライン20(停止誘導ライン24a)を検出することにより、動作変化と判定する。そして、同図の3行目の停止の行に示すように、その後、第2〜第4センサ32〜34が誘導ライン20(停止誘導ライン24b)を検出する、すなわち、第2〜第4センサ32〜34が誘導ライン20を検出する状態が2回連続することにより、停止指示と判定する。そして、ステップS110において、停止誘導と判定した場合は、ステップS113に進んで、両モータ14a,14bの駆動を停止させる。
【0042】
(実施例1の作用)
次に、実施例1の作用を説明する。
搬送車10を自動走行させる場合、搬送車10を、誘導ライン20上に配置し、車体11に運搬する荷物を搭載した後、図示を省略した起動スイッチを押し、走行制御システム40による制御を開始する。
この走行制御システム40の制御により、搬送車10は、誘導ライン20に沿って走行した後、停止誘導ライン24a,24bの位置まで走行後、停止する。
このような走行を行った時の走行状態について状態別に説明する。
【0043】
(直進走行時)
搬送車10が、直進誘導ライン21を並べた誘導ライン20に沿って走行する直進走行時には、搬送車10の車幅方向中央が直進誘導ライン21上に配置されている場合、図4(b)に示すように、中央の第3センサ33のみが、直進誘導ライン21(誘導ライン20)を検出する。
【0044】
この場合、走行制御システム40は、ステップS106の正常判断によるステップS107の処理に基づいて、左右モータ14a,14bの駆動状態を維持して直進する補完動作を行う。これにより、搬送車10は、直進走行を維持する。
【0045】
(走行補正時)
上述の直進走行時に、搬送車10の車幅方向の走行位置が、直進誘導ライン21(誘導ライン20)に対して、車幅方向中央から左右にずれた場合や、図10に示すように、緩やかなカーブ走行を行う場合には、中央の第3センサ33以外のセンサ31,32,34,35のいずれか1つが直進誘導ライン21(誘導ライン20)を検出することになる。
【0046】
この場合、走行制御システム40では、ステップS106において補正判定が成され、ステップS108の処理に基づいて、両モータ14a,14bのうちで、ずれた方向とは反対側のものの回転数を所定時間低下させる左右ずれ補正する補正動作が行われる。
【0047】
例えば、図5(b)において上から1行目に示すように、直進走行時に、第2センサ32が誘導ライン20を検出している場合、搬送車10は、右にずれていると判定される。この場合、左側モータ14aの回転数を低下させて直進へ補正する補正動作を行い、同図3行目に示すように、第3センサ33が誘導ライン20を検出し、正常状態となっている。この正常判定状態に復帰すると、両モータ14a,14bは、通常の直進駆動を行う。この補正動作は、補正判定されている間、繰り返し成される。
【0048】
また、図6(a)の上から1行目に示すように、最も右側の第1センサ31が誘導ライン20を検出するように、右へのずれ量が上記よりもさらに大きい場合は、補正動作時に、ずれ量が小さな場合よりも大きな直進への補正を行う。すなわち、この場合、左側モータ14aの回転数低下量を増加させるか、あるいは低下時間を長くするのが好ましい。この図の例では、上記直進への補正動作により、左へのずれ量が小さくなるため、同図の上から3行目に示すように、第2センサ32が誘導ライン20を検出する、相対的に小さなずれ量に変化している。
したがって、この検出に基づいて、再度、補正動作を行い、正常状態に戻す。
【0049】
また、図10に示すような右への緩いカーブ走行を行う場合、矢印FW方向に直進走行を行うと、搬送車10は、直進誘導ライン21bから左方向にずれることになる。したがって、上述したのとは反対の左方向のずれを補正、すなわち、右側モータ14bの回転を低下させる動作を行うことにより、搬送車10は、各直進誘導ライン21bに沿って直進することにより緩やかにカーブすることができる。
【0050】
(逸脱時)
図10(a)に示すような緩やかなカーブ誘導部において、搬送車10が、例えば、直進して、誘導ライン20から逸脱した場合、同図(b)に示すように全センサ31〜35が誘導ライン20を検出しない状態が連続する。このようにして、全センサ31〜35が誘導ライン20を検出しない状態が、停止用の設定時間を超えると、ステップS105においてNO判定されて、ステップS113の処理に基づいて、両モータ14a,14bの駆動が停止されて、搬送車10は停止する。
【0051】
(左折時、右折時)
次に、左折時、右折時について説明する。
搬送車10を左折させる場合、誘導ライン20には、図7(a)に示すように、動作変化指示ライン22,22および左折誘導ライン23aが設置されている。
そこで、搬送車10が、この箇所に達すると、図7(b)に示すように、全センサ31〜35が誘導ライン20を検出し、動作変化のための減速を行う。
そして、第1〜第3センサ31〜33が誘導ライン20(左折誘導ライン23a)を検出することにより、左折判定して、左側モータ14aを停止させつつ右側モータ14bを駆動させる左折動作を行う。
これにより、搬送車10は、左折する。
【0052】
また、図7(a)に示す誘導ライン20では、搬送車10は、左折後、直進誘導ライン21に沿って直進するが、この場合、搬送車10が誘導ライン20に対してその中央位置がずれている場合には、前述のずれ補正などの補正動作を実行する。
【0053】
一方、搬送車10を右折させる場合には、誘導ライン20には、図8(a)に示すように、動作変化指示ライン22,22および右折誘導ライン23bを設置する。
したがって、搬送車10が、この箇所に走行した場合、図8(b)に示すように、全センサ31〜35が誘導ライン20を検出することにより、減速走行を行い、その後、第3〜第5センサ33〜35が誘導ライン20(右折誘導ライン23b)を検出することにより、右折動作を行う。
【0054】
(停止時)
搬送車10を停止させる位置では、誘導ライン20には、図9(a)に示す停止誘導ライン24a,24bが設置されている。
したがって、搬送車10がこの位置に達すると、まず、中央の第2〜第4センサ32〜34が誘導ライン20(停止誘導ライン24a)を検出し、これにより減速動作を行い、さらに、中央の第2〜第4センサ32〜34が誘導ライン20(停止誘導ライン24b)を検出することにより、両モータ14a,14bを停止させる。
【0055】
(実施例1の効果)
以上説明した実施例1の搬送装置は、以下に列挙する効果を奏する。
a)実施例1の搬送装置は、
駆動源としての左右両モータ14a,14bにより左右側駆動輪12a,12bを駆動させて走行可能であるとともに、転舵手段により転舵可能な搬送車10と、
この搬送車10に設けられ、床に設けられた誘導ライン20を検出する誘導ライン検出センサと、
誘導ライン検出センサの検出に基づいて、誘導ライン20に沿って搬送車10を走行させる走行制御部としての走行制御システム40と、
を備えた搬送装置であって、
誘導ライン20は、搬送車10の進行方向に直交する方向に右折あるいは左折誘導する箇所を備え、右折誘導する箇所では、進行方向に延びる直進誘導部としての直進誘導ライン21に対して右方向に直角に延びる右折誘導部としての右折誘導ライン23bを備え、一方、左折誘導する箇所では、進行方向に延びる直進誘導部に対して左方向に直角に延びる左折誘導ライン23aを備え、
誘導ライン検出センサは、車幅方向に沿って、中央、左側、右側に配置された中央センサとしての第3センサ33、左側センサとしての第1センサ31、右側センサとしての第5センサ35を備え、かつ、直進誘導ライン21では、第3センサ33が誘導ライン20を検出し、左折誘導ライン23aでは、第1センサ31および第3センサ33が誘導ライン20を検出し、右折誘導ライン23bでは、第5センサ35および第3センサ33が誘導ライン20を検出するように配置され、
走行制御システム40は、左側センサおよび中央センサとしての第1、第3センサ31,33が誘導ライン20を検出したときには、転舵手段を左折作動させ、右側センサおよび中央センサとしての第5センサ35および第3センサ33が誘導ライン20を検出したときには、転舵手段を右折作動させることを特徴とする。
このように、本実施例1では、少なくとも、3つのセンサ31,33,35を有していれば、搬送車10を右折および左折させる制御が実行可能であり、従来と比較して、必要なセンサの数を減らしてコスト削減を図ることが可能である。
【0056】
b)実施例1の搬送装置は、
駆動輪として、搬送車10の左右に設けられた左側駆動輪12aおよび右側駆動輪12bを備え、
駆動源として、左右側駆動輪12a,12bをそれぞれ独立して駆動させる左側モータ14aおよび右側モータ14bを備え、
転舵手段は、左右側駆動輪12a,12bの回転差により転舵させる手段であり、
走行制御システム40は、右折作動および左折作動時には、両モータ14a,14bの一方を停止させつつ他方を駆動させる制御を実行することを特徴とする。
したがって、実施例1では、両駆動輪12a,12bを駆動させる駆動手段の他に、転舵輪および転舵駆動させる駆動手段が不要であり、これらを別途設けるものと比較して、構成の簡略化を図って、搬送車10のコストおよび重量を軽減することが可能である。
また、搬送車10は、右折時、左折時には、停止した駆動輪を中心に旋回するため、旋回半径を低く抑え、旋回に必要なスペースや誘導ライン20の構成を簡略化することが可能である。
【0057】
c)実施例1の搬送装置は、
誘導ライン20は、左折誘導ライン23aおよび右折誘導ライン23bの手前に、直進状態からの動作変化を行うことを示す動作変化指示ライン22,22を備え、この動作変化指示ライン22,22は、中央センサとしての第3センサ33、左側センサとしての第1センサ31、右側センサとしての第5センサ35が、同時に誘導ライン20を検出するよう形成されていることを特徴とする。
したがって、動作変化指示ライン22,22により、左折や右折することを前もって判定し、右左折に備えることが可能であるとともに、誤検出を抑制でき、制御性に優れる。
【0058】
さらに、本実施例1では、動作変化指示ライン22,22の検出により減速動作を行うようにしたため、直進時と比較して右左折時の速度を低下させることにより、右左折時の旋回半径をより正確に制御することが可能であるとともに、直進時の速度を上げて、搬送性を高めることが可能である。
【0059】
d)実施例1の搬送装置は、
誘導ライン検出センサは、中央センサとしての第3センサ33と左側センサとしての第1センサ31との間、および中央センサとしての第3センサ33と右側センサとしての第5センサ35との間に、それぞれ、左側補助センサとしての第2センサ32、右側補助センサとしての第4センサ34を備えていることを特徴とする。
これら補助センサとしての両センサ32,34を設けたことにより、搬送車10の車幅方向のずれをより精度高く検出することが可能となり、制御精度を向上させることができる。
特に、本実施例1のように、誘導ライン20が、直進誘導ライン21を間隔を空けて配置した構成において、補助センサとしての両センサ32,34による早期のずれ検出がより有効となる。
【0060】
e)実施例1の搬送装置は、
走行制御システム40は、各補助センサとしての第2、第4センサ32,34の検出状態に基づいて、搬送車10が、誘導ライン20に対して左右にずれていることの判定を行うずれ判定部(ステップS106)を備え、かつ、このずれ判定部が、搬送車10のずれを検出した際には、転舵手段をずれを解消する側に転舵させる補正処理として両モータ14a,14bのうちでずれ方向とは反対側のものの回転数を低下させる処理を実行することを特徴とする。
したがって、実施例1では、搬送車10が左右にずれた場合に、このずれを第1センサ31や第5センサ35により検出する以前に、補助センサとしての第2・第4センサ32,34により検出して、ずれ量の補正を行うことができる。よって、第1・第5センサ31,35の検出により補正する場合よりも、早いタイミングで正常な走行状態に復帰することが可能である。これにより、搬送車10の無駄な走行を削減できる。
【0061】
f)実施例1の搬送装置は、
誘導ライン検出センサとして第1〜第5センサ31〜35を設け、
誘導ライン20は、動作変化指示部としての右折および左折指示箇所の動作変化指示ライン22,22と、停止指示用の動作変化指示ラインとしての停止誘導ライン24aと、長さに違いを持たせ、前者が全センサ31〜35が検出するのに対して、後者は第2〜第4センサ32〜34が検出するようにした。
これにより、動作指示として右左折の場合と停止の場合とを区別することができる。また、これにより、動作指示時の減速量を、右左折時と停止時とで異ならせるなどの、細かな制御が可能となる。
【0062】
g)実施例1の搬送装置は、
誘導ライン20として、直進および緩やかなカーブの誘導用として、長方形の帯状の直進誘導ライン21を、間隔LSを空けて配置した。
したがって、搬送車10の走行軌道の全長に亘って、誘導ライン20を設ける場合と比較して、コスト低減が可能となる。
特に、緩やかなカーブ部分では、長方形帯状の直進誘導ライン21を、間隔を空けて並べることにより、このカーブに沿ってライン状に誘導ライン20を設ける場合と比較して、ラインの製造が大幅に容易となるとともに、設置作業が大幅に単純化できる。
【0063】
h)実施例1の搬送装置は、
動作変化指示部、左折誘導部、右折誘導部、停止指示部としての、動作変化指示ライン22、左折誘導ライン23a、右折誘導ライン23b、停止誘導ライン24a、停止誘導ライン24bも、直進誘導ライン21と同じものを用い、その配置を異ならせることにより、各誘導、指示を行うようにした。
したがって、それぞれに異なるものを用いるものと比較して、製造コストを低減することが可能である。
【0064】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1について詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0065】
例えば、実施例1では、転舵手段として、左右駆動源としての両モータ14a,14bの回転差により転舵する手段を示したが、これに限定されるものではなく、駆動輪あるいは従動輪を転舵させるものを用いてもよい。また、このように転舵輪を有する場合は、駆動源は、1つであってもよい。
【0066】
また、実施例1では、誘導ラインとして、直進誘導ライン21を、一定間隔で設けたものを示したが、従来のように、搬送車を誘導する全長に亘って連続したものを用いてもよい。
さらに、実施例1では、左折誘導部としての左折誘導ライン23aと右折誘導部としての右折誘導ライン23bとの両方を示したが、搬送車の誘導経路によっては、左折誘導部と右折誘導部とのいずれか一方のみを設けた構成であってもよい。
【0067】
また、実施例1では、誘導ライン検出センサとして、5つのセンサ31〜35を示したが、少なくとも、中央、左側、右側の3つのセンサを備えていればよい。この場合、例えば、3つのセンサが、第1、第3、第5センサ31,33,35であれば、右左折の場合は、全センサ31,33,35が誘導ライン20を検出することで、変化指示と判定でき、第3センサ33と、他のセンサ31,35のいずれか一方が誘導ライン20を検出により、前者が左折、後者が右折と判定できる。
そして、この場合、停止誘導は、実施例1で示した停止誘導ライン24a,24bに変えて、変化指示ライン22,22を、進行方向に2段設けることにより、全センサ31,33,35が誘導ライン20を検出する状態が、2回連続して生じ、これにより、停止誘導と判定することができる。
【0068】
また、実施例1では、各センサ31〜35の車幅方向の間隔は、直進時に、1つのセンサのみが誘導ライン20を検出するように、直進誘導ライン21の幅よりも僅かに広い間隔に設定したが、直進誘導ライン21の幅よりも僅かに狭い幅に設定してもよい。この場合、搬送車が左右にずれた場合、中央の第3センサ33と、補助センサとしての両センサ32,34のずれた方向のセンサとの2つのセンサが誘導ライン20を検出することにより、ずれが生じたことを検出することができる。
あるいは、さらに、各センサ31〜35の間隔を狭め、常時、中央側の3つのセンサ32,33,34が誘導ライン20を検出し、僅かなずれが生じると、ずれた方向とは反対側のセンサが、誘導ライン20を検出しなくなるようにして、早期にずれ発生を検出できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 搬送車
12a 左側駆動輪
12b 右側駆動輪
14a 左側モータ(左側駆動源)
14b 右側モータ(右側駆動源)
20 誘導ライン
21 直進誘導ライン(直進誘導部)
21b 直進誘導ライン(直進誘導部)
22 動作変化指示ライン(動作変化指示部)
23a 左折誘導ライン(左折誘導部)
23b 右折誘導ライン(折誘導部)
24a 停止誘導ライン
24b 停止誘導ライン
31 第1センサ(誘導ライン検出センサ:左側センサ)
32 第2センサ(誘導ライン検出センサ:補助センサ)
33 第3センサ(誘導ライン検出センサ:中央センサ)
34 第4センサ(誘導ライン検出センサ:補助センサ)
35 第5センサ(誘導ライン検出センサ:右側センサ)
40 走行制御システム(走行制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10