特許第5882163号(P5882163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5882163-ラジエータグリル 図000002
  • 特許5882163-ラジエータグリル 図000003
  • 特許5882163-ラジエータグリル 図000004
  • 特許5882163-ラジエータグリル 図000005
  • 特許5882163-ラジエータグリル 図000006
  • 特許5882163-ラジエータグリル 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882163
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】ラジエータグリル
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   B60R19/52 J
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-178804(P2012-178804)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-37162(P2014-37162A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】中橋 大祐
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−291787(JP,A)
【文献】 特開平10−016679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に面して配置されるグリル本体と、該グリル本体に設けられ、該車両の後方に向かって延びる取付フランジとを備えたラジエータグリルにおいて、
前記取付フランジには、車体フレームとの固定を行う固定部材が挿通される挿通孔と、該挿通孔よりも前記車両の前記前方に位置する退避孔と、該挿通孔と該退避孔との間に設けられた離隔部とが形成され、
該離隔部には、衝撃により該離隔部を破断して該固定部材を該退避孔に退避させる基点部が形成され
前記取付フランジは、前記グリル本体から前記車両の前記後方に向かって板状に延びる第1板部と、該第1板部の後端から該車両の該後方に向かって下り傾斜で板状に延び、前記退避孔が形成された第2板部と、該第2板部の後端から該車両の該後方に向かって水平に板状に延び、前記離隔部及び前記挿通孔が形成された第3板部とを有しており、
前記取付フランジが前記車体フレームに固定されることにより、前記第1板部は、前記固定部材の頂部よりも前記車両の上方に位置することを特徴とするラジエータグリル。
【請求項2】
前記基点部は、切欠きからなる請求項1記載のラジエータグリル。
【請求項3】
前記第1板部は、前記グリル本体から前記車両の前記後方に向かって水平に延びる第1水平板と、該第1水平板の後端と連続し、前記退避孔に向かって登り傾斜となる第1傾斜板とからなる請求項1又は2記載のラジエータグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラジエータグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のラジエータグリルが開示されている。このラジエータグリルは、車両の前方に面して配置されるグリル本体と、グリル本体に設けられ、車両の後方に向かって延びる取付フランジとを備えている。この取付フランジは、ボルトによって車体フレームと固定されている。これにより、このラジエータグリルは車両と固定され、車両の前端部にグリル本体を位置させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−72396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、グリル本体は車両の前方に面して配置されるため、車両の前方から物体や道路上の設置物等(以下、これらを総称して被衝突体という。)が衝突すれば、被衝突体はグリル本体と衝突する可能性が高い。特に、上記従来のラジエータグリルのように、車両の前端部にグリル本体を位置させている場合には、この傾向が顕著となる。
【0005】
被衝突体がグリル本体と衝突すれば、ラジエータグリルを圧縮する圧縮力がラジエータグリルを介して車両側に作用する。また、車両側からこの圧縮力に応じた衝撃エネルギーがラジエータグリルを介して被衝突体側に作用する。このため、被衝突体に対する保護の観点から、衝突時に被衝突体に作用する衝撃エネルギーを緩和させることが求められる。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、衝突の際、被衝突体側に作用する衝撃エネルギーを緩和させ得るラジエータグリルを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラジエータグリルは、車両の前方に面して配置されるグリル本体と、該グリル本体に設けられ、該車両の後方に向かって延びる取付フランジとを備えたラジエータグリルにおいて、
前記取付フランジには、車体フレームとの固定を行う固定部材が挿通される挿通孔と、該挿通孔よりも前記車両の前記前方に位置する退避孔と、該挿通孔と該退避孔との間に設けられた離隔部とが形成され、
該離隔部には、衝撃により該離隔部を破断して該固定部材を該退避孔に退避させる基点部が形成され
前記取付フランジは、前記グリル本体から前記車両の前記後方に向かって板状に延びる第1板部と、該第1板部の後端から該車両の該後方に向かって下り傾斜で板状に延び、前記退避孔が形成された第2板部と、該第2板部の後端から該車両の該後方に向かって水平に板状に延び、前記離隔部及び前記挿通孔が形成された第3板部とを有しており、
前記取付フランジが前記車体フレームに固定されることにより、前記第1板部は、前記固定部材の頂部よりも前記車両の上方に位置することを特徴とする
【0008】
本発明のラジエータグリルでは、被衝突体がグリル本体と衝突すれば、その衝撃により、基点部を基点として離隔部が破断する。これにより、この取付フランジでは、挿通孔から退避孔へ固定部材を相対移動させることが可能となる。このため、このラジエータグリルでは、衝突時の圧縮力によってグリル本体及び取付フランジが車両の後方へ移動することが可能となり、この移動によって、車両側に作用する圧縮力を吸収することが可能となる。
【0009】
したがって、本発明のラジエータグリルによれば、衝突の際、被衝突体側に作用する衝撃エネルギーを緩和させることができる。
【0010】
本発明のラジエータグリルでは、取付フランジに離隔部が形成されていることにより、上記のように、離隔部が破断するまでは、固定部材が挿通孔から退避孔へ相対移動することが不可能となっている。このため、このラジエータグリルでは、通常時には、取付フランジが車体フレームに好適に固定され、車両に設けられた状態でガタツキ等を生じさせ難い。
【0011】
本発明のラジエータグリルにおいて、グリル本体と取付フランジとは一体で形成されても良く、グリル本体と取付フランジとがそれぞれ別体であっても良い。
【0012】
また、基点部は、離隔部の一部に形成されても良く、離隔部の全体に形成されても良い。ここで、基点部は、例えば離隔部の一部又は全部を肉薄に加工することで形成することができる他、離隔部の一部又は全部を取付フランジにおける他の部分よりも脆弱な材質で構成することで形成することもできる。また、離隔部に対し、挿通孔と退避孔とに連続する小さな連通路を予め形成し、この連通路を基点部とすることもできる。
【0013】
特に、基点部は、離隔部に形成された切欠きからなることが好ましいこの場合、離隔部に対して基点部を容易に形成することができる。また、切欠きに対して衝撃が集中するため、衝撃時に好適に破断し易くなる。なお、切欠きの個数は適宜設計することができる。
【0014】
本発明のラジエータグリルにおいて、取付フランジは、グリル本体から車両の後方に向かって板状に延びる第1板部と、第1板部の後端から車両の方に向かって下り傾斜で板状に延び、退避孔が形成された第2板部と、第2板部の後端から車両の後方に向かって水平に板状に延び、離隔部及び挿通孔が形成された第3板部とを有している。そして、取付フランジが車体フレームに固定されることにより、第1板部は、固定部材の頂部よりも車両の上方に位置する
【0015】
このため、衝突時にラジエータグリルが車体後方に移動する際、固定部材が退避孔を越えて取付フランジの第1板部の下方まで相対移動することが可能となる。これにより、このラジエータグリルでは、衝突時にグリル本体及び取付フランジが移動可能な距離をより長くすることができる。このため、このラジエータグリルでは、車体側に作用する圧縮力が大きい場合であっても、その圧縮力を好適に吸収することが可能となり、被衝突体側に作用する衝撃エネルギーを好適に緩和させることができる。
【0016】
第1板部は、グリル本体から車両の後方に向かって水平に延びる第1水平板と、第1水平板の後端と連続し、退避孔に向かって登り傾斜となる第1傾斜板とからなることが好ましい
【0017】
この場合、上記のように、固定部材が退避孔を越えて相対移動する際、第1傾斜板が固定部材に対するガイドとして機能する。このため、仮に衝突時の衝撃等によって固定部材が車両の上方に突出し、その頂部が第1水平板よりも低い位置とならない場合であっても、固定部材が相対移動する際、第1傾斜板によって固定部材の頂部の位置を規制すること可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のラジエータグリルによれば、衝突の際、被衝突体側に作用する衝撃エネルギーを緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1のラジエータグリルを備えた車両の一部を示す断面図である。
図2】実施例1のラジエータグリルを示す上面図である。
図3】実施例1のラジエータグリルに係り、取付フランジの一部を示す上面図である。(A)は、挿通孔と退避孔とが非連通の状態を示している。(B)は、挿通孔と退避孔とが連通した状態を示している。
図4】実施例1のラジエータグリルに係り、取付フランジと車体フレームとの固定状態を示す断面図である。(A)は、通常状態を示している。(B)は、取付フランジが車両後方に移動した際に、固定ピンが挿通孔から退避孔へ相対移動した状態を示している。(C)は、取付フランジが車両後方に移動した際に、固定ピンが退避孔を越えて第1水平板の下方まで相対移動した状態を示している。
図5】実施例2のラジエータグリルに係り、取付フランジの一部を示す上面図である。
図6】実施例3のラジエータグリルに係り、取付フランジの一部を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1のラジエータグリル1は、車両3に採用されている。このラジエータグリル1は、車両3の前端において、ボンネット5とフロントバンパ7との間に配置されている。
【0022】
フロントバンパ7は、車両3の車体3aに設けられたアッパリテーナ9と固定されている。また、アッパリテーナ9はブラケット11を介してラジエータサポート13に固定されている。ラジエータサポート13は、車体3aの幅方向に延設された車体フレーム15に固定されている。このラジエータサポート13内にはラジエータ17が配置されている。
【0023】
ラジエータグリル1は、車両3の前方に面して配置されるグリル本体1aと、グリル本体1aに設けられ、車両3の後方に向かって延びる取付フランジ1bとを備えている。図2に示すように、グリル本体1aは略矩形に形成されており、図1に示す車両3の走行によって生じる走行風をラジエータ17に案内する。
【0024】
取付フランジ1bは、グリル本体1aの後方に対して、固定ピン19aによって固定されている。図2に示すように、このラジエータグリル1では、グリル本体1aに対して同一形状の取付フランジ1bが四つ固定されている。グリル本体1a及び取付フランジ1bは樹脂製である。なお、グリル本体1aに固定される取付フランジ1bの数は、グリル本体1aの大きさに応じて適宜変更することが可能である。
【0025】
図1に示すように、取付フランジ1bは、グリル本体1aから車両3の後方に向かって板状に形成されている。この取付フランジ1bには、図3の(A)に示すように、第1板部21と、第2板部23と、第3板部25と、これらの第1板部21、第2板部23及び第3板部25の周囲に形成された壁部26とを有している。第1板部21、第2板部23、第3板部25及び壁部26は一体に形成されている。また、取付フランジ1bには、挿通孔27と、退避孔29と、離隔部31とが形成されている。なお、図1及び後述の図4では、説明のため壁部26の図示を一部省略している。
【0026】
図4の(A)に示すように、第1板部21は、グリル本体1aから車両3の後方に向かって水平に延びる第1水平板と21aと、第1水平板21aの後端と連続し、退避孔29に向かってやや登り傾斜となる第1傾斜板21bとからなる。
【0027】
第2板部23は、第1傾斜板21bの後端から車両3の後方に向かって下り傾斜で延びている。第3板部25は、第2板部23の後端から車両3の後方に向かって水平に延びている。
【0028】
図3の(A)に示すように、挿通孔27は第3板部25の略中央に形成されている。この挿通孔27には、後述する固定部材としての固定ピン19bが挿通されるようになっている。退避孔29は第2板部23に形成されており、第3板部25に形成された上記の挿通孔27よりも車両3の前方に位置している。この退避孔29は、第2板部23のほぼ全域を占め、挿通孔27よりも大きい略矩形に形成されている。離隔部31は第3板部25に形成されており、挿通孔27と退避孔29と間に位置している。この離隔部31により、挿通孔27と退避孔29とは非連通となっている。
【0029】
離隔部31には、基点部としての切欠き33a、33bが形成されている。各切欠き33a、33bは、退避孔29側から挿通孔27側に向かって鋭角状に延びるように形成されている。
【0030】
図4の(A)に示すように、各取付フランジ1bは、第3板部25を車体フレーム15上に設置させつつ、挿通孔27に挿通された固定ピン19bによって、車体フレーム15に固定される。この際、各取付フランジ1bにおいて、第1水平板21aは、固定ピン19bの頂部よりも車両3の上方に位置している。つまり、車体フレーム15の上面から第1水平板21aの下面までの高さH1は、車体フレーム15の上面から固定ピン19bの頂部までの高さH2よりも高くなっている。こうして、図1に示すように、ラジエータグリル1が車体3aに固定される。
【0031】
この車両3では、上記のように、ラジエータグリル1が車両3の前端に配置されているため、車両3の前端に被衝突体が衝突すれば、グリル本体1aに被衝突体が衝突し、車体3aの後方側に向かう圧縮力Fがラジエータグリル1を介して車両3に作用する(図4の(B)参照。)。
【0032】
ここで、このラジエータグリル1では、衝突の衝撃によって、取付フランジ1bが慣性力で車両3の後方側に移動しようとして離隔部31を破断する。この際、離隔部31は、各切欠き33a、33bが基点となって破断され、図3の(B)に示すように、挿通孔27と退避孔29とが連通した状態となる。これにより、取付フランジ1bでは、図4の(B)に示すように、挿通孔27から退避孔29へ固定ピン19bが相対移動することが可能となる。このため、このラジエータグリル1では、グリル本体1a及び取付フランジ1bが車両3の後方へ移動することが可能となり、車両3側に作用する圧縮力Fを吸収することが可能となる。
【0033】
特に、このラジエータグリル1では、基点部として各切欠き33a、33bを採用しているため、離隔部31に対して各切欠き33a、33bを容易に形成することが可能となっている。また、各切欠き33a、33bに対して上記の衝撃が集中することから、衝撃時に好適に破断し易く、このため、離隔部31を破断させ易くなっている。
【0034】
さらに、このラジエータグリル1では、固定ピン19bによって、車体フレーム15に取付フランジ1bを固定した状態において、車体フレーム15の上面から第1水平板21aの下面までの高さH1は、車体フレーム15の上面から固定ピン19bの頂部までの高さH2よりも高くなっている。このため、同図の(C)に示すように、固定ピン19bが退避孔29を越えて第1板部21の下方まで相対移動することが可能となっている。これにより、このラジエータグリル1では、衝突時にグリル本体1a及び取付フランジ1bが移動可能な距離が長くなっている。
【0035】
また、この際、このラジエータグリル1では、第1傾斜板21bが固定ピン19bに対するガイドとして機能する。このため、仮に衝突時の衝撃等によって固定ピン19bが車両3の上方に突出し、その頂部が第1水平板21aよりも低い位置とならない場合であっても、固定ピン19bが相対移動する際、第1傾斜板21bによって固定ピン19b頂部の位置を規制すること可能となっている。これらのため、このラジエータグリル1では、車体3a側に作用する圧縮力Fが大きい場合であっても、その圧縮力Fを好適に吸収することが可能となっている。
【0036】
したがって、実施例1のラジエータグリル1を採用した車両3では、衝突の際、被衝突体側に作用する衝撃エネルギーを緩和させることができる。
【0037】
また、このラジエータグリル1における取付フランジ1bでは、離隔部31が破断するまで、すなわち、通常時には、図3の(A)に示すように、固定ピン19bが挿通孔27から退避孔29へ相対移動することが不可能となっている。このため、このラジエータグリル1では、通常時には、取付フランジ1bが車体フレーム15に好適に固定され、車両3に設けられた状態でガタツキ等を生じさせ難くなっている。
【0038】
(実施例2)
実施例2のラジエータグリル1は、実施例1における取付フランジ1bに換えて、図5に示す取付フランジ1cを備えている。なお、この取付フランジ1cもグリル本体1aに対して四つ固定されている。
【0039】
取付フランジ1cには、挿通孔27と退避孔29との間に離隔部35と第1連通路37とが形成されている。また、離隔部35に対して、基点部としての切欠き33cが形成されている。第1連通路37は挿通孔27と退避孔29とに連通している。切欠き33cは、退避孔29側から挿通孔27側に向かって略直角状に延びるように形成されている。これらの第1連通路37及び切欠き33cにより、離隔部35は小片状となっている。そして、この離隔部35により、第1連通路37の幅は、固定ピン19b(図4参照)の幅よりも狭くなっている。このため、通常時は、固定ピン19bが第1連通路37を通過しつつ、挿通孔27から退避孔29へ相対移動することが不可能となっている。この取付フランジ1cにおける他の構成は実施例1における取付フランジ1bと同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0040】
この取付フランジ1cでは、車両3と被衝突体とが衝突することで、上記のように、取付フランジ1cが車両3の後方側に移動しようとして離隔部35を破断する。この際、離隔部35は、切欠き33cを基点として破断される。これにより、第1連通路37の幅が拡大されることで、挿通孔27に挿通された固定ピン19bが退避孔29へ相対移動することが可能となる。このため、このラジエータグリル1においても、図4の(B)、(C)に示すように、グリル本体1a及び取付フランジ1cが車両3の後方へ移動することが可能となり、車両3側に作用する圧縮力Fを吸収することが可能となる。このラジエータグリル1における他の作用効果は実施例1と同様である。
【0041】
(実施例3)
実施例3のラジエータグリル1は、実施例1における取付フランジ1bに換えて、図6に示す取付フランジ1dを備えている。なお、この取付フランジ1dもグリル本体1aに対して四つ固定されている。
【0042】
取付フランジ1dには、挿通孔27と退避孔29との間に離隔部39が形成されている。この離隔部39の略中央には、基点部としての第2連通路33dが形成されている。第2連通路33dは、挿通孔27と退避孔29とに連通している。この第2連通路33dにより、離隔部39は、第2連通路33dの両縁で対する状態で二つに分断されている。上記の第1連通路37と同様、通常時におけるこの第2連通路33dの幅も、固定ピン19b(図4参照)の幅よりも狭くなっている。この取付フランジ1dにおける他の構成は、実施例1における取付フランジ1bと同様である。
【0043】
この取付フランジ1dでは、固定ピン19bが慣性力で離隔部39を破断する際、離隔部39では、第2連通路33d両縁が基点となる。そして、離隔部39が破断して、第2連通路33dの幅が拡大されることで、挿通孔27に挿通された固定ピン19bが第2連通路33dを通過しつつ、退避孔29へ相対移動することが可能となる。このため、このラジエータグリル1においても、図4の(B)、(C)に示すように、グリル本体1a及び取付フランジ1dが車両3の後方へ移動することが可能となり、車両3側に作用する圧縮力Fを吸収することが可能となる。このラジエータグリル1における他の作用効果は実施例1と同様である。
【0044】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0045】
例えば、ラジエータグリル1が固定される位置は車両3の前端に限定されることはなく、ラジエータ17が配置される位置に応じて適宜変更することが可能である。
【0046】
また、ラジエータグリル1において、グリル本体1aと、取付フランジ1b、1c、1dを一体で形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、乗用自動車の他、バス、トラック等、ラジエータグリルを有する車両一般に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…ラジエータグリル
1a…グリル本体
1b〜1d…取付フランジ
3…車両
15…車体フレーム
19b…固定ピン(固定部材)
21…第1板部
21a…第1水平板
21b…第1傾斜板
23…第2板部
25…第3板部
27…挿通孔
29…退避孔
31…離隔部
33a〜33c…切欠き(基点部)
33d…第2連通路(基点部)
35…離隔部
39…離隔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6