特許第5882235号(P5882235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5882235保護されたベアリングを有する遠心分離機
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  • 特許5882235-保護されたベアリングを有する遠心分離機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882235
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】保護されたベアリングを有する遠心分離機
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/02 20060101AFI20160225BHJP
   B04B 9/06 20060101ALI20160225BHJP
   B04B 11/04 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   B04B1/02
   B04B9/06 A
   B04B11/04
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-556436(P2012-556436)
(86)(22)【出願日】2011年2月25日
(65)【公表番号】特表2013-530810(P2013-530810A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2011052827
(87)【国際公開番号】WO2011110432
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】1004032.7
(32)【優先日】2010年3月11日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バーフォード、ニゲル
(72)【発明者】
【氏名】フェル、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥボラツェック、クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】フォールクス、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ、ジョン ローレンス
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−290267(JP,A)
【文献】 特開平06−254441(JP,A)
【文献】 特開2009−039685(JP,A)
【文献】 特表2000−506775(JP,A)
【文献】 特表2002−539390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、前記ベース部から直立した実質的に垂直なスピンドルと、前記スピンドルに取り付けられ、前記スピンドルを囲むロータチャンバを画定するロータとを含み、前記ベース部は、濾過される流体用の導入路を有し、前記スピンドルは、前記濾過される流体を前記導入路から前記ロータチャンバに供給する軸方向穴および軸方向穴からの排出口を有する自己駆動式遠心分離機であって、
前記濾過される流体は、研磨粒子を含有する液体、又は潤滑材でない液体からなり、
前記ロータにはノズルが設けられ、前記ノズルからの流体排出に対する反作用で前記ロータが回転することと、
前記スピンドルは、前記ベース部に対して前記ロータと一体になって回転するように前記ロータに連結され、前記ベース部に対して前記スピンドルを回転させるためのベアリングが、前記ベース部に動かないように取り付けられたベアリングハウジング内に設けられることと、
前記スピンドルはまた、前記ベアリングハウジングを前記ロータチャンバから隔離する態様で前記ロータに連結されることと、
封止装置が、前記ベアリングハウジング内において、前記スピンドルと前記ベース部との間で、前記ベアリングより下の位置に設けられると共に、
前記封止装置には、軸方向封止装置が含まれ、
前記軸方向封止装置は、回転する上側円筒状シール要素、および前記ベアリングハウジングに垂直方向に嵌入されたシールスリーブに同軸に嵌入された下側円筒状シール要素を含み、前記上側円筒状シール要素の下端または前記下側円筒状シール要素の上端の一方が他方の要素と前記シールスリーブの上方において端部間で封止接触する接触部が形成され、
前記封止装置は、前記ベアリングハウジング内において、前記封止装置と前記ベアリングの間に前記スピンドルが位置することによって前記封止装置の前記接触部から漏出する前記流体が前記ベアリングに流入するのが阻止されるように前記ベアリングから離れて設けられることと、
前記接触部から漏出する前記流体が前記ベアリングハウジング内において前記接触部の下方に形成されている排出開口から外部に排出されるように構成されていることを特徴とする自己駆動式遠心分離機。
【請求項2】
前記軸方向封止装置の前記上側円筒状シール要素または前記下側円筒状シール要素の少なくとも一方は、スプリングで懸架されることにより前記接触部において前記端部間で封止接触する、請求項に記載の自己駆動式遠心分離機。
【請求項3】
前記ベアリングハウジングには、前記ベアリングより下の位置において前記軸方向封止装置の前記接触部から漏出する前記流体を前記ベース部に排出するための前記排出開口が設けられる、請求項またはに記載の自己駆動式遠心分離機。
【請求項4】
遠心力によって分離される粒子状物質を含むロータ内容物を除去可能なように前記ロータチャンバ内に取り付けられた取り外し可能なバスケットアセンブリをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の自己駆動式遠心分離機。
【請求項5】
前記ロータを覆って取り付けられ、迅速解放クランプによって前記ベース部に固定されたカバーアセンブリをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の自己駆動式遠心分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当技術分野において「遠心フィルタ」としても公知の遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離器は、様々な密度の流体を分離するものとして、または液体から粒子状物質を分離するものとして公知である。そのような遠心分離機の動作原理は、ハウジングが、実質的に垂直な軸のまわりを高速で回転するように支持されたロータを収容するということである。汚染物が除去される流体は、回転軸に沿って高い圧力でロータに供給される。この流体がロータを通過するときに、高密度の汚染物質または粒子は、遠心力で流体から分離され、通常はロータの内側面に付着した小塊としてロータ内に保持され、ロータは、間隔を置いて清浄または交換される。
【0003】
汚染物が除去される流体が、ロータ用の駆動体にもなる自己駆動式遠心分離機は、車両の潤滑システム、および他の産業の分離プロセスで長い間使用されてきた。英国特許第2160796号明細書、および英国特許第2296942号明細書は、ベース部と、ベース部から直立する実質的に垂直なスピンドルと、ロータノズルからの流体排出に対する反作用でスピンドルのまわりに回転するようにスピンドルに取り付けられたロータとを含み、ベース部は、前記流体用の導入路を有し、スピンドルは、流体を前記導入路からロータに供給するための軸方向穴および軸方向穴からの排出口を有し、カバーがベース部に取り付けられ、ロータを囲むタイプの自己駆動式遠心分離機を開示している。このタイプの分離機では、流体は圧力をかけられてハウジングのベース部から供給され、軸方向穴を通って、通常は止まり穴である穴の上部近くの排出口に向かって上方に流れる。取り外し可能なキャップは、通常スピンドルの上部に取り付けられてカバーを固定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、自己駆動式のものであれ、駆動される場合に濾過される流体とは無関係なものであれ、清浄するために、すなわち、汚染粒子が研磨剤である液体、例えば、ホーニング油、研削盤冷却液、放電加工用流体、または加熱炉からの油冷流体などから汚染粒子を除去するために、遠心分離機を使用することはできなかった。これは、ロータが取り付けられたベアリングが、研磨粒子の作用によってきわめて急激に摩耗し、あまりにも頻繁に交換されなければならないからである。例えば、研磨粒子を含有する液体でわずか30秒ほど動作させた後、ベアリングは、ロータのバランスのとれた回転と効率的な連続遠心分離とを妨げ、またはこれらに少なくとも悪影響を及ぼし、交換する必要があるほど十分に摩耗することがある。
【0005】
また、液体は、通常ロータベアリング用の潤滑流体として、さらには、自己駆動式分離機の場合にロータ用の駆動流体として機能するが、それ自体潤滑剤でない液体から汚染粒子を除去するために、そのような分離機(フィルタ)を使用するのはこれまで不可能であった。したがって、水の浄化を目的として、例えば、水から粒子を除去するために、そのようなフィルタを使用することは実現不可能であった。
【0006】
本発明の目的は、研磨剤汚染粒子を含む液体、またはそれ自体潤滑流体でない液体を清浄するのに使用できる遠心分離機を設計することである。より具体的には、その目的は、分離される流体とベアリングとの間の接触がなくなるような分離機を設計することである。固定された/動かない部分に対するロータの回転を可能にするベアリング装置は、自己駆動式分離機の場合にロータを駆動する液体でもある、清浄される液体に触れてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ベース部と、ベース部から直立した実質的に垂直なスピンドルと、スピンドルに取り付けられ、スピンドルを囲むロータチャンバを画定するロータとを含み、ベース部は、濾過される流体用の導入路を有し、スピンドルは、濾過される流体を導入路からロータチャンバに供給する軸方向穴および軸方向穴からの排出口を有する遠心分離機であって、スピンドルが、ベース部に対してロータと一体になって回転するようにロータに連結され、スピンドル用のベアリングが、ベース部に動かないように取り付けられたベアリングハウジング内に設けられることと、スピンドルはまた、ベアリングハウジングをロータチャンバから隔離する態様でロータに連結されることと、封止装置が、ベアリングハウジング内において、スピンドルとベース部との間で、ベアリングより下の位置に設けられることとを特徴とする遠心分離機が提供される。
【0008】
回転部分と静止部分との間にある任意の封止装置から不可避的に漏出する、分離機を循環する流体がベアリングに流入するのを重力によって阻止されるように、ベアリングよりも下に封止装置を配置することは重要である。これは、スピンドルがロータに取り付けられ、ベース部およびベアリングハウジングに対して回転する構造のみで十分に達成することができる。これは、スピンドルが静止し、ロータがスピンドルに対して回転する自己駆動式遠心分離機の従来の構造とは異なる。
【0009】
軸方向封止装置は、軸の接触面を比較的小さくし、摩擦を小さくして、ロータの駆動損失を最小限にし、また、半径方向接触シールと比較して、汚染粒子による詰まりの危険性を最小限にするので、封止装置は、軸方向封止装置で構成されるのが最も適切であると分かった。
【0010】
本発明は、ロータにノズルが設けられ、濾過された流体の前記ノズルからの排出に対する反作用でロータが回転する自己駆動式分離機と、ロータを通過する流体以外の手段、例えば、別のモータまたはタービンによって独立して駆動される遠心分離機とに等しく適用できる。
【0011】
本発明が、例として添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による自己駆動式遠心分離機の実用的な実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
示すように、自己駆動式遠心分離機のこの例示的な実施形態は、2つの回転要素ベアリング3の位置を特定するベアリングハウジング2が堅固に固定されたベース部1を含む。ベアリング3は、スピンドル4を含むロータアセンブリ9を支持および位置決めし、ロータアセンブリ9の回転を可能にし、スピンドルには、ロータベース部5、ロータチューブ6、ロータカバー7、およびロックリング8が取り付けられ、これらの部品はロータチャンバ21を画定し、ベアリングハウジング2に対して一体になって回転するよう互いに固定されている。ベアリング3は、標準的なグリース付きタイプであり、グリース潤滑油は、低摩擦シールによって内部に保持されており、他の潤滑が必要でないようにベアリングの寿命を持続させることを意図されている。
【0014】
接線方向に対向するノズル対10は、ロータベース部5に固定されている。
【0015】
取り外し可能なバスケットアセンブリ19は、ロータアセンブリ9によって画定されるチャンバ21の内部に収まり、清浄時にロータ内容物の除去に寄与する働きをする。アセンブリ19の主バスケット部はメッシュで形成されている。
【0016】
カバーアセンブリ17は、ロータアセンブリ9を覆って取り付けられ、クランプ18を用いてベース部1に固定されている。
【0017】
スピンドル4は、その下側端部から中を通って、ドリル穴25と合流する中心穴24を有し、ドリル穴25は、ロータアセンブリ9の囲い内でスピンドル4の中心穴24に対して直角に位置している。
【0018】
シールスリーブ11は、ベアリングハウジング2に嵌入され、垂直方向に自由にスライドする。シールスリーブ11は、ハウジング2を貫通し、シールスリーブ11の垂直スロット27に係合するねじ12によって回転を阻止される。ねじ12のシールスリーブ11に入り込むそのような係合は、シールスリーブ11がベアリングハウジング2から垂直方向に離れるのを防止する働きもする。この点において、シールスリーブ11は、シールスリーブ11の底部に着座し、シールスリーブ11とハウジング2との間で作用するスプリング13の圧縮された力によって上側方向に付勢される。
【0019】
軸方向封止装置は、スピンドル4とベアリングハウジング2との間に設けられている。この軸方向シールは、シールスリーブ11に同軸に嵌入された管状の下側シール要素14と、スピンドル4の下側端部に同軸に固定された管状の上側シール要素15とを含む。これらのシール要素14、15の間の接触部は、ハウジング2内の両方のベアリング3の高さよりも下にある。スプリング13の効果によってシールスリーブ11に作用する力は、下側シール要素14の上側面に伝達され、下側シール要素14は、上側シール要素15の下側面に突き当たっている。遠心分離機の動作時、上側シール要素15は、回転スピンドル4の下側端部に固定されているので当然回転し、一方、下側シール要素14は、すでに説明したように、ハウジング2に回転できないように取り付けられたスリーブ11に、同様に回転を阻止するように固定されているので静止したままである。
【0020】
流体の流路は、流体をスプリング13およびシールスリーブ11の軸方向流路を経由して下側シール要素14の穴に供給するために、導入ポート16からベース部1を貫通している。流体の流路は、回転シール要素15の軸方向穴、スピンドル4の軸方向穴24および横ドリル穴25を通って、ロータアセンブリ9のロータチャンバ21である閉じた空間に入る。
【0021】
スプリング13の力により、導入ポート16から供給された流体の大部分が、下側シール要素14と回転シール要素15との間の接触部から漏出するのを阻止される。下側シール要素14と回転シール要素15との間の接触部から漏出し得る流体は、ベアリングハウジング2のドリル穴26からベース部1に流出することができる。さらに、示した例におけるスピンドル4の下側端部、およびシールスリーブ11などの、封止装置14、15を取り付ける構成要素、または他の実施形態における他の任意の中間取付具は、接触部から漏出した流体をハウジング2内の排出開口(ドリル開口は26である)に向かって下方に送るように構成され、流体は排出開口から遠心分離機のベース部1に入る。
【0022】
下側シール要素14および回転シール要素15は、供給された流体に含まれる粒子状物質による摩耗に十分耐える、適切に耐久性のある材料で作製される必要がある。特に、シール接触部は、シール要素の修理または交換の合間の長い動作期間を維持するために、十分な耐摩耗性でなければならず、シール接触部は、ロータの駆動損失を最小限にするために、摩擦が小さくなければならない。セラミック材料は、円筒状シール要素14、15に適していると分かっているが、他の材料または材料の組み合わせも適切であり得る。
【0023】
流体の圧力およびノズル10による接線方向の排出により、ロータアセンブリ9が駆動され、遠心力によって粒子状物質が分離し、この粒子状物質は、取り外し可能なバスケットアセンブリ19の内側面に付着する。粒子が分離された流体は、ベース部1から溜め(図示せず)に流出し、導入ポート16に再循環することができる。
【0024】
清浄または交換するために、間隔を置いて、収集された汚染物の付いたロータバスケットアセンブリ19を取り外すことが必要である。清浄するために、取り外し可能なロータバスケットアセンブリ19を取り外しできるようにするには、その前に、クランプ18、フィルタカバーアセンブリ17、ロックリング8、およびロータカバー7を取り外さなければならない。ロックリング8およびロータカバー7を取り外す前に、クランプ18により、カバーアセンブリ17を迅速に解放することができる。
【0025】
下側シール要素14および回転シール要素15は、それぞれの4つのリング20の圧縮で生じる摩擦により、軸方向および回転方向に保持される。示した装置の分解時に、過度に摩耗している場合、下側シール要素14および回転シール要素15を交換することができる。
【0026】
本発明は、前述の実施形態の細部に限定されることはなく、添付の請求項の範囲内で、構造の細部における様々な変形形態が可能である。
【0027】
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体を通じて、「含む」および「含有する」という文言、ならびにそれらの変形型は、「〜を含むがそれらに限定されない」ことを意味し、他の構成要素を排除することを意図されない(かつ排除しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲の全体を通じて、文脈が特に求めない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈が特に求めない限り、本明細書は、単数形だけでなく複数形も企図すると解釈すべきである。
図1