特許第5882244号(P5882244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882244
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】積層体を含有するフルオロポリマー
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20160225BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20160225BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 31/049 20140101ALI20160225BHJP
【FI】
   B32B27/30 D
   B32B27/36
   B32B27/32 C
   H01L31/04 562
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-35345(P2013-35345)
(22)【出願日】2013年2月26日
(62)【分割の表示】特願2012-5811(P2012-5811)の分割
【原出願日】2006年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-154640(P2013-154640A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年2月27日
(31)【優先権主張番号】60/689,840
(32)【優先日】2005年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ハル,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ワルトン,ジョセフ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ディロン,マリア ピー.
(72)【発明者】
【氏名】レドモンド,デービッド,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ムグリ,マーク ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ブロング,トーマス,ジェイ.
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−536722(JP,A)
【文献】 特表2003−515463(JP,A)
【文献】 特開2000−174297(JP,A)
【文献】 特開2001−085708(JP,A)
【文献】 特開2003−347570(JP,A)
【文献】 特開2001−332754(JP,A)
【文献】 特開2003−069064(JP,A)
【文献】 特開2005−079170(JP,A)
【文献】 特開2005−011923(JP,A)
【文献】 特開2002−086641(JP,A)
【文献】 特開2003−062921(JP,A)
【文献】 特開2000−294813(JP,A)
【文献】 実開昭59−117167(JP,U)
【文献】 国際公開第00/074935(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/091901(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 〜43/00
H01L31/04 〜31/042
31/052
31/06
51/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
689MPa(100,000psi)未満の引っ張り係数を有する半結晶性フルオロポリマーの第一外層、
ポリオレフィンを含む第二外層、および、
前記第一外層と前記第二外層との間のポリエステル中間層、
を含む多層フィルムであって、
前記多層フィルムが、前記第一外層および前記中間層に接触するアミノ置換オルガノシランを含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記中間層が非フッ素化ポリマー材料を含む、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
基材に適用される請求項1に記載の多層フィルムを含む物品であって、前記基材が太陽電池および太陽電池の背面層の1つである物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2005年6月13日に出願された米国特許仮出願番号60/689840号を基礎として、優先権を主張するものである。本明細書においては、その全文が参照することにより組み込まれることとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、多層フルオロポリマーフィルム類又は積層体類、及びバッキングフィルムとして太陽電池に有用であるそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多層フィルム類又は積層体類は、性能改善のために、異種材料の特性を組み合わせようとする構造物である。このような特性は、水、切断抵抗、耐候性及び電気絶縁のような要素に対するバリア抵抗を含む。従来の積層体類は、ソーラーモジュールに対する多くのニーズに取り組んできたが、しばしば特性のバランスを誤り、より高額になり、又は操作や加工が難しくなることがあった。加えて内層は、モジュールの耐用期間にわたって完全に保護されていないことが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耐久性、耐久寿命、及び光電池モジュールの性能を改善するために、背面積層体類は、PET(ポリエチレンテレフタレート)のようなバリア材料の極厚層又は金属箔を用いる手段、無機コーティング、又は多層フルオロポリマーとともに開発されている。これらの試みは、より高価な構造物、及び/又はより堅い(つまり、弾性率の高い)積層体をもたらすことが通常結果的に多く、それは太陽モジュールの背面に適用するのがより難しい。さらに、従来の構造物は通常、構造物全体がうまく積層され得るように積層前に加熱サイクルの施された、完成した、典型的には多層の構造物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔にいえば、本発明は多層フィルムを目的とする。多層フィルムは、中間層の対向する側に接合した第一及び第二外層を有するポリエステル中間層を含む。第一外層は、引っ張り係数が100,000psi未満である半結晶性フルオロポリマーである。中間層は、約15分間保持されたときの150℃における収縮率が1%未満であり、かつ第二外層はオレフィン性ポリマーである。
【0006】
本発明はまた、層状物品を調製する方法であって、第一層は約15分間保持されたときの150℃における収縮速度が1%未満である、第一及び第二表面を有するポリエステルの第一中間層を提供する工程、第一表面に対して引っ張り係数が100,000psi未満である半結晶性フルオロポリマーの第一外層を適用する工程、第二表面に対してオレフィン性ポリマーである第二外層を適用する工程、及び層を接着し、エネルギー、機械力又はその両方を適用することで多層フィルムを形成する工程、を含む方法を提供する。
【0007】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。開示される原理の上記要約は、本発明の開示の例示されるすべての実施態様又はすべての実施に関して説明することを意図したものではない。以下の詳細な説明は、本明細書に開示される原理を使用したある好ましい実施態様を特により詳細に例示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は積層体として供給される多層フィルムである。好ましい実施形態においては、多層フィルムは、モジュール上のバックサイドフィルムとして利用されたとき、耐久性、耐久寿命、及び光電池モジュールの性能強化をもたらす。フィルムは多層構造であり、その基本形においては、中間層の対向する側に固定された第一及び第二外層を備える中間層を含む。第一外層は、ASTMD638において定義されている引っ張り係数が100,000psi未満である半結晶性フルオロポリマーである。中間層は、約15分間保持されたときの150℃において測定された収縮率が1%未満であるポリエステルを含む。第二外層はオレフィン性ポリマーである。層は多層フィルムを提供するためにともに接合される。
【0009】
その多様な態様において、第一外層のフルオロポリマー成分は多様なフルオロポリマー類から選択され得る。このようなフルオロポリマー類は通常、他のフッ素化された又はフッ素化されていないモノマー類を備えたTFE又はVDFのコポリマー類である。代表的な材料としては、テトラフルオロエチレン−エチレン(ETFE)のコポリマー類、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルコキシビニリエーテル(PFA)、フッ化ビニリデン及びクロロトリフルオロエチレンのコポリマー類、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−エチレン(HTE)、フッ化ビニリデン及びクロロトリフルオロエチレン、又はテトラフルオロエチレン(TFE)由来のコポリマーのコポリマー類、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及びフッ化ビニリデン(VDF)が挙げられ、このような一連のTHVはミネソタ州(Minnesota)オークデール(Oakdale)のダイニオン社(Dyneon LLC)から入手できる。
【0010】
第一外層は、100,000psi未満の引っ張り係数を持つ。前述の引っ張り係数は、その対象とする用途において完成されたフィルム構造を柔軟にするため、所望の曲げ特性を達成することを目的とする。さらに、フルオロポリマーの外層は、ファイル又は好ましい太陽電池応用の内部コンポーネントを保護するために、好ましくは、低透過特性をもたらすことが可能である。
【0011】
第一外層として好適なフッ素化されたコポリマー類の好ましい部類は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン及び任意のペルフルオロアルキル又はアルコキシビニルエーテル由来の共重合された単位を有する部類である。好ましくはこれらのポリマー類は、VDF由来の共重合された単位の約30重量%未満のVDF、より好ましくは約10〜約25重量%のVDFを有する。非限定的な実施例としては、ミネソタ州(Minnesota)オークデール(Oakdale)のダイニオン社(Dyneon LLC)から入手可能なTHV500が挙げられる。
【0012】
第一外層としての使用に好適な材料の、別の好ましい部類としては、HFP、ペルフルオロアルキル又はアルコキシビニルエーテル類(PAVE又はPAOVE)のような他の付加モノマーとともにTFE及びエチレンの共重合された単位の多様な組み合わせが挙げられる。例であるHTE1510は、ミネソタ州(Minnesota)オークデール(Oakdale)のダイニオン社(Dyneon LLC)から入手可能である。
【0013】
本発明は、任意のポリエステルポリマーが、中間層として好適であり得るフィルム形態に加工され得ることを意図する。これらとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及び液晶ポリエステル類のようなポリエステル類族のホモポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
他の実施例では、中間体は、例えば、ポリアリレート類;ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610及びポリアミド612のようなポリアミド類;芳香族ポリアミド類及びポリフタルアミド類;熱可塑性ポリイミド類;ポリエーテルイミド類;ビスフェノールAのポリカーボネートのようなポリカーボネート類;ポリメチルメタクリレートのようなアクリル及びメタクリルポリマー類、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンのような塩化ポリマー類;ポリ(アリールエーテルエーテルケトン)(PEEK)及びエチレン又はプロピレンと一酸化炭素の交互共重合体のようなポリケトン類;任意の立体規則性を持つポリスチレン類及び環又は鎖置換ポリスチレン類;ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルフェニレンオキシド)、ポリエチレンオキシド及びポリオキシメチレンのようなポリエーテル類;酢酸セルロース類のようなセルロース誘導体類;並びにポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン類及びポリエーテルスルホン類のような硫黄含有ポリマー類、のような他のポリマー類を含み得る。
【0015】
最も好ましい材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0016】
本発明の一態様では、中間層は多層フィルムの形成前に防縮加工されている。ポリエステル中間層の収縮は結果的に、ASTM D 2305−02に従って、15分間の間150℃の温度に曝されたとき、いずれの平面方向にも全長の1%未満しか縮まない中間層をもたらす。このようなフィルムは市販されている又はフィルムを防縮加工するのに十分な期間、そのガラス転移温度を超える温度に、好ましくは150℃を超える温度に、最小緊張下において、フィルムを曝すことによって調製され得る。このような熱処理は、処理後又はフィルム製造に用いられる初期製造工程の間に生じ得る。
【0017】
本発明の組成物中で外層として有用なオレフィン性ポリマーとしては、一般式CH=CHR”(式中R”は水素又はC18アルキル基である)の1以上のオレフィン性モノマー類由来のポリマー類及びコポリマー類が挙げられる。このようなオレフィン性モノマーの例としては、プロピレン、エチレン、及び1−ブテンが挙げられるが、通常はエチレンが好ましい。このようなオレフィン性モノマー類由来のポリオレフィン類の代表的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ(3−メチルブテン)、ポリ(4−メチルペンテン)及びエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクタデセンのコポリマー類が挙げられる。
【0018】
オレフィン性ポリマー類は、オレフィン性モノマー由来のコポリマー及びさらにオレフィン性モノマーと共重合し得る1以上のコモノマーを任意に含んでもよい。これらのコモノマー類は、ポリオレフィンの総重量に対して約1〜10重量%の範囲の量で、ポリオレフィン内に存在する。このような有用なコモノマー類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、クロロプロピオン酸ビニルのようなビニルエステルモノマー類;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリルのようなアクリル及びα−アルキルアクリル酸モノマー類並びにそのアルキルエステル類、アミド類、及びニトリル類;スチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン及びビニルナフタレンのようなビニルアリールモノマー類;塩化ビニル、塩化ビニリデン及び臭化ビニリデンのようなビニル及びビニリデンハロゲン化物モノマー類;マレイン酸ジメチル及びマレイン酸ジエチルのようなマレイン酸及びフマル酸のアルキルエステルモノマー類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル及び2−クロロエチルビニルエーテルのようなビニルアルキルエーテルモノマー類;ビニルピリジンモノマー類;N−ビニルカルバゾールモノマー類並びにN−ビニルピロリジンモノマー類が挙げられる。
【0019】
オレフィン性ポリマー類はまた、遊離カルボン酸基類を含有するポリオレフィンの形態の金属塩又はその混合物を含有してもよい。前記カルボン酸ポリマー類の塩類を提供するのに使用され得る金属の一例は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、ベリリウム、鉄、ニッケル及びコバルトのような一価、二価及び三価の金属類である。
【0020】
オレフィン性ポリマー類はまた、これらのポリオレフィン類と他のポリオレフィン類の混合物又は2以上の同種若しくは異種ポリオレフィン類の多層構造物を含んでもよい。加えて、それらは、酸化防止剤類、光安定剤類、酸中和剤類、充填剤類、粘着防止剤類、顔料類、プライマー類及び他の接着促進剤類のような従来の補助剤類を含んでもよい。
【0021】
好ましいオレフィン性ポリマー類としては、ホモポリマー類及びエチレンとα−オレフィン類のコポリマー類並びにエチレン及びビニルアセテートのコポリマー類が挙げられる。後者の代表的な材料としては、デュポン社(E.I. du Pont de Nemours and Company)から入手可能なエルバックス(Elvax)150、3170、650及び750が挙げられる。
【0022】
任意選択的に、本発明の多層物品における1以上の層は、酸化防止剤類、光安定剤類、導電性材料、カーボンブラック、グラファイト、充填剤類、潤滑剤類、顔料類、可塑剤類、加工助剤類、安定剤類のような既知の補助剤類、及びこのような材料の組み合わせと同類のものを含んでもよい。加えて、金属コーティング類及び強化剤類もまた本発明で使用され得る。これらは、例えば、接合された、織られた又は織られていない場合のある、ポリマー又はグラスファイバースクリムを含む。このような材料は任意に、独立した層として使用してもよいし、又は本発明の多層の実施態様中の層中に含まれてもよい。
【0023】
最も有用であるためには、本発明の多層物品が使用中離層すべきではない。つまり、多層物品の異なる層間の接着強度は、例えば水分、熱、冷気、風、化学物質類及び又は他の環境暴露に曝された場合、異なる層が分離するのを防ぐために十分強くかつ安定であるべきである。接着剤は、非フッ素化ポリマー層間又は隣接するフルオロポリマー層間に必要とされる場合がある。全ての事例における層間接着を増大させる様々な方法は、一般に当業者に知られている。本発明の物品はまた、前記外層及び中間層間に接合界面又は接合剤を含んでもよい。
【0024】
様々な方法が、フルオロポリマーを含む接合高分子材料、実質的にフッ素化されていない高分子材料に対して用いられている。例えば、層は、二層間の接着剤材料の層によってともに接着接合され得る。あるいは、独立に又は接着剤材料と併せて用いられる、片方の又は両方の層の表面処理は、2種類の材料をともに接合するために用いられている。例えば、フルオロポリマーを含む層は、充填された気体雰囲気で処理され、続いて非フッ素化ポリマーの層で積層されている。別の態様として、「結合層」が、フルオロポリマー材料を実質的に非フッ素化ポリマーを含む材料層に接合させるために用いられてきた。
【0025】
接着力を改善するための、フルオロポリマーの一つの特異的表面処理は米国特許第6,630,047号に記載されており、本明細書ではその全文が参照として組み入れられている。特異的表面処理は、吸光化合物及び電子供与体と併用する紫外線のような、化学線の使用を含む。
【0026】
好ましい態様においては、フルオロポリマーを備えた層間接着剤を改良するための、一つのこのような結合層は、基材及びカテコールノボラック樹脂、カテコールクレゾールノボラック樹脂、ポリヒドロキシ芳香族樹脂(任意で相間移動触媒を備える)のような芳香族材料をフルオロポリマーと混合し、次いで接合前にどちらかの層に適用することを含む。あるいは、この組成物は、本明細書でその全文が参照として組み込まれている、米国特許出願公開第2005/0080210号に記載されているように、結合層が分離することのないフルオロポリマー層として用いられ得る。
【0027】
他の、フルオロポリマーを接合させるための結合層方法は、基材、クラウンエーテル及び非フッ素化ポリマーの混合物の使用である。この方法は、米国特許6,767,948号に記載されており、本明細書ではその全文が参照として組み込まれている。
【0028】
フルオロポリマーを接合するために結合層又はプライマーとして用いられ得る他の方法は、アミノ置換オルガノシランの使用を含む。該方法は、米国特許第6,753,087号に完全に記載されており、本明細書ではその全文が参照として組み入れられている。オルガノシランは、官能化ポリマーと任意選択的に混合されてもよい。
【0029】
非フッ素化ポリマー層間の接着剤はまた、無水ポリオレフィン類又は酸修飾ポリオレフィン類の適用、シランプライマー類の適用、電子ビーム照射の利用、紫外線及び熱の利用、又はその組み合わせを含む様々な方法によって完成され得る。
【0030】
好ましい実施形態においては、中間層及び第二外層は、3M(商標)スコッチパック(Scotchpak)(商標)として市販されている、ポリエステル及びエチレンビニルアセテートのようなオレフィン性ポリマーと組み合わせられたPETフィルムを含むヒートシールポリエステルフィルム(Heat Sealable Polyester Films)のような層を組み合わせられ得る。
【0031】
当業者は、所望の水準の層間接着剤を達成するために、適切な従来の接合技術を、選択された多層材料に対応させることができる。
【0032】
本発明の多層物品は、いくつかの異なる方法によって調製され得る。例えば、本発明のフルオロポリマー層を特徴とする多層物品を製造するためのある方法は、一つの層をダイから押出して、ある長さのフィルムを形成することを含む。第二押出機はダイを備え、溶融したポリマーの別の層を第一フィルムの表面にコーティングする。追加の層も同様の手段によって加えることができる。あるいは、2以上の置換層のポリマー樹脂類は、マルチマニホールドダイ(multi-manifold die)を通して共押出され、中間製品又は最終製品を生産し得る。
【0033】
コーティング技術の当業者は、処理装置の選択及び選択された材料を扱うための条件処理を行い、それによって所望の多層フィルムを製造する。
【0034】
押出操作の後、冷却槽への浸漬などによって多層物品を冷却してもよい。この方法は、本発明の多層シートの形成にも用いることができる。さらに、ニップ又はプラテン又はその他の公知の手段でこれらの層が互いに加圧されることが好ましい。一般に、時間、温度、及び/又は圧力を増加させると、層間の接着性を向上させることができる。任意の2つの層を接合させるための条件は、日常的な実験によって最適化することができる。
【0035】
さらにもう一つの有用な方法は、個々のフィルム層を予め成形し、次いで本発明の完成品を成形するためにそれらを熱的積層のような方法によって接触させることである。
【0036】
層間接着促進剤は、必要に応じて、順次に、同時に、又はその場で任意の前述の方法が適用され得る。
【0037】
中間層は、外層の適用前に、前述のように、約15分間保持されたとき、150℃において1%未満の収縮率を有するべきである。その点において、他の外層の適用前に中間層を防縮加工することが必要な場合がある。そういう場合でさえ、内層が、構造物全体を再び収縮させ得る、過度の張力又はひずみを受けないように外層を追加する配慮が必要である。他の層の追加後のフィルムの防縮加工は、特に1以上の追加外層が、中間層を防縮加工する必要のある温度範囲内に軟化点又は融点を有する場合、非常に困難になる可能性がある。
【0038】
多層フィルム内の個々の層の厚さは、最終用途の適用要件毎に変化及び適合され得る。しかし広くは、フルオロポリマーの外層は約0.01mm(0.5mils)〜0.13mm(5mils)、好ましくは0.03mm(1mil)〜0.05mm(2mils)の厚さ;中間層は約0.03mm(1mil)〜0.25mm(10mils)、好ましくは0.05mm(2mils)〜0.10mm(4mils);及び他のポリオレフィン外層は0.03mm(1mil)〜0.51mm(20mils)又はそれ以上、好ましくは0.25mm(10mils)又はそれ以上である。構造物全体の厚さは、通常0.38mm(15mils)又はそれ以上、及び好ましい実施形態では、ポリオレフィン外層の厚さは同じ厚さ、好ましくは2倍の厚さ又は中間層及びフルオロポリマー層を合わせた厚さを超える厚さである。
【0039】
本発明の多層フィルムは、多様な最終用途に好適である。例えば、フィルムは太陽電池構造物上の背面層として利用され得る。この方法における多層フィルムの使用によって、低価格で、規格に準拠し、容易に背面に適用できるようになる。
【0040】
本発明の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に過度に限定して理解すべきではない。すべての刊行物及び特許は、それぞれの刊行物又は特許が具体的かつ個々に示され、援用されるのと同程度に、本明細書に援用される。