特許第5882263号(P5882263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882263
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】グリルバーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/14 20060101AFI20160225BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   F23D14/14 A
   F24C3/08 V
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-155178(P2013-155178)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-25613(P2015-25613A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】竹本 安伸
(72)【発明者】
【氏名】重野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】荒松 政男
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−007442(JP,A)
【文献】 特開2007−120884(JP,A)
【文献】 実公昭58−055289(JP,Y1)
【文献】 特開2012−073015(JP,A)
【文献】 特開平10−232004(JP,A)
【文献】 実開昭58−022602(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/14、 14/30
F24C 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に燃焼排気を排出させる排気口が形成されたグリル庫の天井部に設置されるグリルバーナであって、
前記グリルバーナは、板金製の上側本体部材と板金製の下側本体部材とを有し、
前記上側本体部材と前記下側本体部材とは、上下外周フランジ部重ね合わされて結合され、
前記上下外周フランジ部の内方には、燃料ガスが供給される空間が形成され、
前記下側本体部材は、前記下外周フランジ部よりも内側に、前記下外周フランジ部の下面よりも下方へ絞り下げた複数本の下方絞り部と、前記下方絞り部の下面よりも上方に絞り上げた上方絞り部とを有し、
前記下方絞り部の下面には、多数の炎孔が前記下方絞り部と一体に形成されており、
前記上方絞り部の下面及びその後方の前記下外周フランジ部の下面は、後方の排気口へ向かう方向に対して直交する突条を有さず、前記燃焼排気の排気通路となる平滑な連続面で形成されているグリルバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のグリルバーナにおいて、
前記下方絞り部は、後方の排気口へ向かう方向に対して平行な複数の縦絞りリブと、縦絞りリブの前方側で前記複数の縦絞りリブを連続させる1本の横絞りリブとを有し、
前記上方絞り部は、前記複数の縦絞りリブ間に形成されているグリルバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリルバーナ、特に、焼き物調理を行うグリル庫内にて被調理物を上方から加熱するグリルバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図5に示すように、システムキッチンに組み込まれるドロップインコンロやテーブルコンロ等に搭載されているグリル庫(32)内に搭載されるグリルバーナとして、グリル庫(32)の天井部には、下面に多数の炎孔が形成された板金製の上火バーナ(20)が配置されており、グリル庫(32)の下部域の左右両側壁には、焼網とグリル皿との間に複数の炎孔が位置するように左右一対のブンゼンバーナからなる下火バーナ(21)がそれぞれ配設されている。
これら上火バーナ(20)及び下火バーナ(21)を燃焼させることによって、グリル庫(32)内の被調理物(4)は加熱調理される。
【0003】
グリル庫(32)の後方には、被調理物(4)から発生した油煙や、上火バーナ(20)及び下火バーナ(21)の燃焼による燃焼排気が流れる排気筒(31)が設けられてあり、この排気筒(31)の下流端が、ドロップインコンロやテーブルコンロ等の天板(3)に開口させた排気口(30)となっている。この排気口(30)を上方から覆うように排気口カバー(5)が天板(3)に着脱自在に設置されている。
【0004】
上火バーナ(20)は、上側本体部材(20a)と下側本体部材(20b)から構成されている。これら上側本体部材(20a)及び下側本体部材(20b)は、共に、アルミメッキ鋼板やステンレス板等の金属板をプレス加工することにより、略矩形状体の一辺からベンチュリー混合管(25)が側方へ突出する形状に成型されており、各々の全周に渡って張り出させた上下外周フランジ部(28a)(28b)(図6参照)相互を重ね合わせて周囲をカシメることにより一体的に結合されている。なお、上下外周フランジ部(28a)(28b)の内方には空間部が形成されており、この空間部にベンチュリー混合管(25)から燃料ガスが供給される。
【0005】
図6は、ベンチュリー混合管(25)を省略した上火バーナ(20)の底面図である。
下側本体部材(20b)には、略矩形状体の所定位置を下方(例えば、1mm程度)へ絞り下げる絞り加工が施されており、後方の排気口へ向かう方向に対して平行な3本の縦下方絞り部(2a)(2b)(2c)と、前後両端でこれら縦下方絞り部(2a)(2b)(2c)を連続させる横下方絞り部(2d)(2e)とが下方に凸に形成されており、これら縦下方絞り部(2a)(2b)(2c)の下面と、グリル庫(32)の前方側(図面では下側)に配置される横下方絞り部(2d)の下面に、多数の炎孔(27)が形成されて燃焼部(22)を構成している。
【0006】
そして、縦下方絞り部(2a)(2b)(2c)と横下方絞り部(2d)(2e)とによって囲まれた各範囲は、これら縦下方絞り部(2a)(2b)(2c)及び横下方絞り部(2d)(2e)の下面よりも上方に絞り上げられて、熱歪補強用の縦上方絞り部(23a)(23b)が形成されている。
【0007】
なお、図示しないが、上側本体部材(20a)の上外周フランジ部(28a)よりも内側は、上方へ絞り上げられており、上記したように、上側本体部材(20a)と下側本体部材(20b)とを上下外周フランジ部(28a)(28b)で一体的に結合した状態にて、下側本体部材(20b)における下外周フランジ部(28b)の内方全域がベンチュリー混合管(25)から燃料ガスが供給される空間部として形成される。
【0008】
上火バーナ(20)は、燃焼部(22)にて燃料ガスを燃焼させることによって燃焼状態となり、このとき燃焼部(22)にて生じる燃焼排気は、燃焼部(22)よりも上方へ一段凹んで位置する縦上方絞り部(23a)(23b)内に入り込むと共に、縦上方絞り部(23a)(23b)が排気通路となって、縦上方絞り部(23a)(23b)の下面を後方(図6では上方)へ向かって流れていき、排気筒(31)を通って排気口(30)から外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−7442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、縦上方絞り部(23a)(23b)の後方には、下方へ絞り下げられている横下方絞り部(2e)が、縦下方絞り部(2a)(2b)(2c)と同一の高さで、後方の排気口側に向かって流れる燃焼排気の流れに対して直交するように設けられているため、縦上方絞り部(23a)(23b)に沿った燃焼排気の流れが横下方絞り部(2e)によって妨げられる。燃焼排気が横下方絞り部(2e)に衝突して拡散されると、その一部が炎孔(27)に干渉したり、燃焼排気の流れが不連続になることで燃焼部(22)に燃焼用空気が供給され難くなり、上火バーナ(20)の燃焼が妨げられるといった問題が生じる。特に、コンパクト化のためにグリルバーナをダウンサイズしていった場合、強度確保のために上下絞り部の絞り深さを深くする必要があることから、上記問題が生じやすい。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために講じたもので、燃焼排気が排気口へ向かってスムーズに流れ、良好な燃焼が可能なグリルバーナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために講じた本発明は、
後方に燃焼排気を排出させる排気口が形成されたグリル庫の天井部に設置されるグリルバーナであって、
前記グリルバーナは、板金製の上側本体部材と板金製の下側本体部材とを有し、
前記上側本体部材と前記下側本体部材とは、上下外周フランジ部重ね合わされて結合され、
前記上下外周フランジ部の内方には、燃料ガスが供給される空間が形成され、
前記下側本体部材は、前記下外周フランジ部よりも内側に、前記下外周フランジ部の下面よりも下方へ絞り下げた複数本の下方絞り部と、前記下方絞り部の下面よりも上方に絞り上げた上方絞り部とを有し、
前記下方絞り部の下面には、多数の炎孔が前記下方絞り部と一体に形成されており、
前記上方絞り部の下面及びその後方の前記下外周フランジ部の下面は、後方の排気口へ向かう方向に対して直交する突条を有さず、前記燃焼排気の排気通路となる平滑な連続面で形成されているグリルバーナである。
【0013】
上側本体部材と下側本体部材とを上下外周フランジ部で重ね合わせることにより、上下外周フランジ部の内方に、燃料ガスが供給される空間部を有する上火バーナが形成される。
下側本体部材の下外周フランジ部よりも内側には、下方へ凸の下方絞り部と、上方に凸の上方絞り部とが形成され、下方絞り部の下面に多数の炎孔を形成して前記燃料ガスを燃焼させる燃焼部とする。従って、下方絞り部での燃料ガスの燃焼によって生じる燃焼排気は、下方絞り部の下面よりも上方へ一段凹んだ状態にある上方絞り部に流れ込み、さらに上方絞り部内を後方の排気口に向かって流れていく。
このように、上方絞り部の下面は燃焼排気が流れる排気通路として機能すると共に、上方絞り部の下面及びその後方の下外周フランジ部の下面は連続面で形成され、連続面には後方の排気口へ向かう方向に対して直交する突条が設けられていないから、排気口へ向かう燃焼排気の流れが妨げられず、円滑にグリル庫と連通する後方の排気口に流すことができる。
【0014】
上記グリルバーナにおいて、好ましくは、前記下方絞り部は、後方の排気口へ向かう方向に対して平行な複数の縦絞りリブと、縦絞りリブの前方側で前記複数の縦絞りリブを連続させる1本の横絞りリブとを有し、
前記上方絞り部は、前記複数の縦絞りリブ間に形成されている。
【0015】
上記グリルバーナによれば、下方絞り部が、複数の縦絞りリブとこれらを前方側で連続させる1本の横絞りリブとから構成されているから、炎孔はこれら縦横の下方絞りリブの下面に形成される。
上方絞り部は後方の排気口へ向かう方向に対して平行に設けられた複数の縦絞りリブ間に形成されているから、上方絞り部も排気口へ向かって直線的に延在するように形成されている。これにより、上方絞り部内に入り込んだ燃焼排気は、これに連続する排気口側の下外周フランジ部の下面を通って、排気口に向かって直線的に流れていく。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、下方へ凸の下方絞り部の下面に炎孔が設けられており、燃料ガスを燃焼させたときに生じる燃焼排気は、下方絞り部よりも上方へ一段凹んで位置する上方絞り部に流れ込み、その下面に沿って、グリル庫の後方の排気口に向かって流れていく。このとき、上方絞り部の下面及びその後方の下外周フランジ部の下面は、後方の排気口へ向かう方向に対して直交する突条を有さない連続面に形成され、後方への燃焼排気の流れが邪魔されないから、燃焼排気は、上方絞り部の下面からその後方の外周フランジ部の下面を通って、排気口へスムーズに流れていく。これにより、燃焼排気による炎孔が形成されている領域への干渉が低減されると共に、燃焼用空気の供給が妨げられず、良好な燃焼を得ることができる。
【0017】
また、上方絞り部は熱歪補強用絞り部としても機能するから、下側本体部材の剛性が大きくなり、熱変形を防止することができる。
【0018】
なお、下方絞り部を、後方の排気口へ向かう方向に対して平行な複数の縦絞りリブと、これら縦絞りリブの前方側を連続させる1本の横絞りリブとで構成し、上方絞り部の下面とそれより後方の下外周フランジ部の下面とを連続面で構成することにより、燃焼排気を一層スムーズに排気口へ流すことができる。
【0019】
さらに、上方絞り部と下方絞り部の絞り深さを、深く設定しておけば、下側本体部材の強度が増し、下方絞り部の後方域に補強のための絞り部等を設けることなく下側本体部材の熱変形を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態におけるグリルバーナの一部を省略した底面図である。
図2図1のX−X拡大断面図である。
図3】本発明の実施の形態におけるグリルバーナをグリル庫内の天井部を構成する排気カバーに取り付けた状態を示す底面図である。
図4】本発明の実施の形態におけるグリルバーナの他の例を示す底面図である。
図5】従来のグリルバーナが設置されるグリル庫の説明図である。
図6】従来のグリルバーナの一部を省略した底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る板金製グリルバーナについて、図1図3を参照しながら説明する。
図1は上側本体部材と下側本体部材とを一体化した板金製グリルバーナの底面図であり、図2はそのX−X拡大断面図であり、図3は本発明の板金製グリルバーナをグリル庫内の天井部(33)に取り付けた状態の底面図である。
【0022】
本実施の形態のグリルバーナは、図5に示した従来のものと同様なシステムキッチンに組み込まれるドロップインコンロに搭載されている後方排気式のグリル庫の天井部に上火バーナ(10)として設置されるもので、上記した従来の板金製グリルバーナと同様に、上側本体部材(10a)と下側本体部材(10b)とを結合させて構成されている。
なお、本明細書では、グリル庫に上火バーナ(10)を配設したときに、扉と排気口とが対向する方向を前後方向、これに直交する方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0023】
本実施の形態の上側本体部材(10a)は、アルミメッキ鋼板をプレス加工して作製されており、下側本体部材(10b)は、ステンレス板をプレス加工して作製されている。
上側本体部材(10a)及び下側本体部材(10b)は共に、略矩形状体の一方の長辺の一端からベンチュリー混合管(42)が側方に延長する形状に成形されていると共に、外周全域にそれぞれ上下外周フランジ部(12a)(12b)が張り出した形状に成形されている。これら上下外周フランジ部(12a)(12b)を重ね合わせたとき、相互に対応する各位置にネジ孔(13a)とネジ挿通孔(13b)とが形成されている。
【0024】
また、上側本体部材(10a)の上外周フランジ部(12a)の周縁には、下側本体部材(10b)の周縁にカシメ止めするためのカシメ部(19)が下方へ垂下されており、図2に示すように、カシメ部(19)で、上側本体部材(10a)を下側本体部材(10b)にカシメ止めすることにより、上火バーナ(10)が形成され、この上火バーナ(10)の上下外周フランジ部(12a)(12b)よりも内方に、ベンチュリー混合管(42)から燃料ガスが供給される空間部(40)が形成される。
【0025】
上側本体部材(10a)の上外周フランジ部(12a)の内側には、絞り加工により、図2に示されるように、絞り部(14)と、絞り部(14)の剛性を大きくするための複数のリブ状の補強絞り(15)が形成されている。
【0026】
また、下側本体部材(10b)の下外周フランジ部(12b)の内側には、図1及び図2に示すように、絞り加工により、下方に凸の下方絞り部と、下方絞り部の下面よりも上方に凸の上方絞り部が形成されている。
【0027】
前記下方絞り部は、前記略矩形状体の長辺に平行にリブ状に絞り下げた3本の縦絞りリブ(1a)〜(1c)と、グリル庫の前方側(図1及び図3では下側)に、扉に平行に位置し且つこれら縦絞りリブ(1a)〜(1c)の前方側を相互に連続させる1本の横絞りリブ(1d)とからなり、これら縦絞りリブ(1a)〜(1c)と横絞りリブ(1d)の下面(16)に、多数の炎孔(16a)が形成されて、略「山」の字状の燃焼部(1)を構成している。
【0028】
そして、縦絞りリブ(1a)(1b)の間、及び、縦絞りリブ(1b)(1c)との間に、縦絞りリブ(1a)〜(1c)と横絞りリブ(1d)の下面(16)から連続し、下面(16)よりも上方へ絞り上げられた上方絞り部(101a)(101b)がそれぞれ形成されている。
【0029】
これら上方絞り部(101a)(101b)の頂面はその下面において、下側本体部材(10b)の下外周フランジ部(12b)の下面と同じ高さに設定されていると共に、上方絞り部(101a)(101b)とこれらの後方の下外周フランジ部(12b)とは、面一となる連続面で形成されている。言い換えれば、上方絞り部(101a)(101b)と、これらより後方の下外周フランジ部(12b)の下面との間には、突条等が形成されない平滑な連続面となっている。
【0030】
上記のような構成を有する上側本体部材(10a)と下側本体部材(10b)の上下外周フランジ部(12a)(12b)を重ね合わせて、カシメ止めすることにより、これらを一体的に結合させ、上火バーナ(10)としての板金製グリルバーナを構成する。そして、図3に示すように、グリル庫の天井部(33)に上火バーナ(10)を載置して、取付ネジ(41)を、下側、すなわち、天井部(33)側から、下側本体部材(10b)のネジ挿通孔(13b)に挿通させると共に、上側本体部材(10a)のネジ孔(13a)に螺合させることにより、天井部(33)に上火バーナ(10)が一体的に取り付けられる。
【0031】
上記板金製の上火バーナ(10)内の空間部(40)に、ベンチュリー混合管(42)から燃料ガスを供給して燃焼が開始すると、下側本体部材(10b)の下面に形成された炎孔(16a)から燃料ガスが噴出されて燃焼部(1)が燃焼する。燃焼部(1)の燃焼により、下側本体部材(10b)は加熱されるが、燃焼部(1)を構成している縦絞りリブ(1a)〜(1c)の間に形成されている上方絞り部(101a)(101b)が熱歪補強用絞り部として機能することとなって、下側本体部材(10b)の剛性が大きくなり、熱変形を防止することができる。
【0032】
また、燃焼部(1)の燃料ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、図3の矢印に示すように、燃焼部(1)を構成している縦絞りリブ(1a)〜(1c)及び横絞りリブ(1d)の下面(16)から、それよりも一段上方に位置している上方絞り部(101a)(101b)内へ流れ込み、これら上方絞り部(101a)(101b)内を排気通路として後方の排気口(30)に向かって流れていく。
【0033】
このとき、上方絞り部(101a)(101b)の頂面から後方の下外周フランジ部(12b)に至る範囲は、燃焼排気の流れの方向に対して直交するリブ等の突条が存在しない平滑な連続面となっているから、燃焼部(1)からの燃焼排気は、前記排気通路としての上方絞り部(101a)(101b)から、その後方に連続して位置する下外周フランジ部(12b)の下面を通って、排気口(30)に向かって直線的にスムーズに流れていくこととなり、燃焼排気の流れが妨げられることはない。
従って、上火バーナ(10)のダウンサイズに伴う強度不足を補填するために、上下絞り部の絞り深さを深くした場合でも(例えば、2〜3mm程度)、後方に流れる燃焼排気に影響を与えないから、燃焼排気の乱れが抑えられ、燃焼排気と炎孔(16a)との干渉が防止でき、また燃焼部(1)へ燃焼用空気を円滑に供給することができる。これにより、上火バーナ(10)の良好な燃焼状態を確保することができる。
【0034】
なお、図1に示した例では、上方絞り部(101a)(101b)の頂面の下面と後方に位置する下外周フランジ部(12b)の下面とは面一の連続面に形成することにより、燃焼排気のスムーズな流れを確保しているが、上方絞り部(101a)(101b)から後方の下外周フランジ部(12b)の下面への燃焼排気の流れが妨げられなければ、例えば、図4に示したような、複数の細い補強リブ(18)を排気口(30)に向かう方向と平行に形成してもよい。このような補強リブ(18)を複数本、設けておくことで、後方の下外周フランジ部(12b)が補強され、熱歪に対してさらに高い剛性を確保することができる。
【符号の説明】
【0035】
(1) ・・・・・・・・・燃焼部
(10a) ・・・・・・・・上側本体部材
(10b) ・・・・・・・・下側本体部材
(12a) ・・・・・・・・上外周フランジ部
(12b) ・・・・・・・・下外周フランジ部
(1a)〜(1c)・・・・・・縦絞りリブ(下方絞り部)
(1d)・・・・・・・・・横絞りリブ(下方絞り部)
(101a)(101b)・・・・・上方絞り部
(16)・・・・・・・・・下面
(16a) ・・・・・・・・炎孔
(30)・・・・・・・・・排気口
図1
図2
図3
図4
図5
図6