特許第5882277号(P5882277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882277
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】骨密度測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   A61B6/00 330Z
   A61B6/00 350D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-200326(P2013-200326)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-65999(P2015-65999A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029791
【氏名又は名称】日立アロカメディカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303046299
【氏名又は名称】旭化成ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直人
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−100943(JP,A)
【文献】 特表2000−510723(JP,A)
【文献】 特開2004−016392(JP,A)
【文献】 特開2000−300547(JP,A)
【文献】 特開2000−245722(JP,A)
【文献】 特開平07−236630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮影により尺骨と橈骨を含む画像を取得する画像データ取得部と、
取得した画像データ内において、骨に対応した画像部分と軟部組織に対応した画像部分とを識別する組織識別部と、
尺骨と橈骨の間の骨間軟部組織の延びる方向を取得し、取得した方向に沿った基準線を設定する基準線設定部と、
測定位置の基準となる基準位置を取得する基準位置取得部と、
基準線に沿う方向において基準位置から所定距離の位置に少なくとも一つの関心領域を設定する関心領域設定部と、
設定された関心領域内の骨密度を算出する骨密度算出部と、
を有する、骨密度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨密度測定装置において、設定される関心領域は、基準線に対して定められた所定の形状である、骨密度測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の骨密度測定装置であって、
基準線設定部は、取得した画像データの一つの座標軸上のある位置における当該座標軸直交方向の骨間軟部組織の長さの中点を、複数の位置にて求め、求めた複数の中点に基づき基準線を設定する、
骨密度測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の骨密度測定装置であって、基準線設定部は、求めた複数の中点を近似した直線を基準線として設定する、骨密度測定装置。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の骨密度測定装置であって、
識別した骨に対応した画像部分を利用して、尺骨茎状突起を特定する尺骨茎状突起特定部を更に有し、
基準位置取得部は、尺骨茎状突起の位置に基づき基準位置を取得する、
骨密度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨密度測定装置、特に前腕の骨の密度を測定するのに好適な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症の診断や治療の経過観察を行うための重要なデータとして骨密度の測定(骨中のミネラルの密度の測定)があり、従来より、この骨密度を測定するための様々なタイプの骨密度測定装置が提案されている。また、骨密度の測定方法には、X線等の放射線を用いるものや、超音波を用いるものなど、様々な方式がある。
【0003】
X線等を用いた骨密度測定装置では、例えば踵骨、橈骨、第二中手骨、腰椎、大腿骨を測定対象部位とするものが知られている。橈骨を対象とする場合、実際の測定にあたっては、前腕を載置台上に載せて固定し、載置台の下から前腕の所定領域にX線を照射し、載置台上方のアーム部内に備えられた検出器により前腕を透過したX線を検出し、データを取得する。通常の診断においては、尺骨茎状突起の位置を基準として関心領域が設定される。例えば、尺骨茎状突起の位置から前腕長の1/N(Nは自然数)、より具体的には1/10、1/6、1/3等の距離の位置に関心領域が設定される。
【0004】
前腕用の骨密度測定装置が下記特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4773295号公報
【特許文献2】特許第4829198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前腕を載置台上に載せたとき、前腕の傾き(載置台が規定する平面内の回転)が関心領域の位置および傾きに影響を与える場合がある。特に、時間をあけた測定のとき、前腕の傾きが一致していないと関心領域が一致せず、両者の測定結果を、十分な精度をもって比較することができない場合がある。
【0007】
本発明は、載置台上の前腕の傾きの影響を受けにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る骨密度測定装置は、X線撮影により尺骨と橈骨を含む画像を取得する画像データ取得部と、取得した画像データ内において、骨に対応した画像部分と軟部組織に対応した画像部分とを識別する組織識別部と、尺骨と橈骨の間の骨間軟部組織の延びる方向を取得し、取得した方向に沿った基準線を設定する基準線設定部と、測定位置の基準となる基準位置を取得する基準位置取得部と、基準線に沿う方向において基準位置から所定距離の位置に少なくとも一つの関心領域を設定する関心領域設定部と、設定された関心領域内の骨密度を算出する骨密度算出部と、を有する。
【0009】
上記の基準線は前腕の幾何学的形状に基づき定められており、実質的に前腕に固定されている。この基準線に基づき関心領域を設定することで、前腕の傾きの影響を受けにくくすることができる。
【0010】
また、設定される関心領域は、基準線に対して定められた所定の形状とすることができる。例えば、1組の対辺が基準線に平行な長方形とすることができる。
【0011】
また、基準線設定部は、取得した画像データの一つ座標軸上のある位置における当該座標軸直交方向の骨間軟部組織の長さの中点を、複数の位置にて求め、求めた複数の中点に基づき基準線を設定するものとできる。例えば、基準線を複数の中点の近似直線とすることができる。
【0012】
また、識別した骨に対応した画像部分を利用して、尺骨茎状突起を特定する尺骨茎状突起特定部を更に有し、基準位置取得部が尺骨茎状突起の位置に基づき基準位置を取得するものとできる。例えば、尺骨茎状突起特定部は、基準線の片側の骨に対応した画像部分を尺骨とし、この尺骨の長手方向の端を尺骨茎状突起と特定する。また、例えば、基準位置取得部は、尺骨茎状突起から基準線に降ろした垂線の足の位置を基準位置とする。
【発明の効果】
【0013】
前腕に実質的に固定された基準線に基づき関心領域を定めることで、関心領域の設定についての再現性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の骨密度測定装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態の骨密度測定装置の平面図であり、特にアーム部の一部を省略した図である。
図3】本実施形態の骨密度測定装置のX線画像の取得に係る構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態の骨密度測定装置の平面図であり、左前腕を載置した測定時の状態を示す図である。
図5】左前腕に対する関心領域の説明図である。
図6】測定領域と前腕の関係を示す図である。
図7】左前腕が傾いた状態で取得された画像の例を示す図である。
図8】本実施形態の骨密度測定装置の機能を示すブロック図である。
図9】基準線取得に関する説明図である。
図10】基準線取得に関する説明図である。
図11】基準位置の設定および関心領域の設定に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の骨密度測定装置10の外観を示す斜視図である。骨密度測定装置10は、骨密度測定を行うための機器が収められられた本体12と、本体12を載せ、所定高さの位置に、また所定角度傾けて支持する脚体14を含む。傾きは、本実施形態の場合、10°である。脚体14には、ストップ機能付きのキャスタ16が設けられており、装置の移動、固定が容易にできるようにしている。
【0016】
本体12は、上面が前腕を置く載置台18となっている基部20と、基部20の上方に、基部との間に前腕が位置するように配置されるアーム部22と、基部20から立設し、アーム部22を支持する壁部24とを有する。載置台18のほぼ中央には、X線が透過可能な材質の天板26が配置されている。また、天板26のすぐ脇に、被検者が測定時、検査対象の前腕の手で握るグリップ28が位置決めされている。また、前腕の肘に当接する肘当て30Lが、基部20に固定されるロッド支持部32から延びる肘当て支持ロッド34Lに支持されている(図2参照)。グリップ28は、図1においては、天板26の向かって右側に位置決めされているが、左側に位置決めすることもできる。
【0017】
図2は、アーム部22を一部省略して載置台18上の構成が見えるようにした平面図である。ロッド支持部32の左右には、前腕を当接して、前腕の奥方向の位置決めを行う当接パッド36が設けられている。また、図1において、本体12の向かって左側に示されている肘当て30L、肘当て支持ロッド34Lに加えて、右側に位置する肘当て30Rと、これを支持する肘当て支持ロッド34Rが示されている。ロッド支持部32内には、支持ロッド34L,34Rの移動量を検出するエンコーダまたはポテンショメータが備えられている。グリップ28の位置が変更可能となっている点、および肘当て、肘当て支持ロッドが2個備えられている点は、左右の前腕の測定に対応したものである。グリップ28を、図示するロッド支持部32の向かって右側の位置から左側に付け替えることにより、右前腕を対象とした測定を行うことができる。
【0018】
図3は、本体12の内部構成、特にX線を用いた測定に係る構成を示すブロック図である。本体12の基部20内には、X線発生器38およびこれに電力を供給する電源40が収納されている。X線発生器38は、ファンビーム状にX線を照射し、照射されたX線が、アーム部22内に収納されている検出部42により検出される。検出部42は、ファンビームの形状に対応して、1次元アレイの検出素子を含む。X線発生器38と検出部42は、ブラケット44により結合しており、本体12の中を一体となって移動する。移動方向は、図2における左右方向である。X線のビーム形状は、ファンビームの他、ペンシルビーム、コーンビームであってもよい。そのビーム形状に応じてX線発生器38の移動が可能な方向が決定される。
【0019】
X線発生器38でファンビーム状のX線を照射し、検出部42で検出しつつ、これらを左右方向に移動させることで、2次元のX線データを収集することができる。このデータは、制御部46に取り込まれ、所定の処理が実行され、骨密度の算出が行われる。
【0020】
図4は、左前腕48を載置台18上に位置決めした状態を示す図である。この状態で、骨密度測定が行われる。左前腕の骨も説明のために示している。腕の内側、すなわち図4の下側の骨が橈骨50、もう1本が尺骨52である。尺骨52の遠位端付近の突起が尺骨茎状突起54であり、近位端が肘頭56である。
【0021】
左手で、グリップ28を握り、左手および前腕を2個の当接パッド36に当接することで、左前腕48が載置台18上に位置決めされる。図に示すように、グリップ28が天板26の向かって右側方に位置決めされているので、橈骨50、尺骨52の遠位端側が、X線照射範囲である天板26上に位置するようになる。また、肘当て支持ロッド34Lをスライドさせて肘当て30Lを肘頭56に当接させる。この肘当て支持ロッド34Lの移動量を検出することで、肘頭56の位置が測定される。X線画像を取得して、この画像より尺骨茎状突起54の位置を特定すれば、この位置と、肘当ての位置から前腕長Lを算出することができる。また、尺骨茎状突起54は、目視でも確認できるので、X線画像の画像処理によらず、これの位置を特定することもできる。例えば、アーム部22内に左右方向に移動するレーザマーカの発生器を設け、発生器を移動させてレーザマーカを尺骨茎状突起54の位置に合わせる。このときのレーザ発生器の位置から尺骨茎状突起54の位置を求めることができる。
【0022】
右前腕を対象とする場合は、グリップ28をロッド支持部32の向かって左側方に付け替える。グリップ28が右側方にある状態では、肘当て30Rは、グリップ28内に差し込まれ、固定されている。グリップ28を取り外すことによって、肘当て30Rおよび肘当て支持ロッド34Rが解放されてスライド可能となる。グリップ28を左側方に取り付けるとき、その内部に肘当て30Lを差し込む。以降は、左前腕と同様にして右前腕を対象とした測定ができる。
【0023】
図5は、骨密度測定において設定される関心領域60a,60b,60cの例を示す図である。前述のように前腕長Lは、尺骨茎状突起54から肘頭56までの長さである。関心領域60aは、前腕長Lに対して尺骨茎状突起54の位置から1/10の離れた位置に設定される。同様に、関心領域60b,60cは、それぞれ前腕長Lの1/6,1/3の位置に設定される。以降において、各関心領域60a,60b,60cを区別する必要がない場合、関心領域に対し符号60を付して説明する。
【0024】
図6は、左前腕48、特に橈骨50および尺骨52と、測定領域62の関係を示す図である。測定領域62は、X線画像の取得範囲である。以降において、図示するのは左前腕48であるが、右前腕であっても前腕の傾斜に関して同様であるので、単に前腕48と記して説明する。載置台18の奥に設置された2個の当接パッド36に、前腕48をしっかりと当接させることにより、長方形の測定領域62の長辺にほぼ沿って橈骨50および尺骨52が延びる。しかし、前腕48が当接パッド36にしっかりと当接していないと、前腕48は測定領域62に対して傾いた状態となる。この状態が、例えば図7に示されている。特に、この骨密度測定装置10の場合、載置台18の上方には、アーム部22が覆い被さるように位置するために、前腕48が載置台18の奥に位置する当接パッド36に当接しているかを確認しづらい。このため、前腕48が2個の当接パッド36にしっかりと当接していない状態で測定が行われる可能性がある。
【0025】
図7は、前腕48が斜めになった状態で取得された画像データの例である。従来の装置においては、測定領域62の長辺と短辺が、それぞれ直交座標軸(X軸、Y軸)に平行に設定される。関心領域60は、この直交座標軸に基づき定められる。つまり、関心領域60の尺骨茎状突起54からの距離とは、測定領域62の長辺に沿ったX軸上の距離のことである。また、図示するように関心領域60は長方形であり、その各辺は、いずれかの座標軸に平行である。図7中に破線で示す長方形は、前腕48が斜めになっていない状態で測定されたときに設定される関心領域60’である。前腕48が斜めになっていることにより、関心領域60の位置および傾きが変わり、関心領域に含まれる骨の位置がずれていることが理解できる。つまり、前腕48の傾きが変わると、骨密度の算出対象となる骨の部分が変わってしまい、精度のよいデータの比較ができなくなるという問題がある。
【0026】
取得されたX線画像を見れば、前腕48が傾いていることがおおよそ分かるが、このデータを破棄し、改めて前腕48の位置を定めて再度測定を行うと、X線の被曝量が増加するという問題がある。したがって、前腕48が斜めになった状態で取得されたデータであっても、利用可能とすることが求められている。
【0027】
図8は、骨密度測定装置10の機能を示すブロック図である。制御部46が所定のプログラムに従って動作することにより、各ブロックに示す機能が実現される。画像データ取得部64は、検出部42からの信号に基づき画像データを形成し、これにより骨密度測定装置10が画像データを取得する。画像データは、例えば図6図7に示されるように取得される。組織識別部66は、形成された画像データ内において、骨に対応した画像部分と軟部組織に対応した画像部分とを識別する。組織識別部66は、例えばエネルギーサブトラクションと呼ばれる公知の手法を利用して、骨の部分と軟部組織の部分を識別する。基準線設定部68は、前腕48が載置台18上に斜めに置かれた場合に対応するため、前記の識別された画像データを利用して、前腕48に基づき定められる基準線を設定する。基準線の設定について、図9〜11に従って説明する。
【0028】
図9は、橈骨50と尺骨52の間の骨間軟部組織78を示す図である。図に示すX−Y座標系は、骨密度測定装置10に固定された座標系であり、X軸は図7,11に示す長方形の測定領域62の横の辺に、Y軸は縦の辺に平行に定められる。組織識別部66により抽出された橈骨50と尺骨52の間隔は、遠位端(図9において右側)において、狭くなる。この狭くなった位置を座標X1 とする。例えば、X座標を原点よりX軸の正の向きに移動させ、順次橈骨50と尺骨52の間隔を取得する。この間隔が所定値、例えば3画素未満となった座標(X1 )を骨間軟部組織78の端と定める。次に、図10に示すように、座標X1 から左方向の座標Xk において、骨間軟部組織78のY座標の最大値Ymax 、最小値Ymin を求める。この最大値、最小値の平均値Ygkを算出する。
Ygk=(Ymax+Ymin)/2
【0029】
平均値Ygkは、座標Xk における骨間軟部組織78のY軸方向に沿った長さの中点である。予め定められたX軸上の範囲でn個の座標Xk について中点Ygkを算出する。得られたn個の中点Ygkの線形近似を、例えば最小二乗法を用いて求める。この近似直線を基準線80とする。この基準線80のX軸に対する傾きをθとする(図11参照)。
【0030】
基準位置取得部70は、尺骨茎状突起54の位置を取得する。図11に示すように、尺骨茎状突起54を通り、基準線80に直交する直線の位置を基準位置82とする。尺骨茎状突起54は、尺骨茎状突起特定部71を用いて特定することができる。尺骨茎状突起特定部71は、基準線80より上にある骨の部分について、基準線80に沿う方向における端(図11の場合、右端)を尺骨茎状突起54と定める。これは、画像データを処理することにより求めることができる。また、尺骨茎状突起特定部71を用いず、骨密度測定装置10を操作する者が手動で尺骨茎状突起54の位置を入力し、基準位置を定めるようにしてもよい。例えば、図11のような画像データを表示し、操作者がこの表示画像上で尺骨茎状突起54にポインタを合わせ、その位置を入力する(マウスをクリックするなど)ことにより、基準位置82を定めることができる。
【0031】
次に、関心領域設定部72が、基準線80および基準位置82に基づき関心領域84を設定する。前腕48が傾いている場合、前腕長も傾きの影響を受けている。肘当て30Lのスライド量を利用して測定された前腕長Lを基準線80の傾きθを考慮して補正した補正前腕長L' を次式により求める。
L'=L/cosθ
基準位置82から基準線80に沿ってL'/N(Nは自然数)の位置に関心領域84を設定する。図11では、L'/10の位置86の関心領域84が示されている。この関心領域84は、長方形であり、この長方形の短辺が基準線80に平行となるように配置される。また、関心領域84は、位置86の両側が同じ幅となるように配置される。この例では、一方の短辺が基準線80上に配置され、基準線80より下側に向けて関心領域84が延びている。関心領域の下端は、位置86において、橈骨の下端より所定長さの位置、例えば位置86を示す直線に沿って7mmの位置とされる。関心領域84の幅、つまり短辺の長さは、例えば10mmとすることができる。L'/6、L'/3など他の位置においても同様に関心領域を設定することができる。
【0032】
骨密度算出部74は、設定された関心領域84に関して、取得された画像データを利用して骨密度を算出する。算出された骨密度は、表示装置76や印刷装置(不図示)などの外部出力装置により報知される。
【0033】
以上のように、この実施形態の骨密度測定装置10において、関心領域84は、前腕48に固定された基準線80に基づき定められている。このため、前腕48の、骨密度測定装置10に固定された座標軸に対する傾きによって骨密度が算出される骨の部分がずれてしまうことが防止される。したがって、時間をあけた測定において、ほぼ同じ部分の骨密度の値を取得することができる。これにより、一人の患者の骨密度の経時変化、例えば症状の進行の程度や、薬剤を投与した場合の薬効をより正確に把握することが可能となる。なお、経時変化の観察のように複数回にわたる測定だけでなく、1回の測定においても、定められた測定位置において骨密度を測定することができるので、データの信頼性が高くなる。
【符号の説明】
【0034】
10 骨密度測定装置、18 載置台、22 アーム部、26 天板、28 グリップ、30L,30R 肘当て、34L,34R 肘当て支持ロッド、46 制御部、48 左前腕(前腕)、50 橈骨、52 尺骨、54 尺骨茎状突起、56 肘頭、78 骨間軟部組織、80 基準線、82 基準位置、84 関心領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11