(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882279
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20130101AFI20160225BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20160225BHJP
【FI】
G06F3/0481 120
G06F3/0488
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-210926(P2013-210926)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-75866(P2015-75866A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2014年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】山中 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】八木 康成
【審査官】
萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−009533(JP,A)
【文献】
特開2011−181004(JP,A)
【文献】
特開2011−070608(JP,A)
【文献】
特表2011−526396(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0216025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048 − 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全表示領域のうちの一部である第1の領域に仮想タッチパッドを表示させるタッチパネルと、
前記タッチパネルの表示領域に表示されるアイコンであって所定の操作によりあらかじめ対応付けられたアプリケーションの所定の処理が実行されるアイコンが、前記第1の領域にドラッグアンドドロップされると前記アイコンに係るアプリケーションを起動し、前記アプリケーションの表示画面を外部ディスプレイに表示させる制御を行う起動判断手段と、
前記外部ディスプレイの表示画面上にポインタを表示させる制御を行うポインタ表示制御手段と、
前記第1の領域へのユーザの操作入力を、前記ポインタの操作入力として受け付けるポインタ操作入力受付手段と、
を有し、
前記ポインタ表示制御手段は、前記ポインタの操作入力に基づいて前記ポインタの表示の制御を行うことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記タッチパネルは、ユーザによる操作入力があったとき、当該操作入力が前記第1の領域の中を起点とする操作入力であった場合、当該操作入力を前記ポインタ操作入力受付手段へ渡すことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記仮想タッチパッドは、前記ポインタが指し示す箇所に係るコンテキストメニューを表示する機能キーを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
タッチパネルを備え、外部ディスプレイと接続する情報処理装置が使用する情報処理方法であって、
前記タッチパネルの全表示領域のうちの一部である第1の領域に仮想タッチパッドを表示させるタッチパネル制御ステップと、
前記タッチパネルの表示領域に表示されるアイコンであって所定の操作によりあらかじめ対応付けられたアプリケーションの所定の処理が実行されるアイコンが、前記第1の領域にドラッグアンドドロップされると前記アイコンに係るアプリケーションを起動する起動判断ステップと、
前記アプリケーションの表示画面を前記外部ディスプレイに表示させる制御を行うアプリケーション画面表示ステップと、
前記外部ディスプレイの表示画面上にポインタを表示させる制御を行うポインタ表示制御ステップと、
前記第1の領域へのユーザの操作入力を、前記ポインタの操作入力として受け付けるポインタ操作入力受付ステップと、
を含み、
前記ポインタ表示制御ステップでは、前記ポインタの操作入力に基づいて前記ポインタの表示の制御を行うことを特徴とする、情報処理方法。
【請求項5】
タッチパネルを備え、外部ディスプレイと接続する情報処理装置に、
前記タッチパネルの全表示領域のうちの一部である第1の領域に仮想タッチパッドを表示させるタッチパネル制御処理と、
前記タッチパネルの表示領域に表示されるアイコンであって所定の操作によりあらかじめ対応付けられたアプリケーションの所定の処理が実行されるアイコンが、前記第1の領域にドラッグアンドドロップされると前記アイコンに係るアプリケーションを起動する起動判断処理と、
前記アプリケーションの表示画面を前記外部ディスプレイに表示させる制御を行うアプリケーション画面表示処理と、
前記外部ディスプレイの表示画面上にポインタを表示させる制御を行うポインタ表示制御処理と、
前記第1の領域へのユーザの操作入力を、前記ポインタの操作入力として受け付けるポインタ操作入力受付処理と、
を実行させ、
前記ポインタ表示制御処理では、前記ポインタの操作入力に基づいて前記ポインタの表示の制御を行うようにさせるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法及びプログラムに関し、特に、外部ディスプレイにアプリケーションの画面を表示させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドラッグアンドドロップを抽象化して、動画像などのサムネイルを所定のアイコンにドラッグアンドドロップすると、アプリケーションが起動し、セカンダリディスプレイに全画面表示することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、ノートパソコンのキーボードから手前側の平面上の領域全体をタッチパネルとして構成し、その中の一部領域をタッチパッドとして用いることについて記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−528368号公報
【特許文献2】特開2010−066915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アプリケーションの画面を、メインのディスプレイではないセカンダリディスプレイで展開することについては、特許文献1に記載がある。タッチパネルの一部領域をタッチパッドとして用いることについては特許文献2に記載がある。しかしながら、上記従来技術では、いわゆる「タブレットPC」においてセカンダリディスプレイに、タッチパネルの一部領域をタッチパッドとして用いた際に得られるポインタ入力を反映させる情報処理については開示されていない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、快適に操作可能な拡張ディスプレイ利用環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、全表示領域のうちの一部である第1の領域に仮想タッチパッドを表示させるタッチパネルと、前記タッチパネルの表示領域に表示されるアイコンであって所定の操作によりあらかじめ対応付けられたアプリケーションの所定の処理が実行されるアイコンが、前記第1の領域にドラッグアンドドロップされると前記アイコンに係るアプリケーションを起動し、前記アプリケーションの表示画面を外部ディスプレイに表示させる制御を行う起動判断手段と、前記外部ディスプレイの表示画面上にポインタを表示させる制御を行うポインタ表示制御手段と、前記第1の領域へのユーザの操作入力を、前記ポインタの操作入力として受け付けるポインタ操作入力受付手段と、を有し、前記ポインタ表示制御手段は、前記ポインタの操作入力に基づいて前記ポインタの表示の制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、快適に操作可能な拡張ディスプレイ利用環境を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による実施形態の外観構成例を示す図である。
【
図2】
図1の情報処理装置100のハードウェア&ソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】上記実施形態により構成される表示画面の一例を示す図(その1)である。
【
図5】上記実施形態における拡張ディスプレイ利用環境の開始処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図6】上記実施形態における拡張ディスプレイ利用環境における操作入力処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図7】上記実施形態により構成される表示画面の一例を示す図(その2)である。
【
図8】上記実施形態により構成される表示画面の一例を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、本実施形態の外観構成例を示す。図示のように、本実施形態に係る情報処理システム1は、タブレット型のパーソナルコンピュータ(以下、タブレットPC)である情報処理装置100と外部ディスプレイ102を含むコンピュータシステムとして構成してもよい。外部ディスプレイ102に係る表示装置の方式は、液晶方式や有機ELなど種々の方式が利用できる。情報処理装置100と外部ディスプレイ102は、相互に通信可能に接続されている。通信の方式には限定がなく、物理層の接続は、例えば、図示のようにディスプレイケーブル103を利用してもよい。
【0011】
図2に、情報処理装置100のハードウェア&ソフトウェア構成例を示す。情報処理装置100は、ハードウェアとして例えば、内部バスで演算制御装置11、一次記憶装置12、外部IO制御装置13、記憶装置14、タッチパネル101が接続されているような構成を採用することができる。外部IO制御装置13は、ディスプレイケーブル103を介して外部ディスプレイ102との入出力を可能にする。
【0012】
記憶装置14に、上記ハードウェアを利用する情報処理を行うためのソフトウェアプログラム群が格納されている。そのようなソフトウェアとしては、オペレーティングシステム(以下、OS)21、各種アプリケーションソフトウェアプログラムであるアプリケーション22、仮想タッチパッドソフトウェア23がある。OS21の機能の一部として、ヒューマンインターフェースデバイス(以下、HID)ドライバ21aと、外部ディスプレイドライバ22bも有しているとよい。後者は外部ディスプレイ102をOS21が操作するためのインターフェースを提供するものである。
【0013】
なお、上記ソフトウェア構成例は説明例であり、種々の変形が可能である。例えばSaaSによりネットワーク経由で提供されていてもよい。上述のようなハードウェアを利用したソフトウェアプログラムによる情報処理によって、下述するような機能ブロックが構成される。また、後述するような流れで情報処理がなされる。
【0014】
図3に、本実施形態の機能ブロック図を示す。図示のように、情報処理装置100は、タッチパネル101、起動判断手段104、ポインタ操作入力受付手段105、ポインタ表示制御手段106を有するように構成される。
【0015】
タッチパネル101は、例えば静電方式によるもので、表示手段としても操作入力手段として用いることができる。
図4に、本実施形態による表示画面の一例を示す。本実施形態では、仮想タッチパッドソフトウェア23が起動されると、
図4(a)に示す仮想タッチパッド110がタッチパネル101に表示される。仮想タッチパッド110は、
図4(a)に示されているように、タッチパネル101の表示領域全体に対して、一定の面積を占めるように表示されるようにすることが好ましい。仮想タッチパッド110は、好ましくは、機能キー111を含む。機能キー111の働きについては後述する。
【0016】
また、
図4(a)に示すように、タッチパネル101の表示領域上には、アイコン112が表示される。アイコン112は、これに対して所定の操作が行われることにより、アイコン112にあらかじめ対応付けられたアプリケーションに対して所定の処理が実行されるような図形ないし画像である。アイコン112にはあらかじめ何らかのアプリケーション22が対応付けられている。所定の操作とは、例えばクリックやダブルクリックなどがある。所定の処理とは、例えばアプリケーション22の起動があり、他にはウィンドウやインスタンスの生成などがある。
【0017】
上述の仮想タッチパッド110が表示される所定の領域に、アイコン112がドラッグアンドドロップされると、起動判断手段104は、ドロップされたアイコン112に係るアプリケーション22を起動する処理を行う。この仮想タッチパッド110を用いた拡張ディスプレイ利用環境の開始処理について、
図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0018】
図5において、仮想タッチパッドソフトウェア23が起動されると、仮想タッチパッドソフトウェア23は、仮想タッチパッド110をタッチパネル101に表示する(S101)。起動判断手段104は、仮想タッチパッド110にアイコン112のドロップを検知すると(S102/Yes)、そのアイコン112に係るアプリケーション22を起動する(S103)。
【0019】
起動判断手段104は、アプリケーション22の表示画面を外部ディスプレイ102に表示させる制御を行う機能も備える。また、ポインタ表示制御手段106は、外部ディスプレイ102の表示画面上にポインタ113を表示させる制御を行う機能を備える。ポインタ113は、OS21の提供するグラフィカルユーザインターフェース(以下、GUI)におけるポインタカーソルである。
【0020】
具体的には、
図5に示すように、起動判断手段104による判断を受けてOS21がセカンダリディスプレイを仮想デスクトップ上に生成して、そこに起動するアプリケーション22の画面を生成する(S104)。また、ポインタ表示制御手段106がポインタ画像の生成もする(S105)。図示しないディスプレイドライバが両者を統合して外部ディスプレイ102の画面を生成し、外部ディスプレイ102が実際の描画を行う(S106)。
【0021】
図4(b)に、外部ディスプレイ102の表示画面例が示されている。外部ディスプレイ102の拡張ディスプレイ側には、タッチパネル101にはないポインタ113が描画されている。また、起動したアプリケーション22の画面が表示されている。この表示は、全画面表示でもよい。
【0022】
次に、仮想タッチパッド110を用いた拡張ディスプレイ利用環境における操作入力処理について、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。タッチパネル101が何らかの操作入力を検知すると操作入力処理が開始される(S201)。タッチパネル101は、その操作入力が仮想タッチパッド110内への入力であるか否かを判断する。
【0023】
ここで、その操作入力が仮想タッチパッド110内への入力であるか否かの判断基準は、当該操作入力の起点が、仮想タッチパッド110が占める所定の領域内であった場合に、仮想タッチパッド110内への入力であると判断することが好ましい。
【0024】
図7(a)に示すようにストロークが仮想タッチパッド110内で完結するものは、問題なく仮想タッチパッド110への入力である。
図7(b)は、起点が仮想タッチパッド110内なので、仮想タッチパッド110への入力である。
図7(c)は、起点が仮想タッチパッド110外なので、仮想タッチパッド110への入力ではない。このように構成すると、長いストロークであってもユーザのストレスなく操作が入力に反映されると同時に、仮想タッチパッド110へのドラッグアンドドロップなどの動作が適切に動作する。
【0025】
操作入力が仮想タッチパッド110への操作入力でない場合は、その入力情報(座標情報など)を情報処理装置100本体の制御に用いるため出力する(S203)。操作入力が仮想タッチパッド110への操作入力である場合は、その入力情報(座標情報など)を外部ディスプレイ102に描画している拡張ディスプレイ利用環境の制御に用いるため、ポインタ操作入力受付手段105に出力する。ポインタ操作入力受付手段105は、ユーザの操作入力を、前記ポインタの操作入力として受け付ける。
【0026】
ポインタ操作入力受付手段105は、その操作入力がタップであるか否かを判断する(S204)。タップでない場合、ストロークが所定の倍率で外部ディスプレイ102に反映されるように、入力座標を座標変換する(S205)。ポインタ表示制御手段106が、変換された座標に基づく軌跡のポインタ画像を生成して表示制御する(S206)。
【0027】
一方で、タップである場合は、ポインタ操作入力受付手段105が、そのタップが機能キー111のタップであるか否かを判断する(S207)。機能キー111のタップでない場合は、通常のクリック動作であるが(S208)、機能キー111のタップである場合は、機能キー111をクリックしたときの動作を行う(S209)。この動作とは、好ましくは、現在ポインタ113がポイントしている箇所のコンテキストメニューを表示することである。
【0028】
以上に述べたように、ポインタ表示制御手段106が、ポインタ113の操作入力に基づいてポインタ113の表示の制御を行うことによって、ユーザは、拡張ディスプレイ利用環境を快適に操作することができるようになる。
【0029】
また、ポインタ113を含め、OS21が提供するポインタカーソルは、タッチパネル101上には表示しないことが好ましい。表示させる場合の例外は、
図8に示すように、拡張ディスプレイ利用環境側のウィンドウをポインタ113によりドラッグして移動するようなケースである。この場合に限り、タッチパネル101にポインタ113を表示させる。
【0030】
しかしながら、ユーザの指等がタッチパネル101から離れ、タッチパネル101への操作入力が検知されなくなったら、ポインタ表示制御手段106は、タッチパネル101へのポインタ113の表示をやめる。同時に、ポインタ113は外部ディスプレイの表示領域の中央などに出現させる処理を行う。本実施形態をこのように構成することによって、さらに快適な拡張ディスプレイ利用環境を提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 情報処理システム
100 情報処理装置(タブレットPC)
101 タッチパネル
102 外部ディスプレイ
103 ディスプレイケーブル
104 起動判断手段
105 ポインタ操作入力受付手段
106 ポインタ表示制御手段
110 仮想タッチパッド
111 機能キー
112 アイコン
113 ポインタ