特許第5882281号(P5882281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882281
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】多層ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   A63B37/00 420
   A63B37/00 412
   A63B37/00 418
   A63B37/00 422
   A63B37/00 526
   A63B37/00 540
   A63B37/00 542
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-214393(P2013-214393)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-110913(P2014-110913A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】13/656,855
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ. サリバン
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−37914(JP,A)
【文献】 特開2011−87958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00−37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイオノマー組成物であって、当該組成物中のすべての酸基の少なくとも80%が中和されている上記アイオノマー組成物から形成され、直径が0.900インチ(2.27cm)から1.550インチ(3.94cm)で、圧縮が90以下の熱可塑性コアと、
上記熱可塑性コアを包囲し、厚さが0.010インチ(0.0254cm)から0.070インチ(0.1778cm)で材料硬度が60ショアDから80ショアDの第1の熱可塑性中間層と、
上記第1の熱可塑性中間層を包囲し、厚さが0.025インチ(0.0635cm)から0.125インチ(0.3175cm)で材料硬度が65ショアD以下の第2の熱可塑性中間層と、
上記第2の熱可塑性中間層を包囲し、厚さが0.010インチ(0.0254cm)から0.070インチ(0.1778cm)で材料硬度が60ショアDから80ショアDの第3の熱可塑性中間層と、
カバーとを有し、
上記第2の熱可塑性中間層の材料硬度が上記第1および上記第3の熱可塑性中間層の材料硬度より小さく、上記第2の熱可塑性中間層の厚さが上記第1の熱可塑性中間層の厚さ、および上記第3の熱可塑性中間層の厚さより大きいことを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記第2の中間層は、E/X/Y型のコポリマーであって、Eがエチレンであり、Xが上記コポリマーの総重量を基準にして10から20wt%だけ存在するC−Cα,βエチレン系不飽和カルボン酸であり、Yが上記コポリマーの総重量を基準にして0から50wt%だけ存在するアルキルアクリレートまたはアリルアクリレートから選択されたアクリレートである上記E/X/Y型のコポリマーを有する高度に中和された熱可塑性組成物から形成され、上記組成物中に存在する酸の80%以上が金属イオン源により中和される請求項1記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、多層ゴルフボールに関し、より具体的には、単一層または多層のコア、当該コアの回りに配された3層またはそれ以上の熱可塑性中間層、および中間層の回りに配されたカバーを有するゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,056,842号(Dalton等)は、コアセンタを形成し、コア材料のラミネートを形成し、コアセンタの周りにそのラミネートを形成してコアを形成し、コアの周りにカバーを形成することによってゴルフボールを形成する方法を開示する。
米国特許第7,652,086号(Sullivan等)は、エチレンおよびα,β−不飽和カルボン酸の高度に中和された熱可塑性コポリマーで、酸が、有機酸の塩、カチオン源、または、有機酸の適切な塩基によって100%中和されているものを有するセンタと;カバーと、センタおよびカバーの間に配された中間層とを有し、当該ゴルフボールは125ft/sの入射速度で測定したときに0.81またはそれ以上の第1の反発係数を有し;センタおよび中間層の組み合わせから得られる球の圧縮が60またはそれ以上であるゴルフボールを開示する。
米国特許第7,722,482号(Sullivan等)は多層コアおよびカバーから成るゴルフボールを開示している。多層コアは、センタおよび外側コア層からなり、これらは双方とも硬い中間コア層に較べて柔らかい。外側コア層はセンタおよび外側コア層に較べて薄い。
米国特許第7,753,810号(Sullivan等)は多層コアおよびカバーから成るゴルフボールを開示している。多層コアは、小さな硬いセンタを有し、これが柔らかい中間コア層および外側コア層に包囲される。
米国特許第8,123,631号(Sullivan等)は多層コアおよびカバーから成るゴルフボールを開示している。多層コアは、大きなセンタおよび薄い外側コア層を有し、これらはともに硬く薄い中間コア層に較べて柔らかい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,056,842号明細書
【特許文献2】米国特許第7,652,086号明細書
【特許文献3】米国特許第7,722,482号明細書
【特許文献4】米国特許第7,753,810号明細書
【特許文献5】米国特許第8,123,631号明細書
【発明の開示】
【0004】
具体的な実施例において、この発明は熱可塑性コア、第1の熱可塑性中間層、第2の熱可塑性中間層、第3の熱可塑性中間層、およびカバーを有するゴルフボールに向けられている。コアの直径は0.900インチから1.550インチであり、その圧縮は90以下である。第1および第3の熱可塑性中間層の厚さは、各々0.010インチから0.070インチであり、材料硬度は60ショアDから80ショアDである。第2の熱可塑性中間層の厚さは0.025インチから0.125インチであり、その材料硬度が65ショアD以下である。第2の熱可塑性中間層の材料硬度は上記第3の熱可塑性中間層の材料硬度より小さい。
【0005】
他の具体的な実施例において、この発明は熱可塑性コア、第1の熱可塑性中間層、第2の熱可塑性中間層、第3の熱可塑性中間層、およびカバーを有するゴルフボールに向けられている。コアの直径は0.900インチから1.550インチであり、その圧縮が90以下である。第1の熱可塑性中間層の厚さは0.025インチから0.125インチであり、その材料硬度は65ショアD以下である。第2および第3の熱可塑性中間層の厚さは0.010インチから0.070インチであり、その材料硬度は60ショアDから80ショアDである。第3の熱可塑性中間層の材料硬度は第2の熱可塑性中間層の材料硬度より大きく、第2の熱可塑性中間層の材料硬度は第1の熱可塑性中間層の材料硬度より大きい。
【詳細な説明】
【0006】
この発明は、3層またはそれ以上の熱可塑性中間層に包囲された熱可塑性コアと、包囲コアの回りに配されたカバーとを有するゴルフボールに向けられている。コアは、1または複数の同一または異なる熱可塑性材料の層から形成された単一または多層コアである。中間層(複数)は、比較的柔らかで厚い熱可塑性層と、比較的硬く薄い熱可塑性層とを含む。カバーは単一または多層カバーであり、各カバー層は熱可塑性または熱硬化性材料から形成される。
【0007】
[組成物]
熱可塑性コア、中間、およびカバー層を製造するのに適切な熱可塑性組成物は、これに限定されないが、部分的または高度に中和されたアイオノマー、アイオノマーおよびポリアミドのグラフト化コポリマー、および以下の非アイオノマー性ポリマーを含み、これはこれらのホモポリマーおよびコポリマー、並びに、少なくとも1つのグラフト化またはコポリマー化された官能基、例えば、無水マレイン酸、アミン、エポキシ、イソシアネート、ヒドロキシル、スルホン酸塩、燐酸塩、その他と適合性がある、それらの誘導体を含む。
(a)ポリエステル、とくに適合化基、例えば、スルホン酸塩または燐酸塩により改質したポリエステル。これは改質ポリ(エチレンテレフタレート)、改質ポリ(ブチレンテレフタレート)、改質ポリ(プロピレンテレフタレート)、改質ポリ(トリメチレンテレフタレート)、改質ポリ(エチレンナフテネート)、および、米国特許第6,353,050号、同第6,274,298号、および同第6,001,930号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンドを含む。これらの文献の内容は参照してここに組み入れる。
(b)ポリアミド、ポリアミド−エーテル、およびポリアミド−エステル、および米国特許第6,187,864号、同第6,001,930号、および同第5,981,654号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これらの文献の内容は参照してここに組み入れる。
(c)ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド、およびこれらの2以上のブレンド。
(d)フルオロポリマー、例えば米国特許第5,691,066号、同第6,747,110号、および同第7,009,002号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これら文献の内容は参照してここに組み入れる。
(e)非アイオノマー性酸ポリマー、例えばO/Y−およびO/X/Y−タイプのコポリマー、ただし、Oはオレフィン(例えばエチレン)であり、Xはカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸であり、かつ、Yは軟化コモノマー、例えば、酸が2から10個の炭素を具備する脂肪族カルボン酸のビニルエステート、アルキル基が1から10個の炭素を具備するアルキルエーテル、およびアルキル基が1から10個の炭素を具備するアルキルアクリレート;およびこれらの2以上のブレンド。これは例えば米国特許第6,872,774号に開示されたものであり、その内容は参照してここに組み入れる。
(f)メタローセン触媒ポリマー、例えば、米国特許第6,274,669号、同第5,919,862号、同第5,981,654号、および同第5,703,166号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これら文献の内容は参照してここに組み入れる。
(g)ポリスチレン、例えば、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(スチレンスルホネート)、ポリエチレンスチレン、およびこれらのブレンド。
(h)ポリプロピレンおよびポリエチレン、および、これらの2以上のブレンド。
(i)ポリビニルクロライド、およびこれらの2以上のブレンド。
(j)ポリビニルアセテート、好ましくは、約9重量%未満のビニルアセテートを具備するもの、およびこれらの2以上のブレンド。
(k)ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエンスチレンのブレンド、ポリカーボネート/ポリウレタンのブレンド、およびポリカーボネート/ポリエステルのブレンド、およびこれらの2以上のブレンド。
(l)ポリビニルアルコールおよびこれらの2以上のブレンド。
(m)ポリエーテル、例えば、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、アルケン芳香族炭化水素のビニル芳香族炭化水素およびポリ(アミド酸エステル)とのブロックコポリマー、およびこれらの2以上のブレンド。
(n)ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、およびこれらの2以上のブレンド。
(o)ポリカーボネート/ポリエステルコポリマーおよびブレンド。
(p)上述の熱可塑性ポリマーの2以上の組み合わせ。
【0008】
具体的な実施例において、熱可塑性層の各々はアイオノマー組成物から形成される。この実施例の具体的な側面では、アイオノマー組成物はオプションとして1または複数の非アイオノマーポリマーを有し、非アイオノマーポリマーの総量は組成物の全ポリマー重量を基準にして50wt%未満であり、非アイオノマーポリマーは上述の非アイオノマーポリマー(a)〜(o)から選択される。この実施例の他の具体的な側面では、アイオノマー組成物はオプションとして1または複数の非アイオノマーポリマーを有し、非アイオノマーポリマーの総量は組成物の全ポリマー重量を基準にして50wt%未満であり、非アイオノマーポリマーは無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、およびこれらの2以上の組み合わせから選択される。
【0009】
1つの層を形成するために使用されるアイオノマー組成物は、他の層を形成するために使用されるアイオノマー組成物と同一でも異なっていても良い。
【0010】
好適なアイオノマーは、部分的に中和されたアイオノマーおよび高度に中和されたアイオノマー(HNP)であり、これらは、2またはそれ以上の部分的に中和されたアイオノマーのブレンド、2またはそれ以上の高度に中和されたアイオノマーのブレンド、および1または複数の部分的に中和されたアイオノマーおよび1または複数の高度の中和されたアイオノマーのブレンドを含む。この発明の開示に目的において、「HNP」は組成物中のすべての酸基の少なくとも80%が中和された後の酸ポリマーを指す。好ましいアイオノマーは、O/XおよびO/X/Yタイプの酸コポリマーの塩であり、ここで、Oはα−オレフィン、XはC−Cα,βエチレン系不飽和カルボン酸、Yは軟化モノマーである。Oは好ましくはエチレンおよびプロピレンから選択される。Xは好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、およびイタコン酸から選択される。メタクリル酸およびアクリル酸がとくに好ましい。ここで使用されるように「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよびアクリレートを意味する。Yは好ましくは(メタ)アクリレートおよびアクリル(メタ)アクリレートであり、アクリル基は1〜8の炭素原子を含む、これに限定されないが、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、およびエチル(メタ)アクリレートを含む。とくに好ましいO/X/Yタイプのコポリマーはエチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/イソブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチルアクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/エチル(メタ)アクリレートである。ここで使用されるように、「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。α−オレフィンは、典型的には、酸コポリマーの総重量を基準にして、15wt%以上、または25wt%以上、または40wt%以上、または60wt%以上の量だけ酸コポリマー中に存在する。酸は典型的には酸コポリマー中に、酸コポリマーの総重量を基準にして、6wt%以上、または9wt%以上、または10wt%以上、または11wt%以上、または15wt%以上、または16wt%以上の量だけ、あるいは、下限が1または4または6または8または10または11または12または15wt%で上限が15または16または17または19または20または20.5または21または25または30または35または40wt%の範囲内の量だけ存在する。オプションの軟化モノマーは、典型的には、酸ポリマー中に、酸ポリマーの粗合う重量を基準にして、下限が0または1または3または5または11または15または20wt%で、上限が23または25または30または35または50wt%の範囲内の量だけ存在する。
【0011】
酸コポリマーはカチオン源によって少なくとも部分的に中和され、オプションとして大きな分子量の有機酸、例えば、米国特許第6,756,436号に開示されたものの存在下で中和され、その内容は参照してここに組み入れる。酸コポリマーは、カチオン源を添加するのに先だって、または、同時に、オプションの高分子量有機酸と反応させることができる。適切なカチオン源は、これに限定されないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および遷移金属の金属イオンおよび化合物;アンモニウム塩およびモノアミン塩;およびこれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、鉛、錫、アルミニウム、ニッケル、クロム、リチウム、および希土類金属の化合物である。
【0012】
適切なアイオノマーは、さらに、例えば、米国特許出願公開第2005/0049367号、同第2005/0148725号、同第2005/0020741号、同第2004/0220343号、および同第2003/0130434号、並びに、米国特許第5,587,430号、同第5,691,418号、同第5,866,658号、同第6,100,321号、同第6,562,906号、同第6,653,382号、同第6,756,436号、同第6,777,472号、同第6,762,246号、同第6,815,480号、同第6,894,098号、同第6,919,393号、同第6,953,820号、同第6,994,638号、同第7,375,151号、および同第7,652,086号にも開示されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0013】
適切な商業的に入手可能な熱可塑性材料の非制限的な例は、E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なSyrlyn(商標)アイオノマー、DuPont(商標)HPF1000およびHPF2000高中和アイオノマー;A.Schulman,Incから商業的に入手可能なClarix(商標)アイオノマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAmplify(商標)IOアイオノマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAmplify(商標)GR官能性ポリマーおよびAmplify(商標)TY官能性ポリマー;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なFusabond(商標)官能化ポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なExxelor(商標)無水マレイン酸ドラフト化ポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なExxonMobile(商標)PPシリーズポリプロピレンインパクトコポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Vistamaxx(商標)プロピレンベースのエラストマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Exact(商標)プラストマー;Kraton Performance Polymer Incから商業的に入手可能な、Kraton(商標)スチレンブロックコポリマー;Kuraray Co., Ltdから商業的に入手可能な、Septon(商標)スチレンブロックコポリマー;Arkema Corporationから商業的に入手可能な、Lotader(商標)エチレンアクリレートベースのポリマー;Chemtura Corporationから商業的に入手可能な、Polybond(商標)グラフト化ポリエチレンおよびポリプロピレン;Arkema Inc.から商業的に入手可能なPebax(商標)ポリエーテルおよびポリエステルアミド;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Hytrel(商標)のようなポリエステルベースの熱可塑性エラストマーおよびTiconaから商業的に入手可能なRiteflex(商標)ポリエステルエラストマー;The Lubrizol Corporationから商業的に入手可能な、Estane(商標)熱可塑性ポリウレタン;EMS Grivoryから商業的に入手可能な、Grovory(商標)ポリアミドおよびGrilamid(商標)ポリアミド;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Zytel(商標)ポリアミド樹脂およびElvamide(商標)ナイロンマルチポリマー樹脂;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Elvaloy(商標)アクリレートコポリマー樹脂;BASFから商業的に入手可能なElastollan(商標)ポリウレタンをベースにした熱可塑性エラストマー;SABIC Innovative Plasticsから商業的に入手可能なXylex(商標)ポリカーボネート/ポリエステルブレンド;およびこれらの2以上の組み合わせである。
【0014】
この発明の熱可塑性組成物は当該熱可塑性マトリックス組成物の総重量を基準にして50wt%以下、または30wt%以下、または20wt%以下、または15wt%以下の添加剤および/またはフィラーを含む。適切な添加剤およびフィラーは、これに限定されないが、化学ブローイング剤およびフォーミング剤、光学的光沢剤、着色剤、蛍光剤、白色化剤、UV吸収剤、光安定化剤、消泡剤、処理助剤、酸化防止剤、安定化剤、軟化剤、香料成分、可塑剤、衝撃修正剤、TiO、酸コポリマーワックス、表面活性剤、性能添加剤(例えば、Honeywell International社から商業的に入手可能な、A−C(商標)性能添加剤、とくに、A−C(商標)低分子量アイオノマーおよびコポリマー、A−C(商標)酸化ポリエチレン、およびA−C(商標)エチレンビニルアセテートワックス)、脂肪酸アミド(例えば、エチレンビス−ステアリン酸アミド、およびエチレン−ビスオレイン酸アミド)、脂肪酸およびその塩(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、およびオレイン酸マグネシウム)、および、フィラー、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、タングステン、タングステン炭化物、シリカ、珪酸鉛、クレイ、マイカ、タルク、ナノフィラー、カーボンブラック、ガラスフレーク、粉砕ガラス、フロック、ファイバー、およびこれらの混合物を含む。適切な添加剤は、例えば、米国特許出願公開第2003/0225197号明細書により充分に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。具体的な実施例において、この熱可塑性組成物中に存在する添加剤およびフィラーの総量は、熱可塑性組成物の総重量を基準にして、20wt%以下、または、15wt%以下、または、12wt%以下、または、10wt%以下、または、9wt%以下、または、6wt%以下、または、5wt%以下、または、4wt%以下、または、3wt%以下、または、下限が、熱可塑性組成物の総重量を基準にして、0、または2、または3、または5wt%で、上限が、熱可塑性組成物の総重量を基準にして、9、または10、または12、または15、または20wt%の範囲である。この実施例の具体的な側面では、熱可塑性組成物は、カーボンブラック、マイクロおよびナノスケールのクレイおよび有機クレイ(例えば、Southern Clay Product社から商業的に入手可能な、Cloisite(商標)およびNanofil(商標)ナノクレイ;Nanocor社から商業的に入手可能なNanomax(商標)およびNanomer(商標)ナノクレイ、およびAkzo Nobel Polymer Chemicals社から商業的に入手可能なPerkalite(商標)ナノクレイを含む)、マイクロまたはナノスケールのタルク(例えば、Luzenac America社から商業的に入手可能な、Luzenac HAR(商標)高アスペクト比タルク)、ガラス(例えば、ガラスフレーク、粉砕ガラス、マイクロガラス、およびグラスファイバー)、マイクロまたはナノスケールのマイカおよびマイカをベースにした顔料(例えば、Merck Groupから商業的に入手可能なIriodin(商標)パール光沢顔料)、および、これらの組み合わせを含む。とくに適切なフィラーの組み合わせは、これに限定されないが、ナノスケールフィラーを組み合わせたマイクロスケールフィラー、および、有機フィラーを伴う有機フィラーである。
【0015】
この発明のアイオノマー組成物の比重は、未充填の形態で、典型的には、0.95g/cmから0.990.95g/cmである。そのため、この発明のいくつかの実施例においては、フィラー、フレーク、ファイバー、粒子、その他をアイオノマー組成物に添加して全体のゴルフボールの比重が1.10g/cmから1.20g/cmになるようにし、および/または、ボール内の重量分配を調整することが好ましく、これは、さらに、例えば、米国特許第6,494,795号、同第6,547,677号、同第6,743,123号、同第7,074,137号、および同第6,688,991号に開示されており、これらは参照してここに組み入れる。具体的な実施例において、アイオノマー組成物は、沈降水和シリカ、クレイ、タルク、アスベスト、ガラス繊維、アラミド繊維、マイカ、メタ珪酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸塩、炭化珪素、珪藻土、ポリ塩化ビニル、炭酸塩(例えば炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、および炭酸マグネシウム)、金属(例えば、チタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鉛、銅、ホウ素、コバルト、ベリリウム、亜鉛、および錫)、金属合金(例えば、スチール、黄銅、青銅、炭化ホウ素ウィスカー、および、炭化タングステンウィスカー)、酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、および、酸化ジルコニウム)、粒子炭素質材料(例えば、グラファイト、カーボンブラック、コットンフロック、天然ビチューメン、セルロースフロック、および、レザー繊維)、マイクロバルーン(例えば、ガラスおよびセラミック)、フライアッシュ、粉砕されて再利用されるコア材料、ナノフィラーおよびこれらの組み合わせを含む。
【0016】
熱可塑性組成物は、オプションで、1または複数のメルトフロー修正剤を含み、これは脂肪酸または脂肪酸塩(これに限定されないが、米国特許第5,306,760号明細書に開示されたものを含み、その内容は参照してここに組み入れる);脂肪アミドおよびその塩;多価アルコール(これに限定されないが、米国特許第7,356,128号明細書および米国特許出願公開第2010/0099514号明細書に開示されたものを含み、その内容は参照してここに組み入れる);ポリ乳酸(これに限定されないが、米国特許第7,642,319号に開示されたものを含み、その内容は参照してここに組み入れる);および、米国特許出願公開第2010/0099514号明細書および同第2009/0203469号明細書に開示された修正剤から選択されたものである。また、オプションのフロー増強添加剤は、これに限定されないが、モンタン酸およびその塩、ビス−ステオロイルエチレンジアミン、モノ−およびポリアルコールエステル、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、両性イオン化合物、および、メタローセン触媒ポリエチレンおよびポリプロピレンワックス(そのマレイン酸無水物修正バージョンを含む)、アミドワックス、およびアルキレンジアミド、例えばビステアルアミド(bistearamide)も含む。とくに適切な脂肪アミドは、これに限定されないが、飽和脂肪酸モノアミド(例えば、ラウリンサン酸アミド、バルトミン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、および、12−ヒドロキシステアリン酸アミド);不飽和脂肪酸モノアミド(例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、およびリシノール酸アミド);N−置換脂肪酸アミド(例えば、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ベヘニルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エルシルエルカ酸アミド、およびエルシルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、メチロールアミド、より好ましくは、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド);飽和脂肪酸ビス−アミド(例えば、メチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−イソステアリン酸アミド、エチレンビス−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス−ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルアジピン酸アミド、およびN,N'−ジステアリルセバカミド);不飽和脂肪酸ビス−アミド(例えば、エチレンビス−オレイン酸アミド、ヘキサメチレンビス−オレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバカミド);および、飽和および不飽和脂肪酸テトラアミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、およびエチレンビス−オレイン酸アミドを含む。商業的に入手可能な脂肪酸アミドの適切な例は、これに限定されないが、Chemtura社から商業的に入手可能なKemamide(商標)脂肪酸、例えば、Kemamide(商標)B(ベヘン酸アミド/アラキドアミド)、Kemamide(商標)W40(N,N'−エチレンビスステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)P181(オレイルパルミトアミド)、Kemamide(商標)S(ステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)U(オレイン酸アミド)、Kemamide(商標)E(エルカ酸アミド)、Kemamide(商標)O(オレイン酸アミド)、Kemamide(商標)W45(N,N'−エチレンビスステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)W20(N,N'−エチレンビスオレイン酸アミド)、Kemamide(商標)E180(ステアリルエルカ酸アミド)、Kemamide(商標)E221(エルシルエルカ酸アミド)、Kemamide(商標)S180(ステアリルステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)S221(エルシルステアリン酸アミド);および、Croda Universal社から商業的に入手可能な、Crodamide(商標)脂肪アミド、例えば、Crodamide(商標)OR(オレイン酸アミド)、Crodamide(商標)SR(ステアリン酸アミド)、Crodamide(商標)BR(ベヘン酸アミド)、Crodamide(商標)203(オレイルパルミトアミド)、および、Crodamide(商標)212(ステアリルエルカ酸アミド)を含む。
【0017】
熱可塑性層はオプションで熱硬化性ジエン組成物と一緒に処理され、または混合され、オーバーモールド時に流れ出すのを減少または防止する。オプションの処理は、モールドに先立つ過酸化物の材料への添加、または、例えば、架橋溶液、電子ビーム、ガンマ線照射、イソシアネートまたはアミン溶液処理等のモールド後の処理を含む。熱硬化性層が熱可塑性層の上に熱可塑性層を架橋するのに必要な温度で、典型的には280°Fから360°Fで、約5〜30分の間、モールドされるので、そのような処理は熱可塑性相が溶融し、流れだし、またはモールド赤道から「漏れ」(leaking)出すのを防止できる。
【0018】
具体的な実施例において、カバーは熱硬化性層を含む。適切な熱硬化性組成物は熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド(すなわち、ポリウレタンおよびポリ尿素のブレンドおよびコポリマー);ポリブタジエンゴム;ポリイソプレンゴム;天然ゴム;スチレン−ブタジエンゴム;およびこれらの組み合わせを含む。
【0019】
熱可塑性および熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッドがこの発明のカバー層を形成するのにとくに適切である。適切なポリウレタンおよびポリ尿素カバー組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネート、および少なくとも1つの硬化剤との反応生成物、または、少なくとも1つのイソシアネート、少なくとも1つのポリオール、および少なくとも1つの硬化剤の反応生成物から形成される。とくに適切なイソシアネートの非制限的な例は、2,2'−、2,4'−、および、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI);ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状MDI;4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI);メタ−フェニレンジイソシアネート(MPDI);トリフェニルメタン−4,4'−およびトリフェニルメタン4−4"−トリイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4'−、4,4'−および2,2'−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)(ポリマー性PMDIとしても知られている);エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(TMDI);4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;芳香族脂肪族イソシアネート、例えば1,2−、1,3−、及び1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、及びこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、及びこれらの混合物;上記のイソシアネート及びポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;及びこれらの混合物を含む。特に適切なポリオールの非制限的な例は、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG));ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよび2−メチル−1,4−ブタンジオールのコポリマー(PTG−L);ポリ(オキシエチレン)グリコール;ポリ(オキシプロピレン)グリコール;エチレンオキシドキャップド(ポリオキシプロピレン)グリコール;およびポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)グリコール;ポリカプロラクトンポリオール(例えば、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン;プロピレングリコール開始ポリカプロラクトン;1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン;1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン;ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール開始ポリカプロラクトン;エチレンギリコール開始ポリカプロラクトン;およびジプロピレングリコール開始ポリカプロラクトン);ポリエーテルポリオール(例えば、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンブチレンアジペートグリコール;ポリヘキサメチレンアジペートグリコール;ポリヘキサメチレンブチレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオールポリエステルポリオール;およびポリエチレンテレフタレートポリエステルポリオール);ポリカーボネートポリオール(例えば、ポリ(フタレートカーボネート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコール、およびビフェノールAを含有するポリカーボネートポリオール);炭化水素ポリオール(例えば、水素末端化液体イソプレンゴム(LIR)、ヒドロキシ末端化ポリブタジエンポリオール、ヒドロキシ末端化ポリオレフィンポリオール、およびヒドロキシ末端化炭化水素ポリオール);およびこれらの組み合わせを含む。ポリオールの炭化水素鎖は飽和または不飽和結合、または置換または非置換の芳香族または環状基を有することができる。適切な硬化剤は、これに限定されないが、ヒドロキシ末端化硬化剤、アミン末端化硬化剤、およびこれらの組み合わせを含む。硬化剤は、飽和していても、不飽和であっても良い。適切な硬化剤の非限定的な例は、1,4−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;1,2−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール;プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−メチル−1,4−ブタンジオール;エチレングリコール;ジエチレグリコール;ポリエチレングリコール;レゾルシノール−ジ(ベータ−ヒドロキシル)エーテルおよびその誘導体;ヒドロキノン−ジ(ベータ−ヒドロキシル)エーテル;2−プロパノール−1,1'−フェニルアミノビス;トリメチロールプロパン;4,4'−メチレンビス(2−クロロアニリン);3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン;4,4'−メチレンビス(2−エチルアニリン);4,4'−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,3−ビス−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)ベンゼン;1,2−ビス(sec−ブチルアミノ)ベンゼン;3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン;テトラ−(2−ヒドロキシルプロピル)−エチレンジアミン;N,N'−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゼン;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;4,4'−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン);1,4−シクロヘキシルジメチロール;2−メチルペンタメチレンジアミン;ジアミノシクロヘキサンのアイソマーおよび混合物;シクロヘキサンビス(メチルアミン)のアイソマーおよび混合物;ポリテトラメチレンエーテルグリコールのアイソマーおよび混合物;シクロヘキシルジメチロールのアイソマーおよび混合物;トリイソプロパノールアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;ジプロピレントリアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;ジエチレングリコールビス−(アミノプロピル)エーテル;イミド−ビス−(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;N,N'−ジイソプロピル−イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキシドに基づくトリアミン;3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノシクロヘキシルメタン;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;グリセロール;1,3−ビス−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;N,N,N',N'−テトラ−(2−ヒドロキシルプロピル)−エチレンジアミン;エチレンジアミン;ヘキサエチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4'−ビス(sec−ブチルアミノ)ジシクロヘキシルメタンおよびその誘導体;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4'−ジシクロヘキシルメタンジアミン;およびこれらの組み合わせを含む。
【0020】
適切なポリウレタンおよびポリ尿素は、例えば、米国特許第5,334,673号、同第5,484,870号、同第6,506,851号、同第6,528,578号、同第6,756,436号、同第6,835,794号、同第6,867,279号、同第6,960,630号、同第7,105,623号および同第7,148,278号;米国特許出願公開第2012/0100935号、同第2012/0015758号、および同第2007/0117923号;および米国特許出願13/534,264号(Michalewich)にさらに開示され、それらの内容は参照してここに組み入れる。
【0021】
[ゴルフボール構造]
この発明のゴルフボールは、3以上の熱可塑性中間層に封入された熱可塑性コアと封入されたコアの回りに配されたカバーとを有する。
【0022】
コアは、同一または異なる熱可塑性材料から形成された単一または多層コアである。具体的な実施例では、コアは以下の特性の中の1または複数を伴う。
(a)各コア層はアイオノマー組成物から形成され、好ましくは、組成物中の酸基のすべてのうち少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%が中和されているHNP組成物から生成された少なくとも1つの層を含む。
(b)全体としてのコアの圧縮が、90以下、または90未満、75以下、または75未満、または60以下、または60未満、または50以下、または50未満、または40以下、または40未満、または30以下、または30未満、または20以下、または20未満、あるいは、全体としてのコアの圧縮が、下限が10、または20、または30、または35、または40で、上限が50、または60、または70、または80、または90の範囲内である。
(c)全体としてのコアの直径が、0.75インチ以上、0.80インチ以上、0.90インチ以上、1.00インチ以上、0.115インチ以上、1.25インチ以上、1.30インチ以上、1.35インチ以上、あるいは、全体としてのコアの直径が、下限が0.50インチ、または0.75インチ、または0.80インチ、または0.90インチ、または1.00インチ、または1.10インチ、または1.15インチ、または1.20インチ、または1.25インチ、または1.30インチ、または1.35インチで、上限が1.35インチ、または1.39インチ、または1.40インチ、または1.45インチ、または1.48インチ、または1.50インチ、または1.55インチ、または1.58インチ、または1.60インチの範囲内である。
(d)各コア層の材料硬度が、65ショアD未満、または63ショアD以下、または63ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または57ショアD以下、または57ショアD未満である。
【0023】
コアは少なくとも3つの熱可塑性中間層に包囲され、これは柔らかで厚い層、第1の硬くて薄い層、および第2の硬くて薄い層を含む。1実施例において、柔らかくて厚い中間層は第1の硬くて薄い中間層および第2の硬くて薄い中間層の間に配される。他の実施例において、第1の硬くて薄い中間層が、柔らかで厚い中間層および第2の硬くて薄い中間層の間に配される。
【0024】
柔らかで厚い中間層の材料硬度は、硬くて薄い層の各々の材料硬度より小さく、柔らかで厚い中間層の厚さは、硬くて薄い層の各々の厚さより小さい。柔らかで厚い中間層は典型的には材料硬度が65ショアD以下の組成物から形成される。具体的な実施例において、柔らかで厚い中間層は、材料硬度が65ショアD未満、または63ショアD以下、または63ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または59ショアD以下、または59ショアD未満、または57ショアD以下、または57ショアD未満の組成物から形成される。この実施例の具体的な側面において、柔らかで厚い中間層は、組成物中のすべての酸基の中の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%が中和されている、HNP組成物から形成される。具体的な実施例において、柔らかで厚い中間層の厚さは、下限が0.025インチ、または0.030インチ、または0.035インチ、または0.040インチ、または0.045インチ、または0.050インチ、または0.060インチ、または0.070インチ、または0.075インチで、上限が0.075インチ、または0.080インチ、または0.085インチ、または0.090インチ、または0.100インチ、または0.110インチ、または0.120インチ、または0.125インチの範囲内である。
【0025】
硬く薄い中間層は、典型的には、材料硬度が60ショアD以上の組成物から形成される。1つの硬く薄い中間層の材料硬度は他の硬く薄い中間層の材料硬度と同一でも異なってもよい。具体的な実施例において、硬く薄い層の各々の材料硬度は、60ショアD以上、または60ショアDより大きく、または63ショアD以上、または63ショアDより大きく、65ショアD以上、または65ショアDより大きく、69ショアD以上、または69ショアDより大きく、または70ショアD以上であり、あるいは、当該各々の材料硬度は、下限が、60または63または65または67または69または70ショアDであり、上限が70または73または75または78または80ショアDの範囲内である。この実施例の具体的な側面では、第1の硬く薄い中間層は第2の硬く薄い中間層に包囲され、第2の硬く薄い中間層の材料硬度は第1の硬く薄い中間層の材料硬度より大きく、第1および第2の硬く薄い中間層の材料硬度の差は、少なくとも1ショアD、または少なくとも2ショアD、または少なくとも3ショアD、または少なくとも5ショアDである。この実施例の他の側面では、第1の硬く薄い中間層は柔らかで厚い中間層に包囲され、この柔らかで厚い中間層が第2の硬く薄い中間層に包囲され、第2の硬く薄い中間層の材料硬度は第1の硬く薄い中間層の材料硬度より大きく、第1および第2の硬く薄い中間層の材料硬度の差は、少なくとも1ショアD、または少なくとも2ショアD、または少なくとも3ショアD、または少なくとも5ショアDである。
【0026】
一方の硬く薄い中間層を形成するための組成物は、他方の硬く薄い中間層を形成するための組成物と同一でも異なっても良い。具体的な実施例において、硬く薄い中間層の各々は、組成物中のすべての酸基のうちの80%未満、または75%以下、または75%未満、または70%以下、または70%未満、または65%以下、または65%未満、または50%以下、または50%未満が中和されているアイオノマー組成物から独立に選択された組成物から形成される。
【0027】
一方の硬く薄い中間層の厚さは他方の硬く薄い中間層の厚さと同一でも異なっていても良い。硬く薄い中間層の各々の厚さは0.010インチから0.070インチである。具体的な実施例において、硬く薄い中間層の各々の厚さは、下限が0.010インチ、または0.015インチ、または0.020インチ、または0.025インチ、または0.030インチで、上限が0.040インチ、または0.050インチ、または0.070インチの範囲内である。
【0028】
コアおよび中間層は単一または多層のカバーによって包囲される。各カバー層はここで開示されたような熱可塑性または熱硬化性材料にから形成される。具体的な実施例において、カバーは、熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン−尿素ハイブリッドから形成される最も外側の層を含む。熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン−尿素ハイブリッドは、好ましくは、鋳造可能または反応性射出成型可能な熱可塑性組成物である。鋳造可能な反応性材料を使用すると、流体状態で塗布したときに、極めて薄い外側カバー層を実現することができる。ウレタンエラストマー材料を形成するために採用される鋳造可能な反応性液体は、この分野で周知のスプレイ、ディッピング、スピンコート、またはフローコート法のような種々の塗布技術を用いてゴルフボールサブアッセンブリ(すなわち中間層で包囲されたコア)の回りに塗布できる。薄いポリウレタン外側カバー層を形成するために適した非制限的な技術は米国特許第5,733,428号、同第5,006,297号、同第5,334,673号、および同第8,202,176号に開示されており、これらの内容は参照してここに組み入れる。外側カバーは、好ましくは、ゴルフボールサブアッセンブリの回りに、材料を混合して金型反対に導入することにより形成される。その時間に渡って粘度が測定されて、各金型反対に充填し、ゴルフボールサブアッセンブリを一方の反対に導入し、金型を閉じるという後続のステップが適切にタイミング付けられてゴルフボールサブアッセンブリの芯出し、カバー反対の融合、全体の一様性が実現されるようにする。コアを金型反対に導入するために適した硬化用ウレタンミックスの粘度の範囲は、およそ、約2000cPおよび約30000cPの間であると判断され、好ましい範囲は約8000cPから約15000cPである。成型(モールド)の他の方法は反応性射出成型(RIM)であり、この場合、2つの液体成分が予め位置決めされたコアを保持するモールド中に射出される。液体成分は反応してソリッドの、熱硬化性ポリマー組成物、典型的にはポリウレタンまたはポリ尿素を形成する。

【0029】
カバーの全体の厚さは典型的には0.010インチから0.500インチである。具体的な実施例において、カバーの全体の厚さは、下限が0.010または0.020または0.025または0.030または0.035または0.040または0.045インチで、上限が0.050または0.060または0.070または0.075または0.080または0.090またtは0.100または0.150または0.200または0.300または0.500インチの範囲内である。他の具体的な実施例において、カバーは、厚さが0.025インチから0.035インチの単一層である。他の具体的な実施例において、カバーは熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン−尿素ハイブリッドから形成され、厚さが0.025インチから0.035インチの外側カバー層を有する。
【0030】
1実施例において、この発明は、
熱可塑性コアを有し、これが、
第1の硬く薄い熱可塑性中間層に包囲され、これが、
柔らかで厚い熱可塑性中間層に包囲され、これが、
第2の硬く薄い熱可塑性中間層に包囲され、これが
外側カバー層に包囲されているゴルフボールに向けられている。
【0031】
他の実施例において、この発明は、
熱可塑性コアを有し、これが、
柔らかで厚い熱可塑性中間層に包囲され、これが、
第1の硬く薄い熱可塑性中間層に包囲され、これが、
第2の硬く薄い熱可塑性中間層に包囲され、これが
外側カバー層に包囲されているゴルフボールに向けられている。
【0032】
上述の実施例の具体的な側面において、コアは、アイオノマー組成物、具体的にはHNP組成物から形成されてその圧縮が60以下でその直径が1.20インチから1.50インチである単一層である。上述の実施例の他の具体的な側面において、コアは内側コア層および外側コア層を有する二重コアであり、ここで、内側コア層および外側コア層が、部分的に中和されたアイオノマーから独立して選択された異なるアイオノマー組成物から形成され、二重コアの全体の圧縮が60以下であり、二重コアの全体の直径が1.20インチから1.50インチである。
【0033】
上述の実施例の他の具体的な側面において、第1および第2の硬く薄い中間層は同一または異なる熱可塑性組成物から形成され、第1および第2の硬く薄い中間層の各々は以下から独立して選択された1以上の特性を有する。
(a)当該層は、アイオノマーが、O/X−およびO/X/Y型の酸コポリマーの円から選択され、当該酸コポリマーは、酸コポリマーの総重量を基準にして少なくとも10wt%、または少なくとも15wt%の酸含量を有する。
(b)組成物中に存在するすべての酸の80%未満がカチオン源で中和され、カチオン源は、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウムのそれぞれの塩、およびこれらの2つ以上の組み合わせである。
(c)組成物中に存在するすべての酸の80%未満がカチオン源で中和され、カチオン源は、亜鉛/ナトリウムである。
(d)組成物中に存在するすべての酸の80%未満がカチオン源で中和され、カチオン源は、ナトリウム/リチウムである。
(e)当該層は、Surlyn(商標)7940/Surlyn(商標)8940のブレンドを有し、オプションとしてメルトフロー修正剤を含む組成物から形成される。
(f)当該層は、第1の高酸アイオノマーおよび第2の高酸アイオノマーのブレンドを有し、第1の高酸アイオノマーが第2の高酸アイオノマーのカチオンと異なるカチオンで中和され(例えばSurlyn(商標)8150およびSurlyn(商標)9150の50/50ブレンド)、オプションとして、アイオノマー、エチレン−酸コポリマー、またはエステルターポリマーのような1または複数のメルトフロー修正剤を含む組成物から形成される。
(g)当該層の材料硬度は60ショアD以上、またはその材料硬度は63ショアDから80ショアDである。
(h)当該層の厚さは下限が0.010インチ、または0.025インチで、上限が0.040インチ、または0.070インチの範囲である。
【0034】
Surlyn(商標)8150、Surlyn(商標)8940、およびSurlyn(商標)8140は、酸基がナトリウムイオンで部分的に中和されているE/MAAコポリマーの異なるグレードである。Surlyn(商標)9650、Surlyn(商標)9910、Surlyn(商標)9150、およびSurlyn(商標)9120は、酸基が亜鉛イオンで部分的に中和されているE/MAAコポリマーの異なるグレードである。Surlyn(商標)7940は、酸基がリチウムイオンで部分的に中和されているE/MAAコポリマーである。Surlyn(商標)6320は、中間的な酸含量を伴い、低モデュラスのマグネシウムアイオノマーである。Nucrel(商標)960は、名目上、15wt%のメタクリル酸を伴って製造されたE/MAAコポリマーである。Surlyn(商標)、Fusabond(商標)、およびNucrel(商標)コポリマーは、E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能である。
【0035】
上述の実施例の他の具体的な側面において、柔らかく厚い中間層はHNP組成物から形成され、ここで、組成物中に存在するすべての酸基の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも950%、または少なくとも99%が中和され、その厚さは0.030インチから0.090インチであり、その材料硬度は60ショアD未満である。
【0036】
上述の実施例の他の具体的な側面において、カバーは単一層であり、好ましくは、鋳造可能または反応性射出成型可能な熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素のコポリマーまたはハイブリッドから形成され、また、好ましくは、その表面硬度は60ショアD以下であり、材料硬度は60ショアD以下であり、厚さは、下限が0.010または0.015または0.020または0.025インチで上限が0.035または0.040または0.050インチの範囲である。
【0037】
この発明のゴルフボールの全体のボール圧縮は50から120である。具体的な実施例において、この発明は、全体の圧縮が、下限が50または60または70または80で上限が105または110または115または120の範囲であるゴルフボールを実現する。
【0038】
この発明のゴルフボールの全体の反発係数(COR)は0.750以上である。具体的な実施例において、この発明は、全体のCORが0.750以上、または0.750より大きく、または0.790以上、または0.790より大きく、または0.800以上、または0.800より大きいゴルフボールを実現する。
【0039】
この開示の目的において、「圧縮」はAtti圧縮を指し、既知の手順に従って、デジタルAtti圧縮試験装置を用いて測定され、ここで、ピストンを用いてバネに抗してボールを圧縮する。Atti圧縮からRiehle圧縮(コア)、Riehle(ボール)、100kg偏位、130−10kg偏位または有効モヂュラスへの変換は、Jeff Dalton、Compression by Any Other Name、Science and Golf IV、Proceedings of the World Scientific Congress of Golf(Eric Thain ed. Routedge、2002)内に与えられた式に従って実行できる。
【0040】
この開示の目的において、CORは既知の手法により決定され、ここで、球体が空気砲から2つの所定の速度で打ち出され、125ft/sの速度でのCORを計算する。球体の速度を測定するために複数の弾道光スクリーンが固定距離で空気砲およびスチール板の間に配置される。球体がスチール板へ移動するときに、各光スクリーンが活性化され、各光スクリーンにおける時間を測定する。これにより、球体の入射速度に反比例した入射移行時間が得られる。球体はスチール板と衝突して複数の光スクリーンを通り抜けてリバウンドし、これが光スクリーン間を移行するのに要する時間間隔を測定する。これにより、球体の飛び出し速度に逆比例した飛び出し移行時間が得られる。そしてCORは飛び出し移行時間間隔の入射移行時間間隔に対する比、COR=Vout/Vin=Tout/Tinとして計算される。
【0041】
この開示の目的において、ゴルフボール層の表面硬度は、対向する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。コアは曲面なので、表面硬度が読み取られる前に球体をデュロメータインデンタの真下に中心づけられるように球体を扱う必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータをすべての硬度測定に用い、最大の読みが得られた後1秒後に硬度の読みを取得するように設定した。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし自動スタンドの基部に取り付け、デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
【0042】
この開示の目的において、材料硬度はASTM D2240に従って測定され、材料から製造された平らな「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定することに一般的に関連する。ゴルフボール(または他の球面)の表面で直接に測定されるような硬度は、典型的には異なる硬度値をもたらす。硬度値におけるこの相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の材料組成物のようないくつかの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、従って、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。
【0043】
数値下限および数値上限がここで示されるときには、これらの値に任意の組み合わせが採用できると理解されたい。
【0044】
ここに引用した全ての特許、刊行物、テスト手順書、および他の参考文献は、さらに優先権ドキュメントも含んで、参照してここに組み入れる。ただし、それは、そのような開示がこの発明と一貫性を有する範囲であり、そのような参照による組み込みを法令が許容する範囲である。
【0045】
この発明の事例的な実施例が具体的に説明されたが、この発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の他の変形例が当業者に明らかであり、また当業者が容易になすことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲のスコープが上述した例や記載に限定されず、むしろ、特許請求の範囲は、この発明中に内在する特許性のある新規な特徴のすべてを包括するように構成されていることが意図されており、これは当業者が均等として扱うすべての特徴を含む。
以下、ここで説明した技術的特徴について列挙する。
[技術的特徴1]
直径が0.900インチから1.550インチで、圧縮が90以下の熱可塑性コアと、
厚さが0.010インチから0.070インチで材料硬度が60ショアDから80ショアDの第1の熱可塑性中間層と、
厚さが0.025インチから0.125インチで材料硬度が65ショアD以下の第2の熱可塑性中間層と、
厚さが0.010インチから0.070インチで材料硬度が60ショアDから80ショアDの第3の熱可塑性中間層と、
カバーとを有し、
上記第2の熱可塑性中間層の材料硬度が上記第1および上記第3の熱可塑性中間層の材料硬度より小さいことを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴2]
上記第1の中間層および上記第3の中間層は、E/X/Y型のコポリマーであって、Eがエチレンであり、Xが上記コポリマーの総重量を基準にして10から20wt%だけ存在するC−Cα,βエチレン系不飽和カルボン酸であり、Yが上記コポリマーの総重量を基準にして0から50wt%だけ存在するアルキルアクリレートまたはアリルアクリレートから選択されたアクリレートである上記E/X/Y型のコポリマーを有する部分的に中和されたアイオノマー組成物から、独立して選択された熱可塑性組成物から各々形成され、上記組成物中に存在する酸の80%未満が金属イオン源により中和される技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴3]
上記第2の中間層は、E/X/Y型のコポリマーであって、Eがエチレンであり、Xが上記コポリマーの総重量を基準にして10から20wt%だけ存在するC−Cα,βエチレン系不飽和カルボン酸であり、Yが上記コポリマーの総重量を基準にして0から50wt%だけ存在するアルキルアクリレートまたはアリルアクリレートから選択されたアクリレートである上記E/X/Y型のコポリマーを有する高度に中和された熱可塑性組成物から形成され、上記組成物中に存在する酸の80%以上が金属イオン源により中和される技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴4]
上記コアはソリッド、単一層コアである技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴5]
上記コアの圧縮は60以下である技術的特徴4記載のゴルフボール。
[技術的特徴6]
上記コアは、第1の熱可塑性コア組成物から形成された内側コア層と第2の熱可塑性コア組成物から形成された外側コア層とを有する技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴7]
上記コアの全体の圧縮は60以下である技術的特徴6記載のゴルフボール。
[技術的特徴8]
上記第2の中間コア層の厚さは、上記第1の熱可塑性中間層の厚さおよび上記第3の熱可塑性中間層の厚さより大きい技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴9]
上記第1の熱可塑性中間層の厚さは0.025インチから0.040インチであり、上記第2の熱可塑性中間層の厚さは0.035インチから0.075インチであり、上記第3の熱可塑性中間層の厚さは0.025インチから0.040インチである技術的特徴8記載のゴルフボール。
[技術的特徴10]
上記第2の熱可塑性中間層の表面硬度は、上記第1の熱可塑性中間層の表面硬度より小さく、上記第1の熱可塑性中間層の表面硬度は、上記第3の熱可塑性中間層の表面硬度より小さい技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴11]
直径が0.900インチから1.550インチで、圧縮が90以下の熱可塑性コアと、
厚さが0.025インチから0.125インチで材料硬度が65ショアD以下の第1の熱可塑性中間層と、
厚さが0.010インチから0.070インチで材料硬度が60ショアDから80ショアDの第2の熱可塑性中間層と、
厚さが0.010インチから0.070インチで材料硬度が60ショアDから80ショアDの第3の熱可塑性中間層と、
カバーとを有し、
上記第3の熱可塑性中間層の材料硬度が上記第2の熱可塑性中間層の材料硬度より大きく、
上記第2の熱可塑性中間層の材料硬度が上記第1の熱可塑性中間層の材料硬度より大きいことを特徴とするゴルフボール。
[技術的特徴12]
上記第1の中間層は、E/X/Y型のコポリマーであって、Eがエチレンであり、Xが上記コポリマーの総重量を基準にして10から20wt%だけ存在するC−Cα,βエチレン系不飽和カルボン酸であり、Yが上記コポリマーの総重量を基準にして0から50wt%だけ存在するアルキルアクリレートまたはアリルアクリレートから選択されたアクリレートである上記E/X/Y型のコポリマーを有する高度に中和された熱可塑性組成物から形成され、上記組成物中に存在する酸の80%以上が金属イオン源により中和される技術的特徴11記載のゴルフボール。
[技術的特徴13]
上記第2の中間層および上記第3の中間層は、E/X/Y型のコポリマーであって、Eがエチレンであり、Xが上記コポリマーの総重量を基準にして10から20wt%だけ存在するC−Cα,βエチレン系不飽和カルボン酸であり、Yが上記コポリマーの総重量を基準にして0から50wt%だけ存在するアルキルアクリレートまたはアリルアクリレートから選択されたアクリレートである上記E/X/Y型のコポリマーを有する部分的に中和されたアイオノマー組成物から、独立して選択された熱可塑性組成物から各々形成され、上記組成物中に存在する酸の80%未満が金属イオン源により中和される技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴14]
上記コアはソリッド、単一層コアである技術的特徴1記載のゴルフボール。
[技術的特徴15]
上記コアの圧縮は60以下である技術的特徴14記載のゴルフボール。
[技術的特徴16]
上記コアは、第1の熱可塑性コア組成物から形成された内側コア層と第2の熱可塑性コア組成物から形成された外側コア層とを有する技術的特徴11記載のゴルフボール。
[技術的特徴17]
上記コアの全体の圧縮は60以下である技術的特徴16記載のゴルフボール。
[技術的特徴18]
上記第1の中間コア層の厚さは、上記第2の熱可塑性中間層の厚さおよび上記第3の熱可塑性中間層の厚さより大きい技術的特徴11記載のゴルフボール。
[技術的特徴19]
上記第1の熱可塑性中間層の厚さは0.035インチから0.075インチであり、上記第2の熱可塑性中間層の厚さは0.025インチから0.040インチであり、上記第3の熱可塑性中間層の厚さは0.025インチから0.040インチである技術的特徴18記載のゴルフボール。
[技術的特徴20]
上記第3の熱可塑性中間層の表面硬度は、上記第2の熱可塑性中間層の表面硬度より小さく、上記第2の熱可塑性中間層の表面硬度は、上記第1の熱可塑性中間層の表面硬度より小さい技術的特徴1記載のゴルフボール。