特許第5882284号(P5882284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882284
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】複合調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/00 20060101AFI20160225BHJP
   F24C 11/00 20060101ALI20160225BHJP
   F24C 15/18 20060101ALI20160225BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20160225BHJP
   F24C 15/02 20060101ALI20160225BHJP
   F24C 15/16 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   F24C7/00 A
   F24C11/00 Z
   F24C15/18 E
   F24C1/00 360G
   F24C1/00 370A
   F24C15/02 D
   F24C15/16 F
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-216786(P2013-216786)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-78801(P2015-78801A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 慎
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇雄
(72)【発明者】
【氏名】増田 久士
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−123174(JP,U)
【文献】 実開昭51−057872(JP,U)
【文献】 実開昭56−047403(JP,U)
【文献】 特開2006−038300(JP,A)
【文献】 特開2005−221081(JP,A)
【文献】 特開昭56−146933(JP,A)
【文献】 実開昭57−163518(JP,U)
【文献】 米国特許第04716884(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/00
F24C 1/00
F24C 11/00
F24C 15/02
F24C 15/16
F24C 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板より上方に被調理物を配置して加熱調理を行うコンロと、オーブンと、を備える複合調理器であって、
前記オーブンは、前記天板より下方で加熱調理のための熱を発生させる発熱部と、
天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部を有するとともに前記天板上に配置された底部より上方において被調理物を加熱調理可能な加熱庫と、
前記天板より下方に設けられ、前記発熱部で発生した気体を前記発熱部と前記加熱庫との間で循環させるファンと、
前記加熱庫の底部に設けられ前記気体を前記ファンにより前記発熱部と前記加熱庫との間で吸気する吸気口と排気する排気口と、
前記上壁部及び少なくとも1つの前記側壁部に設けられ可視光線が透過可能な透明部を備えることを特徴とする複合調理器。
【請求項2】
前記加熱庫は、前記天板よりも上方において側方に向けて開口する開口部と、前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で前記天板に沿ってスライド移動可能な開閉蓋と、前記開閉蓋の開閉に伴ってスライドするオーブン皿とを有し、
前記開閉蓋が閉位置にあるときは、前記オーブン皿が前記吸気口の吸気及び排気口の排気を妨げない位置に配置され、
前記開閉蓋が前記閉位置から前記開位置へ向けてスライド移動するのに伴って、
前記オーブン皿が前記加熱庫の中から外に向けて移動し、
前記開閉蓋が前記開位置から前記閉位置へ向けてスライド移動するのに伴って、被調理物を載せるオーブン皿が前記加熱庫の外から中に向けて移動することを特徴とする請求項1に記載の複合調理器。
【請求項3】
前記加熱庫の天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合調理器。
【請求項4】
前記加熱庫の天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部の全体が透明部として構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複合調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ及びオーブンを備える複合調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合調理器として、バーナを具備してワークトップに配設されたコンロ部と、ワークトップの下に配置されたオーブンとを備えるガスレンジがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−26462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したオーブンはワークトップの下に配置されているために、調理作業をかがみ込んだ状態で行わなければならず、調理作業がしにくい、という課題がある。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、調理作業がしやすい複合調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する複合調理器は、天板と、前記天板より上方に被調理物を配置して加熱調理を行うコンロと、オーブンと、を備える複合調理器であって、前記オーブンは、前記天板より下方で加熱調理のための熱を発生させる発熱部と、天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部を有するとともに前記天板上に配置された底部より上方において被調理物を加熱調理可能な加熱庫と、前記天板より下方に設けられ、前記発熱部で発生した気体を前記発熱部と前記加熱庫との間で循環させるファンと、前記加熱庫の底部に設けられ前記気体を前記ファンにより前記発熱部と前記加熱庫との間で吸気する吸気口と排気する排気口と、前記上壁部及び少なくとも1つの前記側壁部に設けられ可視光線が透過可能な透明部を備える。
【0006】
この構成によれば、オーブンは天板より上方において被調理物を加熱調理可能な加熱庫を備えるので、かがみ込むことなく、天板上で調理作業を行うことができる。すなわち、コンロにおける加熱調理に加えて、オーブンにおける加熱調理も天板上で行うことができるため、調理作業がしやすい。また、発熱部は天板より下方に配置されるので、発熱部を天板上に配置する場合と比較して、複合調理器の美観が損なわれにくい。
【0007】
さらに、この構成によれば、加熱庫の上壁部及び少なくとも1つの側壁部は透明部を有するので、加熱庫内の様子を多面的に視認することができる。また、透明部は上壁部を含む少なくとも2つの壁部に設けられて、天板よりも上方に配置されているので、かがみ込むことなく加熱庫内を容易に視認することができ、調理作業がしやすい。
【0008】
上記複合調理器において、前記加熱庫は、前記天板よりも上方において側方に向けて開口する開口部と、前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で前記天板に沿ってスライド移動可能な開閉蓋と、前記開閉蓋の開閉に伴ってスライドするオーブン皿とを有し、前記開閉蓋が閉位置にあるときは、前記オーブン皿が前記吸気口の吸気及び排気口の排気を妨げない位置に配置され、前記開閉蓋が前記閉位置から前記開位置へ向けてスライド移動するのに伴って、前記オーブン皿が前記加熱庫の中から外に向けて移動し、前記開閉蓋が前記開位置から前記閉位置へ向けてスライド移動するのに伴って、被調理物を載せるオーブン皿が前記加熱庫の外から中に向けて移動するのが好ましい。
【0009】
この構成によれば、天板上でオーブン皿に加熱調理前の被調理物を載置した後、開閉蓋を開位置から閉位置にスライド移動させることで、オーブン皿を持ち運ぶことなく加熱庫に入れることができるので、操作性がよく、調理作業がしやすい。また、開閉蓋が閉位置にあるときは、オーブン皿が吸気口の吸気及び排気口の排気を妨げない。また、加熱調理後には、開閉蓋を閉位置から開位置にスライド移動させることで、加熱されたオーブン皿に直接触れることなく、オーブン皿を加熱庫内から取り出したり、天板上でオーブン皿から被調理物を取り出したりすることができるので、操作性がよく、調理作業がしやすい。
【0010】
上記複合調理器において、前記加熱庫の天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部が一体に形成されているのが好ましい。
【0011】
上記複合調理器において、前記加熱庫の天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部の全体が透明部として構成されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、調理作業がしやすい複合調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の複合調理器の正面図。
図2】同複合調理器の斜視図。
図3】同複合調理器が備えるオーブンの加熱庫の断面図。
図4】同加熱庫の上面図。
図5】開閉蓋を開いた加熱庫の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、コンロ及びオーブンを備える複合調理器の実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の複合調理器11は、天板15と、オーブン100と、バーナ201を有するとともに天板15より上方に被調理物を配置して加熱調理を行うコンロ200とを備えるガスレンジである。
【0015】
複合調理器11は、天板15の鉛直方向下方に配置される筐体部12と、支持脚部13と、筐体部12及び支持脚部13に支持される配管部14と、配管部14とを備えている。なお、複合調理器11は、天板15が壁面等に接していないアイランド型にするのが好ましい。
【0016】
天板15上には、筐体部12の上方となる位置にオーブン100の加熱庫101が配置されているとともに、コンロ200のバーナ201が天板15の長手方向に沿って並ぶように複数配置されている。なお、本実施形態において、天板15の長手方向(図1では左右方向)を幅方向という一方、天板15の短手方向(図1では紙面と直交する方向)を奥行き方向ということがある。
【0017】
コンロ200は、被調理物を入れた鍋等の加熱対象物を載置するための五徳300を備えている。なお、本実施形態において、天板15上には3つのバーナ201が配置されているが、天板15上に配置するバーナ201の数は任意に変更することができる。また、バーナ201は、天板15より下に配置されて、炎が内向きに燃焼する内炎式であってもよい。
【0018】
筐体部12内には、天板15より下方で加熱調理のための熱を発生させる発熱部102と、発熱部102で発生した気体を発熱部102と加熱庫101との間で循環させるファン103と、バーナ201に燃料となるガスを供給するためのガス供給部202とが収容されている。
【0019】
発熱部102は、熱を発生させるために、例えばガスなどを燃焼させて、燃焼ガスを発生させる。発熱部102で発生した燃焼ガスは、ファン103の駆動によって加熱庫101と発熱部102との間で循環する。なお、発熱部102には、適宜、燃焼用の空気が外部から供給される。そのため、加熱庫101と発熱部102との間で循環する燃焼ガスは、外部から供給される空気の分、循環する経路の外に排出される。また、ガス供給部202からバーナ201へは、配管部14内に設けられた管路203を通じてガスが供給される。
【0020】
加熱庫101は、天井面を形成する上壁部110及び上壁部110を支持する複数の側壁部111,112,113を有している。なお、側壁部111,112,113のうち、図1における奧側に位置して幅方向に延びる壁部を後壁部111とする。そして、本実施形態において、側壁部112,113は幅方向において下端側が上端側よりも上壁部110から離間するように傾斜するとともに、上壁部110との接続部分が湾曲面を形成するように、上壁部110と一体形成するのが好ましい。
【0021】
図2に示すように、加熱庫101は、天板15上に配置される底部104と、天板15よりも上方において側方(本実施形態では前方)に向けて開口する開口部114と、開口部114を覆う閉位置(図2に示す位置)と開口部114を開放する開位置(図5に示す位置)との間で天板15に沿ってスライド移動可能な開閉蓋115とを有している。
【0022】
開閉蓋115は、閉位置において、上壁部110及び側壁部112,113と接する側壁部115(前壁部115)を構成する。そして、加熱庫101の上壁部110と、上壁部110と接する側壁部111,112,113,115は、可視光線が透過可能な透明部130になっている。
【0023】
図3に示すように、加熱庫101の上壁部110及び側壁部111,112,113,115は、厚さ方向に重なる複数の板部材Boと、厚さ方向に重なる2つの板部材Boの間に形成される中間層Laとからなる複層構造を有するのが好ましい。そして、板部材Boとして、例えば耐熱性を有するガラスなどの透明の材料を用いることで、壁部110,111,112,113,115は透明部130を構成する。
【0024】
なお、本実施形態において、壁部110,111,112,113及び開閉蓋115を構成するために厚さ方向に重ねる板部材Boの数は2枚であるが、厚さ方向に重ねる板部材Boの数は任意に変更できる。また、厚さ方向に重なる2つの板部材Boの間に形成される中間層Laには、空気等の気体を封入してもよいし、真空状態にしてもよいが、中間層Laは板部材Boよりも断熱性を高くするのが好ましい。
【0025】
開閉蓋115には、閉位置において加熱庫101の外に配置される外面側に、前方に向けて突出する把持部116が取り付けられている。また、開閉蓋115には、閉位置において加熱庫101の中に配置される内面側に、閉位置において底部104の一部を構成する底板部117が設けられている。そして、底板部117には、被調理物を載せるオーブン皿118の外縁に設けられたフランジ部119を掛止可能な掛止部120が突設されている。
【0026】
図4に示すように、加熱庫101の底部104には、幅方向における一端側(図4では右端側)に、熱風を加熱庫101内に入れるための通気口105が側壁部112に沿って奥行き方向に並ぶように開口している。また、加熱庫101の底部104には、幅方向における他端側(図4では左端側)に、加熱庫101内の排気を行うための複数の排気口106が側壁部113に沿って奥行き方向に並ぶように開口している。
【0027】
次に、本実施形態の複合調理器11の作用について説明する。
複合調理器11のオーブン100を用いて調理を行う場合には、例えば、天板15上で開閉蓋115の掛止部120に掛止されたオーブン皿118に加熱調理前の被調理物を盛りつける。そして、開閉蓋115を開位置から閉位置にスライド移動させることで、オーブン皿118を加熱庫101に入れる。
【0028】
発熱部102で発生した気体は、ファン103の駆動によって通気口105を通じて発熱部102から加熱庫101内に入り、オーブン皿118に載置された被調理物を加熱する。これにより、天板15より上方において被調理物が加熱調理される。このとき、加熱庫101を形成する壁部110,111,112,113,115は透明であるので、被調理物の調理具合を多面的に視認することが可能である。そして、加熱庫101内の気体は、排気口106を通じて加熱庫101の外に出た後、一部が発熱部102に環流して循環し、一部が発熱部102に環流せずに複合調理器11の外に排出される。
【0029】
調理が終了すると、把持部116を把持するなどして開閉蓋115を前方に引っ張ることによって、開閉蓋115を天板15に沿って閉位置から開位置にスライド移動させる。
すると、図5に示すように、開閉蓋115の掛止部120に掛止されたオーブン皿118が底部104に沿って前方に移動して、加熱庫101の外に出される。すなわち、加熱されたオーブン皿118に直接触れることなく、オーブン皿118が加熱庫101内から取り出される。
【0030】
さらに、加熱庫101は天板15上にあるので、オーブン皿118を持ち運ぶことなく、開閉蓋115とともに引き出したオーブン皿118から、天板15上に置いた皿等に被調理物を取り出す作業を行うことが可能である。
【0031】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)オーブン100は天板15より上方において被調理物を加熱調理可能な加熱庫101を備えるので、かがみ込むことなく、天板15上で調理作業を行うことができる。すなわち、コンロ200における加熱調理に加えて、オーブン100における加熱調理も天板15上で行うことができるため、調理作業がしやすい。
【0032】
(2)発熱部102は天板15より下方に配置されるので、発熱部102を天板15上に配置する場合と比較して、複合調理器11の美観が損なわれにくい。
(3)加熱庫101の上壁部110及び複数の側壁部111,112,113,115が透明部130であるので、加熱庫101内の様子を多面的に視認することができる。また、透明部130は上壁部110を含む2以上の壁部に設けられて、天板15よりも上方に配置されているので、かがみ込むことなく加熱庫101内を容易に視認することができ、調理作業がしやすい。
【0033】
(4)天板15上でオーブン皿118に加熱調理前の被調理物を盛りつけた後、開閉蓋115を開位置から閉位置にスライド移動させることで、オーブン皿118を持ち運ぶことなく加熱庫101に入れることができるので、操作性がよく、調理作業がしやすい。また、加熱調理後には、開閉蓋115を閉位置から開位置にスライド移動させることで、加熱されたオーブン皿118に直接触れることなく、オーブン皿118を加熱庫101内から取り出したり、天板15上でオーブン皿118から被調理物を取り出したりすることができるので、操作性がよく、調理作業がしやすい。
【0034】
(5)壁部110,111,112,113,115を構成する板部材Boと板部材Boとの間に中間層Laを配置することによって、加熱庫101の断熱性を高めることができる。これにより、天板15上においても加熱庫101内の温度を効率よく上げることができる一方で、加熱庫101の外面側の温度上昇を抑制することができる。したがって、天板15上においてオーブン100の加熱庫101とコンロ200とが並んでいる場合であっても、調理作業がしやすい。
【0035】
(6)上壁部110や側壁部111,112,113に透明部130を設けることによって、天板15の前側に回り込むことなく、側方や後方からも加熱庫101内を視認することができる。なお、壁部110,111,112,113,115の中間層Laを空気層または真空層にすることによって、可視光線が中間層Laを透過することができるので、複層構造からなる透明部130を実現することができる。
【0036】
(7)側壁部112,113は幅方向において下端側が上端側よりも上壁部110から離間するように傾斜しているとともに、上壁部110と側壁部112,113との接続部分は湾曲面を形成しているので、通気口105を通じて加熱庫101内に導入された熱風を加熱庫101内に効率よく行き渡らせることができる。これにより、加熱庫101内を均一に加熱することができる。また、湾曲した内壁面に沿って熱風が流動することによって、加熱庫101内にある被調理物に熱風が当たりやすくなるとともに、排気口106を通じて排気をスムーズに行うことができる。
【0037】
(8)開閉蓋115にはオーブン皿118を掛止可能な掛止部120が設けられているので、開閉蓋115を天板15に沿ってスライド移動させることによって、オーブン皿118を底部104に沿って移動させることができる。そして、オーブン皿118は開閉蓋115に対して着脱可能な構成になっているので、オーブン皿118を開閉蓋115から取り外すことによって、オーブン皿118及び開閉蓋115の洗浄等を容易に行うことができる。また、形状や素材などが異なるオーブン皿118を開閉蓋115に対して交換可能に取り付けることができる。
【0038】
なお、上記実施形態は、以下に示す変更例のように変更することも可能である。
・上記実施形態においては、複合調理器をガスレンジとしたが、オーブン100及びコンロ200において、被調理物を加熱するための熱源(燃料)はガスに限らない。例えば、複合調理器は熱源として電力を用いるものであってもよい。そして、コンロ200の熱源として電力を用いる場合には、バーナ201に替えて、例えば誘導加熱で鍋等を発熱させるIHヒーターや抵抗加熱で発熱するシーズヒーターなどを備えることができる。また、オーブン100の熱源として電力を用いる場合には、例えば発熱部102としてヒーターを備え、このヒーターによって加熱調理のための熱を発生させる。そして、発熱部102が燃焼を伴わずに熱を発生させる場合には、発熱部102で発生した気体の全部を加熱庫101と発熱部102との間で循環させてもよい。この構成によれば、発熱部102で発生した気体の排出による排熱を減少させて、効率よく加熱調理を行うことができる。
【0039】
・底板部117が掛止部120を備えず、開閉蓋115、底板部117及びオーブン皿118が一体となっていてもよい。この構成によれば、開閉蓋115のスライド移動とともに、オーブン皿118をより安定した状態で移動させることができる。また、開閉蓋115、底板部117及びオーブン皿118とともに、オーブン皿118を支持可能な支持部(例えば、通気口105及び排気口106を備えない底部104)が一体となってスライド移動可能な構成にしてもよい。こうした構成によれば、開閉蓋115とともに移動するオーブン皿118の傾きを抑制することができる。あるいは、開閉蓋115、底板部117及びオーブン皿118を支持可能な支持部が一体となってスライド移動可能な構成にする一方、オーブン皿118を別体に構成してもよい。
【0040】
・加熱庫101の上壁部110及び側壁部111,112,113,115が透明部130を備えなくてもよい。ただし、加熱庫101の壁部が透明部130を有する場合には、透明部130の面積が大きいほど加熱庫101内を視認しやすくなるし、透明部130を有する壁部が多いほど加熱庫101内を多面的に視認することができるので、好ましい。なお、加熱庫101内を多面的に視認するためには、透明部130を有する壁部が2つ以上あるのが好ましい。また、加熱庫101内をかがみ込むことなく視認するためには、少なくとも上壁部110が透明部130を有しているのが好ましい。したがって、加熱庫101において、上壁部110及び側壁部111,112,113,115の全てが透明部130でなくてもよいが、上壁部110及び少なくとも1つの側壁部が透明部130を有しているのが好ましい。またこの場合に、壁部の全体を透明部130にしなくてもよく、少なくとも一部に透明部130が形成されていればよい。
【0041】
また、複合調理器11は、長手方向における一端が壁面等に接するカウンター型、短手方向における一端が壁面等に接する壁付型、天板15が平面視L字状をなすL型など、天板15の形状や配置を任意に変更することができる。そして、天板15が壁面等に接する場合には、壁面等に対向しない側壁部に透明部130を設けるのが好ましい。また、側壁部に透明部130でない部分を設ける場合には、その透明部130でない部分に通気口105または排気口106を配置してもよい。
【0042】
・加熱庫101が奥行き方向に沿う側方である後方に開口する開口部114を有している場合には、後壁部111を開閉蓋とすることができるし、幅方向に沿う側方に開口する開口部114を有している場合には、側壁部112または側壁部113を開閉蓋とすることができる。すなわち、開閉蓋がスライド移動する方向は任意に変更することができる。
【0043】
また、側壁部111,112,113,115のうちの少なくとも1つを開閉蓋として、その開閉蓋の側端に回動軸を設け、開閉蓋が片開きまたは両開きの横開きとなるようにすることもできる。この構成を採用する場合には、開閉蓋に掛止部120を設けなくてもよい。
【0044】
・天板15に沿ってスライド移動可能な開閉蓋115を設ける替わりに、上壁部110が開閉部として機能するようにしてもよい。例えば、開閉部である上壁部110が側壁部111,112,113,115に対して着脱可能な構成にしたり、上壁部110の一端に回動軸を設けて、この回動軸を中心に上壁部110を回動させることによって開閉部が開くようにしてもよい。
【0045】
また、上壁部110と一体化された側壁部111,112,113,115が開閉部として機能するようにしてもよいし、4つの側壁部111,112,113,115のうち少なくとも1つと上壁部110とを一体化して、この一体化した部分が開閉部として機能するようにしてもよい。例えば、上壁部110と側壁部112,113とを一体形成して開閉部とした場合には、側壁部112の下端部に回動軸を設ければ、開閉部を回動させることによって、加熱庫101に載置したオーブン皿118を露出させることができる。
【0046】
さらに、上壁部110の後側部分と後壁部111とを一体化して第1の開閉部とする一方で、上壁部110の前側部分と前壁部115とを一体化して第2の開閉部とすることもできる。この場合には、2つの開閉部を後側と前側との両側に開くようにすることができる。
【0047】
これら構成によれば、開閉部が開くことによって開口する開口部を通じて、オーブン皿118を移動させることなく被調理物を加熱庫101に対して出し入れすることが可能になるので、天板15の奥行き長さを短くすることができる。また、この構成によれば、天板15の前方からだけでなく、後方や側方からも開閉部を開閉することができるので、特に複合調理器11をアイランド型やカウンター型にした場合に、操作性を向上することが可能になる。さらに、この構成によれば、開閉部を開くことによって加熱庫101の内壁の少なくとも一部を外部に露出させることができるので、加熱庫101内の清掃を容易に行うことが可能になる。
【0048】
また、加熱庫101の上側部分に開閉部を設ける場合には、加熱庫101の下側部分(例えば、底部104や側壁部の下側部分)を天板15に埋め込んだり、天板15より下方の筐体部12内に配置したりしてもよい。要するに、必ずしも加熱庫101の構成要素の全てが天板15より上方にある必要はなく、天板15より上方において被調理物を加熱調理可能であればよい。ただし、開閉部を天板15より上に配置すれば、加熱庫101内への被調理物の出し入れをかがみ込むことなく行うことができるため、より好ましい。
【0049】
・加熱庫101の壁部110,111,112,113,115の一部を複層構造にする一方で、その他の壁部は中間層Laを備えない単層構造にしてもよい。または、全ての壁部110,111,112,113,115を単層構造にしてもよい。ただし、開閉蓋115を複層構造にすることによって、開閉蓋115の外面側や把持部116の温度上昇を抑制することができるので、好ましい。また、通気口105に近い位置にある側壁部112を複層構造にすることによって、熱風があたる側壁部112の外面側の温度上昇を抑制することができる。
【0050】
・複合調理器11がグリルを備える構成としてもよい。
・天板15の下にキャビネットを設け、このキャビネット内に配管部14、発熱部102及びガス供給部202を収容するようにしてもよい。この構成を採用する場合には、支持脚部13を備えなくてもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態及び各変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)天板と、加熱庫を有するオーブンと、を備え、
前記加熱庫は、天井面を形成する上壁部及び前記上壁部と接する複数の側壁部を有し、
前記上壁部及び前記複数の側壁部のうちの一部が開閉部を構成するとともに、前記開閉部が前記天板よりも上方に配置されていることを特徴とする加熱調理器。
【0052】
この構成によれば、加熱庫の開閉部が天板よりも上方に配置されているので、加熱庫への被調理物の出し入れ作業等をかがみ込むことなく天板上で行うことができ、調理作業がしやすい。また、加熱庫内に配置したオーブン皿を移動させることなく被調理物を加熱庫に対して出し入れすることが可能になるので、天板の大型化を抑制することができる。加えて、この構成によれば、天板の前方からだけでなく、後方や側方などからも開閉部を開閉することが可能になるので、操作性を向上することが可能になる。さらに、この構成によれば、開閉部を開くことによって加熱庫の内壁の少なくとも一部を外部に露出させることができるので、加熱庫内の清掃を容易に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0053】
11…複合調理器、15…天板、100…オーブン、101…加熱庫、102…発熱部、103…ファン、104…底部、110,111,112,113,115…壁部、110…上壁部、111,112,113,115…側壁部、114…開口部、115…開閉蓋、118…オーブン皿、130…透明部、200…コンロ、Bo…板部材、La…中間層。
図1
図2
図3
図4
図5