(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882285
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】燃焼室の脈動を低減するためのダンパ配列
(51)【国際特許分類】
F23R 3/06 20060101AFI20160225BHJP
F23R 3/16 20060101ALI20160225BHJP
F23R 3/32 20060101ALI20160225BHJP
F23R 3/34 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
F23R3/06
F23R3/16
F23R3/32
F23R3/34
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-221374(P2013-221374)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-85108(P2014-85108A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2014年1月21日
(31)【優先権主張番号】12189685.6
(32)【優先日】2012年10月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ ルーベン ボティエン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン ヘラート
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ スフアマンス
【審査官】
佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/097982(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/136787(WO,A1)
【文献】
特開2004−205204(JP,A)
【文献】
特開平10−047679(JP,A)
【文献】
特開平06−307641(JP,A)
【文献】
特表2010−539438(JP,A)
【文献】
特開平06−323160(JP,A)
【文献】
特開2010−065694(JP,A)
【文献】
特表2004−509313(JP,A)
【文献】
特表2005−527761(JP,A)
【文献】
特開2007−132640(JP,A)
【文献】
特開2004−183943(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0228050(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(100)内に生じる燃焼室脈動を低減するためのダンパ配列において、
ガスタービンは、少なくとも1つの圧縮機(103)と、該圧縮機の下流に接続された一次燃焼器(101)とを備え、
該一次燃焼器の高温ガスは、少なくとも中間タービンへ、且つ二次燃焼器(102)へ提供され、該二次燃焼器の高温ガスは、別のタービンへ、又はエネルギ回収部へ提供され、
少なくとも1つの燃焼器ライナ(116)は、前記一次燃焼器(101)と前記二次燃焼器(102)との間に空気を噴射する空気通路(114)を有し、
空気通路のうちの少なくとも1つはダンパネック(113)として形成されており、
該ダンパネックはダンパ体積(112)に接続されており、
該ダンパ体積は、圧縮機空気プレナムと前記空気通路との間に延びる接続ダクト(111)の一部であることを特徴とする、ダンパ配列。
【請求項2】
前記一次燃焼器及び前記二次燃焼器は、缶形構造で配置されている、請求項1記載のダンパ配列。
【請求項3】
前記一次燃焼器は、環状構造で配置されており、前記二次燃焼器は、缶形構造で配置されている、請求項1記載のダンパ配列。
【請求項4】
前記一次燃焼器は、缶形構造で配置されており、前記二次燃焼器は、環状構造で配置されている、請求項1記載のダンパ配列。
【請求項5】
前記一次燃焼器及び前記二次燃焼器は、環状構造で配置されている、請求項1記載のダンパ配列。
【請求項6】
前記空気通路及び/又は前記ダンパネックは、円形、楕円形、スロット状、矩形、三角形、又は多角形の流過断面を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項7】
ダンパネックは、前記燃焼器ライナに対して周方向で配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項8】
前記ダンパネックは、前記燃焼器ライナの表面に互いに離間して複数の列で配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項9】
少なくとも1つの前記ダンパ体積が、前記燃焼器ライナに対して周方向で配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項10】
前記ダンパネックは、隣接する前記ダンパ体積又は前記ダンパ体積の外側から、前記燃焼器ライナ又は前記空気通路までの空間を半径方向にブリッジしている、請求項1から9までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項11】
前記ダンパネックは、前記燃焼器ライナと同一平面を成して配置されているか又は燃焼室の内部へ突入している、請求項1から10までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項12】
燃焼室の内部に配置された前記ダンパネックの部分は、直線的な向き又は屈曲した向きを有する、請求項11記載のダンパ配列。
【請求項13】
前記一次燃焼器及び/又は前記二次燃焼器は、少なくとも1つの予混合バーナを有する、請求項1から12までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【請求項14】
前記ダンパネックは、以下の寸法又は関係を有する:
長さ>=5mm
断面積>5mm2
全ての断面積の合計は、ダンパ配列の上流の燃焼器生成物のための流れ面積の5〜50%である、請求項1から13までのいずれか1項記載のダンパ配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室内への希釈空気の噴射を行うガスタービンを運転する方法に関する。本発明は、加えて、燃焼室内への希釈空気の噴射を行うガスタービンを運転する方法を実施するためのガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの燃焼室内への希釈空気の噴射は、好適には、バーナの下流において行われる。
【0003】
ガスタービン機関のCOエミッションは、環境を保全するために、減じられる必要がある。このようなエミッションは、COからCO
2への酸化を保証するために燃焼室における十分な時間がないとき、及び/又は燃焼室における低温領域との接触によりこの酸化が局所的に減衰されるときに、出現することが知られている。部分負荷条件下では燃焼温度がより低く、CO及びCOからCO
2への酸化がより遅くなるので、COエミッションは、通常、このような条件下で増大する傾向がある。
【0004】
低エミッションの他に、安定した燃焼プロセスが保証されなければならない。このようなガスタービンにおける燃焼プロセスは、ダイナミックな連結につながることができる。ガスタービン缶形燃焼器若しくは環状燃焼器のこのようなダイナミックな又は熱音響的な連結は、強い脈動、特に強い低周波脈動につながることがあり、これは、燃焼器の安定性及び寿命に負の影響をもたらす。これは、寿命の短縮、又は極端な場合には、ガスタービンの機械的故障につながることがある。熱音響的脈動を軽減するために、例えば米国特許出願公開第2010/0313568号明細書に記載されているように、ダンパ又は共振器が燃焼室に取り付けられる及び/又は燃料供給の段階付けが行われる。低周波ダンパは大きな体積を必要とするので、この解決手段は好ましくない。燃料段階付けは、局所的なホットスポット(NOxエミッションにつながる)及び局所的なコールドスポット(付加的なCOエミッションにつながる)の発生により、エミッション性能に不利な影響をもたらす。
【0005】
COエミッションの減少自体は、ガスタービンのパーキングポイントにおけるガスタービン負荷を低下させることに投資される。これは、CO
2エミッションが低減されることにより環境的影響を低減し、機関パーキング中の燃料消費を少なくすることにより全体的な電気コストを低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0313568号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明は、ロータの周囲に配置された環状燃焼室及び/又は複数の缶を備え、それぞれ、電力が増大され、かつCOエミッションが低減された運転を可能にする単一燃焼領域又はシーケンシャル燃焼を行う、ガスタービンを運転する方法を提案するという目的に基づく。この場合、圧縮機の後に、環状燃焼室又は複数の缶から成る燃焼器セクションが続いている。これらの缶内において、一次燃焼器の後に二次燃焼器が続いている。これらの2つの燃焼器の間において、空気が噴射されてよく、これにより、二次空気の入口温度を制御し、ひいてはそこに噴射される燃料の自己点火時間を制御する。最後に、高温の燃焼ガスがタービンに供給される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような燃焼室の中心的特徴は、シーケンシャル燃焼法の部材としての一次燃焼器の高温燃焼生成物内への低温空気の噴射である。二次燃焼器の燃焼運転は均一な入口流を必要とするので、混合の質が決定的である。少なくとも、前記空気の一部を圧縮機出口プレナムから噴射することができる。
【0009】
これは、大きな圧縮機プレナムと燃焼器室との間に少なくとも1つの接続ダクトが存在する(一次燃焼器を通じた供給ではない)ことを意味する。本発明によれば、このような噴射空気は、圧縮機プレナムの体積に応じて接続ダクトを、システムが音響的ダンパとして作用するように設計することができるという未知の認識につながる。
【0010】
噴射ダクトがダンパネックの機能を果たすのに対して、圧縮機プレナム若しくは圧縮機プレナムのセクションは、ダンパ体積として作用する。結果的な減衰効率は高く、極めて大きく、低周波に対処することができる。
【0011】
加えて、本発明の課題は、簡単に提供されかつ容易に運転されるダンパ配列によって改良された減衰特性を達成することを可能にする、ガスタービン内に生じる燃焼室の脈動を低減するためのダンパ配列を提供することである。加えて、燃焼室の公知のジオメトリにおいて実質的な妨害なしに比較的大きなダンパ体積が使用可能であるべきであり、このような比較的大きなダンパ体積は、これまで達成不可能であった減衰特性を有する。
ダンパに衝突する音響的エネルギは、ダンパネック内の流れの振動を生じる。希釈空気穴から出るジェットのこの結果的な増幅は、高温で提供されるときも、低温で提供されるときも、空気の混合を高める。
【0012】
内側ライナにおける1つ以上の周方向で配置されたセクションに、複数の空気穴若しくは通路を提供することができる。空気穴は、内側ライナの壁厚さを貫通した開口の形式であることができる。空気穴は、あらゆる適切な横断面寸法又は形状を有することができる。例えば、空気穴は、円形、楕円形、スロット状、矩形、三角形又は多角形であることができる。同じ設計が、ダンパネックの流過横断面にも当てはまる。
【0013】
各空気穴は、燃焼器ライナの周方向セクションに沿って実質的に一定の断面積を有することができるか、又は空気穴のうちの少なくとも1つの断面積は、その周方向セクションの少なくとも1つの部分において変化していることができる。
【0014】
空気穴は、互いに実質的に同じであってもよく、又は空気穴のうちの少なくとも1つは、上述の態様のいずれかを含む1つ以上の態様において提供されてもよい。
【0015】
各空気穴は、燃焼器ライナの外側に周方向又は準周方向又は環状に外側に配置されたダンパ体積のそれぞれ少なくとも1つと直接的に及び/又は間接的に流体接続していることができる。
【0016】
外側ダンパ体積から空気穴への空間のブリッジを、ダンパネック、管又は毛細管によって引き受けることができる。前記ダンパエレメント、すなわちダンパネックは、内側ライナと同一平面を成すように配置されているか、又は燃焼器の内側ライナよりも突出していることができる。後者の場合、空気は、それぞれのダンパ体積から直接的に及び/又は少なくとも1つの横方向開口を通じて、管状のダンパネックに沿って燃焼器室へ流れる。
【0017】
上述のように、ダンパネックはあらゆる適切な形式で配置することができる。幾つかの例では、ダンパネックは、燃焼器ライナの表面に、離間させられた複数の列で配置することができる。
【0018】
例えば、ダンパネックの第1の列に関連した複数の冷却通路を、冷却通路としてのそれらの入口がダンパネックの上流に配置されるように配置することができ、例えば、ダンパネックの第2の列に関連した冷却通路を、ダンパネックの下流に配置することができる。「上流」及び「下流」という用語は、燃焼器室内の流体流れの方向に関して使用されている。
【0019】
ダンパ機能による管を、空気流体を燃焼器室内へ導入するために配置された角度づけられたインジェクタとして配置することができ、あらゆる適切な形式で向けることができる。1つの実施の形態では、インジェクタを燃焼器室の水平方向に向けることができる。別の実施の形態では、1つ以上のインジェクタを、1つ以上の他のインジェクタとは異なる方向に向けることができる。
【0020】
本発明は、隣接するダンパ体積に基づく使用に全く制限されない。ダンパ体積の適切な設計があれば、これらの体積は同様に、内側ライナとその他のケーシングプレナムとの間に形成された空間において実現されてもよい。
【0021】
一次燃焼器及び二次燃焼器という用語は、流路に配置された燃焼器の順序を意味し、すなわち、二次燃焼器は一次燃焼器の下流に配置されている。二次燃焼器における放熱又は燃焼させられる燃料の量は、一次燃焼器における放熱又は燃焼させられる燃料の量よりも多くても、等しくても、又は少なくてもよい。
【0022】
発明が典型的な実施の形態に基づき
図1から
図5に概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1a】缶形構造におけるシーケンシャル燃焼を使用する一般的なガスタービンを示す図である。
【
図1b】環状構造におけるシーケンシャル燃焼を使用する一般的なガスタービンを示す図である。
【
図2a】缶形構造における単純なダンパ配列を示す図である。
【
図2b】環状構造における単純なダンパ配列を示す図である。
【
図3a】缶形構造におけるシーケンシャル燃焼を使用する別の一般的なガスタービンを示す図である。
【
図3b】環状構造におけるシーケンシャル燃焼を使用する別の一般的なガスタービンを示す図である。
【
図4a】缶形構造における二重ダンパ配列を示す図である。
【
図4b】環状構造における二重ダンパ配列を示す図である。
【
図5】a〜dは、様々なダンパエレメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
このようなガスタービンの概略的な図が例えば
図1aに示されている。この場合、圧縮機の後に、複数の燃焼器缶から成る燃焼器セクションが続いている。缶形構造は、タービンシャフトの円周の周囲に環状配列で配置された複数の燃焼器缶を含む。単一の燃焼器は、各缶の個々の燃焼運転を可能にすることができ、これは、燃焼プロセス中の個々の缶の間の有害な相互作用とならない。
【0025】
図1aは、複数の燃焼器缶を含むガスタービン100を示す。燃焼器缶は、本発明による方法を実施するためのシーケンシャル燃焼領域若しくは燃焼器101,102を含む。さらに、ガスタービンは、基本的に、圧縮機103、少なくとも1つのバーナ104、及び少なくとも1つのタービン105を含む。燃焼器缶に沿って、中間タービン(図示せず)を配置し、加えて、このタービンの下流に第2のバーナシステム(図示せず)を配置することが可能である。
【0026】
通常、ガスタービンシステムは、発電機(図示せず)を含み、この発電機は、ガスタービンの低温端部において、すなわち圧縮機103において、ガスタービン100のシャフト106に連結されている。一次燃焼器101及び二次燃焼器102は燃焼器缶形構造において作動するが、前記中間タービンは選択的である。
【0027】
燃料は、第1の燃料噴射部123を通じて一次燃焼器101へ、第2の燃料噴射部124を通じて二次燃焼器102へ噴射される。
【0028】
これらの燃焼器缶内において、一次燃焼器の後に二次燃焼器が続いている。これらの2つの燃焼器の間において、空気が噴射されてよく、これにより、二次燃焼器の入口温度を制御し、ひいては第2の燃料噴射によってそこに噴射される燃料の自己点火時間を制御する。最後に、高温の燃焼ガスはタービン105内へ、又は中間タービン又は第1のタービン内へ直接的に供給される。
【0029】
二次燃焼器102が作動するやいなや、付加的な燃料(図示せず)が一次燃焼器101の高温ガスに付加される。高温ガスは、後続のタービン105において膨張させられ、仕事を行う。排ガス107を、有利にはコンバインドサイクル発電プラントの排熱ボイラ又は別の排熱用途に供給することができる。
【0030】
1つ以上の燃焼器缶を、環状燃焼器として、例えば、多数の個々のバーナ104を備えて構成することができる。これらのバーナ104のそれぞれには、燃料分配システム及び燃料供給部を通じて燃料が供給される。
【0031】
これらの発見に基づき、缶形構造において(高圧タービンを備える又は高圧タービンを備えない)シーケンシャル燃焼において作動する機関の機能についての概念を予測することができる。
【0032】
シーケンシャル燃焼に関して、燃焼器の組合せを以下のように配置することができる:
少なくとも1つの燃焼器は、缶形構造として構成され、少なくとも1つの作動するタービンを備える。
【0033】
両方とも、一次及び二次燃焼器は、シーケンシャル缶−缶形構造として構成され、少なくとも1つの作動するタービンを備える。
【0034】
一次燃焼器は、環状の燃焼室として構成されており、二次燃焼器は、缶形構造として構成されており、少なくとも1つの作動するタービンを備える。
【0035】
一次燃焼器は缶形構造として構成されており、二次燃焼器は、環状燃焼室として構成されており、少なくとも1つの作動するタービンを備える。
【0036】
両方とも、一次及び二次燃焼器は、環状の燃焼室として構成され、少なくとも1つの作動するタービンを備える。
【0037】
両方とも、一次及び二次燃焼器は、環状の燃焼室として構成され、中間の作動するタービンを備える。
【0038】
従って、缶形構造のためのCOエミッションに関して、個々の缶の間の相互作用は、最小限又は不存在である。その上、環状概念の場合のCOに影響することが知られるスプリット平面における漏れは、缶形機関の場合のCOに影響しない。なぜならば、この構造の場合、燃焼器内へのスプリットライン漏れは、移行片の最後の端部においてのみ存在するからである。したがって、缶態様の場合、前記概念は、環状機関構造の場合よりもさらに有効である。
【0039】
ダンパ方法を実施するための上述の概念によるガスタービンは、発明の主体である。
【0040】
燃焼缶のための又は環状燃焼室のための予混合バーナ(欧州特許出願公開第0620362号明細書参照)が設けられている場合、これらは、好適には、欧州特許出願公開第0321809号明細書及び/又は欧州特許出願公開第0704657号明細書による燃焼プロセス及び対象物によって形成されるべきであり、これらの文献は本記載の一体的部分を形成している。特に、前記予混合バーナは、全ての種類の液体及び/又は気体燃料を用いて作動させることができる。すなわち、個々の缶内に様々な燃料を提供することが容易に可能である。これは、予混合バーナを、様々な燃料を用いて同時に作動させることができることも意味する。
【0041】
第2の又は後続の燃焼器は、好適には、欧州特許出願公開第0620362号明細書又は独国特許出願公開第10312971号明細書によって提供され、これらの文献は本記載の一体的部分を形成している。
【0042】
加えて、以下に言及される文献も本記載の一体的部分を形成している。
【0043】
欧州特許第0321809号明細書は、接線方向の空気入口スロットと、気体及び液体燃料のための供給チャネルとを有する完全なボディを構成する中空の部分円錐ボディから成るバーナに関し、中空部分円錐ボディの中心軸線は、流れ方向で増大する円錐角を有し、長手方向で互いにずれて延びている。燃料ノズルであって、その燃料噴射は、部分円錐ボディの互いにずれた中心軸線の接続線の中間に配置されている燃料ノズルは、部分円錐ボディによって形成された円錐形内部におけるバーナヘッドに配置されている。
【0044】
欧州特許第0704657号明細書は、燃焼空気流と、燃料の噴射のための手段とのための、実質的に欧州特許第0321809号明細書によるスワール発生器と、前記スワール発生器の下流に設けられた混合経路とから実質的に成る、発熱器のバーナ配列に関し、前記混合経路は、前記移行ダクトの下流に接合した、前記混合経路の流れ横断面内への、前記スワール発生器に形成された流れの引渡しのために、流れ方向で経路の第1の部分内に延びたトランザクションダクトを有する。
【0045】
さらに、与えられた滞留時間における燃料空気混合を改良するために、燃料の自動点火を利用する、ガスタービン再熱燃焼器内での使用のための燃料インジェクタが提案されている。示された第2の燃料噴射は、例えば燃料ランスであることができる。しかしながら、例えばフルート、若しくはひだなどの渦発生器を備えた流線形ボディなどの、二次燃焼器のための公知のあらゆるタイプの燃料噴射を使用することができる。加えて、振動する気体燃料噴射を備えたこのインジェクタの以下の特定の実施の形態が考えられる。
【0046】
振動する気体燃料は、クロスフロー構成の意味において酸化剤の流れに対して垂直に噴射される。
【0047】
振動する気体燃料は、インライン構成の意味において酸化剤の流れに対して平行に噴射される。
【0048】
振動する気体燃料は、酸化剤の流れに対して0°〜90°の傾斜角度で噴射される。
【0049】
シーケンシャル燃焼を備えたガスタービングループにおいて部分負荷運転を確立する方法に関する欧州特許出願公開第0646705号明細書、2つの燃焼器室が装備されたガスタービンプラントを制御するための方法に関する欧州特許出願公開第0646704号明細書、部分負荷運転を提供するときに、2つの燃焼器室が装備されたガスタービングループを運転する方法に関する欧州特許出願公開第0718470号明細書も、本記載の一体的部分を形成している。
【0050】
圧縮空気108の一部は、高圧冷却空気として抜き取られ、この高圧冷却空気は、第1の及び/又は二次的な燃焼器への冷却空気として供給されるか又は高圧冷却エアクーラ(図示せず)を通じて再冷却され、かつ第1の及び/又は二次的な燃焼器への、及び必要であれば第1及び/又は第2のタービンへの冷却空気として供給される。
【0051】
図2aによる発明の特徴は、一次燃焼器101の高温燃焼生成物109への低温空気110の噴射から成る。この作動に関する混合品質は決定的である。なぜならば、二次燃焼器102のバーナシステムは均一な入口流を必要とするからである。
【0052】
この低温空気の少なくとも一部は、圧縮機出口プレナムから直接的に噴射されるか、又はエアクーラ(図示せず)の後に噴射される。このような構成のために、比較的大きな圧縮機プレナムと、一次及び/又は二次燃焼器101,102の間に接続ダクト111が設けられている。圧縮機プレナムの体積に応じて、接続ダクトは、システムが、その体積に関して第1の音響ダンパ112として作用するように有利には設計されているべきであり、これに対し、接続ダクト111の一部は、第1のダンパ体積112の一部として引き受けることができる又は第1のダンパ体積としての機能の一部を引き受けることができる。
【0053】
大きな体積に応じて、結果的な効率は高く、低周波に対処することができる。ダンパに衝突する音響的エネルギは、ダンパネック113内の流れの振動を生じる。希釈空気穴114によって排出されるジェットのこの増幅は、高温及び低温空気の混合を高める。
【0054】
燃焼器ライナ、若しくは内側ライナ116における1つ以上の周方向で配置されたダンパネックセクション115に、複数の空気穴114を提供することができる。空気穴114は、内側ライナ116の壁厚さを貫通した開口の形式であることができる。空気穴114は、あらゆる適切な横断面寸法又は形状を有することができる。例えば、空気穴は、円形、楕円形、スロット状、矩形、三角形又は多角形であることができる。
【0055】
各空気穴114は、燃焼器ライナの周方向セクション115に沿って実質的に一定の断面積を有することができるか、又は空気穴のうちの少なくとも1つの断面積は、その周方向セクションの少なくとも一部のために変化していることができる。空気穴114は、ダンパネック113と同じ断面を有することができ、有効に同じ機能を有する。空気穴114は、燃焼生成物109との低温空気110のよりよい混合のために、ダンパネック113によって提供されるエアジェットとは異なる、燃焼生成物109内へ進入するエアジェットを提供するために異なる断面を有することもできる。
【0056】
空気穴は、互いに実質的に同じであってもよく、又は空気穴のうちの少なくとも1つは、上述の態様のいずれかを含む1つ以上の態様において提供されてもよい。
【0057】
上記で特定した依存関係は、以下のようにダンパ共振周波数に関して数学的に表すことができる:
第1のダンパ体積112(
図2a,
図2b)に関する式:
【数1】
【0058】
ここで、
c=音の速度
A=ネック面積
L=ネック長さ
V=ダンパ体積である。
【0059】
図3aに関して、同じ構成が
図1aに示されている。不要な繰返しを避けるために、
図1aが参照される。
【0060】
図4aは、
図2aに関して拡張されたバージョンを示している。
図2aの第1のダンパ体積112に相当する第1のダンパ体積112aに加えて、同心状又は準同心状に外部に提供された、第2のダンパ体積117が設けられている。両ダンパ体積112a,117は、それぞれ様々なダンパネックセクションに接続されており、すなわち、内側の第1のダンパ体積112aは、第1のセクション115aの第1のダンパネック118と流体連通して接続されており、外側の第2のダンパ体積117は、第2のセクション115bの第2のダンパネック119と流体連通して接続されている。
【0061】
外側の第2のダンパ体積117から燃焼室101若しくは102(
図1a参照)に進入する空気への空間のブリッジを、ダンパネック、管又は毛細管によって引き受けることができる。前記エレメントは、内側ライナ116と同一平面を成すように配置されているか、又は燃焼器の内側ライナを様々な深さに貫通することができる。後者の場合、方向付けられた空気は、それぞれのダンパ体積112,112a,117から直接的にダンパネック118,119を通って燃焼室内へ流れる。
【0062】
図1bには、
図1aと同じ構成が、環状構造の場合として示されている。不要な繰返しを避けるために、対応するエレメントが示されている
図1aが参照される。
【0063】
図2bは、環状構造のために適応させられた、
図2aのダンパ配列に対応する単純なダンパ配列を示している。
図2bは、環状燃焼器の断面図を示しているので、ダンパネック113及び希釈空気穴114は、外側及び内側のライナに配置されている。
【0064】
図3bに関して、同じ構成が
図1bに示されている。不要な繰返しを避けるために、
図1bが参照される。
【0065】
図4bには、
図4aにおけるような構成が、環状構造の場合として示されている。不要な繰返しを避けるために、対応するエレメントが示されている
図4aが参照される。
図4bは、環状燃焼器の断面図を示しているので、第1のダンパネック118及び第2のダンパネック119は、外側及び内側のライナに配置されている。
【0066】
もちろん、複数の個々のダンパ体積を有するダンパ配列を用いた作動も可能である。
【0067】
上記で特定した依存関係は、以下のようにダンパ共振周波数に関して数学的に表すことができる:
第1のダンパ体積112a(
図4a,
図4b)に関する式:
【数2】
【0068】
第2のダンパ体積117(
図4a,
図4b)に関する式:
【数3】
【0069】
ここで、
c=音の速度
A
1,A
2=ネック面積
L
1,L
2=ネック長さ、
V
1,V
2=ダンパ体積である。
【0070】
図5a〜
図5dは、既に上記で説明されたようなダンパネックの様々な配列を示している。
【0071】
図5aにおいて、第1及び第2のダンパネック118,119は内側ライナ116と同一平面を成して組み立てられており、ダンパネックは、平均的な出力電力のガスタービンに関して以下の寸法を特徴とする:
D=直径
A=断面積=通過流
L=長さ
及び以下の関係:
L>5mm
A>5mm
2、通常>50mm
2、好適には>100mm
2。
【0072】
希釈空気穴114及びダンパネック113,18,119,120,121,122を通じて噴射される全ての低温空気流の合計は、燃焼生成物109の質量流量の5〜50%の範囲であることができる。
【0073】
図5b〜
図5cは、ダンパネック120が鉛直方向又は準鉛直方向に内側ライナから突出している様々な配列を示している。この場合、低温空気は、それぞれのダンパ体積から直接的に燃焼器室(
図5b)へ流れる、及び/又は少なくとも1つの横方向開口110aを通じてダンパネック121に沿って燃焼器室(
図5c)へ流れる。
【0074】
図5dは、ダンパ機能による管を示す。ダンパ機能による管を、空気流体を燃焼器室内へ導入するために配置された屈曲したインジェクタ122として配置することができ、あらゆる適切な形式で向けることができる。1つの実施の形態では、インジェクタを燃焼器室の水平方向に向けることができる。別の実施の形態では、1つ以上のインジェクタを、1つ以上の他のインジェクタとは異なる方向に向けることができる。
【0075】
図5b及び
図5cに示されたようなダンパネック120,121、又は
図5dに示されたような屈曲したインジェクタ122を備えた構成を、第1及び第2のダンパネック118,119として使用することができる。
【0076】
図1〜
図4に示された第2の燃料噴射は、ランスの形式を有する。しかしながら、例えばフルート、若しくはひだなどの、二次燃焼器のための公知のあらゆるタイプの燃料噴射を使用することができる。
【符号の説明】
【0077】
100 ガスタービン
101 一次燃焼器
102 二次燃焼器
103 圧縮機
104 バーナ
105 タービン
106 シャフト
107 排ガス
108 圧縮空気
109 燃焼生成物
110 低温空気
111 接続ダクト
112 第1のダンパ体積
112a 第1のダンパ体積
113 ダンパネック
114 希釈空気穴
115 ダンパネックセクション
116 内側ライナ
117 第2のダンパ体積
118 第1のダンパネック
119 第2のダンパネック
120 ダンパネック
121 ダンパネック
122 ダンパネックとしてインジェクタ
123 第1の燃料噴射
124 第2の燃料噴射