(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、式(I)〜式(IV)の少なくとも1種の化合物を含む電子デバイス、式(I)〜式(IV)の化合物の電子デバイスにおける使用、及び式(Ic)〜式(IVc)の化合物に関する。
【0002】
本発明の意味するところの電子デバイスは、好ましくは有機エレクトロルミネッセンスデバイスであるが、以下に詳細に説明するように、他の電子デバイスも意味し得る。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)の一般的な系は、とりわけ、US4539507、US5151629、EP0676461およびWO1998/27136に記載されている。
【0004】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスの性能データ及び寿命に関しては、近年、大きな進歩が達成された。しかしながら、特に以下の点における更なる改善が必要である:
1.デバイスの出力効率の向上が望ましい。
2.デバイスの動作寿命の改善が、なお必要である。
3.デバイスの動作電圧の減少が望ましい。これは、特に携帯用途で主に重要である。
【0005】
従って、有機エレクトロルミネッセンスデバイス用の新規な機能性材料であって、このデバイスの性能に、特には上述の点に良い影響を与える材料に対する要求が続いている。
【0006】
更に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス用の材料の分野においては一般的に、前記デバイスでの使用に適し且つ既に知られている化合物と同様に優れた性能を有する、新規の代替化合物の提供に関心がある。
【0007】
とりわけ、アリールアミン化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイス用のホール輸送及び注入材料として、従来技術において知られている。インデノフルオレン骨格に基づくこのタイプの材料は、例えば、WO 2006/100896及びWO 2006/122630に開示されている。
【0008】
しかしながら、従来技術において知られているホール輸送材料は、多くの場合、これらの化合物を含む電子デバイスの寿命を縮める低い電子安定性を有する。
【0009】
それゆえに、特に、上述のデバイスにおいてホール輸送及び/又はホール注入材料として使用するための新規の化合物に対する要求がある。
【0010】
とりわけ、カルバゾール誘導体、例えばビス(カルバゾルイル)ビフェニルが、蛍光ドーパント用のマトリックス材料として知られている。蛍光ドーパント用のマトリックス材料としてのケトン(WO 2004/093207)、ホスフィンオキシド及びスルホン(WO 2005/003253)の使用も知られている。金属錯体、例えばBAlq又は亜鉛(II)ビス[2−(2−ベンゾ−トリアゾール)フェノラート]も、蛍光ドーパント用のマトリックス材料として使用される。
【0011】
しかしながら、蛍光ドーパント用の代替マトリックス材料、特には電子デバイスの性能データの改善をもたらすものに対する要求が続いている。
【0012】
また、混合マトリックスシステムのマトリックス成分としての代替材料の提供も、特に関心がある。本願の意味するところの混合マトリックス系は、2種以上の異なる化合物を、発光層において、1つ(或いはさらには幾つかの)ドーパント化合物と共に混合された状態で使用するところの系を意味すると解釈される。この径は、特に、蛍光有機エレクトロルミネッセンスデバイスの場合に特に関心がある。より詳細な情報については、出願WO 2010/108579を参照されたい。
【0013】
混合マトリックスシステムにおけるマトリックス成分としての使用について言及され得る従来技術で知られた化合物は、とりわけ、CBP(ビスカルバゾルイルビフェニル)及びTCTA(トリスカルバゾルイルトリフェニルアミン)(第1の成分)である。第2の成分として適切なのは、例えば、ベンゾフェノン誘導体、ジアザホスホール(WO 2010/054730)及びトリアジンなどの化合物である。しかしながら、混合マトリックス系でのマトリックス成分としての使用のための代替化合物に対する要求が続いている。特に、電子デバイスの動作電圧及び寿命の改善をもたらす化合物に対する要求がある。
【0014】
総合的に言えば、蛍光及び/又は燐光有機エレクトロルミネッセンスデバイスについての更なる改善が望ましい。電子デバイスの動作電圧の場合には、改善の可能性が更にある。
【0015】
本発明は、上述の技術的な目標を達成するために、新規の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
【0016】
例えば、本発明は、アノードと、カソードと、少なくとも1つの有機層とを含む電子デバイスであって、有機層が以下の式(I)〜式(IV)の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする電子デバイスに関する。
【化1】
【0017】
式中、出現する記号には以下が適用される:
Xは、出現する毎に、同一であるか又は異なり、単結合、C=O、C=S、C=NR
1、C(R
1)
2、C(R
1)
2−C(R
1)
2、CR
1=CR
1、Si(R
1)
2、NR
1、PR
1、P(=O)R
1、O、S、SO又はSO
2である;
Lは、2価、又はk=3、4、5若しくは6である場合において、それぞれ3価、4価、5価若しくは6価の基であり、C=O、C=NR
1、Si(R
1)
2、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、1〜20個のC原子を有するアルキレン基、2〜20個のC原子を有するアルケニレン若しくはアルキニレン基(ここで、列記した基の場合において、1つ以上のCH
2基は、Si(R
1)
2、O、S、C=O、C=NR
1、C=O−O、C=O−NR
1、NR
1、P(=O)(R
1)、SO又はSO
2により置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNO
2により置きかえられていてもよい)、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(これのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、及び上述の基より選択される1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの同一であるか又は異なる基の任意の所望の組み合わせより選択され;又は、Lは単結合であり、この場合のkは2に等しくなければならない;
R
0は、出現する毎に、同一であるか又は異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R
1、OSO
2R
1、COOR
1、CON(R
1)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基又は3〜40個のC原子を有する分枝若しくは環式のアルキル基又は2〜40個のC原子を有するアルケニル若しくはアルキニル基(ここで、上述の基は、それぞれ、1つ以上のラジカルR
1によりにより置換されていてもよい)(上述の基における1つ以上のCH
2基は、Si(R
1)
2、Ge(R
1)
2、Sn(R
1)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、−O−、−S−、−COO−又は−CONR
1−より置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNO
2により置きかえられていてもよい)、又は5〜60個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれの場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又は5〜60個の芳香環原子を有するアラルキル若しくはヘテロアラルキル基(これは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又はこれらの系の組み合わせであり、更に、2つ以上の隣接するラジカルR
0が互いにここで結合して1つの脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよいし、又はラジカルR
0が1つの隣接するラジカルRに単結合又は2価の基Yを介して結合して1つの脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよい;
Rは、C(=O)R
1、OSO
2R
1、COOR
1、CON(R
1)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基、又は3〜40個のC原子を有する分枝若しくは環式のアルキル基、又は2〜40個のC原子を有するアルケニル若しくはアルキニル基(ここで、上述の基は、それぞれ、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよく、上述の基における1つ以上のCH
2基は、Si(R
1)
2、Ge(R
1)
2、Sn(R
1)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、−O−、−S−、−COO−又は−CONR
1−により置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNO
2により置きかえられていてもよい)、又は5〜60個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれの場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又は5〜60個の芳香環原子を有するアラルキル若しくはヘテロアラルキル基(これは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又はこれらの系の組み合わせに等しい(ここで、更にラジカルRは1つ以上の隣接するラジカルR
0に単結合又は2価の基Yを介して結合していてもよい);
Yは、出現する毎に、同一であるか又は異なり、C=O、C=S、C=NR
1、C(R
1)
2、Si(R
1)
2、NR
1、PR
1、P(=O)R
1、O、S、SO及びSO
2より選択される2価の基である;
R
1は、出現する毎に、同一であるか又は異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R
2)
2、C(=O)R
2、P(=O)(R
2)
2、S(=O)R
2、S(=O)
2R
2、CN、NO
2、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、OSO
2R
2、OH、COOR
2、CON(R
2)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基、又は3〜40個のC原子を有する分枝若しくは環式のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基、又は2〜40個のC原子を有するアルケニル若しくはアルキニル基(ここで、上述の基はそれぞれ1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよく、上述の基における1つ以上のCH
2基は、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、−O−、−S−、−COO−又は−CONR
2−により置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN又はNO
2により置きかえられていてもよい)、又は5〜60個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれの場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、又は5〜60個の芳香環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基(これは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、又はこれらの系の組み合わせである(ここで、2つ以上のラジカルR
1が互いに結合し1つの脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよい);
R
2は、出現する毎に、同一であるか又は異なり、H、D、F、又は1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ芳香族有機ラジカル(ここで、更に、1個以上のH原子がD又はFにより置きかえられていてもよい)であり;2つ以上の置換基R
2はここでさらに互いに結合して1つの脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよい;及び
kは、2、3、4、5又は6に等しい。
【0018】
式(I)、式(II)、式(III)及び式(IV)の化合物の好ましい態様は、式(Ia)、式(Ib)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIIa)、式(IIIb)、式(IVa)及び式(IVb)の以下の化合物である。
【化2】
【0019】
式中、出現する記号は、上で定義した通りであり及び更には:
Ar
1、Ar
2は、同一であるか又は異なり、6〜60個の芳香環原子を含有するアリール基、又は5〜60個の芳香環原子を含有するヘテロアリール基である(これのそれぞれは1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい);及び
Rは、上述の定義に類似して、1つ以上のラジカルR
0及び/又は隣接する基Ar
1若しくはAr
2に単結合を介して又は2価の基Yを介して結合していてもよい。
【0020】
式(I)、式(II)、式(III)及び式(IV)の化合物の特に好ましい態様は、以下に示す式(Ic)、式(IIc)、式(IIIc)、及び式(IVc)の化合物である。
【化3】
【0021】
式中、出現する記号は、上で定義した通りであり及び更には:
Ar
1、Ar
2は、同一であるか又は異なり、6〜60個の芳香環原子を含有するアリール基、又は5〜60個の芳香環原子を含有するヘテロアリール基であり、これのそれぞれは1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい;及び
Rは、上述の定義に類似して、1つ以上の隣接する基Ar
1及びAr
2に単結合を介して又は2価の基Yを介して結合していてもよい。
【0022】
上述の式における複素環に隣接して記載された基
【化4】
【0023】
は、上で定義した基Ar
1又はAr
2が、当該ヘテロ環上に縮合して、ヘテロ環と共有する縮合ヘテロアリール基を形成することを意味している。後段の章で述べる式(I)〜式(IV)の化合物の好ましい態様は、この原則を明らかにしている。
【0024】
本発明によると、基Ar1及びAr2が、同一であるか又は異なって、6〜20個の芳香環原子を有するアリール基(これは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、及び5〜20個の芳香環原子を有するヘテロアリール基(これは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)より選択されることが好ましい。基Ar
1及びAr
2は、特に好ましくは、出現する毎に、同一であるか又は異なり、6〜14個の芳香環原子を有するアリール基(これは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、及び5〜14個の芳香環原子を有するヘテロアリール基(これは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)より選択される。
【0025】
本発明の意味するところにおいて、縮合芳香族環又はヘテロ芳香族環は、互いに共通する少なくとも2つの隣接芳香環原子を有する環を意味すると一般に解釈される。脂肪族環に類似する対応の定義もさらに適用される。
【0026】
更に、1つの環が他の環上に縮合しているという表現は、本発明の意味するところにおいては、縮合した環は、第1の環と共有する少なくとも2個の隣接環原子を有すると解釈される。
【0027】
本発明の意味するところにおけるアリール基は6〜60個のC原子を含み;本発明の意味するところにおけるヘテロアリール基は、1〜60個のC原子と少なくとも1つのヘテロ原子とを含むが、但しC原子とヘテロ原子との合計が少なくとも5である。ヘテロ原子は好ましくはN、P、O及び/又はSより選択される。アリール基又はヘテロアリール基は、ここでは、単純な芳香族環、即ちベンゼン若しくは単純なヘテロ芳香族環、例えばピリジン、ピリミジン、チオフェンなどか、又は縮合(融合)アリール若しくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、カルバゾールなどを意味すると解釈される。
【0028】
アリール又はヘテロアリール基(これは、それぞれの場合において、上述のラジカルR
1又はR
2により置換されていてもよく、これは、任意の所望の位置を介して芳香族又はヘテロ芳香族環系に結合していてもよい)は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフチミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジニミダゾール、キノキサリニイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルバゾール、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン及びベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味すると解釈される。
【0029】
本発明の意味するところにおけるアラルキル基は、アリール基により置換されているアルキル基であり、ここで、アリール基という用語は、上で定義した通りに理解されるべきであり、アルキル基は、1〜40個の原子を有する非芳香族有機ラジカル(ここでさらに、個々のH原子またはCH
2基は、R及びR
1の定義において上述した基により置換されていてもよい)と定義される。
【0030】
本発明の意味するところにおけるヘテロアラルキル基は、ヘテロアリール基により置換されているアルキル基であり、ここで、ヘテロアリール基という用語は、上で定義した通りに理解すべきであり、アルキル基は、1〜40個の原子を有する非芳香族有機ラジカル(ここでさらに、H原子またはCH
2基は、R及びR
1の定義において上述した基により置換されていてもよい)と定義される。
【0031】
本発明の意味するところにおける芳香族環系は、環系に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味するところにおけるヘテロ芳香族環系は、5〜60個の芳香環原子を含み、それらのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。本発明の意味するところにおける芳香族またはヘテロ芳香族環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含むのではなく、むしろ、ここでさらに、複数のアリールまたはヘテロアリール基が例えば、C、Si、NもしくはO原子またはカルボニル基などの非芳香族単位(好ましくは10%未満のH以外の原子)によって連結されていてもよい系を意味すると理解されるように意図されている。したがって、例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9’−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等などの系も本発明の意味するところにおける芳香族環系であると理解されるように意図されており、2以上のアリール基が例えば線状もしくは環状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基またはシリル基によって連結されている系も同様である。さらに、例えば、ビフェニル、テルフェニルまたはビピリジンなどの、2以上のアリールまたはヘテロアリール基が単結合により互いに連結されている系も、本発明の意味するところにおける芳香族またはヘテロ芳香族環系であると理解されるように意図されている。
【0032】
5〜60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(この系はまた、各場合において、上で定義したラジカルにより置換されていてもよく、この系は、該芳香族またはヘテロ芳香族基上の任意の所望の位置を介して連結されていてもよい)は、特にベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスもしくはトランスインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノオキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフタイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノオキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントラオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールに由来する基またはこれらの基の組合せを意味すると理解される。
【0033】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(ここで、さらに、上述の基における個々のH原子またはCH
2基は、ラジカルRおよびR
1の定義の場合において上述した基により置換されていてもよい)は、好ましくは、ラジカルメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルを意味すると理解される。1〜40個のC原子を有するアルコキシまたはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、s−ペントキシ、2−メチルブトキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n−ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、s−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n−ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、n−オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、へプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、へプチニルチオまたはオクチニルチオを意味すると理解される。
【0034】
式(Ic)〜(IVc)の化合物の好ましい態様は、以下の式(V)〜(X)により示される。
【化5】
【0035】
ここで、さらに、
X
1は、C=O、C=S、C=NR
1、C(R
1)
2、C(R
1)
2−C(R
1)
2、NR
1、PR
1、P(=O)R
1、O、S、SOおよびSO
2から選択され、
Zは、出現する毎に、同一であるか又は異なり、CR
1またはNであり、ここで、2つ以下の隣接する基Zは同時にNに等しくてもよく、
出現する他の記号は、上で定義した通りである。
【0036】
本発明の好ましい態様において、式における3以下の基ZはNに等しく、残りの基ZはCR
1に等しい。
【0037】
特に好ましい態様において、式におけるすべての基ZはCR
1に等しい。
【0038】
本発明のさらに好ましい態様において、基Xは、単結合、C=O、C=NR
1、C(R
1)
2、CR
1=CR
1、NR
1、OおよびSから選択される。Xは、特に好ましくは単結合、C=OおよびC(R
1)
2から選択される。
【0039】
基Xが式C(R
1)
2の基を表す場合において、同じC原子に結合している2つのラジカルR
1が互いに結合し、脂肪族または芳香族環を形成していることが好ましい態様である。
【0040】
本発明のさらに好ましい態様において、基X
1はC=O、C=NR
1、C(R
1)
2、CR
1=CR
1、NR
1、OおよびSから選択される。基X
1は特に好ましくはC=OおよびC(R
1)
2から選択される。
【0041】
基X
1が式C(R
1)
2の基を表す場合において、同じC原子に結合している2つのラジカルR
1が互いに結合し、脂肪族または芳香族環を形成していることが好ましい態様である。
【0042】
本発明のさらに好ましい態様において、R
0は、出現する毎に同一であるか又は異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、C(=O)R
1、CN、Si(R
1)
3、COOR
1、CON(R
1)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基又は3〜10個のC原子を有する分枝若しくは環式の環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基又は2〜10個のC原子を有するアルケニル若しくはアルキニル基(ここで、上述の基は、それぞれ1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよく、上述の基における1つ以上の隣接しないCH
2基は、Si(R
1)
2、C=O、C=NR
1、SO、SO
2、NR
1、−O−、−S−、−COO−又は−CONR
1−によって置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I又はCNによって置きかえられていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(この系は、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基(この基は、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又はこれらの系の組合せであり、さらに、2つ以上の隣接するラジカルR
0は、互いに結合し、脂肪族もしくは芳香族環を形成していてもよく、またはラジカルR
0は隣接するラジカルRに単結合若しくは2価の基Yを介して結合し、脂肪族若しくは芳香族環を形成していてもよい。
【0043】
本発明のさらに好ましい態様において、ラジカルRは、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、又は3〜10個のC原子を有する分枝若しくは環式のアルキル基、又は2〜10個のC原子を有するアルケニル若しくはアルキニル基(ここで、上述の基は、それぞれ1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよく、上述の基における1つ以上の隣接しないCH
2基は、C=O、C=NR
1、P(=O)(R
1)、SO、SO
2、NR
1、−O−、−S−、−COO−又は−CONR
1−によって置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I又はCNによって置きかえられていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(この系は、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有するアラルキル若しくはヘテロアラルキル基(これらは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又はこれらの系の組合せであり、ここで、更にラジカルRは、基Ar
1およびAr
2の一方に、単結合もしくは2価の基Yを介して結合していてもよい。
【0044】
ラジカルRは、特に好ましくは、5〜20個の芳香環原子を有するアリール又はヘテロアリール基(この基は、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有するアラルキル若しくはヘテロアラルキル基(この基は、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)であり、ここで、更にラジカルRは、基Ar
1およびAr
2の一方に、単結合もしくは2価の基Yを介して結合していてもよい。
【0045】
ラジカルRは、更により好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン及びトリアジンから選択され、ここで、前記基は、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよく、ラジカルRは、基Ar
1及びAr
2の一方に単結合もしくは2価の基Yを介して結合していてもよい。
【0046】
好ましい態様において、2価の基Yは、同一であるか又は異なり、C=O、C=NR
1、C(R
1)
2、NR
1、O、S及びSO
2から選択される。
【0047】
更に好ましい態様において、R
1は、出現する毎に、同一であるか又は異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
2)
2、C(=O)R
2、CN、Si(R
2)
3、COOR
2、CON(R
2)
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基、又は3〜10個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ若しくはチオアルキル基、又は2〜10個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(ここで、上述の基は、それぞれ1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよく、上述の基における1つ以上の隣接しないCH
2基は、Si(R
2)
2、C=O、C=NR
2、SO、SO
2、NR
2、−O−、−S−、−COO−又は−CONR
2−によって置きかえられていてもよく、上述の基における1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I又はCNによって置きかえられていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(この系は、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基(この基は、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、又はこれらの系の組合せであり、ここで、2以上のラジカルR
1は、互いに結合し、脂肪族もしくは芳香族環を形成していてもよい。
【0048】
Lは、好ましくは、2価であるか、又はk=3、4、5若しくは6の場合において、3価、4価、5価若しくは6価であり、C=O、NR
1、P(=O)(R
1)、O、S、1〜10個のC原子を有するアルキレン基、2〜10個のC原子を有するアルケニレン基(ここで、述べた基において、1つ以上のCH
2基は、C=O、NR
1、P(=O)(R
1)、O又はSによって置きかえられていてもよい)、5〜20個の芳香環原子を有するアリール又はヘテロアリール基、及び式(L−1)又は(L−2)の芳香族又はヘテロ芳香族環系
【化6】
【0049】
(ここで、
Ar
3、Ar
4及びAr
5は、同一であるか又は異なり、5〜20個の芳香環原子を有するアリール又はヘテロアリール基(この基は、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)であり、
Eは、C=O、P(=O)(R
1)、SO又はSO
2であり、
iは、出現する毎に同一であるか又は異なり、0又は1であり、
m、nは、同一であるか又は異なり、1、2又は3、好ましくは1又は2であり、
o、pは、同一であるか又は異なり、0、1、2又は3、好ましくは0、1又は2(ここで、両添字o及びpは、同時にゼロであり得ない)であり、
記号*は、基Lから化合物の残基への結合を記すものである)から選択される。
【0050】
本発明の好ましい態様において、kは2、3又は4に等しい。kは、極めて特に好ましくは2又は3に等しい。
【0051】
式(V)〜(X)の化合物の特に好ましい態様は、以下の式(V−1)〜(V−6)、(VI−1)〜(VI−2)、(VII−1)〜(VII−6)、(VIII−1)〜(VIII−2)、(IX−1)〜(IX−3)および(X−1)により表される。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0052】
(ここで、出現する記号は、上で定義した通りであり、さらに
Zは、出現する毎に同一であるか又は異なり、CR
1又はNであり、ここで、2つ以下の隣接する基Zは、同時にNに等しくてもよい。)
基Z、Y、L、R
1、R
2及び添字kの上述の好ましい態様は、式(V−1)〜(V−6)、(VI−1)〜(VI−2)、(VII−1)〜(VII−6)、(VIII−1)〜(VIII−2)、(IX−1)〜(IX−3)および(X−1)の化合物にも適用される。
【0053】
上述の式における芳香族またはヘテロ芳香族環における基Z=CR
1の構成要素としての2つ以上のラジカルR
1は、互いに結合し、芳香族またはヘテロ芳香族環上に縮合されている環を形成してもよい。
【0054】
本発明によるエレクトロルミネッセンスデバイスにおける使用のための化合物が、電子欠乏ヘテロアリール基、芳香族又はヘテロ芳香族環系から、及びアリールアミン基から選択される少なくとも1つの基を置換基R、R
1またはR
2として有することが更に好ましく、ここで、上述の電子欠乏ヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジンおよびベンゾイミダゾール(これらのそれぞれは、上で定義したラジカルの1つ以上により置換されていてもよい)から選択され、上述の芳香族またはヘテロ芳香族環系は、好ましくは、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ベンゾアントラセニル、ピレニル、ビフェニル、テルフェニル及びクアテルフェニル(これらのそれぞれは、上で定義したラジカルの1つ以上により置換されていてもよい)から選択され、上述のアリールアミン化合物は、好ましくは以下の式(A)
【化11】
【0055】
(ここで、記号*は、化合物の残基への結合を記すものであり、更に
Ar
3、Ar
4、Ar
5は上で定義した通りであり、Ar
4およびAr
5は、単結合によりまたは2価の基により互いに連結されていてもよく、
qは、0、1、2、3、4または5であり得る。)の化合物である。
【0056】
本発明による電子デバイスにおける使用のための化合物の例を以下の表に示す。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0057】
本発明は、更に、式(Ic)、(IIc)、(IIIc)または(IVc)の化合物に関し、これらにおいて、Rは以下のように定義される:
Rは、5〜20個の芳香環原子を有する芳香族若しくはヘテロ芳香族環系(この系は、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、又は5〜20個の芳香環原子を有するアラルキル若しくはヘテロアラルキル基(この基は、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)であり、ここで、ラジカルRはさらに、隣接する基Ar
1またはAr
2に単結合を介して又は2価の基Yを介して連結されていてもよい。
【0058】
式(Ic)〜(IVc)の化合物の上述の好ましい態様は、これに関連して同様に好ましい。
【0059】
式(V)〜(X)および(V−1)〜(V−6)、(VI−1)〜(VI−2)、(VII−1)〜(VII−6)、(VIII−1)〜(VIII−2)、(IX−1)〜(IX−3)及び(X−1)の態様が特に好ましい。
【0060】
本発明による化合物のさらにより好ましい態様において、Rは、5〜20個の芳香環原子を有するアリール又はヘテロアリール基(この基は、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)である。
【0061】
本発明による化合物は、例えば、臭素化、鈴木カップリング、ハートウィッグ−ブッフバルトカップリング等などの当業者に公知の合成ステップにより製造することができる。
【0062】
本発明による化合物をもたらす合成経路の例を以下に示す。
【0063】
5または6置換ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オンは、親構造ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オン(CAS[4149−00−2]、特許出願SU 1182043参照)から、非プロトン性またはプロトン性媒体中で塩基を用いた脱プロトン化、並びに対応するアニオンの生成及びこれの求電子剤(「E
+」)との反応によって、得ることができる(スキーム1)。
【化27】
【0064】
例えば、DMF、NMF、DMSOおよびエーテルなどの非プロトン性溶媒中では、典型的に、6−異性体が位置選択的に得られるが、プロトン性溶媒中では5−異性体が得られる。用いることができる求電子剤は、例えば、ハロゲン化アルキル及びアラルキル、スルホネート及びスルフェート、カルボキシレート、カルボン酸無水物及びハロゲン化カルボニル、ケイ素−ハロゲン化合物、リン−ハロゲン化合物、並びにジアジン又はトリアジンなどのハロゲン化電子欠乏ヘテロ環などの広範囲の種類の化合物である(スキーム2)。
【化28】
【0065】
パラジウム又は銅触媒C−Nカップリングの条件下で、ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オンは、更に反応して5−アリール置換誘導体を生ずる(スキーム3)。これは、本発明によるこの種の化合物の製造のためのさらなる可能な合成経路を示す。
【化29】
【0066】
ハロゲン化ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オン(R. D. Carpenterら、J. Org. Chem. 2007年、72巻、1号、284頁参照)は、最初に上に示した方法によりN官能基化し、その後、C−CカップリングまたはC−Nカップリングの従来の方法によりさらに官能基化することができる(スキーム4)。この方法は、スキーム4に示すC−CカップリングまたはC−Nカップリングに限定されない。ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オンの異性体モノ、ジまたはオリゴブロミドを用いることにより、異なる置換パターンを有するスキーム4に示す化合物の複数の誘導体の製造が可能になる。
【化30】
【0067】
6,12−ジヒドロベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリンの親構造へのカルボニル官能基の還元は、例えば、当業者に周知である条件下で水素化リチウムアルミニウムを用いて行わせることができる(W. H. W. Lunn、J. Org. Chem. 1972年、37巻、4号、607頁、スキーム5、第1行)。適切なグリニャール試薬との反応及びその後の酸触媒脱水環化がスピロC原子を有する本発明による化合物をもたらす(スキーム5、第2行)。
【化31】
【0068】
上に示した例は、ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オンの骨格に基づいている(スキーム1を参照のこと)。しかしながら、示した合成方法は、この骨格に限定されない。イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−5(1H)−オン及びピリミド[1,2−a]ベンゾイミダゾール−4(10H)−オン並びにこれらの誘導体も同様に反応させることができ、これらの骨格に基づく本発明による化合物の製造が可能となる。
【0069】
したがって、本発明は、下に示す2つの工程a)及びb)のうちの少なくとも一方を行うことを特徴とする、本発明による式(Ic)〜(IVc)の化合物の製造のための方法に更に関する:
a)ベンゾイミダゾキナゾリン骨格の5−又は6−N原子での脱プロトン化、及びそれに続く求電子化合物との反応、それにより5−又は6−N原子と前記求電子化合物との間に結合を形成する;
b)ハートウィッグ−ブッフバルト又はウルマン条件下での、ベンゾイミダゾキナゾリン骨格の5−又は6−N原子とアリール基Ar(これは出発物質としてAr−Halが用いられる(ここで、Halは、任意の所望の適切な脱離基、例えばハロゲン化物)が用いられる)との間の有機金属カップリング。
【0070】
上述の式(Ic)〜(IVc)の化合物、特に、臭素、ヨウ素、塩素、ボロン酸又はボロン酸エステルなどの反応性脱離基により置換されている化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマー又はポリマーの調製のためのモノマーとして用いることができる。この場合のオリゴマー化または重合は、好ましくは、ハロゲン官能性又はボロン酸官能性を介して行われる。
【0071】
それ故に、本発明は、式(Ic)〜(IVc)の1以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー(ここで、ポリマー、オリゴマー又はデンドリマーへの結合は、式(Ic)〜(IVc)におけるRまたはR
1により置換されている任意の所望の位置に局在化していてもよい)に更に関する。式(Ic)〜(IVc)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマー若しくはポリマーの側鎖の一部または主鎖の一部である。本発明の意味するところにおけるオリゴマーは、少なくとも3個のモノマー単位から形成されている化合物を意味すると理解される。本発明の意味するところにおけるポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から形成されている化合物を意味すると理解される。本発明によるポリマー、オリゴマー又はデンドリマーは、共役型、部分共役型又は非共役型であり得る。本発明によるオリゴマー又はポリマーは、線状、分枝状又は樹枝状であり得る。線状に結合した構造において、式(Ic)〜(IVc)の単位は互いに直接に結合していてもよいし、又はそれらは、2価の基を介して、例えば、置換若しくは無置換アルキレン基を介して、ヘテロ原子を介して又は2価の芳香族若しくはヘテロ芳香族基を介して互いに結合していてもよい。分枝状および樹枝状構造において、式(Ic)〜(IVc)の3個以上の単位が、3価又は多価の基を介して、例えば、3価又は多価の芳香族又はヘテロ芳香族基を介して結合して、分枝状または樹枝状オリゴマー又はポリマーを生じ得る。
式(Ic)〜(IVc)の化合物について上で述べたのと同じ選好が、オリゴマー、デンドリマー及びポリマーにおける式(Ic)〜(IVc)の繰り返し単位に適用される。
【0072】
オリゴマー又はポリマーの調製のために、本発明によるモノマーをホモ重合させる又は更なるモノマーと共重合させる。適切で、好ましいコモノマーは、フルオレン(例えば、EP 842208又はWO 2000/22026による)、スピロビフルオレン(例えば、EP 707020、EP 894107又はWO 2006/061181による)、パラフェニレン(例えば、WO 1992/18552による)、カルバゾール(例えば、WO 2004/070772又はWO 2004/113468による)、チオフェン(例えば、EP 1028136による)、ジヒドロフェナントレン(例えば、WO 2005/014689又はWO 2007/006383による)、シスおよびトランスインデノフルオレン(例えば、WO 2004/041901又はWO 2004/113412による)、ケトン(例えば、WO 2005/040302による)、フェナントレン(例えば、WO 2005/104264又はWO 2007/017066による)または同様に複数のこれらの単位から選択される。ポリマー、オリゴマー及びデンドリマーは、通常、さらなる単位、例えば発光(蛍光又は燐光)単位、例えばビニルトリアリールアミン(例えば、WO 2007/068325による)など、若しくは燐光金属錯体(例えば、WO 2006/003000による)、及び/又は電荷輸送単位、特にトリアリールアミンに基づくものを更に含有する。
【0073】
本発明によるポリマー、オリゴマー及びデンドリマーは、有利な特性、特に長寿命、高効率および良好な色座標を有する。
【0074】
本発明によるポリマー及びオリゴマーは、一般に、1種類以上のモノマー(それらの少なくとも1つは、ポリマーにおける式(Ic)〜(IVc)の繰り返し単位をもたらす)の重合により調製される。適切な重合反応は、当業者に公知であり、文献に記載されている。C−C又はC−N結合をもたらす特に適切で、好ましい重合反応は、以下の通りである。
【0075】
(A)鈴木重合、
(B)山本重合、
(C)スチレ重合、および
(D)ハートウィッグ−ブッフバルト重合
これらの方法により重合が行われ得る手段及びポリマーが次に反応媒体から分離され、精製され得る手段は、当業者に公知であり、文献、例えば、WO 2003/048225、WO 2004/037887及びWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0076】
したがって、本発明は、本発明によるポリマー、オリゴマー及びデンドリマーの調製の方法であって、これらが、鈴木重合、山本重合、スチレ重合又はハートウィッグ−ブッフバルト重合により調製されることを特徴とする方法に更に関する。本発明によるデンドリマーは、当業者に公知の方法により又はそれらと同様に調製することができる。適切な方法は、例えば、Frechet Jean M. J.、Hawker Craig J.、「Hyper-branched polyphenylene and hyperbranched polyesters: new soluble, three-dimensional, reactive polymers」、Reactive & Functional Polymers (1995年)、26巻(1〜3号)、127〜36頁; Janssen H. M.、Meijer E. W.、「The synthesis and characterization of dendritic molecules」、Materials Science and Technology (1999年)、20巻 (Synthesis of Polymers)、403〜458頁; Tomalia Donald A.、「Dendrimer molecules」、Scientific American (1995年)、272巻(5号)、62〜6頁; WO 2002/067343 A1及びWO 2005/026144 A1などの文献に記載されている。
【0077】
本発明は、式(Ic)〜式(IVc)の少なくとも1種の化合物又は式(Ic)〜(IVc)の少なくとも1個の単位を含む少なくとも1つのポリマー、オリゴマー又はデンドリマーと、少なくとも1種の溶媒、好ましくは有機溶媒とを含む製剤に更に関する。
【0078】
本発明による製剤は、例えば、以下の項目においてより詳細に説明する有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造に用いられる。
【0079】
式(I)〜式(IV)の化合物は、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)における使用に適している。置換によって、化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの様々な機能及び様々な層に用いられる。更に、基XまたはX
1の選択は化合物の場合に役割を果たす。
【0080】
例えば、少なくともアリールアミノ基により置換されている本発明による化合物は、ホール輸送又はホール注入材料としての使用に特に適している。更に、ホール輸送又はホール注入材料としての好ましい使用のための化合物の場合において、XまたはX
1が式C(R
1)
2又はNR
1の基を表すことが好ましい。
【0081】
さらに、少なくとも1つの電子欠乏ヘテロアリール基により置換されている本発明による化合物は、燐光ドーパントのマトリックス材料としての使用に及び/又は電子輸送材料としての使用に特に適している。燐光ドーパントのマトリックス材料としての及び/又は電子輸送材料としての好ましい使用のための化合物の場合において、Xが単結合又は式C=O、C=S、C=NR
1、O、S、SO若しくはSO
2の基を表し、あるいはX
1が式C=O、C=S、C=NR
1、O、S、SO若しくはSO
2の基を表すことが更に好ましい。
【0082】
更に、1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族環系により置換されている本発明による化合物は、蛍光ドーパントとしての使用に特に適している。
【0083】
それ故に、本発明は、電子デバイスにおける式(I)〜(IV)の化合物の使用に更に関する。ここで電子デバイスは、好ましくは、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検知器、有機感光体、有機電場消光デバイス(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)及び特に好ましくは有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)からなる群から選択される。
【0084】
本発明は、既に上述したように、有機層が式(I)〜(IV)の化合物を含むことを特徴とする、アノード、カソード及び少なくとも1つの有機層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
【0085】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス層を含む。エレクトロルミネッセンス層は、式(I)〜(IV)の化合物を含み得るが、式(I)〜(IV)の化合物は、デバイスの他の層、例えば、ホール又は電子輸送層にも更にまたはそこにもっぱら存在し得る。
【0086】
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスに任意に存在し得るこれらの他の層は、例えば、各場合において、1つ以上のホール注入層、ホール輸送層、ホール障壁層、電子輸送層、電子注入層、電子障壁層、励起子障壁層、中間層、電荷発生層(IDMC 2003、Taiwan; Session 21 OLED (5)、T. Matsumto、T. Nakada、J. Endo、K. Mori、N. Kawamura、A. Yokoi、J. Kido、Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)及び/又は有機若しくは無機p/n接合から選択される。しかしながら、これらの層のそれぞれが必ずしも存在しなければならないことはなく、層の選択は、使用される化合物に、そして特にエレクトロルミネッセンスデバイスが蛍光性であるか、またはリン光性であるかにも常に依存することを指摘すべきである。
【0087】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、複数の発光層を更に含み得る。これらの発光層は、この場合において、特に好ましくは、380nmと750nmとの間にある全体で複数の発光極大を有し、結果的に全体として白色発光をもたらす、すなわち、蛍光を発する又は燐光を発することができ、青色及び黄色、橙色又は赤色の光を発する様々な発光化合物が発光層において使用される。3つの発光層を有するシステムであって、これらの層の少なくとも1つが、式(I)〜式(IV)の少なくとも1種の化合物を含み、3つの層が、青色、緑色及び橙色又は赤色の発光を示すシステムが特に好ましい(基本構造については、例えば、WO 05/011013号を参照)。或いは及び/又は更に、式(I)〜(IV)の化合物はホール輸送層又は他の層にも存在し得る。広帯域発光帯を有し、そのおかげで白色発光を示すエミッタは、白色発光に同様に適している。
【0088】
本発明によれば、式(I)〜式(IV)の化合物が1種以上の燐光ドーパントを含む電子デバイスに用いられることが好ましい。この場合において、化合物は、様々な層、好ましくはホール輸送層、ホール注入層または発光層において用いることができる。
しかしながら、式(I)〜式(IV)の化合物は、本発明によれば、1種以上の蛍光ドーパントを含む電子デバイスにおいても用いることができる。
【0089】
適切な燐光ドーパント(=三重項エミッタ)は、特に、適切な励起により、好ましくは可視領域における光を放射し、20より大きい、好ましくは38より大きく、84より小さい、特に好ましくは56より大きく、80より小さい原子番号を有する少なくとも1個の原子をさらに含む化合物である。用いられる燐光エミッタは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特にイリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0090】
本発明の目的のために、全ての発光イリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。
【0091】
上述のエミッタの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373及びUS 2005/0258742により明らかにされている。一般的に、燐光OLED用に従来技術によって用いられ、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの分野の当業者に公知である全ての燐光錯体が適切である。当業者は、更なる燐光錯体を、進歩性なしに、本発明による式(I)〜式(IV)の化合物と組み合わせて有機エレクトロルミネッセンスデバイスに用いることもできる。
【0092】
適切な燐光エミッタ化合物の例は、以下の表によって更に明らかにされる。
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【0093】
本発明の好ましい態様において、式(I)〜式(IV)の化合物を1種以上のドーパント、特に燐光ドーパントと組み合わせてマトリックス材料として用いる。
【0094】
ドーパントは、マトリックス材料及びドーパントを含む系において混合物中のその割合が小さい方の成分を意味すると理解される。それに対応して、マトリックス材料は、マトリックス材料およびドーパントを含む系において混合物中のその割合が大きい方の成分を意味すると理解される。
【0095】
発光層におけるマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層については50.0〜99.9容積%、好ましくは80.0〜99.5容積%、特に好ましくは92.0〜99.5容積%であり、燐光発光層については85.0〜97.0容積%である。それに対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層については0.1〜50.0容積%、好ましくは0.5〜20.0容積%、特に好ましくは0.5〜8.0容積%であり、燐光発光層については3.0〜15.0容積%である。
【0096】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスの発光層は、複数種のマトリックス材料(混合マトリックスシステム)及び/又は複数種のドーパントを含むシステムも含み得る。この場合においても、ドーパントは、一般的にシステムにおける割合が小さい方の材料であり、マトリックス材料は、システムにおける割合が大きい方の材料である。しかしながら、個別の場合において、システムにおける個別のマトリックス材料の割合が個別のドーパントの割合より小さいことがあり得る。
【0097】
本発明の好ましい態様において、式(I)〜式(IV)の化合物が混合マトリックスシステムの成分として用いられる。混合マトリックスシステムは、好ましくは2又は3種のマトリックス材料、特に好ましくは2種のマトリックス材料を含む。好ましくは、この場合の2種の材料のうちの一方は、ホール輸送特性を有する材料であり、他の材料は、電子輸送特性を有する材料である。2種のマトリックス材料は、この場合、1:50〜1:1、好ましくは1:20〜1:1、特に好ましくは1:10〜1:1、極めて特に好ましくは1:4〜1:1の比率で存在し得る。混合マトリックスシステムは、1種以上のドーパントを含み得る。ドーパント化合物又は複数のドーパント化合物(全体として)は、本発明によれば、全体としての混合物中で0.1〜50.0容積%の割合、好ましくは全体としての混合物中で0.5〜20.0容積%の割合を有する。それに対応して、マトリックス成分(全体として)は、全体としての混合物中で50.0〜99.9容積%の割合、好ましくは全体としての混合物中で80.0〜99.5容積%の割合を有する。
【0098】
混合マトリックスシステムは、好ましくは燐光有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて用いられる。
【0099】
混合マトリックスシステムのマトリックス成分として本発明による化合物と組み合わせて用いることができる、特に適切なマトリックス材料は、例えば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680による芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシド又は芳香族スルホキシド若しくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えばCBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)、若しくはWO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527若しくはWO 2008/086851に開示されているカルバゾール誘導体、例えばWO 2007/063754若しくはWO 2008/056746によるインドロカルバゾール誘導体、例えば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160によるアザカルバゾール誘導体、例えばWO 2007/137725による双極性マトリックス材料、例えば、WO 2005/111172によるシラン、例えばWO 2006/117052によるアザボロール若しくはボロン酸エステル、例えば、WO 2010/015306、WO 2007/063754若しくはWO 2008/056746によるトリアジン誘導体、EP 652273号もしくはWO 2009/062578による亜鉛錯体、例えばWO 2010/054729によるジアザシロール若しくはテトラアザシロール誘導体、例えば、WO 2010/054730によるジアザホスホール誘導体、又は例えば、WO 2010/136109号によるインデノカルバゾール誘導体である。
【0100】
本発明による化合物を含む混合マトリックスシステムに用いる好ましい燐光ドーパントは、上記表に示した燐光ドーパントである。
【0101】
本発明のさらなる好ましい態様において、式(I)〜式(IV)の化合物をホール輸送材料として用いる。化合物は、ひいては好ましくはホール輸送層および/または正孔注入層に用いる。本発明の意味におけるホール注入層は、アノードに直接的に隣接している層である。本発明の意味するところにおけるホール輸送層は、ホール注入層と発光層との間に位置する層である。ホール輸送層は、発光層に直接的に隣接していてもよい。
【0102】
式(I)〜式(IV)の化合物をホール輸送材料又はホール注入材料として用いる場合、それらに電子受容体化合物、例えば、F
4−TCNQまたはEP 1476881もしくはEP 1596445に記載されている化合物をドープすることが好ましいことがあり得る。本発明の更に好ましい態様において、式(I)〜式(IV)の化合物をUS 2007/0092755に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体と組み合わせてホール輸送材料として用いる。ヘキサアザトリフェニレン誘導体は、この場合に特に好ましくはそれ自体の層に用いる。
【0103】
式(I)〜式(IV)の化合物をホール輸送層におけるホール輸送材料として用いる場合、化合物は、ホール輸送層において純粋な材料として、すなわち、100%の割合で用いることができ、又はそれは、ホール輸送層において1種以上の他の化合物と組み合わせて用いられ得る。
【0104】
本発明の更なる態様において、式(I)〜式(IV)の化合物をエレクトロルミネッセンス層における蛍光ドーパントとして用いる。この場合において、化合物を好ましくは緑色または青色エミッタとして用いる。
【0105】
蛍光ドーパントとしての式(I)〜式(IV)の化合物と組み合わせて用いる好ましいマトリックス材料は、以下の項の1つで述べる。
【0106】
本発明による電子デバイスにおける各機能のために好ましくは用いられる材料を下で述べる。
【0107】
好ましい蛍光エミッタ材料は、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテル及びアリールアミンのクラスから選択される。モノスチリルアミンは、1つの置換又は無置換スチリル基及び少なくとも1種の好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると理解される。ジスチリルアミンは、2つの置換または無置換スチリル基及び少なくとも1種の好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると理解される。トリスチリルアミンは、3つの置換または無置換スチリル基及び少なくとも1種の好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると理解される。テトラスチリルアミンは、4つの置換または無置換スチリル基及び少なくとも1種の好ましくは芳香族アミンを含む化合物を意味すると理解される。スチリル基は、特に好ましくはスチルベンであり、これはまた、さらに置換されていてもよい。対応するスチリルホスフィン及びスチリルエーテルは、アミンと同様に定義される。本発明の意味におけるアリールアミン又は芳香族アミンは、窒素に直接結合した3つの置換若しくは無置換芳香族又はヘテロ芳香族環系を含む化合物を意味すると理解される。これらの芳香族又はヘテロ芳香族環系の少なくとも1つは、特に好ましくは少なくとも14個の芳香環原子を有する好ましくは縮合環系である。その好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミン又は芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、1つのジアリールアミノ基がアントラセン基の好ましくは9位に直接結合している化合物を意味すると理解される。芳香族アントラセンジアミンは、2つのジアリールアミノ基がアントラセン基の好ましくは9,10位に直接結合している化合物を意味すると理解される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、それらと同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくはピレンの1位又は1,6位に結合している。更に好ましいエミッタ材料は、例えば、WO 2006/122630によるインデノフルオレンアミン又はインデノフルオレンジアミン、例えば、WO 2008/006449によるベンゾインデノフルオレンアミン又はベンゾインデノフルオレンジアミン、および例えば、WO 2007/140847によるジベンゾインデノフルオレンアミン又はジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。スチリルアミンのクラスのエミッタ材料の例は、置換若しくは無置換トリスチルベンアミン又はWO 2006/000388、WO 2006/058737、WO 2006/000389、WO 2007/065549及びWO 2007/115610に記載されているエミッタ材料である。WO 2010/012328に開示されている縮合炭化水素が更に好ましい。
【0108】
更に、式(I)〜式(IV)の化合物を好ましくは蛍光エミッタ材料として用いる。
【0109】
適切なエミッタ材料は、更に、以下の表に示す構造並びにJP 2006/001973、WO 2004/047499、WO 2006/098080、WO 2007/065678、US 2005/0260442及びWO 2004/092111に開示されているこれらの構造の誘導体である。
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【0110】
好ましくは蛍光ドーパント用の適切なマトリックス材料は、様々なクラスの物質由来の材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレンのクラス(例えば、EP 676461による2,2’,7,7’−テトラフェニルスピロビフルオレン又はジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(例えば、EP 676461によるDPVBi又はスピロDPVBi)、多脚型金属錯体(例えば、WO 2004/081017による)、ホール伝導性化合物(例えば、WO 2004/058911による)、電子伝導性化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(例えば、WO 2005/084081及びWO 2005/084082による)、アトロプ異性体(例えば、WO 2006/048268による)、ボロン酸誘導体(例えば、WO 2006/117052による)又はベンゾアントラセン(例えば、WO 2008/145239による)から選択される。適切なマトリックス材料はさらに好ましくは本発明による化合物である。本発明による化合物以外に、特に好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセン及び/又はピレン又はこれらの化合物のアトロプ異性体を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシド並びにスルホキシドのクラスから選択される。非常に特別に好ましいマトリックス材料は、本発明による化合物以外では、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン及び/又はピレン又はこれらの化合物のアトロプ異性体を含むオリゴアリーレンのクラスから選択される。本発明の意味するところにおけるオリゴアリーレンは、少なくとも3つのアリールまたはアリーレン基が互いに結合している化合物を意味すると理解するものとする。
【0111】
好ましくは蛍光ドーパント用の適切なマトリックス材料は、例えば、以下の表に示す材料並びにWO 2004/018587、WO 2008/006449、US 5935721、US 2005/0181232、JP 2000/273056、EP 681019、US 2004/0247937及びUS 2005/0211958に開示されているようなこれらの材料の誘導体である。
【化45】
【化46】
【化47】
【0112】
式(I)〜(IV)の化合物は別として、本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスのホール注入若しくはホール輸送層に又は電子輸送層に用いることができるような適切な電荷輸送材料は、例えば、Y. Shirotaら、Chem. Rev.、2007年、107巻(4号)、953〜1010頁に開示されている化合物又は従来技術によるこれらの層に用いられる他の材料である。
【0113】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスのカソードは、好ましくは低い仕事関数を有する金属、例えば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属若しくはランタノイド(例えば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)などの様々な金属を含む金属合金又は多層構造を含む。また適切なものは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属及び銀を含む合金、例えば、マグネシウム及び銀を含む合金である。多層構造の場合、例えば、Ag又はAlなどの比較的に高い仕事関数を有するさらなる金属も前記の金属に加えて用いることができ、この場合、例えば、Ca/Ag、Ba/Ag又はMg/Agなどの金属の組合せが一般的に用いられる。金属カソードと有機半導体との間に高い誘電率を有する材料の薄い中間層を導入することも好ましいことがあり得る。この目的のために適切なものは、例えば、アルカリ金属フッ化物又はアルカリ土類金属フッ化物であるが、対応する酸化物または炭酸塩(例えば、LiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、CsCO
3等)もそうである。さらに、この目的のためにリチウムキノリネートを用いることができる。この層の層厚は好ましくは0.5〜5nmである。
【0114】
アノードは好ましくは高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは真空に対して4.5eVを超える仕事関数を有する。この目的のために適切なものは、一方で、例えば、Ag、Pt又はAuなどの高い酸化還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)も好ましいことがあり得る。いくつかの応用分野について、有機材料の照射(有機太陽電池)または光のカップリングアウト(OLED、O−レーザー)を促進するために、電極の少なくとも1つは透明又は部分的に透明でなければならない。この場合の好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。インジウムスズ酸化物(ITO)又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。伝導性のドープされた有機材料、特に伝導性のドープされたポリマーが更に好ましい。
【0115】
デバイスは、(応用分野に応じて)適切に構造化され、接点が設けられ、最後にシールされる。その理由は、本発明によるデバイスの寿命は、水及び/又は空気の存在下で短くなるからである。
【0116】
好ましい態様において、本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、1つ以上の層が昇華法により施されることを特徴とし、この場合に材料が真空昇華装置中で10
-5mbar未満、好ましくは10
-6mbar未満の初期圧力で蒸着により付着する。しかし、この場合に初期圧力が例えば10
-7mbar未満とより低くすることも可能である。
【0117】
1つ以上の層がOVPD(有機気相成長)法又はキャリアガス昇華法(この場合、材料を10
-5mbarから1barの圧力で付着させる)により適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスが同様に好ましい。この方法の特殊な例は、OVJP(有機気相ジェットプリンティング)法であり、この場合、材料がノズルを通って直接適用され、それにより構造化される(例えば、M. S. Arnoldら、Appl. Phys. Lett.、2008年、92巻、053301頁)。
【0118】
1つ以上の層が、例えば、スピンコーティングなどにより、又は例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷もしくはオフセット印刷、更に特に好ましくはLITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)若しくはインクジェット印刷などの所望の印刷法により、溶液から形成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスが更に好ましい。式(I)〜式(IV)の可溶性化合物がこの目的のために必要である。高い溶解度は、化合物の適切な置換により達成することができる。
【0119】
本発明による有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造のために、溶液から1つ以上の層を、昇華法により1つ以上の層を付着させることがさらに好ましい。
【0120】
式(I)〜式(IV)の1種以上の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、本発明により、ディスプレーにおいて、照明応用分野における光源として、医療及び/又は美容適用分野(例えば、光線療法における)における光源として用いることができる。
【0121】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける式(I)〜式(IV)の化合物の使用により、以下に示す利点の1つ以上を達成することができる。
【0122】
−燐光エミッタ用のマトリックス材料としての式(I)〜式(IV)の化合物の使用により、デバイスの高い出力効率および低い動作電圧を達成することができる。
【0123】
−好ましくはホール輸送層におけるホール輸送材料としての式(I)〜式(IV)の化合物の使用により、デバイスの高い出力効率および低い動作電圧を達成することができる。
【0124】
−式(I)〜式(IV)の化合物を用いて、長寿命を有するデバイスを製造することができる。
【0125】
式(I)〜式(IV)の化合物の使用は、ホール輸送材料及び燐光エミッタ用のマトリックス材料などの機能に限定されない。例えば、電子輸送材料及び/又は混合マトリックスシステムにおけるマトリックス材料としての使用がさらに可能である。
【0126】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、それによって、明示的に開示する実施例に本発明が限定されることを意味するものではない。
【0127】
使用例
A)合成例
以下の合成は、特に示さない限り、保護ガス雰囲気下乾燥溶媒中で行う。溶媒及び試薬は、ALDRICHまたはABCRから購入することができる。ベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オン[4149−00−2]は、SU 1182043に従って調製し、6,12−ジヒドロベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン[32675−34−6]は、W. H. W. Lummら、J. Org. Chem.、1972年、37巻、4号、607頁に従って調製し、5H−ベンゾイミダゾ[1,2−a]ベンゾイミダゾール[28890−99−5]は、A. Reddouaneら、Bull, Soc. Chim. Belges、96巻、10号、787頁、1987年に従って調製した。
【0129】
23.5g(100mmol)のベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オン、34.0g(110mmol)の1−ブロモ−3,5−ジフェニルベンゼン[103068−20−8]、20.7g(150mmol)の炭酸カリウム、3.8g(20mmol)のヨウ化銅、200gのガラスビーズ(直径3mm)及び300mlのNMPの混合物を激しく撹拌しながら200℃で20時間加熱する。冷却後、200mlの水及び200mlのエタノールの混合物を加え、混合物をさらに30分間撹拌し、ガラスビーズを分離するために懸濁液をスロット付きフリットを通してろ過し、次いで、固体を吸引によりろ別し、毎回100mlのエタノールで3回洗浄し、真空中で乾燥する。固体を、酸化アルミニウム床(酸化アルミニウム、塩基性、活性グレード1)を通してのo−キシレンによる連続熱抽出にかけ、その後、NMPから5回、o−ジクロロベンゼンから3回再結晶し、次いで、真空中の分別昇華(圧力約10
-5mbar、温度約320℃)にかける。収量:21.3g(46mmol)、46%;純度:HPLCにより99.9%
以下の化合物が同様に調製される。
【化49】
【化50】
【化51】
【0131】
300mlのDMF中23.5g(100mmol)のベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン−12(6H)−オン、2.6g(110mmol)の水素化ナトリウム及び29.4g(110mmol)の1−クロロ−3,5−ジフェニルトリアジン[3842−55−5]の懸濁液を120℃で16時間撹拌する。冷却後、100mlのエタノールを滴下し、次いで100mlの水を加え、固体を吸引によりろ別し、毎回100mlのエタノール/水(1:1、vv)の混合物で3回、毎回100mlのエタノールで3回洗浄し、次いで、真空中で乾燥する。NMPからの固体の3回の再結晶の後、生成物をo−ジクロロベンゼンからさらに数回再結晶し、次いで、真空中の分別昇華(圧力約10
-5mbar、温度約340℃)にかける。収量:30.2g(67mmol)、67%;純度:HPLCにより99.9%
以下の化合物が同様に調製される。
【化53】
【0132】
例12:ホール伝導体HTM12
【化54】
【0133】
7.6g(200mmol)の水素化リチウムアルミニウムを、1000mlのジエチレングリコールジメチルエーテル中46.4g(100mmol)の6−[1,1;3’,1”]−テルフェニル−5’−イル−6,12−ジヒドロベンゾイミダゾ[2,1−b]キナゾリン(例1)の0℃に冷却した激しく撹拌した懸濁液に少しずつ加える。反応混合物を4時間にわたって室温まで徐々に加温し、次いで、更に12時間撹拌する。7.6mlの水と50mlのジエチレングリコールジメチルエーテルとの混合物、7.6mlのNaOH溶液(10重量%)および次に23.0mlの水を反応混合物に激しく撹拌しながら滴下する。塩を吸引によりろ別し、100mlのジエチレングリコールジメチルエーテルですすぎ、真空中で除去する。NMPからの5回の固体の再結晶の後、生成物を真空中の分別昇華(圧力約10
-5mbar、温度約320℃)にかける。収量:17.5g(39mmol)、39%;純度:HPLCにより99.9%
以下の化合物が同様に製造される。
【化55】
【0134】
例15:ホール伝導体HTM15
【化56】
【0135】
20.7g(100mmol)の5H−ベンゾイミダゾ[1,2−a]ベンゾイミダゾール、34.0g(110mmol)の1−ブロモ−3,5−ジフェニルベンゼン[103068−20−8]、20.7g(150mmol)の炭酸カリウム、3.8g(20mmol)のヨウ化銅、200gのガラスビーズ(直径3mm)及び300mlのNMPの混合物を激しく撹拌しながら200℃で20時間加熱する。冷却後、200mlの水及び200mlのエタノールの混合物を加え、混合物をさらに30分間撹拌し、ガラスビーズを分離するために懸濁液をスロット付きフリットを通してろ過し、次いで、固体を吸引によりろ別し、毎回100mlのエタノールで3回洗浄し、真空中で乾燥する。固体を、酸化アルミニウム床(酸化アルミニウム、塩基性、活性グレード1)を通してのo−キシレンによる連続熱抽出にかけ、その後、NMPから2回、o−ジクロロベンゼンから5回再結晶し、次いで、真空中の分別昇華(圧力約10
-5mbar、温度約310℃)にかける。収量:9.6g(22mmol)、22%;純度:HPLCにより99.9%
B)デバイス例
例16:OLEDの製造
本発明によるOLED及び従来技術によるOLEDを国際公開第WO 04/058911による一般的方法(ここで説明した状況(層厚の変化、使用する材料)に適応させた)により製造する。
【0136】
種々のOLEDに関する結果を下の例17〜35に示す(表1、2および3参照)。150nmの厚さの構造化ITO(インジウムスズ酸化物)で被覆したガラスプレートを、加工の改善のために、20nmのPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)、水からのスピンコーティングにより塗布;H.C.Starck(Goslar、Germany)から購入)で被覆する。これらの被覆ガラスプレートは、OLEDを付着させる基板を構成している。OLEDは、基本的に次の層構造を有する:基板/ホール注入層(HIL1、HIL1を含む、20nm)/ホール輸送層(HTL、HTM1(参照)又は本発明によるHTMsを含む、20nm)/電子障壁層(EBL、20nm)/発光層(EML、本発明によるマトリックス材料M1〜M11Mを含む、40nm)/電子輸送層(ETL、ETL1を含む、20nm)/電子注入層(EIL、LiFを含む、1nm)及び最後にカソード。カソードは、100nmの厚さを有するアルミニウム層により形成されている。OLEDの詳細な構造、特にホール伝導又はエミッタ層の構造および燐光エミッタのマトリックス材料としての本発明による化合物の使用によりこれらのOLEDにより得られた結果を、緑色発光OLEDについては表1に示し、青色発光OLEDについては表2に示す。表3に燐光エミッタのマトリックス材料としての、またホール輸送材料としての本発明による化合物の使用の結果を示す。
【0137】
OLEDの製造のために用いた材料を表4に示す。
【0138】
全ての材料は、真空チャンバー中で熱蒸着により付着される。発光層は、この場合、常に少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)及び発光ドーパント(ドーパント、エミッタ)(これとマトリックス材料または複数のマトリックス材料が特定の体積比率で共蒸発により混合される)からなっている。
【0139】
まだ最適化されていないOLEDに対し標準的な方法により特性決定を行う。この目的のために、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(cd/A単位で測定)及び電圧を測定する。表に示す効率および電圧は、1000cd/m
2の動作輝度における対応する値に関連する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0140】
上に示した例から明確に明らかなように、本発明による材料は、燐光エミッタのマトリックス材料としての及びホール伝導体としての使用に特に適しており、ここで、それらは、高い効率および低い動作電圧をもたらす。