(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882349
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】自動車用のベルトユニットおよびベルトユニットを有する風洞天秤
(51)【国際特許分類】
G01M 9/04 20060101AFI20160225BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
G01M9/04
G01M17/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-539163(P2013-539163)
(86)(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-501914(P2014-501914A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2011005766
(87)【国際公開番号】WO2012065723
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】102010044058.2
(32)【優先日】2010年11月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513110296
【氏名又は名称】エムアーハーアー アーイーペー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】クネステル,アントン
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,クリスチアン
【審査官】
後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102005031446(DE,A1)
【文献】
特開2009−074939(JP,A)
【文献】
特開平02−236137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 9/00−10/00
G01M 17/00−17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風洞における自動車に作用する力およびモーメントを測定するための自動車用のベルトユニットであって、
第1のドラム(2)と第2のドラム(3)を有し、前記第1および第2のドラム(2、3)にエンドレスベルト(4)がループしている少なくとも1つのベルトユニット(1)と、
前記第1および第2のドラム(2、3)の間で前記エンドレスベルト(4)の上側搬送部分の下に配置された、前記エンドレスベルト(4)をサポートするベッド(5)と、を備え、
前記ベッド(5)は上面(6)を備え、前記上面(6)は、前記ドラムの外側面(7、8)の上側の接線方向の接続線(9)の上方の所定の距離ALに配置され、
前記エンドレスベルト(4)が配設された前記ベッド(5)の前記上面(6)と実質的に平坦となる上面(17)を有する試験スタンドカバー(15)を備えることを特徴とするベルトユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトユニットにおいて、
前記ベッド(5)の前記上面(6)は、外側に膨らんだ形状を備えることを特徴とするベルトユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のベルトユニットにおいて、
前記ベッド(5)に対向した、前記試験スタンドカバー(15)の端部領域(15a)がそれぞれのドラム(2、3)の上方に配置されていることを特徴とするベルトユニット。
【請求項4】
請求項1または2に記載のベルトユニットにおいて、
前記エンドレスベルト(4)が前記ドラム(2、3)と前記ベッド(5)の間に延びる部分が前記試験スタンドカバー(15)の端部領域(15a)と前記ドラム(2、3)の間に配置されていることを特徴とするベルトユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のベルトユニットにおいて、
前記試験スタンドカバー(15)で覆われていない前記エンドレスベルト(4)の開放された面(22)は、実質的に前記エンドレスベルト(4)に戴置された車両タイヤの車輪荷重面積の大きさに前記自動車の設置位置許容誤差を加えた大きさに一致することを特徴とするベルトユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のベルトユニットにおいて、
前記ベッド(5)は台形のベッドであり、少なくとも部分的に多孔質の材質から成り、流体が当てられることを特徴とするベルトユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のベルトユニットにおいて、
前記ベッド(5)の前記上面(6)は2つの傾斜した第1の領域(10)と1つの平坦な真っ直ぐに延びる第2の領域(11)とを備え、前記第2の領域は前記第1の領域(10)の間に配置されていることを特徴とするベルトユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のベルトユニットにおいて、
前記平坦な真っ直ぐに延びる第2の領域(11)と前記傾斜した第1の領域(10)のそれぞれとの間の移行部(21)の半径は、前記エンドレスベルト(4)の許容最小曲げ半径と同じかまたはこれより大きいことを特徴とするベルトユニット。
【請求項9】
請求項7に記載のベルトユニットにおいて、
前記平坦な真っ直ぐに延びる第2の領域(11)と前記傾斜した第1の領域(10)のそれぞれとの間の移行部(21)の半径は、前記ドラム(2、3)の半径と同じかまたはこれより大きいことを特徴とするベルトユニット。
【請求項10】
請求項7に記載のベルトユニットにおいて、
前記第1の領域(10)は円弧状に形成されており、前記第1の領域の半径は、前記エンドレスベルト(4)の最小の許容曲げ半径と同じかまたはこれより大きく、および/または前記ドラム(2、3)の半径と同じかまたはこれより大きいことを特徴とするベルトユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のベルトユニットにおいて、
前記ベッド(5)の平坦な前記第2の領域(11)は、実質的に前記上側の接続線(9)に対し平行に延びることを特徴とするベルトユニット。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のベルトユニットにおいて、
前記ベッド(5)は、第1および第2の放射状部分(13、14)を備え、これらの半径は前記ドラム(2、3)の半径と同じかまたはこれより大きいことを特徴とするベルトユニット。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のベルトユニットにおいて、
前記試験スタンドカバー(15)は、前記ベッド(5)あるいは前記エンドレスベルト(4)の前記試験スタンドカバー(15)で覆われていない開放された面に対向した側に、楔状端部領域(16)を備えることを特徴とするベルトユニット。
【請求項14】
請求項7に記載のベルトユニットにおいて、
前記試験スタンドカバー(15)の楔状端部領域(16)は、前記エンドレスベルト(4)が配設された前記ベッド(5)の前記上面(6)と実質的に平坦となるように配置された、真っ直ぐに延びる前記上面(17)と、前記ベッド(5)の傾斜した前記第1の領域(10)に実質的に一致して延びている下面(18)とを有し、前記楔状端部領域(16)は、前記ベッド(5)に向かって実質的に尖端として延びていることを特徴とするベルトユニット。
【請求項15】
請求項7に記載のベルトユニットにおいて、
細幅のエンドレスベルト(4)を用いる場合、前記ドラム(2、3)の間の間隙において長手方向に延びたカバープレート(30)が配設され、前記カバープレート(30)は、前記ベッド(5)の平坦な前記第2の領域(11)の上を走行する前記エンドレスベルト(4)の上面あるいは外面と実質的に平坦となるように配置されることを特徴とするベルトユニット。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載のベルトユニットを有する風洞天秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のコンベヤベルトシステムを備えた風洞天秤のベルトユニットに関し、とりわけ風洞における自動車に作用する力とモーメントを測定するための装置に関する。この際、台形のベッド(支持台)(Trapezlager)を通常のゼロ位置に対して上昇し、これに伴って調整された試験台カバーにより、風の当たる面積が最小となるようにされる。ベルト試験台のエンドレスベルトの風の当たる面積は、必要な車輪荷重面積(Reifenlatsch、タイヤ接触面積)を僅かに越える程度の値に低減される。これにより、誤り力(Fehlerkrafte)をさらに低減することができ、コンベヤベルトシステムを備えた風洞天秤および/または風洞天秤に用いられたベルト試験スタンドの測定確度を大幅に高めることができる。
【背景技術】
【0002】
たとえば、DE102008019699A1には、自動車のベルト試験スタンドが開示されており、このベルト試験スタンドは第1のドラムと第2のドラムを有するベルトユニットを備えている。これらのドラムの1つは駆動され、もう一方のドラムはエンドレスベルトを介して連れ回されている。これらのドラムの間には、油圧シリンダが配設されており、この油圧シリンダは、ピストンの移動方向により、駆動ドラム(Lauftrommel)と自由回転ドラム(Leertrommel)の間の距離を大きくしたり縮めたりして、エンドレスベルトの張力を高くあるいは低くする。さらに、1つのドラムはベルト駆動装置に固定されて配設されており、もう一方のドラムは可動に配設されていることが示されている。さらに、1つのベッド(Lager)が示されており、その上面がこれらのドラムの間に配置されている。ここで、このベッドの上面は、これらのドラムの上側の接線方向を結ぶ線に揃えられている。
【0003】
DE19702421C2には、自動車またはその部品に作用する力およびモーメントを測定する試験スタンドが開示されており、ここで車輪ベルトユニット(Radbandeinheit)がウェイトブリッジ(Waagenbrucke)の上に搭載されている。上昇する支持柱(Schwellenstutze)がさらにウェイトブリッジの上に自立している。しかしながら、荷重されないベースプレート(Grundplatte)における空隙が比較的大きくなっているため、誤り力を生じる大きな面積が露出されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術の欠点は、空気の流れに露出されたベルト試験スタンドの面積が比較的大きいので、誤った力が試験スタンドによって測定されることである。
【0005】
自動車の流体力学的特性を最適化するため、自動車をいわゆる風洞において実際の風の状態に暴露するようにする。この際には、車体の回りと床板(Unterboden)において、流れの状態ができるかぎり現実に近くなるようにすることが重要である。
【0006】
このような理由から、車両は一般的なローラ試験スタンドでなく、いわゆるフラットベルト装置(ベルト試験スタンド)の上に戴置される。これは、これらのフラットベルト装置がベースプレートに平坦となるように設置できるからである。
【0007】
試験装置の中央にはいわゆるセンターベルト(Mittenlaufband)が組み込まれている。このセンターベルトは、原則として空気の流れと同じ速度で駆動される。これにより、自動車の床板に実際に近い圧力状態が設定される。流体が流れ込んでいる間は、車両の力はX(前方から)、Y(側方から)および揚力Zで測定される。ここで揚力とは流体の流れ込みが無い場合の通常の重量と、流体の流れ込みがある場合の重量の差である。X、Y、Z方向の3つの力に対応して、梃子(Hebelarme)の関係からX、Y、Z方向の対応した3つのモーメントが求められるので、このような装置は6分力天秤と呼ばれている。
【0008】
作用するX方向の力によって、車両がベルトユニットからずれることもあるので、上昇する支持柱(Schwellenstutze、いわゆる「ロッカーパネル」)を介してこの車両を支持する必要がある。この際、4つの車輪ベルトユニットと4つの上昇する支持柱はウェイトブリッジのフレーム(Wiegerahmen)に取付けられている。プラットフォームの他の全ての部品は荷重されない試験スタンド構造に接続されている。
【0009】
理想的には、上側から視認できるベルトの荷重面積は、試験測定される自動車のそれぞれの車輪のタイヤ接触面積(Reifenlatsch)と全く同じ大きさである。これは当然理論的にのみ実現できる。実際には、これらの車輪ベルトユニットは、明らかにタイヤ接触面積より大きい。これにより、車輪ベルトユニットおよび風洞天秤の部分が、車両あるいは車両の下部において生じる流れの状態に暴露される。生じた圧力状態および露出された面積に応じて、誤り力(Fehlerkrafte)が生じ、この誤り力が実際の揚力(Auftrieb)または負の揚力(Abtrieb)に加算される。
【0010】
本発明の目的は、とりわけ風洞において自動車に作用する力およびモーメントを測定するための自動車のベルト試験スタンドを作り上げることであり、このベルト試験スタンドがより良い測定確度を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、とりわけ独立請求項1の構成による、風洞において自動車に作用する力およびモーメントを測定するためのベルトユニットあるいは装置によって実現される。従属請求項は本発明の有利な実施形態に関するものである。
【0012】
上記の目的は、ドラムの外面の上側を接線方向に結ぶ線の上方の所定の距離A
Lに配置されたエンドレスベルトをサポートするベッド(Lager)により実現される。このベッドは第1および第2のドラムの間のエンドレスベルトの上側搬送部分(Obertrum)の下方に配置されている。このベッドを元々の通常のゼロ位置より上に持ち上げることにより、ベルト試験スタンドあるいはエンドレスベルトが風に当たる面積を最小にすることができる。これは、上記のベッドに合わせられた試験スタンドカバー(Borde)の端部が、各々のドラムの上側あるいは上方に設けられること、およびこれによりベッドの近傍に設けられることからによる。このベッドに合わせられた試験スタンドカバーの端部は、ドラムの回転軸によって構成される領域の内側に設置される。風の流れに暴露されたベルト試験スタンドの面積は、実質的に試験スタンドカバーから露出しているベッドの領域で決定される。この領域が本発明の解決方法により最小とされることができ、生じるタイヤ接触面積に近づくように小さくすることができる。
【0013】
以上により、上記の利点がもたらされる。すなわち、露出された面積が最小とされ、これにより生じる誤り力が低減される。風洞に設置された風洞天秤あるいはベルトユニットは、この結果さらに正確かつ高精度の測定値を得ることができる。
【0014】
ベッドの上面は外側に膨らんだ形状を有してもよい。これにより、流れに露出される面積を最小とすることができるが、これはこの形状により、試験スタンドカバーに近づくようにベッドの上面に形成される必要なタイヤ接触面積を押し上げることができるからである。
【0015】
ベッドはいわゆる台形のベッドであってよい。このベッドは少なくとも部分的に多孔質の材料から成り、流体、好ましくは空気が当てられる。ベッドを空気ベアリングとして構成することにより、エンドレスベルトとベッドとの摩擦を大幅に低減することができる。これにより、車両の車輪に進行方向に作用する力に関する測定結果の確度を高めることができる。
【0016】
ベッドの上側は2つの傾斜した第1の領域と、1つの平坦な領域であって真っ直ぐに延びた第2の領域を備え、この第2の領域は2つの第1の領域の間に設けられている。このようにベッドを構成することにより、ベッドに対向する試験スタンドの端部は真っ直ぐに延びた第2の領域に近づいて、空気の流れに露出されたエンドレスベルトの面積を最小とすることができる。
【0017】
この第1の領域と第2の領域の間の移行部の半径はエンドレスベルトの最小許容曲げ半径と同じかまたはこれより大きくてよい。この移行部の半径はドラムの半径と同じかまたはこれより大きくてよい。移行部をこのように構成することにより、好ましくは鋼製ベルトであるエンドレスベルトの疲労強度が維持される。これは許容される曲げ半径を下回らないからである。
【0018】
ここで強調しておくが、2つの傾斜した第1の領域は所定の半径で第2の領域に連接することができ、ここでこの半径は第1の領域の外側の端部まで達するものであってよい。この半径は移行部から第1の領域の端部に至る経路に渡ってよい。ここで、この半径は平坦に走る部分となってもよく、および/または任意に変化されてもよい。
【0019】
ベッドの平坦な第2の領域は、ドラムの外面の上側の接線方向を結ぶ線に実質的に平行に配置されている。これにより、ベッドの上でエンドレスベルトの対称的な走行が保証される。
【0020】
さらに、ベッドは下側に第1および第2の放射状部分を有し、これらの半径はドラムの半径と同じかまたはこれより大きくともよい。このようなベッド下側の構成により、一方ではドラムの間あるいは上側においてベッドを最適に配置することが確実にされ、他方では流れの乱れの発生を最小とすることができる。
【0021】
さらに、試験スタンドカバーは、ベッドあるいはエンドレスベルトの開放された領域に対向した側に、楔型の端部領域を備える。このいわゆる「眼鏡ブレード」(試験スタンドカバーは「眼鏡」と呼ばれている)はベッドの上面と平行に配置された上面を有することができる。試験スタンドカバーの上面は、ここではベッド自体の上面よりもエンドレスベルトの厚みD
Bだけ高く配置されてよい。これにより、試験スタンドカバーからベッドの上を走行するエンドレスベルトそして再び試験スタンドカバーとなる同一平面状の面を確実に得ることができる。これにより、発生する乱流および誤り力を実質的に最小とすることができる。ここでは、眼鏡ブレードも寄与しており、この眼鏡ブレードはそれぞれの試験スタンドカバーの端部での下面で、ベッドの傾斜した第1の領域と一致した形状を有している。ここで、たとえば、保持すべき公差に応じて、内側すなわち試験スタンドカバーの楔形状の端部の先端とエンドレスベルトとの距離を1から2mmとすることができる。移行部の最小半径および/または傾斜した第1の領域の最小半径については、たとえば直径280mmのドラムでは、最小半径は140mmとなる。エンドレスベルトの厚みは、ここではたとえば0.3mmである。
【0022】
ドラム外面上側を接線方向に結ぶ線より持ち上げられたベッドと、この代替あるいは追加として対応する傾斜した第1の領域の形状と、この代替あるいは追加として、ベッドの傾斜した第1の領域と実質的に一致して延在する下面を有する端部領域を備えた試験スタンドカバーとを備えた本発明によって、これを風洞で使用することにより、力および/またはモーメントの高い確度での測定を実現することができる。これによって、とりわけエンドレスベルトの空気の流れに露出した面積が大幅に極小化され、この面積の大きさと形状は生成されたタイヤ接触面積に極めて近くなるようにすることができる。さらに、全ての邪魔な流れあるいは乱流を大幅に低減できる。これは、試験スタンドカバーの端部領域を、ベッドの上面の端部領域の外側に極めて接近して内面が一致するように、近づけることができるためである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下に例として本発明の実施形態を、以下の概略図を用いて詳しく述べる。
【
図1】試験スタンド全体を上側から見た概略図である。
【
図3】本発明によるベルトユニットの概略図である。
【
図3a】
図3に示すベルトユニットの概略図である。
【
図4】台形のベッドを備えたベルトユニットの概略図であり、この台形のベッドはそれぞれのドラムより小さい幅を有している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に試験スタンド23の全体を上から見た図を示す。丸いベースプレート(Grundplatte)24は、たとえば空気ノズル25に対して±185°で回転可能であり、ベルトユニット1に戴置された自動車(不図示)にあらゆる方向から吹き付けることが可能である。
【0025】
さらに、車両の下側にセンターベルト(Mittenband)26が配設されている。このセンターベルト26は、自動車の試験状態をさらに最適なものとするために駆動することができる。図示された4つのベルトユニット1は、自動車のホイールベース(Fahrzeugachsabstand)に対応して事前に設定できるように、少なくとも進行方向で調整可能である。これにより空いた空間は、シャッターや対応した嵌め込みタイル(Einlegteile)によってカバーされる。
【0026】
図2には、ベルトユニット1を異なる方向から見た図を示す。ここでは従来技術による実施形態を示している。1つの第1のドラム2と1つの第2のドラム3が示されており、これらのドラムはエンドレスベルト4を搬送し、駆動あるいは制動する。エンドレスベルト4の開放された面22は、ベッド5によってサポートされ、このエンドレスベルト4が車両の車輪による力の作用の下で車輪に対し平坦な面を形成する。
【0027】
両方のドラム2、3は量りフレーム(Wiegerahmen)28に取付けられている。さらに、試験スタンドカバー15が設けられており、これはエンドレスベルト4あるいはドラム2、3に接している。すなわち試験スタンドカバー15は、全体として平坦な面(試験スタンドカバー15の上面 − エンドレスベルトの上面 − 試験スタンドカバー15の上面)を形成するように構成されている。風に露出されたエンドレスベルト4の面積は、しかしながら実質的にベッド5の上の利用可能な面積より大きい。これは誤り力をもたらすが、流れに露出された試験スタンドの面積が絶対に必要な面積より大きいからである。
【0028】
図3は本発明によるベルトユニット1を示すが、ここでは流れに露出された面積(開放された面22)は従来技術(
図2)と比較して大幅に小さく形成されている。これは持ち上げられたベッド5(Trapezlager、台形のベッド)を用いることで達成される。
【0029】
図3aには、本発明によるベルトユニット1の概略側面図を示す。ベッド5の上面6は、この上面6がドラムの外側面7、8の上側の接線方向の接続線9の上方の所定の距離A
Lに配置されるように設定される。
【0030】
エンドレスベルト4はベッド5の上面6の上を走行するので、ベッド5の上面6とこの上を走行するエンドレスベルト4との距離の合計はA
L+D
B(D
B=エンドレスベルト4の厚み)となる。ベッド5の左右に配置された試験スタンドカバー15は上面17を有し、この上面17はベッド5の上面6と、この上を走行するエンドレスベルト4とともに、同一平面となっている。すなわち、試験スタンドカバー15の上面17は、エンドレスベルト4の上面と実質的に1つの平面となっており、このエンドレスベルト4はベッドの上面6の上あるいは平坦に延びたたベッド5の第2の領域11の上で走行あるいは戴置される。
【0031】
試験スタンドカバー15の楔状の端部領域16、いわゆる眼鏡ブレード(Brillenmesser)は、ここでベッド5のそれぞれの傾斜領域10と実質的に一致して延びる下面18を備える。試験スタンドカバー15(Brille、眼鏡)の下面18を、ベッド5の傾斜しているそれぞれの第1の領域10に合わせることにより、エンドレスベルト4の上面と試験スタンドカバー15の下面18の間の間隙を極小とすることができる。これにより、空気の乱流とこれから生じる測定工程での攪乱を極小とすることができる。さらに、楔状の端部領域16(Brillenmesser)を形成することにより、試験スタンドカバー15を荷重面(第2の領域11)にもっと近づけることができ、これにより流れの影響により生じる攪乱をさらにもっと極小とすることができる。ベッド5の左右に設けられた傾斜した第1の領域10と平坦な第2の領域11の間に移行部21が設けられている。移行部21の半径は、ここではエンドレスベルト4の最小の許容曲げ半径と同じかまたはこれより大きくてよい。この移行部の半径は、ドラム2、3の半径に基づいて選択されてよく、ここでこの半径はドラム2、3の半径と少なくとも同じとなるように選択されなければならない。このような最小半径の選択により、場合によっては疲労強度を劣化させかねないエンドレスベルト4の曲げ荷重が許容値を超えないようにすることができる。
【0032】
ベッド5の第2の領域11の左右に設けられた第1の領域10は移行部21に続いて平坦な領域を備える。しかしながら、傾斜した第1の領域10は左右で互いに異なるように形成されてもよい。これらの傾斜した第1の領域が同じかあるいは互いに異なるように形成されるかとには関わらず、これらは全体として所定の半径を有してもよい。また、真っ直ぐに延びた面を備えた部分領域と、適切な半径を備えた部分領域とを備えることも可能である。これらの半径は全体として凸面形状となってもよい。特定の場合には、第1の領域には他の形状あるいは複数の面が延在してもよい。
【0033】
ベッド5は、さらに、少なくとも部分的にベッドの上面6に平行に延びた下面12を備えてもよい。ベッド5の下面12で左右の境界を定めるように、第1および第2の半径(放射状部分)13、14が設けられてもよく、ここでこれらの半径はドラム2、3のそれぞれの半径と同じかあるいはこれらより大きく形成されてよい。これらの半径13、14を選択された形状、すなわちそれぞれのドラム2、3の半径と同じかこれより大きくすることにより、一方ではベッド5に対する形状の条件が満足され、他方ではこの形状をドラム2、3の外側面にぴったり合わせることができる。これにより、空気の攪乱を極小まで低減でき、この装置の測定精度をさらに高めることができる。半径13、14の外側の端部とそれぞれの第1の領域10の外側の端部との間の移行部の面は、真っ直ぐに延びた端面29(
図3b参照)となっており、この端面29は水平方向に設けられてよい。
【0034】
量りフレーム(Wiegerahmen)28は、本実施形態ではドラム3のホルダと堅固に接続されており、ここでドラム2はエンドレスベルト4の走行方向に可動に設置されている。これにより、不図示の油圧シリンダを用いてエンドレスベルト4に所望の張力を印加することがでる。ここで、油圧シリンダ(不図示)は一方で量りフレーム(Wiegerahmen)28に固定されており、もう一方はドラム2のホルダに接続されている。
【0035】
さらに距離A
L+D
Bが示されているが、これはドラムの外側面7、8の上側の接線方向の接続線9と試験スタンドカバー15の上面17との間、および/またはドラムの外側面7、8の上側の接線方向の接続線9と平坦な第2の領域11の上に戴置あるいは走行されるエンドレスベルト4の上面との間の間隔に対応している。
【0036】
図3bには傾斜した第1の領域10と平坦の第2の領域11を有するベッド5の拡大図が示されている。平坦な第2の領域11と傾斜した第1の領域10との間の移行部21は滑らかに仕上げられてよく、ここで、上述したように、傾斜した第1の領域10は種々の形状を有するものであってよく、たとえば全体として丸い形状であってもよく、この丸い形状が一定の半径を有するものであってもよい。ここに示す実施形態では、単に1つの例が示されており、平坦な第2の領域11はそれぞれの移行部21へ向け、さらに傾斜した第1の領域10に向けて延びており、ここで傾斜した第1の領域10は真っ直ぐに延びた面10aを有している。ベッド5の左右の端部領域のそれぞれには垂直面29が設けられており、この垂直面29はさらに半径13、14に向けて移行し、ここでさらに下面12に繋がっている。上記で既に説明したように、下面12はベッド5の上面6に平行に形成されてよく、すなわち上面6の第2の領域11に平行に形成されている。
【0037】
図4に示す実施形態は、細い車輪、すなわちドラム幅に比べて小さな幅を有する車輪に利用できるベルト試験スタンドを示す。これには、細幅のエンドレスベルト4がドラム2、3に戴置され、ここでベッド5を持ち上げた位置により、試験スタンドカバー15を部分的に連続して形成(連続領域30)することができる。これにより、荷重された部分から邪魔な揚力あるいは負の揚力を最適に避けることができる。
【0038】
本発明では、このように、とりわけ風洞に使用するためのベルトユニットを設けることができ、このベルトユニットは床下の天秤に関連した測定確度を高めることに寄与する。これは風の流れに露出された面積を大幅に低減することができるからである。