(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882395
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】低カルシウムセメント材料組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 28/00 20060101AFI20160225BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20160225BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20160225BHJP
C04B 22/10 20060101ALI20160225BHJP
C04B 22/12 20060101ALI20160225BHJP
C04B 24/12 20060101ALI20160225BHJP
C04B 24/38 20060101ALI20160225BHJP
C04B 7/26 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
C04B28/00
C04B22/06 Z
C04B22/08 A
C04B22/10
C04B22/08 B
C04B22/12
C04B24/12 A
C04B24/38 B
C04B7/26
C04B28/00
C04B7:26
C04B22:06 Z
C04B22:08 A
C04B22:08 B
C04B22:10
C04B22:12
C04B24:12 A
C04B24:38 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-116495(P2014-116495)
(22)【出願日】2014年6月5日
(62)【分割の表示】特願2011-279985(P2011-279985)の分割
【原出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-159373(P2014-159373A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】099144990
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514141606
【氏名又は名称】潤泰精密材料股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】尹 衍▲梁▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 景鼎
(72)【発明者】
【氏名】李 元凱
【審査官】
伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/096686(WO,A1)
【文献】
特開平08−301639(JP,A)
【文献】
特開2003−226569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00− 32/02
C04B 40/00− 40/06
C04B 103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化カルシウムの含有量が10wt%以下である低カルシウムセメント材料組成物であって、35℃以下の温度で低カルシウムセメント材料を製造するために処理される低カルシウムセメント材料組成物において、
酸化カルシウムの含有量が10wt%以下であり、低カルシウムセメント材料組成物の全重量に対する重量%が30wt%〜95wt%である低カルシウムフライアッシュと、
低カルシウムセメント材料組成物の全重量に対する重量%が0.1wt%〜55wt%である水酸化ナトリウムと(メタ)ケイ酸ナトリウムの組成物と、
低カルシウムセメント材料組成物の全重量に対する重量%が0.1wt%〜30wt%である炭酸マグネシウムとを含む低カルシウムセメント材料組成物。
【請求項2】
前記低カルシウムフライアッシュに含まれる酸化カルシウムが5wt%以下である請求項1に記載の低カルシウムセメント材料組成物。
【請求項3】
前記低カルシウムフライアッシュの粉末度が2000cm2/gw〜8000cm2/gwである請求項1に記載の低カルシウムセメント材料組成物。
【請求項4】
含有量が0.1wt%〜20wt%のフッ化ケイ酸化合物をさらに含む請求項1に記載の低カルシウムセメント材料組成物。
【請求項5】
前記フッ化ケイ酸化合物はフッ化ケイ酸ナトリウムである請求項4に記載の低カルシウムセメント材料組成物。
【請求項6】
含有量が0.1wt%〜5wt%のトリエタノールアミンをさらに含む請求項1に記載の低カルシウムセメント材料組成物。
【請求項7】
含有量が0.01wt%〜5wt%のリグノセルロースをさらに含む請求項1に記載の低カルシウムセメント材料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低カルシウムフライアッシュを主成分とし、室温でセメンテーションする低カルシウムセメント材料組成物、及び低カルシウムセメント材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フライアッシュは、石炭焚熱電合併ボイラーの副産物である。全世界におけるフライアッシュ(粉末化された燃焼灰)の年間排出量は、約5億トンであるが、中国におけるフライアッシュの年間排出量は、1.6億トンであり、そのうち、約15%のフライアッシュしか再利用されていない。残りの大量のフライアッシュは、固体廃弃物としてそのまま堆積又は埋められ、大量の土地を占用するだけでなく、深刻な環境汚染を招いてしまう。
【0003】
フライアッシュは、化学的に安定しているとともに、物理的にも優れた特性を多く持っている。フライアッシュの建築材料への適用は、既に受け入れられている。しかしながら、フライアッシュを主なセメント材料としてアルカリ活性化セメント材料(alkali−activated cement)の製造に用いる場合、クラスFフライアッシュにおける酸化カルシウムの含有量が低いため、従来の方法では、クラスFフライアッシュにケイ酸ナトリウム(水ガラス)と水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを配合するが、水を入れて攪拌して混合させた後に常温で硬化することができないため、高温で数時間反応させなければ、アルカリ活性化セメント材料を硬化することができない。そのXRDによる結晶相分析は、主に沸石鉱物(zeolite:Na
2Al
2Si
3O
10)である。又は、常温環境において、フライアッシュは、メタカオリン(metakaolin)やスラグ(slag)や石膏や他のカルシウムを含む元素を配合しなければ、即ち、アルカリ活性化セメント材料におけるカルシウム元素の含有量を増加しなければ、常温で硬化できない。これは、クラスF(酸化カルシウムの含有量が10%よりも低い)フライアッシュによりアルカリ活性化セメント材料を製造する場合にさらに顕著である。
【0004】
一方、セメント材料は、一般的にカルシウムの含有量が高く、耐酸性及び耐火性が悪いので、酸性又は高温環境に用いる建築材料とすることができない。例えば、プレキャスト下水道の汚水管は、一般的に、高アルミナセメントを別途スプレーすることにより、その耐酸性を向上させなければならない。しかし、この方法によれば、コストが高くなる。また、コンクリートは、火災の時に、約400度の高温になると崩壊現象が発生するので、強度が急劇に低下することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、低カルシウムセメント材料を室温で製造することに用いられ、低カルシウムフライアッシュの経済的価値を向上させる、低カルシウムフライアッシュ(クラスFフライアッシュ)を主成分とする低カルシウムセメント材料組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、低カルシウムフライアッシュにより低カルシウムセメント材料を室温で製造できる低カルシウムセメント材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
好ましい実施形態として、低カルシウムフライアッシュはクラスFフライアッシュで、室温は35℃以下であるが、これに限定されない。
本発明の低カルシウムセメント材料組成物は、低カルシウムフライアッシュと、アルカリ剤と、凝結剤とを含み、酸化カルシウムが10wt%以下である。低カルシウムセメント材料組成物に対する低カルシウムフライアッシュが30wt%よりも高い。低カルシウムフライアッシュに含まれる酸化カルシウムが10%以下であり、好ましくは5%以下である。低カルシウムフライアッシュの粉末度が2000cm
2/gw〜8000cm
2/gwである。アルカリ剤は、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金類金属の水酸化物、メタケイ酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウム(Sodium Silicate;化学式:Na
2SiO
3;珪酸ソーダと別称され、その水溶液は水ガラスとも言う。)又はその組成物から選択され、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0008】
凝結剤は、炭酸金属酸化物、硫酸金属酸化物、硝酸金属酸化物、リン酸金属酸化物、水酸化アルミニウム又はその組成物から選択される。炭酸金属酸化物は、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム又はその組成物から選択される。硫酸金属酸化物は、硫酸第一マンガン、硫酸銅、硫酸第一コバルト、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛又はその組成物から選択される。硝酸金属酸化物は、硝酸銅、硝酸鉄又はその組成物から選択される。リン酸金属酸化物は、リン酸ナトリウム、リン酸亜鉛又はその組成物から選択される。
【0009】
低カルシウムセメント材料組成物は、フッ化ケイ酸化合物をさらに含み、好ましくはフッ化ケイ酸ナトリウム(化学式:Na
2SiF
6)を含む。
低カルシウムセメント材料組成物は、早強剤をさらに含み、好ましくはトリエタノールアミンを含む。
【0010】
低カルシウムセメント材料組成物は、排水剤をさらに含み、好ましくはリグノセルロースを含む。
本発明の低カルシウムセメント材料組成物を用いて室温で硬化されて製造した低カルシウムセメント材料は、XRDによる結晶相分析の結果、主にムライト鉱物(Al
6Si
2O
13)である。
【0011】
本発明の低カルシウムセメント材料の製造方法は、酸化カルシウムが10wt%以下の低カルシウムフライアッシュを供給するステップと、アルカリ剤を供給するステップと、凝結剤を供給するステップと、室温で前記材料を混合・静置して低カルシウムセメント材料を形成するステップとを含む。そのうち、低カルシウムフライアッシュを供給するステップは、低カルシウムフライアッシュの粉末度が2000cm
2/gw〜8000cm
2/gwになるように、低カルシウムフライアッシュを研磨するステップをさらに含む。低カルシウムセメント材料の製造方法は、前記材料を混合する前にフッ化ケイ酸化合物を供給するステップをさらに含む。低カルシウムセメント材料の製造方法は、前記材料を混合する前に早強剤を供給するステップをさらに含む。低カルシウムセメント材料の製造方法は、前記材料を混合する前に排水剤を供給するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2B】本発明の低カルシウムセメント材料組成物が室温で硬化されて製造した低カルシウムセメント材料のXRDによる結晶相図。
【
図2C】従来の方法により、高温で数時間反応させて硬化させたアルカリ活性化セメント材料のXRDによる結晶相図。
【
図3】本発明の低カルシウムセメント材料組成物により室温で製造された低カルシウムセメント材料の耐圧強度試験の結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の低カルシウムセメント材料組成物は、室温で低カルシウムセメント材料の製造に用いられる。低カルシウムセメント材料は、主にムライト鉱物(mullite,Al
6Si
2O
13)である。本明細書において、室温について、好ましくは35℃以下であるが、これに限定されず、一般的な加温されていない自然環境の温度であってもよい。低カルシウムセメント材料組成物は、低カルシウムフライアッシュ、アルカリ剤、及び凝結剤を含む。低カルシウムセメント材料組成物に対し、低カルシウムフライアッシュの含有量が30wt%〜95wt%である。低カルシウムセメント材料組成物に含まれる酸化カルシウムが10wt%以下である。低カルシウムフライアッシュに含まれる酸化カルシウムが10wt%以下である。具体的に、フライアッシュは、発電所の石炭が排気ガスに乗って燃焼室から排出され、集塵装置により捕集された微粒子状物である。好ましい実施形態において、低カルシウムフライアッシュは、クラスFフライアッシュであり、即ち、酸化カルシウムが10wt%以下のものである。さらに好ましい実施形態において、低カルシウムフライアッシュに含まれる酸化カルシウムが5wt%以下である。低カルシウムフライアッシュの粉末度は2000cm
2/gw〜8000cm
2/gwであるのが好ましい。具体的に、低カルシウムフライアッシュ原料をさらに均等させて、セメント材料の硬化反応の進行に寄与するために、研磨などによって、低カルシウムフライアッシュ原料の粉末度を2000cm
2/gw〜8000cm
2/gwまで向上させることができる。
【0014】
アルカリ剤は、その含有量が0.1wt%〜55wt%であり、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金類金属の水酸化物、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウム(Sodium Silicate;化学式:Na
2SiO
3;珪酸ソーダと別称され、その水溶液は水ガラスとも言う。)又はその組成物から選択され、好ましくは水酸化ナトリウムである。前記アルカリ剤は、活性剤として機能する。具体的に、セメント材料の硬化反応において、低カルシウムセメント材料組成物が水和反応を行う時に、粉体が水に触れると、表面にセメント体が生じ、このセメント体が水に溶解し難いため、反応が渋滞になってしまう虞がある。そこで、アルカリ剤によって、表面のセメント体を侵食して、粉状を水と反応し続けられるように露出させる。また、アルカリ剤は、さらに金属イオンによって電荷平衡の機能を発揮して、粉体を3Dセメント体に結合させることに寄与する。
【0015】
凝結剤は、その含有量が0.1wt%〜30wt%であり、炭酸金属酸化物、硫酸金属酸化物、硝酸金属酸化物、リン酸金属酸化物、水酸化アルミニウム又はその組成物から選択される。具体的に、凝結剤はセメント材料の生成反応の進行を促進・加速させる。炭酸金属酸化物は、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム又はその組成物から選択される。硫酸金属酸化物は、硫酸第一マンガン、硫酸銅、硫酸第一コバルト、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛又はその組成物から選択される。硝酸金属酸化物は、硝酸銅、硝酸鉄又はその組成物から選択される。リン酸金属酸化物は、リン酸ナトリウム、リン酸亜鉛又はその組成物から選択される。
【0016】
好ましい実施形態において、低カルシウムセメント材料組成物は、さらに、含有量が0.1wt%〜20wt%のフッ化ケイ酸化合物を含む。フッ化ケイ酸化合物はフッ化ケイ酸ナトリウムが好ましい。前記フッ化ケイ酸化合物は、シリカの含有量を補うために用いられる。低カルシウムセメント材料組成物は、さらに、含有量が0.1wt%〜5wt%の早強剤を含む。早強剤はトリエタノールアミンが好ましい。早強剤はセメント材料の生成反応の進行をさらに加速させる。低カルシウムセメント材料組成物は、さらに、含有量が0.01wt%〜5wt%の排水剤を含む。排水剤はリグノセルロースが好ましい。
【0017】
従来技術によりも、本発明の低カルシウムセメント材料組成物は、低カルシウムフライアッシュを主成分とし、メタカオリンやスラグや硝石粉や石膏や他のカルシウム元素を含有する活性(反応性)の良い粉状体を加入しなくても、室温で低カルシウムセメント材料を製造することができ、低カルシウムフライアッシュの経済的価値を向上させることができる。また、本発明の低カルシウムセメント材料組成物を用いて製造された低カルシウムセメント材料は、カルシウムの含有量が低いため、良好な耐酸性と耐火性を持ち、高耐酸性と耐高温が必要とする建築構造に用いられる。例えば、プレキャスト下水道の汚水管にこの低カルシウムセメント材料を採用すれば、この低カルシウムセメント材料が良好な耐強酸特性を持っているため、高アルミナセメントを別途にスプレーする必要がなく、コストを低減することもできる。また、例えば、防火建材や部材にこの低カルシウムセメント材料を採用すれば、この低カルシウムセメント材料が良好な耐火特性を持っているため、防火被覆を別途にスプレーする必要がなく、コストを低減することもできる。
【0018】
図1に示すように、本発明の低カルシウムセメント材料の製造方法は、例えば以下のステップを含む。
ステップ1010、酸化カルシウムが10wt%以下の低カルシウムフライアッシュを、含有量が30wt%〜95wt%になるように供給する。好ましい実施形態において、粉末度が2000cm
2/gw〜8000cm
2/gwになるように研磨されて、酸化カルシウムが5wt%以下のフライアッシュを供給する。
【0019】
ステップ1030、アルカリ剤を、含有量が0.1wt%〜55wt%になるように供給する。アルカリ剤は、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金類金属の水酸化物、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム又はその組成物から選択される。好ましい実施形態において、アルカリ剤は、水酸化ナトリウムを採用する。
【0020】
ステップ1050、凝結剤を、含有量が0.1wt%〜30wt%になるように供給する。凝結剤は、炭酸金属酸化物、硫酸金属酸化物、硝酸金属酸化物、リン酸金属酸化物、水酸化アルミニウム又はその組成物から選択される。好ましい実施形態において、凝結剤は、炭酸金属酸化物、硫酸金属酸化物を採用する。
【0021】
ステップ1070、室温で前記材料を混合・静置して低カルシウムセメント材料を形成する。そして、結晶相分析により、本発明の低カルシウムセメント材料組成物を用いて、室温で硬化されて製造された低カルシウムセメント材料は主にムライト鉱物(mullite, Al
6Si
2O
13)であることが確認された。具体的に、
図2Aに、ムライト鉱物(mullite, Al
6Si
2O
13)のXRDによる結晶相図が示され、ムライト鉱物が略語のMで示される。
図2Bに、本発明の低カルシウムセメント材料組成物が室温で硬化されて製造された低カルシウムセメント材料のXRDによる結晶相図が示される。結晶相分析の結果、即ち
図2Aと
図2Bを比較したところ、本発明の低カルシウムセメント材料組成物が室温で硬化されて製造された低カルシウムセメント材料の結晶相がムライト鉱物の結晶相と一致していることにより、本発明の低カルシウムセメント材料組成物を用いて、室温で硬化されて製造された低カルシウムセメント材料は主にムライト鉱物であることが確認される。
【0022】
一方、
図2Cに、従来の方法により、高温で数時間反応させて硬化させたアルカリ活性化セメント材料のXRDによる結晶相図が示され、そこに示すChはchabazite(菱沸石)、PはNa−P1(gismondine:ギスモンド沸石)、Nはhydroxysodalite(方沸石)、AはLinde Type A(A型沸石)、Qはquartz(石英)、Mはmullite(ムライト)、Hはhematite(赤鉄鉱)である。
図2Cから、従来の方法により、高温で数時間反応させて硬化させたアルカリ活性化セメント材料は、殆ど沸石鉱物(zeolite)であることが分かる。
【0023】
また、
図1に示すように、好ましい実施形態において、低カルシウムセメント材料の製造方法は、さらに以下のステップを含む。
ステップ1061、フッ化ケイ酸化合物を含有量が0.1wt%〜20wt%になるように供給する。前記フッ化ケイ酸化合物は、フッ化ケイ酸ナトリウムが好ましい。
【0024】
ステップ1062、早強剤を含有量が0.1wt%〜5wt%になるように供給する。前記早強剤は、トリエタノールアミンが好ましい。
ステップ1063、排水剤を含有量が0.01wt%〜5wt%になるように供給する。前記排水剤は、リグノセルロースが好ましい。なお、ステップ1010、1030、1050、1061、1062及び1063の順番を任意に変更してもよく、つまり、各材料がステップ1070の前に供給されればよい。
【0025】
以下、本発明の低カルシウムセメント材料組成物を用いて、室温で製造された低カルシウムセメント材料の耐圧強度試験の結果を例を挙げて説明する。ここで、表1及び表2は、それぞれ、異なる配合例1と配合例2の低カルシウムセメント材料組成物を示し、
図3は、室温で製造された低カルシウムセメント材料の耐圧強度試験の結果を示す。
【0027】
【表2】
図3から、表1及び表2の配合割合の低カルシウムセメント材料組成物を用いて、室温で製造された低カルシウムセメント材料の耐圧強度が28日間経過しても、何れも20MPa以上となり、良好な耐圧強度を持っていることが示している。
【0028】
上述した記載及び図面により本発明の好ましい実施形態が開示されたが、種々の追加、多くの修正や置換を、添付された特許請求の範囲に限定された本発明の原理の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に適用できることを理解すべきである。当業者であれば、本発明が多くの形式、構造、配置、割合、材料、素子及びユニットの修正に適用できることが分かる。従って、ここで開示した実施形態は、本発明を制限するものではなく、本発明を説明するためのものであると見なすべきである。本発明の範囲は、後に添付された特許請求の範囲に限定され、合法的均等物を含み、上記した記載に限定されない。