(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1では、被保護者の位置を把握するために、被保護者が常に携帯電話などの通信装置を所持している必要がある。携帯電話などの通信装置では、携帯電話網の基地局などと送受信を頻繁に繰り返すため、電力消費が大きい。そのため、通信装置の電力がなくなったり、電池寿命が尽きたりすると、被保護者の位置を把握することができなくなる。また、ビル内や地下などのGPS信号を受信できない場所などでは、通信装置自体が現在の位置を正確に把握することができなくなるため、やはり上述したシステムを利用することが困難となる。
【0005】
なお、特許文献1に開示されるような屋外での位置を把握することができるシステム以外にも、屋内で被保護者の位置を把握することができるシステムも知られている。屋内でのシステムでは、たとえば、被保護者に送信機を持たせると共に、屋内の部屋の出入り口付近に送信機からのID信号を受信できるように固定受信機を予め設置しておき、移動する被保護者の位置を把握できるように構成されている。
【0006】
しかしながら、屋内でのシステムは、特許文献1に示すような屋外でのシステムにそのまま適用することができないため、屋内、屋外の両方をまたがる範囲での被保護者の位置を把握することができない。なお、このような問題は、被保護者だけでなく、犯罪歴を有する人の監視など、ある特定の人物や移動する物品の位置を把握する場合などにも生ずる。
【0007】
本発明は、上述したいずれかの課題を解決するためのものであり、被保護者など対象の位置を容易かつ広い範囲において把握することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、情報処理システムに関するものである。すなわち、本発明の情報処理システムは、対象を識別するための識別情報を記憶しており、識別情報
のみを外部に発信する発信部を有する第1の携帯型通信装置と、第1の携帯型通信装置との間で無線通信可能な無線通信部と、無線通信部を介して識別情報を受信すると、
自己の位置情報および電波強度から推測される前記第1の携帯型通信装置までの距離情報と、識別情報を受信したときの受信時刻情報と、識別情報とを含む所定のデータセットを外部へ送信する情報送信部とを有し、不特定方向に移動可能とされた複数の第2の携帯型通信装置と、第2の携帯型通信装置の情報送信部から送信されてくる所定のデータセットを、ネットワークを介して受信する受信部を有する情報処理装置とを含み、情報処理装置が、第1の携帯型通信装置を探索するためのサーチエリアに、複数の第2の携帯型通信装置のうちの一部の第2の携帯型通信装置が含まれる場合、サーチエリアに含まれる第2の携帯型通信装置から送信されてくる所定のデータセットに基づいて、第1の携帯型通信装置の位置を把握することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一側面は、情報処理システムに関するものである。すなわち、本発明の情報処理システムは、対象を識別するための識別情報を記憶しており、識別情報
のみを外部に発信する発信部を有する第1の携帯型通信装置と、第1の携帯型通信装置との間で無線通信可能な無線通信部と、無線通信部を介して識別情報を受信すると、
自己の位置情報および電波強度から推測される前記第1の携帯型通信装置までの距離情報と、識別情報を受信したときの受信時刻情報と、識別情報とを含む所定のデータセットを外部へ送信する情報送信部とを有し、不特定方向に移動可能とされた複数の第2の携帯型通信装置と、第2の携帯型通信装置の情報送信部から送信されてくる所定のデータセットを、ネットワークを介して受信する受信部を有する情報処理装置とを含み、情報処理装置は、第1の携帯型通信装置を探索するために設定されている
所定のサーチエリア内に複数の第2の携帯型通信装置のうちの一部の第2の携帯型通信装置が
所定の時間内含まれない場合には、サーチエリアとは異なる他の場所を新たなサーチエリアとして設定することを特徴とする。
【0010】
また、上述の情報処理システムのいずれかの構成に加えて、情報処理装置が、仮の第1のサーチエリアを設定し、その仮の第1のサーチエリア内に複数の第2の携帯型通信装置が所定の時間内に含まれないときは、サーチする範囲を、仮の第1のサーチエリアに隣接する仮の第2のサーチエリアに変更するか、仮の第1のサーチエリアの広さを更に大きくさせた仮の第3のサーチエリアとすることによって、複数の第2の携帯型通信装置が含まれることになったときは、そのサーチエリアをサーチエリアとして設定することが好ましい。
【0011】
また、本発明の一側面は、情報処理装置に関するものである。すなわち、本発明の情報処理装置は、対象を識別するための識別情報を記憶しており、識別情報
のみ外部に発信する発信部を有する第1の携帯型通信装置と、第1の携帯型通信装置との間で無線通信可能な無線通信部と、無線通信部を介して識別情報を受信すると、
自己の位置情報および電波強度から推測される第1の携帯型通信装置までの距離情報と、識別情報を受信したときの受信時刻情報と、識別情報とを含む所定のデータセットを外部へ送信する情報送信部とを有し、不特定方向に移動可能とされた複数の第2の携帯型通信装置と、第2の携帯型通信装置の情報送信部から送信されてくる所定のデータセットを、ネットワークを介して受信する受信部を有する情報処理装置とを含む情報処理システム
の情報処理装置であって、第1の携帯型通信装置を探索するためのサーチエリアに、複数の第2の携帯型通信装置のうちの一部の第2の携帯型通信装置が含まれる場合、サーチエリアに含まれる第2の携帯型通信装置から送信されてくる所定のデータセットに基づいて、第1の携帯型通信装置の位置を把握する制御部とを有する。
【0012】
また、上述の情報処理装置の構成に加えて、情報処理装置は、
所定のデータセットを受信すると、
所定のデータセットに含まれる識別情報と第2の携帯型通信装置の位置情報、距離情報および受信時刻情報とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶処理手段と、記憶処理手段により記憶部に記憶される
位置情報、識別情報に関連付けられた距離情報、受信時刻情報と、第1の携帯型通信装置の基点を示す位置情報とから識別情報により特定される被保護者の外出距離および外出時間を算出し、被保護者に対応する識別情報毎に設定されている警告送信判定情報とを比較して、警告情報を送信するか否かを判定する判定手段と、判定手段により警告情報を送信すると判定した場合には、識別情報に関連づけられている連絡先情報へ警告情報を送信する警告情報送信処理手段と、を有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の一側面は、情報処理方法に関するものである。すなわち、本発明の情報処理方法は、対象を識別するための識別情報を記憶しており、識別情報
のみを外部に発信する発信部を有する第1の携帯型通信装置と、第1の携帯型通信装置との間で無線通信可能な無線通信部を介して識別情報を受信すると、
自己の位置情報および電波強度から推測される第1の携帯型通信装置までの距離情報と、識別情報を受信したときの受信時刻情報と、識別情報とを含む所定のデータセットを外部へ送信する情報送信部とを有し、不特定方向に移動可能とされた複数の第2の携帯型通信装置と、第2の携帯型通信装置の情報送信部から送信されてくる所定のデータセットを、ネットワークを介して受信する受信部を有する情報処理装置とを含む情報処理システムに用いられる情報処理装置が実行する情報処理方法であって、情報処理装置の制御部が、第1の携帯型通信装置を探索するためのサーチエリアに、複数の第2の携帯型通信装置のうちの一部の第2の携帯型通信装置が含まれる場合、サーチエリアに含まれる第2の携帯型通信装置から送信されてくる所定のデータセットに基づいて、第1の携帯型通信装置の位置を把握するステップを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一側面は、プログラムに関するものである。すなわち、本発明のプログラムは、対象を識別するための識別情報を記憶しており、識別情報
のみを外部に発信する発信部を有する第1の携帯型通信装置と、第1の携帯型通信装置との間で無線通信可能な無線通信部と、無線通信部を介して識別情報を受信すると、
自己の位置情報および電波強度から推測される第1の携帯型通信装置までの距離情報と、識別情報を受信したときの受信時刻情報と、識別情報とを含む所定のデータセットを外部へ送信する情報送信部とを有し、不特定方向に移動可能とされた複数の第2の携帯型通信装置と、第2の携帯型通信装置の情報送信部から送信されてくる所定のデータセットを、ネットワークを介して受信する受信部を有する情報処理装置とを含む情報処理システムに用いられる情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、第1の携帯型通信装置を探索するためのサーチエリアに、複数の第2の携帯型通信装置のうちの一部の第2の携帯型通信装置が含まれる場合、サーチエリアに含まれる第2の携帯型通信装置から送信されてくる所定のデータセットに基づいて、第1の携帯型通信装置の位置を把握する制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、被保護者など対象の位置を容易かつ広い範囲において把握することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の概念を示す図である。
図1に示すように、本システムは、サーバ2と、携帯型通信装置3と、発信装置4と、保護者用PC5とを有している。サーバ2と携帯型通信装置3とは不図示の携帯電話網と接続される基地局6とインターネット網7を介して通信をすることができる。また、サーバ2と保護者用PC5とはインターネット網7を介して通信をすることができる。携帯型通信装置3は、複数のGPS衛星8から自己の位置を特定できると共に、発信装置4と近距離(たとえば、0〜10m程度)の範囲となると、発信装置4から発信装置4自身を識別するID情報を受信することができ、このID情報を自己の位置情報などをサーバ2に対して送信することができる。
【0019】
図1に示すように、保護者用PC5は、保護者Aの自宅H、保護者Aが勤める会社、保護者Aが利用する喫茶店などで使用される。また、発信装置4は、たとえば保護者Aの親、子供などの被保護者Bに携帯されている。そして、保護者Aや被保護者Bとは異なる第三者Cが、本システムで動作するアプリケーションプログラムがインストールされている携帯型通信装置3を所持している。なお、
図1で示す第三者Cは便宜上一人であるが、実際には複数人いるものとする。このような状況で、たとえば保護者Aが被保護者Bの場所を確認したい場合には、サーバ2にログインして、携帯型通信装置3を介して特定される被保護者Bの現在位置や過去の移動履歴についてモニタリングをすることができる。
【0020】
なお、第三者Cは、普通の住民などであり、被保護者Bのサーチエリア内やサーチエリア近辺の住民であることが好ましい。しかし、第三者Cは、被保護者Bのサーチエリア内やサーチエリア近辺の住民でなくてもよい。また第三者Cは、このシステム1にボランティアとして参加する者とすることが好ましいが、第三者Cに対して費用が支払われるようにしてもよい。
【0021】
このシステム1は、一種の監視システムであり、一人の被保護者Bに対して多数の第三者Cを必要とするシステムである。この監視システムを実効性のあるものとするためには、第三者Cのサーチエリア内の配置密度を上げる必要がある。そのため、所定のサーチエリア内において、2個以上の携帯型通信装置3が含まれることが好ましい。なお、所定のサーチエリア内における携帯型通信装置3の個数は、10以上が好ましく、50以上が更に好ましい。
【0022】
また、被保護者Bの位置が予め保護者Aにより設定された外出範囲や外出時間を超えた場合には、サーバ2より保護者Aが操作する保護者用PC5に対して警報が通知される。警報が通知されると、保護者Aは、サーバ2の状態を被保護者Bの現在位置を探索するサーチモードへと切り替えることができる。サーチモードへ切り替えられると、被保護者Bの近くにいると推定される複数の第三者Cに対して所定のメッセージ等が送信され、第三者Cが所持している携帯型通信装置3から提供される位置情報(この位置情報は被保護者Bの位置情報でもある)などに基づいて迅速に被保護者Bの安全確認が行われるシステムとなっている。以下、本システムの具体的な構成について説明をする。
【0023】
サーバ2は、請求項の情報処理装置の一例である。サーバ2は、発信装置4に関連付けられたID情報の管理、携帯型通信装置3や保護者用PC5などからのアクセス履歴の管理、携帯型通信装置3から受け取った発信装置4に関するイベントやサーバ2自体で発生するイベントの管理、発信装置4毎に設定されている警報通知の要否の判断基準となるゲート範囲の管理(ゲート管理)、および後述するサーバ2のモード管理(モニタリングモードおよびサーチモードの切り替え制御)をすることができる。
【0024】
なお、サーバ2は、いわゆるサーバコンピュータであり、たとえばCPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),HDD(Hard Disk Drive)、通信インタフェースなどを有すると共に、CPUがROM,HDDなどに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、後述の
図2で説明する各機能を実現することができる。なお、サーバ2のハードウェア構成は、上述の構成に限定されず、適宜変更することができる。たとえば、HDDに代えて、あるいはHDDに加えてSSD(Flash Solid State Drive)を有する構成としてもよい。また、サーバ2のハードウェア構成としては、上述した構成に加えて、ディスプレイ、スピーカなどの出力手段やマウス、キーボードなどの入力手段を有していてもよい。
【0025】
図2は、
図1に示すサーバ2の機能構成例を示す図である。サーバ2は、管理制御部11と、位置情報DB12と、登録情報DB13と通信部19とを有している。
【0026】
管理制御部11は、携帯型通信装置3を介して取得できる発信装置4の各種管理およびサーバ2全体の制御を行っている。具体的には管理制御部11は、ID管理部14と、アクセス管理部15と、イベント管理部16と、ゲート管理部17と、モード管理部18とを有している。
【0027】
ID管理部14は、携帯型通信装置3を一意に識別することができるID情報の一覧を管理している。また、ID管理部14は、保護者用PC5からのユーザ認証要求を受け付けて、ユーザ認証を行う。アクセス管理部15は、携帯型通信装置3や保護者用PC5など、外部の装置からのアクセスをログとして記録している。イベント管理部16は、たとえば、後述のゲート管理部17によって警報を発信する場合の警報内容、発信された日時あるは受信した日時、警報対象となる携帯型通信装置3のID情報、およびサーバ2のモード切替などのイベントがあった場合のそれらをログとして記録している。ゲート管理部17は、携帯型通信装置3毎に設定されている警報通知の要否の判断基準となるゲート範囲を管理している。なお、ゲート範囲については、保護者用PC5からの設定により登録、変更ができるが、サーバ2の管理者により登録、変更することもできる。モード管理部18は、保護者用PC5からの指示に応じて、モニタリングモードおよびサーチモードのいずれかに設定、あるいはこれらのいずれかへの切り替えの制御を行っている。
【0028】
なお、ID管理部14とゲート管理部17とは、たとえば、DBMS(database management system)を実現するソフトウェアなどで構成されている。ID管理についてはサーバ2を操作する管理者によって、ゲート範囲については、管理者あるいは保護者用PC5からの要求に応じて、追加、変更、削除などの操作が適宜できるように構成されている。また、アクセス管理部15とイベント管理部16によりログとしてHDDに記録されているデータは、サーバ2を操作する管理者により適宜閲覧できるように構成されている。
【0029】
位置情報DB12は、携帯型通信装置3から送信されてくる所定のデータセットを記憶して、発信装置4の位置情報などを蓄積しているデータベースである。ここで所定のデータセットとは、たとえば、携帯型通信装置3から送信されてきた発信装置4のID情報12A,携帯型通信装置3の位置情報12B、電波強度などから推測される携帯型通信装置3と発信装置4との距離情報12C、および携帯型通信装置3が発信装置4からID情報を受信した受信時刻情報12Dなどである。しかしながら、所定のデータセットは上述したもの以外が含まれてもよいし、上述したすべての情報を有していなくてもよい。
【0030】
登録情報DB13は、被保護者Bが携帯している発信装置4のID情報13A、保護者Aに関する個人情報13B(ユーザ名、氏名、住所、連絡先メールアドレス、被保護者Bとの関係など)、警報を保護者Aへ通知するか否かを判定する際の基準となるゲート情報13Cなどが記憶されているデータベースである。ゲート情報13Cは、たとえば、被保護者Bの基点となる自宅H、居所や住所を示す位置情報(以下、ホーム情報)およびそのホーム情報から外出可能な距離情報および外出可能な時間情報などが設定される。しかしながら、ゲート情報13Cは、これらの情報に限定されるものではなく、その他にも保護者Aからみて被保護者Bにとって危険性が高いと判断される場所(たとえば河川、山、車両の通行が非常に多いと考えられる道路など)や、保護者Aからみて被保護者Bが訪れてほしくない施設名およびその施設の位置情報などが設定されており、被保護者Bがそれらの場所や施設の近づいた場合に警報を発信させるようなものとしてもよい。なお、上述した例での警報はゲート情報13Cを満たさない場合に発信するものとしているが、その逆に保護者Aにとって被保護者Bが確実に行ってほしいという場所や施設の名称や位置情報を予め登録情報DB13に登録しておき、その場所や施設に被保護者Bが確実にいるということを確認できるような使い方をしてもよい。
【0031】
通信部19は、インターネット網7を介して携帯型通信装置3または保護者用PC5との間において情報の送受信を行うための通信インタフェースである。
【0032】
携帯型通信装置3は、請求項の第2の携帯型通信装置の一例である。携帯型通信装置3は、たとえば、サーバ2と通信可能なアプリケーションプログラム26が組み込まれたスマートフォンなどである。
図3は、
図1に示す携帯型通信装置3の機能構成例を示す図である。携帯型通信装置3は、データセット生成処理部21と、位置情報取得部22と、データセット送信部23と、メモリ24とを有している。
【0033】
携帯型通信装置3がスマートフォンの場合、ハードウェア構成としては、たとえばCPU,GPU,メモリコントローラ、周辺デバイスコントローラ、ディスプレイコントローラなどで構成されるアプリケーションプロセッサと、モデム(ベースバンド)と、無線通信部と、電源と、オーディオLSIと,カメラ装置と,GPSモジュール,ブルートゥースモジュール、ジャイロセンサなどの各種センサ、ディスプレイなどを有する。携帯型通信装置3としてのスマートフォンでは、アプリケーションプロセッサがメモリに格納されたプログラムをRAMにロードして実行することで各種データ処理を実行することができる。なお、上述の携帯型通信装置3のハードウェア構成は、上述の構成に限定されず、適宜変更することができる。また、本発明の通信装置としてはスマートフォンに限定されるものではなく、タブレットPCや携帯電話などであってもよい。
【0034】
データセット生成処理部21は、発信装置4から発信されるID情報33を受信すると、サーバ2にて必要となるデータセットの作成処理を開始する。このデータセット生成処理部21により生成されるデータセットに含まれる情報は、たとえば、発信装置4から受信したID情報33、自己の位置情報、電波強度などから推測される自装置と発信装置4の距離情報、発信装置4からID情報33を受信した時刻情報などである。なお、データセットに含まれる情報は、これらの情報に限らず、サーバ2側で必要となる情報に応じて適宜変更することが可能である。
【0035】
位置情報取得部22は、携帯型通信装置3の位置情報を取得する。位置情報は、携帯型通信装置3のGPS機能により得られた位置情報やジャイロセンサなどを用いて得られた方向情報、方角情報などを取得すればよい。なお、第三者Cが屋内や地下に位置しており、GPSによる位置特定がうまく機能しない場合には直近の位置情報を利用するようにしてもよい。
【0036】
データセット送信部23は、データセット生成処理部21により生成されたデータセットをサーバ2へ送信する。
【0037】
メモリ24には、ID情報25と、アプリケーションプログラム26と、共有地図データ27とが記憶されている。ID情報25は、発信装置4から受信したID情報33を受信してメモリ24に記憶させたものである。アプリケーションプログラム26は、本システムにおいて携帯型通信装置3が実行する各種処理を行うためのプログラムである。共有地図データ27は、サーバ2がサーチモードとなった際に、サーバ2より送信されてくる携帯型通信装置3間で共有可能な地図データである。
【0038】
発信装置4は、請求項の第1の携帯型通信装置の一例である。発信装置4は、定期的にID情報33を外部に無線で発信することができる装置である。
図4は、
図1に示す発信装置4の機能構成例を示す図である。発信装置4は、ID発信部31と、メモリ32を有している。なお、メモリ32にはサーバ2の登録情報DB13に予め登録されているID情報と同一のID情報33が記憶されている。なお、発信装置4は、省電力化を図るために送信機能のみを有する構成となっているが、省電力であれば他の機能(受信機能)を備える装置であってもよい。
【0039】
発信装置4は、たとえばブルートゥース(登録商標)などのアンテナおよびICチップを内蔵した無線通信モジュールを備えた簡易な構成の発信装置などで構成される。なお、本実施形態では無線通信方式の例としてブルートゥース(登録商標)を採用しているが、携帯型通信装置3との間で近距離(たとえば、数m〜100m程度)の無線通信が可能であれば、他の無線通信方式を採用してもよい。携帯型通信装置3との間で採用可能であれば、他の無線通信方式としては、たとえば、RFID(Radio Frequency IDentification),DSRC(Dedicated Short Range Communications),iBeacon (登録商標)、ZigBeeなどが挙げられるが、これら以外の無線通信方式に基づくものであってもよい。
【0040】
保護者用PC5は、保護者Aが自宅や自宅以外の会社や喫茶店などで使用しているパーソナルコンピュータである。なお、保護者用PC5は、たとえばノートパソコン、スマートフォン、携帯端末、携帯電話、デスクトップパソコンなどであり、たとえばCPU,RAM,ROM,HDDなどを有すると共に、CPUがROM,HDDなどに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、各機能を実現することができる。なお、上述の保護者用PC5のハードウェア構成は、上述の構成に限定されず、適宜変更することができる。たとえば、HDDに代えて、あるいはHDDに加えてSSD(Flash Solid State Drive)を有する構成としてもよい。また、保護者用PC5がデスクトップパソコンやノートパソコンで実現される場合のハードウェア構成としては、上述した構成に加えてディスプレイ、スピーカなどの出力手段やマウス、キーボードなどの入力手段を有していてもよい。
【0041】
(モニタリング処理について)
続いて、サーバ2のモードの一例としてモニタリングモードの際の動作について説明する。
図5は、
図1に示すサーバ2が実行するモニタリング処理、および携帯型通信装置3、発信装置4で実行される処理のフローチャートを示す図である。
図5に示す例では、各装置の電源がONとなっており、携帯型通信装置3では、本システム用のアプリケーションプログラム26が起動されているものとし、発信装置4は、外部にID情報を発信しているものとする。なお、
図5に示す携帯型通信装置3の一連の処理は、同一の装置内で実行されるものであるが、複数の携帯型通信装置3においてそれぞれ実行されてもよい。
【0042】
保護者用PC5からモニタリングモードの開始指示を送信する(ステップS1)。
【0043】
サーバ2は、ステップS1の保護者用PC5からモニタリングモードの開始指示を受信して、サーバ2のモード管理部18によりモニタリング処理が開始する(ステップS2)。なお、サーバ2において、ゲート情報が予め登録されている場合には自動的にモニタリングモードが開始されるように設定されていてもよく、その場合にはステップS1およびステップS2の処理は不要である。
【0044】
発信装置4は、メモリ32に記憶されているID情報33を外部に発信する(ステップS3)。なお、
図5の例では、ステップS1およびステップS2の後にID情報33の発信を開始しているが、ステップS1およびステップS2の前から発信装置4がID情報33を発信し続けてもよい。
【0045】
携帯型通信装置3は、発信装置4と無線通信可能な範囲にいる場合、ステップS3の発信装置4からのID情報33を受信する(ステップS4)。
【0046】
携帯型通信装置3は、ステップS4で受信したID情報33と共に、自己の位置情報および現在時刻情報を取得して、それらのデータセットとして生成して、サーバ2へ送信する(ステップS5)。自己の位置情報は、たとえば、携帯型通信装置3が備えているGPS機能によって特定される位置情報を利用することができる。現在時刻情報は、たとえば、携帯型通信装置3の内蔵時計やインターネット網7などを介して不図示のNTPサーバなどから取得できる現在時刻情報を利用することができる。
【0047】
携帯型通信装置3は、ステップS5の処理以降は、発信装置4からID情報33を受信したか否かを判定し(ステップS6)、ID情報33を受信した場合(ステップS6でYES)には、ステップS5の処理を再度実行する。一方、発信装置4からID情報33を受信しない場合(ステップS6でNO)には、受信するまで待機状態となる。なお、ステップS6の判定は、ステップS5でサーバ2へ送信してから所定時間経過後(たとえば1〜2分後など)に行うことが好ましい。
【0048】
サーバ2のゲート管理部17は、インターネット網7を介してステップS5で携帯型通信装置3が送信したデータセットを受信すると、そのデータセットに含まれるID情報33で登録情報DB13を検索して、被保護者Bのゲート情報13Cを特定し、ID情報33から被保護者Bの外出距離および外出時間を算出する(ステップS7)。被保護者Bの外出距離情報は、たとえば、ID情報33に関連付けられているゲート情報13Cに含まれるホーム位置情報と携帯型通信装置3の現在位置情報などから外出距離を算出することができる。被保護者Bの外出時間情報は、たとえばデータセットに含まれている時刻情報とサーバ2が保持する現在時刻情報との差分により算出することができる。
【0049】
サーバ2のゲート管理部17は、ステップS7で算出した外出距離および外出時間と、登録情報DB13に予め登録されているゲート情報13Cとを比較してゲート判定処理を実行する(ステップS8)。ステップS8の判定結果により、サーバ2のゲート管理部17は、保護者Aへの警報の通知が必要と判定した場合(ステップS8でYES)には、警報を保護者Aの連絡先へ通知する(ステップS9)。ゲート管理部17は、たとえば警報を予め登録されている個人情報13Bに含まれる保護者Aのメールアドレスなどへ発信することができる。
【0050】
ステップS8またはステップS9において、たとえばゲート管理部17は、ステップS7で算出した外出距離および外出時間が、ID情報13Aに関連付けられているゲート情報13Cと比較する。たとえばゲート情報13Cとして所定の外出距離(たとえばホーム位置から半径500m以内)が設定されており、その所定の外出距離を超えている場合には、ゲート管理部17は警報を保護者Aへ送信すると判定する。また、たとえばゲート情報13Cとして所定の外出時間(1時間以内)が設定されており、その所定の外出時間を超えている場合には、ゲート管理部17は、警報を保護者Aへ送信すると判定する。なお、ゲート情報13Cの設定条件は、保護者用PC5によって適宜変更可能である。たとえば、保護者用PC5から送信される指示によって、所定の外出距離および所定の外出時間のいずれかの条件を超えている場合に警報を送信するように設定してもよいし、これらのいずれかの条件を超えた場合に警報を送信するようにしてもよい。また、ゲート情報13Cとして登録する条件についても、保護者用PC5から送信される指示によって、所定の外出距離だけ設定してもよいし、所定の外出時間だけを設定するようにしてもよい。
【0051】
保護者用PC5では、ステップS9により通知される警報を受信する(ステップS10)。たとえば、サーバ2によって送信された警報メールを不図示のメールサーバなどを介して受信する。
【0052】
ステップS8の判定において、保護者Aへの警報通知の必要がないと判定した場合(ステップS8でNO)、ゲート管理部17は、ステップS7で算出した外出距離および外出時間をステップS5で送信されてきたID情報25に関連付けて位置情報DB12へ登録する(ステップS11)。なお、ステップS8の判定において、警報通知が必要な場合であっても、ステップS7で算出した外出距離および外出時間を、ステップS5で送信されてきたID情報に関連付けて位置情報DB12へ登録するようにしてもよい。
【0053】
ゲート管理部17は、携帯型通信装置3から上述したデータセットを受信したか否かを判定し(ステップS12)、受信した場合(ステップS12でYES)には、上述したステップS7の処理へと移行し、受信しない場合(ステップS12でNO)には、モニタリングモードを継続する。すなわちサーバ2としては、携帯型通信装置3からS5のデータセットを受信するたびにステップS7以降の処理を実行することになる。
【0054】
図6は、
図1に示すサーバ2が実行するサーチ処理、および携帯型通信装置3、発信装置4で実行される処理のフローチャートを示す図である。
図6に示す例では、各装置の電源がONとなっており、携帯型通信装置3では、本システム用のアプリケーションプログラム26が起動されているものとし、発信装置4は、外部にID情報を発信しているものとする。なお、
図6に示す携帯型通信装置3の一連の処理は、同一の装置内で実行されるものであるが、複数の携帯型通信装置3においてそれぞれ実行されてもよい。
【0055】
保護者用PC5からサーバ2に対してログイン要求を送信すると(ステップS21)、サーバ2のID管理部14が、ユーザ認証を行う(ステップS22)。ユーザ認証が完了すると、ID管理部14は、個人情報13Bに含まれる保護者Aのユーザに関連付けられている被保護者BのID情報13Aを特定し、さらにID情報13AとID情報12Aの一致により特定される被保護者Bの過去の履歴情報(位置情報12B、距離情報12C、受信時刻情報12Dなどにより特定)を保護者用PC5へと送信する(ステップS23)。
【0056】
保護者用PC5では、被保護者Bの行動を示す過去の履歴位置が表示される(ステップS24)。
【0057】
保護者用PC5は、サーバ2からの警報を受信したか否かを判定する(ステップS25)。なお、サーバ2の警報通知の詳細については
図5において説明したのでここでは省略する。保護者用PC5は、警報を受信した場合には(ステップS25でYES)、ステップS26の処理へ移行し、警報を受信しない場合には(ステップS25でNO)、警報を受信するまで待機する。
【0058】
保護者用PC5は、ステップS25において警報を受信した場合には、サーチモードへと切り替えるための切り替え指示をサーバ2へ送信する(ステップS26)。
【0059】
サーバ2は、ステップS26の切り替え指示を受信すると、所定のサーチエリア内の携帯型通信装置3に対し、所定のメッセージおよび共有可能な地図データを送信する(ステップS27)。なお、ここでいう所定のサーチエリア内とは、たとえば、被保護者Bの最後に記録されている位置情報(位置情報12Bと距離情報12Cとから算出)を起点として半径100m以内、半径500m以内など、保護者Aにより適宜設定されている。また、所定のサーチエリア内にいる携帯型通信装置3を特定する方法としては、携帯型通信装置3にインストールされているアプリケーションプログラム26が定期的に自己の位置情報12Bを第三者Cの承諾の元、サーバ2にアップロードしたものを利用することができる。
【0060】
携帯型通信装置3は、ステップS27でサーバ2から送信された所定のメッセージおよび共有可能な地図データ27を受信する(ステップS28)。
【0061】
携帯型通信装置3のディスプレイに、所定のメッセージと共有地図が表示される(ステップS29)。
【0062】
一方、発信装置4は、メモリ32に記憶されているID情報33を外部に発信する(ステップS30)。なお、
図6の例では、ステップS28より後にID情報33の発信を開始しているが、ステップS28の前から発信装置4がID情報33を発信し続けてもよい。
【0063】
携帯型通信装置3は、発信装置4と無線通信可能な範囲にいる場合、発信装置4からのID情報33を受信する(ステップS31)。
【0064】
携帯型通信装置3は、ステップS31で受信したID情報33と共に、自己の位置情報、自己と発信装置4の距離情報および現在時刻情報を取得して、それらのデータセットをサーバ2へ送信する(ステップS32)。自己の位置情報は、たとえば、携帯型通信装置3が備えているGPS機能によって特定される位置情報を利用することができる。距離情報は、電波強度などから推測される。現在時刻情報は、たとえば、携帯型通信装置3の内蔵時計やインターネットなどを介してNTPサーバなどから取得できる現在時刻情報を利用することができる。
【0065】
携帯型通信装置3は、ステップS32の処理以降は、発信装置4から再びID情報33を受信したか否かを判定し(ステップS33)、ID情報33を再び受信した場合(ステップS33でYES)には、ステップS32の処理を再度実行する。一方、発信装置4から再びID情報33を受信しない場合(ステップS33でNO)には、受信するまで待機状態となる。なお、ステップS33の判定は、ステップS32でサーバ2へ送信してから所定時間経過後(たとえば1〜2分後など)に行うことが好ましい。
【0066】
サーバ2は、ステップS32で携帯型通信装置3から送信されたデータセットを受信すると(ステップS34)、所定のサーチエリア内に含まれる携帯型通信装置3に対して、所定のメッセージおよび共有地図データが付加されたスレッド画面情報を生成して(ステップS35)、それらを携帯型通信装置3へ送信する(ステップS36)。携帯型通信装置3は、所定のメッセージおよび共有地図データが付加されたスレッド画面情報を受信し(ステップS37)、所定のメッセージおよび共有地図が画面に表示される。同様に、ステップS35で生成した所定のメッセージおよび共有地図データが付加されたスレッド画面情報は、保護者用PC5に対しても送信され、保護者用PC5がそれを受信して(ステップS38)、所定のメッセージおよび共有地図が画面に表示される。共有地図つきのスレッドの詳細については後述するが、被保護者Bに関する情報を携帯型通信装置3の間で共有することができるようになる。なお、共有地図つきのスレッドは、保護者用PC5からも閲覧可能となっている。このような構成とすることで、保護者A以外の第三者Cの協力を得ることができ、地域全体で被保護者Bの行動を見守ることができるようになる。
【0067】
図7は、携帯型通信装置3Aのディスプレイに表示されるロック画面41の一例を示す図である。
図7に示すロック画面41には、携帯型通信装置3Aが発信装置4から送信されてくる情報を受信した旨を示すメッセージ42が表示される。そして、携帯型通信装置3Aを所有する第三者Cが、「スライドで表示」というメッセージ43上を指でなぞる動作を行うと、画面44が表示される。画面44では、「ここにいることをしらせる」というメッセージが示されている選択ボタンアイコン45と、「他のアプリでつたえる」というメッセージが示されている選択ボタンアイコン46とが表示される。ここで、たとえば、選択ボタンアイコン45を第三者Cがタッチすると、携帯型通信装置3Aにより所定のデータセットが生成され、その生成された所定のデータセットがサーバ2へと送信される。なお、後述する選択ボタンアイコン46が第三者Cにより選択された場合でも、携帯型通信装置3Aにより所定のデータセットが生成され、その生成された所定のデータセットがサーバ2へと送信されるようにしてもよい。
【0068】
図8は、
図7に示す画面44において、選択ボタンアイコン45を第三者Cがタッチした後に表示される画面の一例である。
図8に示す図は、たとえば、サーバ2側で管理されている所定のサーチエリア内に位置する携帯型通信装置3の間で共有できるスレッド51が生成され、そのスレッド51の上段に共有地
図52が表示されているものである。なお、ここでいうスレッドとは、電子掲示板やメーリングリストにおける、ひとつの話題や議題についての投稿の集まりの意味で用いている。
【0069】
共有地
図52には、被保護者Bの位置53と携帯型通信装置3Aの位置54が表示される。なお、携帯型通信装置3Aの位置54は、サーバ2へ送信されてきた所定のデータセットに基づいて把握される。一方、被保護者Bの位置53は、複数の携帯型通信装置3Aから送信されてきた所定のデータセット、あるいは複数の携帯型通信装置3Aの電波強度に基づいて把握される。携帯型通信装置3Aが被保護者Bの位置53へと近づくと、サーバ2側の処理により、ID情報12Aから詳細な位置・距離情報を取得することができる。また、複数の携帯型通信装置3Aの位置54と、被保護者Bとの位置53および距離情報12Aなどから被保護者Bの位置53をより正確に把握することができる。すなわち、共有地
図52での被保護者Bの位置情報53を基に、複数の携帯型通信装置3A間の情報共有を行うことが可能となる。更に、被保護者Bの周辺に積極的に協力しようとする善意の第三者Cが複数集まってくることで、発信装置4の周囲の携帯型通信装置3Aの個数が増加し、被保護者Bの位置情報の精度が向上し、より迅速に被保護者Bの安全確認を行うことができるようになる。
【0070】
一方、第三者Cが
図7の画面44において選択ボタンアイコン46をタッチした場合の画面遷移について説明する。
図9は、
図7の画面44において、選択ボタンアイコン46を第三者Cがタッチした後に表示される画面の一例を示す図である。
図9の画面61では、他のアプリにより表示されるものである。この他のアプリは、たとえば、携帯型通信装置3Aに既にインストールされているアプリであり、メッセージなどのテキストデータや画像データ、動画データについてほぼリアルタイムで共有することが可能なものである。たとえば、サーバ2側で、画面61に表示されるテキスト、メッセージ、画像などを所定のサーチエリア内に位置する携帯型通信装置3Aの間でグループを形成して共有させる。そして、たとえば、携帯型通信装置3Aにおいて、被保護者Bの顔写真の画像62Aが投稿される。なお、この画像の投稿は、サーバ2側から被保護者Bの画像データを取得したいずれかの携帯型通信装置3Aによって生成されるようにしてもよい。そして、この画像62Aを見た協力的な第三者Cが「この方を見かけた方はいませんか?」というメッセージ62Bを送信すると、被保護者Bとすれ違った可能性がある他の第三者Cが「さっきすれ違ったかもしれません。」というメッセージ62Cを送信する。更に、被保護者Bとすれ違った可能性がある他の第三者Cが「多分その方なのでもう一度確認してみます」といったメッセージ62Dを送信する。このように、所定のサーチエリア内に位置する、携帯型通信装置3Aを所持する複数の第三者Cの間でお互いに情報のやり取りを行いながら、被保護者Bの安全確認および保護などを行うことが可能となる。なお、このような情報共有が可能な他のアプリを利用することにより、たとえば、GPSの信号が届きにくい屋内等であっても、被保護者Bなど対象の位置を容易かつ広い範囲において把握することができるようになる。
【0071】
以上で説明したように、このシステム1(情報処理システムの一例)におけるサーバ2は、被保護者B(対象の一例)を識別するためのID情報12A,13A(識別情報)を記憶しており、少なくともID情報33を外部に発信するID発信部31を有する発信装置4(第1の携帯型通信装置の一例)と、発信装置4との間で無線通信可能な無線通信部と、この無線通信部を介してID情報33を受信すると、ID情報33(ID情報12A,13A)を含む所定のデータセットを外部へ送信するデータセット送信部23(情報送信部の一例)とを有し、不特定方向に移動可能とされた複数の携帯型通信装置3(第2の携帯型通信装置の一例)と、携帯型通信装置3のデータセット送信部23から送信されてくる所定のデータセットを、インターネット網7(ネットワークの一例)を介して受信する通信部19(受信部の一例)を有するサーバ2(情報処理装置の一例)とを含み、サーバ2が、発信装置4を探索するためのサーチエリアに、複数の携帯型通信装置3のうちの一部の携帯型通信装置3が含まれる場合、サーチエリアに含まれる携帯型通信装置3から送信されてくる所定のデータセットに基づいて、発信装置4の位置を把握することができるように構成されている。そのため、被保護者Bが自宅Hから移動しても、サーバ2によりサーチエリアが設定され、そのサーチエリア内の複数の携帯型通信装置3から送信されてくデータセットに基づいて被保護者Bの位置を容易かつ広い範囲において把握することができるようになる。
【0072】
また、サーバ2は、携帯型通信装置3,3Aから所定のデータセットを受信すると、その所定のデータセットに含まれるID情報に関連付けて、位置情報、距離情報および受信時刻情報を位置情報DB12に登録し、その登録される識別情報の位置情報、距離情報および受信時刻情報と、ID情報毎に設定されている警告送信判定情報とを比較して、警告情報を送信するか否かを判定し、警告情報を送信すると判定した場合には、ID情報に関連づけられている連絡先情報へ警告情報を送信するように構成されている。そのため、サーバ2は、携帯型通信装置3を所持する第三者Cを含めて地域全体で被保護者Bを見守ることができると共に、予め定めた範囲を被保護者Bが逸脱した場合には警報が保護者Aへと通知され、保護者Aはサーバ2および携帯型通信装置3により、被保護者Bの位置を容易に把握することができる。また、このサーバ2と携帯型通信装置3と発信装置4を用いる構成とすることにより、従来の屋内のシステムのように工事により専用の固定受信装置を設置する必要がなく、屋内、屋外を透過的にカバーすることができる。
【0073】
なお、サーバ2の動作(情報処理方法)およびサーバ2の各種動作をさせるためのプログラムについても、サーバ2と同様に、携帯型通信装置3を所持する第三者Cを含めて地域全体で被保護者Bを見守ることができると共に、予め定めた範囲を被保護者Bが逸脱した場合には警報が保護者Aへ通知され、保護者Aはサーバ2および携帯型通信装置3により、被保護者Bの位置を容易に把握することができる。また、このサーバ2と携帯型通信装置3と発信装置4の各装置の動作および各装置にインストールされたプログラムは、従来の屋内のシステムのように工事により専用の固定受信装置を設置する必要がなく、屋内、屋外を透過的にカバーすることができる。
【0074】
また、この携帯型通信装置3を保有する第三者Cとしては、ボランティア思考や社会貢献をしたいというニーズはあるが、時間的制約などで具体的な行動ができていない若者や社会人などとした場合、彼らも日常生活のなかで、同一地域にいる認知症の方や徘徊老人、迷子の児童の探索のお手伝いをすることができることとなり好ましいものとなる。
【0075】
(変形例)
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、種々の変更が可能である。
図10は、本発明の他の一実施の形態における発信装置4Aの構成を示す図である。なお、発信装置4Aにおいて、
図4に示す発信装置4と同様の機能については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図10に示す発信装置4Aは、たとえば、保護者Aが被保護者Bについて緊急保護を依頼したい場合などに、周囲の携帯型通信装置3を介して発信装置4Aが音、光などの出力を装置から行わせることにより、第三者が被保護者Bを保護しやすくするための機能が備えられている。
【0076】
通信部31Aは、携帯型通信装置3へID情報33を発信すると共に、サーバ2のゲート管理部17の指示により、携帯型通信装置3を介して送信されてきた緊急保護信号を受信すると、制御部34へその信号を供給する。なお、サーバ2のゲート管理部17は、保護者Aが保護者用PC5を用いて入力した緊急保護指示を、インターネット網7を介して受信することで緊急保護信号を生成する。
【0077】
制御部34及びID情報33が記憶されているメモリ32は、たとえばマイコンなどで構成され、通常は、所定の間隔で、ID情報33を発信させるが、通信部31を介して緊急保護信号が供給されると、出力部35に出力指示を命令する。
【0078】
出力部35は、たとえば、スピーカ、LEDなどであり、制御部34からの出力指示を受けて、音を鳴らしたり、所定の音声を再生したり、あるいは光を点滅させたりする。
【0079】
このような構成の発信装置4のように、通常、ID情報33を外部に定期的に発信するが、保護者Aからの緊急保護指示を受けると、出力部35から音あるいは所定の音声、光などを出力させることにより、周囲の携帯型通信装置3を有している第三者Cに対して、その存在をより気づいてもらえるような工夫がなされていてもよい。
【0080】
また、たとえば被保護者Bとしての病人、迷子の他に、性犯罪などの前科のある人物、政治家などの公職についている人物、犬、猫、熊などの動物、自転車、仏像などの物品などを対象としてもよい。また第三者Cとしては、大学生や老人などのボランティアの他に、上記のように時間のない社会人、主婦、中学生、高校生などとしてもよい。
【0081】
さらに、発信装置4は位置情報を有しない簡易な構成としているが、GPS衛星8からGPS信号を受信して自己の位置情報を取得できるようにしてもよい。そして、自己の位置情報とID情報33を携帯型通信装置3に送信するようにしてもよい。また、携帯型通信装置3は対象を探すサーチエリア内を出たり入ったりするようにするのが好ましい。これにより、複数の携帯型通信装置3によって、対象(たとえば被保護者B)の把握の確実性が増すことになる。また、携帯型通信装置3のサーチエリア内に出入りする有効個数は、2個以上が好ましく、10個以上が更に好ましく、50個以上が最も好ましい。このような配置は大都会において好ましく、地方都市では、この値の1/3〜1/10程度がよく、田舎ではこの値の1/10〜1/50程度であってもよい、ただし、配置密度は高い方がより好ましい。なお、サーチエリアの形状は、円、楕円形、四角形、正方形などであってもよく、正方形の場合にはたとえば、一辺の長さが100m〜1kmに設定することができる。また、サーバ2は、発信装置4を探索するためのサーチエリアを設定し、所定の時間内にそのサーチエリア内に携帯型通信装置3が含まれない場合には、そのサーチエリアとは異なる他の場所を新たなサーチエリアとして設定するようにしてもよい。また、サーバ1において、仮の第1のサーチエリアを設定し、その仮の第1のサーチエリア内に複数の携帯型通信装置3が所定の時間内(たとえば5分以内など)に含まれないときは、仮のサーチエリアとして設定する範囲を、仮の第1のサーチエリアに隣接する仮の第2のサーチエリアに変更するか、仮の第1のサーチエリアの広さを更に大きくさせた仮の第3のサーチエリアとすることによって、複数の携帯型通信装置3が含まれることになったときは、そのサーチエリアを正式なサーチエリアとして設定するようにしてもよい。
【0082】
また、このシステム1では、多数の携帯型通信装置3が移動可能とされているので、ある対象以外の他の対象について他のサーチエリアにてサーチすることもできる。そのため、携帯型通信装置3の役割が高いものとなる。しかし、携帯型通信装置3を所定のサーチエリアのみで機能するものとし、他のサーチエリアでは機能しないようにしてもよい。また、携帯型通信装置3が機能する地域を全世界としたり、日本国のみとしたり、東京地区だけとしたりなど、その携帯型通信装置3の役割を変更可能なものとしてもよい。
【0083】
また、携帯型通信装置3は、不特定方向に移動可能な通信装置として説明したが、携帯型通信装置3に加えて、あるいは携帯型通信装置3の代わりとして、固定された無線通信装置(たとえば、自動販売機などに設置した無線通信装置)などを用いてもよい。
【解決手段】サーバ2(情報処理装置)が、発信装置4(第1の携帯型通信装置)を探索するためのサーチエリアに、複数の携帯型通信装置3(第2の携帯型通信装置)のうちの一部の携帯型通信装置3が含まれる場合、そのサーチエリアに含まれる複数の携帯型通信装置3から送信されてくる所定のデータセットに基づいて、発信装置4の位置を把握する。