特許第5882456号(P5882456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882456
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】駐車誘導用後付けセット
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   B60R21/00 626A
   B60R21/00 621C
   B60R21/00 624C
   B60R21/00 622F
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-515115(P2014-515115)
(86)(22)【出願日】2012年5月15日
(65)【公表番号】特表2014-519444(P2014-519444A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】EP2012059037
(87)【国際公開番号】WO2012171740
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年12月11日
(31)【優先権主張番号】102011077555.2
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ショイアーレ
(72)【発明者】
【氏名】マークス シュナイダー
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−143410(JP,A)
【文献】 特開2009−017462(JP,A)
【文献】 特開2007−241326(JP,A)
【文献】 特開2002−283913(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/024498(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/038710(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0085427(US,A1)
【文献】 国際公開第2004/041611(WO,A1)
【文献】 米国特許第06115651(US,A)
【文献】 特表2013−532858(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006010295(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10221513(DE,A1)
【文献】 特表2003−511288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)と、当該車両(10)の側方に存在するオブジェクト(12)との相対位置を求める方法であって、
a)前記車両(10)が側方を通過するときに、少なくとも1つの側方のオブジェクト検出センサ(14)によって前記オブジェクト(12)を検出するステップと、
)前記車両(10)の後部領域または前記車両(10)のフロントガラスの領域または前記車両(10)のサイドガラスの領域に設置されたカメラシステム(22)により、複数の異なる撮像時点(48,50)においてビデオ画像(36,38)を生成するステップと、
c)前記複数の異なる撮像時点(48,50)におけるビデオ画像(36,38)から、前記車両(10)における前記カメラシステム(22)の取付位置に基づき、前記車両に位置する基準点(46)の、周辺に対する動き(30)を検出するステップと
)前記基準点(46)の、周辺に対する動き(30)と、前記車両(10)における前記少なくとも1つの側方のオブジェクト検出センサ(14)の取付位置とを使用して、ステップa)にて検出した前記オブジェクト(12)に対する前記車両(10)の基準点(46)の相対位置変化を求めるステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基準点(46)は、前記車両(10)の回転中心である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ステップc)において、
c−1)前記複数のビデオ画像(36,38)間のビデオ画像シフト(40)を検出し、
c−2)前記ビデオ画像シフト(40)から、前記周辺に対する前記カメラシステム(22)の相対的な動きを求め、
c−3)前記周辺に対する前記カメラシステム(22)の相対的な動きから、前記基準点(46)と当該カメラシステム(22)との固定的な位置関係に基づき、前記基準点(46)の、周辺に対する動き(30)を求める、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記カメラシステム(22)は、前記車両の移動中(30)、連続的に複数のビデオ画像(36,38)を生成する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記車両の動き(30)は、ステップa)にて検出したオブジェクト(12)に対して相対的な前記ビデオ画像(36,38)に基づいて生じる、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ビデオ画像(36,38)を制御装置(18)において解析することにより、前記車両(10)の周辺に対する前記カメラシステム(22)の相対的な動きを求める、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記オブジェクト(12)に対する前記車両(10)の位置変化により得られる距離に依存して、音響的および/または光学的な警報を生成する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、車両とオブジェクトとの相対位置を求める方法、および、当該方法を実施するための装置に関する。
【0002】
DE102006/010295A1は、道路交通におけるオブジェクト検出を行うステレオカメラシステムを対象とする。速度検出を行うために、カメラシステムを使用する。このカメラシステムは少なくとも2つの異なる種類の撮像センサを有し、各撮像センサの撮像領域は少なくとも部分的に相互に重なり、これら少なくとも2つの撮像センサのデータを組み合わせることにより1つの3Dデータを構成する。特別な実施形態では、それぞれ異なるスペクトル領域を感知する複数の撮像センサが設けられる。
【0003】
DE102005003354A1は速度検出用カメラを、とりわけ、1つの衝突オブジェクトと車両との相対速度を検出するためのカメラを対象とする。前記1つの衝突オブジェクトと車両との相対的な速度および距離は、当該衝突オブジェクトが車両に接近するプロセス中の複数の異なる測定時点で検出される。前記相対速度および距離の測定値に基づいて、可能性のある衝突時点を予測計算する。前記相対速度および距離の測定値、および/または、予測計算された本当の衝突時点は、前記測定時点とともに記憶され、車両と衝突オブジェクトとの実際の衝突時点を検出する。この実際の衝突時点と、予測計算された、可能性のある衝突時点とが比較され、対応する予測計算された可能な衝突時点と実際の衝突時点との偏差が最小となるように、相対速度の測定値を選択する。
【0004】
DE10221513A1は、速度を求めるための画像解析を開示しており、オリジナルフォーマットで電子的に検出された原画像を、幅‐高さ比が当該オリジナルフォーマットと異なる表示フォーマットで、変形表示画像として表示ユニット上に表示する方法を開示している。少なくとも1つの並進成分を有する変形関数を求め、この変形関数は原座標を表示座標に移行し、画像の主領域を変形させずに画像の副領域を変形させて写像する。典型的には先進運転支援システムが、所定の走行状況においてドライバを支援するための1つまたは複数の車載追加装置を実現する。このような追加装置ないしはサブシステムは、たとえばSDW(側方警報システム)、ABS(アンチロックブレーキシステム)、ESP(電子横滑り防止プログラム)、車間距離制御システム(「Adaptive Cruise Control」、ACC)またはパーキングアシスト(「Park Distance Control」、PDC)等である。
【0005】
特に、たとえば駐車操縦時や、ドライバが操車する手段が限られている状況等、狭い操車状況では、先進運転支援システムがドライバを支援することができる。こうするためには、先進運転支援システムは典型的にはパッシブ型のステアリング操縦を、すなわち、ドライバの能動的なステアリング操縦介入を用いないステアリング操縦を有する。このようにして、長手方向駐車中または横方向駐車中にドライバを支援することができる。このような先進運転支援システムは、少なくとも部分的に、大量生産時に自動車に組み込むことが可能である。超音波方式の駐車支援システムは、一般人が設置可能な後付けセットとしても市販されている。
【0006】
また、困難な状況においてドライバの運転を支援する先進運転支援システム、たとえば、立体駐車場内において視聴覚的な警報および情報によって支援する先進運転支援システムも存在する。後方カメラをベースとする駐車支援装置は、1つの可能な実施形態では、容易に設置可能なセルフ後付けセットとして構成することもできる。簡単に車両に取り付け可能な後付けセットは、超音波方式の駐車支援装置である。
【0007】
さらに、車両の隣のオブジェクトの距離警告を行う側方警報システム(SDW)が公知である。このシステムでは、通り過ぎる間に隣のオブジェクトを距離センサ系によって検出し、側方を通過する当該車両に対する当該オブジェクトの相対位置を追跡する。このように追跡を行うことにより、警告を行う時点になったら、このオブジェクトを距離センサ系によって検出する必要がなくなるので、側方センサの削減に繋がる。これについては、「仮想側方センサ」との用語も慣用されている。上述のシステムが従来の駐車誘導機能と異なる点は、警告および通知を行う時点ではオブジェクトや障害物が、超音波方式またはレーダ方式等のセンサ系の検出領域内になくても、オブジェクトや障害物を警告および通知できることである。このことが可能であるのは、上述のシステムが内部で、周辺から地図を、または、これに相当する情報構造を形成し、危険性を検出する基準として、現時点の車両位置に関するこの情報を使用するからである。それゆえ、上述のシステムは走行距離計を、すなわち、現時点の車両位置を得るためのサブシステムを必要とする。
【0008】
側方警報システムを使用する際に生じる問題は、オブジェクトを検出しなくなった時期のオブジェクト位置を求めるためには、オブジェクトに対する車両の相対移動を非常に正確に求めなければならないことである。その理由は、実際の位置からの偏差の推定を行うと、たとえばこの偏差が約10cmである場合、オブジェクトと、たとえば車両の車外ミラーとが必ず衝突してしまうからである。
【0009】
それゆえ、側方警報システムの従来公知の実施形態では、車両のESPまたはABSシステムの距離情報を必ず利用しなければならなかった。しかしこのことは、車両内蔵CANバス(Controller Area Network-Bus)にアクセスできること、および、現時点で評価すべきCANメッセージの正確な知識を前提条件とする。
【0010】
特に後付け可能なシステムでは、車両内蔵CANバスにアクセスすることは特に困難であるか、または全く不可能である。それゆえ、側方警報システム(SDW)を後付けセットの形態で実現するには、どうしても大きな手間がかかってしまう。
【0011】
発明の開示
本発明では、予めたとえば通過走行中に検出されたオブジェクトに対する車両の相対移動を、ビデオ情報に基づいて求めることを提案する。こうするためにはたとえば、車両の後部領域に、車両の回転中心を基準として、たとえば後軸の中心を基準として予め定められた取付位置に、ビデオカメラを車両内部に設置する。有利には、このビデオカメラの画像を解析して、周辺に対するカメラの相対的な動きを求める。この検出された動きは、計算によってカメラの取付位置とオブジェクト検出センサとに対応付けられる。このオブジェクトセンサは、たとえばSDWセンサとすることができ、このSDWセンサは、超音波センサとして車両前部の側部に取り付けられるセンサとすることができる。
【0012】
上記対応関係に基づいて、検出されたオブジェクトに対する車両の相対位置変化が求められる。
【0013】
本発明にて開示している解決手段によれば、超音波距離センサによる、すなわち車両側部に取り付けられたSDWセンサによるオブジェクト検出結果と、複数のビデオ画像の相互のシフトに基づいて検出された車両の動きとを組み合わせる。本発明にて開示している解決手段では有利には、たとえば車両の後部領域に固定設置されたビデオカメラを使用する。この固定設置カメラは、後付け用に構成された、たとえば超音波方式で動作する距離検出センサと同様、車両に取り付けられる。後付けセットは、後部側に取り付けられるビデオカメラと、信号出力部を備えた制御装置と、車両側方に取り付けられた2つの距離検出センサとの接続部とを含み、これらの距離検出センサは有利には、超音波距離測定方式で動作するセンサである。前記信号出力部は、音響的または視覚的とすることができる。
【0014】
検出された車両動きは、有利には計算によって、ビデオカメラおよびオブジェクト検出センサの固定的な取付位置と車両回転中心とに対応付けられる。本発明にて開示した、車両の動きの検出は、パッシブ駐車誘導に使用することもできる。このパッシブ駐車誘導とは、車両のドライバに対する支援システムであり、計算された軌道に沿って操舵指示および走行指示によりドライバを誘導し、有利には後方に行われる駐車操縦を支援するものである。
【0015】
発明の利点
本発明にて開示した解決手段により、車内データバスにアクセスする必要がなくなり、たとえば車載CANバスにアクセスする必要がなくなる。
【0016】
このように車内データバスへのアクセスが不要になると、たとえばABSシステムないしはESPシステム等、車両に組み付けられた他のシステムと結合しない自立型システムを確立することが可能となり、上述のアクセス要件無しで後付けセットを実現することが可能になる。このことにより、車両動きを求めて衝突を検出する、本発明のシステムの後付けセットは、非常に低いコストで、かつ、少数の部品のみを有するように構成することができる。
【0017】
本発明の後付けセットの構成要素は、側方距離警報(SDW)用の少なくとも2つのセンサ、制御装置、後部側に取り付け可能なビデオカメラ、および、前記構成要素間の適切なデータ伝送線路である。
【0018】
本発明にて開示した解決手段を使用する場合には、車両に従来組み付けられていた、ホイールパルスセンサ方式で動作する走行距離計の他に、光学的な走行距離測定が後付けセットによって行われることになる。車両に従来組み付けられていた走行距離計と併用される光学的ジオメトリにより、とりわけ低車速領域における、従来の走行距離計の精度および可用性を向上させることができる。低車速領域では、車両に組み付けられる大部分のホイールパルスセンサが出力する走行方向情報の信頼性は低いが、この走行方向情報は、本発明の装置の光学的走行距離測定により、光学的走行距離測定を用いて支援することが可能となる。
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】側方に位置するオブジェクトを通過する車両の第1の走行状況を示す。
図2】オブジェクトを通り過ぎた後とオブジェクトに接近する時との、図2の車両の第2の走行状況を示す。
図3】車両内部のビデオカメラによって撮像されたビデオ画像の解析によって行ったオブジェクト検出と車両動きの追跡とから得られた情報の組み合わせを概略的に示す。
【0021】
本発明の実施形態
以下、一実施例に基づいて本発明の解決手段を説明する。この実施例ではカメラシステムが、とりわけビデオカメラが車両10の後部領域に設置されており、よって、このカメラシステムは車両10の後方領域を検出する。また、カメラシステム22を車両のフロントガラスの領域またはサイドガラスの領域に設置することも可能である。ここで重要なのは、カメラシステム22の組付場所が固定であること、および、カメラシステム22が連続的に複数の画像を、とりわけビデオ画像を撮像できることである。この連続画像は制御装置18へ伝送される。図1では、車両10の左側隣に存在するオブジェクト12の側方を車両10が通過する様子を示している。
【0022】
図1では、車両10が走行方向16に移動しているのが示されている。図1の実施例では、車両10の横かつ左側に、たとえば定置のオブジェクト12が存在している。車両10が走行方向16に移動している間、このオブジェクト12はオブジェクト検出センサ14によって検出される。このオブジェクト検出センサ14はとりわけ、車両10の横に存在している。オブジェクト検出センサ14はたとえば超音波センサとすることができ、この超音波センサは車両10のフェンダの領域に配置され、概略的に図示された接続線路20を介してデータを制御装置18へ伝送する。この制御装置18は車両10の電源に接続されているが、側方に位置するオブジェクト12と車両との相対位置を求めるための後付けセットの後付け可能な部品である。車両10にはさらに、とりわけ後部領域に、カメラシステム22が設けられている。このカメラシステム22は、図1に示されているように、車両10の後方に位置する検出領域24を検出する。この検出領域24はたとえば地面構造26を含む。カメラシステム22もまた、データ交換を行うため、少なくとも1つの接続線路20を介して制御装置18に接続されている。制御装置18もまた、たとえば車両10のルーフ内側に設置されている。カメラシステム22はとりわけビデオカメラとして構成されている。このビデオカメラは連続的にビデオ画像を撮像し、この連続的なビデオ画像から、車両の動きを、たとえば走行方向16における車両10の軌道30を求めることができる。冒頭にてすでに述べたように、カメラシステム22もまた、車両10の後部領域に設置する代わりに、車両10の車室内部において側方に、または、車両10のフロントガラスの領域に設置することが可能である。
【0023】
符号46は基準点を示している。この基準点はたとえば、車両10の後軸の中心とすることができる。前記基準点46として、車両10の車体の他の固定点を選択することもでき、たとえば後輪駆動車の場合にはトランスミッショントンネル等を選択することもできる。本発明のカメラシステム22は、車両10の固定的な組付位置44に取り付けられ、ここではたとえば、車両10のリヤウィンドウの直後の後部領域に取り付けられている。
【0024】
前記接続線路20を介して制御装置18に接続されたオブジェクト検出センサ14は、伝搬方向がたとえば車両10の長軸側に対して垂直である超音波信号を送信する。この超音波信号は波状の伝搬28によって表されている。
【0025】
図1の実施例では車両10の後部領域である‐前記組付位置44に取り付けられたカメラは、複数の異なる撮像時点48および位置50にて複数のビデオ画像を連続的に撮像し、これらのビデオ画像もまた、制御装置18へ連続的に伝送される。
【0026】
図2には、車両10が障害物12の側方を通過したが、そのための操舵角に起因してこの障害物12に接近している、車両10の走行状況を示している。
【0027】
図2では、車両10の走行方向が変化したことが分かる。図1は走行方向16での直線走行であったが、それに対して図2では、車両は軌道30に従って左側へ移動し、通過時にオブジェクト検出センサ14の超音波信号28によって検出されたオブジェクト12に接近して、距離が小さくなっている。図2ではさらに、車両の後部領域10においてカメラシステム22によって検出される検出領域24が、走行方向16での当該車両の直線走行時に当該カメラシステム22によって第1の撮像時点48で検出された領域と変わっている。このことは、第1の撮像時点48にて撮像されたビデオ画像が、第2の撮像時点50にて撮像されたビデオ画像と異なっていることを意味し、図2では、この第2の撮像時点50のビデオ画像は、車両10の左方向の移動時に撮像されたものである。前記2つのビデオ画像36,38はそれぞれ異なる撮像時点48,50にて、カメラシステム22によって得られたものであり、これらのビデオ画像36,38から、車両周辺に対する車両10の相対移動を求めることができる。
【0028】
念のため、車両10はオブジェクト12に対する相対位置にて、後付けセットの同一の部品を、すなわち、少なくとも1つのオブジェクト検出センサ14と少なくとも1つの制御装置18とカメラシステム22とを含み、これはここでは車両10の後部領域に配置されていることを述べておく。各構成要素であるオブジェクト検出センサ14と制御装置18とカメラシステム22とは、図1と同様に、これら構成要素間のデータ交換を行うための接続線路20を介して相互に接続されている。
【0029】
図1図2、両図に示された車両10の位置を見比べると、第1の撮像時点48においてカメラシステム22により撮像された第1のビデオ画像36が制御装置18へ伝送され、第2の撮像時点50において当該カメラシステム22により撮像され当該制御装置18へ伝送された別の第2のビデオ画像38により、センサ14によって検出されたオブジェクト12に対する車両の相対的な動き30を追跡できることが分かる。こうするためには、それぞれ異なる撮像時点48,50にて撮像されたビデオ画像36,38を解析して、車両10に固定位置に設置されたカメラシステム22の、周辺に対する相対的な動きを求める。前記ビデオ画像36,38の解析によって検出された車両動き30を計算によって、カメラシステム22の組付位置44と、同様に車両10に定置されたオブジェクト検出センサ14とに対応付けることにより、車両動き30を評価することが可能となる。さらに、カメラシステムによって検出された車両動き30は、車両中心46に、ここではたとえば車両10の後軸の中心に対応付けられる。
【0030】
上記対応付けに基づいて、検出されたオブジェクト12に対する車両10の相対位置変化が求められる。図2には、図1の通過時に車両10の左側に検出されたオブジェクト10に車両10が接近すると、制御装置18によって警報信号が生成されるのが示されている。この警報信号は、先進運転支援システムの駐車用の警報信号と同様、音響的および/または光学的な警報信号とすることができ、これにより、静止しているオブジェクト12と衝突する可能性があることが車両ドライバに通知されるようにする。
【0031】
図3では、カメラシステムの情報すなわちビデオ画像と、オブジェクト検出センサによって検出された情報とをどのように結合するかを示している。
【0032】
図3には、それぞれ異なる撮像時点48,50にて撮像されたビデオ画像36,38を相互に重畳すると、両ビデオ画像36,38間のビデオ画像シフト40が検出されるのが示されている。このビデオ画像シフト40はマージ手法42で制御装置18へ送信される。ビデオ画像シフト40の検出、すなわち、周辺に対する車両の相対的な動き30の検出は、カメラシステム22によって連続的に検出され、また、連続的に制御装置18へ伝送される。
【0033】
さらに、オブジェクト検出センサ14によるオブジェクト検出結果34もまた、制御装置へ伝送される。図1,2を参照すると、オブジェクト12は図1では、当該オブジェクト12の側方を通過するときに、少なくとも1つのオブジェクト検出センサ14によって検出され、車両10の移動にしたがって、車両10に対する当該オブジェクト12の相対位置を追跡することにより、音響的または光学的な警報の出力時点では、オブジェクト12を距離センサ系によって直接検出する必要がなくなり、このオブジェクト12はこの時点ですでに、制御装置18において、存在しているものとして分類される。
【0034】
車両におけるカメラシステム22の取付位置と、少なくとも1つのオブジェクト検出センサ14の位置と、基準点46とを考慮して、それぞれ異なる撮像時点46,48において検出された複数のビデオ画像36,38を解析することにより求められた、周辺に対する車両の相対的な動き30の評価結果により、車両10と、図1の通過時に検出されたオブジェクト12との、相対位置変化を求めることができる。DSオブジェクト検出結果グラフ34は情報群を示しており、この情報群には、オブジェクト検出センサ14によって得られた距離値が含まれている。これらの情報は、カメラシステム22の複数の画像の撮像と、これら複数の画像間の時間的シフト40とから得られた情報とまとめられている。
【0035】
図2に示された、静止しているオブジェクト12への車両10の接近にしたがって、検出された当該オブジェクト12の相対位置変化を求め、オブジェクト12までの車両10の計算された距離に依存して、適切な警告情報をドライバに対して出力することができ、たとえば音響的な警告音や、または、それぞれ異なる色で点滅する複数の発光ダイオード(LED)を用いることができる。
【0036】
本発明にて開示する、車両10と、当該車両10側方に存在するオブジェクト12との相対位置を求める方法は、有利には、車両内部のデータバスを必要とせず、とりわけ、CANデータバスへのアクセスを必要としない。このようなデータバスが不要となることにより、有利には、本発明の方法の部品を低コストで、車両10に組み付けられた他のシステムと結合しない自立型システムとして構成することが可能となる。車両10の車載電源網との接続端子のみを設ければよい。
【0037】
とりわけ、車両10と、当該車両10側方に位置するオブジェクト12との相対位置を求めるための先進運転支援システムの後付け実装を行うための構成要素は、後付けセットとして構成することが可能である。この後付けセットは有利には、後付けで車両に取り付け可能な少なくとも1つのオブジェクト検出センサ14と、制御装置18と、カメラシステム22とを含み、前記オブジェクト検出センサ14はたとえば、車両10のフェンダ領域に取り付けられるように構成されている。前記制御装置18は、車両10の車載電源網に接続でき、かつ、オブジェクト12への接近時に車両ドライバに対して音響的および/または光学的な警報を出力するための出力ユニットを含むことができるように構成されている。前記カメラシステム22は、とりわけビデオカメラシステムである。
【0038】
図1および2の上記の説明では、車両10の後部領域にある設置位置44を例としてカメラシステム22を説明したが、有利にはビデオカメラとされる前記カメラシステム22は、車両のフロントガラスの領域または側部に取り付けることも可能である。ここで重要なのは、車両10においてカメラシステム22が固定位置に組み付けられていることのみである。というのも、カメラシステム22を固定的に設置することにより、車両10周辺に対するカメラシステム22の相対的な動きを求めるからである。上記では、たとえば車両回転中心である基準点46を、車両10の後軸の中心として定めているが、もちろん、他の基準点46を定めることも可能である。
【0039】
車両10と、当該車両10側方に位置するオブジェクト12との相対位置を求めるための本発明の装置の後付けセットすなわち自立型ユニットは、前記少なくとも1つのオブジェクト検出センサ14と、制御装置18と、とりわけビデオカメラを含むカメラシステムとを備える他に、接続線路22も含む。この接続線路22もまた、後付けで車両に、たとえば車両のルーフ内側に敷設可能なものとすることにより、光学的感度が高くなるように後付けセットの取付を行うことができる。
【0040】
後付けで取付可能な後付けセットとして実現される、車両10と、当該車両10側方に存在するオブジェクト12との相対位置を求める本発明の方法は、パッシブ駐車誘導にて使用することができる。本発明の後付けセットでは、光学的な走行距離測定を使用することができ、この後付けセットの機能では、車両10が駐車スペースの側方を通過するときに、この駐車スペースをオブジェクト検出センサ14によって、たとえば超音波センサによって検出することができる。この検出した信号により、駐車スペースの長さおよび奥行に関して得られる情報、ないしは、駐車スペースの位置角度に関する情報を測定することができる。本発明のカメラシステム22により、車両10の位置変化を検出し、この情報を用いて仮想地図を求め、この仮想地図を用いて、駐車スペースの検出および分類ならびに測定を行うことができる。本発明の解決手段を用いると、上述のように行われる駐車スペース測定の他に、この駐車スペースへのパッシブ誘導を実現することも可能である。このパッシブ誘導では、上述のようにして得られた駐車スペースの位置、大きさおよび角度位置に関する情報と、当該駐車スペースに対する自車の相対位置とを使用して、最適な駐車軌道を計算する。この計算された駐車軌道により、ドライバに対して操舵指示を与え、これにしたがってステアリングを動かすことにより、この計算された軌道に沿って車両10を移動させることができる。さらに、走行すべき移動区間と方向とに関する指示をドライバに与えることもできる。この指示はたとえば、次の操舵指示があるまで与えられる。
【0041】
このように指示を、とりわけ操舵指示をドライバに対して出力している間は常に、前記計算された軌道上における現時点の実際の車両位置を考慮する。実際の車両位置が変化すると、新規に軌道をプランニングしたり、ないしは、前記計算された車両軌道上に存在する、新たに検出された障害物を考慮する。本発明の解決手段では、この段階において以下の機能を実施する:
カメラシステム22により、車両10を変化させる位置を検出することができる。これにより、この位置からの偏差の軌道を新たに計算することが可能になる。この新たな計算結果から、ドライバへ出力される情報が更新され、たとえば、現時点の操舵角で未だ走行できる距離の情報が得られる。このことにより、停車ポイントに到達するためには、停車までの操舵角を変えない道路区間を推奨し、新たな操舵角を設定することが可能となる。さらに、走行中に検出された、オブジェクト検出センサ14の情報を、内蔵の視覚的地図に取り込み、この情報を走行路プランニングにて考慮したり、光学的または音響的に出力されるオブジェクト警報にて考慮することも可能である。
図1
図2
図3