特許第5882481号(P5882481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5882481-電力変換器及びそのプリチャージ回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882481
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】電力変換器及びそのプリチャージ回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20160225BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   H02M7/48 L
   H02M3/28 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-534988(P2014-534988)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-528689(P2014-528689A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012068071
(87)【国際公開番号】WO2013056918
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】1159351
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502363191
【氏名又は名称】シュネーデル、トウシバ、インベーター、ヨーロッパ、ソシエテ、パル、アクション、セプリフエ
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER TOSHIBA INVERTER EUROPE SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン、ギヨマール
(72)【発明者】
【氏名】ウ、バン
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−245485(JP,A)
【文献】 特開2008−104276(JP,A)
【文献】 特開昭52−147753(JP,A)
【文献】 特開平2−155463(JP,A)
【文献】 特開2001−268901(JP,A)
【文献】 特公昭52−203(JP,B2)
【文献】 特開平5−38139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気負荷(C)を制御するように意図された電力変換器であって、
正電力ライン(10)及び負電力ライン(11)が装備されたDC電力バスと、
バスキャパシタ(Cbus)と、
前記正電力ライン(10)と前記バスキャパシタ(Cbus)とに接続された制限抵抗(RL)であって、前記バスキャパシタは前記負電力ライン(11)に接続されている、制限抵抗(RL)と、
前記正電力ライン(10)と前記負電力ライン(11)とに接続されたスイッチモード電源(SMPS)と、
前記DC電力バスの前記負電力ライン(11)に接続された前記スイッチモード電源のスタートアップアセンブリ(14)とを備え、
前記電力変換器は、
第1の状態(st1)において、前記正電力ライン(10)を前記スイッチモード電源の前記スタートアップアセンブリ(14)に接続し、又は第2の状態(st2)において、前記制限抵抗を短絡するように前記正電力ライン(10)を前記バスキャパシタ(Cbus)に接続するように構成された選択手段と、
前記選択手段を前記第1の状態(st1)又は前記第2の状態(st2)に制御するように構成された制御ユニット(16)と、
を備えることを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
前記スイッチモード電源(SMPS)の前記スタートアップアセンブリ(14)は、直列に接続されたスタートアップ抵抗(R1)及びキャパシタ(C1)と、前記キャパシタ(C1)に並列に接続されたツェナーダイオード(Dz1)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記電力変換器は、前記スイッチモード電源の前記スタートアップアセンブリ(14)に並列に接続された放電抵抗(R2)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換器及びそのプリチャージ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている様式では、電力変換器は主として、
− DC電圧源に接続されており、正電力ライン及び負電力ラインを備えるDC電力バスと、
− 正電力ラインと負電力ラインとに接続されたバスキャパシタと、
− DC電力バスに接続されており、複数のスイッチングアーム(switching arm)が装備され、電気負荷に可変電圧を供給するように制御されるインバータモジュールと、
− バスキャパシタ用のプリチャージ回路であって、電力ラインとバスキャパシタとに接続されたプリチャージ抵抗とも呼ばれる制限抵抗と、制限抵抗に並列に接続されたプリチャージリレーとを備え、前記プリチャージリレーはバスキャパシタの充電が完了したときに閉路するように制御される、プリチャージ回路と、
を備える。
【0003】
また、電力変換器は、一方でAC電圧を供給する電源に接続され、他方でDC電力バスに接続された、整流器モジュールを備えることができる。
【0004】
電力変換器を制御するために、電力変換器に組み込まれたスイッチモード電源を用いることが知られている。このスイッチモード電源は、スタートアップアセンブリを用いる。
【0005】
また、電力変換器は、米国特許第5459652号の文書から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スイッチモード電源のスタートアップアセンブリとバスキャパシタのプリチャージ回路が変換器の損失の低減に寄与する電力変換器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、電気負荷を制御するように意図された電力変換器であって、
− 正電力ライン及び負電力ラインが装備されたDC電力バスと、
− バスキャパシタと、
− 前記正電力ラインと前記バスキャパシタとに接続された制限抵抗(limiting resistor)であって、前記バスキャパシタは前記負電力ラインに接続されている、制限抵抗と、
− スイッチモード電源(switch mode power supply)と、
− 前記DC電力バスの前記負電力ラインに接続された前記スイッチモード電源のスタートアップアセンブリ(start-up assembly)とを備え、
前記変換器は、
− 第1の状態において、前記正電力ラインを前記スイッチモード電源の前記スタートアップアセンブリに接続し、又は第2の状態において、前記制限抵抗を短絡するように前記正電力ラインを前記バスキャパシタに接続するように構成された選択手段と、
− 前記選択手段を前記第1の状態又は前記第2の状態に制御するように構成された制御ユニットと、
を備える電力変換器により達成される。
【0008】
1つの詳細によれば、前記スイッチモード電源の前記スタートアップアセンブリは、直列に接続されたスタートアップ抵抗及びキャパシタと、前記キャパシタに並列に接続されたツェナーダイオードとを備える。
【0009】
他の詳細によれば、前記変換器は、前記スイッチモード電源の前記スタートアップアセンブリに並列に接続された放電抵抗(discharge resistor)を備える。
【0010】
他の特徴及び利点は、例として示され、以下に規定される添付の図面において表される実施形態を参照して、以下の詳細な説明において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の電力変換器を表す図である。
図2】変形実施形態での本発明の電力変換器を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、電力変換器は主として以下を備える。
【0013】
− DC電圧源に接続されており、正電力ライン10及び負電力ライン11を備えるDC電力バス。
【0014】
− 正電力ライン10と負電力ライン11とに接続されており、バス電圧を一定値に維持するように意図されたバスキャパシタCbus。一部の変換器は、直列に接続された複数のバスキャパシタを備えることができる。
【0015】
− 複数のスイッチングアームを備え、各スイッチングアームは少なくとも2つのトランジスタを備えるインバータモジュール12であって、該インバータモジュールは、電力変換器に接続された電気負荷Cに可変電圧を供給するように意図されたインバータモジュール12。
【0016】
また、電力変換器は、一方でAC電圧を供給する電源15に接続され、他方で前記バスにDC電圧を供給するためのDC電力バスに接続された、電圧整流器モジュール13を備えることができる。整流器モジュール13を用いて、電力変換器は、可変速ドライブ(variable-speed drive)の機能を発揮する。
【0017】
また、電力変換器は、バスキャパシタCbus用のプリチャージ回路を備える。このプリチャージ回路は、可変速ドライブを開始後にバスキャパシタCbusに供給される充電電流を制限するために用いられる。このプリチャージ回路は、プリチャージ抵抗とも呼ばれる制限抵抗RLと、制限抵抗RLに並列に接続され、バスキャパシタCbusの充電が完了した後に制限抵抗RLを短絡するように意図され、プリチャージリレーと呼ばれるリレーとから構成される。制限抵抗RL及びプリチャージリレーから構成されたプリチャージ回路は通常、一方でDC電力バスの正ラインに接続され、他方でバスキャパシタに接続されている。制限抵抗RL及びプリチャージリレーは、バスキャパシタCbusのプリチャージ回路内に配置されており、それらは、(図1のように)バスキャパシタCbusに直接直列に接続されていてもよいし、(図2のように)DC電力バスの正電力ライン10上に直列に配置されていてもよい。
【0018】
更に、電力変換器はまた、スイッチモード電源(SMPS)を備える。スイッチモード電源SMPSは、DC電力バスにより供給される電圧により電力供給され、補助回路及びトランジスタ監視及び制御部に電力供給するために用いられる。DC電力バスが十分な電圧に達していない間は、インバータモジュールを制御することはできない。
【0019】
スイッチモード電源をスタートアップするためには、直列に接続されたスタートアップ抵抗R1、キャパシタC1と、キャパシタC1の電圧を制限するようにキャパシタC1に並列に接続されたツェナーダイオードDz1とを備えるスタートアップアセンブリ14を用いることが知られている。このアセンブリは、バスの正電力ライン10と、バスの負電力ライン11とに接続されるように意図されている。これは、スイッチモード電源の監視回路に電力供給することと、スイッチモード電源がスタートアップできるようにスイッチモード電源SMPSの端子間に電圧を印加することを可能にする。スイッチモード電源がスタートアップを完了した後に、スタートアップアセンブリ14はバスから切断され、スイッチモード電源SMPSはバスの2つの電力ライン10、11に接続された2つの接続ラインを通じてバスにより通常に電力供給される。
【0020】
本発明の目的は、プリチャージ回路の制限抵抗RLの短絡機能と、スタートアップアセンブリ14の切断とをプール(pool)することである。実際、プリチャージ回路及びスタートアップアセンブリは、同時、即ち、バスキャパシタCbusの充電が完了したときに不要になる。従って、本発明は、単一のリレーS1を用いて両方の機能を発揮することにある。このリレーS1は、制御ユニット16により2つの状態の間で制御され、即ち、バスキャパシタCbusの充電電流がスタートアップアセンブリ14の制限抵抗RL及びスタートアップ抵抗R1を通過する第1の状態st1と、制限抵抗RLが短絡されスタートアップアセンブリ14がDC電力バスの正電力ライン10から切断される第2の状態st2との間で制御される。上述の2つの機能を達成するために、使用されるリレーS1は、例えばSPDT(図1に示すような単極双投(Single Pole Double Throw))タイプとなる。リレーS1は、DC電力バスの正電力ライン10に接続されており、2つの電極(pole)を備え、これらの電極の各々は状態st1、st2の1つを規定する。本発明によれば、電力変換器はまた、スタートアップアセンブリ14に並列に接続された放電抵抗R2を備えることができる。この放電抵抗R2は、電力変換器がオフに切り換えられときにバスキャパシタCbusを速やかに放電することと、この抵抗R2がバスキャパシタCbusの端子に永続的に接続(plug in)されたときの追加的な損失を避けることを可能にする。この放電抵抗R2は、リレーS1がその第1の状態st1にあるときに、バスに接続される。
図1
図2