(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882495
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】評判メカニズムを判定するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20160225BHJP
【FI】
G06Q50/10 180
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-546363(P2014-546363)
(86)(22)【出願日】2012年2月8日
(65)【公表番号】特表2015-507251(P2015-507251A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2012052135
(87)【国際公開番号】WO2013117224
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】508342183
【氏名又は名称】エヌイーシー ヨーロッパ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NEC EUROPE LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ドレラ トルモ、ヒネス
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス マルモル、フェリクス
【審査官】
大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0130351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評判メカニズムを判定するシステムにおいて、該システムは、
評判メカニズムに従ってシステムエンティティの評判スコアを判定するようにそれぞれ動作可能な少なくとも2個の評判エンジンと、
前記少なくとも2個の評判エンジンのうちの1つを選択する選択エンティティと、
少なくとも1つのシステム条件パラメータに従って該システムの条件を測定し、対応する条件情報を提供する条件エンティティと、
少なくとも1つのシステムパフォーマンスパラメータに従って該システムのパフォーマンスを測定し、対応するパフォーマンス情報を提供するパフォーマンスエンティティと
を備え、
前記選択エンティティが、実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に基づいて、前記少なくとも2個の評判エンジンのうちから1つの評判エンジンを選択するように動作可能であることを特徴とする、評判メカニズムを判定するシステム。
【請求項2】
前記条件エンティティおよび/または前記パフォーマンスエンティティが、少なくとも1つのファジー集合に基づいてシステム条件および/またはシステムパフォーマンス情報を提供するようにそれぞれ動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記条件エンティティおよび/または前記パフォーマンスエンティティが、測定されたシステム条件および/またはシステムパフォーマンスパラメータに対する値の定義域を言語的値によって表される値域に写像する関数を使用することによって、前記少なくとも1つの条件および/またはパフォーマンス情報を判定するように動作可能であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記選択エンティティが、各評判エンジンに、該評判エンジンの適合性を表す値を割り当てるように動作可能であり、好ましくは、該値の値域が0と1の間にあり、前記割り当てられる値の和が1であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記選択エンティティが、遷移時間中に第1の評判エンジンから第2の評判エンジンへの遷移を実行するように動作可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記選択エンティティは、前記第1の評判エンジンから前記第2の評判エンジンへの変更の際に、前記第1および第2の評判エンジンによって判定される評判スコアのそれぞれについて重み付け係数を使用するように動作可能であることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記重み付け係数の和が定数であり、好ましくは1であることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記選択エンティティが、前記遷移時間中に前記重み付け係数を適応させるように動作可能であることを特徴とする請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記選択エンティティが、実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に応じて、前記重み付け係数および/または前記遷移時間を適応させるように動作可能であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
測定されたシステムパフォーマンスおよび/または測定されたシステム条件が、データベースに保存されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記データベースが、相異なるシステム条件および/または相異なるシステムパフォーマンスの状況に基づいて評判エンジン情報を提供するように動作可能であることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記評判エンジン情報が、少なくとも1つのファジー集合に基づくことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記評判エンジン情報が、所定のシステム条件および/またはシステムパフォーマンスの値の定義域を言語的値によって表される値域に写像するメンバシップ関数を使用することによって判定されることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システム条件パラメータが、該システムのエンティティおよび/またはユーザの数、プロバイダの数、ユーザおよび/またはエンティティの参加状態、ネットワークリソースおよび/またはコンピュータリソースを表すことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムパフォーマンスパラメータが、評判エンジンによって計算された評判スコアの精度、ユーザ満足度、適応度、悪意のユーザおよび/またはエンティティとの挙動、および/または悪意のプロバイダとの挙動を表すことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
評判メカニズムを判定する方法であって、請求項1ないし15のいずれか1項に記載のシステムで実行する方法において、該方法は、
a)少なくとも1つのシステムパフォーマンスパラメータに従って該システムのパフォーマンスを測定し、対応するパフォーマンス情報を提供すること、および/または、少なくとも1つのシステム条件パラメータに従って該システムの条件を測定し、対応する条件情報を提供することを実行するステップと、
b)実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に基づいて、評判メカニズムに従ってシステムエンティティの評判を判定するようにそれぞれ動作可能な少なくとも2個の評判エンジンのうちから1つの評判エンジンを選択するステップと
を備えたことを特徴とする、評判メカニズムを判定する方法。
【請求項17】
ステップa)が、対応するパフォーマンス情報を提供するため、および/または、対応する条件情報を提供するために、少なくとも1つのファジー集合に基づくことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
測定されたシステムパフォーマンスおよび/または測定されたシステム条件の値が、言語的値を表すファジー集合へメンバシップ関数によって写像されることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
第1と第2の評判エンジンの間の遷移が遷移時間中に実行されることを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
遷移時間中に、前記第1および第2の評判エンジンによって判定される評判スコアのそれぞれについて重み付け係数が評判スコアを判定するために使用されることを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記重み付け係数および/または前記遷移時間が、前記遷移時間中に、前記遷移時間に従って、および/または、実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に応じて、適応させられることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評判メカニズムを判定するシステムおよび評判メカニズムを判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、信頼・評判管理システムは、インターネットにおいて、あるソース(例えば情報プロバイダ等)が信頼できるかどうかを、他のユーザ、プロバイダ等の経験に基づいて分析するために広く普及し使用されている。このような信頼・評判管理システムは、スパムを判定するためにも使用可能である。その他、評判管理システムの応用分野は、電子商取引からブログ、ソーシャルネットワーク、ビデオストリーミングサービス等までにわたり、さらに、P2Pネットワーク、ワイヤレスセンサネットワーク、車両アドホックネットワーク、クラウドコンピューティング、アイデンティティ管理システム、協調型侵入検知ネットワーク等にも広がっている。
【0003】
特許文献1には、分散した評判エンジンからの評判データを集約し、グローバルな評判情報を導出するための、1つ以上のデータプロセッサ上で動作する方法およびシステムが開示されている。集中型評判エンジンが、複数のローカル評判エンジンからフィードバックを受信する。各ローカル評判エンジンは、1つ以上のエンティティに基づきローカル評判エンジンに関連するローカルな評判を判定するように動作可能である。集約エンジンが、複数のローカルな評判の集約に基づいて、問合せ対象のエンティティに対するグローバルな評判を導出するように動作可能である。集中型評判エンジンは、ローカル評判エンジンの1つ以上から評判問合せを受信し、ローカル評判エンジンのプレファレンスに基づいてグローバルな評判にローカルな評判バイアスを適用することにより、グローバルな評判からローカル評判エンジンに対するローカルな評判を生成する。
【0004】
非特許文献1には、カスタマイズ可能な評判エンジンあるいは計算エンジンを用いてパーソナライズされた形でユーザの評判を計算することが可能なモデルが開示されている。計算は、計算エンジンに対するあるルール言語に基づいて実行される。
【0005】
非特許文献2には、さまざまな信頼・評判モデルが開示されている。非特許文献2に開示されたこれらのモデルはすべて、スコア付与、ランク付与、報酬付与、罰金付与あるいは挙動情報収集のようないくつかの共通の主要プロセスを有する。
【0006】
しかし、上記の信頼・評判システムはある特定のシステムに制約されているので、パラメータによってこの特定のシステムに適応させることが可能ではあるが、フレキシブルでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7937480B2号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Philip J. Windley, Devlin Daley, Bryant Cutler and Kevin Tew, "Using Reputation to Augment Explicit Authorization", Proceedings of the 2007 ACN workshop and digital IT management, ACN, 2007, pp. 271-281, section 4.2.2
【非特許文献2】Felix Gomez Marmoland Gregorio Martinez Perez, "Towards Pre-Standardization of Trust and Reputation Models for Distributed and Heterogeneous Systems", Computer Standards & Interfaces 32 (2010) pp 185-196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、評判メカニズムを判定するシステムおよび方法において、よりフレキシブルなシステムおよび方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、評判メカニズムを判定するシステムおよび方法において、相異なるシステムまたはシステム状況に容易に適応可能なシステムおよび方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、評判メカニズムを判定するシステムおよび方法において、より適切なシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記の目的は、請求項1のシステムおよび請求項16の方法によって達成される。
【0011】
請求項1に記載の通り、評判メカニズムを判定するシステムは、評判メカニズムに従ってシステムエンティティの評判スコアを判定するようにそれぞれ動作可能な少なくとも2個の評判エンジンと、前記少なくとも2個の評判エンジンのうちの1つを選択する選択エンティティと、少なくとも1つのシステム条件パラメータに従って該システムの条件を測定し、対応する条件情報を提供する条件エンティティと、少なくとも1つのシステムパフォーマンスパラメータに従って該システムのパフォーマンスを測定し、対応するパフォーマンス情報を提供するパフォーマンスエンティティとを備え、前記選択エンティティが、実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に基づいて、前記少なくとも2個の評判エンジンのうちから1つの評判エンジンを選択するように動作可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項16に記載の通り、評判メカニズムを判定する方法であって、好ましくは請求項1ないし15のいずれか1項に記載のシステムで実行する方法は、a)少なくとも1つのシステムパフォーマンスパラメータに従って該システムのパフォーマンスを測定し、対応するパフォーマンス情報を提供すること、および/または、少なくとも1つのシステム条件パラメータに従って該システムの条件を測定し、対応する条件情報を提供することを実行するステップと、b)実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に基づいて、評判メカニズムに従ってシステムエンティティの評判スコアを判定するようにそれぞれ動作可能な少なくとも2個の評判エンジンのうちから1つの評判エンジンを選択するステップとを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明によって初めて認識されたこととして、請求項1に記載のシステムおよび請求項16に記載の方法は、評判スコアを計算する際に、硬直的でなく、よりフレキシブルである。さらに、本発明によって初めて認識されたこととして、請求項1に記載のシステムおよび請求項16に記載の方法は、システムの現在の状況に動的に適応可能である。さらに、本発明によって初めて認識されたこととして、請求項1に記載のシステムおよび請求項16に記載の方法は、現在のシステム条件および/またはパフォーマンス条件を考慮して、各時点において適用すべき最適な信頼・評判モデルを選択するための非常にフレキシブルなメカニズムを提供する。
【0014】
本発明のさらなる特徴、利点および好ましい実施形態は、請求項1または請求項16の後続の従属請求項に記載される。
【0015】
請求項1に記載のシステムの好ましい実施形態によれば、前記条件エンティティおよび/または前記パフォーマンスエンティティが、少なくとも1つのファジー集合に基づいてシステム条件および/またはシステムパフォーマンス情報を提供するようにそれぞれ動作可能である。その利点の1つとして、これにより、各時点において現在のシステム条件および要求されるパフォーマンス測定値に従って最適な評判メカニズムを備えた最適な評判エンジンをさらに動的かつ高機能に選択することが可能となる。さらなる利点として、ファジー集合はメモリ使用量が少なく、信頼・評判管理システムに適した不完全および/または近似的なデータの処理が可能である。
【0016】
さらに好ましい実施形態によれば、前記条件エンティティおよび/または前記パフォーマンスエンティティが、測定されたシステム条件および/またはシステムパフォーマンスパラメータに対する値の定義域を言語的項目によって表される値域に写像する関数を使用することによって、少なくとも1つの条件および/またはパフォーマンス情報を判定するように動作可能である。これにより、ルールおよび事実の表現を容易にすることが可能である。さらなる利点として、言語的項目は、人間のユーザによってより容易に理解可能である。
【0017】
さらに好ましい実施形態によれば、前記選択エンティティが、各評判エンジンに、該評判エンジンの適合性を表す値を割り当てるように動作可能であり、好ましくは、該値の値域が0と1の間にあり、前記割り当てられる値の和が1である。評判エンジンの適合性を表す値を割り当てることの利点の1つとして、適切な評判エンジンおよび対応する適切な評判メカニズムの選択が、単にさまざまな値をソートし、システムの評判スコアを判定する適合性が最高である評判エンジンを表す最高値に対応する評判エンジンを選択することによって容易に実行可能である。好ましくは、値の値域が0と1の間にあり、割り当てられる値の和が1である場合、これにより、対応する評判エンジンが選択エンティティによって選択される確率に対応する割当てが可能となる。
【0018】
さらに好ましい実施形態によれば、前記選択エンティティが、遷移時間中に第1の評判エンジンから第2の評判エンジンへの遷移を実行するように動作可能である。これにより、計算される評判スコアにおける潜在的な急激な変化を回避した「滑らかな」遷移が可能となる。
【0019】
さらに好ましい実施形態によれば、前記選択エンティティは、前記第1の評判エンジンから前記第2の評判エンジンへの変更の際に、前記第1および第2の評判エンジンによって判定される評判スコアのそれぞれについて重み付け係数を使用するように動作可能である。これにより、第1の評判スコアおよび第2の評判スコアを含む重み付けされた評判スコアを判定することによって、第1から第2への評判エンジンの「滑らかな」遷移が容易かつ効率的に可能となる。
【0020】
さらに好ましい実施形態によれば、前記重み付け係数の和が定数であり、好ましくは1である。重み付け係数の和が定数であることの利点の1つとして、重み付け係数によって重み付けされた第1の評判エンジンおよび第2の評判エンジンの両者による評判スコアの計算が正規化されるため、遷移時間中の重み付けされた評判スコアの計算が高速かつ容易になるとともに、容易な実施が可能である。
【0021】
さらに好ましい実施形態によれば、前記選択エンティティが、前記遷移時間中に前記重み付け係数を適応させるように動作可能である。これにより、遷移時間中のフレキシビリティが向上するため、重み付け係数および計算された評判スコアが動的に変動可能となり、例えば所定の状況に従って適応可能である。
【0022】
さらに好ましい実施形態によれば、前記選択エンティティが、実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に応じて、前記重み付け係数および/または前記遷移時間を適応させるように動作可能である。これにより、第1の評判エンジンから第2の評判エンジンに変更する遷移時間中に第1および第2の評判エンジンによって評判スコアを計算する際のシステムのフレキシビリティがさらに向上する。重み付け係数を適応させると、評判スコアを計算する際の第1と第2の評判エンジン間の非常に「滑らかな」遷移が得られる。実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に応じて遷移時間を適応させる場合、遷移時間が必要に応じて伸縮することを意味し、「滑らかな」遷移が保証される。
【0023】
さらに好ましい実施形態によれば、測定されたシステムパフォーマンスおよび/または測定されたシステム条件が、データベースに保存される。これにより、システムのフレキシビリティがさらに向上する。というのは、例えば、評判エンジンによって評判スコアを計算する際に、好ましくは推薦の形態の情報を評判エンジンに供給するために収集・保存しなければならないが、その場合、この種の情報を収集することが評判エンジンとは独立に実行可能となるからである。さらなる利点として、相異なる評判エンジンがデータベースにアクセスし、評判スコアや評判値を計算するために必要な情報を取得することが可能となる。
【0024】
さらに好ましい実施形態によれば、前記データベースが、相異なるシステム条件および/または相異なるシステムパフォーマンスの状況に基づいて評判エンジン情報を提供するように動作可能である。これにより、フレキシビリティおよび信頼性がさらに向上する。というのは、選択エンティティは、データベースと交信して、相異なるシステム条件の状況および/または相異なるシステムパフォーマンスの状況に対する相異なる評判エンジンの適合性に関する情報を取得することが可能だからである。また、選択エンティティは、現在のシステム条件および/またはシステムパフォーマンスに対して最適な評判エンジンを選択することも可能である。選択された評判エンジンによって評判スコアを計算する時間がさらに短縮される。
【0025】
さらに好ましい実施形態によれば、前記評判エンジン情報が、少なくとも1つのファジー集合に基づく。その利点の1つとして、これにより、各時点における現在のシステム条件および/またはシステムパフォーマンス測定値に従って最適な評判メカニズムを備えた最適な評判エンジンを、より動的、高機能かつ容易に選択することが可能となる。さらなる利点として、少なくとも1つのファジー集合に基づく評判エンジン情報は、少量のメモリしか必要とせず、信頼・評判管理システムに適した不完全および/または近似的なデータの高速な処理が可能である。
【0026】
さらに好ましい実施形態によれば、前記評判エンジン情報が、所定のシステム条件および/またはシステムパフォーマンスの値の定義域を言語的値によって表される値域に写像するメンバシップ関数を使用することによって判定される。これにより、ルールおよび事実の表現を容易にすることが可能である。さらなる利点として、例えば相異なる評判エンジンにおいて評判メカニズムを実施する際に、言語的項目は、人間のユーザによってより容易に理解可能となるので、ユーザは、相異なる評判エンジンにおけるさまざまな評判メカニズムを実施して、多数の可能なシステム状況に対処することが可能となる。
【0027】
さらに好ましい実施形態によれば、前記システム条件パラメータが、該システムのエンティティおよび/またはユーザの数、プロバイダの数、ユーザおよび/またはエンティティの加入状態、ネットワークリソースおよび/またはコンピュータリソースを表す。このようなシステムパフォーマンスパラメータは、例えば加入者数、加入者のフィードバック数、フィードバック記憶能力、計算能力等を考慮して、システムまたはシステム状況の現在の条件の重要な側面を表す。システム条件パラメータがユーザ数を表す場合、これは、システムに加入しているエンドユーザ数を規定する。システム条件パラメータがプロバイダ数を表す場合、これはシステムに加入しているプロバイダ数を規定する。システム条件パラメータがユーザおよび/またはエンティティの加入状態を表す場合、これはユーザ/エンティティがシステムにどのように加入しているかを指定し、特に、このパラメータは、システムに加入しているユーザ/エンティティがアクティブであり、連続的にサービスを要求しており、システムの評判フレームワークが効率的に動作するように後続のフィードバックを提供しているかどうかを示す。システム条件パラメータがネットワークリソースを表す場合、これは、好ましくは帯域幅に関して、どのくらい多くのネットワークリソースがシステムに存在するかを示す。システム条件パラメータがコンピュータリソースを表す場合、これは、好ましくは計算容量、記憶域等に関して、どのくらい多くのコンピュータリソースを各プロバイダが平均として有しているかを示す。これらのシステム条件パラメータはすべて定期的に測定可能である。
【0028】
さらに好ましい実施形態によれば、前記システムパフォーマンスパラメータが、評判エンジンによって計算された評判スコアの精度、ユーザ満足度、適応度、悪意のユーザおよび/またはエンティティとの挙動、および/または悪意のプロバイダとの挙動を表す。システムパフォーマンスパラメータが精度を表す場合、これは、計算された評判スコアが、対応する依拠当事者の実際の良好さまたは挙動とどのくらい類似しているかを示す。システムパフォーマンスパラメータがユーザ満足度を表す場合、これは、具体的な依拠当事者に関してフレームワークまたはシステムによってユーザに提供された計算された評判スコアと、当該特定の依拠当事者についてのユーザのフィードバックの実際の満足度との間の類似性を示す。システムパフォーマンスパラメータが適応度を表す場合、これは、適切な新たな評判スコアを再計算することによって、評判エンジンが依拠当事者の挙動における急激な変化に迅速かつ正確に反応する能力を示す。システムパフォーマンスパラメータが悪意のユーザとの挙動を表す場合、これは、誤ったフィードバックを提供する悪意ユーザに関して、分析された評判エンジンの弾力性のレベルを示す。システムパフォーマンスパラメータが悪意のプロバイダとの挙動を表す場合、これは、誤った推薦を提供する悪意プロバイダに関して、分析された評判エンジンの弾力性のレベルを示す。これらのシステムパフォーマンスパラメータはすべて定期的に測定可能である。
【0029】
請求項16に記載の方法のさらに好ましい実施形態によれば、ステップa)が、対応するパフォーマンス情報を提供するため、および/または、対応する条件情報を提供するために、少なくとも1つのファジー集合に基づく。その利点の1つとして、これにより、各時点において現在のシステム条件および/またはシステムパフォーマンス測定値に従って最適な評判メカニズムを備えた最適な評判エンジンをさらに動的、高機能かつ容易に選択することが可能となる。さらなる利点として、少なくとも1つのファジー集合に基づく評判エンジン情報は少量のメモリしか必要とせず、信頼・評判管理システムに適した不完全および/または近似的なデータの高速な処理が可能である。
【0030】
さらに好ましい実施形態によれば、測定されたシステムパフォーマンスおよび/または測定されたシステム条件の値が、言語的値を表すファジー集合へのメンバシップ関数によって写像される。これにより、ルールおよび事実の表現を容易にすることが可能である。さらなる利点として、例えば相異なる評判エンジンにおいて評判メカニズムを実施する際に、言語的項目は、人間のユーザによってより容易に理解可能となるので、ユーザは、相異なる評判エンジンにおけるさまざまな評判メカニズムを実施して、多数の可能なシステム状況に対処することが可能となる。
【0031】
さらに好ましい実施形態によれば、第1と第2の評判エンジンの間の遷移が遷移時間中に実行される。これにより、計算される評判スコアにおける潜在的な急激な変化を回避した「滑らかな」遷移が可能となる。
【0032】
さらに好ましい実施形態によれば、遷移時間中に、前記第1および第2の評判エンジンによって判定される評判スコアのそれぞれについて重み付け係数が評判スコアを判定するために使用される。これにより、第1の評判スコアおよび第2の評判スコアを含む重み付けされた評判スコアを判定することによって、第1から第2への評判エンジンの「滑らかな」遷移が容易かつ効率的に可能となる。
【0033】
さらに好ましい実施形態によれば、前記重み付け係数および/または前記遷移時間が、前記遷移時間中に、前記遷移時間に従って、および/または、実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に応じて、適応させられる。これにより、第1の評判エンジンから第2の評判エンジンに変更する遷移時間中のフレキシビリティが向上するため、重み付け係数および計算された評判スコアが動的に変動可能となり、例えば所定の状況に従って適応可能である。重み付け係数を適応させると、評判スコアを計算する際の第1と第2の評判エンジン間の非常に「滑らかな」遷移が得られる。実際の提供された条件情報および/または実際の提供されたパフォーマンス情報に応じて遷移時間を適応させてもよい。これは、遷移時間が必要に応じて伸縮することを意味し、「滑らかな」遷移が保証される。
【0034】
本発明を好ましい態様で実施するにはいくつもの可能性がある。このためには、一方で請求項1および16に従属する諸請求項を参照しつつ、他方で図面により例示された本発明の好ましい実施形態についての以下の説明を参照されたい。図面を用いて本発明の好ましい実施形態を説明する際には、本発明の教示による好ましい実施形態一般およびその変形例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1の実施形態によるシステムの模式図である。
【
図2】第2の実施形態によるシステムのシステム条件およびパフォーマンス測定値を表すファジー集合の例を示す図である。
【
図4a】第1の評判エンジンから第2の評判エンジンへの遷移を示す図である。
【
図4b】第1の評判エンジンから第2の評判エンジンへの遷移を示す図である。
【
図5】遷移時間中の重み付け係数の適応を示す図である。
【
図6】第2の実施形態によるシステムを示す図である。
【
図7a】システム条件分析によるさまざまな評判エンジンにおけるさまざまな評判メカニズムを示す図である。
【
図7b】パフォーマンス測定値分析によるさまざまな評判エンジンにおけるさまざまな評判メカニズムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、第1の実施形態によるシステムの模式図を示している。
【0037】
図1において、参照符号1は、評判メカニズムを判定するシステムを表す。システム1は、複数の評判エンジン(参照符号RE
1,RE
2,...,RE
nで表す)のうちから少なくとも1つを選択する選択エンティティ2を備える。システム条件は、システム条件パラメータSC
1,...,SC
mによって表される。システムパフォーマンスは、複数のシステムパフォーマンスパラメータPM
1,...,PM
pによって表される。選択エンティティ2は、システムの現在の条件SC
1,...,SC
m(例えばユーザ数、フィードバック数、利用可能な帯域幅、利用可能な記憶容量等に関する)に従って、および測定されたシステムパフォーマンスパラメータPM
1,...,PM
p(例えば精度、ユーザ満足度、適応度、攻撃に対する弾力性等)を評価することによる所望のパフォーマンスに従って、最適な評判エンジンRE
1,RE
2,...,RE
nを選択する。
【0038】
図2は、第2の実施形態によるシステムのシステム条件およびパフォーマンス測定値を表すファジー集合の例を示している。
【0039】
図2には、システム条件およびパフォーマンス測定値を表すファジー集合の例が示されている。選択エンティティ2は、各システム条件SC
1,...,SC
mおよび各パフォーマンス測定値PM
1,...,PM
pに対して、複数の相異なるメンバシップ関数および1つのファジー集合を使用する。システム条件に対するファジー集合FSSC
1,...,FSSC
mおよびパフォーマンス測定値に対するファジー集合FSPM
1,...,FSPM
pは、それぞれの言語的項目LT
1,LT
2,LT
3を含む。特に
図2では、言語的項目は「低」、「中」および「高」であり、これらは特定の値域を定義している。対応するメンバシップ関数は、特定のシステム条件パラメータSC
1,...,SC
mおよび測定された特定のシステムパフォーマンスパラメータPM
1,...,PM
pを対応するファジー集合FSSC
1,...,FSSC
m,FSPM
1,...,FSPM
pに写像し、さらに、ファジー集合FSSC
1,...,FSSC
m,FSPM
1,...,FSPM
pを形成する言語的項目LT
1,LT
2,LT
3に写像する。
【0040】
そして、選択エンティティ2は、システムの現在の条件および現在のパフォーマンスを表すラベルの集合を取得する。例えば、このようなシステム条件は、ユーザ数が「低」であることやユーザ加入状態が「中」と分類されること等を示してもよい。そして、選択エンティティ2は、この提供された情報に従って、各評判エンジンRE
1,RE
2,...,RE
pの適合性を、すべての値の和が1に等しいような0と1の間の値として判定する。この場合、これらの値は、次式の評判スコアを計算するために各評判エンジンRE
1,RE
2,...,RE
pを使用する確率を表す。
【0042】
ただし、SC
iはi番目のシステム条件を表し、PM
jはj番目のパフォーマンス測定値を表し、RE
kはk番目の評判エンジンを表し、p
REkは、この評判エンジンを現在適用されるものとして選択する確率を表す。さらに、前述のように、次式が満たされる。
【0044】
図3は、評判エンジン選択確率を示している。
【0045】
図3は、評判エンジンRE
1,RE
2,...,RE
nの確率がどのようなものであるかの例を示している。評判エンジンが選択エンティティ2によって選択される確率p
RE1は、評判エンジンの確率p
RE2および評判エンジンを選択する確率p
RE4に等しい。評判エンジンの確率p
RE3は、評判エンジンRE
1、RE
2およびRE
4の確率よりも小さい。
【0046】
図4a、
図4bは、第1の評判エンジンから第2の評判エンジンへの遷移を示している。
【0047】
図4aには、新たな評判エンジン(ここではRE
2)が選択される時間tにわたり計算される評判スコアRの急激な変化が示されている。評判スコアRは、以前は評判エンジンRE
1によって計算されていた。2つの異なる評判エンジンRE
1、RE
2の間のこのような変化あるいは遷移は、現在の評判エンジンの確率が所定のしきい値レベルよりも低下している場合や、あるシステム条件および/またはあるパフォーマンスパラメータの変化が速すぎたり大きすぎたりするときに要求されることがある。
【0048】
図4bは、評判エンジンを評判エンジンRE
1から評判エンジンRE
2に変更する際の評判スコアRの「滑らかな」遷移を示している。この滑らかな遷移を達成するため、評判エンジンの切替が選択エンティティ2によって開始された後、完全な遷移は、ある遷移時間(transition time)t
Tだけ延期される。評判エンジンRE
1が現在の評判エンジンであり、評判エンジンRE
2が、現在の評判エンジンRE
1を置き換えるために選択された評判エンジンである場合、遷移時間t
T中、評判スコアRは、両方の評判エンジンRE
1、RE
2からの出力あるいは評判スコアR
RE1、R
RE2を重み付けにより考慮して計算される。すなわち、その場合に計算される評判Rは、次式のように計算される。
【0050】
これらの重み付け係数C
1およびC
2は、C
1+C
2=1を満たし、遷移時間t
Tの最初には第1の重み付け係数C
1が1に等しく第2の重み付け係数C
2が0に等しく、遷移時間の最後には第1の重み付け係数C
1が0に等しく第2の重み付け係数C
2が1に等しくなるように動的に適応される。
【0051】
遷移時間t
Tもまた適応されてもよい。すなわち、システム条件および/またはパフォーマンス測定値に従って伸縮してもよい。
【0052】
図5は、遷移時間中の重み付け係数の適応を示している。
【0053】
図5には、重み付け係数C
1が遷移時間t
Tの最初の1から遷移時間t
Tの最後の0まで定常的で非線型に減少すること、および、重み付け係数C
2が遷移時間t
Tの最初に値0から出発して遷移時間t
Tの最後に値1まで定常的に増大することが示されている。第2の重み付け係数C
2が増大しているのと同じ部分で、重み付け係数C
1は、C
1+C
2=1を満たすように減少する。重み付け係数C
1、C
2および遷移時間t
Tの継続時間が両方とも、特にシステム条件および/またはシステムパフォーマンスに従って適応されてもよい。
【0054】
図6は、第2の実施形態によるシステムを示している。
【0055】
図6には、依拠当事者RP、複数のOpenIDプロバイダP
1、P
2、P
3、P
4、およびユーザUEを有するシステム1が示されている。
【0056】
ユーザUEは、あるサービスにアクセスしたい場合、依拠当事者RPと交信してもよい。ただし、ユーザUEは、依拠当事者RPが信頼できるかどうかを明らかにしたい。そこで、ユーザUEは、第1のOpenIDプロバイダP
1で認証を行い、そのOpenIDプロバイダP
1に対して、依拠当事者RPの評判を要求する。OpenIDプロバイダP
1は、例えば、認証によって依拠当事者RPをそれぞれ識別する他のOpenIDプロバイダP
2、P
3、P
4から依拠当事者RPの推薦を収集する。他のOpenIDプロバイダP
2、P
3、P
4は、さらに、当該他のOpenIDプロバイダP
2、P
3、P
4に接続された他のユーザによって識別された依拠当事者RPの推薦を収集してもよい。依拠当事者RPの評判スコアを計算するには、OpenIDプロバイダP
1が、前述のように、他のOpenIDプロバイダP
2、P
3、P
4から依拠当事者RPの推薦を収集し、OpenIDプロバイダP
1に接続されたデータベースDに、収集された推薦を保存してもよい。そして、OpenIDプロバイダP
1は、以下の4つのモデルのうちの1つによって、目的の依拠当事者RPの評判スコアを計算してもよい。第1のモデルは、次式の評判スコアRの平均を計算する。
【0058】
ただし、
R(RP)は、目的の依拠当事者RPの評判スコアであり、
αは、ユーザの推薦の重みであり、
βは、OpenIDプロバイダの推薦の重みであり、
nは、ユーザ推薦の数であり、
mは、OpenIDプロバイダ推薦の数であり、
Rec
uiは、i番目のユーザによって与えられる推薦の集約であり、
Rec
opiは、i番目のOpenIDプロバイダによって与えられる最後の推薦である。
【0059】
第2のモデルは、次の評判スコアの加重平均を計算する。
【0061】
ただし、
R(RP)
tは、時刻tにおける目的の依拠当事者RPの評判スコアであり、
w
ui,t=f(w
ui,t−1,|Rep−Rec
ui|)は、時刻tにおけるRec
uiに与えられた重みであり、
w
opi,t=f(w
opi,t−1,|Rep−Rec
opi|)は、時刻tにおけるRec
opiに与えられた重みである。
【0062】
第3のモデルは、次のプレファフェンス加重平均を計算する。
【0064】
ただし、
R(RP)
j,tは、ユーザjに対してカスタマイズされた時刻tにおける目標の依拠当事者RPの評判スコアであり、
sim
i,j=σ(pref
i,pref
j)は、ユーザiおよびjのサービス提供プレファレンス(提供時間、品質、価格等)の間の類似性に基づく、ユーザiとjの間の類似性を表す。
【0065】
第4のモデルは、次のユーザ加重平均を計算する。
【0067】
ただし、
w
ui,j,t=f(w
ui,j,t−1,|Rep
ui−Rec
uj|)は、時刻tにおいてユーザjによってRec
uiに与えられた重みであり、
w
opi,j,t=f(w
opi,j,t−1,|Rep
opi−Rec
uj|)は、時刻tにおいてユーザjによってRec
opiに与えられた重みである。
【0068】
上記のモデルのうちの1つによる目的の依拠当事者RPの評判スコアR(RP)の計算後、ユーザUEは、OpenIDプロバイダP
1から依拠当事者RPの評判スコアR(RP)を取得し、依拠当事者RPが信頼できる場合には、要求されるサービスを受けることに決定してもよい。
【0069】
図7aは、システム条件分析による各評判エンジンにおけるさまざまな評判メカニズムを示している。
図7bは、パフォーマンス測定値分析によるさまざまな評判エンジンにおけるさまざまな評判メカニズムを示している。
【0070】
事前に、評判エンジン上で計算された評判メカニズムに対する上記の4つのモデルが、ある特定のシステム条件およびパフォーマンス測定値に関して分析されている。システム条件については
図7aに、パフォーマンス測定値については
図7bに記載されている。例えば、評判スコアが、平均モデルに基づく評判メカニズムを用いた評判エンジンによって計算される場合、このモデルは、少数のユーザ、少数のOpenIDプロバイダ(OP)、少数のユーザ加入状態、少数のネットワークリソースおよび少数のコンピュータリソースに適している。
【0071】
加重平均評判メカニズムは、やや多くのユーザ、少数のOpenIDプロバイダ、やや多くのユーザ加入状態、少数のネットワークリソースおよびやや多くのコンピュータリソースに適している。
【0072】
プレファレンス加重平均評判メカニズムは、多くのユーザ、やや多くのOpenIDプロバイダ、やや多くのユーザ加入状態、多くのネットワークリソースおよび多くのコンピュータリソースに適している。
【0073】
ユーザ加重平均評判メカニズムは、非常に多くのユーザ、多くのOpenIDプロバイダ、非常に多くのユーザ加入状態、多くのネットワークリソースおよび非常に多くのコンピュータリソースに適している。
【0074】
平均評判メカニズムに基づく評判エンジンを用いた評判スコアの計算は、中程度の精度、悪いユーザ満足度、中程度の適応度、悪い悪意ユーザ挙動および悪い悪意OpenIDプロバイダ挙動を有する。
【0075】
加重平均評判メカニズムは、良い精度、やや悪いユーザ満足度、良い適応度、中程度の悪意ユーザ挙動および良い悪意OpenIDプロバイダ挙動を有する。
【0076】
プレファレンス加重平均に基づく評判メカニズムは、良い精度、良いユーザ満足度、やや良い適応度、中程度の悪意ユーザ挙動および良い悪意OpenIDプロバイダ挙動を有する。
【0077】
ユーザ加重平均評判メカニズムは、良い精度、良いユーザ満足度を有するとともに、悪意ユーザ挙動および悪意OpenIDプロバイダ挙動も良いが、適応度は中程度である。
【0078】
要約すれば、本発明は、特に現在のシステム条件および期待されるパフォーマンス測定値に従ってファジー集合を利用することにより、最適な評判エンジンを動的かつ高機能に選択するシステムおよび方法を提供する。本発明は、各時点において最適な信頼・評判モデルを適用することにより、リソース消費の適応および最適化を実現する。また、本発明は、各時点において適用される信頼・評判管理モデルのパフォーマンスの向上および最適化を実現する。さらに、本発明は、相異なる評判エンジン間の滑らかな遷移を実現し、新しい評判エンジンを選択する際の急激な変化を回避する。本発明は、目的のパフォーマンス測定値にも依存してシステム条件に動的に適応させることができるように、信頼・評判システムを改善する。本発明は、それぞれの特定の状況ごとに調整可能な信頼・評判モデルを設計・開発することを回避し、むしろ、高いパフォーマンスと、システム条件および/またはパフォーマンス測定値のある特定の設定とを有するモデルを提供する。また、本発明は、各時点において最もパフォーマンスの高い評判モデルを適用することにより、信頼・評判管理システムにおけるエンドユーザの使用感を向上させる。
【0079】
上記の説明および添付図面の記載に基づいて、当業者は本発明の多くの変形例および他の実施形態に想到し得るであろう。したがって、本発明は、開示した具体的実施形態に限定されるものではなく、変形例および他の実施形態も、添付の特許請求の範囲内に含まれるものと解すべきである。本明細書では特定の用語を用いているが、それらは総称的・説明的意味でのみ用いられており、限定を目的としたものではない。