(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5882512
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20160225BHJP
B66B 11/00 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
B66B7/00 K
B66B11/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-32757(P2015-32757)
(22)【出願日】2015年2月23日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】早川 久美
(72)【発明者】
【氏名】東 雅之
【審査官】
筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−330253(JP,A)
【文献】
特開2006−56661(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0120732(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
B66B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の縦枠と、縦枠同士を上側で連結する上梁と、縦枠同士を下側で連結する下枠と、縦枠、上梁及び下梁で構成される空間内に収納される積層重りとを備えたつり合い重りの縦枠交換方法であって、当該つり合い重りを昇降路のピットまで降下させ、ピットに設置されている緩衝器上に接触させる工程と、前記上梁に設けられた取付板と前記つり合い重りの底面に設けられた固定具との間に重り押さえを取り付ける工程と、前記上梁及び下梁と左右の前記縦枠との連結を解除して当該縦枠を取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と前記上梁及び下梁とを連結する工程と、前記重り押さえを取り外す工程と、を備えることを特徴とするつり合い重りの縦枠交換方法。
【請求項2】
つり合い重りの上梁上に設けられ、ガイドレールに沿ってつり合い重りを案内するレールガイドをレールガイド取付板から取り除き、レールガイドを取り除いた後のレールガイド取付板を前記取付板として利用し、前記固定具は、前記緩衝器との間隔を調整するスペーサの取付板を利用する、ことを特徴とする請求項1に記載のつり合い重りの縦枠交換方法。
【請求項3】
縦枠を取り除いた後の上梁が揺れないように、重り枠上梁支えによって上梁とガイドレールとを固定する工程を含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載のつり合い重りの縦枠交換方法。
【請求項4】
左右一対の縦枠と、縦枠同士を上側で連結する上梁と、縦枠同士を下側で連結する下枠と、縦枠、上梁及び下梁で構成される空間内に収納される積層重りとを備えたつり合い重りの縦枠交換方法であって、当該つり合い重りを昇降路のピットまで降下させ、ピットに設置されている緩衝器上に接触させる工程と、前面部と上面部と背面部とから垂直断面が逆J字状に形成された重り押さえ板を前記積層重りの上方から被せるとともに、当該重り押さえ板をレール固定部によってガイドレールに固定する工程と、前記重り押さえ板の上面部と前記つり合い重りの底面に設けられた固定具との間に重り押さえを取り付ける工程と、前記上梁及び下梁と左右の前記縦枠との連結を解除して当該縦枠を取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と前記上梁及び下梁とを連結する工程と、前記重り押さえを取り外し、前記重り押さえ板とレール固定部とを取り除く工程と、を備えることを特徴とするつり合い重りの縦枠交換方法。
【請求項5】
左右一対の縦枠と、縦枠同士を上側で連結する上梁と、縦枠同士を下側で連結する下枠と、縦枠、上梁及び下梁で構成される空間内に収納される積層重りとを備えたつり合い重りの縦枠交換方法であって、当該つり合い重りを昇降路のピットまで降下させ、ピットに設置されている緩衝器上に接触させる工程と、側面部と背面部と上面部とが一体となった重り押さえ用固定板を前記積層重りの上方から被せるとともに、当該重り押さえ用固定板の前記側面部をガイドレールに固定する工程と、重り押さえ用固定板が取り付けられた積層重りに、当該積層重りに予め上下方向に穿設されている通し穴に通しボルトを挿入して、重り押さえ用固定板の前記上面部とつり合い重りの底面とを連結固定する工程と、前記上梁及び下梁と左右の前記縦枠との連結を解除して当該縦枠を取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と前記上梁及び下梁とを連結する工程と、前記通しボルトを外して重り押さえ用固定板の前記上面部とつり合い重りの底面との連結を解除する工程と、前記重り押さえ用固定板をガイドレールから取り外す工程と、を備えることを特徴とするつり合い重りの縦枠交換方法。
【請求項6】
請求項1に記載のつり合い重りの縦枠交換方法に使用されるつり合い重りの縦枠交換用治具であって、つり合い重りの底面に設けられた固定具と、つり合い重りの上梁に設けられた取付板と、前記固定具との間を連結して積層重りを固定する重り押さえと、を備えることを特徴とするつり合い重りの縦枠交換用治具。
【請求項7】
縦枠を取り除いた後の上梁が揺れないように、上梁とガイドレールとを固定する重り枠上梁支えを更に備えることを特徴とする請求項6に記載のつり合い重りの縦枠交換用治具。
【請求項8】
請求項4に記載のつり合い重りの縦枠交換方法に使用されるつり合い重りの縦枠交換用治具であって、前面部と上面部と背面部とから垂直断面が逆J字状に形成された重り押さえ板と、前記重り押さえ板と接続されて当該重り押さえ板をガイドレールに固定するレール固定部と、前記重り押さえ板の上面部と前記つり合い重りの底面に設けられた固定具との間に取り付けられる重り押さえと、備えることを特徴とするつり合い重りの縦枠交換用治具。
【請求項9】
請求項5に記載のつり合い重りの縦枠交換方法に使用されるつり合い重りの縦枠交換用治具であって、側面部と背面部と上面部とが一体に形成され、前記積層重りの上方から被せた状態で、前記側面部はガイドレールに固定される重り押さえ用固定板と、重り押さえ用固定板が取り付けられた積層重りに予め上下方向に穿設されている通し穴挿入され、前記重り押さえ用固定板の前記上面部とつり合い重りの底面とを連結固定する通りボルトと、を備えることを特徴とするつり合い重りの縦枠交換用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
リニューアル時の重り枠において、耐震基準が見直された場合、強度基準を満足できない場合がある。また、リニューアル後にかご重量が増加した場合、既存の重り枠では高さ寸法が足りず、重りの積み増しができない場合がある。これらのことから、現状におけるリニューアル時は重り枠を全て交換していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−79615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、重り枠の交換作業では、縦枠の強度が問題となる。また、重り枠を全て交換するには、既存重りを全て降ろす作業が必要となり、作業性が悪いという課題があった。
【0005】
本発明の実施形態は、作業性を損なうことなく新規なつり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の実施形態は、左右一対の縦枠と、縦枠同士を上側で連結する上梁と、縦枠同士を下側で連結する下枠と、縦枠、上梁及び下梁で構成される空間内に収納される積層重りとを備えたつり合い重りの縦枠交換方法であって、当該つり合い重りを昇降路のピットまで降下させ、ピットに設置されている緩衝器上に接触させる工程と、前記上梁に設けられた取付板と前記つり合い重りの底面に設けられた固定具との間に重り押さえを取り付ける工程と、前記上梁及び下梁と左右の前記縦枠との連結を解除して当該縦枠を取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と前記上梁及び下梁とを連結する工程と、前記重り押さえを取り外す工程と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、他の態様は、つり合い重りの縦枠交換方法に使用されるつり合い重りの縦枠交換用治具であって、つり合い重りの底面に設けられた固定具と、つり合い重りの上梁に設けられた取付板と、前記固定具との間を連結して積層重りを固定する重り押さえと、を備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態1を示し、(A)は平面図、(B)は側面図。
【
図4】つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態2を示し、(A)は平面図、(B)は側面図。
【
図6】つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態3を示し、(A)は平面図、(B)は側面図。
【
図8】つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態4を示し、(A)は平面図、(B)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、重り枠の交換作業の省力化を目指しており、重り枠の交換部品を強度面で問題となることが多い縦枠に絞った構造を提案する。また、重り枠を全て交換するときに作業として発生する既存重りの全降ろし作業を省略できるようにすることで、作業時間の短縮と、安全性の向上を目的としている。
【0010】
<実施形態1>
図1は、つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態1を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図2は、
図1(A)のA−A線に沿った断面図である。
【0011】
各図に示すつり合い重り1は、ロープ3によって乗りかご(図示せず)と連結されており、乗りかごの移動に伴い、ガイドレール5L,5Rに沿って上下方向に移動可能に設けられている。
【0012】
つり合い重り1は、重り枠7と、この重り枠7内に積層される積層重り10とを備えている。重り枠7は、水平断面がコの字状に形成された左右一対の縦枠9L,9Rと、縦枠9L,9R同士を上方で連結する上梁11と、縦枠9L,9R同士を下方で連結する下梁13とを備えている。縦枠9L,9Rの上端及び下端には、それぞれレールガイド15L,15R及び17L,17Rが設けられ、つり合い重り1をガイドレール5L,5Rに沿って上下方向に案内する。なお、
図1は、上方のレールガイド15L,15Rが取り外された状態を示している。
【0013】
縦枠9L,9Rには重り挿入口19L,19Rが形成されており、この重り挿入口19L,19Rから積層重り10の出し入れがされる。
【0014】
昇降路のピット21には、つり合い重り1が所定の位置より低下した場合に受け止める緩衝機能を有する緩衝器23が設置されている。
【0015】
本発明の実施形態では、この緩衝器23を利用した縦枠9L,9Rの交換方法を提供する。その際に、積層重り10の落下を防止するために、重り押さえ25L,25Rを上梁11から下梁13までの間に取り付けるようにしている。すなわち、レールガイド15L,15Rを取り外した後のレールガイド取付板14L,14Rと、つり合い重り1の底面側に設けられる重り押さえ取付板27L,27Rとの間に重り押さえ25L,25Rを取り付けるようにしている。
【0016】
重り押さえ取付板27L,27Rについて説明する。ロープ3は、時間が経過するに連れて伸びが生じるため、つり合い重り1と緩衝器23との間のカウンタクリアランスが小さくなる。そこで、つり合い重り1の底面には金属製のスペーサ取付板29が設けられており、このスペーサ取付板29に木製のスペーサをボルトによって取り付け、ロープ3が伸びてきたときには、板厚を変更したり、スペーサ自体を取り外したりして一定の間隙を確保するようにしている。
【0017】
本実施形態では、スペーサを取り除いた後のスペーサ取付板29に重り押さえ取付板27L,27Rが取り付けられる。
図2に示すように、この重り押さえ取付板27L,27Rは、矩形状の厚さ数ミリ程度の金属板であり、先端部が下梁13よりも前方側に突出するように取り付けられており、先端部には、ボルト28を取り付けためのボルト穴が設けられている。
【0018】
<縦枠の交換手順>
次に、
図3を参照しつつ縦枠の交換手順について説明する。
【0019】
図3に示すように、まず、つり合い重り1を昇降路の底面を構成するピット21まで降下させ、ピット21内に設けられている緩衝器23上に載置させる(ステップS1)。
【0020】
次に、上梁11の上側に取り付けられている左右のレールガイド15L,15Rを取り外す。左右のレールガイド15L,15Rは、レールガイド取付板14L,14R上にネジ止めされているので、このネジをゆるめて取り外す。
図1は、左右のレールガイド15L,15Rが取り外された状態を示している。また、つり合い重り1の底面に重り押さえ取付板27L,27Rを取り付ける(ステップS3)。
【0021】
次に、重り押さえ25L,25Rを上梁11から下梁13までの間に取り付ける(ステップS5)。まず、レールガイド15L,15Rを取り外した後のレールガイド取付板14L,14Rのネジ穴を利用してネジ止めし、また、つり合い重り1の底面側に設けられる重り押さえ取付板27L,27Rのネジ穴を利用して重り押さえ25L,25Rをボルト28によって締結する。
【0022】
このようにして、積層重り10のずれや落下が防止されると、上梁11及び下梁13と縦枠9L,9Rのボルト締め部分を取り外し、縦枠9L,9Rを取り除く。このとき、上梁11は、ロープ3につり下げられた状態である。古い縦枠9L,9Rが取り外されると、新しい縦枠9L,9Rを上梁11及び下梁13に取り付ける(ステップS7)。
【0023】
縦枠9L,9Rの交換が完了すると、重り押さえ取付板27L,27Rのボルト28を緩めるとともに、レールガイド取付板14L,14Rのボルトを緩めて、重り押さえ27L,27Rを取り外す(ステップS9)。最後に、レールガイド取付板14L,14Rにレールガイド15L,15Rを取り付ける(ステップS11)。
【0024】
このように、実施形態1によれば、レールガイド取付板14L,14R、重り押さえ取付板27L,27R及び重り押さえ25L,25Rを利用することによって、簡単な作業により縦枠9L,9Rの交換が可能になる。また、重りおさえ25L,25Rにより、積層重り10の飛び出しや脱落が防止されると共に、縦枠撤去後のつり合い重り1の水平方向への移動を制限することが可能になる。
【0025】
<実施形態2>
図4は、つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態2を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図5は、
図4(A)のB−B線に沿った断面図である。なお、各図において、実施形態1と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略し、実施形態1との相違点のみを説明する。
【0026】
実施形態1では、縦枠9L,9Rを取り外した後の上梁11はロープ3でつり下げられた状態であった。実施形態2では、上梁11に重り枠上梁支え31L,31Rを設け、上梁11が揺れないようにガイドレール5L,5Rに固定することで、上梁11の水平面内での移動を抑制するようにしている。
【0027】
重り枠上梁支え31L,31Rは、
図5に示すように、垂直側面32aとこの垂直側面32aの両端から延出されて相対向する対向面32b,32bとから水平断面がコ字状(U字状)に形成されている。
【0028】
そして、縦枠の交換作業においては、
図3のステップS3において、上梁11の上側に取り付けられている左右のレールガイド15L,15Rを取り外した後、垂直側面32aをガイドレール5L,5Rの裏側に位置させてレールクリップ33でガイドレール5L,5Rと共にレールブラケット4L,4Rに取り付ける。また、対向面32b,32bを、ボルト34によって、上梁11に固定する。このステップS3における重り枠上梁支え31L,31Rの取り付け作業以外は、実施形態1と同じ工程で交換作業が行われる。交換作業が終了すると、重り枠上梁支え31L,31Rはガイドレール5L,5Rから取り外される。
【0029】
このように実施形態2によれば、上梁11を単にロープ3でつり下げるだけでなく、重り枠上梁支え31L,31Rで上梁11が揺れないようにガイドレール5L,5Rに固定するので、重り枠7全体が揺れたり、倒れたりするのを防止でき、縦枠9L,9Rの交換作業を迅速かつ効率よく行うことができる。
【0030】
<実施形態3>
図6は、つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態3を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図7は、
図6(A)のC−C線に沿った断面図である。なお、各図において、実施形態1と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略し、実施形態1との相違点のみを説明する。
【0031】
実施形態1、2の積層重り10は、重り枠7からはみ出すこと無く、ほぼ枠内に収まるものであったが、実施形態3の積層重り10Aは、重り枠7の前後にはみ出る奥行き幅の広いものが採用されている。また、積層重り10Aは貫通ボルト36によって固定されている。
【0032】
このため、縦枠9L,9Rを交換するに際して、以下のような、交換用治具が使用される。すなわち、実施形態3では、交換用治具として、垂直断面がL字状の重り押さえ板37と、一対の重り押さえ板39L,39Rと、レール固定部41L,41Rとを備える。
【0033】
重り押さえ板37は、積層重り10Aの背面を覆う背面部37aと、背面部37aからほぼ水平方向に屈曲され、積層重り10aの上面を覆う上面部37bと、上面部37bからほぼ垂直方向下方に屈曲され、積層重り10Aの前面を覆う前面部37cとから逆J字状に構成されている。背面部37aは、積層重り10Aの高さの半分以上の長さを持つようにする。なお、
図6(B)では、背面部37aは、積層重り10Aの10層までを覆い、前面部37cは3層までを覆うように図示しているが、これに限られず、積層重り10Aが飛び出すのを防止できれば、覆う面積は限定されない。
【0034】
重り押さえ39L,39Rは、垂直断面がL字状で長尺の金属板で構成され、上端側は、重り押さえ板37の上面部37bでボルト36によって固定されると共に、下端側は重り押さえ取付板27L,27Rに固定されるようになっている。
【0035】
レール固定部41L,41Rは、
図7に示すように、側面42aと側面42aからほぼ90度屈曲された背面42bとからなり、側面42aはガイドレール5L,5Rに固定される一方、背面42bはボルト38によって重り押さえ板37の背面部37aに固定される。
【0036】
以上の構成において、次に、縦枠の交換方法を説明する。
【0037】
実施形態3において、縦枠を交換する際には、レールガイドを取り外すことなく、まず、レール固定部41L,41Rをガイドレール5L,5Rに取り付ける。次いで、重り押さえ板37を積層重り10Aの上部から被せるように取り付けると共に、重り押さえ板37の背面部37aとレール固定部41L,41Rの背面42bとをボルト38で締結する。
【0038】
次いで、重り押さえ39L,39Rの上端を重り押さえ板37の上面部37bにボルト36によって固定すると共に、下端を重り押さえ取付板27L,27Rに固定する。ここまでの処理で重り押さえ作業が完了する。
【0039】
次いで、実施形態1と同様に、縦枠9L,9Rの交換作業が実行される。交換作業が完了すると、重り押さえ取付板27L,27Rのボルト28を緩めるとともに、ボルト36を緩めて、重り押さえ39L,39Rを取り外す(
図3のステップS9)。最後に重り押さえ板37とレール固定部41L,41Rをガイドレールから取り外す。
【0040】
すなわち、実施形態3は、つり合い重り1を昇降路のピット21まで降下させ、ピット21に設置されている緩衝器23上に接触させる工程と、前面部と上面部と背面部とから垂直断面が逆J字状に形成された重り押さえ板37を積層重り10Aの上方から被せるとともに、重り押さえ板37をレール固定部41L,41Rによってガイドレール5L,5Rに固定する工程と、重り押さえ板37の上面部37bとつり合い重り1の底面に設けられた重り押さえ取付板27L,27Rとの間に重り押さえ39L,39Rを取り付ける工程と、上梁11及び下梁13と左右の縦枠9L,9Rとの連結を解除して縦枠9L,9Rを取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と上梁11及び下梁13とを連結する工程と、重り押さえ39L,39Rを取り外し、重り押さえ板37とレール固定部41L,41Rとを取り除く工程と、を備えることを特徴とする。
【0041】
このように、実施形態3によれば、レールガイド取付板14L,14R、重り押さえ取付板27L,27R及び重り押さえ39L,39Rを利用することによって、簡単な作業により縦枠9L,9Rの交換が可能になる。また、レール固定部41L,41Rによって重り枠7が固定されるので、重り枠7の水平面内での移動を抑制することが可能となる。さらに、重り押さえ板37は、上面部37bの奥行きを変更することにより、積層重り10Aの大きさが変更した場合にも柔軟に対応することができる。
【0042】
<実施形態4>
図8は、つり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具の実施形態4を示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図9は、
図8(A)のD−D線に沿った断面図である。なお、各図において、実施形態1と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略し、実施形態1との相違点のみを説明する。
【0043】
実施形態5では、積層重りに貫通孔が形成された積層重り10Bを対象としており、積層重り10Bの貫通孔に貫通ボルト43L,43Rを重り押さえ用固定板45と共に取り付ける。重り押さえ用固定板45をガイドレール5L,5Rに取り付けることによって、重り枠7の重りを固定をするようにしている。
【0044】
重り押さえ用固定板45は、背面部45aとこの背面部45aの両端をほぼ90度に屈曲させて成る側面部45bと、背面部45aの中央部分を延出し、ほぼ90度屈曲させて形成される上面部45cとで構成されている。
【0045】
そして、縦枠9L,9Rを交換する際には、レールガイド15L,15Rを取り外すことなく、まず、重り押さえ用固定板45をガイドレール5L,5Rに取り付けた後、積層重り10Bの貫通孔から貫通ボルト43L,43Rを通し、つりあい重り1の底面側でナット締めすることによっておもり押さえ作業が終わる。次いで、実施形態1と同様、縦枠9L,9Rを交換後、貫通ボルト43L,43R及び重り押さえ用固定板45を取り外せばよい。
【0046】
すなわち、実施形態4は、つり合い重り1を昇降路のピット21まで降下させ、ピット21に設置されている緩衝器23上に接触させる工程と、側面部45bと背面部45aと上面部45cとが一体となった重り押さえ用固定板45を積層重り10Aの上方から被せるとともに、重り押さえ用固定板45の側面部45bをガイドレール5L,5Rに固定する工程と、重り押さえ用固定板45が取り付けられた積層重り10Aに、積層重り10Aに予め上下方向に穿設されている通し穴に通しボルト45L,45Rを挿入して、重り押さえ用固定板45の上面部45cとつり合い重り1の底面とを連結固定する工程と、上梁11及び下梁13と左右の縦枠9L,9Rとの連結を解除して縦枠9L,9Rを取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と上梁11及び下梁13とを連結する工程と、通しボルト45L,45Rを外して重り押さえ用固定板45の上面部45cとつり合い重り1の底面との連結を解除する工程と、重り押さえ用固定板45をガイドレールから取り外す工程と、を備えることを特徴とする。
【0047】
このように、実施形態4によれば、簡単な作業により縦枠9L,9Rの交換が可能になる。
【0048】
以上の各実施形態によれば、つり合い重りを構成する部品中、使用できる部品を残したままで縦枠のみの交換を簡単な作業で行うことができる。交換作業においては、積層重りの降ろし作業を省略することができるため、工事期間の短縮が可能となり、また、積み下ろし作業を最低限に抑制することができるので、作業性が向上する。
【0049】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…つり合いおもり、3…ロープ、4L,4R…レールブラケット、5L,5R…ガイドレール、7…重り枠、9L,9R…縦枠9L,9R、11…上梁、13…下梁、14L,14R…レールガイド取付板、15L,15R…レールガイド、19L,19R…重り挿入口、21…ピット、23…緩衝器、27L,27R…重り押さえ取付板、28…ボルト、29…スペーサ取付板、32a…垂直面、32b,32b…対向面、33…レールクリップ、34…ボルト、36…ボルト、36…貫通ボルト、37…重り押さえ板、37a…背面部、37b…上面部、37c…前面部、38…ボルト、39L,39R…重り押さえ、41L,41R…レール固定部、42a…側面、42b…背面、43L,43R…貫通ボルト、45…用固定板、45L…上面部、45a…背面部、45b…側面部
【要約】
【課題】作業性を損なうことなく新規なつり合い重りの縦枠交換方法及び縦枠交換用治具を提供すること。
【解決手段】左右一対の縦枠と、縦枠同士を上側で連結する上梁と、縦枠同士を下側で連結する下枠と、縦枠、上梁及び下梁で構成される空間内に収納される積層重りとを備えたつり合い重りの縦枠交換方法であって、当該つり合い重りを昇降路のピットまで降下させ、ピットに設置されている緩衝器上に接触させる工程(S1)と、前記上梁に設けられた取付板と前記つり合い重りの底面に設けられた固定具との間に重り押さえを取り付ける工程(S3)と、前記上梁及び下梁と左右の前記縦枠との連結を解除して当該縦枠を取り除く工程と、用意された交換用の縦枠と前記上梁及び下梁とを連結する工程(S5)と、前記重り押さえを取り外す工程(S9)と、を備える。
【選択図】
図3