【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるこの課題の解決策は、方法によれば、
ノズルの出口が、
2つのノズルプレートによって構成され、これらノズルプレートの形状に応じて、スラブ又は粗ストリップの表面に対して垂直な方向で見て長方形状の又は少なくとも部分的に円弧状のスリットの形態を備え、これにより、水が、スラブ又は粗ストリップの幅全体にわたって、一貫してストリップ状のジェットとして排出され、スラブ又は粗ストリップの移送方向のノズルの出口の幅が、0.2mm〜1.5mmの間で選択され、水が、5bar〜50barの間の圧力でノズルに供給され、ノズルの出口とスラブ又は粗ストリップの表面の間の間隔が、8mm〜50mmの間で、特に8mm〜35mmの間で選択されること、
及び、両ノズルプレートの位置が、互いに相対的に調整可能であること、を特徴とする。
【0010】
好ましくは、スラブ又は粗ストリップの移送方向のノズルの出口の幅が、0.3mm〜0.8mmの間、特に好ましくは0.4mm〜0.6mmの間で選択される。
【0011】
水は、好ましくは10bar〜40barの間、特に15bar〜35barの間の圧力でノズルに供給される。
【0012】
ノズルの出口とスラブ又は粗ストリップの間の間隔は、好ましくは10mm〜30mmの間、特に15mm〜20mmの間で選択される。
【0013】
長方形ノズルの出口における流動状態は、そこに高い水流出速度でコンパクトな比較的円滑なジェットが生じるように、設計もしくは設定されている。従来のフラットジェットノズルに比べて長方形ノズルの場合には存在しない、移送方向に対して横のウォータジェットの拡開は、低圧であるにもかかわらず高い衝撃作用(インパクト)と、良好かつ均等なデスケーリング結果とを生じさせる。
【0014】
前記データの組合せは、驚くべきことに非常に良好なクリーニング結果もしくはデスケーリング結果を生じさせ、エネルギー必要量が著しく低下した。
【0015】
ストリップ状のジェットは、好ましくは、スラブ又は粗ストリップの表面に対して垂直な方向に対して0°〜30°の間、特に15°〜25°の間の角度で、スラブ又は粗ストリップの移送方向に対して不動に調整されて整向されるか、前記角度範囲内で調整可能に形成される。
【0016】
ジェットの整向は、0°〜30°の前記角度範囲内で、水の流出状態、場所条件又はスラブ寸法に依存して最適に不動に調整することができる。選択的に、前記条件に依存した調整機構による角度の調整も可能である。スラブ下側又は粗ストリップ下側では、例えば加えられるパルス(インパクト)を最大化するために、0°の角度も有利であり得る。
【0017】
発展形では、ノズルの出口を規定する
両ノズルプレートの
水貫流用のそれぞれの画成エッジ
は、スラブ又は粗ストリップの表面
とのそれぞれの間隔が異なるように調整される。
【0018】
提案した、スラブ又は粗ストリップのクリーニング及び/又はデスケーリングをするためのスケールウォッシャは、本発明によれば、
ノズルの出口が、
2つのノズルプレートによって構成され、これらノズルプレートの形状に応じて、スラブ又は粗ストリップの表面に対して垂直な方向で見て長方形状の又は少なくとも部分的に円弧状のスリットの形態を備え、スラブ又は粗ストリップの移送方向のノズルの出口の幅が、0.2mm〜1.5mmの間であり、ノズルの出口とスラブ又は粗ストリップの表面の間の間隔を調整可能な移動手段が設けられていること、
及び、両ノズルプレートの位置が、互いに相対的に調整可能であること、を特徴とする。
【0019】
この場合、本発明の好ましい形成によれば、ノズルが、ハウジング内に収容され、このハウジングが、水平でスラブ又は粗ストリップの移送方向に対して横に配置された軸を中心として旋回可能である。ハウジングに、1つの部分又は突出部を配置することができ、この部分又は突出部が、スケールウォッシャの規定通りの使用時に、ノズルの出口よりもスラブ又は粗ストリップの表面の近くに配置されている。これにより、ノズルの効率的な保護が可能である。
【0020】
ノズルの出口は、互いに隣接して配置された−特に直線状の−2つのノズルプレートによって構成することができる。この場合、これらノズルプレートの少なくとも一方を、スラブ又は粗ストリップの移送方向及び/又はスラブ又は粗ストリップの表面に対して垂直な方向及び/又はスラブ又は粗ストリップの移送方向に対して横に調整可能に配置することができる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、ノズルの出口が、互いに隣接して配置された2つのガイド状のノズルプレートによって構成され、両ノズルプレートが、水貫流用の画成エッジを備え、スラブ又は粗ストリップの表面に対して垂直な方向で見たこれら画成エッジが、スラブ又は粗ストリップの移送方向に対して横の水平方向に対して特に1°〜5°の間のくさび角で延在し、両ノズルプレートが、互いに相対的に、スラブ又は粗ストリップの移送方向に対して横の水平方向に調整可能に形成されている。これにより、簡単にノズル間隙の大きさを変更することができる。
【0022】
真直ぐなノズルプレートエッジの代わりに、エッジは、任意に輪郭付けすること、特にn次の多項式による輪郭を備えることができるので、CVCテクノロジーの場合と同様に、幅にわたって、例えば放物線状の間隙変化が得られる。従って、即ち発展形では、ノズルの出口が、任意に輪郭付けされた2つのノズルプレートによって構成され、両ノズルプレートが、間隙幅をスラブ又は粗ストリップの幅にわたって不均等に変化させるように、互いに相対的に調整可能である。
【0023】
この場合、ノズル間隙幅は、デスケールすべきスラブ又は粗ストリップの幅にわたって部分的に調整可能にすることもでき、従って、それゆえ、移送方向のノズルの出口の幅が、スラブ又は粗ストリップの幅にわたって部分的に調整可能である。
【0024】
好ましくは、スケールウォッシャが、少なくとも1つのフィルタ要素を備え、このフィルタ要素が、多数の孔、網目又はスリットを備え、孔直径、網目幅又はスリット幅が、ノズルの出口の幅よりも小さいか等しい大きさである。即ち好ましくは、フィルタが水供給ライン内に配置され、その網目幅が、ノズルのスリット幅よりも小さい。この場合、フィルタ要素は、ノズルの出側領域の前に配置することができ、フィルタ要素の孔、網目又はスリットの横断面の和が、ノズルの出口の横断面よりも大きい。
【0025】
この場合、スケールウォッシャへの入側ライン及び/又はスケールウォッシャのハウジング及び/又は水を案内する全ての部品が、好ましくは不錆材料(好ましくはスチール又は銅)から成る。
【0026】
狭い長方形ノズルの詰りは、スケールウォッシャハウジング内の相応に構成したフィルタユニットによって回避される。これは、出側通路の前に配置された幅にわたる例えば直方体状の(又は同様の空間的な広がりを有する)一貫したフィルタユニットである。この場合、フィルタ領域は、垂直通路内へ突出することができる。フィルタユニットは、小さい網目又は孔又は特に狭幅のスリットを備え、その孔幅、網目幅又はスリット幅は、長方形ノズルの出口幅よりも小さいか等しい幅である。更に、流れ損失を小さく保つため、(水流れ方向で見た)孔、網目又はスリットの横断面の和は、長方形ノズルの横断面よりも大きい。
【0027】
別の有利な発展形では、ノズルの出口が、相応に輪郭付けされた2つのプレートによって構成され、これらプレートが、互いに相対移動した時に、スラブ又は粗ストリップの幅にわたる間隙を変更する。
【0028】
1つの噴射列だけを−特に低い水量で−使用することもできる。デスケール時にこれにより小さくなる冷却作用に基づいて生じる温度差の分だけ、炉温度を低下させることができる。
【0029】
長方形ノズルユニットは、
構成要素として水入側領域、場合によってはフィルタプレート、ジェット整流器、ノズル補正区間、ノズル間隙の前のジェット収束部及びノズル間隙
を有することができる。
【0030】
両ノズルプレートの画成エッジは、スラブもしくは粗ストリップに対して異なった間隔で配置することもしくはこのような異なった間隔に調整することもできる。
【0031】
長方形間隙は、円弧状に形成することもできる。ノズル間隙幅は、ノズルの幅にわたって部分的に調整可能にすることもできる。
【0032】
ノズルは、水の流出方向に
、平行な出口間隙を備えることができ、水の流出方向に測定した出口間隙の長さは、特に20mmより少ない、及び/又は、ノズルの出口の幅の3倍よりも長い。
【0033】
従って、本発明は、明らかに低減されたエネルギー消費量で良好なデスケーリング結果を達成するために、異なった措置の組合せを提案する。
【0034】
長方形ノズルの出口とスラブ又は圧延材の表面の間の間隔は、好ましくは20mmであり、10mm〜30mmの間の範囲も、非常に良好な結果をもたらす。長方形ノズルによって、スラブもしくは粗ストリップに対する間隔を小さく調整することができ、長方形ノズルであるので、幅にわたるノズルカバー範囲が重要となることはないことが、特に有利である。
【0035】
長方形ノズルによって既に幅にわたる均等なデスケーリング作用を調整することができるので、大抵は側毎に1つのデスケールバーで十分である。
【0036】
圧力レベルは、好ましくは25barに保たれ、10bar〜40barの間の値も良好な結果を生じさせる。これにより、著しい省エネルギーが得られる。
【0037】
長方形ノズルのスリット幅は、好ましくは0.5mmに調整され、このため好ましい値範囲は、0.3mm〜0.8mmの間である。
【0038】
比較的低い圧力と適当な間隙幅の場合、デスケール水量は低く調整可能であり、これが、スラブ又は粗ストリップの冷却効果を低減する。
【0039】
ノズルプレートは、交換可能に構想することができる。これらノズルプレートは、好ましくは耐熱性の特殊鋼、焼入鋼、硬質金属又はセラミックから成る。
【0040】
ノズルのジェットの角度は、好ましくは、全ての水が処理方向に向かって流れるように急勾配に調整され、ここでは0°〜25°の間の角度が好ましい。
【0041】
スケールウォッシャは、好ましくは仕上げトレインの前又はスラブ炉の後に配置される。
【0042】
ノズル出口とスラブ表面の間の間隔の調整能力により、デスケールプロセスの最適化だけでなくスラブ厚さの変更時のノズルの保護も可能である。スケールウォッシャ及びそのノズル領域を通る粗ストリップヘッドもしくはスラブヘッドの搬送時、ノズルは、いくらか持ち上げることができるか、その旋回可能なハウジングに外力が作用した時に退避し、これにより、損傷を回避することができる。従って、長方形ノズルを有するスケールウォッシャバーは、揺動要素に支承されている。
【0043】
ノズルを保護し、搬送の安全を向上させるための付加的な措置として、粗ストリップ又はスラブ−ヘッド形状検知装置(スキー)をスケールウォッシャの前に設けること(光学又は機械システム)及びスラブもしくはストリップのヘッドに対するノズル位置を制御することもできる。
【0044】
長方形のノズルのスリット幅は、ノズルプレートの交換によって変更することができる。スリット幅を調整メカニズムによって(例えばカム又はくさびによって)変更することも可能であり、このため、ノズルプレートを可動に配置することができる。これにより、ノズルプレート摩耗を補償することが可能になる。更に、これにより、間隙を例えば生じ得るノズルクリーニングのために開放することが可能になる。
【0045】
別の発展形として、ノズルの間隙を(移送方向に対して横の)長方形ノズルの幅にわたって部分的にだけ変更することもできる。これにより、ノズル間隙を部分的に閉鎖することができ、これにより、異なったスラブ幅への幅の適合が可能になる。
【0046】
デスケール圧力は、本発明によれば即ち従来技術に対して実質的に低減され、それにもかかわらず、提案した特徴の組合せによって十分不変のデスケーリング結果が得られる。
【0047】
ノズルとデスケールすべき圧延材の間の間隔を小さくすることにより、スラブ表面へのウォータジェットの衝突圧力が、従ってクリーニング作用が増加する。従って、本発明は、同じデスケーリング品質を維持しつつ間隔及び水圧を低下させることでもって働く。
【0048】
ノズル出口とスラブ表面の間の間隔は、相応のアクチュエータによって調整することができる。ノズル出口とスラブの間の間隔を小さく調整できるように、場合によっては、ヘッドにおける圧延材からのノズルの間隔調整が必要である。設けられる長方形ノズルの使用は、ここでは、スラブの幅にわたる均等なデスケーリング作用もしくは冷却作用が間隔に依存せずに得られるので、有利である。これは、反った圧延材表面の場合でも当て嵌まる。
【0049】
説明した方法でノズル出口とスラブ表面の間の間隔を減少させることにより、時間毎の必要水量を削減することができる。これは、スラブ又は粗ストリップの冷却効果を低下させる。小さい冷却効果は、例えば炉温度(加熱効果)が低減されることによって、省エネルギーのために利用することができる。
【0050】
従来のノズルを使用する代わりに、本発明は、ウォータカーテンを発生させてデスケールすべきスラブへ導くことができる長方形ノズルを設ける。
【0051】
従来並みに相並んで配置された多数のノズルが使用される場合は、ノズル出口とスラブの間の間隔が本発明通り低減された場合には、同じ噴射角度で十分なカバー範囲を保証できるようにするために、明らかに多くのノズルを使用しなければならなくなる。選択的に、確かに、ノズル数が不変の場合は噴射角度も増大させることもできるが、但し、これにより衝突圧力が低下し、従ってデスケーリング結果がマイナスの影響を受けるとの欠点を伴ことになる。
【0052】
提案した形成は、安価な構想によって際立っている。これは、一方では低圧ポンプの使用の可能性によって当て嵌まり、更に、薄い壁厚を有する割安のチューブライン及びスプレーバーを使用することができる。使用される高圧に対する遮蔽も、僅かにしか費用がかからなくなる。更に、長方形ノズルの摩耗も、圧力が低いために低減されている。これによりまた、僅かな整備費用しか必要ない。
【0053】
また、スケールウォッシャ及び/又はスケールウォッシャハウジングへの入側ラインもしくは少なくとも、水を案内する領域内の全ての部品は、不錆材料(例えば特殊鋼、鋳物、銅)から形成することができるが、それは、ここでは、必要な耐圧性を有する高圧スケールウォッシャではなく、50barよりも小さい圧力を問題とするからである。狭いスリットノズルの生じ得る詰りの危険に、効果的に対処することもできる。その場合、入側ライン又はスケールウォッシャ内の錆は、即ち生じることがない。
【0054】
スケールウォッシャはまた、有利には小さい構造スペースを占めるが、それは、スケールウォッシャに対して側毎に1つのノズル列しか設ける必要がないからである。
【0055】
有利には、濡らされる面が小さいためもしくはデスケールのために必要な水の容積流が少ないためにスラブの低減された冷却も得られる。
【0056】
上側のスケールウォッシャの水でぬらされる面は、付加的に、スケールウォッシャの前及び/又は後のドライブローラ又はスクイーズローラによって制限することができる。この場合、スクイーズローラは、限定された力もしくは限定された間隙に調整される。更に、このスケールウォッシャ構成の場合に定評のある、水を“掬い取る”ための捕集溝も配置することができる。
【0057】
使用される長方形ノズルにより、スラブの幅にわたる最適なカバー範囲が、しかもノズル出口とスラブ表面の間の間隔が異なる場合でも、得られる。
【0058】
衝突圧力は、前記仕様の運転パラメータで提案した長方形ノズルを使用することによって、少なくとも公知の高圧ノズルの場合と等しい大きさに保たれる。
【0059】
ノズルの出口通路は、出口領域内の先の尖ったスリットノズルの形態で形成することができる。選択的に、20mmよりも短い及び/又はノズルの出口間隙幅の3倍よりも長い間隙長さを有する若干円錐形の又は特に平行な出口間隙を有するノズルも使用可能である。
【0060】
ここでスラブもしくは粗ストリップを話題にする限り、これらは、一般に各種スラブ(薄スラブ、厚スラブ)もしくは粗ストリップ又はストリップ及び一般に特に四角形の横断面を有するデスケールすべき各材料を意味する。
【0061】
図面に本発明の実施例を図示し、以下で詳細に説明する。