特許第5882570号(P5882570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5882570積層ステーションにおけるベニヤシートの光学的アラインメント方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882570
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】積層ステーションにおけるベニヤシートの光学的アラインメント方法
(51)【国際特許分類】
   B27D 1/04 20060101AFI20160225BHJP
   B32B 21/13 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   B27D1/04 P
   B32B21/13
   B27D1/04 L
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-202026(P2010-202026)
(22)【出願日】2010年9月9日
(65)【公開番号】特開2011-56950(P2011-56950A)
(43)【公開日】2011年3月24日
【審査請求日】2013年7月30日
(31)【優先権主張番号】20095931
(32)【優先日】2009年9月9日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】510243573
【氏名又は名称】ラウテ・ユルキネン・オサケユキテュア
【氏名又は名称原語表記】Raute Oyj
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ペルッティレ
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−30004(JP,A)
【文献】 特開2000−6112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 1/00 − 5/00
B27L 5/00 − 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層ステーションにおけるベニヤシートの最適な位置決め方法であって、
ベニヤシートは、互いに重なり合って接着されるベニヤシートで構成されるベニヤ組立品として取り付けられ、
当該方法は、
ベニヤ組立品における各ベニヤシートの最適位置を決定する工程と、
それぞれの最適位置に対して、各ベニヤシートにおける互いに直交する仮想アライメント端を個々に決定する工程であって、仮想アライメント端は、各ベニヤシートの実際の端部とは別で決定される、工程と、
ベニヤ組立品を形成するためのベニヤシートの積層工程において、各ベニヤシートをそれぞれの仮想アライメント端に基づいて整列するように互いに位置決めする工程と、
積層工程の後に、少なくとも1つの仮想アライメント端を用いて、ベニヤ組立品をトリミングする工程と、を含む方法。
【請求項2】
各ベニヤシートにおける互いに直交する仮想アライメント端を個々に決定する工程は、
各ベニヤシートにおける互いに直交する仮想アラインメント端と、カメラ画像に基づく積層ステーションでの正しいベニヤシートの位置とを決定する工程と、
取得した画像データに基づいて、位置決め構成要素を用いて、ベニヤシートを仮想アラインメント端に一致するように最適位置に対して位置決めすることにより、ベニヤ組立品を形成する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各ベニヤシートにおける互いに直交する仮想アライメント端を個々に決定する工程は、
各ベニヤシートにおける互いに直交する仮想アラインメント端と、カメラ画像に基づく積層ステーションでの正しいベニヤシートの位置とを決定する工程と、
取得した正しい位置データに基づいて、位置決め構成要素を用いて、ベニヤシートを仮想アラインメント端に一致するように最適位置に対して位置決めすることにより、ベニヤ組立品を形成する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
トリミング工程において、少なくとも一つの仮想アラインメント端がベニヤ組立品の実際のアラインメント端になるように、ベニヤ組立品をその少なくとも一つの仮想アラインメント端に応じてトリミングする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
トリミング工程において、少なくとも1つの仮想アライメント端から所定距離のラインでトリミングする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ベニヤ組立品の全ての端を積層工程後にトリミングする工程をさらに含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
各ベニヤシートにアラインメントの穴や表示を作ることによって仮想アラインメント端を機械的にマーキングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
互いに直交する仮想アライメント端のうちの1つは、積層ステーションまでのベニヤシートの進行方向に平行であり、かつ、積層ステーションから外れる際のベニヤ組立品の前進方向に直交し、ベニヤ組立品は、積層ステーションから外れる際に、もう一方の仮想アライメント端に応じてトリミングされる、請求項4から6のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層ステーションにおけるベニヤシートの光学的アラインメント方法に関するものであり、本発明では積層ステーションにおけるベニヤシートは互いに重なり合って接着されたベニヤシートで構成されるベニヤ組立品として積層される。
【背景技術】
【0002】
合板パネルや単板積層材(LVL)の製造において、ベニヤは積層ステーションにおいていくつかのベニヤ層厚さを有するベニヤ組立品として積層される。ベニヤの上面に接着剤が塗布されており、ベニヤは互いに重なり合って積層され、続く工程では圧力と熱を加えることで互いに永久的に取り付けられる。これにはベニヤをそれぞれ相対的に正確にアラインメントする必要がある。伝統的にアラインメントは二つの静止フェンスに対して手動でなされていた。現在では積層操作はよく機械的にされているが、二つの静止フェンスはまだ何かと必要とされる。LVLの製造には機械的積層操作が行われているが、LVLは互いに平行とされているベニヤとは構造的に異なる。特許文献1にはLVLを製造する装置と方法の一つが記載されている。そこでは、ベニヤシートの前進方向において先頭端を構成するものをアラインメント端として機能させ、かつ、積層ステーションにおいてベニヤシートを二つの断片からなる平板装置の上に置くことによって、それぞれ相対的に正確なベニヤのアラインメントを可能にしている。前記平板断片は互いに向かう方向及び遠ざかる方向に移動するように合わせている。本解決法において、先頭端の位置確認は工程における制御パラメーターとして使用されている。それでも本解決法でさえ、先頭端は機械のブラケットによってちょうど二地点をもとに識別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開No.2003/0173734
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、アラインメント端の位置を最適化する際にベニヤシートの欠陥についてより良好な考慮を可能とすることで改良した解決法を提供することである。この目的を達成するために、本発明に係る方法は、各ベニヤシートの最適位置とアラインメント端の仮想位置を決定すること、及び仮想アラインメント端に一致するように位置決めされたベニヤシートをベニヤ組立品として積層すること、を特徴とする。
【0005】
本願において、仮想アラインメント端とはアラインメント端の最適位置のことを言うが、前記アラインメント端は実質的に互いに直交する関係にある。また、例えば実際のベニヤ端表面にごく近いところにある欠陥について、欠陥が最終的に次の工程で切り離される部分となって、他方でベニヤの表面積を最大限に利用できるように考慮している。欠陥として例えば、かなり大きい節穴の形、裂けたかあるいはひび割れたベニヤ断片、端の波形、などが有り得る。アラインメントについても、例えばレーザー線をアラインメント端として使用することによって、全体的に目で見える方法により実行できる。一旦、ベニヤで構成されるベニヤ組立品が完成すると、仮想アラインメント端をトリミング工程で実際のアラインメント端にするためにベニヤ組立品はトリミング工程に運ばれるが、その時は特に、中間のベニヤにある欠陥は端の切り取り工程の後まで目で見ることができない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、伝統的な積層法の原理概略図を示す。
図2図2は、本発明で実行される一つの積層法の原理概略図を示す。
図3図3は、本発明で実行される第二の積層法の原理概略図を示す。
図4図4は、ベニヤ組立におけるトリミング工程の原理概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1はベニヤシートの伝統的な積層方法を示し、ここでベニヤシート1、1’、1’’は互いに直交する関係に配置された静止フェンス13,14に対してアラインメントされている。この方法は長い間用いられていたが、ベニヤが最終的に不適当な位置にくる可能性があるという意味で問題がある。図1において、最上のベニヤ1はそのような不適当な位置に表されており、この結果として、端の切り取り工程後のベニヤ組立において正しいサイズを確保するために、ほんの少し大きめにベニヤを切り取らねばならない。
【0008】
図2は本発明に係る方法を示し、ここでは仮想アラインメント端位置を指し示すためにレーザー線を用いることで、ベニヤの積層を手動で行う。レーザーポインター3、4は互いに直交する2つのレーザー線を生み出す。その線によって操作者は積層工程に届いたベニヤ1を直近に積層されたベニヤ2の上に、目で見える方法でアラインメントすることができる。操作者は、自身に最も近い先頭端に現れ得る欠陥に配慮しながら、表面積の観点でベニヤを最大源に利用できるようアラインメントすることができる。
【0009】
図3は本発明に係る第二の積層法を表しており、ここでは自動的にベニヤが位置決めされる。本態様において、製造ラインには積層ステーションの上流側にカメラ8が配置される。前記カメラはベニヤの寸法を測り、それが単板として十分かどうか計算し、さらにその最適な配置場所を決定するものである。不十分な寸法のベニヤは組立から除外される。ベルトによって運ばれるベニヤが積層ステーションに着いたときは、グリッパー5、5’(支持ブラケット6、6’の端部にあり、その位置は正確に分かる)によってつかまれ、それと同時に第二のカメラ7は正しいベニヤの位置を調べ、続いてベニヤのアラインメント位置を計算する。これによってロボットの座標系においてベニヤの正確な位置を決定することができる。この後、ベニヤは所望の積層ポイントに運ばれて下ろされる。本態様においては、ベニヤは支持ブラケット6、6’によってパネル9の上に下ろされる。次に、パネル9がベニヤの下から離され、それによってベニヤの一端が降下し接着剤を介して積層体に取り付けられる。続いて支持ブラケット6、6’が引き抜かれる。
【0010】
前述の操作方法の代わりになる別の方法の一つとして、ベルトによって運ばれるベニヤが積層ステーションに着いた時に、ベニヤと同じ速度で前進するパネル平板の上かあるいはその他ベニヤを受け取る運搬装置の上へ前記ベニヤを落とすこともできる。パネル平板が中間地点まで進んだ後、グリッパーはベニヤをつかむことができ、続いて必要な真っ直ぐにする操作を実行し、それから次のベニヤを取るためにパネル平板あるいは運搬装置が下から引き抜かれる。
【0011】
前述の工程が完了すれば、ベニヤ組立品はトリミング工程、例えば端切り取り装置へ運ばれる。前記装置はベニヤ組立品を切り取るために用いられ、ベニヤ組立品を望ましい誤差の範囲内で仮想アラインメント端に一致するようにする。一つのアラインメント端10’は積層ステーションへの到着後におけるベニヤの前進方向の先頭端であることが好ましく、また第二のアラインメント端10はアラインメント端10’に直交する端である。ベニヤ組立品が積層ステーションから外れる際にはベニヤの前進方向と直交する方向へ外れることが好ましく、アラインメント端10’はベニヤ組立品の前進方向と平行関係にありベニヤ組立品が動いたままで切り取ることができる。好ましくは、互いに所望の間隔にセットされた鋸刃12、12’と交差するようにベニヤ組立品を動かすことによって、アラインメント端の反対側にある端も同時に切り取られる。アラインメント端と直交する短辺は、運搬装置を例えばパルスセンサーの読み込みに基づいて止めた上でトリミングするか、あるいは動いている間にいわゆるフライングソー、若しくはその刃がベニヤ組立品と交差して進むのと同じスピードでベニヤ組立品と同じ方向に前進する鋸を使用することでトリミングすることもできる。トリミング工程中において、ベニヤ組立品は例えばベルト11によって保持される。
【0012】
仮想端はいくつかの既に知られた方法でマークされても良く、そのマーキングは様々な工程作業でそのまま残っている。そのようなマーキング方法には仮想端を穿孔あるいは別の機械的表示によってマークする工程が含まれても良い。穿孔は例えばドリルや穴あけ機によってベニヤシート中に必要な数のマーキングの穴・凹部を作ることによって形成されても良い。マーキングも例えばインクジェットプリンターやその他の永久に残るマークを生成する機器によって形成されても良い。
【符号の説明】
【0013】
1、1’、1’’ ベニヤシート
2 ベニヤ
3、4 レーザーポインター
5、5’ グリッパー
6、6’ 支持ブラケット
7、8 カメラ
9 パネル
10、10’ アラインメント端
11 ベルト
12、12’ 鋸刃
13、14 静止フェンス
図1
図2
図3
図4