【実施例1】
【0009】
本実施例の組立式コンテナ1は、搬送器具としてパレットを用いたものである。
この組立式コンテナ1は、方形の荷台面2を有するパレット5と、該パレット5の四面を囲む一対の第1カバーパネル10及び一対の第2カバーパネル20と、蓋部30とからなっている。
【0010】
[パレット]
パレット5は、
図5に例示するように、上面に方形の荷台面2を有するプラスチック製のパレットからなっている。
荷台面2は、対向する第1の外周縁部3と、該第1の外周縁部3と隣接し直交する方向に設けられた第2の外周縁部4とを備えている。
【0011】
そして、パレット5の一方の外周縁部(図示例では第2の外周縁部4)に沿う側壁面の中途位置には、対向方向に延びてフォークを挿入するための一対の貫通孔5aが設けられた公知構成からなっている。
この発明では、方形の荷台面を有するものであれば、上記パレットに限らず、木製のパレットやスキッド台車その他の公知の搬送器具を用いることができる。
【0012】
[パネル]
本実施例では、第1カバーパネル10及び第2カバーパネル20は、主要部にプラスチック製中空体シートが用いられるが、この発明では、発泡プラスチックボードその他の発泡体シートなど、軽量で強度を有する素材を用いることができる。
プラスチック製中空体シートは、例えば、一回の押し出しで一体として吐出・成型されたプラスチック製段ボール、2枚のライナーの間に中芯を有するプラスチック製段ボール、など中空構造であればよい。
上記プラスチック製中空体シートは、例えば1枚のシートに断面V字状の熱板で熱罫線を入れて90度折り曲げる、などの従来の方法を用いて後述の第一外壁折曲部11bや係合突片部Pなどの折曲部分を形成することができる。
もしくは、すべて短冊状のシートにし、端面同士を垂直に接着させることで折曲部をつくってもよい。
本実施例では、前者のプラスチック製段ボールを用いた場合を例にして以下に説明する。
【0013】
[第1カバーパネル]
第1カバーパネル10は、第1外壁部11とこれに固着された第1掛止パネル部12とからなっている。
第1外壁部11は、前記第1の外周縁部3の全部を外側から囲むプレート状の第1外壁本体部11aと、該第1外壁本体部11aの両端で折れ曲がり左右に隣接する第2の外周縁部4の一部を外側から囲む一対の第1外壁折曲部11bとからなっている。
【0014】
[第1外壁部]
上記プラスチック製段ボールはそのまま用いてもよいが、第1外壁部11は横方向の両端を折り曲げるので、強度を高めるために、少なくとも一部(例えば下部)を金属板で覆って補強してもよい。
あるいは、軽量であれば、剛性を有する金属プレートをそのまま用いてもよい。
この第1外壁部11は、下端が組立時にパレット5の下端とほぼ一致し、上端がパレット5上の一定の高さに設定される大きさに形成されている。
【0015】
[第1掛止パネル部]
第1掛止パネル部12は、両端に一対の受溝部Gを有するプラスチック製段ボールからなっている。
プラスチック製段ボールは1枚でも複数枚でもよい。
1枚で形成する場合については、後述の実施例2として
図12に示す。
【0016】
本実施例では2枚のプラスチック製段ボールを用いる場合を示す。
図示例では2枚のプラスチック製段ボールを重ね合せて相互に接着しており、前記第1外壁本体部11aの内側の面に一体に固定されている。
【0017】
上記第1掛止パネル部12は、上端が第1外壁部11の上端と揃う高さに設定され、下端が前記荷台面2の第1外周縁部3の上に載置して掛止められる高さに設定される第1段部13が形成されている。
接着方法は、両面テープ、接着剤、熱溶着、超音波溶着など、既存の接着方法が考えられる。
【0018】
そして、第1掛止パネル部12には第1外壁部11との間に受溝部Gを形成している。
本実施例では、第1掛止パネル部12は、2枚が積層された縦目のプラスチック製段ボールからなっており、第1外壁部11の角部内面を利用して第1外壁本体部11aの内面両側に一対の受溝部Gを形成している。
縦目とは、リブ又は中芯の向きが側板の高さ方向に向かうように使用方向を設定することをいい、横目とは、縦目に対して90度回転させた状態をいう。
第1カバーパネルを構成するシートの少なくとも一枚を、縦目とすることで、上からの圧力に強いものとなる。第2カバーパネルについても同様である。
【0019】
[受溝部]
即ち、第1掛止パネル部12は、
図2に明瞭なように、第1外壁本体部11aに固着される第1外側ボード12aと、第1外側ボード12aの内面側に貼り合わされる第1内側ボード12bとからなっている。
そして、第1外側ボード12aはその両端を、第1内側ボード12bの両端より短く設定してあり、第1外壁部11の内面の各角部との間で断面が鉤状となる受溝部Gを形成している。
【0020】
[第2カバーパネル]
第2カバーパネル20は、本実施例の場合、第2外壁部21と前記第1掛止パネル部12に係脱可能な第2掛止パネル部22とからなっている。
第2外壁部21は前記第1外壁部11に対応するもので、組立時にその上端が第1外壁部11の上端と揃う高さに設定され、下端21Eは前記荷台面2よりやや下方となる。
これにより、荷台面の第2の外周縁部の全部を一対の第1外壁折曲り部11bと共に同一面状に囲むと共に、下端が荷台面より下方に延びているので外部からの雨水などの浸入を防止することができる。
【0021】
[第2掛止パネル部]
第2掛止パネル部22は、複数枚(図示例では2枚)のプラスチック製段ボールを重ね合せて相互に接着した構成からなり、前記第2外壁部21の内側に一体に固定されている。
上記第2掛止パネル部22は、上端が第2外壁部12の上端と揃う高さに設定され、下端が前記荷台面2の第2外周縁部4の上に載置して掛止められる位置に設定されて第2段部23が形成されている。
【0022】
第2掛止パネル部22は、
図3で明瞭なように、第2外壁部21に固着される第2外側ボード22aと、第2外側ボード22aの内面側に貼り合わされる第2内側ボード22bとからなっている。
本実施例の場合、第2外側ボード22aは、横方向の両端を鉤状に折り曲げるので、横目のプラスチック製段ボールを用い、第2内側ボード22bは補強用であるので縦目のプラスチック製段ボールを用いるのが好ましい。
【0023】
[係合突片部]
そして、第2外側ボード22aの両端を第2内側ボード22bの両端より長く設定し、上記第2内側ボード22bより延出した横方向の両端側を内側ボード22bの両端と所定の隙間22dを隔てて略直角に折り曲げて鉤状とし、前記受溝部Gに係合可能な係合突片部Pに形成している。
組立時には、前記第1内側ボード12bの延出方向の両端が第2内側ボード22bと係合突片部Pの間の凹溝状となる隙間22dに嵌合して、受溝部Gに嵌め込まれる係合突片部Pを拘束している(
図1参照)。
なお、係合突片部Pの端面をR形状にシール成形(端面処理)することで、組み立て時に、ひっかかる部分がなくなり、スムーズに係合突片部Pが受溝部Gに上から差し込める(
図3参照)。
【0024】
その他の端面についても、シートの中空部が露出し得る端面については、端面処理してもよく、これにより中空体シート内に雨水等が入らず、またコンテナを丸ごと洗浄することも可能となる。
前記受溝部Gと係合突片部Pの形状は上記実施例に限定されない。
この発明では、前記受溝部を第2掛止パネル部22側に設け、係合突片部を第1掛止パネル部12側に設けてもよい。
【0025】
[蓋部]
蓋部30は、下面が開放された箱形からなっている(
図4参照)。
図示例では蓋部30の内底面の中央に、嵌合時に第1カバーパネル10と第2カバーパネル20の上端と衝合しない短い寸法に設定された矩形の補強ボード31が接着されている。
蓋部30と補強ボード31とはプラスチック製段ボールからなっているが、補強用の蓋部の外周壁の角部や下部に金属製の補強カバーを固着しまたは嵌着してもよい(図示せず)。
【0026】
蓋部30の内空部32は、第1カバーパネル10と第2カバーパネル20の四辺全てを収納できる容積を持つように設定されている。
また、図示しないが、蓋部30の上部に、コンテナを積み重ねた時、コンテナの底となるパレット5の底面と係合するための突起等の係止部を設けても良い。
【0027】
従って、
図11に例示するように、一対の第1カバーパネル10の第1外壁折曲部を互い違いに向かい合わせて組み合わせ、一対の第2カバーパネル20はそのまま重ね合わせ、広面が水平面となるように蓋部30の内空部に収納することで、パレット5を除く構成部品をコンパクトに収納することができ、コンテナ組立の再使用に備えての回収作業を容易に行うことができる。
【0028】
[組立方法]
図6から
図9及び
図1により、上記構成部品を用いた組立式コンテナ1の組立方法を説明する。
まず、
図6に示すように、パレット5(
図5参照)の荷台面2の第1の外周縁部3の一方に、第1カバーパネル10を掛止める。
【0029】
ここで、第1外壁本体部11aはパレット5の前記第1の外周縁部3に沿う側壁面を隙間無く囲み、第1外壁部11の角部がパレット5の角部に外側から当接し、第1外壁折曲部11bは、第1の外周縁部3の両側に隣接する第2の外周縁部4、4に沿う側壁面の一部を隙間無く囲むように嵌め込む(
図7参照)。
【0030】
この際、第1掛止パネル部12の底面が第1段部13となり荷台面2の第1の外周縁部3に沿って掛止められる。
また、第1外壁部11の下端はパレット5の下端とほぼ一致し、コの字状に床面に接しているので、パレット5の一側で自立して掛止められる。
【0031】
同様に、荷台面2の対向する第1の外周縁部3に沿って他方の第1カバーパネル10を掛止め自立させる。
ここで、本実施例のようなパレット5の場合には、第1外壁折曲部11bの横幅の長さは、第2の外周縁部4に沿う側壁面に形成されるパレット5の貫通孔5aと重ならない長さに設定されている。
【0032】
次に、
図8に示すように、パレット5に掛け止められて自立した一対の第1カバーパネル10に形成された受溝部Gに、第2カバーパネル20の係合突片部Pを上から挿入し、該溝Gに沿って摺動させる。
同時に、第1内側ボード12bの延出方向の両端が、凹溝状の隙間22dに沿って嵌め込まれる。
そして、第2掛止パネル部22の下端の第2段部23が荷台面2の第2の外周縁部4上に掛止められるまで挿入される。
【0033】
また、第2外壁部21が設けられている場合には、第2外壁部21は、前記第2の外周縁部4に沿って当接された一対の第1外壁折曲部11bの間に嵌挿される(
図1参照)。
ここで、第2外壁部21の下端21Eは第2掛止パネル部22の下端より長く設定されているので、荷台面2を超えて下方まで延びることができ、掛止と同時に荷台面2上への雨水等の浸入を防止することができる。
【0034】
これにより一対の第1カバーパネル10と一対の第2カバーパネル20とが、係合突片部Pと受溝部Gとの係合によって相互に係止され角筒状に組み立てられると共に、パレット5の四方の面が第1外壁部11や第2外壁部21により囲まれる。
そして、
図1及び
図9で示すように、蓋部30を上から外嵌することで、上面を塞ぐと共に、第1カバーパネル10と第2カバーパネル20の連結を一層強化する。
【実施例5】
【0040】
前記1〜4の実施例では、第2カバーパネル20は、一体に形成された場合を示したが、この発明では、上下に折畳可能な構造としてもよいし、連結可能に上下に分割された構造としてもよい。
図15は、折畳可能な第2カバーパネル20を示す。
例えば、第2掛止パネル部22を高さ方向の中央位置で切断線6aで上下に2分し、第2掛止パネル部22に接着された第2外壁部21には前記切断線6aに沿って水平に半切り線等の折曲線6bを形成して、第2外壁部21側が重なり合うように2つ折りできるようにする。
これにより、蓋部30に第2カバーパネル20を収納するための第2カバーパネル20の高さの寸法制限がなくなる。
反面、蓋部に収納するために蓋部の深さは、深くする必要がある。
【0041】
図16(a)は上下に分割可能な第2カバーパネル20を示す。
この第2カバーパネル20は、上方分割片20Aと下方分割片20Bとに上下に二分割されている。
そして、上方分割片20Aと下方分割片20Bの連結個所に、係合手段の一方の係合構成部7と他方の係合構成部8がそれぞれ形成されている。
【0042】
即ち、図示例では、上方分割片20Aは、その下端を、第2内側ボード22b’と第2外壁部21’の下端を揃えて同一の位置とし、第2外側ボード22a’の下端をそれらより下方に長く延出させて突部とし、一方の係合構成部7を形成している。
下方分割片20Bは、その上端を、第2内側ボード22b”と第2外壁部21”の上端を揃えて同一の位置とし、第2外側ボード22a”の上端をそれらより下方に低く設定して凹溝とし、他方の係合構成部8としており、凹凸係合により両者を連結しうる。
従って、コンテナ組立後に、
図16(b)に示すように前記上方分割片20Aを上に抜き取ることで、残った下方分割片20Bで下方を拘束しながら、荷台面2上の収納物の取り出しが可能となる。
図示例では、一方の第2カバーパネルのみを分割した場合を例示したが、他方の第2カバーパネル20も分割構造としてもよい。また、第1カバーパネルを分割してもよい。分割片は凸凹係合以外の連結方法でもよく、別部材で連結しても、面ファスナーなどで連結してもよく、連結方法は問わない。また、分割片の連結面を凸凹ではなく、フラットに切断してもよい。
その他の構成は前記実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
また、前記折畳構造と同様に、蓋部へ収納する際の高さの寸法制限もなくなる。
上記各実施例に記載した構成は、他の実施例と適宜組み合わせて実施してもよい。
プラスチック製中空体シートに代えて発泡体シートを用いる場合には、前記実施例と同様に各部を別体に形成した発泡体シートを重ね合わせて接着する構造、又は各部を一体に成形した構造でもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。