(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯式ラベル貼付け機の一方の側板を取り除いた状態を示す側面図である。携帯式ラベル貼付け機1は、帯状のラベル連続体3がロール状に巻回されたロール体からラベル連続体3を引き出して、ラベル連続体3から分離されたラベル3aに必要に応じて印字を行い、ラベル3aを被貼付け体(図示せず)に貼り付けるために用いられるものであり、特に、台紙(剥離紙)のないラベル連続体に適応可能である。
【0014】
図1に示すように、携帯式ラベル貼付け機1は、筐体を構成する左右1対の側板2(
図1においては、一方の側板のみを示す)と、ラベル連続体3がロール状に巻回されたロール体を保持する保持機構4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、ラベル切断機構8と、貼付けローラー9とを含んでいる。
【0015】
保持機構4は、側板2に設けられたホルダー軸13の回りに回動することにより側板2に対して開閉可能に取り付けられたホルダーカバー14と、このホルダーカバー14の内部に設けられたラベル保持軸15とを含み、ラベル連続体3がロール状に巻回されたロール体をラベル保持軸15に装填保持することが可能である。
【0016】
左右1対の側板2には、操作者が握持可能なグリップ10が一体的に設けられている。操作レバー5は、このグリップ10に対して、レバー軸11の回りに回動可能に取り付けられている。操作レバー5とグリップ10との間には、任意の付勢部材、例えば、コイルスプリング12が設けられており、グリップ10に対して操作レバー5を
図1に示すような解放時離反状態に付勢可能としている。
【0017】
操作者は、コイルスプリング12の付勢力に抗してグリップ10と共に操作レバー5を握持及び解放することにより、プラテンユニット6、印字器7、及び、ラベル切断機構8を駆動し、その後、貼付けローラー9を用いて、ラベル連続体3から分離された単葉のラベル3aを被貼付け体に貼り付ける操作を行うことになる。
【0018】
プラテンユニット6は、操作レバー5の回動に伴ってラベル連続体3を貼付けローラー9の方向に搬送する搬送機構であり、先端部(図中左端)からラベル3aを送り出し、貼付けローラー9によりラベル3aを被貼付け体に貼り付け可能とする。
【0019】
図2は、
図1に示すプラテンユニットの分解斜視図である。プラテンユニット6は、プラテンフレーム18と、移送ローラー19と、押付けエレメント20とを含み、移送ローラー19と押付けエレメント20との間は互いに接離可能となっている。
【0020】
プラテンフレーム18は、プラテン開閉軸21の回りに回転することにより筐体に対して開閉可能となるように筐体に取り付けられる。プラテンフレーム18の先端側の左右には、1対の係脱ローラー26が突出するように形成されており、開閉用つまみ49(
図1)に連結された開閉用係脱片と係脱可能になっている。開閉用つまみ49を操作してプラテンユニット6全体を筐体に対して開閉することにより、
図1に示すラベル連続体3をプラテンフレーム18と移送ローラー19との間に挿通して装填することが可能となる。
【0021】
移送ローラー19は、プラテンフレーム18に形成された開口に、ローラー軸27の回りに回転可能に取り付けられ、ラベル連続体3の表面(剥離剤層)に当接して回転することにより、保持機構4(
図1)に保持されたロール体からラベル連続体3を引き出して移送する。
【0022】
ラベル連続体3において、マイクロミシン目の中央部に1つ又は複数の移送用スリットが形成されている場合には、移送ローラー19に、1列又は複数列の移送用爪33が所定のピッチで設けられてもよい。それらの移送用爪33は、ラベル連続体3の移送用スリットに係脱可能となっている。
図2に示す例においては、2列の移送用爪33が設けられた円周部の間に、中央円周溝32が形成され、それらの円周部の両側には、左右1対の外側円周溝34が形成されている。
【0023】
図3は、
図1に示す操作レバー及びプラテンユニットの要部斜視図である。操作レバー5は、その先端側に二股形状のヨーク部5aを有し、このヨーク部5aに印字器7(
図1)が取り付けられる。また、操作レバー5においてレバー軸11の下方に延びる連結アーム28の連結軸29には、移送回動用爪30が往復動可能に取り付けられている。この移送回動用爪30は、図中上方に付勢され、移送ローラー19においてローラーギア25の側面に放射状に設けられた複数の移送用突起31の各々に係脱可能となって、移送ローラー19を回転させる。操作レバー5及び連結アーム28〜移送用突起31は、
図1に示すグリップ10〜コイルスプリング12と共に、操作レバー5の回動に伴ってプラテンユニット6等を駆動する操作機構を構成する。
【0024】
また、プラテンユニット6は、駆動ギア22と、従動ギア23と、これら駆動ギア22及び従動ギア23の回りに掛け回された移送用無端ベルト24とを含んでいる。駆動ギア22〜移送用無端ベルト24は、移送ローラー19から供給されるラベル連続体3を所定の方向に移送する移送機構を構成する。駆動ギア22が移送ローラー19のローラーギア25に係合することにより、移送ローラー19の回転に伴って移送用無端ベルト24が駆動される。移送用無端ベルト24は、ラベル連続体の裏面(粘着剤層)に当接してラベル連続体を移送する。
【0025】
ここで、操作者がグリップ10(
図1)と共に操作レバー5を握持することにより、操作レバー5が第1の位置(図中下側)から第2の位置(図中上側)に回動する。これにより、連結アーム28に連結軸29を介して連結された移送回動用爪30が、それまで係合していた1つの移送用突起31の図中左側に隣接するもう1つの移送用突起31に係合するようになる。
【0026】
また、操作レバー5の回動に伴って、ラベル切断機構8(
図1)が、移送用無端ベルト24上のラベル連続体をマイクロミシン目に沿って切断し、ラベル連続体から単葉のラベルを分離する。さらに、ヨーク部5aに取り付けられた印字器7(
図1)が、ラベル連続体から分離された単葉のラベルに押印を行う。
【0027】
一方、操作者がグリップから操作レバー5を解放することにより、操作レバー5が第2の位置から第1の位置に回動して、連結アーム28に連結軸29を介して連結された移送回動用爪30が、係合している移送用突起31を押し込む。これにより、移送ローラー19がローラー軸27の回りに所定の角度だけ回転して、保持機構4(
図1)に保持されたロール体からラベル連続体を引き出して移送する。また、ローラーギア25を介して駆動ギア22が回転するので、移送用無端ベルト24が所定の距離だけ駆動され、移送ローラー19から供給されるラベル連続体を所定の方向に移送する。
【0028】
移送用無端ベルト24の表面には、移送されるラベル連続体の裏面(粘着剤層)が接触するので、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で移送用無端ベルト24を作製するか、又は、移送用無端ベルト24の表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。また、移送用無端ベルト24は、印字器7によるラベル連続体への押印動作の受け台ともなるので、プラテンフレーム18(
図2)において、印字器7に対向する移送用無端ベルト24の内側に、受圧用プレートが配置されてもよい。
【0029】
再び
図2を参照すると、押付けエレメント20は、エレメントフレーム35と、上下左右2対のバックアップローラー36と、バックアップローラー36の内側に位置する左右1対のバックアップリング37と、ねじりコイルバネ38と、左右1対の板バネ39とを含んでいる。
【0030】
エレメントフレーム35は、移送ローラー19の円周部に対向する左右1対の支持フレーム41と、支持フレーム41から外側に跨るように突出する左右1対の拡幅フレーム42と、支持フレーム41に設けられてバックアップローラー36及びバックアップリング37を取り付けるための上下1対の回転軸43とを含んでいる。ねじりコイルバネ38は、押付けエレメント20から移送ローラー19を離反させ、それらの間にラベル連続体を挿通可能とする間隙を形成可能とする。
【0031】
図4は、プラテンユニットが筐体に対して閉じられた状態を示す側面図である。プラテンユニット6が筐体に対して閉じられると、移送ローラー19と押付けエレメント20とが互いに押し付けられた状態になる。その際に、バックアップローラー36及びバックアップリング37(
図2)が、ラベル連続体を移送ローラー19側に押し付ける。
【0032】
ここで、バックアップローラー36及びバックアップリング37は、ラベル連続体の裏面(粘着剤層)に線接触するので、粘着剤層との粘着力を極力小さくすることができると共に、左右1対の板バネ39によって、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。なお、バックアップローラー36及びバックアップリング37は、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材で作製するか、又は、表面に剥離剤等を塗布しておくことが望ましい。
【0033】
バックアップリング37が、移送ローラー19に形成された外側円周溝34に沿って回転することにより、移送ローラー19と押付けエレメント20との間にラベル連続体が挟持される。また、移送ローラー19の移送用爪33がラベル連続体の表面側から移送用スリットに係合し、移送ローラー19の回転によってラベル連続体が移送用無端ベルト24上に送り出される。
【0034】
図5は、プラテンユニットが筐体に対して開かれた状態を示す側面図である。プラテンユニット6が筐体に対して開かれると、移送ローラー19が押付けエレメント20から離間して、それらの間にラベル連続体3を導入するための間隙40が形成される。
【0035】
支持フレーム41に固定された拡幅フレーム42は、プラテンフレーム18の外壁面に設けられたエレメント軸47の回りに回動可能に取り付けられており、プラテンフレーム18を押付けエレメント20に対して相対的に回動可能としている。
【0036】
ねじりコイルバネ38は、一方の支持フレーム41の外壁面に設けられたバネ取付け軸44に回転可能に支持されており、プラテンフレーム18の内壁面に設けられた第1のバネ受け45と、上記一方の支持フレーム41に設けられた第2のバネ受け46とに両端が当接することにより、プラテンフレーム18を押付けエレメント20に対して解放状態(
図5)となる方向に付勢する。
【0037】
板バネ39は、移送ローラー19とは反対側の支持フレーム41の背面に取り付けられており、操作レバーのレバー軸11(
図3)の部分に当接することにより、ねじりコイルバネ38と協動して、プラテンフレーム18を筐体に対して解放状態(
図5)となる方向に付勢する。
【0038】
図6は、携帯式ラベル貼付け機の外観を示す図であり、
図6(A)は、
図1に示す側面と反対側の側面を示す側面図、
図6(B)は、正面図である。
図6及び他の図面においては、ローラー軸27(
図3)に平行な軸をZ軸としている。ヨーク部5aに取り付けられた印字器7には、
図6(B)に示すように、リング状の活字部7aが配置されている。活字部7aは、例えば、複数の回転軸によって回動可能に支持されており、活字部7aの外周面には、複数列の活字(凸版)が所定の間隔で形成されている。
【0039】
また、印字器7には、ラベルに印字される内容を設定するための印字内容設定部材として、設定ダイヤル7bが設けられている。この設定ダイヤル7bを操作することによって、ラベルに対向して印字器7の先端部に露出する活字を設定することができる。即ち、設定ダイヤル7bをZ軸と反対の方向に引き出すことによって、引き出す距離に応じて活字の列を選択し、設定ダイヤル7bを回転させることによって、選択された列において所望の活字を設定することができる。
【0040】
印字内容を設定するとき以外の通常状態においては、
図6(B)に示すように、設定ダイヤル7bがZ軸方向に押し込まれている。その状態においても、設定ダイヤル7bは、筐体の一方の側板(左側板)2から外側(Z軸と反対の方向)に突出している。従って、底面を下にして机上に置かれた携帯式ラベル貼付け機が横向けに倒されたり、床に落下したりすると、設定ダイヤル7bが机や床に衝突して破損するおそれがある。また、ロール体が机や床に衝突すると、ロール体を保持する保持機構4が破損するおそれがある。
【0041】
そこで、本実施形態においては、
図6に示すように、設定ダイヤル7bの下方において、突起部2aが、設定ダイヤル7bよりもさらに外側に突出して側板2に設けられている。これにより、底面を下にして机上に置かれた携帯式ラベル貼付け機が横向けに倒されたりしても、設定ダイヤル7bや保持機構4等が破損し難くなる。
【0042】
突起部2aは、側板2と一体的に成形されてもよいし、側板2とは別個に成形された後に側板2に接着されてもよい。突起部2aが側板2と一体成型される場合には、突起部2aの位置を成型時のインジェクション位置に一致させることができる。
【0043】
図6に示す例においては、突起部2aが、側板2において外側に隆起したガード部2bの外面に設けられている。例えば、
図6(B)において、突起部2aを除くガード部2bの図中左端のZ軸方向における位置(Z座標)は、設定ダイヤル7bの図中左端のZ軸方向における位置(Z座標)と同一でもよい。その場合においても、突起部2aが設定ダイヤル7bよりも外側に突出しているので、設定ダイヤル7bの破損を防止することができる。
【0044】
突起部2aを設けることにより、ガード部2bの大きさを低減できるので、全体の構造が大きくなって重量が増加したり、操作性が低下したりするという欠点が軽減される。また、机上に置かれた携帯式ラベル貼付け機が横向けに倒された際には、突起部2aが机に接触することにより、突起部2a以外のガード部2bが机に接触しないので、ガード部2bの広い領域に傷が付くことを防止できる。
【0045】
図7は、
図6(A)に示す側面の一部を拡大して示す図である。
図8は、突起部及びリブの配置例を示す図であり、
図8(A)は断面図、
図8(B)は裏面図である。
図9は、
図8に示す突起部に応力が加えられた際の側板の変形を示す図であり、
図9(A)は断面図、
図9(B)は裏面図である。
【0046】
図7又は
図8に示すように、側板2の突起部2aが設けられている面(外面)とは反対側の面(内面)に、第1の方向に延在する第1のリブ2cと、第1の方向と異なる第2の方向に延在する第2のリブ2dとが設けられてもよい。
図7において、これらのリブ2c及び2dが設けられる領域は、ガード部2bの領域内でもよいし、ガード部2bの領域を超えてもよい。
【0047】
突起部2aは、側板2の外面において、リブ2cとリブ2dとの交点に対応する位置に設けられている。これにより、
図8に示す突起部2aに応力が加えられた際には、
図9に示すように、リブ2c及び2dを通じて筐体の広い領域に応力が分散されるので、筐体が容易に破損することを防止できる。
【0048】
図7〜
図9においては、側板2の内面に2つのリブ2c及び2dを設ける例を示したが、側板2の内面に所定の方向に延在する1つのリブを設けるようにしてもよい。その場合には、突起部2aが、側板2の外面において、リブが設けられている領域に対応する位置に設けられるようにすれば、突起部2aに応力が加えられた際に、リブを通じて筐体の広い領域に応力が分散される。
【0049】
図10は、
図1に示す操作レバー及びラベル切断機構の斜視図である。
図11は、
図10に示すラベル切断機構の分解斜視図である。
図12は、
図11に示すラベル切断機構の組立図である。
図11に示すように、ラベル切断機構8は、切断コマ51と、連動機構52とを含んでいる。
【0050】
切断コマ51は、移送用無端ベルト24上で移送されて来たラベル連続体の幅方向に、マイクロミシン目及び/又は移送用スリットに沿って往復運動することにより、ラベル連続体を切断して単葉のラベルに分離する。切断コマ51の材料としては、所定の剛性及び非粘着性を有することが望ましく、例えば、ポリアセタール(POM)等の樹脂や、必要に応じてシリコーンやフッ素系のコーティング剤(剥離剤)等が塗布されたポリカーボネート(PC)やアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の樹脂を採用してもよい。
【0051】
図10〜
図12に示すように、連動機構52は、側板2(
図1)に固定された縦レール部材(第1のレール部材)53と、連結プレート54と、リンクバー55と、バースターブラケット56と、横レール部材(第2のレール部材)57とを含んでいる。
【0052】
縦レール部材53は、一方の側板2(
図1)の内壁面に固定されており、その中央部に縦ガイド溝58が形成され、この縦ガイド溝58内に連結プレート54が上下往復動可能に組み付けられている。連結プレート54は、
図10に示す操作レバー5の一方のヨーク部5aに形成されたヨーク連結孔59に嵌め込まれる連結ピン60を有しており、操作レバー5に連動して縦レール部材53に沿って往復動する。また、連結プレート54には、リンク連結孔61が形成されており、このリンク連結孔61にリンクバー55の連結ピン62が嵌め込まれて、操作レバー5(ヨーク部5a)からの駆動力がリンクバー55に伝達される。
【0053】
リンクバー55は、連結ピン62とは反対側の端部に、左右1対のブラケット連結ピン63が設けられている。リンクバー55は、連結プレート54とバースターブラケット56との間に連結されて、縦レール部材53及び横レール部材57に対して傾斜した姿勢の状態で、連結プレート54の往復動に応じてバースターブラケット56を往復動させる。
【0054】
バースターブラケット56は、ブラケット本体64と、左右1対の支点ピン65と、左右1対の姿勢規制ピン66と、左右1対の弾性突起67とを含み、移送用無端ベルト24(
図2)の幅方向に沿って往復動可能である。バースターブラケット56には、切断コマ51が回転自在に取り付けられている。
【0055】
図11に示すブラケット本体64には、バー連結孔68が形成されており、このバー連結孔68にリンクバー55のブラケット連結ピン63が嵌め込まれて、ブラケット本体64にリンクバー55が連結される。従って、リンクバー55を縦レール部材53及び横レール部材57に対して傾斜した状態で移動させることにより、バースターブラケット56と共に切断コマ51をラベル連続体の幅方向に往復運動させることができる。
【0056】
横レール部材57は、移送用無端ベルト24(
図2)の上部に位置するように、移送用無端ベルト24の幅方向に沿って、縦レール部材53に対して直角に配置される。横レール部材57には、バースターブラケット56の支点ピン65及び姿勢規制ピン66が案内されるガイド窓69が、その左右側の壁面に形成されている。
【0057】
ガイド窓69は、バースターブラケット56をラベル連続体の幅方向にガイドすると共に、その動作範囲を規制する。支点ピン65及び姿勢規制ピン66は、横レール部材57に形成されたガイド窓69に沿って移動可能である。姿勢規制ピン66は、ガイド窓69の上方内壁面69a又は下方内壁面69bに接離して、バースターブラケット56の姿勢、即ち、切断コマ51のラベル連続体に対する接離態勢(押付け及び離反)を規制する。また、
図12に示すように、横レール部材57の底面部には、移送用無端ベルト24(
図2)の幅方向に沿って姿勢制御窓70が形成されている。
【0058】
図13は、操作レバーが握持されてラベル連続体の切断が開始される状態における切断コマ及び連動機構の側面図である。
図14は、
図13に示す切断コマ及び連動機構の切断動作を説明するための図であり、
図14(A)は、切断コマ及び連動機構の要部側面図、
図14(B)は、切断コマ及び移送用無端ベルトの拡大正面図である。
図15は、
図13に示す切断コマ及び連動機構の復帰動作を説明するための図であり、
図15(A)は、切断コマ及び連動機構の要部側面図、
図15(B)は、切断コマ及び移送用無端ベルトの拡大正面図である。
【0059】
図1に示すグリップ10と共に操作レバー5を握持することにより、ラベル切断機構8によるラベル連続体3の切断が行われる。操作レバー5を解放した状態では、コイルスプリング12がヨーク部5aを引き上げる力によって、連動機構52において、連結プレート54が縦レール部材53の縦ガイド溝58内で最上位に位置している。従って、
図15に示すように、連結プレート54にリンクバー55を介して連結されたバースターブラケット56が、支点ピン65の回りに反時計方向に僅かに回動し、姿勢規制ピン66が横レール部材57のガイド窓69の上方内壁面69aに当接して、切断コマ51がラベル連続体3の表面から僅かに上方に離反している状態にある。
【0060】
グリップ10と共に操作レバー5が握持されると、
図13に示すように、ヨーク部5aからの駆動力(矢印A1)が連結プレート54からリンクバー55に伝達される。これにより、姿勢規制ピン66が支点ピン65の回りに時計方向に僅かに回動して(矢印A2)、下方内壁面69bに当接する。従って、切断コマ51が、移送用無端ベルト上のラベル連続体3より下方に入り込むことができるレベル位置に下がる。
【0061】
このとき、
図13に示すように、切断コマ51は、ラベル連続体3の図中左端縁部よりも僅かに左方に位置している。操作レバー5のさらなる握持により、切断コマ51がこの状態から右方に移動するので、切断コマ51がラベル連続体3の側面部に切り込んで行くことになる。
【0062】
操作レバー5がさらに握持されると、操作レバー5からの駆動力の伝達によって連結プレート54がさらに下降し、リンクバー55を介してバースターブラケット56に駆動力が伝達する。これにより、
図14に示すように、バースターブラケット56が横レール部材57のガイド窓69の右端に向けて移動し、切断コマ51が、移送用無端ベルト24の横断凹部24aに沿って移動する。
【0063】
切断コマの円周先端部51aは、ラベル連続体3の端縁部分に所定の押圧力を印加しながら移送用無端ベルト24の横断凹部24a内に入り込み、ラベル連続体3の端縁部分に延在しているマイクロミシン目の端から順々にラベル連続体3を破断させて行く。その結果、ラベル連続体3を比較的小さな力で切断して、ラベル連続体3を単葉のラベルに分離することができる。
【0064】
移送用無端ベルト24の横断凹部24aは、切断コマ51の円周先端部51aの形状に合わせて比較的細く形成されているので、円周先端部51aとラベル連続体3のマイクロミシン目との相対的位置が多少ずれたとしても、ラベル連続体3のマイクロミシン目又はその近傍が横断凹部24a内に入り込むことができる。従って、上述のような切断動作を的確に行うことができる。
【0065】
操作レバー5を完全に握りきった状態で、切断コマ51がラベル連続体3の切断を完了し、操作レバー5の解放に伴って、コイルスプリング12(
図1)が連結プレート54に作用する引き上げ力により、切断コマ51がラベル連続体3から離反し始める。
【0066】
操作レバー5が解放されると、リンクバー55が連結プレート54によって引き上げられて行く。これにより、
図15に示すように、バースターブラケット56が支点ピン65の回りに反時計方向に回動し、姿勢規制ピン66がガイド窓69の上方内壁面69aに当接して、切断コマ51がラベル連続体3の表面から浮き上がった状態となる。操作レバー5の解放に伴い、連結プレート54及びリンクバー55が上方に復帰し、バースターブラケット56が元の位置に復帰する。
【0067】
操作レバー5が解放される過程において、移送ローラー19によってラベル連続体3が所定の角度だけ移送されると共に、移送用無端ベルト24によってラベル連続体3が所定の距離だけ移送される。従って、ラベル連続体3の移動中においては、切断コマ51がラベル連続体3と接触又は干渉せず、ラベル連続体3の移送に支障がないようにしている。
【0068】
ただし、操作レバー5の握持及び解放によるラベル連続体3の切断動作及び移送動作の僅かなタイミング差によって、切断コマ51がラベル連続体3又は移送用無端ベルト24の横断凹部24aに係合している状態のままでラベル連続体3が移送されたとしても、切断コマの円周先端部51aのテーパー形状と、移送用無端ベルト24の横断凹部24aのテーパー形状とは、ほぼ同一の傾斜面となるように形成されているので(
図15(B)を参照)、ラベル連続体3の移送を停止させてしまうことなく、切断コマ51が移送用無端ベルト24の横断凹部24aから上方へ離反することができる。
【0069】
再び
図1を参照すると、印字器7は、操作レバー5における二股形状のヨーク部5aの先端部側に取り付けられており、操作者がグリップ10と共に操作レバー5を握持すると、印字器7も回動する。それにより、インキローラー48によって印字器7の活字部7aにインキが塗布され、移送用無端ベルト24の上面に付着して移送されて来るラベル3aに活字部7aが当接することにより、ラベル3aに所定の情報が印字される。ここで、印字器7及びインキローラー48は、移送用無端ベルト24上のラベル3aに印字を行う印字機構を構成している。なお、既に印字が行われているラベル連続体3を用いる場合には、ラベル3aに印字を行う必要がないので、印字器7を取り外す等によって、印字を省略することができる。
【0070】
貼付けローラー9は、携帯式ラベル貼付け機1の筐体の先端下方部(
図1における左端下方部)に位置すると共に、その円周の一部が筐体の外部に露出しており、移送用無端ベルト24によってプラテンユニット6の先端部分に搬送されて来たラベル3aに当接する。操作者が貼付けローラー9上のラベル3aを被貼付け体に押し付ける貼付け操作を行うことにより、ラベル3aが貼付けローラー9によって被貼付け体に圧着されて貼り付けられる。
【0071】
以上の実施形態においては、台紙のないラベル連続体を使用する場合について説明したが、本発明は、台紙付きの一般的なラベル連続体を使用する携帯式ラベル貼付け機にも適用することができる。