(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ソフトウェアコンポーネントにより、前記3D画像の骨殻及び3D画像の軟骨殻と嵌合するように3D画像の外科用ジグを生成するステップをさらに含み、前記3D画像の外科用ジグは、前記3D画像の骨殻及び前記3D画像の軟骨殻の外側境界の特徴にカスタマイズされた局所解剖学的特徴を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記ソフトウェアコンポーネントは、前記3D画像の外科用ジグの有形の局所解剖学的特徴を有する外科用ジグを製造するための命令ファイルを出力するように動作することを特徴とする請求項4に記載の方法。
前記2D画像スライスは、磁気共鳴断層撮影法、コンピュータ断層撮影法、X線画像化法、及び超音波画像化法のうちの少なくとも1つを用いて作成されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
前記外科用切断ジグを作成するステップは、前記3D画像の外科用ジグの有形の局所解剖学的特徴を含む外科用切断ジグを製造するための命令ファイルを出力するためのソフトウェアコンポーネントを用いるステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
TKA手術の成功は、正確な膝アライメントの回復に依存する。膝関節の安定性の鍵は、バランスのとれた屈曲及び伸展ギャップを有する機能軸の回復であることが示されている。従来、大腿骨及び脛骨コンポーネントの配向を支援するために、髄内及び髄外ジグが用いられていた。コンピュータ支援外科手術が、コンポーネントの適切な位置決め及び配向の際に外科医を支援するために開発されてきた。しかしながら、外科手術ナビゲーションシステムは、病院では広く用いられていない。外科手術ナビゲーションシステムに反対する主な論拠は、習得の困難さに加えて、高額であり、手術室内で必要以上の時間がかかることである。
【0003】
代替物としての単純かつ正確なシステムに対する要望が整形外科産業を刺激し、患者特有の切断ジグの使用を含む技術が開発された。患者の臀部、膝、及び足首の磁気共鳴画像(MRI)は、特定の患者の解剖学的構造のモデルを生成するのに用いられる。これらの画像から、ソフトウェアを用いて大腿骨及び脛骨の仮想3Dモデルを作成し、これらの骨を空間内で配向させる。インプラントのサイズがソフトウェアにより決定され、仮想の骨切除部がマッピングされ、患者の骨に嵌まる使い捨ての特化されたガイドを用いてインプラントの位置決め及び位置合わせが行われることにより、インプラント製造業者の標準的な切除器具のピン位置が決定される。
【0004】
しかしながら、走査費用、走査時間の増加、幾何学的歪み、及び異なるMRIベンダー間で走査プロトコルを標準化する必要性を含む多数の欠点がMRIに伴う。近年、コンピュータ断層撮影法CTも用いられているが、この手順に伴う放射線は、ある患者にとっては好ましくないことがある。MRI又はCTに対する代替的な手法は、X線及び/又は超音波を用いて正確に硝子軟骨をモデル化するために、統計的な解剖学的形状分析の方法論を用いることである。
【0005】
統計学的な解剖学的形状分析は、それ自体が、整形外科用インプラント及び患者特有の解決法の設計プロセスにおいて、貴重な手段であることが急速に確立された。従って、統計学的な解剖学的形状分析を行い、軟骨の厚さ及び輪郭を正確にモデル化し、特化された切断ガイド(又はジグ)を作成することを目標として、インテリジェント軟骨システム(iCS)が考案された。ガイドは、軟骨が劣化する前に、膝がその正常な解剖学的状態に戻るように、切れ目を入れるように設計される。iCSシステムは、統計学と三次元の骨のモデル化との基本的な融合に基づいて作られる。
【0006】
iCSプラットフォームは、患者特有の切断ジグを設計するために統合された多次元医療画像診断法、コンピュータ支援設計(CAD)及びコンピュータグラフィックス機構を含む、まとまりのあるソフトウェアシステムを表わす。調整された相互作用、効率及び大規模なカスタマイズ化の見込みにより、iCSは、患者の体積増加の複雑さに正確且つ迅速に対処できるようになる。骨及び軟骨アトラスからなる高性能データベースは、特化されたジグを生成するためのカスタマイズされたモジュール内で用いられる技術を提供する。現行の特化されたジグ製造工程の所要時間を減らすことにより、iCSプラットフォームはネックとなるリスクを最小にする。
【0007】
データベースは、HIPPA規定に従って患者情報を格納する。MRI/CT、X線画像、及び超音波からのDICOMを含む種々異なる画像化モダリティが、各患者に付される。再構築された骨及び軟骨がデータベースに格納される。計算された目印、軸、インプラントのサイズ調整、及び配置情報を含む仮想テンプレートデータもまたデータベースに格納される。この構成要素は、関係スキーマ及びXMLスキーマの両方を実現し、データの格納及び操作のための強力な手段を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
骨軟骨再構築サブシステム。このモジュールは、MRI、CT、PET又は超音波からのセグメント化、又はマイクロ波画像化及びUSにおけるようなRF信号からの直接的な再構築、又は2DのX線画像からの3次元の骨の再構築のいずれかによる骨及び軟組織の再構築を含み、このサブシステムの概要を示すフローチャートは、図
5に見出すことができる。
【0009】
医用画像のセグメント化は、大まかに2つのカテゴリ、構造的と統計的とに分けることができる。構造的手法は、縁及び領域等の画像ピクセルの空間的特性に基づくものである。統計的手法は、画像領域にラベル付けするのに強度値確率分布を基にする。画像強度及びそれらの対応するクラスのラベルは、ランダム変数であると見なされる。したがって、統計的手法は、画像強度値が与えられる場合に、クラスのラベルを評価する問題を解決し易い。以前のセグメント化の試みは、個々の方法の限界を克服しようとしてこれらの方法の1つ又はそれ以上を組み合わせていた。
【0010】
縁重視の手法を用いるセグメント化のほとんどは半自動のセグメント化であり、これは、輪郭を抽出して輪郭を最適化し、これを隣のスライスに伝播するのに用いられる。画像の前処理及び勾配演算子を用いて、典型的な領域拡張法を向上させることができる。シードの配置(手動で又は自動的に)により、画像の特定の領域に器官が存在することが分かっている場合は、この領域は、器官のコントラスト境界に到達するまで拡がることができる。拡張の勢いを変化させるためにパラメータを変化させ、グレースケールにおける小さい変化に対してアルゴリズムを多少敏感にすることができる。
【0011】
知識ベースのラベル付けによる領域重視のセグメント化は、オブジェクトの幾つかの特徴の均質性に基づくピクセル分類技術である。不確実性推論に基づく知識、高次特徴抽出からの静的ドメイン知識、ファジィ論理、長期及び短期メモリのモデリング、並びに、教師なしクラスタリング等の種々の手法がこの分野で用いられている。これらは、軟組織間の高コントラストのために、MRI画像による非常に良好な結果をもたらす。脳の全体的な解釈エラーは3.1%であり、脳の小領域の解釈エラーは9%である。
【0012】
ウォータシェッド手法は、精度の改善を期待して、種々の他のセグメント化方法と組み合わせて用いられている。ウォータシェッドアルゴリズムは、画像のグレースケール強度の3Dプロットにより簡単に説明され、「水」は、画像の2つの谷が合流するまで谷を満たす。これは、グレースケール値を基にして、画像の異なる区域についての接続情報を提供する。ソーベルフィルタ及びテクスチャ分析等の縁強調による前処理は、異なる器官の検出に役立てることができる。
【0013】
クラスタリングアルゴリズムは、明確な画像クラスタが形成されるまで、画像のセグメント化と、各クラスの特性の特徴付けとの間で反復する教師なしアルゴリズムである。こうしたアルゴリズムの例は、K平均アルゴリズム、ファジィC平均アルゴリズム、期待値最大化(EM)アルゴリズム及び自己組織化神経回路網である。K平均クラスタリングアルゴリズムは、各クラスの平均強度を計算し、クラス内の各ピクセルを最近接平均により分類して画像をセグメント化することの反復によりデータをクラスタ化する。これは、脳をセグメント化するのに用いられた。クラスの数は、脳脊髄液、灰白質及び白質を表わす3であると仮定された。
【0014】
ファジィC平均アルゴリズムは、K平均アルゴリズムを一般化し、ファジィ集合理論に基づく軟調のセグメント化を可能にする。EMアルゴリズムは、データが混合ガウス分布モデルに従うと仮定して、同じクラスタリング原理を適用する。これは、事後確率の計算と、平均値の最尤推定値、共分散、及びモデルの混合係数の計算との間を反復する。アルゴリズムは、空間モデリングを直接組み込まないため、これらは雑音及び強度の不均質性に敏感である。このことは、マルコフ確率場モデリングを用いることにより克服することができる。
【0015】
2値形態素操作のような形態演算子が幾つかのセグメント化システムで用いられており、形態学における基本的な概念は、画像と所与のマスク(構造化要素として知られる)を畳み込み、所与の関数を用いて、畳み込みの結果を2値化することである。例として、収縮、膨張、オープニング、クロージングが挙げられる。
【0016】
閾値化のような統計的手法は、画像の領域を、その強度値ヒストグラムを用いてラベル付けする。最大及び最小閾値は、知識ベースに応じて、関心のある領域を定める。例えば、CTにおいて、器官の大まかなセグメント化は、関心のある器官のハウンスフィールド単位の範囲による画像の閾値化により実現することができる。これは、典型的には、健康及び腫瘍状の2つのクラスの組織が存在するデジタルマンモグラフィにおいて適用されている。このような方法にだけ依存することの限界は、器官強度の間隔の通常の重なり、強度の不均一性、並びに雑音及び画像アーチファクトに対する感度に起因する。閾値化は画像の空間的特徴を考慮しないため、画像ヒストグラムを歪ませるどのようなアーチファクトも、最終的にはセグメント化の結果に影響を与え得る。それにも関らず、閾値化は、多数のセグメント化アルゴリズムにおける最初のステップに残っている。古典的な閾値化に関して、局所的な強度及び接続性に基づく情報を組み入れる変形物が、医用画像のセグメント化のために提案されている。
【0017】
輪郭の検出、トラッキング、マッチング、及びマッチエラーの最適化を含む変形可能なテンプレートマッチングが、2Dの変形可能な輪郭を用いて実行される。セグメント化において、2Dの変形可能な輪郭にはアトラスが適用され、これが所定のデータの条件付き最小化により、画像データとアトラスとの間のマッピングを可能にする。3Dの変形可能な表面もまた、スライド間の輪郭の変化を追跡することにより実現される。関心のある器官と隣接する器官とを分離するために、通常、ベイズ統計がモデル事前情報又は公算を決定するのに用いられる。一般に、この手法は、小さく且つ局所的な形状の変化に対して良好な結果を生成する。これはまた、大きく且つ全体的な不整合又は変形にも適している。主要な改善は、オブジェクトの平均形状及び主変形モードを決定する主測地線分析、及びオブジェクトが一組のメディアルアトムの接続されたメッシュとして表わされるm−repモデルを用いることによって得られた。この方法は、腎臓の自動セグメント化に関して、0.12cmの平均表面分離、及び手動のセグメント化と比較して88.8%の体積オーバレイを伴う優れた結果をもたらす。
【0018】
ブラックボードアーキテクチャ・システムを用いる知識ベースの手法は、一般に、解決すべき問題と多数の異なるプロセスとを含む共有メモリの分野である。ブラックボードは、推論プロセスに沿って連続的に構築され、更新される。画像データの解剖学的構造のラベル付けは、画像内の構造をモデル内の対応するオブジェクトに適合させることにより行われる。画像及びモデルからのデータは、比較のために、共通のパラメータ特徴空間に変換される。抽出された低及び高レベルの特徴はブラックボードに書き込まれ、モデルと比較される。この結果はまたブラックボード上に書き込まれ、さらなるマッチングをガイドする。記述についての長期メモリ及びオブジェクトの関係を知識ベースに書き込むことができる。
【0019】
4次元マルコフ確率場(MRF)は、4D確率的アトラスを用いて心臓等の動くターゲットをセグメント化する方法を与える。アトラスは、事前情報に基づいて時間及び空間の変化を予測し、アルゴリズムもまた4Dマルコフ確率場(MRF)を用いて、空間的及び時間的前後関係情報を組み込む。全体的な接続フィルタは、最大の接続構造体を始点として用いて、セグメント化を完了する。与えられた結果は、心臓のセグメント化に非常に好ましいものであり、MRI画像に限定されるものではない。手動でセグメント化されたモデルと比較すると、左心室(LV)の結果は96%、心筋の結果は92%、及び右心室(RV)の結果は92%である。
【0020】
本システムは、いずれかの3次元画像化モダリティからの情報を用い、統計的アトラスと組み合わされた勾配情報を抽出し、骨の境界及び軟骨界面を抽出する。以下は、これらの骨再構築モダリティの各々の詳細な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1に示される例示的なデータアップロード・サブシステムの図である。
【
図3】
図1に示される例示的なデータベースの図解である。
【
図4】
図1に示されるデータベースの例示的なデータベース表細目のリストである。
【
図5】
図1に示される骨/軟骨再構築サブシステムの例示的な概略図である。
【
図6】
図1に示される仮想テンプレート化サブシステムの例示的な図である。
【
図7】
図1に示されるジグ試作品製造サブシステムの例示的な図である。
【
図8】本開示によるセグメント化プロセス内の自動セグメント化のためのアルゴリズムのプロセスを示す例示的な図である。
【
図9】本開示による自動位置合わせアルゴリズムのプロセスの例示的な図である。
【
図10】大腿骨遠位部のメッシュから抽出された特徴の一例として計算された骨稜線を示す図である。
【
図11】CTの法線方向に沿ったプロファイル探査を示す図である。
【
図12】MRIの法線方向に沿ったプロファイル探査を示す図である。
【
図13】種々の段階におけるプロファイル、及び古い縁位置に対する新しい縁位置を示すグラフである。
【
図14】縁の緩和がなされたセグメント化画像である。
【
図18】MRIからの軟骨セグメント化のプロセスを示す例示的な図である。
【
図19】軟骨組織の視覚化を可能にする造影剤を用いて撮影されたCT画像である。
【
図20】プロファイル計算のための2つの大腿骨表面の画像であり、画像(a)は脛骨接触表面を含み、画像(b)は脛骨非接触表面を含む。
【
図21】クラス1(a)、クラス2(b)及びクラス3(c)の平均プロファイルのグラフである。
【
図22】MRIからのセグメント化された骨及び軟骨の画像である。
【
図23】X線3Dモデル再構築プロセスフローの例示的な図である。
【
図25】放射線写真画像上に現れるビーズを示す例示的な画像である。
【
図26】較正ターゲットが取り付けられた脚の放射線写真である。
【
図28】複雑なポーズの探査空間、及び、粒子フィルタがどのように最適なポーズを見出すのに成功するかを示す画像である。
【
図29】放射線写真上のテンプレート骨の射影を示す画像である。
【
図30】3Dにマッピングされた輪郭の画像である。
【
図31】3D再構築プロセスを示す例示的な図である。
【
図32】軟骨厚に対する予測モデルを訓練するための例示的な図である。
【
図33】訓練された予測モデルを用いる軟骨再構築のための例示的な図である。
【
図35】例示的な軟骨テンプレートの厚さのマップである。
【
図36】大腿骨及び脛骨上の予測される軟骨の例示的な画像である。
【
図37】UWB画像化システムの例示的な図である。
【
図38】いかにして、1つの信号がトランスミッタとして作用すると同時に膝から反射された信号が他のUWBアンテナのすべてにより受信されるかを示す例示的な図である。
【
図39】UWBアンテナアレイが膝の周囲を取り囲む実験的設定を示すイメージである。
【
図40】大腿骨及び脛骨における組織界面を検出するためのマイクロ波画像化プロセスの図である。
【
図41】前側の大腿骨遠位部から取得され、記録された超音波画像の例示的なサンプルである。
【
図42】取得された大腿骨遠位部の超音波画像に適合された骨モデルの例示的な画像である。
【
図43】超音波を用いてセグメント化するために行われるステップを示す図である。
【
図44】仮想テンプレート化のサブコンポーネントのスクリーンショットである。
【
図46】ジグを作成する特定のステップを表わす連続的な画像である。
【
図47】異なる固定法(a.内側顆及び外側顆の固定法、b.曲線固定法、c.溝固定法)を有する異なるジグ設計を表わす一連の画像である。
【
図48】膝修正外科手術に用いるための大腿骨及び脛骨切断ジグを示す一連の画像である。
【
図49】3D出力ジグモデルを修正するためのCADエディタのスクリーンショットである。
【
図50】元のCTデータに関するジグの評価のスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の例示的な実施形態は、患者特有の人工装具切断ジグを設計するための方法及び装置、より具体的には、膝の骨をセグメント化するための装置及び方法、並びに、結果として得られる切断ガイド自体を含むように以下に説明され、示される。もちろん、以下に説明される好ましい実施形態は本質的に例示的なものであり、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく再構成できることが当業者には明らかであろう。しかしながら、明確さ及び正確さのために、以下に説明される例示的な実施形態は、当業者が本発明の範囲内に入れる必要はないと認識する随意的なステップ、方法及び特徴を含み得る。
【0023】
図1を参照すると、例示的な全体的システムの概要は、新規症状を作成し、特化したジグを要求し、患者の画像診断データをアップロードする外科医を含み、この後に、新規症状について会社の技術者に通知するシステムが続く。次のステップは、患者特有の骨と軟骨の作成を含み、これらは次いで、患者に最も良好に適合するインプラントを見出すのに用いられ、手術前計画が完了すると、外科医はその計画を見直し、承認するよう通知される。ひとたび外科医が計画を承認すると、特化した切断ジグが患者用に自動的に作成されて手術前計画が手術室に移される。
【0024】
図2−
図7は、システムの主要な構成要素の概要を示し、これにはデータアップロード構成要素、データベース構成要素、骨軟骨再構築構成要素、仮想テンプレート化及びジグ生成構成要素が含まれる。
【0025】
自動セグメント化プロセスの概要が
図8に示される。セグメント化プロセスの第1のステップは、統計的アトラスからのベースメッシュを体積に対して調整するステップであり、自動調整アルゴリズムが正確な調整を行うために開発された。この調整プロセス3.a.1は
図9に概要が示される。このプロセスは、単純な閾値化により、等位面を抽出するステップを含む。等位面は、基本的に、体積内の骨類似組織のすべてから生成された表面メッシュである。等位面には雑音が多く、別個の骨を区別することができない。等位面及び平均アトラスモデルから特徴を抽出する(これは初期に行い、簡単にロードすることができる。)。これらの特徴は、それらに限定されるものではないが、折り目、又は
図10における骨稜線、臍点、又はいずれかの他の表面記述子とすることができる。平均モデル上の特徴点と等位面上の特徴点とを、最近接又は他のマッチング方法により適合させる。ここでの結果は、雑音の多いものとなり、これは幾つかのミスマッチがあるが、サブセットは正しいことを意味する。例えばRANSACアルゴリズム又は最小二乗平均法のようななんらかのロバストなフィッティング法を用いて、適合する点の間のエラーを最小にすると同時に適合数を最大にする画像変換を見出す。
【0026】
前の調整ステップが完了すると、アトラス内の情報をモデル変形に対する制約として用いる反復ワーピング手順が実行される。初期パラメータは、出発時の主要コンポーネントの数、初期探査長及び最小可能探査長を定める。第1のステップは、骨メッシュ上の各頂点における頂点法線を計算することである。これらの法線方向は、各頂点の変形方向を表わす。これらの法線は、メッシュ内の隣接する三角形の法線を平均化することにより計算される。法線方向によって定められる各頂点に対する探査線は、骨モデルから内側及び外側に延び、頂点に中心を置く経路である。探査線の長さは、プロセスが進行するに伴って減少する。
【0027】
探査線の強度値は、探査線のサンプリング率が所与の体積の解像度より高くなり得るため、三線補間により計算される。プロファイルは、最初に何らかの雑音除去フィルタにより平滑化され、ここではサビツキ・ゴレイフィルタリングが用いられる。このことは、多雑音性MRI画像が与えられているときは、特に重要である。雑音除去後、プロファイルに沿った勾配が計算される。この初期勾配は、骨の縁位置を定めるには不十分であり、その理由は皮膚と空気の界面のように強い勾配を有する幾つかの組織界面が存在するためである。このことは、
図11及び
図12に見ることができる。初期自動調整は非常に正確であると考えられるため、患者特有の骨縁が調整された頂点近くに配置されていると仮定することが無難である。この仮定をモデル化するために、勾配のプロファイルがガウス関数で重み付けられ、その結果中央の頂点には1.0の初期重みが与えられ、重みは、探査が中央位置から遠くに進むにつれて減少する。種々の段階におけるプロファイルの図は
図13に見ることができる。重み付け後、勾配の絶対最大値がその位置と共に決定される。この位置は骨縁を表わし、古い頂点位置はここで新しい縁位置と置き換えられる。
【0028】
CTに関しては、プロセスは、立ち下がり縁、すなわち、探査が内側から外側へ移動する際に高強度から低強度に移る縁の位置を探す。MRの場合はこの逆が当てはまる。したがって、必要であれば、上記のステップの前にプロファイルを反転させてモダリティの違いを考慮する。各頂点に対する変形が行われた後で、モデルは、初期調整ステップにおいて計算された変換の逆変換を用いてアトラスに対して調整することができる。このモデルは、幾つかの縁位置が不正確な位置に配置されているため、雑音が多いと考えることができる。変形に制約を加え、できるだけ多くの雑音点を除去するために、
図14におけるように、特定数の主要コンポーネントを用いて、アトラス空間上に雑音のあるモデル頂点を射影するが、これは残留エラーに基づいて変化するパラメータにより定められる。結果として得られるモデルは、患者特有の雑音のあるモデルを最もよく表わす健康な大腿骨となる。これらのモデルは、次に変換されて体積空間に戻される。
【0029】
射影後、パラメータが更新され、その結果、新しい主要コンポーネントが加えられない限り、探査長は減る。次いで、探査長をわずかに増加させて、新しい局所的な情報を捕捉できるようにする。残留RMSが十分に低い閾値に達したとき、新しい主要コンポーネントが加えられる。法線方向の計算で開始する上記のプロセスは、すべての主要コンポーネントが用いられ且つ残留RMSが十分に低くなるまで、又は、所定の最大反復回数に達するまで繰り返される。結果として得られる雑音のあるモデルは、患者特有の情報を含み、次いで平滑化され、高解像度で再メッシュ分割される[
図15、
図16]。より高い解像度により、低い解像度のセグメント化プロセスでは見失われていた可能性がある骨増殖体等の小さい局所的な変形の捕捉が可能になる。高解像度モデルは、次に、不正確な骨位置決めを防ぐのに十分に小さい探査長を用いて、骨がアトラス上に射影される前に停止する、セグメント化手順の反復を一回行うことにより緩和される。この結果として得られる骨は、患者の解剖学的構造の高度に正確な表現となる。従って、セグメント化の出力は、緩和前のアトラスにより生成された健康に最も近い骨を表わす高解像度の患者特有の骨モデル及び平滑化モデルである[
図17]。
【0030】
自動セグメント化の完了後、2つの骨が得られる。アトラス上に射影された骨と、緩和された患者特有の骨である。骨が高度に変成している場合には、勾配ベクトルフロー(Gradient Vector Flow:GVF)スネークを用いた制約のない緩和を行うことができる。これらのスネークは、画像内に存在する勾配情報に応答し、勾配のフローは、スネークの輪郭を、輪郭に対する力を最小にする境界まで局所的に膨張又は収縮させる力として作用する。輪郭が高度に変性していない場合には、初期緩和段階は、殆どの場合実際の患者の解剖学的構造に非常に近く、スネーク方法は不要である。スネーク及び対話式セグメント化ツールは
図7及び
図8に見ることができる。モデル生成前の最終セグメント化ステップは、セグメント化プロセスにおけるあらゆるエラーを正すための対話式介入である。対話式セグメント化のために、輪郭の付加又は取り去り、彩色等の幾つかのツールが準備される。ひとたびセグメント化が承認されると、平滑な結果を保証する高解像度において輪郭を補間することにより最終モデルが生成される。
【0031】
MRIからの軟骨セグメント化のプロセスが
図18に示され、患者体積のセグメント化により、結果として得られる大腿骨遠位部、脛骨近位部及び膝蓋骨の患者特有の骨モデルを用いて、患者特有の軟骨モデルを取得することができる。走査結果内に十分な情報が存在する場合、これはMRIが用いられるか又は軟骨組織を強調表示する造影剤(
図19)を使用するCTが用いられる場合であるが、測定された患者特有の情報と共に事前情報を利用することにより軟骨をセグメント化することができる。事前情報は、特徴ベクトルとして考えることができる。
【0032】
軟骨の場合、これは関節の骨に関する厚さ又は位置情報とすることができる。事前データに置かれる信頼度は、各特徴の確率的モデルにより表わされる。例えば、骨上の特定の点において軟骨がxmm厚であることの信頼度は、以前にセグメント化された軟骨モデルから構築された軟骨厚マップ内でモデル化される。事後確率、例えば、新しい点における軟骨厚を定めるためには、次式のベイズの推論モデルが用いられる。
【数1】
ここで、p(x|m)は、mすなわち測定値が与えられる事後確率である。値p(m|x)は、xの値が与えられる場合に所与の測定値mが生じる可能性を表わす公算関数である。p(m)項は規格化項である。事前確率は、ppr(x)すなわち事前確率密度内に存在する。何らかの所与の測定値mが与えられている場合、xの値について行うことができる最良の推量は、事後確率を最大にするxである。これは、帰納的最大確率(MAP)として知られている。カートリッジ厚の推定(x)に関しては、関節間隔(m)及び事前厚マップ(ppr(x))が与えられている場合、MAP推定値が求められる。この同じ概念をBCI位置に適用することができる。
【0033】
最初、探査は関節表面に限定される。これはアトラス内に存在する事前情報を用いて行われる。接触面は、骨と軟骨の界面(BCI)上にある可能性が最も高く、対向する骨とほとんど接触する、アトラス内の頂点からなる。非接触表面は、軟骨を含む可能性があるが、骨とは接触しない頂点に限定される。これらの表面は
図20に見ることができる。
【0034】
接触表面の各々のプロファイルは、現在の骨の頂点と、接触骨上の最隣接頂点との間の経路に沿って計算される。非接触表面のプロファイルは、骨表面の法線方向に沿って1cmまで計算される。各プロファイルの極大値及び極小値が計算され、プロファイルは、3つの異なるクラスのうちの1つに配置される。各クラスの平均プロファイルは
図21に示される。プロファイルが単一の極大を含む場合には、クラス1に属する。これらは最短のプロファイルであり、脛骨及び大腿骨の軟骨が密着して互いに見分けがつかない場所に対応する。2つの極大と1つの極小を含むプロファイルは、クラス2に属するといわれる。これらは、大腿骨と脛骨の軟骨の間に明確な空隙がある中間の長さのプロファイルに対応する。クラス3のプロファイルは最長のプロファイルであり、大腿骨の軟骨は通常良好に表わされるが、クラス3における曲線は幅広く変化し、多くの場合、不規則である。
【0035】
クラス1又はクラス2に属するプロファイルを有するどのような頂点も、すぐにBCIに属するとして分類することができる。クラス3のプロファイルは、強度レベルが他のBCI点の強度レベルに近いかどうか、及び、その点が、BCIの確率マップから判断されるBCIに属する可能性に基づいて、BCIに加えられるか又はBCIから取り除かれる。
【0036】
BCIが自動的に決定された後、ユーザは、手動確認のオプションが与えられ、骨セグメント化エディタに見出されるものと同様の多数のツールを用いて、BCIを編集することができる。BCIが十分に正確であると判断されると、軟骨モデルのセグメント化が進行する。軟骨は、軟骨厚の事前知識と連結される走査体積からの勾配情報を用いて、プロファイル寸法に沿ってセグメント化される。この事前知識は、可能性のある軟骨縁の初期推定値を与え、これは次いで、プロファイル勾配の絶対値の極大値を求めることにより更新される。クラス1プロファイルに関して、軟骨縁は極大にあると考えられる。クラス2及びクラス3のプロファイルに関しては、勾配の極大値が用いられる。
【0037】
軟骨のセグメント化は次に、必要であれば、最終軟骨モデルが出力される前に、対話形式で調整することができる。セグメント化された大腿骨軟骨は
図22に見ることができる。
X線の骨再構築プロセスの概要が
図23に示される。
X線画像は、従来の蛍光透視法又は放射線写真法のいずれかを用いて撮影される。画像数は1でもよいし、又はそれ以上でもよい。画像射影図は大きい角度差で走査することにより、取得可能な情報を最大化するように撮影される。システムの精度は、画像数に正比例するが、速度は反比例する。放射線撮影シーン特性の焦点距離及び画像解像度(カメラのデジタイザ又はフィルムスキャナの)は、画像のファイルヘッダ内で直ちに得られない場合には、手動でシステムに入力される。
【0038】
前処理の目標は、画像の雑音を減少させ、画像のコントラストを増加させて入力画像を向上させ、さらなる分析のために画像を準備することである。このことは、極端な画像のゆがみには手動介入する可能性があるが、自動的に行われる。ガウシアンフィルタ、メジアンフィルタ、及びソーベルフィルタが用いられる。
【0039】
較正は、放射線撮影シーン内の画像形成された骨のポーズの抽出を含む。画像取得前に、較正ターゲットが患者の脚に取り付けられる[
図24]。このターゲットは放射線に不透明なビーズを含み、これらが取得された画像上に現われることになる[
図25、
図26]。ビーズの射影は、画像から自動的に抽出され、X線源に対する骨のポーズを大まかに推定するのに用いられる。
【0040】
次に、形態学的操作を用いて、画像内でマーカを自動的に検出することができる。対象上のマーカの配置は、すべてのフレーム内で、できるだけ大きい画像面積をカバーするように選択される。十分に多くのマーカを用いることにより、特徴検出アルゴリズムがマーカの幾つかを見逃したとしても、又は、それらの幾つが視野の外にあっても、正確なポーズの推定を可能にした。
【0041】
種々のレベルで閾値設定し、ビーズ直径より長い線を含むあらゆるオブジェクトを除去することにより(形態学的操作によって)、これらのビーズを分離することができる。接続したコンポーネントを見出し、次いで各コンポーネントの重心を定めることにより、ビーズの重心が見出される。較正ターゲットは、ビーズ射影の重なりの可能性を最小にするように設計され、これにより、検出されるビーズの数が最大になる。
【0042】
センサのポーズは、画像内の検出されたビーズ位置と3Dのビーズ位置との間の正しい関連(又は対応関係)を見出すことにより計算される。このことは、解釈木探査方法を用いて達成される。この方法においては、木の各レベルは、画像点と全ての可能なモデル点との間の対応関係を表わし、完全な木における根から葉ノードへの各経路は、1つの可能性のある対応関係を表わす。木を下降する探査が、少なくとも4つの対応関係が仮定されるノードに到達すると、この対応関係を用いて、ポーズの解が計算される。一般に、ポーズの解を得るには3つの点だけが必要であるが、3つの点は常に同一平面上にあるため、1つより多い解があり得る。少なくとも4つの点を用いる必要がある。
【0043】
ひとたび4つの対応関係を有すると、ポーズを計算することができる。このポーズの解は、この解が完全なデータセットにどれだけ良好に適合するかについての目安として、検出されたマーカとの比較のために、オブジェクト点を画像上に戻すように射影するのに用いられる。ポーズの解がデータと良好に適合する場合には、対応関係及び計算されたポーズは適切である。ポーズの解がデータと適合しない場合には、対応関係は不適切であり、さらに別の対応関係をチェックするために、木はさらにトラバースされる。多数の点に対しては、この木は非常に大きくなる可能性があるので、木全体の探査はしない。実際には、現在の対応関係が、ある閾値より大きいエラーをもたらす場合にだけ、木をさらに探査する。以下の場合は、正しい対応関係を見出したと仮定する。
ひとたび正しい対応関係が見出されると、非線形最小二乗法を用いて、ポーズが計算される。具体的には、画像点P、3Dモデル点Q、及び適切なポーズのパラメータを含む六元ベクトルが与えられる場合、画像上に射影する変換は、P=f(β,Q)のように関数f(β,Q)により与えられるとする。ベクトル関数fはまた、透視投影(そのパラメータは較正から知られる)を表わす。現在のポーズの解βの周りで線形化することにより、
【数2】
が得られる。
【0044】
少なくとも4つの点の対応関係が与えられると、補正項Δβについて解くことができる。このプロセスは、解が収束するまで反復される。最終的な解は、観測された画像点と画像平面上の射影されたモデル点との間のユークリッド距離の2乗を最小にするポーズβである。
骨画像セグメント化ブロックは、前処理された画像を入力として用いる。これの目標は、すべての画像の実際の骨の輪郭を抽出することである。このことは、3Dの骨の本開示のデータベースを用いて生成された骨の輪郭の統計的アトラスを用いて自動的に行われる。統計的アトラスからのテンプレート平均骨輪郭はまず画像内に配置され、次に並進及び回転されて、骨の画像と位置合わせされる。その後、画像の強度値及び前処理ステップから得られた縁に基づいて、ターゲット骨画像に適合するように、輪郭変形が統計的に行われる。手動及び半自動的な輪郭編集ツールもまた自動プロセスの検証のために利用することができる[
図27]。
【0045】
特徴抽出モジュールは、画像から画像パラメータを抽出することを担う。これらのパラメータは、画像の前処理版及びセグメント化版の両方から抽出される。特徴のタイプは、セグメント化された骨輪郭から抽出された情報(曲率、幾何学的形状、アスペクト比等)又はピクセル強度値から抽出された情報(Haralick及びTamuraのテクスチャ特徴等のテクスチャ特徴)を含む。
このプロセスが必要な理由は、較正ブロックが較正ターゲットと実際の骨との間の相対的な変換によるエラーを引き起こすと予測されるためである。
蛍光透視法の場合には、通常、骨画像の数が多く、コヒーレント画像間の骨のポーズの差は通常非常に小さい。したがって、粒子フィルタを用いたポーズ追跡が適用される。
この手法は、状態ベクトルが複雑であり、画像が多量のクラッタを含む適用例を扱うのに有用であることが見出されている。基本的な考えは、状態、又は粒子の重み付けサンプリングにより事後確率を表わすことである。十分なサンプルが与えられると、非常に複雑な確率分布でも表わすことができる。
測定値が取得されるとき、粒子の重みは、以下の式を用いて公算モデルにより調整される。
【数3】
ここでw
jはj番目の粒子の重みである。
【0046】
この表現の主な利点は、十分な粒子が与えられる場合、事後確率分布内の多数のピークを表わすことができることである(
図28)。
【0047】
測定値が得られると、追跡アルゴリズムは重みを調整し、状態のあいまいさをなくすのに十分なデータが得られたときには、最終的に粒子のうちの1つが大きい重みを有し、他のすべては非常に小さい重みを有する。この手法の別の利点は、一意的な解が得られたときを判断することができることである。
【0048】
粒子の再サンプリング。状態のサンプリングが、確実に事後確率分布を適切に表わすことが重要である。具体的には、多数のサンプルが、重みの大きいピークに接近することが望ましい。これを確実にするために、各ステップにおいて、大きいピークの近くに付加的な粒子を生成し、非常に小さい重みを有する粒子を廃棄することにより、確率分布を再サンプリングする。ボトムアップ情報に基づいてサンプルを投入するために重点サンプリングを用いる。
【0049】
公算関数の設計。公算関数をできるだけ滑らかになるように設計することが重要である。多数の狭いピークがあったとすると、非常に大量のサンプルが用いられない限り、これらのピークのうちの幾つかは見逃される可能性がある。重要なことは、各仮定に対して幅広い支持を有する類似度を用いることである。換言すれば、類似度は、仮定された状態が正しい状態へ近づくに伴って徐々に増加する必要があり、急激に増加してはならない。
【0050】
放射線写真法の場合には、通常、画像の数は限られており、したがって、特徴は、ベイズのネットワークの枠組み内で用いられることになり、ここで、現在の画像特徴の組が与えられる場合、予測される出力は骨のポーズとなる。この方法はまた、蛍光透視法の場合に粒子フィルタを初期化するのに用いることができる。ベイズのネットワークは、有向非環式グラフとして構築され、ここで、各ノードは画像特徴を表わし、ノード接続部は条件付き依存性を表わす。出力は、入力画像特徴の組が与えられている場合、最高の確率を有するポーズとなる。ネットワーク出力の確率は、確率チェーン規則
【数4】
に基づくものであり、ここで、x
1、x
nは画像特徴及び骨のポーズの変数を表わす。
【0051】
GPUレンダリングシミュレーションに基づく3D再構築アルゴリズムを用いる。この方法に対する入力は、セグメント化された画像の組と、それらの対応する骨のポーズである。画像の数及び様々な射影のポーズは、骨の形状について得ることができる情報の量を示し、したがって、出力の精度を示す。入力画像の各々について、画像を撮影するのに用いられた放射線シーンのグラフ再構築が行われる。X線源は、放射線ビームの拡がりをシミュレートするための遠近射影カメラ設定により表わされる。カメラの視野内で、テンプレート骨モデルは、放射線シーン内の実際の骨のポーズを模倣するポーズで配置される[
図29]。
【0052】
グラフシーンが設定されると、骨射影画像が合成され、その輪郭は、デプスマッピング・レンダリング機能を用いて、テンプレート骨の表面上の3D点にマッピングされる(
図30)。これらの3D点は、次に、合成画像と元の放射線画像との間の2D輪郭エラーをなくすために、空間内で系統的に変換される。その結果、すべての画像からの輪郭データを用いて、入力X線画像の骨の射影と同様の骨の射影を生成する3D点のクラウドが生成されることになる[
図31]。
【0053】
このことは、問題を3Dから3Dへの最適化問題に変換する。統計的アトラス並びに生成された点のクラウドの両方と一致する最良の形状を迅速かつ一意的に見出すために、POCS(凸包上への交互の射影)法を用いる。POCSは、多数の信号及び画像再生並びに合成問題に首尾よく用いられている強力なツールである。これは、不良設定問題において特に有用であり、場合によっては非線形凸状制約を解の集合に課すことにより問題を規則化することができる。これらの凸集合へ反復して射影することにより、すべての所望の特性と適合する解が得られる。この方法の簡単な説明は以下の通りである。
【0054】
ベクトル空間において、集合ρは
【数5】
及び
【数6】
のときかつそのときに限って凸型であり、その場合、
【数7】
【数8】
である。換言すれば、xとyを接続する線分は、ρに完全に含まれる。2つの点を接続する弦のいずれかの部分が集合の外にある場合には、その集合は凸型ではない。凸集合への射影は、以下のように定義される。すべての閉凸集合ρ及びヒルベルト空間内のすべてのベクトルxに対して、xに最も近い一意的なベクトルがρの中に存在する。このベクトルは、PCxと表示され、ρへのxの射影である。POCSの最も有用な態様は、非空共通集合を有する2つ又はそれ以上の凸集合が与えられる場合、集合の間の交互の射影が共通集合に含まれる一点に収束することである。
【0055】
2つの凸集合が交差しない場合には、収束は、問題に対する二乗平均解であるリミットサイクルに向かう。具体的には、このサイクルは、各集合内において平均二乗の意味で他方の集合に最も近い点の間である。
【0056】
この方法では、1.統計的な骨アトラスに属することができるすべての骨の集合と、2.選択された数の頂点に対する制約値を有するすべての骨の集合(他の頂点はどのような値を有してもよい)との2つの凸集合が存在する。選択された頂点は、画像の輪郭上に対応する点が見られるものである。骨のベクトルは、単に、選択された頂点の各々を対応する推定点と置き換えることにより、第2の集合に射影することができる。
【0057】
1つの凸集合、次に他方の凸集合へと交互に射影することにより、両方の集合に適合する解に迅速に収束させることができる。
【0058】
患者特有の骨モデルが得られると、軟骨を加え、ジグが嵌められる取り付け面を完成させる必要がある。本開示のX線画像のデータベース及びそれらの対応するMRI走査データを用いることにより、X線画像の膝間距離プロファイルから軟骨の劣化レベルを識別するベイズのネットワークが作成された。これらの情報は、軟骨生成モジュールへの入力として用いられる。
【0059】
システムは、HIPPA規定により患者情報を格納する高性能データベースを含む。MRI/CT、X線画像、及び超音波からのDICOMを含む異なる画像化モダリティからのデータが各患者に取り付けられる。再構築された骨及び軟骨がデータベースに格納される。計算された目印、軸、インプラントのサイズ調整、及び配置情報を含む仮想テンプレートデータもまたデータベースに格納される。この構成要素は、関係スキーマ及びXMLスキーマの両方を実現し、データの格納及び操作のための強力なツールを与える。
【0060】
図32は、大腿骨、脛骨、及び膝蓋骨が与えられる場合に、関節軟骨を再構築するための予測モデルを作成するプロセスの概要を示す。このモデルを構築するために、2000MRI走査のデータベースを用いた。骨及び関節軟骨は、最初に、これらの走査からセグメント化した。骨を統計的アトラスに加えて点の対応関係を取得し、各骨について骨と軟骨の界面領域の確率を計算した。骨から骨への距離を、各頂点における2つの骨表面間の最も近い距離を見出すことにより、骨と軟骨の界面領域に渡って計算した。軟骨厚もまたこれらの位置の各々で計算し、ターゲットとして用いて、神経回路網を訓練し、軟骨厚を予測するためのベイズ信念ネットワークを構築した。これらのシステムに対する入力は、骨から骨への距離、膝関節の変性及び変形の分類、並びに内反及び外反角の測定値を含むが、これらに限定されるものではない。これに対する出力は、CT、X線、US、マイクロ波において軟骨を構築することができ、MRIにおいて軟骨のセグメント化をガイドする予測システムである[
図33]。
図34は、MRI訓練データセット内の軟骨界面を識別するプロセスを示し、一方、
図35は、平均軟骨マップを示す。
図36は、1つのテストケースにおける予測モデルの出力を示す。
【0061】
マイクロ波画像化システムは、各要素が送信機及び受信機の両方として動作するアレイで構成される。システム構成は
図37に示され、ここでは、低雑音システムクロック(クロッククリスタル)がベースバンドUWBパルス発生器(例えば、ステップリカバリダイオード(SRD)パルス発生器)をトリガする。ベースバンドパルスは、二重平衡広帯域ミキサを介して、局部発振器により高い周波数に変換される。高い周波数に変換された信号は、増幅されフィルタ処理される。最後に、信号が指向性マイクロ波アンテナを介して送信される。信号は、アレイ内の他のアンテナのすべてにおいて受信され、フィルタ処理され、増幅され、低い周波数に変換され、ローパスフィルタで処理される。次に、同じ低雑音システムクロックによりトリガされるサブサンプリング・ミキサを用いて、パルスを1000−100,000xに時間拡長する。このことは、UWBパルスの帯域幅を効果的に減少させ、通常のアナログ・デジタル変換器(ADC)によるサンプリングを可能にする。最後に、
図38に示されるように、特化したデジタル信号処理アルゴリズムを用いてビーム形成及び最終的な断面画像の作成が行われる。近接場遅延及び和ビームフォーマを用いて画像が回復される。異なるRxアンテナにより受信されるターゲット散乱信号は、振幅が等化されて異なる散乱比、伝播損失、及び減衰が補償される。Rx信号の異なる位相遅延は、ビーム操作のために用いられる。種々のタイプの組織間の界面が、
図15に示されるように検出される(空気−皮膚、脂肪−筋肉、軟骨−骨等)。UWBアンテナアレイ、膝の骨、及び膝を取り囲む筋肉を示す実験構成が
図39に示される。
【0062】
結果として得られる受信信号は、種々の角度から組織界面(すなわち、軟骨−骨、脂肪−筋肉、空気−皮膚)を検出するのに用いられ、さらに、2Dの断面画像に変えることができる。組織界面データは、患者の既存の骨及び軟骨のアトラス情報に加えられる。このことは、結果として、拡張された特徴ベクトルがUWB画像化データを含むようにする。このプロセスは
図40に概略が示される。追跡用UWBアンテナアレイが膝に沿って移動され、多数の断面画像が取得される。断面画像は一緒に記録され、種々の組織界面の完全な3D分析を可能にする(軟骨−骨界面に重点が置かれる)。これらの組織界面に関する情報が患者の特徴ベクトルに加えられる。このことは、結果的に、付加的な組織界面情報(すなわち、軟骨−骨、軟組織−軟骨)が、骨及び軟骨アトラスの作成、並びに膝の関節軟骨及び骨に関する種々の自動化測定に用いられるようにする。最後に、この情報は、骨及び軟骨アトラスに対するベイズ推定プロセスに含めることができる。
【0063】
本システムは、診断Bモード超音波機械を拡張して、それに患者特有の関節の骨及び軟骨(例えば、膝)の3Dモデルを作成する機能を加えたものである。位置特定プローブ(光学的又は磁気的)が超音波プローブに堅く取り付けられ、オペレータが関節(例えば、膝)を走査している間、その運動を追跡する。運動追跡プローブの座標フレームと超音波プローブの座標フレームとの間の変換は、較正プロセスにより決定される。運動追跡プローブは、各々の取得されたBモード画像(フレーム)の位置(並進)及び向きを与えるので、取得された画像は、
図41に示されるように、3Dデカルト空間内に記録される。次に、取得された超音波画像の組は、それらの取得された位置及び向きと共に、走査された解剖学的構造の体積(CT又はMRIから再構築される体積に類似の)を再構築するのに用いられる。
【0064】
次に、3つ又はそれ以上の位置合わせ目印(所定の目印、大腿骨上顆上の最も突出した点のような)が、追跡用Aモードプローブ又はBモードプローブを用いて取得され、次いで、骨(例えば、大腿骨のようなモデル化される骨)のアトラスの平均モデルが、対の点の記録を用いて取得された位置合わせ目印を用いて再構築された体積に記録される。次に、CT又はMRIに用いられる提案された自動セグメント化が再構築された超音波体積に適用され、その結果
図42に示されるようなセグメント化された骨モデルがもたらされる。
超音波再構築システムを説明するフローチャートは
図43に示される。
【0065】
仮想テンプレート化は、インプラントのサイズ調整、配置、及び選択された患者の骨の視覚化をもたらす。目印は、高い精度及び再現性で自動的に計算される。インプラントのサイズ調整は、インプラントの配置と共に行われる。ユーザは次に、これらの機能を実施するための特定のインプラント及びインプラントファミリーを選択することができる。ユーザは、インプラントのコンポーネントを配置するのに所定の又はユーザ定義の外科技術から選択することができ、またユーザは、大腿骨及び脛骨の両コンポーネントの配置のために、新しい外科技術を定義することができる。例えば、目印及び軸に基づいて、ユーザは、切除部、完全な無傷の骨、及び/又は切除された骨の上に配置されるインプラントを視覚化することができる。例えば、例示的な実施形態において、ユーザは、視覚化及びインプラント操作のために、3つの2D直交図と、1つの3D図が与えられることがある。ユーザは、インプラントのサイズ、ファミリー及び製造業者情報を修正することができる。視覚化には、骨の上に重ねられる軸及び目印を含めることができる。適合させた結果は、高機能データベースに保存することができる。外科医は、本明細書に説明される種々の機能を用いて、仮想テンプレート化、インプラント配置、仮想切除、及びインプラント操作を行い、それによって、患者とインプラントとの位置合わせのための術前テンプレート化に定量的な結果を生成することができる。この仮想切除の外科医版は、アプレット(Java(登録商標)3d)内の3D技術を用いて、インターネットを通して実行される。外科医は、テンプレート化の結果を修正、承認、又は拒絶することができる。インプラントの位置合わせ及び配置を検証するために、様々な運動が行われる。次に、配置されたインプラントの変換を用いて、切断工具を患者と同じ位置合わせ状態に変換する。これらのねじ穴は次に、ジグに移行され、この配置が手術室に移行される[
図44]。
【0066】
図45、
図46は、ジグ作成プロセスの概要を示し、このプロセスは、本開示の統計的アトラスからの平均骨上に配置されたテンプレートジグを用いる。このジグは次いで、患者の大腿骨顆及び脛骨プラトーのサイズに適合するようにサイズ変更される。次に、脛骨モデル及び大腿骨モデルの両方は、患者特有の3D骨モデルと交差されて、ジグの内側に一意的な患者刻印が作成され、これが外科手術中の堅固な嵌合いを保証する。
【0067】
図47は、異なるレベルの関節変質のための異なるジグの設計方針を強調する。
図48は、システムから出力された大腿骨及び脛骨ジグを示す。
図49は、自動的に作成されたジグを研磨し検証するためのエディタを示す。
図50は、出力されたジグを、患者の体積データと同じ空間上に射影することにより検証するプロセスを示す。
【0068】
上記の説明及び発明の概要により、本明細書に説明された方法及び装置は、本発明の例示的な実施形態を構成するが、本明細書に含まれる本発明は、この正確な実施形態に制限されるものではないこと、及び、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に変更を行うことができることが当業者には明らかなはずである。さらに、本発明は特許請求の範囲により定義され、本明細書に説明される例示的な実施形態を記述するいずれの制限又は要素も、それら制限又は要素が明確に述べられない限り、いずれかの特許請求の範囲の要素の解釈に組み入れられることを意図されてないことを理解されたい。同様に、本発明は特許請求の範囲により定義されるため、及び、本発明の内在の及び/又は予期しない利点が本明細書に明確に説明されていないことがあっても存在し得るために、いずれかの特許請求の範囲内に入るように本明細書に開示された本発明の識別された利点又は目的のいずれか又はすべてを満たす必要はないことを理解されたい。