(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調光信号のオン期間には発光素子に流れる出力電流が目標値と一致するように入力電圧から出力電圧を生成し、前記調光信号のオフ期間には前記出力電圧の生成動作を停止する出力電圧生成部と、
前記出力電圧を平滑化して前記発光素子に供給する出力コンデンサと、
前記調光信号のオフ期間には前記出力電圧が接地電圧よりも高い放電下限電圧と一致するまで前記出力コンデンサの放電を行う出力電圧放電部と、
を有し、
前記出力電圧生成部は、
前記入力電圧の印加端と接地端との間に直列接続され、互いの接続ノードがコイルを介して前記出力コンデンサに接続される上側トランジスタ及び下側トランジスタと、
前記上側トランジスタ及び前記下側トランジスタの各制御信号を生成する上側ドライバ及び下側ドライバと、
前記出力電流に応じた帰還電圧を生成するアンプと、
前記調光信号のオン期間には前記帰還電圧に応じて前記上側トランジスタ及び前記下側トランジスタをオン/オフするように前記上側ドライバ及び前記下側ドライバを駆動する制御部と、
を含み、
前記出力電圧放電部は、前記出力電圧と前記放電下限電圧とを比較して放電下限検出信号を生成するコンパレータを含む、
ことを特徴とする発光素子駆動装置。
前記制御部は、前記調光信号のオフ期間において、前記上側トランジスタを常時オフするように前記上側ドライバを駆動する一方、前記放電下限検出信号に基づいて前記出力電圧が前記放電下限電圧と一致するまで前記下側トランジスタをオンしてから前記下側トランジスタをオフするように前記下側ドライバを駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子駆動装置。
前記出力電圧放電部は、前記調光信号と前記放電下限検出信号に基づいて前記出力電圧の印加端と接地端との間を導通/遮断する放電用トランジスタを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子駆動装置。
前記放電用トランジスタは、前記調光信号のオン期間には常時オフされ、前記調光信号のオフ期間には前記放電下限検出信号に基づいてオン/オフされることを特徴とする請求項4に記載の発光素子駆動装置。
前記制御部は、前記調光信号のオフ期間において、前記上側トランジスタ及び前記下側トランジスタをいずれも常時オフするように前記上側ドライバ及び前記下側ドライバを駆動することを特徴とする請求項5に記載の発光素子駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、上記従来例の発光装置であれば、調光信号PWMに基づいて発光素子Z1の輝度を制御することが可能である。しかしながら、上記従来例の発光装置では、調光制御用のトランジスタP1を必要とするので高コストであるという問題があった。
【0007】
本発明は、本願の発明者らにより見出された上記の問題点に鑑み、低コストで発光素子の調光制御を行うことが可能な発光素子駆動装置、並びに、これを用いた発光装置及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光素子駆動装置は、調光信号のオン期間には発光素子に流れる出力電流が目標値と一致するように入力電圧から出力電圧を生成し、前記調光信号のオフ期間には前記出力電圧の生成動作を停止する出力電圧生成部と、前記出力電圧を平滑化して前記発光素子に供給する出力コンデンサと、前記調光信号のオフ期間には前記出力電圧が接地電圧よりも高い放電下限電圧と一致するまで前記出力コンデンサの放電を行う出力電圧放電部と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0009】
なお、上記第1の構成から成る発光素子駆動装置において、前記出力電圧生成部は、前記入力電圧の印加端と接地端との間に直列接続され、互いの接続ノードがコイルを介して前記出力コンデンサに接続される上側トランジスタ及び下側トランジスタと、前記上側トランジスタ及び前記下側トランジスタの各制御信号を生成する上側ドライバ及び下側ドライバと、前記出力電流に応じた帰還電圧を生成するアンプと、前記調光信号のオン期間には前記帰還電圧に応じて前記上側トランジスタ及び前記下側トランジスタをオン/オフするように前記上側ドライバ及び前記下側ドライバを駆動する制御部と、を含む構成(第2の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第2の構成から成る発光素子駆動装置において、前記出力電圧放電部は、前記出力電圧と前記放電下限電圧とを比較して放電下限検出信号を生成するコンパレータを含む構成(第3の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第3の構成から成る発光素子駆動装置において、前記放電下限電圧は可変である構成(第4の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第3または第4の構成から成る発光素子駆動装置において、前記制御部は、前記調光信号のオフ期間において、前記上側トランジスタを常時オフするように前記上側ドライバを駆動する一方、前記放電下限検出信号に基づいて前記出力電圧が前記放電下限電圧と一致するまで前記下側トランジスタをオンしてから前記下側トランジスタをオフするように前記下側ドライバを駆動する構成(第5の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第3または第4の構成から成る発光素子駆動装置において、前記出力電圧放電部は、前記調光信号と前記放電下限検出信号に基づいて前記出力電圧の印加端と接地端との間を導通/遮断する放電用トランジスタを含む構成(第6の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第6の構成から成る発光素子駆動装置において、前記放電用トランジスタは前記調光信号のオン期間には常時オフされ、前記調光信号のオフ期間には前記放電下限検出信号に基づいてオン/オフされる構成(第7の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第7の構成から成る発光素子駆動装置において、前記制御部は、前記調光信号のオフ期間において、前記上側トランジスタ及び前記下側トランジスタをいずれも常時オフするように前記上側ドライバ及び前記下側ドライバを駆動する構成(第8の構成)にするとよい。
【0016】
また、本発明に係る発光装置は、上記第1〜第8いずれかの構成から成る発光素子駆動装置と、前記発光素子駆動装置によって駆動される少なくとも一つの発光素子と、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0017】
なお、上記第9の構成から成る発光装置において、前記発光素子は、発光ダイオード、または、有機EL素子である構成(第10の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第10の構成から成る発光装置は、車載ランプとして用いられる構成(第11の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記第11の構成から成る発光装置は、ヘッドライトモジュール、ターンランプモジュール、若しくは、リアランプモジュールとして車両に装着される構成(第12の構成)にするとよい。
【0020】
また、本発明に係る車両は、上記第11または第12の構成から成る発光装置を有する構成(第13の構成)とされている。
【0021】
また、上記第13の構成から成る車両において、前記発光装置は、ヘッドライト、白昼夜走行用光源、テールランプ、ストップランプ、及び、ターンランプの少なくとも一つとして用いられる構成(第14の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低コストで発光素子の調光制御を行うことが可能な発光素子駆動装置並びに、これを用いた発光装置及び車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1は、発光装置の第1実施形態を示す図である。第1実施形態の発光装置1は、発光素子駆動装置10Aと、コイルL1と、出力コンデンサC1と、センス抵抗Rsと、少なくとも一つの発光素子(発光ダイオード)Z1と、を有する。
【0025】
発光素子駆動装置10Aは、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ11H及び11L(以下では、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lと呼ぶ)と、上側ドライバ12H及び下側ドライバ12Lと、制御部13と、アンプ14と、を集積化した半導体集積回路装置(いわゆるLEDドライバIC)である。また、発光素子駆動装置10Aは、外部との電気的な接続を確立するために外部端子T1〜T6を有する。
【0026】
発光素子駆動装置10Aの外部において、外部端子T1は、入力電圧Viの印加端に接続されている。外部端子T2は、コイルL1の第1端に接続されている。コイルL1の第2端(出力電圧Voの印加端)は、センス抵抗Rsの第1端に接続されている。センス抵抗Rsの第2端は、発光素子Z1の第1端(アノード)に接続されている。発光素子Z1の第2端(カソード)は、接地端に接続されている。出力コンデンサC1の第1端は、コイルL1の第2端に接続されている。出力コンデンサC1の第2端は、接地端に接続されている。外部端子T3は、接地端に接続されている。外部端子T4は、センス抵抗Rsの第1端に接続されている。外部端子T5は、センス抵抗Rsの第2端に接続されている。外部端子T6は、調光信号PWMの印加端に接続されている。
【0027】
発光素子駆動装置10Aの内部において、上側トランジスタ11Hのドレインは、外部端子T1に接続されている。上側トランジスタ11Hのソースは、外部端子T2に接続されている。上側トランジスタ11Hのゲートは、上側ドライバ12Hの出力端に接続されている。下側トランジスタ11Lのドレインは、外部端子T2に接続されている。下側トランジスタ11Lのソースは、外部端子T3に接続されている。下側トランジスタ11Lのゲートは、下側ドライバ12Lの出力端に接続されている。すなわち、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lは、入力電圧Viの印加端と接地端との間に直列接続されており、互いの接続ノード(スイッチ電圧Vswの印加端)がコイルL1を介して出力コンデンサC1に接続されている。
【0028】
上側ドライバ12Hは、制御部13からの指示に基づいて上側トランジスタ11Hの制御信号GHを生成する。上側トランジスタ11Hは、制御信号GHがハイレベルであるときにオンとなり、制御信号GHがローレベルであるときにオフとなる。下側ドライバ12Lは、制御部13からの指示に基づいて下側トランジスタ11Lの制御信号GLを生成する。下側トランジスタ11Lは、制御信号GLがハイレベルであるときにオンとなり、制御信号GLがローレベルであるときにオフとなる。
【0029】
制御部13は、調光信号PWMのオン期間(ハイレベル期間)には帰還電圧Vfbに応じて上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lをオン/オフするように上側ドライバ12H及び下側ドライバ12Lを駆動する。一方、制御部13は、調光信号PWMのオフ期間(ローレベル期間)において、出力電圧Voの生成動作を停止するように上側ドライバ12H及び下側ドライバ12Lを駆動する。
【0030】
アンプ14は、非反転入力端(+)と反転入力端(−)との間に印加されるセンス抵抗Rsの両端電圧を増幅して帰還電圧Vfbを生成する。従って、帰還電圧Vfbは、センス抵抗Rsに流れる出力電流Ioに応じて増減する電圧信号となる。
【0031】
なお、上記した上側トランジスタ11H、下側トランジスタ11L、上側ドライバ12H、下側ドライバ12L、制御部13、及び、アンプ14は、調光信号PWMのオン期間には発光素子Z1に流れる出力電流Ioが目標値と一致するように入力電圧Viから出力電圧Voを生成し、調光信号PWMのオフ期間には出力電圧Voの生成動作を停止する出力電圧生成部を形成する。
【0032】
図2Aは、発光素子駆動装置10Aの第1動作例(第1調光方式)を説明するためのタイムチャートであり、上から順に、調光信号PWM、制御信号GH及びGL、スイッチ電圧Vsw、出力電圧Vo、及び、出力電流Ioが描写されている。
【0033】
調光信号PWMは、発光素子Z1の輝度に応じてオンデューティ(周期Tに占めるオン期間Tonの比率)が可変されるパルス幅変調信号である。発光素子Z1の輝度を上げる場合には、調光信号PWMのオンデューティが大きい値に設定され、逆に、発光素子Z1の輝度を下げる場合には、調光信号PWMのオンデューティが小さい値に設定される。
【0034】
時刻t11において、調光信号PWMがハイレベルに立ち上げられると、制御部13による上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lのオン/オフ制御(制御信号GH及びGLの生成動作)が開始されて、外部端子T2に矩形波状のスイッチ電圧Vswが生成される。このスイッチ電圧VswがコイルL1と出力コンデンサC1を介することにより、平滑化された出力電圧Voとして発光素子Z1に供給される。
【0035】
調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t11〜t13)において、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lは、帰還電圧Vfb(延いては出力電流Io)が所定の目標値と一致するように、相補的(排他的)にオン/オフされる。発光素子Z1に流れる出力電流Ioが一定であれば、発光素子Z1に印加される出力電圧Voも一定となるので、発光素子Z1が一定の輝度で点灯する。
【0036】
なお、上記で用いられている「相補的(排他的)」という文言は、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lのオン/オフが完全に逆転している場合のほか、貫通電流防止の観点から上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lの同時オフ期間が設けられている場合も含む。
【0037】
時刻t13において、調光信号PWMがローレベルに立ち下げられると、出力電圧Voの生成動作が停止される。特に、
図2Aで示した第1調光方式では、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t13〜t15)において、制御信号GH及びGLがいずれもローレベルとされて、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lがいずれもオフとされる。その結果、外部端子T2(スイッチ電圧Vswの印加端)がハイインピーダンス状態(Hi−Z)となり、発光素子Z1が消灯される。
【0038】
なお、時刻t13以降、出力電圧Voは、次の(1)式に従い、発光素子Z1に流れる出力電流Ioに依存して低下する。そして、出力電流Ioが0Aになると、出力電圧Voは、その時点で出力コンデンサC1に残存する電荷量に応じた電圧値にほぼ維持される。
ΔVo≒Io/C1×ΔT … (1)
【0039】
上記のオン期間Tonとオフ期間Toffを繰り返すことにより、発光素子Z1の点灯と消灯が繰り返されるので、調光信号PWMのオンデューティに応じて、発光素子Z1の見かけ上の輝度(周期Tにおける平均輝度)を可変制御することが可能となる。この第1調光方式によれば、調光用の外付けトランジスタP1(
図9を参照)が不要となるので、従来の調光方式と比べてコストを削減することができる。
【0040】
第1調光方式のメリットは、調光信号PWMのオフ期間Toffにおいて、出力電圧Voが0Vまで下がり切らないので、次回の調光信号PWMのオン期間Tonにおいて、出力電流Io及び出力電圧Voが各々の目標値に達するまでの立上り時間(時刻t11〜t12、及び、時刻t15〜t16を参照)が短いという点である。
【0041】
一方、第1調光方式のデメリットは、出力電流Ioの立下り速度が発光素子Z1の特性に依存しており、出力電流Ioが減少するほど立下り速度が低下するので、出力電流Ioの立下り時間(時刻t13〜t14)が長いという点である。
【0042】
図2Bは、発光素子駆動装置10Aの第2動作例(第2調光方式)を説明するためのタイムチャートであり、上から順に、調光信号PWM、制御信号GH及びGL、スイッチ電圧Vsw、出力電圧Vo、及び、出力電流Ioが描写されている。
【0043】
先述の第1調光方式(
図2A)と同様、第2調光方式においても、調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t21〜t23、及び、時刻t25〜t27)には、帰還電圧Vfbが所定の目標値と一致するように、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lがオン/オフされて、発光素子Z1が一定の輝度で発光する。
【0044】
また、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t23〜t25)において、出力電圧Voの生成動作が停止され、発光素子Z1が消灯される点についても、先述の第1調光方式と同様である。
【0045】
ただし、
図2Bで示した第2調光方式では、先述の第1調光方式と異なり、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t23〜t25)において、制御信号GHがローレベルとされて上側トランジスタ11Hがオフされる一方、制御信号GLがハイレベルとされて下側トランジスタ11Lがオンされる。その結果、出力コンデンサC1の第1端(出力電圧Voの印加端)がコイルL1と下側トランジスタ11Lを介して接地端とショートされるので、出力コンデンサC1の電荷が急速に放電されて、出力電圧Voが0Vまで引き下げられる。従って、発光素子Z1に流れる出力電流Ioも速やかに0Aとなり、発光素子Z1が遅滞なく消灯される。
【0046】
第2調光方式のメリットは、調光信号PWMのオフ期間Toffにおいて、出力コンデンサC1を急速に放電することができるので、出力電流Ioの立下り時間(時間t23〜t24)が短いという点である。
【0047】
一方、第2調光方式のデメリットは、調光信号PWMのオフ期間Toffにおいて、出力電圧Voが0Vまで引き下げられるので、次回の調光信号PWMのオン期間Tonにおいて、出力電流Io及び出力電圧Voが各々の目標値に達するまでの立上り時間(時刻t21〜t22、及び、時刻t25〜t26を参照)が長いという点である。
【0048】
上記のように、第1実施形態の発光素子駆動装置10Aにおいて、
図2Aの第1調光方式を採用した場合には、出力電流Ioの立下り(延いては発光素子Z1の消灯)に長時間を要してしまい、また、
図2Bの第2調光方式を採用した場合には、出力電流Ioの立上り(延いては発光素子Z1の点灯)に長時間を要してしまう。
【0049】
上記を鑑みると、第1実施形態の発光素子駆動装置10Aは、発光素子Z1の輝度をさほど細かく制御する必要のないアプリケーションには好適であるが、より細かい調光制御を必要とするアプリケーションに対応するためには、さらなる改善の余地があった。
【0050】
<第2実施形態>
図3は、発光装置の第2実施形態を示す図である。第2実施形態は、先出の第1実施形態と基本的に同一の構成であり、発光素子駆動装置10Bの内部構成とこれを用いた発光素子Z1の第3調光方式に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同一の構成要素については、
図1と同一符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0051】
発光素子駆動装置10Bには、先出の上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11L、上側ドライバ12H及び下側ドライバ12L、制御部13、並びに、アンプ14に加えて、コンパレータ15が集積化されている。
【0052】
コンパレータ15は、外部端子T4から非反転入力端(+)に印加される出力電圧Voと、反転入力端(−)に印加される放電下限電圧Vdis(ただしVdis>GND)とを比較して、放電下限検出信号DETを生成し、これを制御部13に送出する。放電下限検出信号DETは、出力電圧Voが放電下限電圧Vdisよりも高いときにハイレベルとなり、出力電圧Voが放電下限電圧Vdisよりも低い時にローレベルとなる。
【0053】
また、上記の放電下限検出信号DETの入力を受け付ける制御部13は、調光信号PWMのオフ期間Toffにおいて、放電下限検出信号DETに応じた出力電圧Voの放電制御(下側トランジスタ11Lのオン/オフ制御)を行う機能を備えている。
【0054】
図4は、発光素子駆動装置10Bの一動作例(第3調光方式)を説明するためのタイムチャートであり、上から順に、調光信号PWM、制御信号GH及びGL、スイッチ電圧Vsw、出力電圧Vo、放電下限検出信号DET、及び、出力電流Ioが描写されている。
【0055】
先述の第1調光方式(
図2A)や第2調光方式(
図2B)と同様、第3調光方式においても、調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t31〜t33、及び、時刻t35〜t37)には、帰還電圧Vfbが所定の目標値と一致するように、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lがオン/オフされて、発光素子Z1が一定の輝度で発光する。
【0056】
また、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t33〜t35)において、出力電圧Voの生成動作が停止され、発光素子Z1が消灯される点についても、先述の第1調光方式や第2調光方式と同様である。
【0057】
ただし、
図4で示した第3調光方式では、先の第1調光方式や第2調光方式と異なり、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t33〜t35)において、放電下限検出信号DETに応じた出力電圧Voの放電制御が行われる。
【0058】
より具体的に述べると、制御部13は、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t33〜t35)において、上側トランジスタ11Hを常時オフするように上側ドライバ12Hを駆動して制御信号GHをローレベルに維持する一方、下側トランジスタ11Lについては、これを常時オフ(第1調光方式)ないしは常時オン(第2調光方式)するのではなく、放電下限検出信号DETに基づいて出力電圧Voが放電下限電圧Vdisと一致するまで下側トランジスタ11Lをオンしてから下側トランジスタ11Lをオフするように、下側ドライバ12Lを駆動して制御信号GLのハイレベル/ローレベルを切り替える。
【0059】
すなわち、制御部13は、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t33〜t35)において、放電下限検出信号DETのハイレベル期間(時刻t33〜t34)には下側トランジスタ11Lをオンするように制御信号GLをハイレベルとし、放電下限検出信号DETのローレベル期間(時刻t34〜t35)には下側トランジスタ11Lをオフするように制御信号GLをローレベルとする。
【0060】
その結果、放電下限検出信号DETのハイレベル期間(時刻t33〜t34)には、出力コンデンサC1の第1端(出力電圧Voの印加端)がコイルL1と下側トランジスタ11Lを介して接地端とショートされるので、出力コンデンサC1の電荷が急速に放電されて、出力電圧Voが放電下限電圧Vdisまで引き下げられる。従って、発光素子Z1に流れる出力電流Ioも速やかに0Aとなり、発光素子Z1が遅滞なく消灯される。
【0061】
また、放電下限検出信号DETのローレベル期間(時刻t34〜t35)には、外部端子T2(スイッチ電圧Vswの印加端)がハイインピーダンス状態(Hi−Z)となり、出力電圧Voは0Vまで下がり切ることなく、ほぼ放電下限電圧Vdisに維持される。従って、調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t31〜t33、及び、時刻t35〜t37)には、出力電流Io及び出力電圧Voが各々の目標値まで速やかに達するので、発光素子Z1が遅滞なく点灯される。
【0062】
このように、発光素子駆動装置10Bにおいて、コンパレータ15、制御部13、下側ドライバ12L、及び、下側トランジスタ11Lは、調光信号PWMのオフ期間Toffにおいて、出力電圧Voが放電下限電圧Vdisと一致するまで出力コンデンサC1の放電を行う出力電圧放電部として機能する。
【0063】
図5Aは、出力電圧Voの立上り挙動を示す波形図である。なお、
図5Aでは、出力電圧Voの目標値を1とし、放電下限電圧Vdisを0.5として規格化した場合の挙動を示している。出力電圧Voが0.5までしか放電されない第3調光方式(実線X1)であれば、出力電圧Voが0まで放電される第2調光方式(破線X2)と比べて、出力電圧Voの立上り時間が1/2に短縮されることが分かる。
【0064】
図5Bは、出力電圧Voの立下り挙動を示す波形図である。なお、
図5Bでは、出力電圧Voの目標値を1とし、放電下限電圧Vdisを0.5として規格化した場合の挙動を示している。出力電圧Voが下側トランジスタ11Lを介して急速放電される第3調光方式(実線Y1)であれば、外部端子T2(スイッチ電圧Vswの印加端)がハイインピーダンス状態(Hi−Z)とされる第1調光方式(破線Y2)と比べて、出力電圧Voの立下り時間を大幅に短縮することができる。
【0065】
このように、第2実施形態の発光素子駆動装置10Bであれば、上記の第3調光方式を採用することにより、発光素子Z1に流れる出力電流Ioを調光信号PWMに応じて速やかにオン/オフすることができるので、調光信号PWMにおけるパルス幅の可変ピッチを狭めて、発光素子Z1の輝度を細かく制御することが可能となる。
【0066】
図6は、発光素子Z1のIF−VF特性を示す図である。
図6で示したように、発光素子Z1の順方向電流IF(出力電流Ioに相当)は、発光素子Z1の順方向バイアス電圧VF(出力電圧Voに相当)に対して指数関数的に増減する。例えば、調光信号PWMのオン期間Tonにおける出力電圧Voに対して、放電下限電圧Vdisを0.5×Voに設定しておけば、調光信号PWMのオフ期間Toffにおいて、出力コンデンサC1の放電後における出力電流Ioをほぼ0Aまで引き下げることができるので、発光素子Z1を確実に消灯することができる。
【0067】
なお、発光素子Z1のIF−VF特性は、使用される素子毎に異なるので、放電下限電圧Vdisは、発光素子Z1のIF−VF特性を鑑みて可変的に設定し得る構成としておくことが望ましい。
【0068】
<第3実施形態>
図7は、発光装置の第3実施形態を示す図である。第3実施形態は、先出の第2実施形態と基本的に同一の構成であり、発光素子駆動装置10Cの内部構成とこれを用いた発光素子Z1の第4調光方式に特徴を有する。そこで、第2実施形態と同一の構成要素については、
図3と同一符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第3実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0069】
発光素子駆動装置10Cには、先出の上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11L、上側ドライバ12H及び下側ドライバ12L、制御部13、アンプ14、並びに、コンパレータ15に加えて、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ16とANDゲート17が集積化されている。
【0070】
トランジスタ16のドレインは、外部端子T4に接続されている。トランジスタ16のソースは、接地端に接続されている。トランジスタ16のゲートは、ANDゲート17の出力端(制御信号GDの印加端)に接続されている。すなわち、トランジスタ16は、制御信号GD(調光信号PWMの論理反転信号と放電下限検出信号DETとの論理積信号)に基づいて出力電圧Voの印加端と接地端との間を導通/遮断する放電用トランジスタとして機能する。
【0071】
ANDゲート17は、外部端子T6から論理反転入力される調光信号PWMと、コンパレータ15から入力される放電下限検出信号DETとの論理積演算を行ことにより、トランジスタ16の制御信号GDを生成する。制御信号GDは、調光信号PWMのハイレベル期間(オン期間Ton)には、放電下限検出信号DETの論理レベルに依ることなく、常にローレベルとなり、調光信号PWMのローレベル期間(オフ期間Toff)には、放電下限検出信号DETと同一の論理レベルとなる。
【0072】
図8は、発光素子駆動装置10Cの一動作例(第4調光方式)を説明するためのタイムチャートであり、上から順に、調光信号PWM、制御信号GH及びGL、スイッチ電圧Vsw、出力電圧Vo、放電下限検出信号DET、制御信号GD,及び、出力電流Ioが描写されている。
【0073】
先の第1調光方式(
図2A)、第2調光方式(
図2B)、及び、第3調光方式(
図4)と同じく、第4調光方式においても、調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t41〜t43、及び、時刻t45〜t47)には、帰還電圧Vfbが所定の目標値と一致するように、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lがオン/オフされて、発光素子Z1が一定の輝度で発光する。
【0074】
また、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t43〜t45)において、出力電圧Voの生成動作が停止され、発光素子Z1が消灯される点についても、先述の第1調光方式〜第3調光方式と同様である。
【0075】
また、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t43〜t45)において、放電下限検出信号DETに応じた出力電圧Voの放電制御が行われる点については、先述の第3調光方式と同様である。
【0076】
ただし、
図8で示した第4調光方式では、先の第3調光方式と異なり、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t33〜t35)において、下側トランジスタ11Lを放電経路として用いるのではなく、トランジスタ16を放電経路として用いることにより、放電下限検出信号DETに応じた出力電圧Voの放電制御が行われる。
【0077】
先にも述べたように、制御信号GDは、調光信号PWMのオン期間Ton(ハイレベル期間)には、放電下限検出信号DETの論理レベルに依ることなく、常にローレベルとなり、調光信号PWMのオフ期間Toff(ローレベル期間)には、放電下限検出信号DETと同一の論理レベルとなる。
【0078】
従って、トランジスタ16は、調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t41〜43、及び、時刻t45〜t47)には常時オフされ、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t43〜t45)には放電下限検出信号DETに基づいてオン/オフされる。具体的に述べると、トランジスタ16は、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t43〜t45)において、放電下限検出信号DETのハイレベル期間(時刻t43〜t44)には、ハイレベルの制御信号GDに応じてオンとなり、放電下限検出信号DETのローレベル期間(時刻t44〜t45)には、ローレベルの制御信号GDに応じてオフとなる。
【0079】
一方、制御部13は、調光信号PWMのオフ期間Toff(時刻t43〜t45)において、先述の第1調光方式(
図2A)と同様、上側トランジスタ11H及び下側トランジスタ11Lをいずれも常時オフするように、上側ドライバ12H及び下側ドライバ12Lを駆動して制御信号GH及びGLをローレベルに維持する。
【0080】
その結果、放電下限検出信号DETのハイレベル期間(時刻t43〜t44)には、出力コンデンサC1の第1端(出力電圧Voの印加端)がトランジスタ16を介して接地端とショートされるので、出力コンデンサC1の電荷が急速に放電されて、出力電圧Voが放電下限電圧Vdisまで引き下げられる。従って、発光素子Z1に流れる出力電流Ioも速やかに0Aとなり、発光素子Z1が遅滞なく消灯される。
【0081】
また、放電下限検出信号DETのローレベル期間(時刻t44〜t45)には、外部端子T2(スイッチ電圧Vswの印加端)がハイインピーダンス状態(Hi−Z)となり、出力電圧Voは0Vまで下がり切ることなく、ほぼ放電下限電圧Vdisに維持される。従って、調光信号PWMのオン期間Ton(時刻t41〜t43、及び、時刻t45〜t47)には、出力電流Io及び出力電圧Voが各々の目標値まで速やかに達するので、発光素子Z1が遅滞なく点灯される。
【0082】
このように、第3実施形態の発光素子駆動装置10Cであれば、上記の第4調光方式を採用することにより、発光素子Z1に流れる出力電流Ioを調光信号PWMに応じて速やかにオン/オフすることができるので、調光信号PWMにおけるパルス幅の可変ピッチを狭めて、発光素子Z1の輝度を細かく制御することが可能となる。
【0083】
なお、第2実施形態の発光素子駆動装置10Bでは、下側トランジスタ11Lが出力コンデンサC1の放電経路として用いられているので、出力コンデンサC1を放電するために下側トランジスタ11Lをオンしている間、コイルL1から外部端子T2に向けて電流が流れる。そのため、下側トランジスタ11Lをオフして出力コンデンサC1の放電を停止したときには、コイルL1に蓄えられた逆起電力により、外部端子T2から上側トランジスタ11Hのボディダイオード(不図示)を介する経路で入力電圧Viの印加端に向けた回生電流が逆流してしまうおそれがあった。
【0084】
これに対して、第3実施形態の発光素子駆動装置10Cであれば、コイルL1の後段側(発光素子Z1に近い側)に設けられたトランジスタ16が出力コンデンサC1の放電経路として用いられているので、出力コンデンサC1を放電するためにトランジスタ16をオンしても、放電電流がコイルL1に流れることはない。従って、出力コンデンサC1の放電を停止する際に、入力電圧Viの印加端に向けた回生電流が生じるおそれもない。
【0085】
<用途>
発光装置1は、例えば、
図9A及び
図9Bで示す通り、車両X10のヘッドライト(ハイビーム/ロービーム/スモールランプ/フォグランプなどを適宜含む)X11、白昼夜走行(DRL)用光源X12、テールランプ(スモールランプやバックランプなどを適宜含む)X13、ストップランプX14、及び、ターンランプX15などとして好適に用いることができる。
【0086】
なお、発光素子駆動装置10A及び10Bは、駆動対象となる発光素子Z1と共にモジュール(
図10AのLEDヘッドライトモジュールY10、
図10BのLEDターンランプモジュールY20、及び、
図10CのLEDリアランプモジュールY30など)として提供されるものであってもよいし、発光素子Z1とは独立にIC単体として提供されるものであってもよい。
【0087】
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、発光素子として発光ダイオードを用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、発光素子として有機EL[electro-luminescence]素子を用いることも可能である。
【0088】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。