(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
浴槽に接続された風呂循環回路と、該風呂循環回路の途中に設置され浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、前記浴槽内の浴槽水を検知する残湯検知手段と、室外の気温を検知する外気温センサと、前記風呂循環回路の途中に設置され浴槽水の温度を検知する風呂温度センサと、前記外気温センサが所定値以下を検知したら前記風呂循環ポンプを間欠運転させて前記風呂循環回路の凍結を防止する凍結防止運転を開始する制御部とを備えた風呂装置において、前記凍結防止運転開始時に前記制御部は、前記残湯検知手段で浴槽水が検知されなければ、前記外気温センサと前記風呂温度センサとで検知された値が低くなるに従い、前記風呂循環ポンプのON時間が長くなるよう前記間欠運転の時間を変化させたことを特徴とする風呂装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この発明を適用した一実施形態を図に基づいて説明する。
1は内部に貯湯タンク2を収納した貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2上部の高温水を出湯する出湯管、4は貯湯タンク2に市水を供給する給水管、5は室外に設置され貯湯タンク2内の湯水を加熱するヒートポンプユニットである。
【0009】
6は貯湯タンク2下部とヒートポンプユニット5とを配管で接続するヒーポン往き管、7はヒートポンプユニット5と貯湯タンク2上部とを配管で接続するヒーポン戻り管、8はヒーポン往き管6とヒーポン戻り管7から成るヒーポン循環回路である。
【0010】
9は給水管4から分岐した給水バイパス管、10は出湯管3と給水バイパス管9内を流動する湯水を所定の比率で混合して設定された給湯温度に調節する給湯混合弁、11は出湯管3と給水バイパス管9内を流動する湯水を所定の比率で混合して設定された風呂温度に調節する風呂混合弁である。
【0011】
12は給湯混合弁10で所定の比率で混合された湯水が流動する給湯管、13は洗面所等に設置され給湯混合弁10で給湯温度に調節された湯水を開栓することで出湯可能な給湯栓、14は給湯管12内を流動する湯水の流量を検知する給湯流量センサ、15は給湯管12内を流動する湯水の温度を検知する給湯温度センサである。
【0012】
16は貯湯タンク2内の高温水と熱交換して浴槽17内に貯められた浴槽水を加熱する風呂熱交換器、18は浴槽水を風呂熱交換器16に送る風呂戻り管、19は風呂熱交換器16で加熱された浴槽水を浴槽17内に戻す風呂往き管、20は風呂往き管19と風呂熱交換器16と風呂戻り管18とで形成された風呂循環回路、21は風呂循環回路20内の浴槽水を循環させる風呂循環ポンプである。
【0013】
22は風呂循環回路20内に浴槽水が流れているかスイッチのON/OFFで検知する残湯検知手段としての流水スイッチ、23は風呂循環回路20内にある浴槽水の温度を検知する風呂温度センサであり、風呂戻り管18途中にそれぞれ設置されている。
【0014】
24は風呂混合弁11で混合された湯水を風呂戻り管18に搬送する湯張り管であり、配管途中には、風呂混合弁11で混合された湯水の温度を検知する湯張り温度センサ25と、電動弁を開閉して浴槽17への湯張り開始及び停止を行う湯張り電磁弁26と、配管内を流動する湯水の流量から浴槽17への湯張り量を検知する湯張り流量センサ27と、浴槽17の湯水が逆流するのを防止する逆止弁28とが設置されている。
【0015】
29は貯湯タンク2の上下方向に複数配置された貯湯温度センサで、この実施形態では貯湯温度センサ29a、29b、29c、29d、29eの5つが設置されており、この貯湯温度センサ29が検知する温度情報によって貯湯タンク2内の残熱量と、貯湯タンク2内の上下方向の温度分布が確認できる。
【0016】
30は貯湯タンク2上部に連通した逃し弁、31は給水管4途中に備えられ管内を流動する給水の温度を検知する給水温度センサ、32は給水管4に備えられ水道からの圧力を減圧する減圧弁、33は栓を開栓することで給水管4へ水道水を流入させる給水栓、34は貯湯タンク2の底部に接続され湯水を外部に排水する排水弁である。
【0017】
35はヒートポンプユニット5内の所定位置に設置された外気温センサであり、室外に設置されたヒートポンプユニット5周辺の外気温を検知する。
【0018】
36は浴室37内に設置され使用者が操作することで各種設定が可能な操作部を有したリモコンであり、図示しない湯張り量設定スイッチで設定された湯張り量の湯水を浴槽17内に流入し設定温度で所定時間保温する風呂自動スイッチ38と、浴槽水の設定温度を変更する温度変更スイッチ39と、浴槽17へ流入する湯水の設定温度等を音声で報知するスピーカ40とが設けられ、更に、ドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部41が設けられていることで使用者が設定状況を確認できる。
【0019】
42は貯湯タンクユニット1内に設置された各センサの入力を受け、各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを内蔵した制御部であり、各温度センサで検知された温度と所定値とを比較する比較手段43と、凍結防止運転時に風呂循環ポンプ21のON時間とOFF時間とをそれぞれカウントする計時手段44とが備えられている。
【0020】
次に、この発明の一実施形態の具体的な動作について説明する。
まず、通常時での沸き上げ動作について説明すると、各地の時間帯別契約電力における電力単価が安価な深夜時間帯に達したら、制御部42は、貯湯タンク2内の湯水をヒートポンプユニット5で加熱する沸き上げ動作を開始させる。
【0021】
制御部42は、過去一週間における平均使用湯量や貯湯温度センサ29での検知温度に基づいて貯湯タンク2内に貯湯する湯水の沸き上げ目標温度や湯量を判定し、沸き上げ完了時刻に目標温度の湯水が所定量沸き上がるために沸き上げ動作を開始する沸き上げ開始時刻を算出し、沸き上げ開始時刻に達したと判断したら、ヒートポンプユニット5内部にある図示しないヒーポン循環ポンプを駆動させることで貯湯タンク2内の湯水がヒーポン循環回路8内を流動し、ヒートポンプユニット5で加熱され貯湯タンク2の上部から高温水が順次積層するように貯湯していく。
【0022】
そして制御部42は、貯湯温度センサ29で検知された温度から目標沸き上げ温度の湯水が所定の湯量まで貯湯したと判断したら沸き上げ動作を終了する。
【0023】
次に、浴槽17へ風呂設定温度の湯水を設定湯張り量だけ流入する湯張り動作について説明する。
リモコン36の風呂自動スイッチ38が操作されたら、制御部42は、湯張り電磁弁26を開放して風呂設定温度の湯水が浴槽17に流入するよう風呂混合弁11の開度を調節し、湯張り流量センサ27で検知された流量から浴槽17に設定湯張り量の湯水が流入したと判断したら、湯張り電磁弁26を閉止して湯張りを終了する。
【0024】
次に、風呂循環回路20の凍結防止運転について
図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず、制御部42は、外気温センサ35で検知された外気温Tを確認し、外気温Tが所定値である0℃以下か比較手段43で比較して(ステップS101)、外気温Tが0℃以下であれば、風呂循環回路20にある浴槽水が凍結するのを防止するため風呂循環ポンプ21の運転を開始し、計時手段44により風呂循環ポンプ21の運転を開始してから経過した時間のカウントを開始する(ステップS102)。
【0025】
ステップS102で風呂循環ポンプ21の運転を開始したら、制御部42は、風呂循環ポンプ21の運転開始から4分経過したか計時手段44でカウントした時間で判断する(ステップS103)。
【0026】
ステップS103で4分経過したと判断したら、制御部42は、計時手段44でカウントした4分の間に流水スイッチ22が風呂循環回路20内を流動する浴槽水を検知してON状態になったかにより浴槽17内に浴槽水が存在するか判断し(ステップS104)、
図4で示すように、浴槽水が存在すると判断したら、外気温センサ35で検知された外気温T及び風呂温度センサ23で検知された風呂温度Fに基づいた時間で風呂循環ポンプ21をON/OFFさせた間欠運転を行い(ステップS105)、浴槽水が存在しないと判断したら、浴槽水が存在する時とは異なる外気温Tと風呂温度Fとに基づいた時間で風呂循環ポンプ21をON/OFFさせた間欠運転を行う(ステップS106)。
【0027】
ステップS105及びステップS106で風呂循環ポンプ21を所定時間ON/OFFさせた間欠運転を行ったら、制御部42は、風呂循環ポンプ21をON/OFFしてから経過した時間を計時手段44で確認し(ステップS107)、風呂循環ポンプ21をON/OFFしてから20分経過しているか判断して(ステップS108)、20分経過していれば、再度ステップS101で外気温Tが0℃以上か判断する。なお、ステップS108で判断した20分は間欠運転が一周期する時間であり、
図4で示す風呂循環ポンプ21のON時間にはステップS103で判断した4分を含まず、ステップS105及びステップS106での動作に関する時間を説明している。
【0028】
ここで、浴槽水の存在有無による風呂循環ポンプ21の間欠運転について詳述する。
まず、浴槽水が存在すると判断した時は、
図4で示すように外気温センサ35で検知された外気温Tと風呂温度センサ23で検知された風呂温度Fとから風呂循環ポンプ21のON/OFF時間をそれぞれ変化させる。例えば、外気温Tが−5℃以上0℃未満で風呂温度Fが5℃以上10℃未満の場合、風呂循環回路20内の温度が低下しているとして風呂循環回路20内の浴槽水の凍結防止するため、風呂循環ポンプ21を1分ONして15分OFFにすることで、風呂循環回路20及び風呂循環ポンプ21の凍結を確実に防止し、凍結のおそれが低い時は長時間風呂循環ポンプ21を運転させないことから消費電力を低減できる。
【0029】
また、浴槽水が存在しないと判断した時は、
図4で示すように外気温センサ35で検知された外気温Tと風呂温度センサ23で検知された風呂温度Fとから風呂循環ポンプ21のON/OFF時間をそれぞれ変化させる。例えば、外気温Tが−5℃以上0℃未満の場合、風呂温度Fが10℃以上であれば風呂循環回路20内は温かく凍結のおそれは低いとして、風呂循環ポンプ21を16分OFFにして、風呂温度Fが10℃未満0℃以上であれば風呂循環回路20内の温度が低下してきているとして、風呂循環ポンプ21を1分ONにして15分OFFにして、風呂温度Fが0℃未満であれば風呂循環回路20内の温度が低いとして、風呂循環ポンプ21を6分ONにして10分OFFにすることで、風呂循環ポンプ21内に残存する浴槽水の凍結を防止することができる。
【0030】
更に、外気温Tが−5℃未満の場合、風呂温度Fが20℃以上であれば風呂循環回路20内の温度が温かく凍結のおそれは低いとして、風呂循環ポンプ21を16分OFFにして、風呂温度Fが10℃以上20℃未満であれば風呂循環回路20内の温度がやや低下してきているとして、風呂循環ポンプ21を1分ONにして15分OFFにして、風呂温度Fが10℃未満−5℃以上であれば風呂循環回路20内の温度が低下しているとして、風呂循環ポンプ21を6分ONにして10分OFFにして、風呂温度Fが−5℃未満であれば風呂循環回路20内の温度が低く凍結のおそれがあるとして、風呂循環ポンプ21を11分ONにして5分OFFにする。このように、外気温と風呂温度に応じて風呂循環ポンプ21のON/OFF時間を変化させた間欠運転を行うことで、風呂循環ポンプ21内の残湯が凍結することを確実に防止し、凍結のおそれが低い時は長時間風呂循環ポンプ21を運転させないことから消費電力を低減できる。
【0031】
なお、本実施例では凍結防止運転時の風呂循環ポンプ21の間欠運転の一周期を20分としているがこれに限定するものではなく、例えば、一周期を30分にしてもよいものであり、検知された外気温や風呂温度に応じて風呂循環ポンプ21のON/OFFを適切な時間にすることで、風呂循環回路20や風呂循環ポンプ21の凍結を確実に防止し、消費電力を低減できる。
【0032】
また、流水スイッチ22を残湯検知手段としているが、例えば、風呂循環回路20の途中に浴槽水の流量を検知可能な流量センサを設置し、凍結防止運転開始時にこの流量センサで検知された流量値や、風呂循環ポンプ21の回転数から浴槽水の存在有無を判断してもよく、その他のセンサ等で検知された値を組み合わせて浴槽水の有無を判断してもよい。
【0033】
以上のように、凍結防止運転開始時に浴槽17内の浴槽水が存在しないと判断したら、外気温センサ35で検知された外気温と風呂温度センサ23で検知された風呂温度とに基づいて風呂循環ポンプ21のON/OFF時間を変化させるので、浴槽17内から浴槽水を排水した直後で外気温が低い時に凍結防止運転を開始しても、風呂循環ポンプ21を適切なON/OFF時間で間欠運転させることで、風呂循環ポンプ21内に残存する浴槽水の凍結を確実に防止することができ、適切な時間で風呂循環ポンプ21を運転させるので消費電力を低減できる。
【0034】
また、本実施例では加熱手段をヒートポンプユニット5として説明したが、これに限らず、太陽熱、ガス、液体燃料による給湯機や電気温水器等に適用することが可能である。