特許第5882841号(P5882841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5882841非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882841
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/16 20060101AFI20160225BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   F24H9/16 A
   F24H1/00 611F
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-137391(P2012-137391)
(22)【出願日】2012年6月19日
(65)【公開番号】特開2014-1887(P2014-1887A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】高地 正喜
(72)【発明者】
【氏名】眞柄 隆志
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 靖
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−333000(JP,A)
【文献】 特開2005−315432(JP,A)
【文献】 特開2005−337695(JP,A)
【文献】 特開2009−180489(JP,A)
【文献】 特開2004−293969(JP,A)
【文献】 特開2002−022271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 − 9/20
F24D 1/00 − 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱器と、前記貯湯タンク内の湯水を熱源として外部の被加熱水を加熱するための熱交換器と、前記貯湯タンク内の湯水を前記熱交換器の一次側に導く非自給式の一次側循環ポンプと、前面が開放され前記貯湯タンクを収容する外装体と、前記外装体の開放された前面を覆う前パネルと、前記一次側循環ポンプを前記外装体に取り付ける取付板と、を備えた非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機において、前記取付板は前記外装体の側面の内側の前面側に固定され、前記一次側循環ポンプは、吸入口を前記一次側循環ポンプの正面に有し、吐出口を正面に直交する方向に有していると共に、前記吐出口の先に水抜き栓が設けられ、前記取付板を介して前記外装体の側面と前記前パネルと前記貯湯タンクの間の角部空間に、前記一次側循環ポンプの背面が前記貯湯タンクに対向し、かつ前記吐出口の方向と前記前パネルの中央側とが成す所定の角度が鈍角となる姿勢で取り付けられていることを特徴とする非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記取付板は、平板を所定の鈍角に折り曲げた構造とし、折り曲げた平板の一面を前記外装体の側面の内側の前面側に固定し、他面を前記貯湯タンク寄りに位置させ、この他面に前記一次側循環ポンプを取り付けることで、前記一次側循環ポンプの前記吐出口の方向と前記前パネルの中央側とが成す所定の角度が鈍角となる姿勢で取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記熱交換器の二次側に前記被加熱水を循環させる非自給式の二次側循環ポンプが備えられ、該二次側循環ポンプは、吸入口を前記二次側循環ポンプの正面に有し、吐出口を正面に直交する方向に有していると共に、前記吐出口の先に水抜き栓が設けられ、前記一次側循環ポンプの上または下の前記取付板の他面に取り付けられて前記二次側循環ポンプの前記吐出口の方向と前記前パネルの中央側とが成す所定の角度が鈍角となる姿勢で取り付けるようにしたことを特徴とする請求項2記載の非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記一次側循環ポンプおよび/または二次側循環ポンプは、前記吸入口に直交しかつ略垂直方向に延出された取付補助板を備え、該取付補助板によって前記取付板の他面に前記一次側循環ポンプおよび/または二次側循環ポンプが片持ち固定されることを特徴とする請求項2または3記載の非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被加熱水を加熱するための熱交換器に貯湯タンク内の湯水を循環させる非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機は、特許文献1に示されるように、貯湯タンクと前パネルの間に非自給式循環ポンプを取付金具を介して上下2段に配置し、これら非自給式循環ポンプは、吐出口を上向き、吸入口を横向きになるように横向きに配置され、インペラが内蔵されたポンプ室に水抜き栓が設けられているものだった。
【0003】
また、取付金具を貯湯タンクを囲繞する発泡成形断熱材に埋設したものが特許文献2に示されている。
【0004】
また、本件出願人が販売している製品で、エコキュート(登録商標)多機能タイプ 型式名CHP−H46111ATでは、2階建て構造の箱状の取付枠の内部に前向きに循環ポンプを配置したものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−22271号公報
【特許文献2】特開2012−17980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の非自給式循環ポンプは、コストダウンと小型化が進んだ結果、従来はポンプ室に直接設けられていた水抜き栓が廃止され、別途水抜き栓を取り付ける必要が生じている。
【0007】
しかしながら、従来の配置のままでは、上向きの吐出口側に水抜き栓を設けると水抜きができず、吐出口がポンプ室の最下部となるように横向きのまま回転させて循環ポンプを配置して吐出口に水抜き栓を設けると、水抜き栓が前方に大きく突出し、前パネルと水抜き栓を干渉させないようにするためには貯湯タンクと前パネルの間の空間を広くする必要が生じ、貯湯式給湯機が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献2のように取付板を発泡成形断熱材に埋設したものでは、輸送振動による循環ポンプの揺れを考慮した強度の高い発泡成形断熱材を用いる必要があり、断熱材の発泡倍率を下げて強度を高くすると断熱性が劣り、断熱材を厚くして断熱性を確保すると貯湯式給湯機が大きくなってしまうという問題があった。
【0009】
さらに、本件出願人の製品のような箱状の取付枠では、取付枠が大きなスペースを占有すると共に、取付枠の構成も複雑でコストが高いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱器と、前記貯湯タンク内の湯水を熱源として外部の被加熱水を加熱するための熱交換器と、前記貯湯タンク内の湯水を前記熱交換器の一次側に導く非自給式の一次側循環ポンプと、前面が開放され前記貯湯タンクを収容する外装体と、前記外装体の開放された前面を覆う前パネルと、前記一次側循環ポンプを前記外装体に取り付ける取付板と、を備えた非自給式循環ポンプを内蔵した貯湯式給湯機において、前記取付板は前記外装体の側面の内側の前面側に固定され、前記一次側循環ポンプは、吸入口を前記一次側循環ポンプの正面に有し、吐出口を正面に直交する方向に有していると共に、前記吐出口の先に水抜き栓が設けられ、前記取付板を介して前記外装体の側面と前記前パネルと前記貯湯タンクの間の角部空間に、前記一次側循環ポンプの背面が前記貯湯タンクに対向し、かつ前記吐出口の方向と前記前パネルの中央側とが成す所定の角度が鈍角となる姿勢で取り付けられているものとした。
【0011】
また、前記取付板は、平板を所定の鈍角に折り曲げた構造とし、折り曲げた平板の一面を前記外装体の側面の内側の前面側に固定し、他面を前記貯湯タンク寄りに位置させ、この他面に前記一次側循環ポンプを取り付けることで、前記一次側循環ポンプの前記吐出口の方向と前記前パネルの中央側とが成す所定の角度が鈍角となる姿勢で取り付けるようにした
【0012】
また、前記熱交換器の二次側に前記被加熱水を循環させる非自給式の二次側循環ポンプが備えられ、該二次側循環ポンプは、吸入口を前記二次側循環ポンプの正面に有し、吐出口を正面に直交する方向に有していると共に、前記吐出口の先に水抜き栓が設けられ、前記一次側循環ポンプの上または下の前記取付板の他面に取り付けられて前記二次側循環ポンプの前記吐出口の方向と前記前パネルの中央側とが成す所定の角度が鈍角となる姿勢で取り付けるようにした。
【0013】
また、前記一次側循環ポンプおよび/または二次側循環ポンプは、前記吸入口に直交しかつ略垂直方向に延出された取付補助板を備え、該取付補助板によって前記取付板の他面に前記一次側循環ポンプおよび/または二次側循環ポンプが片持ち固定されるものとした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水抜き性を確保しながら循環ポンプの占有する奥行き方向のスペースをコンパクト化し、貯湯式給湯機を小型化することができると共に、吸入口への配管接続や水抜き栓の操作などを正面からから無理なく取り扱うことができ、組み立て性、メンテナンス性を向上することができた。
【0015】
また、取付板も簡易な構成として、占有スペースの減少とコストダウンに貢献することができると共に、貯湯タンク正面側方の前パネルとの間隔が広い空間に循環ポンプを配置することができ、貯湯式給湯機の一層の小型化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の概略構成図
図2】同一実施形態の要部のみを示した斜視図
図3】同一実施形態の循環ポンプと取付板の斜視図
図4】同一実施形態の循環ポンプの取付姿勢を説明するための要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態の貯湯式給湯機を図面に基づいて説明する。
この貯湯式給湯機は、タンクユニット1と加熱器としてのヒートポンプユニット2とで構成され、図1において、3は湯水を貯える貯湯タンク、4は貯湯タンク3底部に給水する給水管、5は貯湯タンク3上部から給湯する給湯管、6は貯湯タンク3底部とヒートポンプユニット2の入口を接続する加熱往き管、7はヒートポンプユニット2の出口を貯湯タンク3上部を接続する加熱戻り管、8は貯湯タンク3内の湯水を熱源として外部の非加熱水である暖房循環水を加熱するための熱交換器、9は貯湯タンク3上部と熱交換器8一次側の入口を接続する一次側往き管、10は熱交換器8一次側の出口と貯湯タンク3中間部を接続する一次側戻り管、11は貯湯タンク3内の湯水を熱交換器8の一次側に導いて循環させる非自給式の一次側循環ポンプ、12は暖房端末機(図示せず)の出口と熱交換器8二次側の入口を接続する二次側戻り管、13は熱交換器8二次側の出口と暖房端末機の入口を接続する二次側往き管、14は暖房循環水を熱交換器8の二次側に導いて循環させる非自給式の二次側循環ポンプである。
【0018】
図2は要部以外の部品を取り除いて要部が視認しやすくした斜視図で、15はタンクユニット1の前面を開放して天面、背面、両側面、底面を覆う外装体、16はタンクユニット1内の配管(給水管4、給湯管5、加熱往き管6、加熱戻り管7、二次側戻り管12、二次側往き管13)とこれらに対応した外部配管とを接続する接続口が集中して設けられ、かつ外装体15の最低面から少し高い位置に前面側に突出するように設けられる配管接続板、17は外装体15の開放された前面を着脱容易に覆う前パネル、18はタンクユニット1を支える支持脚、19は一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14を固定する取付板、20は一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14内の水抜きをするための水抜き栓である。
【0019】
一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14は、図3に示すように、ポンプ室に直接的に水抜き栓が設けられていない非自給式のポンプから構成され、吸入口11a、14aを正面側のポンプ室中心に有し、正面に直交する平面でポンプ室の接線方向に吐出口11b、14bを有していると共に、吐出口11b、14bの先に水抜き栓20が別途設けられているものである。
【0020】
取付板19は、図3に示すように、平板を折り目が略垂直になるように所定の鈍角(30度〜60度、好ましくは40度〜50度)に折り曲げた構造とし、折り曲げた平板の一面19aに外装体15の内側面にねじ止め固定するための固定部19cと、他面19bに一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14を固定するためのねじ穴(図示せず)とを有し、固定部19cは外装体15と取付板19の一面19aとが全面接触しないように取付面側に膨出した構成としているもので、他面19bが貯湯タンク1寄りになるように一面19aが外装体15の左側面の内側の手前側に固定されている。
【0021】
また、取付板19の一面19aおよび他面19bの下端には内側方向に折り曲げられた載置部19dが設けられ、この載置部19dが配管接続板16に載置固定されて、強固に一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14を支えるようにしているもので、さらには、一面19aの下端には、配管接続板16よりも下方に延出した舌部19eが設けられ、配管接続板16に開口された位置決め穴(図示せず)に挿入されて組み立て時の取付板19の位置決めを容易としているものある。
【0022】
一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14は、その外殻外周部付近に複数の固定用の穴部が設けられており、吐出口11b、14bが水平からやや下向きになる姿勢で取付板19の他面19bに吸入口11a、14aの方向が他面19bと平行となるように吸入口11a、14aに直交しかつ略垂直方向に延出された取付補助板21とブッシュゴム22を介して片持ち固定で取り付けられている。
【0023】
ここで、ブッシュゴム22によってポンプ振動を取付板19を介して外装体15へ伝達するのを抑制していると共に、取付板19の一面19aの膨出した固定部19cによって取付板19の一面19aと外装体15との接触面積を少なくして、取付板19の一面19aと外装体15との接触びびり音の発生を抑制している。
【0024】
このようにして、一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14が前パネル17と貯湯タンク3の間の空間に取付板19を介して取り付けられることで、図4に示すように、一次側循環ポンプ11および二次側循環ポンプ14が前パネル17と所定の鈍角を成し、かつ吐出口11b、14bが水平からやや下向きになる姿勢で容易に取り付けることができ、水抜き性を確保しながら循環ポンプ11、14の占有する奥行き方向のスペースをコンパクト化でき、貯湯式給湯機を小型化することができると共に、吸入口11aへの配管接続や水抜き栓20の操作などを正面からから無理なく取り扱うことができ、組み立て性、メンテナンス性を向上することができた。
【0025】
なお、本発明は上記の一実施形態に限られるものではなく、例えば、加熱器としてはヒートポンプユニット2に限定されず、貯湯タンク3内に設けられた電熱ヒータでもよく、また、熱交換器8は暖房用の熱交換器としているが、これに限られず、浴槽水加熱用の熱交換器や、給湯用の熱交換器としてもよいものである。
【0026】
また、一次側循環ポンプ11と二次側循環ポンプ14との両方を備えた構成に限られず、少なくとも一次側循環ポンプ11を一つ備えた構成であればよいものであり、取付板19はタンクユニット1の左側に設けた構成で説明したが、左右反転した構成として右側に設けた構成としてもよいものである。
【符号の説明】
【0027】
2 ヒートポンプユニット(加熱器)
3 貯湯タンク
8 熱交換器
11 一次側循環ポンプ
11a 吸入口
11b 吐出口
12 二次側戻り管
13 二次側往き管
14 二次側循環ポンプ
14a 吸入口
14b 吐出口
15 外装体
17 前パネル
19 取付板
19a 一面
19b 他面
20 水抜き栓
21 取付補助板
図1
図2
図3
図4