(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るファイル移動処理装置を含むファイル管理システムの構成図である。
【0013】
ファイル管理システムは、ファイル移動処理装置1、第1のファイル記憶装置2(以下、ファイル記憶装置2)および第2のファイル記憶装置3(以下、ファイル記憶装置3)を含むネットワークシステムである。各ファイル記憶装置2、3は、ファイルの記憶および読み出しが可能な装置である。
【0014】
ファイル移動処理装置1は、ファイル記憶装置2に記憶されたファイルが更新されたら、ファイルをファイル記憶装置3に移動させ、ファイルの更新の時期になったら、または、ファイルへのアクセスの要求があったなら、ファイルをファイル記憶装置2に移動させるようになっている。
【0015】
図1は、移動中のファイルがファイル移動処理装置1を経由する場合の図だが、ファイルはファイル移動処理装置1を経由せず、ファイル記憶装置2、3間で移動する構成としてもよい。
【0016】
図2は、例えば、ファイル記憶装置2で管理される更新日時ならびに更新日時から計算される更新周期を説明するための図である。
【0017】
例えば、ファイル記憶装置2は、各ファイルにつき、更新の直後において、その更新日時を記憶するようになっている。なお、図では、簡略化のため、更新日のみを示している。また、更新日時は、ファイル移動処理装置1が記憶しておいてもよい。
【0018】
また、
図2に示すように、本実施の形態では、前後する更新日時の間の時間の長さ(「更新周期」という)が計算される。
【0019】
図3は、ファイル移動処理装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
ファイル移動処理装置1は、ファイルの更新周期を示す時間値(以下、時間値Tという)を求める時間値計算部11と、ファイルが更新されたら、ファイルをファイル記憶装置2からファイル記憶装置3に移動させ、ファイルをファイル記憶装置3に移動させたときから、時間値Tに相当するの時間が経過したら、ファイルをファイル記憶装置2に移動させるファイル移動処理部12と、ファイル毎の更新周期を記憶する更新周期データベース13とを備える。更新周期データベース13は、
図2に示すような更新周期をファイル毎に記憶するものである。
【0021】
図4は、第1の実施の形態のファイル移動処理装置1が定常的に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0022】
ファイル移動処理部12は、ファイルがファイル記憶装置2に記憶されている場合には、ファイル記憶装置2に対し、ファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S1)。
【0023】
ファイル移動処理部12は、ファイルが更新されていないなら(S1:NO)、例えば、所定時間の経過後、再びファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S1)。
【0024】
一方、ファイル移動処理部12は、ファイルが更新されたなら(S1:YES)、ファイルの内容を取得し、内容にベイスフィルタ等の技術を適用し、ファイルが定期的に更新される傾向のファイルであるか否かを判定する(S3)。
【0025】
ファイル移動処理部12は、ファイルが定期的に更新される傾向のファイルであるなら(S3:YES)、ファイル記憶装置2から、最新の更新日時を取得する(S5)。
【0026】
次に、ファイル移動処理部12は、更新周期データベース13に更新周期が記憶されているか否か、つまり、ファイルが以前にも更新されているか否かを判定する(S7)。
【0027】
ファイル移動処理部12は、ファイルが以前にも更新されていないなら(S7:NO)、ステップS1に戻り、再びファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S1)。
【0028】
一方、ファイルが以前にも更新されているなら(S7:YES)、時間値計算部11が、更新周期データベース13の更新周期に基づいて、更新周期を示す時間値Tを求める(S9)。
【0029】
ここで、時間値Tの計算方法の例を説明する。
【0030】
時間値計算部11は、例えば、2回の更新があった場合、1回目の更新日時と2回目の更新日時との間の更新周期を時間値Tとする。
【0031】
または、時間値計算部11は、3回以上の更新があった場合、予め定められた回(例えば、最新の回)の更新日時とその直前の更新日時との間の更新周期を時間値Tとする。
【0032】
または、時間値計算部11は、例えば、n+1回(nは2以上)の更新があった場合、式(1)により、時間値Tを計算する。
【数1】
【0033】
ただし、A_iは、i回目の更新日時とi+1回目の更新日時との間の更新周期(以下、i回目の更新周期という)である。
【0034】
つまり、時間値計算部11は、更新周期の平均を時間値Tとする。
【0035】
または、時間値計算部11は、例えば、n+1回(nは2以上)の更新があった場合、式(2)により、時間値Tを計算する。
【数2】
【0036】
ただし、A_iは、i回目の更新周期である。
【0037】
または、時間値計算部11は、全ての更新周期を計算し、例えば、更新周期の長さの種類がm種類(mは2以上)があった場合、式(3)により、時間値Tを計算する。
【数3】
【0038】
ただし、A_jは、j種類目の更新周期
N_jは、j種類目の更新周期が得られた回数である。
【0039】
ファイル移動処理部12は、ファイルが定期的に更新される傾向のファイルでないなら(S3:NO)、または、時間値Tが計算されたなら(S9)、予め定められたポリシーに合致する状況であるかを判定する(S10)。
【0040】
例えば、(1)「すぐにファイルを移動する」というポリシーが定められているなら、または、(2)あるパラメータ(既存のアクセス日時)を起因にして条件が充足されれば、または、(3)時間値Tより所定の日数前なら、または、(4)ポリシーが無ければ、ステップS10でYESと判定され、ファイル移動処理部12は、ファイルをファイル記憶装置3に移動させる(S11)。ファイル移動処理部12は、例えば、ファイル記憶装置2からファイルを取得し、これをファイル記憶装置3に送信する(S11)。または、ファイル移動処理部12は、ファイル記憶装置2に指示して、ファイルをファイル記憶装置3に送信させる(S11)。
【0041】
一方、ステップS10でNOと判定されたなら、ステップS1に戻り、ファイル移動処理部12は、再びファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S1)。
【0042】
つまり、ステップS10を行うことにより、ファイルを更新後に画一的にファイル記憶装置3に移動させるのでなく、様々な条件の組み合わせにより、ファイルによっては、ファイル記憶装置2に留めることも可能となる。すなわち、情報ライフサイクル管理(Information Lifecycle management)の考え方では、ファイルをファイル記憶装置3に移動させることが当然と考えがちだが、様々な条件の組み合わせが考えられ、場合によっては、ファイルによっては、ファイル記憶装置2に留めることも可能となる。
【0043】
ファイル移動処理部12は、ファイルを移動させたなら(S11)、ファイルをファイル記憶装置3に移動させたときから、時間値Tに相当する時間が経過したか否かを判定する(S13)。
【0044】
ファイル移動処理部12は、時間値Tに相当する時間が経過していないなら(S13:NO)、ファイル記憶装置2に対し、ファイルへのアクセスの要求があるか否かを問い合わせる(S15)。
【0045】
ファイル移動処理部12は、ファイルへのアクセスの要求がないなら(S15:NO)、ステップS13に戻り、再び時間値Tに相当する時間が経過したか否かを判定する(S13)。
【0046】
ファイル移動処理部12は、時間値Tに相当する時間が経過したなら(S13:YES)、または、ファイルへのアクセスの要求があるなら(S15:YES)、ファイルをファイル記憶装置2に移動させる(S17)。ファイル移動処理部12は、例えば、ファイル記憶装置3からファイルを取得し、これをファイル記憶装置2に送信する(S17)。または、ファイル移動処理部12は、ファイル記憶装置3に指示して、ファイルをファイル記憶装置2に送信させる(S17)。ファイル記憶装置2に移動したファイルは、例えば、要求どおりアクセスされる。その際、ファイルは、例えば更新される。
【0047】
その後、ステップS1に戻り、ファイル移動処理部12は、再びファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S1)。
【0048】
したがって、第1の実施の形態によれば、ファイル記憶装置3にあるファイルを、時間値Tに相当する時間が経過したなら、ファイル記憶装置2に移動させることで、ファイルへのアクセスや更新を即座に行うことができる。つまり、ファイルへのアクセスの要求があってから、ファイルをファイル記憶装置2に移動させる事態が生じる可能性を低減することでき、これにより、ファイルへのアクセスや更新を迅速に行うことができる。
【0049】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態に同一または類似の装置および装置構成を用い、同一または類似のものについては第1の実施の形態で使用した符号を使用して重複説明を略し、第1の実施の形態とは異なる事項を中心に説明を行う。
【0050】
図5は、第2の実施の形態のファイル移動処理装置1が定常的に行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
ファイル移動処理部12は、ファイルがファイル記憶装置2に記憶されている場合には、ファイル記憶装置2に対し、ファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S101)。
【0052】
ファイル移動処理部12は、ファイルが更新されたなら(S101:YES)、ファイルの内容を取得し、内容にベイスフィルタ等の技術を適用し、ファイルが定期的に更新される傾向のファイルであるか否かを判定する(S103)。
【0053】
ファイル移動処理部12は、ファイルが定期的に更新される傾向のファイルであるなら(S103:YES)、ファイル記憶装置2から、最新の更新日時を取得する(S105)。
【0054】
次に、ファイル移動処理部12は、更新周期データベース13に更新周期が記憶されているか否か、つまり、ファイルが以前にも更新されているか否かを判定する(S7)。
【0055】
ファイルが以前にも更新されているなら(S107:YES)、時間値計算部11が、ファイルの更新周期を示す時間値を計算する(S109)。
【0056】
ここでは、時間値計算部11は、ファイルが第1の更新周期または第1の更新周期より長い第2の更新周期で更新される場合における当該第1の更新周期に対応する第1の時間値および第2の更新周期に対応する第2の時間値を求める(S109)。
【0057】
時間値計算部11は、例えば、
図6に示すように、全ての更新周期が古いものから順に1日、1日、7日、1日、8日、…のように並ぶ場合、更新周期「1日」について第1の時間値を計算し、更新周期「7日」や「8日」について第2の時間値を計算する。
【0058】
ここで、第1、第2の時間値の計算方法の例を説明する。
【0059】
時間値計算部11は、例えば、全ての更新周期の最小値を第1の時間値とし、最大値を第2の時間値とする。
【0060】
または、時間値計算部11は、更新周期の標準偏差σと、上記式(1)による時間値Tとを計算し、T−3σを第1の時間値とし、T+3σを第2の時間値とする。
【0061】
または、時間値計算部11は、全ての更新周期を以下の条件で短い更新周期と長い更新周期にグループ分けする。
【0062】
条件:短い更新周期の標準偏差をσとした場合、長い更新周期は3σより長い。
【0063】
そして、時間値計算部11は、短い更新周期のグループから、上記時間値Tを計算したように、第1の時間値を計算し、長い更新周期のグループから、上記時間値Tを計算したように、第2の時間値を計算する。
【0064】
ファイル移動処理部12は、ファイルが更新されていないなら(S101:NO)、または、第1、第2の時間値が計算されたなら(S109)、ステップS111に進み、ファイルをファイル記憶装置2に移動させたときから、第1の時間値に相当する時間が経過したか否かを判定する(S111)。
【0065】
ファイル移動処理部12は、第1の時間値に相当する時間が経過していないなら(S111:NO)、ステップS101に戻り、再びファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S101)。
【0066】
ファイル移動処理部12は、ファイルが定期的に更新される傾向のファイルでないなら(S103:NO)、または、ファイルが以前にも更新されてないなら(S107:NO)、または、第1の時間値に相当する時間が経過しているなら(S111:YES)、ファイルをファイル記憶装置3に移動させる(S113)。ファイル移動処理部12は、例えば、ファイル記憶装置2からファイルを取得し、これをファイル記憶装置3に送信する(S113)。または、ファイル移動処理部12は、ファイル記憶装置2に指示して、ファイルをファイル記憶装置3に送信させる(S113)。
【0067】
次に、ファイル移動処理部12は、ファイルをファイル記憶装置3に移動させたときから、第2の時間値に相当する時間が経過したか否かを判定する(S115)。
【0068】
ファイル移動処理部12は、第2の時間値に相当する時間が経過していないなら(S115:NO)、ファイル記憶装置2に対し、ファイルへのアクセスの要求があるか否かを問い合わせる(S117)。ファイル移動処理部12は、ファイルへのアクセスの要求がないなら(S117:NO)、ステップS115に戻り、再び第2の時間値に相当する時間が経過したか否かを判定する(S115)。
【0069】
ファイル移動処理部12は、第2の時間値に相当する時間が経過したなら(S115:YES)、または、ファイルへのアクセスの要求があるなら(S117:YES)、ファイルをファイル記憶装置2に移動させる(S119)。ファイル移動処理部12は、例えば、ファイル記憶装置3からファイルを取得し、これをファイル記憶装置2に送信する(S119)。または、ファイル移動処理部12は、ファイル記憶装置3に指示して、ファイルをファイル記憶装置2に送信させる(S119)。ファイル記憶装置2に移動したファイルは、例えば、要求どおりアクセスされる。その際、ファイルは、例えば更新される。
【0070】
その後、ステップS101に戻り、ファイル移動処理部12は、再びファイルが更新されたか否かを問い合わせる(S101)。
【0071】
したがって、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、ファイル記憶装置3にあるファイルを、第2の時間値に相当する時間が経過したなら、ファイル記憶装置2に移動させることで、ファイルへのアクセスや更新を即座に行うことができる。つまり、第2の時間値は、時間値Tと同様の目的で使用される。
【0072】
また、第2の実施の形態によれば、ファイル記憶装置2にあるファイルを、更新後、直ぐにファイル記憶装置3に移動させるのでなく、第1の時間値に相当する時間が経過するまでは、ファイル記憶装置2に留めておくことで、ファイルへのアクセスや更新を即座に行うことができる。つまり、ファイルへのアクセスの要求があったときにはファイルは既にファイル記憶装置3に移され、そのため、ファイルをファイル記憶装置2に戻さなければならないという事態が生じる可能性を低減することでき、これにより、ファイルへのアクセスや更新を迅速に行うことができる。