(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
設置面に固定されるベースと、前記ベースに押し当てた状態で回動されることにより前記ベースに嵌合される警報器本体とを備え、前記警報器本体に収納される電池に配線接続された電池側コネクタを、前記警報器本体に設けた本体側コネクタに差し込んで接続することにより、内部回路に電源供給が行われる警報器において、
前記ベースは、前記本体側コネクタへの差し込みが不十分な状態の前記電池側コネクタを、前記警報器本体が回動されることにより接続適正位置まで押圧して前記本体側コネクタに接続させる押圧部を有し、
前記押圧部において前記電池側コネクタを押圧する押圧面は、前記回動方向に向かうに連れて前記本体側コネクタとの距離が短くなる湾曲面又は傾斜面で構成されることを特徴とする警報器。
設置面に固定されるベースと、前記ベースに押し当てた状態で回動されることにより前記ベースに嵌合される警報器本体とを備え、前記警報器本体に収納される電池に配線接続された電池側コネクタを、前記警報器本体に設けた本体側コネクタに差し込んで接続することにより、内部回路に電源供給が行われる警報器において、
前記ベースは、前記本体側コネクタへの差し込みが不十分な状態の前記電池側コネクタを、前記警報器本体が回動されることにより接続適正位置まで押圧して前記本体側コネクタに接続させる押圧部を有し、
前記警報器本体における前記電池の収納位置を、前記本体側コネクタから見て前記回動方向と反対側としたことを特徴とする警報器。
設置面に固定されるベースと、前記ベースに押し当てた状態で回動されることにより前記ベースに嵌合される警報器本体とを備え、前記警報器本体に収納される電池に配線接続された電池側コネクタを、前記警報器本体に設けた本体側コネクタに差し込んで接続することにより、内部回路に電源供給が行われる警報器において、
前記ベースは、前記本体側コネクタへの差し込みが不十分な状態の前記電池側コネクタを、前記警報器本体が回動されることにより接続適正位置まで押圧して前記本体側コネクタに接続させる押圧部を有し、
前記警報器本体に設けた電池収納部に前記電池を収納し、且つ前記電池側コネクタを前記本体側コネクタに差し込んだ状態において、前記電池と前記電池側コネクタとを繋ぐリードが撓まないように、前記電池収納部と前記本体側コネクタとの距離が調整されていることを特徴とする警報器。
設置面に固定されるベースと、前記ベースに押し当てた状態で回動されることにより前記ベースに嵌合される警報器本体とを備え、前記警報器本体に収納される電池に配線接続された電池側コネクタを、前記警報器本体に設けた本体側コネクタに差し込んで接続することにより、内部回路に電源供給が行われる警報器において、
前記ベースは、前記本体側コネクタへの差し込みが不十分な状態の前記電池側コネクタ、前記警報器本体が回動されることにより接続適正位置まで押圧して前記本体側コネクタに接続させる押圧部を有し、
前記電池側コネクタを前記本体側コネクタに差し込んだ状態において、前記電池側コネクタの前記押圧部との対向面が、前記回動方向に向かうに連れて前記ベースとは反対側に傾斜するように構成されていることを特徴とする警報器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態に係る火災警報器の分解斜視図である。なお、
図1及び後述の各図において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。更に、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0010】
警報器の一例としての火災警報器1は、ベース10とベース10に着脱自在に取り付けられる警報器本体20とを備える。ベース10は、火災警報器1を取り付ける天井や壁等の設置面に、ねじ等の取り付け部材で取り付けられる。ベース10は、有底の高さが低い円筒であり、円板状の底板11と円筒状の側板12とを有する。底板11において警報器本体20と対向する対向面11aには、側板12と同心円状のリブ13が、側板12の内側で略一周に亘って突出するように設けられている。リブ13において、ベース10の中心を挟んで対向する2箇所には、外方に向けて突出する被嵌合部14、15が設けられている。底板11には更に、ねじを通す穴16が開けられている。
【0011】
警報器本体20は、円板状の中板21とリブ22と側板23とを有している。リブ22は、警報器本体20をベース10に取り付けた状態で、ベース10側のリブ13の外周に位置するように中板21の外周部に立設して設けられている。また、リブ22にはベース10の被嵌合部14、15に嵌合される2つの逆L字状の嵌合部24、25が内方に向けて突出して設けられている。この嵌合部24、25も警報器本体20の中心を挟んで対向する位置に設けられている。そして、ベース10に警報器本体20を取り付ける際には、警報器本体20をベース10に重ね、その状態で警報器本体20を
図1の矢印方向に回動させ、嵌合部24、25を被嵌合部14、15に嵌合させる。
【0012】
図2は、
図1の火災警報器1の警報器本体20とベース10との嵌合部分を
図1の矢印A方向から見た拡大図である。
警報器本体20をベース10に対して相対的に一定方向に回動させる、例えば、警報器本体20をベース10に対して正面視で右回りに回動させることにより、警報器本体20の嵌合部24、25の回動方向の先端がベース10の被嵌合部14、15に当たって止まり、警報器本体20がベース10に嵌合される。また、本実施の形態の火災警報器1は、以下に説明するように、警報器本体20を、回動方向にある2つの嵌合位置でベース10に嵌合可能となっている。
【0013】
すなわち、被嵌合部14と嵌合部24とが嵌合すると共に被嵌合部15と嵌合部25とが嵌合する嵌合位置Xと、その嵌合位置Xから火災警報器1の中心を中心として180°ずれて、被嵌合部14と嵌合部25とが嵌合すると共に被嵌合部15と嵌合部24とが嵌合する嵌合位置Yとの2つの嵌合位置で嵌合可能である。このように2つの嵌合位置で嵌合可能な構造としたことで、設置者は最大でも180°の回動動作により、警報器本体20をベース10に取り付けることができ、火災警報器1の取り付け性を容易としている。なお、ここでは嵌合位置を2つとしたが、例えば、120°間隔で被嵌合部及び嵌合部を設けて嵌合位置を3つとする等、更に複数としてもよい。
【0014】
また、警報器本体20の中板21には、電池30が収納される電池収納部26と、電池30を電池収納部26に取り付けたときに電池30が収納位置から外れないように電池30を保持する保持部材27と、本体側コネクタ28とが設けられている。警報器本体20内には基板40(後述の
図4参照)が設けられており、基板40には、電池30から電源が供給されて火災時に警報を発したり、電池切れの際に電池切れ警報を発したりする内部回路(図示せず)や、本体側コネクタ28等が実装されている。そして、
図3(a)に示すように、電池30に繋がれたリード31に設けられた電池側コネクタ32が、本体側コネクタ28に接続適正位置まで差し込まれることで、電池30からの電源が内部回路に供給され、火災警報器1が稼動して監視状態に入る。
図3(b)は、電池側コネクタ32が本体側コネクタ28の接続適正位置まで差し込まれた状態を示している。
【0015】
ここで、電池側コネクタ32の本体側コネクタ28への差し込みが不十分であると、無通電状態になる場合や、コネクタ部分での接触抵抗が上昇し、電池切れではないのにも関わらず、電池切れ警報を発する場合がある。そこで、本実施の形態では、電池側コネクタ32の本体側コネクタ28への差し込みが不十分な状態であっても、警報器本体20をベース10に取り付ける際の回動動作により、差し込みが十分な状態に正すことが可能な構造としている。
【0016】
以下、この構造について詳細に説明する。まず、ベース10の警報器本体20との対向面11aに、警報器本体20が回動されることにより電池側コネクタ32を押圧可能な押圧部17が突出形成されている。押圧部17は、平面的に見て本体側コネクタ28の回動軌跡と少なくとも一部が重なるように設けられている。
【0017】
また、押圧部17において電池側コネクタ32を押圧する押圧面17aは、回動方向に向かうに連れて本体側コネクタ28との距離が短くなる傾斜面となっている。言い換えると、押圧面17aは、回動方向に向かうに連れて高くなっていくリブ部材である。そして、押圧部17の最大の高さは、ベース10と警報器本体20とを嵌合した場合における底板11と電池側コネクタ32との間の長さよりも長く形成される(
図4(c)参照)。これにより、電池側コネクタ32を本体側コネクタ28に適正位置まで差し込むことができ、電池側コネクタ32と本体側コネクタ28とを確実に接続することが可能となる。
【0018】
なお、本実施の形態では、上述したように警報器本体20をベース10に対して2つの嵌合位置で嵌合可能な構造であるため、そのどちらの嵌合位置で嵌合された場合にも電池側コネクタ32を押圧できるように、嵌合位置数と同数の2箇所に押圧部17が設けられている。
【0019】
図4は、
図1の電池側コネクタを本体側コネクタに差し込む際の動作を示す図である。なお、
図4の(b’)、(c’)は、その上の
図4(b)、(c)における電池側コネクタ32と押圧部17との位置関係を示した平面図である。
まず、(a)電池側コネクタ32を本体側コネクタ28に差し込む。そして、(b)に示すように警報器本体20をベース10に対して矢印方向に回動させる。この際、(b)に示すように電池側コネクタ32の本体側コネクタ28への差し込みが不十分な状態であると、電池側コネクタ32における押圧部17側の端辺32aの一部が、押圧部17の押圧面17a上を当接しながら摺動することによって下方に押し下げられる。そして、警報器本体20の嵌合部24、25とベース10の被嵌合部14、15との嵌合が完了した状態で、(c)に示すように、電池側コネクタ32が本体側コネクタ28における接続適正位置まで正しく差し込まれた状態となる。なお、押圧部17の押圧面17aは、
図1では、警報器本体20側に凸の湾曲面であるように見えるが、実際には、
図4に示したように直線状の傾斜面となっている。
【0020】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ベース10に対して警報器本体20を回動させて嵌合することにより、本体側コネクタ28への差し込みが不十分な状態の電池側コネクタ32を、押圧部17により接続適正位置まで押圧して本体側コネクタ28に接続させることができる。これにより、火災警報器1の設置者の手間を取らせることなく、ベース10に警報器本体20を回して嵌合する従来一般に行われている取り付け動作を行うだけで、自然と電池側コネクタ32の差し込み不足を解消することができる。
【0021】
また、押圧部17の押圧面17aを、回動方向に向かうに連れて本体側コネクタ28との距離が短くなる傾斜面としたので、電池側コネクタ32を本体側コネクタ28側に向けて押圧する動作をスムーズに行うことができる。
【0022】
また、押圧部17を嵌合位置数と同数設けたので、どの嵌合位置で嵌合されても押圧部17による電池側コネクタ32の押圧動作を機能させることができる。
【0023】
また、警報器本体20をベース10に嵌合した取り付け状態では、電池側コネクタ32が押圧部17によって押し込まれた状態で保持される。よって、例えば地震等が発生しても、電池側コネクタ32が本体側コネクタ28から抜けたり、差し込み状態が不十分な状態となったりする等の不都合を防止できる。
【0024】
なお、火災警報器1は、
図1に示した構造に限定されず、以下のような変形を加えても良い。この場合も同様の作用効果を得ることができる。
【0025】
(変形例1)
図1では、押圧部17を、ベース10から突出するようにベース10に一体形成された突出部で構成したが、
図5に示すように板バネ18としてもよい。板バネ18はベース10にねじ固定すればよい。この場合、電池側コネクタ32を押圧する力が板バネ18の弾性力によって調整されるため、必要以上に押し込みすぎることを抑制できる。
【0026】
(変形例2)
図1では、押圧部17の押圧面17aを傾斜面としたが、
図6に示すように、回動方向に向かうに連れて本体側コネクタ28との距離が短くなり、且つベース10側に湾曲する湾曲面としてもよい。このような構造とすることで、警報器本体20をベース10に対して回動させるときに、押圧部17は、回動初期では緩やかに高さが上がっていき、回動終期では急激に高さが上がる。このため、電池側コネクタ32が押圧部17の押圧面17a上を摺動する際の動作を滑らかにすることができる。
【0027】
(変形例3)
図1では、電池収納部26を、本体側コネクタ28から見て回動方向側に設けた例を示したが、回動方向と反対方向側に設けてもよい。この場合、
図7に示すように、リード31が電池側コネクタ32の回動方向(
図7の矢印方向)と反対側に位置する状態となる。つまり、警報器本体20をベース10に対して回動させる場合において、電池30又は電池収納部26と押圧部17との間に、本体側コネクタ28又は電池側コネクタ32が位置する。このため、警報器本体20を回動させて電池側コネクタ32が押圧部17の押圧面17aを摺動する際にリード31が邪魔になることがない。
【0028】
(変形例4)
電池30を電池収納部26に収納し、電池側コネクタ32を本体側コネクタ28に差し込んだ状態においてリード31が撓まない程度に、
図8に示すように、電池収納部26と本体側コネクタ28との距離を離した構成としてもよい。言い換えると、リード31の長さが、電池収納部26と本体側コネクタ28の最短距離と略等しくなっている。この場合も、警報器本体20を回動させて電池側コネクタ32が押圧部17の押圧面17aを摺動する際にリード31が邪魔になることがない。
【0029】
(変形例5)
電池側コネクタ32は、2本のリード31が隣り合う方向に沿った長手方向と長手方向に直交する短手方向とを有し、
図1では、本体側コネクタ28に差し込まれた状態の電池側コネクタ32が、その長手方向が回動方向に対向するように構成されている。しかし、この配置に限らず、
図9に示すように、電池側コネクタ32の短手方向が回動方向に対向するように構成してもよい。
図10(a)、(b)は、この場合の差し込み前後の状態を示している。
【0030】
(変形例6)
電池側コネクタ32を本体側コネクタ28に差し込んだ状態において、電池側コネクタ32の押圧部17との対向面が、回動方向に向かうに連れてベース10とは反対側に傾斜するように構成してもよい。言い換えれば、電池側コネクタ32の押圧部17との対向面が、回動方向に向かうに連れてベース10とは距離が離れていく傾斜となるような構成にしてもよい。具体的には、基板40を警報器本体20内で傾けて配置し、本体側コネクタ28を傾けた構成とすることで実現できる。なお、この傾きは、押圧部17の押圧面17aの傾斜に沿う傾きとすることが好ましい。このような構造とすることで、本体側コネクタ28に差し込まれた電池側コネクタ32全体が傾いた状態となり、押圧面17aとの接触部分が面接触となって、より摺動動作を滑らかにすることが期待できる。
【0031】
なお、上記では、別々の変形例として説明したが、これらを全部又は一部を組み合わせた構成としてもよい。
【0032】
また、本実施の形態及び変形例では、警報器として、火災警報器1を例に挙げて説明したが、ガス漏れ警報器等、その他の警報器でもよい。