(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
刈り取られた穀稈の株元部を挟持して穀稈を横搬送する横搬送部と、横搬送部により横搬送される穀稈の穂先部を脱穀処理する脱穀部と、脱穀部で脱穀処理された穀粒を選別処理する選別部と、横搬送部から脱穀処理後の排藁を受け継いで排藁処理する排藁処理部とを備えるコンバインにおいて、
横搬送部には搬入される穀稈を検出する穀稈検出部を設けて、穀稈検出部における穀稈検出量に、選別部に設けたセカンドファンの風量を比例させて制御するとともに、選別部に設けたチャフシーブのチャフ角度を逆比例させて制御し、
排藁処理部には搬入される排藁を検出する排藁検出部を設けて、排藁検出部における排藁検出量に、選別部に設けた唐箕の風量を比例させて制御するとともに、チャフシーブのチャフ角度を比例させて制御するようにして、
穀稈検出量に逆比例するとともに排藁検出量に比例するチャフ角度の制御は、チャフ角度を減少させる制御よりも増大させる制御を優先させることを特徴とするコンバイン。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本実施形態の構成を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[コンバイン全体の説明]
図1に示す10は本発明に係るコンバインであり、コンバイン10は、左右一対のクローラ式の走行部11上に機体12を載設し、機体12の前端部に刈取部13を取り付けている。そして、コンバイン10は、機体12上の左側前部に脱穀部14を配設し、脱穀部14の左側方に横搬送部15を配設している。脱穀部14の直下方位置には選別部16を配設する一方、選別部16の後方上部であって、脱穀部14の直後方位置には排藁処理部17を配設している。また、コンバイン10は、機体12上の右側前部に原動機部18を配設し、原動機部18の前上方位置にキャビン内に収容された運転部19を配設し、運転部19の直後方位置に穀粒貯留部(グレンタンク)20を配設している。
【0017】
刈取部13には、圃場に植生している穀稈を刈り取る刈刃21を設け、刈刃21により刈り取った穀稈を横搬送部15に受け渡す穀稈搬送機構22を設けている。脱穀部14には、前後方向の軸線廻りに回転する扱胴23を設け、扱胴23の直下方位置に網体24を張設している。選別部16には、網体24を漏下した穀粒を揺動選別する揺動選別体25を前後揺動自在に配置している。揺動選別体25内にはチャフシーブ26等を設けている。揺動選別体25の下方には一番処理物である一番穀粒(精穀粒)を回収するための一番螺旋コンベアを軸装した一番樋27と、一番樋27により選別回収されなかった二番処理物である二番穀粒(選別不充分なワラ屑等に混じった穀粒)を回収するための二番螺旋コンベアを軸装した二番樋28を配設している。
【0018】
揺動選別体25の前下方で、かつ、一番樋27の前方位置には唐箕(ファーストファン)31を配設して、唐箕31から主選別風をチャフシーブ26に向けて(前下方から後上方へ向けて)圧送可能としている。また、一番樋27と二番樋28の間にはセカンドファン32を配設して、セカンドファン32から副選別風をチャフシーブ26の後部に向けて圧送可能とすることで、セカンドファン32により二番穀粒と藁屑等の選別効果を高めるようにしている。29は一番樋27と穀粒貯留部20とに間に介設して一番穀粒を回収する回収筒(揚穀等)、30は二番樋28と揺動選別体25の前部直上方位置との間に介設して二番穀粒を再度選別処理に戻す還元筒である。
【0019】
原動機部18は、刈取部13、脱穀部14、横搬送部15、選別部16、排藁処理部17等の各作業部の各駆動部に動力を伝達して、各駆動部を駆動するようにしている。
【0020】
このように構成したコンバイン10では、圃場に植生している穀稈を刈取部13の刈刃21により刈り取る。刈刃21により刈り取られた穀稈は穀稈搬送機構22を介して横搬送部15に受け継がれる。横搬送部15では穀稈の株元部が挟持されるとともに、穀稈の穂先部が脱穀部14内で後方へ横搬送されて、脱穀部14の扱胴23により穂先部が脱穀処理される。穂先部が脱穀された穀稈(排藁)は排藁処理部17に受け継がれて、排藁処理部17により細断処理等されて機外に排出される。
【0021】
また、揺動選別体25のチャフシーブ26等により選別された一番穀粒は、一番樋27から回収筒29を介して穀粒貯留部20に回収される。そして、二番穀粒は、二番樋28から還元筒30を介して揺動選別体25内に戻されて再度選別処理される。この際、揺動選別体25は穀粒を揺動選別する。そして、チャフシーブ26には唐箕31から主選別風が全面的に圧送されるとともに、チャフシーブ26の後部にはセカンドファン32から副選別風が圧送されて、穀粒は揺動選別と同時に風選別される。
【0022】
次に、横搬送部15と排藁処理部17と選別部16のチャフシーブ26の構造をより具体的に説明する。
【0023】
[横搬送部の説明]
横搬送部15は、
図2及び
図3に示すように、脱穀部14の左側方において、移送体としてのフィードチェン40と、穀桿押さえ機能を有する挟扼体50とを上下方向に対向配置して構成している。フィードチェン40は、始端側と終端側とを前後方向に間隔を開けて配置して前側から後側へ直状に移送回動する上側移送側部41を有している。挟扼体50は、前後方向に直状に伸延させて形成するとともに、上側移送側部41に対して接近・離隔自在に対向配置している。
【0024】
すなわち、挟扼体50は、機体12の左側壁形成部12a(
図1参照)の下側縁部に前後方向に伸延する支持体51を取り付け、支持体51に多数本(本実施形態では7本)の上下摺動ロッド52を介して挟扼杆53を支持させて構成している。挟扼杆53は、前後方向に伸延する多数の挟扼杆形成片54を左右方向に軸線を向けた連結ピン55を介して前後方向に直列的に連結して形成している。前後に隣接する挟扼杆形成片54,54同士を連結する多数の連結ピン55には、それぞれ上下摺動ロッド52の下端部を連結している。各上下摺動ロッド52の上端部は支持体51に前後方向に間隔をあけて多数個(本実施形態では7個)取り付けた筒片56中に上下摺動自在に挿通している。各筒片56と下方に対向する各連結ピン55との間には上下摺動ロッド52の外周に巻回した押圧スプリング57を配置して、各押圧スプリング57により各挟扼杆形成片54を下方へ弾性付勢している。
【0025】
このように構成した横搬送部15では、フィードチェン40の上側移送側部41と、上側移送側部41側に弾性付勢された挟扼杆53とが協働して穀稈の株元部を挟持した状態にて、穀稈を漸次後上方の排藁処理部17まで搬送(移送)するようにしている。
【0026】
ここで、最前端部を形成する挟扼杆形成片54は、前端縁部から下端縁部にかけて前方へ円弧状に膨出させて始端部を形成している。最前端部の挟扼杆形成片54は、連結ピン55を中心に前端部側を上下回動自在に昇降させて、最前端部の挟扼杆形成片54の始端部とフィードチェン40の上側移送側部41との間に、左右方向に横臥状態の穀稈Kの株元部が無理なく取り込まれて挟持されるようにしている。
【0027】
そして、最前端部の挟扼杆形成片54の始端部から穀稈Kの株元部が取り込まれると、最前端部(一番目)の挟扼杆形成片54を介して一番目の上下摺動ロッド52が一番目の押圧スプリング57の弾性付勢力に抗して上方へ摺動移動される。続いて、穀稈Kの株元部が二番目の挟扼杆形成片54の位置まで移送されると二番目の挟扼杆形成片54を介して二番目の上下摺動ロッド52が二番目の押圧スプリング57の弾性付勢力に抗して上方へ摺動移動される。このように、穀稈Kの株元部がn番目の挟扼杆形成片54の位置まで移送されるとn番目の挟扼杆形成片54を介してn番目の上下摺動ロッド52がn番目の押圧スプリング57の弾性付勢力に抗して上方へ摺動移動される(本実施形態ではnは7以下である)。
【0028】
[排藁処理部の説明]
排藁処理部17は、
図1に示すように、横搬送部15によって後方へ搬送されてくる脱穀処理後の穀稈を排藁として受けて漸次中央寄りに移送する排藁搬送機構60と、排藁搬送機構60により移送されてくる排藁を処理する排藁処理機構70とを具備している。本実施形態では排藁処理機構70として排藁を細断する排藁カッターを設けている。
【0029】
排藁搬送機構60は、
図4に示すように、始端側を前記フィードチェン40の終端部に近接配置する一方、終端側を右側後方に配置して直状に伸延させて懸架した排藁チェン(図示せず)を内蔵する排藁チェンケース61と、排藁チェンケース61の直下方に対向させて配置して排藁を排藁チェンと協働して挟扼する挟扼ロッド体62とを具備している。63は排藁チェンケース61の直前方に並列させて配置して排藁の先端部を移送するタイン移送体である。69は排藁処理部17の天井部に排藁チェンケース61を取り付ける取付ブラケットである。
【0030】
挟扼ロッド体62は、左右方向に伸延させて、その左側端部を下方へ湾曲させて形成したロッド本体64と、ロッド本体64の左側部と右側部からそれぞれ下方へ垂下した直状の左・右側摺動支持ロッド65,66と、左・右側摺動支持ロッド65,66を上下摺動自在に支持する左・右側支持体67,68とを具備している。
【0031】
左・右側支持体67,68は、それぞれ排藁処理部17内に固定されて、左・右側摺動支持ロッド65,66を上下方向に貫通させるとともに、各左・右側摺動支持ロッド65,66の周面下部に巻回した弾性スプリング71,72の上下端部を規制している。そして、各弾性スプリング71,72により左・右側摺動支持ロッド65,66を弾性支持するとともに、左・右側摺動支持ロッド65,66を介してロッド本体64を上方へ弾性付勢している。
【0032】
このように構成して、横搬送部15によって搬送された排藁Hは、排藁チェンの始端部と下方へ湾曲させて形成したロッド本体64の左側端部との間に、弾性スプリング71,72の弾性付勢力に抗して搬入され、排藁チェンとロッド本体64とに挟持された状態で右側方へ搬送(移送)されるようにしている。この際、左・右側摺動支持ロッド65,66は、排藁チェンとロッド本体64間に搬入されて挟持される排藁Hの量に応じて下方へ摺動移動される。つまり、搬入される排藁Hの量と左・右側摺動支持ロッド65,66の下方への摺動移動量は比例している。
【0033】
[チャフシーブの説明]
チャフシーブ26は、
図5〜
図8に示すように、平面視で前後方向に伸延する四角形枠状に形成した揺動選別体25の中途部から後端部にわたって配設している。すなわち、チャフシーブ26は、揺動選別体25の左右側壁25a,25a間に、左・右側枢支片74,74を介して左右方向に伸延する四角形板状に形成した多数のチャフシーブ形成片75を前後方向に一定の間隔をあけて多数架設している。左・右側枢支片74,74はそれぞれ側面視逆U字状に形成して、左右側壁25a,25aに左右方向に軸線を向けた枢軸76,76を介して左・右側枢支片74,74の上端部をそれぞれ枢支している。そして、両左・右側枢支片74,74間にチャフシーブ形成片75を横架している。
【0034】
多数配設したチャフシーブ形成片75の内の一つ(本実施形態では後部側の一つ)は、チャフ角度を調整するために操作する操作用チャフシーブ形成片77となしている。操作用チャフシーブ形成片77は、左右方向に伸延する四角形板状に形成しており、揺動選別体25の左右側壁25a,25aに左・右支軸78,78を介して左・右支持片80,80を枢支し、左・右支持片80,80間に架設状に取り付けている。
【0035】
左・右支持片80,80は、それぞれ左右方向に伸延する円筒状の上部ボス部82,82と下部ボス部83,83を上下対向状に配置し、両上・下部ボス部82,82,83,83間に四角形板状の連設片84,84を介設して一体的に形成している。左右側の下部ボス部83,83間には左右方向に伸延する棒状の補強片88を架設して、左・右支持片80,80を補強している。
【0036】
操作用チャフシーブ形成片77の左・右支軸78,78と、チャフシーブ形成片75の枢軸76,76は、前後方向に伸延する上側連結片85,85を介して一体的に枢支・連結している。上側連結片85,85は揺動選別体25の左右側壁25a,25aに取り付けている。操作用チャフシーブ形成片77の下部ボス部83,83と、チャフシーブ形成片75の左右側下端部は、前後方向に伸延する下側連結片86,86を介して連結ピン87,87により一体的に枢支・連結している。
【0037】
このように構成して、操作用チャフシーブ形成片77を左・右支軸78,78を中心として連結ピン87,87を前後方向に揺動させて操作用チャフシーブ形成片77の傾斜姿勢を変更調節すると、チャフシーブ形成片75も下側連結片86,86を介して一体的に傾斜姿勢が変更されて、操作用チャフシーブ形成片77と同一の傾斜姿勢を採るようにしている。この際、前後方向に隣接する各チャフシーブ形成片75,77の傾斜姿勢(チャフ角度)が変更されると、各チャフシーブ形成片75,77同士の間に上下方向に連通状態に形成される開口部の開口量が調節される。ここで、開口量は、各チャフシーブ形成片75,77が略鉛直に起立姿勢にするとチャフ角度θが最大(本実施形態ではθが50度の最大開口状態)となり、略水平に横臥姿勢にするとチャフ角度θが最小(本実施形態ではθが36度の閉塞状態)となる。この開口量を適宜調節することで穀粒等の漏下量を調節することができる。例えば、湿った稲を選別処理する場合は、開口量(チャフ角度θ)が大となるように調節する。
【0038】
[唐箕の説明]
唐箕31は、
図6に示すように、左右に対向させて立設した選別部側壁121,121の前下部間に軸線を左右方向に伸延させて横架している。唐箕31の左右側方に位置する選別部側壁121,121の部分には吸気用開口部170,170を形成し、吸気用開口部170,170の中央部に前後方向に伸延する唐箕支持体171,171を架設状に取り付けている。唐箕支持体171,171の中央部間には唐箕31を左右方向に軸線を向けた唐箕軸172を介して回転自在に軸架している。
【0039】
吸気用開口部170,170の外側方には、吸気用開口部170,170の開口量を約90%閉塞可能な唐箕用開閉体173,173を配設している。すなわち、唐箕用開閉体173は、選別部側壁121の前端縁部に上下方向に伸延させて取り付けた支持体174に、上・下枢支軸177,178を介して一対の上・下部開閉片175,176の前端部を上下揺動自在に枢支している。上部開閉片175の前端部には前方へ突出する連動連結片179を設け、連動連結片179の前端部に後述する第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216の先端部を連結するとともに、連動連結片179の中途部と下部開閉片176の前部とを上下方向に伸延するリンク168を介して連結している。169は上部開閉片175と支持体174と間に介設した引っ張りスプリングであり、引っ張りスプリング169により上部開閉片175を閉塞方向に弾性付勢するとともに、上部開閉片175にリンク168を介して下部開閉片176を連動連結して、上・下部開閉片175,176を相互に開閉連動させている。
【0040】
このように構成した唐箕用開閉体173では、引っ張りスプリング169により引っ張り弾性付勢された一対の上・下部開閉片175,176が、略水平姿勢を採って唐箕支持体171の上方と下方に形成される吸気用開口部170の上部と下部をそれぞれ閉塞している。かかる閉塞状態が吸気用開口部170,170の開口量を約90%閉塞した状態(全閉状態)である。また、第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216を介して上枢支軸177を中心に連動連結片179の前端部側を引っ張りスプリング169の引っ張り弾性付勢に抗して下方へ回動させると、上枢支軸177を中心に上部開閉片175の後部側が上方へ回動されるとともに、リンク168を介して下部開閉片176の後部側が下方へ回動される。つまり、唐箕支持体171の上方と下方に形成される吸気用開口部170の上部と下部がそれぞれ開放される。かかる開放状態が吸気用開口部170,170の開口量を約90%開放した状態(全開状態)である。したがって、唐箕用開閉体173は吸気用開口部170の開口量を約90%の範囲で開閉操作することができる。そして、唐箕31による主選別風量は、吸気用開口部170の開口量を最大となして吸気量を最大となした場合が最大となり、吸気用開口部170の開口量を最小となして吸気量を最小となした場合が最小となる。例えば、全閉状態の風量は全開状態の風量の略70%に低減することができる。
【0041】
[セカンドファンの説明]
セカンドファン32は、
図6に示すように、左右に対向させて立設した選別部側壁121,121の中途下部間に軸線を左右方向に伸延させて横架している。唐箕31の左右側方に位置する選別部側壁121,121の部分にはファン吸気用開口部180,180を形成し、ファン吸気用開口部180,180の中央部に前後方向に伸延するファン支持体181,181を架設状に取り付けている。ファン支持体181,181の中央部間にはセカンドファン32を左右方向に軸線を向けたセカンドファン軸182を介して回転自在に軸架している。
【0042】
ファン吸気用開口部180,180の左右外側方には、ファン吸気用開口部180,180の開口量を約90%閉塞可能なファン用開閉体183,183を配設している。すなわち、ファン用開閉体183は、選別部側壁121の前端部に上下方向に伸延させて取り付けた支持体184に、上・下枢支軸187,188を介して一対の上・下部開閉片185,186の前端部を上下揺動自在に枢支している。上部開閉片185の前端部には前方へ突出する連動連結片189を設け、連動連結片189の中途部に後述する第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201の先端部を連結するとともに、連動連結片189の中途部と下部開閉片186の前部とを上下方向に伸延するリンク190を介して連結している。191は連動連結片189の前端部と支持体184の下部と間に介設した引っ張り補助スプリングであり、引っ張り補助スプリング191により上部開閉片185を開放方向に弾性付勢するとともに、上部開閉片185にリンク190を介して下部開閉片186を連動連結して、上・下部開閉片185,186を相互に開閉連動させている。
【0043】
このように構成したファン用開閉体183では、引っ張り補助スプリング191の引っ張り弾性付勢に抗して上部開閉片185の自重により一対の上・下部開閉片185,186が略水平姿勢を採って、ファン支持体181の上方と下方に形成される吸気用開口部180の上部と下部をそれぞれ閉塞している。かかる閉塞状態がファン吸気用開口部180,180の開口量を約90%閉塞した状態(全閉状態)である。また、第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201を介して上枢支軸187を中心に連動連結片189の中途部側を下方へ回動させると、引っ張り補助スプリング191の引っ張り弾性付勢に補助されて上枢支軸187を中心に上部開閉片185の後部側が上方へ回動されるとともに、リンク190を介して下部開閉片186の後部側が下方へ回動される。つまり、ファン支持体181の上方と下方に形成される吸気用開口部180の上部と下部がそれぞれ開放される。かかる開放状態がファン吸気用開口部180,180の開口量を約90%開放した状態(全開状態)である。したがって、ファン用開閉体183は吸気用開口部180の開口量を約90%の範囲で開閉操作することができる。そして、セカンドファン32による副選別風量は、吸気用開口部180の開口量を最大となして吸気量を最大となした場合が最大となり、吸気用開口部180の開口量を最小となして吸気量を最小となした場合が最小となる。例えば、全閉状態の風量は全開状態の風量の略70%に低減することができる。
【0044】
[本実施形態の特徴的な構成の説明]
上記のような構成において、本実施形態の特徴的な構成は、
図5に示すように、横搬送部15には搬入される穀稈を検出する穀稈検出部90を設けて、穀稈検出部90における穀稈検出量に、セカンドファン32の風量を比例させて制御するとともに、選別部16に設けたチャフシーブ26のチャフ角度θを逆比例させて制御している。また、排藁処理部17には搬入される排藁を検出する排藁検出部91を設けて、排藁検出部91における排藁検出量に、唐箕31の風量を比例させて制御するとともに、チャフシーブ26のチャフ角度θを比例させて制御するようにしている。そして、穀稈検出量に逆比例するとともに排藁検出量に比例するチャフ角度θの制御は、チャフ角度θを減少させる制御よりも増大させる制御を優先させている。
【0045】
(穀稈検出作動機構の説明)
穀稈検出部90は、
図2及び
図3に示すように、横搬送部15に穀稈検出作動機構92を設けて構成している。すなわち、穀稈検出作動機構92は、二番目の上下摺動ロッド52と三番目の上下摺動ロッド52との間に位置する支持体51の部分に上下方向に伸延するアーム支持体93を立設して、アーム支持体93の下部に前後方向に伸延する上下揺動アーム96の基端部(後端部)を左右方向に軸線を向けたアーム支軸97を介して上下回動自在に枢支している。
【0046】
上下揺動アーム96の先端部(前端部)は、二番目の上下摺動ロッド52の上端部に連結リンク98を介して連結したアーム連結片99に連結している。上下揺動アーム96の中途部には第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101の基端部と第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201の基端部を連動連結している。第1インナーワイヤ101の先端部は後述するチャフ角度調節機構95に連動連結している。102は第1インナーワイヤ101の両端部を除いてその周面を摺動自在に被覆している第1アウターワイヤであり、アーム支持体93の上部から前方へ突出させたアウター受け103に第1アウターワイヤ102の基端部を係止している。第2インナーワイヤ201の先端部は前記したセカンドファン32の連動連結片189の中途部に連動連結している。202は第2インナーワイヤ201の両端部を除いてその周面を摺動自在に被覆している第2アウターワイヤであり、アーム支持体93の上部から前方へ突出させたアウター受け103に第2アウターワイヤ202の基端部を係止している。
【0047】
このように構成して、穀稈Kの株元部が二番目の挟扼杆形成片54の位置まで移送されると、二番目の挟扼杆形成片54を介して二番目の上下摺動ロッド52が二番目の押圧スプリング57の弾性付勢力に抗して上方へ摺動移動される(穀稈Kの検出状態)。そうすると、それに比例してアーム連結片99が上方へ押し上げられて、上下揺動アーム96が上方へ回動される。そして、上下揺動アーム96が上方へ回動されると、上下揺動アーム96に連動連結した第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101がチャフ角度調節機構95側に押し出されるように摺動されて、チャフ角度調節機構95が操作用チャフシーブ形成片77と各チャフシーブ形成片75のチャフ角度θを減少させる方向に作用する。また、上下揺動アーム96に連動連結した第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201が押し出されるように摺動されて、上・下部開閉片185,186を開放させる方向に作用する。
【0048】
反対に、二番目の挟扼杆形成片54を介して二番目の上下摺動ロッド52が二番目の押圧スプリング57の弾性付勢力により下方へ復元移動される(穀稈Kの非検出状態)と、チャフ角度調節機構95が操作用チャフシーブ形成片77と各チャフシーブ形成片75のチャフ角度θを増大させる方向に作用する。また、上下揺動アーム96に連動連結した第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201が引張されるように摺動されて、上・下部開閉片185,186を閉塞させる方向に作用する。
【0049】
つまり、穀稈Kが検出された場合には(検出状態では)、穀稈Kの検出量に比例して各チャフシーブ形成片75,77のチャフ角度θが最小角度の最小開口状態と最大角度の最大開口状態との間で制御されるとともに、上・下部開閉片185,186の開閉量が全開状態と全閉状態との間で制御される。一方、穀稈Kが検出されない場合には(非検出状態では)、各チャフシーブ形成片75,77のチャフ角度θが最大角度の最大開口状態に制御されるとともに、上・下部開閉片185,186が全閉状態に制御される。
【0050】
(排藁検出部の説明)
排藁検出部91は、
図4に示すように、排藁処理部17に排藁検出作動機構94を設けて構成している。すなわち、排藁検出作動機構94は、右側支持体68の前下方位置にレバー支持体110を配設し、レバー支持体110に左右方向に軸線を向けたレバー支軸111を設け、レバー支軸111にレバー支持ボス部112を回動自在に外嵌して、レバー支持ボス部112から前上方へ伸延させて前側レバー片113を設けるとともに、レバー支持ボス部112から後上方へ伸延させて後側レバー片114を設けて構成している。
【0051】
そして、前側レバー片113の先端部に第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116の基端部を連動連結している。第1インナーワイヤ116の先端部はチャフ角度調節機構95に連動連結している。117は第1インナーワイヤ116の両端部を除いてその周面を摺動自在に被覆しているアウターワイヤであり、レバー支持体110の前端部に設けたアウター受け118に第1アウターワイヤ117の基端部を係止している。また、後側レバー片114の上面先端部は右側摺動支持ロッド66の下端に当接させる方向に弾性付勢している。119は前側レバー片113の前方への回動を規制調節するストッパー片である。
【0052】
また、前側レバー片113の中途部に第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216の基端部を連動連結している。第2インナーワイヤ216の先端部は唐箕用開閉体173の連動連結片179に連動連結している。217は第2インナーワイヤ216の両端部を除いてその周面を摺動自在に被覆しているアウターワイヤであり、レバー支持体110の前端部に設けたアウター受け118に第2アウターワイヤ217の基端部を係止している。
【0053】
このように構成して、排藁Hが排藁チェンの始端部と下方へ湾曲させて形成したロッド本体64の左側端部との間に、弾性スプリング71,72の弾性付勢力に抗して搬入されと、左・右側摺動支持ロッド65,66は、排藁チェンとロッド本体64間に搬入されて挟持される排藁Hの量に応じて下方へ摺動移動される(排藁Hの検出状態)。そうすると、右側摺動支持ロッド66の下端に当接されている後側レバー片114の上面先端部も下方へ回動されるとともに、レバー支持ボス部112を介して前側レバー片113が後方へ回動される。そして、前側レバー片113に連動連結している第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116がチャフ角度調節機構95を引張するように摺動されて、チャフ角度調節機構95が操作用チャフシーブ形成片77と各チャフシーブ形成片75のチャフ角度θを増大させるように作用する。また、前側レバー片113に連動連結している第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216が唐箕用開閉体173の連動連結片17を引張するように摺動されて、上・下部開閉片175,176開放量を増大させるように作用する。
【0054】
この際、右側摺動支持ロッド66は、排藁Hの量に応じて(比例して)下方へ摺動移動されるとともに、レバー支軸111を中心に前・後側レバー片113,114を
図4に示す時計廻りに回動させ、かつ、第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116を引張させて、チャフ角度調節機構95を介してチャフ角度θを最小角度(最小開口状態)と最大角度(最大開口状態)の間で適切に制御するとともに、第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216を引張させて、上・下部開閉片175,176の開放量を全開と全閉との間で適切に制御する。
【0055】
また、反対に、左・右側摺動支持ロッド65,66が復元移動される(排藁Hの非検出状態)と、チャフ角度調節機構95が操作用チャフシーブ形成片77と各チャフシーブ形成片75のチャフ角度θを最小角度(最小開口状態)となすように作用するとともに、上・下部開閉片175,176の開放量を全閉となすように作用する。
【0056】
(チャフ角度調節機構の説明)
チャフ角度調節機構95は、
図5〜
図8に示すように、左支軸78を揺動選別体25の左側壁25aから左側外方へ延設して形成した支軸延設部78aに、支持板体120と検出部連動レバー体130と初期設定用レバー体140の各上端部を同軸的に取り付けて、検出部連動レバー体130の同位置に穀稈検出連動ワイヤ100のインナーワイヤ101の先端部と排藁検出連動ワイヤ115のインナーワイヤ116の先端部を連動連結する一方、初期設定用レバー体140に調節連動ワイヤ150を介して運転部19に設けた初期設定用調節レバー160を連動連結して構成している。
【0057】
支持板体120は、側面視多角形板状に形成して、支軸延設部78aに中途上部を取り付けるとともに、揺動選別体25の左側壁25aに選別部側壁121を介して前下部を連結ボルト122により連結している。支持板体120の前端部には調節連動ワイヤ150のアウターワイヤ151の先端部を係止する係止片123を形成している。支持板体120の後端部にはスプリング係止ピン124を取り付け、スプリング係止ピン124と初期設定用レバー体140の中途部との間に第1引張スプリング125を介設して、初期設定用レバー体140をスプリング係止ピン124側に引っ張り付勢している。また、操作用チャフシーブ形成片77の下部ボス部83に嵌入して取り付けた連結ピン87には、左側外方へ延設して連結ピン延設部87aを形成しており、この連結ピン延設部87aとの干渉を回避するために支持板体120の略中央部には円弧状の回避孔126を形成している。127は揺動選別体25の左側壁25aに形成した左側壁側回避孔であり、左側壁側回避孔127は回避孔126に符合させて同一形状に形成している。
【0058】
検出部連動レバー体130は、側面視略五角形板状に形成するとともに、後端縁部に外方へ突出するスプリング係止片131を形成している。スプリング係止131の下部と後述する初期設定用レバー体140の下部レバー体形成片143の後端部との間には、第2引張スプリング134を介設して、検出部連動レバー体130を初期設定用レバー体140側に引っ張り付勢している。検出部連動レバー体130は、支軸延設部78aに内側レバー支持ボス部132を介して後上部を回動自在に枢支している。検出部連動レバー体130の前端部にはワイヤ連結ピン133を外方へ突設して、ワイヤ連結ピン133に第1穀稈検出連動ワイヤ100のインナーワイヤ101の先端部と第1排藁検出連動ワイヤ115のインナーワイヤ116の先端部を連結している。検出部連動レバー体130の中途部には連結ピン延設部87aの先端部を連動連設している。
【0059】
このように構成して、穀稈検出部90が穀稈Kの増大を検出して、その穀稈検出信号として、穀稈検出連動ワイヤ100のインナーワイヤ101の先端部が押し出されるように摺動(弛緩)されると、第2引張スプリング134の引っ張り弾性付勢力により検出部連動レバー体130の前端部が上方へ押し上げられて、検出部連動レバー体130が支軸延設部78aを中心に
図7において時計廻りに回動される。そうすると連結ピン延設部87aも検出部連動レバー体130に連動して
図7において時計廻りに回動される。そして、連結ピン延設部87aと一体成形された連結ピン87は、操作用チャフシーブ形成片77の下部ボス部83に連設されているため、操作用チャフシーブ形成片77の下端縁部が上昇されて、操作用チャフシーブ形成片77の傾斜姿勢が水平方向に変更される。その結果、操作用チャフシーブ形成片77と一体的にチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢も水平方向に変更されて、チャフシーブ26のチャフ角度θが減少される方向に変更される。つまり、穀稈検出量の増大に比例してインナーワイヤ116の弛緩量が増大変更され、インナーワイヤ116の弛緩量の増大に比例してチャフシーブ26のチャフ角度θ(開口量)が減少される方向に変更される。
【0060】
反対に、穀稈検出部90が穀稈Kの減少を検出して、その穀稈検出信号として、穀稈検出連動ワイヤ100のインナーワイヤ101の先端部が押圧スプリング57の弾性付勢力により引張されるように摺動(緊張摺動)されると、第2引張スプリング134の引っ張り弾性付勢力に抗して検出部連動レバー体130の前端部が下方へ引き下げられて、検出部連動レバー体130が支軸延設部78aを中心に
図7において反時計廻りに回動される。そうすると連結ピン延設部87aも検出部連動レバー体130に連動して
図7において反時計廻りに回動される。そして、連結ピン延設部87aと一体成形された連結ピン87は、操作用チャフシーブ形成片77の下部ボス部83に連設されているため、操作用チャフシーブ形成片77の下端縁部が下降されて、操作用チャフシーブ形成片77の傾斜姿勢が鉛直方向に変更される。その結果、操作用チャフシーブ形成片77と一体的にチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢も鉛直方向に変更されて、チャフシーブ26のチャフ角度θが増大される方向に変更される。つまり、穀稈検出量の減少に比例してインナーワイヤ101の引張摺動量が増大変更され、インナーワイヤ101の引張摺動量の増大に比例してチャフシーブ26のチャフ角度θ(開口量)が増大される方向に変更される。
【0061】
このように、チャフシーブ26のチャフ角度θ(開口量)は、穀稈検出量に逆比例して最小角度(最小開口状態)と最大角度(最大開口状態)との間で制御される。例えば、穀稈Kが一定量以上に検出された場合にはチャフシーブ26のチャフ角度θが最小角度となり、穀稈Kが検出されない場合にはチャフシーブ26のチャフ角度θが最大角度となる。
【0062】
また、排藁検出部91が排藁Hの増大を検出して、その排藁検出信号として、排藁検出連動ワイヤ115のインナーワイヤ116の先端部が弾性スプリング72の弾性付勢力により引張されるように摺動(緊張摺動)されると、第2引張スプリング134の引っ張り弾性付勢力に抗して検出部連動レバー体130の前端部が下方へ引き下げられて、検出部連動レバー体130が支軸延設部78aを中心に
図7において反時計廻りに回動される。そうすると連結ピン延設部87aも検出部連動レバー体130に連動して
図7において反時計廻りに回動される。そして、操作用チャフシーブ形成片77の下端縁部が下降されて、操作用チャフシーブ形成片77の傾斜姿勢が鉛直方向に変更される。その結果、操作用チャフシーブ形成片77と一体的にチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢も鉛直方向に変更されて、チャフシーブ26のチャフ角度θが増大される。つまり、排藁検出量の増大に比例してインナーワイヤ116の引張摺動量が増大変更され、インナーワイヤ116の摺動量の増大に比例してチャフシーブ26のチャフ角度θ(開口量)が増大される方向に変更される。
【0063】
反対に、排藁検出部91が排藁Hの減少を検出して、その排藁検出信号として、排藁検出連動ワイヤ115のインナーワイヤ116の先端部が押し出されるように摺動(弛緩)されると、第2引張スプリング134の引っ張り弾性付勢力により検出部連動レバー体130の前端部が上方へ押し上げられて、検出部連動レバー体130が支軸延設部78aを中心に
図7において時計廻りに回動される。そうすると連結ピン延設部87aも検出部連動レバー体130に連動して
図7において時計廻りに回動される。そして、連結ピン延設部87aと一体成形された連結ピン87は、操作用チャフシーブ形成片77の下部ボス部83に連設されているため、操作用チャフシーブ形成片77の下端縁部が上昇されて、操作用チャフシーブ形成片77の傾斜姿勢が水平方向に変更される。その結果、操作用チャフシーブ形成片77と一体的にチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢も水平方向に変更されて、チャフシーブ26のチャフ角度θが減少される方向に変更される。つまり、排藁検出量の減少に比例してインナーワイヤ116の弛緩量が増大変更され、インナーワイヤ116の弛緩量の増大に比例してチャフシーブ26のチャフ角度θ(開口量)が減少される方向に変更される。
【0064】
このように、チャフシーブ26のチャフ角度θ(開口量)は、排藁検出量に比例して最小角度(最小開口状態)と最大角度(最大開口状態)との間で制御される。例えば、排藁Hが検出されない場合にはチャフシーブ26のチャフ角度θが最小角度となり、穀稈Kが一定量以上に検出された場合にはチャフシーブ26のチャフ角度θが最大角度となる。
【0065】
上記したように穀稈検出量に逆比例するとともに排藁検出量に比例するチャフ角度θの制御は、チャフ角度θを減少させる制御よりも増大させる制御を優先させている。すなわち、チャフ角度θの増大方向の制御では、第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101ないしは第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が、押圧スプリング57ないしは弾性スプリング72の弾性付勢力により引張摺動されて、
図7に示す検出部連動レバー体130が反時計廻りに回動されて、操作用チャフシーブ形成片77とチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢が一体的に鉛直方向に変更される。これに対して、チャフ角度θの減少方向の制御では、第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101ないしは第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が弛緩されて、第2引張スプリング134の引っ張り弾性付勢力により、
図7に示す検出部連動レバー体130が時計廻りに回動されて、操作用チャフシーブ形成片77とチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢が一体的に水平方向に変更される。
【0066】
このように、穀稈検出量に基づいて第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が操作用チャフシーブ形成片77とチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢を一体的に変更させる動作と、排藁検出量に基づいて第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が操作用チャフシーブ形成片77とチャフシーブ形成片75の傾斜姿勢を一体的に変更させる動作とが同時になされる場合には、各チャフシーブ形成片75の傾斜姿勢を一体的に変更させる作用力、つまり、各インナーワイヤ101,116を引張摺動させる引張力である押圧スプリング57ないしは弾性スプリング72の弾性付勢力を、第2引張スプリング134の引っ張り弾性付勢力よりも大きめに設定して、各インナーワイヤ101,116の引張摺動動作を弛緩動作に優先させている。
【0067】
初期設定用レバー体140は、前後方向に伸延する上部レバー体形成片141と、上部レバー体形成片141の前端部から下方へ伸延する中途部レバー体形成片142と、中途部レバー体形成片142の下端部から前方へ伸延する下部レバー体形成片143とから側面視略S字状に形成している。
【0068】
上部レバー体形成片141は、支軸延設部78aに外側レバー支持ボス部144を介して後端部を回動自在に枢支している。中途部レバー体形成片142の下部には調節連動ワイヤ150のインナーワイヤ152の先端部を連動連結している。下部レバー体形成片143には、アウターワイヤ102の先端部を連結する第1アウター係止片145と、アウターワイヤ117の先端部を連結する第1アウター係止片146を設けている。インナーワイヤ152の基端部は、運転部19に設けた初期設定用調節レバー160の下部に連結片161を介して連動連結している。162はレバー支持ケースであり、レバー支持ケース162内に設けた調節レバー支軸163に初期設定用調節レバー160の下端部を枢支して、初期設定用調節レバー160を前後方向に回動操作可能としている。164はレバー支持ケース162の上端面に調節したガイド体であり、ガイド体164に初期設定用調節レバー160の中途部を段階的に係合ガイドするガイド溝165を前後方向に伸延させて形成している。本実施形態ではガイド溝165に6段階の係合部166を形成して、いずれかの係合部166に初期設定用調節レバー160の中途部を係合させて初期設定調節が行えるようにしている。167はアウター受け突片である。
【0069】
このように構成して、初期設定調節を行う際には、所望の係合部166に初期設定用調節レバー160の中途部を係合させると、初期設定用調節レバー160に基端部が連動連結された調節連動ワイヤ150のインナーワイヤ152が押し引き摺動されて、インナーワイヤ152の先端部に連動連結された初期設定用レバー体140と、初期設定用レバー体140に第2引張スプリング134を介して連結された検出部連動レバー体130の初期姿勢を設定することができる。その結果、操作用チャフシーブ形成片77の初期傾斜姿勢、さらには、チャフシーブ形成片75の初期傾斜姿勢、つまり、チャフシーブ26の初期のチャフ角度θを収穫する稲等の状況に応じて設定することができる。
【0070】
本実施形態では、3段階目の係合部166を標準位置として、チャフ角度θの最小角度から最大角度までの制御幅をチャフ角度θが小さい側で制御する場合には、初期設定用調節レバー160の係合位置を2段階目ないしは1段階目の係合部166に適宜選択する一方、チャフ角度θの最小角度から最大角度までの制御幅をチャフ角度θが大きい側で制御する場合には、初期設定用調節レバー160の係合位置を4段階目〜6段階目の係合部166のいずれかに適宜選択するようにしている。例えば、最小角度から最大角度までの制御幅は14度に設定しており、標準位置である3段階目の係合部166におけるチャフ角度θの最小角度は36度、最大角度は50度となるように設定している。同様に、2段階目のチャフ角度θの最小角度は32度、最大角度は46度、1段階目のチャフ角度θの最小角度は28度、最大角度は42度となるように設定している。また、4段階目のチャフ角度θの最小角度は40度、最大角度は54度、5段階目のチャフ角度θの最小角度は46度、最大角度は60度、6段階目のチャフ角度θの最小角度は52度、最大角度は66度となるように設定している。
【0071】
[チャフ角度の自動制御の説明]
次に、穀稈検出部90による穀稈Kの検出結果に基づくチャフシーブ26のチャフ角度θとファン用開閉体183の開閉量の自動制御(以下、「穀稈連動」ともいう)、並びに、排藁検出部91による排藁Hの検出結果に基づくチャフシーブ26のチャフ角度θと唐箕用開閉体173の開閉量の自動制御(以下、「排藁連動」ともいう)について説明する。本実施形態では、基本的に、
図9に示すように、チャフシーブ26と唐箕用開閉体173とファン用開閉体183を下記の四形態に制御する。
図9において、ONは検出状態、OFFは非検出状態、全開は最大開口状態、全閉は最小開口状態である。
【0072】
(1)穀稈検出部90が穀稈Kを検出しないで、かつ、排藁検出部91が排藁Hを検出しない場合には、穀稈検出部90の穀稈非検出信号として第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が引張摺動されて、チャフシーブ26のチャフ角度θが所定の最大角度(最大開口状態)に制御される。そして、排藁検出部91の穀稈非検出信号として第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が弛緩される。この場合、第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101の引張摺動動作が第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116の弛緩動作よりも優先されるため、チャフシーブ26のチャフ角度θは最大角度(最大開口状態)に保持される。また、穀稈検出部90の穀稈非検出信号として第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が引張摺動されて、ファン用開閉体183が全閉状態に閉塞される。そして、排藁検出部91の穀稈非検出信号として第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が弛緩されて、引っ張りスプリング181の引っ張り弾性付勢力により唐箕用開閉体173が全閉状態に閉塞される。
【0073】
このように制御することで、チャフシーブ26のチャフ角度θを最大角度(最大開口状態)に保持して、穀粒や藁屑等を積極的にチャフシーブ26から二番樋28に漏下させ、漏下した穀稈や藁屑等を還元筒30に通して揺動選別体25に還元して再選別する。この際、唐箕用開閉体173が全閉状態の唐箕31とファン用開閉体183が全閉状態のセカンドファン32の風量は、それぞれ最小風量に制御される。その結果、機体12を回行させた際に、漏下されずにチャフシーブ26上に残留している穀粒が、遠心力により3番排出口から無駄に機外に排出されて、損失となるのを防止することができる。
【0074】
(2)穀稈検出部90が穀稈Kを検出し、かつ、排藁検出部91が排藁Hを検出しない場合には、穀稈検出部90の穀稈検出信号により第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が弛緩される(穀稈連動)。そして、排藁検出部91の穀稈非検出信号として第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が弛緩される。この場合、両第1インナーワイヤ101,116が弛緩された状態で第2引張スプリング134が引っ張り弾性付勢するため、チャフシーブ26のチャフ角度θが最小角度(最小開口状態)に制御される。また、穀稈検出部90の穀稈検出信号として第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201が弛緩されて、その弛緩量に応じてファン用開閉体183が引っ張り補助スプリング191の引っ張り弾性付勢力により開口される(穀稈連動)。そして、排藁検出部91の穀稈非検出信号として第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216が弛緩されて、引っ張りスプリング181の引っ張り弾性付勢力により唐箕用開閉体173が全閉状態に閉塞される。
【0075】
このように制御することで、チャフシーブ26による粗選別の待ち状態とし、チャフシーブ26からの漏下量を制限して、藁屑等がチャフシーブ26下に混入するのを抑制することができる。この際、唐箕31の風量は、唐箕用開閉体173が全閉状態であるため、最小風量に制御される。セカンドファン32の風量は、穀稈検出量に応じて変更されるファン用開閉体183の開閉量に応じて変更される(穀稈連動)。
【0076】
(3)穀稈検出部90が穀稈Kを検出し、かつ、排藁検出部91が排藁Hを検出した場合には、穀稈検出部90の穀稈検出信号により第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が弛緩される(穀稈連動)。そして、排藁検出部91の排藁検出信号として第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が引張摺動される(排藁連動)。この場合、弛緩された第1インナーワイヤ101の動作よりも引張摺動される第1インナーワイヤ116の動作が優先されるため、チャフシーブ26のチャフ角度θは排藁検出量に応じた角度に制御される(排藁連動)。また、穀稈検出部90の穀稈検出信号として第2穀稈検出連動ワイヤ200の第2インナーワイヤ201が弛緩されて、その弛緩量に応じてファン用開閉体183が引っ張り補助スプリング191の引っ張り弾性付勢力により開口される(穀稈連動)。そして、排藁検出部91の穀稈検出信号として第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216が引張摺動されて、その引張摺動量に応じて唐箕用開閉体173が開口される(排藁連動)。
【0077】
このように制御することで、排藁処理部17に搬入される排藁量に基づいてチャフシーブ26のチャフ角度θ、つまり、開口量が制御される。
【0078】
(4)穀稈検出部90が穀稈Kを検出しないで、かつ、排藁検出部91が排藁Hを検出した場合には、穀稈検出部90の穀稈非検出信号として第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が引張摺動されて、チャフシーブ26のチャフ角度θが所定の最大角度(最大開口状態)に制御される。そして、排藁検出部91の排藁検出信号として第1排藁検出連動ワイヤ115の第1インナーワイヤ116が引張摺動される(排藁連動)。この場合、穀稈非検出信号として引張摺動状態に保持される第1インナーワイヤ101の動作が、排藁検出量に応じて引張摺動される第1インナーワイヤ116の動作よりも優先されるため、チャフシーブ26のチャフ角度θは最大角度(最大開口状態)に保持される。また、穀稈検出部90の穀稈非検出信号として第1穀稈検出連動ワイヤ100の第1インナーワイヤ101が引張摺動されて、ファン用開閉体183が全閉状態に閉塞される。そして、排藁検出部91の穀稈検出信号として第2排藁検出連動ワイヤ215の第2インナーワイヤ216が引張摺動されて、その引張摺動量に応じて唐箕用開閉体173が開口される(排藁連動)。
【0079】
このように制御することで、チャフシーブのチャフ角度を最大角度(最大開口状態)に保持して、穀粒や藁屑等を積極的にチャフシーブ26から二番樋28に漏下させ、漏下した穀稈や藁屑等を還元筒30を通して揺動選別体25に還元して再選別する。この際、唐箕31の風量は、排藁検出量に応じて変更される唐箕用開閉体173の開閉量に応じて変更される(排藁連動)。セカンドファン32の風量は、ファン用開閉体183が全閉状態であるため、最小風量に制御される。
その結果、機体12を回行させた際に、漏下されずにチャフシーブ26上に残留している穀粒が、遠心力により3番排出口から無駄に機外に排出されて、損失となるのを防止することができる。
【0080】
次に、
図10を参照しながらチャフ角度θの自動制御をより具体的に説明する。すなわち、作業開始前(各作業部の各駆動部が駆動される前)においては、穀稈検出部90が穀稈を検出しないで、かつ、排藁検出部91が排藁を検出しない場合の制御として、
図10に示すように、チャフシーブ26はチャフ角度θが最大角度(最大開口状態)となっている。また、唐箕用開閉体173は全閉状態に閉塞され、ファン用開閉体183は全閉状態に閉塞されている。
【0081】
刈取作業を開始して(時間t1)、穀稈検出部90が穀稈Kを検出すると(時間t1が穀稈検出時間域Aの開始時点)、穀稈検出作動機構92とチャフ角度調節機構95が連動して、一定時間t2後(例えば、10秒後)にチャフシーブ26が全閉(最小開口)状態に制御される。唐箕用開閉体173は全閉状態に閉塞維持される。ファン用開閉体183の開閉量は穀稈検出量に応じて変更され、それに応じてセカンドファン32の風量が変更される(穀稈連動)。
【0082】
排藁検出部91が時間t3に排藁Hを検出すると(時間t3が排藁検出時間域Bの開始時点)、排藁検出作動機構94とチャフ角度調節機構95が連動して、排藁Hの量に応じたチャフシーブ26のチャフ角度θが適切に制御される(排藁連動)。
図10(a)に示すように、時間t3から時間t4までチャフシーブ26の開口量が漸次増大されて、時間t4で全開(最大開口状態)されている。時間t3から時間t6まではチャフシーブ26の開口量が排藁連動される。唐箕用開閉体173の開閉量は排藁検出量に応じて変更され、それに応じて唐箕31の風量が変更される(排藁連動)。ファン用開閉体183の開閉量は穀稈検出量に応じて変更され、それに応じてセカンドファン32の風量が変更される(穀稈連動)。
【0083】
時間t6に穀稈検出部90による穀稈Kの検出が終了している(時間t6が、穀稈検出時間域B及びファン風量の穀稈連動時間域Dの終了時点)。時間t6から時間t8まではチャフシーブ26の開口量が全開(最大開口状態)されている。唐箕用開閉体173の開閉量は排藁検出量に応じて変更され、それに応じて唐箕31の風量が変更される(排藁連動)。ファン用開閉体183は全閉状態に閉塞される。
【0084】
時間t8に排藁検出部91による排藁Hの検出が終了している(時間t8が唐箕風量の排藁連動時間域Cの終了時点)。時間t8以降は穀稈検出部90と排藁検出部91が両方とも非検出状態であり、チャフシーブ26は全開(最大開口状態)に制御される。かかる時間域は機体を回行させる回行時間域Eとしている。刈取作業終了時においては、チャフシーブ26を最大開口状態となして、唐箕31とセカンドファン32の風量を、それぞれ最小風量に制御することで、穀粒等がチャフシーブ26上に残留されないようにしている。
【0085】
時間t9に穀稈検出部90が穀稈Kを検出すると、穀稈検出作動機構92とチャフ角度調節機構95が連動して、一定時間後(例えば、10秒後)にチャフシーブ26が最小開口状態に制御される。
【0086】
このように、本実施形態では、穀稈検出部90と排藁検出部91の検出結果に基づいてチャフシーブ26と唐箕用開閉体173とファン用開閉体183を前記した四形態に制御することで、穀粒が無駄に機外に排出されて損失されることがないようにしている。