特許第5882907号(P5882907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882907
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】自動車のための制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20160225BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20160225BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   G06F3/0488 130
   G06F3/041 595
   G06F3/041 600
   B60R16/02 630J
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-545369(P2012-545369)
(86)(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公表番号】特表2013-515309(P2013-515309A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】FR2010000859
(87)【国際公開番号】WO2011083212
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】0906250
(32)【優先日】2009年12月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505140568
【氏名又は名称】ダヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・マルク ティソ
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−082086(JP,A)
【文献】 特開2009−090690(JP,A)
【文献】 特開2008−009596(JP,A)
【文献】 特開2000−127868(JP,A)
【文献】 特開2007−302223(JP,A)
【文献】 特開2006−029917(JP,A)
【文献】 特開2009−241924(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0176797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0488
G06F 3/041
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための制御装置であって、
タッチ感応制御表面(3)と解釈ユニット(7)とを備え、前記タッチ感応制御表面(3)は、前記タッチ感応制御表面(3)の上に加えられたユーザのジェスチャを検出するように構成され、前記解釈ユニット(7)は、前記検出されたジェスチャを解釈して、前記検出されたジェスチャに関連した命令を生成し、かつ
前記制御装置は、少なくとも1つの処理ユニット(9)を備え、
前記処理ユニット(9)は、前記制御装置の動作モードを、前記動作モードを切り替えるための少なくとも1つの入力パラメータに基づいて、応用動作モードと基本動作モードとの間で切り替えるように構成され
前記解釈ユニット(7)は、前記応用または基本動作モードに従って、前記解釈ユニットのジェスチャ解釈データベース(11a、11b、11c)を変更するように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
表示ユニット(5)を備え、前記表示ユニット(5)は、前記表示を、前記応用または基本動作モードに適合させるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記基本動作モードの前記表示は、動作エリア(i)のグラフィック表示を備え、前記動作エリア(i)は、前記応用動作モードの前記表示と比較して拡大されていることを特徴とする、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記表示ユニット(5)は、表示スクリーンを備え、前記タッチ感応制御表面(3)は、前記表示スクリーンの中に一体化されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記タッチ感応制御表面(3)は、前記表示ユニット(5)から分離されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記基本動作モードにおいては、軌道ジェスチャは、前記タッチ感応制御表面(3)の上の前記ジェスチャの変位の長さとは無関係に、選択命令に関連していることを特徴とする、請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記選択命令は、ポップアップメニューの中の、所定のピッチを有する変位命令であることを特徴とする、請求項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記基本動作モードにおいては、前記タッチ感応制御表面(3)の上に加えられた、所定の継続時間にわたる押圧のジェスチャは、バリデーション命令に関連していることを特徴とする、請求項1、6および7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記動作モードを切り替えるための、少なくとも1つの手動の選択手段を備え、前記制御装置の起動は、前記処理ユニット(9)に対する入力パラメータを生成し、前記動作モードを切り替えることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記動作モードを切り替えるための前記入力パラメータは、パラメータのグループから選択され、前記グループは、前記車両の動的状態パラメータと、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた前記ジェスチャを、応用ジェスチャまたは基本ジェスチャに分類するためのパラメータと、前記制御装置の前記ユーザに関するパラメータとを備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記処理ユニット(9)は、前記車両の前記動的状態パラメータが検出された速度であって、前記速度が所定の速度閾値よりも高い場合には、前記基本動作モードを起動し、前記検出された速度が前記閾値よりも低い場合には、前記応用動作モードを起動するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記処理ユニット(9)は、前記タッチ感応制御表面(3)の上で検出されたジェスチャが運転者によって加えられた場合には、前記基本動作モードを起動するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
前記処理ユニット(9)は、前記タッチ感応制御表面(3)の上で検出されたジェスチャが応用ジェスチャとして分類されている場合には、前記応用動作モードを起動し、前記検出されたジェスチャが基本ジェスチャとして分類されている場合には、前記基本動作モードを起動するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御装置は、分類モジュール(16)を備え、前記分類モジュール(16)は、前記処理ユニット(9)の入力に接続され、前記タッチ感応制御表面(3)の上で検出されたジェスチャを、それぞれ応用ジェスチャおよび/または基本ジェスチャに関連して記憶されている複数の規準と比較して、前記比較結果に基づいて、前記検出されたジェスチャを、応用ジェスチャまたは基本ジェスチャに分類するように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
応用ジェスチャに関連して記憶されている少なくとも1つの規準は、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた単一の押圧の規準と、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた圧力の一定性の基準と、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた前記ジェスチャの多方向の規準と、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた前記ジェスチャの、所定の加速度閾値よりも低い加速度の基準との中から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
基本ジェスチャに関連して記憶されている少なくとも1つの規準は、前記タッチ感応制御表面の上に単一の方向に加えられた複数の押圧の規準と、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた一定でない圧力の規準と、前記タッチ感応制御表面の上に加えられた前記ジェスチャの、所定の加速度閾値よりも高い加速度の基準との中から選択されることを特徴とする、請求項14または15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記タッチ感応制御表面(3)は、複数の押圧をセンシングするセンサを含んでいることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記タッチ感応制御表面(3)は、圧力センサを含んでいることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されている制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車には、運転者および乗客のための電子支援システム、および快適システムを備えている場合が多くなっている。これらは、例えば、空調システム、ナビゲーションシステム、インターネットアクセスシステム、電話システム、無線システム、またさらに、オーディオシステムである。
【0003】
これらの動作は、制御装置を介して制御することができ、これらのシステムは、例えば、自動車の2つの前座席の間の中央コンソールの中に設置されている。
【0004】
人間工学から見た快適さを増すために、タッチ感応制御表面を使用する場合が増加しており、これは、運転者等のユーザのジェスチャを検出して、タッチ感応表面上での位置、および変位によって命令を起動する。
【0005】
実際に、タッチ感応表面は、特に自動車の領域で、大幅な進歩を遂げている。挙げることができる例は、感圧抵抗体素子(これはまた、FSRセンサ(感圧センサ)として公知である。)FSRは、「Force Sensing Resistor」のことであり、これを使用する技術、キャパシタを使用する技術、さらには光の技術を含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、運転状況、および運転の仕方によっては、運転者は、ジェスチャを与えることにより、あらゆる環境下で、装置を制御することができるということではない。さらに、これには、運転者が努力を集中させることが必要であり、これは、安全に重大な影響を与える運転者の主たる運転業務における注意を逸らすことになる。
【0007】
従って、本発明の目的は、ユーザに対し、運転中において使いやすい制御装置を提供することにより、従来技術の上記の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の主題は、自動車のための制御装置であり、この制御装置は、タッチ感応表面の上に加えられたユーザのジェスチャを検出するように構成されたタッチ感応制御表面と、検出されたジェスチャを解釈して、この検出されたジェスチャに関連する命令を生成するためのユニットとを備えており、前記制御装置は、少なくとも1つの処理ユニットを備え、この少なくとも1つの処理ユニットは、動作モードを切り替えるための入力パラメータに基づいて、応用動作モードと基本動作モードとの間で、前記制御装置の動作モードを切り替えるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
応用モードと基本モードとを切り替えることによって、運転に制御装置を使用する際に、運転者が制御装置に注意を集中することがないようにすることができる。運転者が制御装置に注意を集中すると、運転に対する注意が疎かになるという危険がある。
【0010】
前記制御装置はまた、次に示す特徴の中の1つ以上の特徴を備えることができ、これらは、単独であってもよいし、また組み合わせてもよい。
− 表示ユニットは、応用動作モードまたは基本動作モードであるかによって、表示を適合させるように構成されている。
− 基本動作モードの表示は、応用動作モードと比較して拡大された動作エリアのグラフィック表示を備えている。
− 表示ユニットは、表示スクリーンを備え、前記タッチ感応表面は、表示スクリーンの中に一体化されている。
− 前記タッチ感応表面は、表示ユニットから分離されている。
− 解釈ユニットは、解釈ユニットのジェスチャ解釈データベースを、応用動作モードまたは基本動作モードに対して変更するように構成されている。
− 基本動作モードでは、基本軌道モードジェスチャは、選択命令に関連しており、これは、前記タッチ感応表面の上における変位の長さとは無関係である。
− 選択命令は、ポップアップメニューの中で、所定のピッチ増分(例えば、上/下、前/後、左/右等)を有する変位命令である。
− 基本動作モードでは、所定の継続時間にわたって前記タッチ感応表面の上に圧力を加えるジェスチャは、バリデーション命令に関連している。
− 前記制御装置は、前記制御装置の動作モードを切り替えるための少なくとも1つの手動の選択手段を備え、前記制御装置を活性化する動作は、動作モードを切り替える処理ユニットに対する入力パラメータを生成する。
− 動作モードを切り替えるための入力パラメータは、パラメータのグループの中から選択され、このパラメータのグループは、車両の動的状態パラメータと、前記タッチ感応表面の上に加えられたジェスチャを、応用ジェスチャまたは基本ジェスチャに分類するためのパラメータと、前記制御装置のユーザに関わるパラメータとを備えている。
− 処理ユニット(9)は、車両の動的状態パラメータが検出された速度であって、前記速度が所定の速度閾値よりも高い場合には、基本動作モードを起動させ、また検出された速度が前記閾値よりも低い場合には、応用動作モードを起動するように構成されている。
− 処理ユニットは、前記タッチ感応表面の上で検出されたジェスチャが、運転者によって加えられたものである場合には、基本動作モードを起動するように構成される。
− 処理ユニットは、前記タッチ感応表面の上で検出されたジェスチャが、応用ジェスチャであるとして分類されている場合には、応用動作モードを起動し、前記検出されたジェスチャが、基本的ジェスチャであると分類されている場合には、基本動作モードを起動するように構成される。
− 前記制御装置は、分類モジュールを備え、この分類モジュールは、処理ユニットの入力と接続され、前記タッチ感応表面の上で検出されたジェスチャを、それぞれ応用ジェスチャ、および/または基本ジェスチャと関連して記憶されている複数の規準と比較し、その比較結果に従って、前記検出されたジェスチャを、応用ジェスチャまたは基本ジェスチャに分類するように構成されている。
− 応用ジェスチャに関連して記憶されている規準の中の少なくとも1つの基準は、次に示す規準から選択されている。これらは、前記タッチ感応表面の上に加えられた単一の押圧に関する規準と、前記タッチ感応表面の上に加えられた圧力の一定性に関する規準と、前記タッチ感応表面の上に加えられたジェスチャの多方向に関する規準と、前記タッチ感応表面の上に加えられたジェスチャの、所定の加速度閾値よりも低い加速度に関する基準とである。
− 基本ジェスチャに関連して記憶されている規準の中の少なくとも1つの基準は、次に示す規準から選択される。これらは、前記タッチ感応表面の上に加えられた、単一の方向への複数の押圧に関する規準と、前記タッチ感応表面の上に加えられた、圧力の一定性のなさに関する規準と、前記タッチ感応表面の上に加えられたジェスチャの、所定の加速度閾値よりも高い加速度に関する基準とである。
− 前記タッチ感応表面は、複数の押圧をセンシングするセンサを含んでいる。
− 前記タッチ感応表面は、圧力センサを含んでいる。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、以下の記述を読み、添付した図面を参照することにより、明らかになると思う。なおこれらは、例示的であり、非限定的な例として示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による制御装置を示す図である。
図2a】基本モードにおける表示の1つの例を示す略図である。
図2b】応用モードにおける表示の1つの例を示す略図である。
図3a】制御装置の表示スクリーンとタッチ感応制御表面とを示す略図である。
図3b】タッチ感応制御表面の上で第1の命令を行った後の表示スクリーンを示す略図である。
図3c】タッチ感応表面の上で第2の命令を行った後の表示スクリーンを示す略図である。
図4】車両の動的状態パラメータ(例えば、車両の速度)によって動作モードを自動的に切り替えるための方法の種々のステップを示す図である。
図5】制御装置のタッチ感応表面の上で検出されたジェスチャの発生元に従って、動作モードを自動的に切り替えるための方法の種々のステップを示す図である。
図6】タッチ感応表面の上で検出されたジェスチャを所定の規準と比較することにより分類した表である。
図7】制御装置のタッチ感応表面の上で検出されたジェスチャの分類に従って、動作モードを自動的に切り替えるための方法の種々のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
各図において、同一の要素には、同じ符号を使用している。
【0014】
図1は、自動車(図示せず)の中に搭載されている制御装置1を示す。
【0015】
この制御装置1は、タッチ感応制御表面3を備えている。このタッチ感応制御表面3の上に、ユーザは、ジェスチャを加えて、関連する動作を制御(自動車の電気装置の項目の制御等)することができる。
【0016】
この目的のために、タッチ感応表面3は、このタッチ感応表面3の上に加えられたジェスチャを検出するためのセンサを備えている。
【0017】
制御装置1はまた、表示ユニット5およびユニット7を備えている。この表示ユニット5は、例えば、中央コンソールの中、または、変形として、車両のウィンドシールド(フロントガラス)の上に遠隔に位置する表示スクリーンを備えている。また、ユニット7は、検出したジェスチャを解釈して、関連した命令を生成する。
【0018】
タッチ感応表面3の上でユーザのジェスチャを検出するために、タッチ感応表面3はまた、感圧センサを備えることができる。更に具体的には、感圧抵抗性インクを使用したセンサであり、これは、FSR(Force Sensing Resistor)センサとして公知である。
【0019】
これらのセンサとして、複数の、または同時に加えられた押圧のセンシングが可能なセンサを備えることもできる。
【0020】
また、容量センサ、また更には光のセンサ等を備えることも可能である。
【0021】
更に、この例では、タッチ感応表面3は、表示ユニット5から分離されているように示されている。代わりに、タッチ感応表面3を、表示ユニット5の表示スクリーンの中に一体化することもできる。
【0022】
更に、制御装置1は、処理ユニット9を備え、処理ユニット9は、制御装置1の動作モードを、少なくとも2つの異なる動作モード(応用動作モードおよび基本動作モード)の間で切り替える。
【0023】
応用動作モードでは、ユーザは、制御装置1を、注意を集中して、精度のよい応用的なやり方で利用する。すなわち、正確に決められた軌道で、または、例えば、タッチ感応表面3の上に、実質的に一定な圧力を加える。
【0024】
それとは反対に、基本動作モードでは、ユーザは、上記のような応用的、または集中することなく、より基本的なやり方で制御装置1を利用する。
【0025】
以下、基本動作モード(すなわち、基本的な表示、および/または基本的な動作を提供するモード)の種々の典型的な実施形態について説明する。
[基本的な表示]
【0026】
この基本動作モードでは、アイコンi等の動作エリアのグラフィック表示を、拡大またはより詳細に、また更に、メニューページ(図2a)毎のアイコンiの数を、応用動作モード(図2b)の表示と比較して減らして表示することができる。この変化させた表示によって、ユーザは、応用モードにおける場合と同レベルの注意を集中させることなく、容易にアイコンiを選択することができる。このグラフィック表示は、アイコンに限定されるものではなく、例えば、テキスト、または画像、または画像およびテキストにまで拡張することができ、また更には、動画像にまで拡張することもできる。
【0027】
この場合には、表示ユニット5(図1)は、スクリーン5の表示を、応用動作モードまたは基本動作モードに適合させるように構成される。更に具体的には、処理ユニット9は、表示ユニット5に表示適合信号を送信するように構成される。
[基本的な動作]
【0028】
基本動作モードにおける1つの変形として、ポップアップメニュー、アイコン、テキスト、画像(動いている、または静止している)は、個別に、またはそれらが組み合わされて表示され、ユーザは、タッチ感応表面3の上に基本ジェスチャを加えることができる。「基本ジェスチャ」と言う表現は、ユーザによってタッチ感応表面3の上に、大雑把に正確ではないジェスチャが加えられることを意味している。
【0029】
このために、解釈ユニット7は、異なるデータベース11a〜11cを備え、それぞれ異なる動作モードに関連したジェスチャを解釈するようになっている。
【0030】
従って、処理ユニット9は、動作モードに従って、解釈ユニット7のジェスチャ解釈データベース11a、11b、11cを変更するように構成されている。
【0031】
さらに、基本動作モードに対して、車両が静止しているか、または移動しているかに応じて、異なる解釈データベース11b、11cを備えることが可能である。処理ユニット9はまた、自動車の動きを検知するセンサ13(車両のエンジンの上のセンサ、ステアリングコラムの上のセンサ、車両速度センサ、または、車両が静止しているか否かを示す、車両の動的状態パラメータを判定することが可能な他の任意のセンサ等)と接続することもできる。
【0032】
車両の他の動的状態パラメータとしては、例として、次に示すパラメータも考えることができる。これらは、運転者および/または車両の状況が「危険な」状態であるか否かを判定することができるパラメータであり、これらは、タッチ感応表面の上での操作と並行して行われる。
− 車両の姿勢、
− 車両の縦方向および横方向の加速度、
− ハンドルの角度とその動作可能範囲、
− ブレーキペダルまたはクラッチの状態、
− アクセルペダル(またはアンダーステア制御タイプの装置)の状態、
− ABSの状態、
− 車輪の速度、
− タッチ感応表面上で操作(快適性または安全性のための)する直前に関わっていた動作、
− センサ(カメラ等)によって監視している運転者の疲労の状態、
− フロントガラスワイパまたはヘッドライトの起動、
−その他。
【0033】
この場合には、例えば、車両の動きセンサ13が車両の停止または動き情報を送信し、基本モードが起動されると、処理ユニット9は、車両が停止しているか、または移動しているかによって、異なるジェスチャ解釈データベース11b、11cを選択するように、信号を解釈ユニット7に送信する。
【0034】
上に説明した実施形態によれば、解釈ユニット7は、応用動作モードに関連した第1の解釈データベース11aと、車両が停止している場合で、基本動作モードに関連した第2の解釈データベース11bと、車両が走っている場合で、基本動作モードに関連した第3の解釈データベース11cとを備えている。
【0035】
従って、基本動作モードにおいては、自動車が停止しているときには、タッチ感応表面3の上で検出された基本ジェスチャに関連した第1の命令が生成され、自動車が移動しているときには、検出された基本ジェスチャに関連した第2の命令が生成される。第2の命令は、第1の命令とは異なっていてもよい。
【0036】
さらに、ユーザの基本ジェスチャで、例えば、所定の方向へのジェスチャに対しては、ポップアップメニューを表示する命令を生成することが可能であり、また更に、加えられた基本ジェスチの長さとは無関係に、所定のピッチでポップアップメニューの中をナビゲートする命令を生成することも可能である。
【0037】
この変形による基本動作モードにおける、ポップアップメニューの中でのナビゲーションの例は、図3aから図3cに示されている。
【0038】
タッチ感応表面3の上で、基本ジェスチャを、例えば左から右へと(図3aの中の矢印で表されている)実行することによって、例えば、表示ユニット5(図3b)の上にポップアップメニューを表示することができる。
【0039】
従って、表示ユニット5は、主表示5aおよびメニュー表示5bを備えることができ、メニュー表示5bは、例えば、左から右へとスライドして現れるようにすることもできる。この場合には、主表示5aは、新しいサイズに適合するように再構成することができ、またはメニュー表示5bは、部分的に透明にすることもできる。
【0040】
メニューが表示されたときには、デフォルトで1つの動作を選択することができ、ここでは、それを「オーディオ」動作であるとする。そして、選択を変えるために、例えば、最上部から最下部へ、または最下部から最上部へと基本ジェスチャを、メニューの中でナビゲートすることが可能である。この例では、図3bにおける矢印で示されている下方向にジェスチャをナビゲートすることにより、次の動作「ナビゲーション」が選択される(図3c)。
【0041】
この例では、図3aの矢印に示されているようなジェスチャの変位の長さに拘わらず、それに関連して生成される命令は、メニュー表示命令5b(図3b)である。同様に、図3bの矢印に示されているようなジェスチャの変位の長さに拘わらず、それに関連して生成される命令は、メニューの中で次の動作を選択する命令である。
【0042】
従って、所与のそれぞれの基本ジェスチャは、ジェスチャの長さとは無関係に、ポップアップメニューの中で、1つの対象だけ移動させるという命令に関連している。
【0043】
従って、関連した命令は、タッチ感応表面3の上に加えられる基本ジェスチャの変位の長さを考慮することなく生成される。
【0044】
さらに、基本動作モードの中で、複数のレベルを設けることができる。これらのレベルは、それぞれ所定のピッチに関連づけられる。1つの例として、基本動作モードの第3のレベルでは、ある特定の基本ジェスチャは、ジェスチャの長さに拘わらず、ポップアップメニューの中で5つの対象だけ移動する命令に関連づけることができる。
【0045】
基本動作モードのこれらの異なるレベルのピッチの選択は、ユーザの好みによって、ユーザが設定することができる。また、リストのタイプによって異なっていてもよいということは明らかである。これは、規定することもできるし、および/または、例えば、リストの長さ(小さなリストに対しては小さなピッチ、大きなリストに対しては大きなピッチ、平均的なリストに対しては平均的なピッチ)、またはリストのタイプ(無線局に対しては小さなピッチ、電話機に対しては大きなピッチ)に従って、自己適応させることも可能でると考えられる。
【0046】
従って、基本動作モードでは、ユーザがタッチ感応表面の上で、所定の方向に基本軌道ジェスチャを行う場合には、この基本軌道ジェスチャは、ジェスチャの長さとは無関係に、所定のピッチに従った変位によって、例えば、ポップアップメニューの中の1つの動作を選択する命令に関連づけられている。
【0047】
選択した対象のバリデーションを行うために、ユーザは、バリデーションジェスチャを実行しなければならない。これは、例えば、応用ジェスチャによって事前に決められている継続時間だけ押圧し続ける等である。
[基本的な表示と動作]
【0048】
基本表示とユーザの基本動作とを組み合わせた基本動作モードを提供することもできる。特に、例えば、所与の方向へ、ユーザが行う基本ジェスチャによって、基本表示の大きなアイコンをスキャンすることも可能である。
【0049】
制御装置1の応用動作モードと基本動作モードとを切り替える2つのやり方(手動で、および自動的に)を次に説明する。
[手動で切り替える動作モード]
【0050】
再び図1を参照すると、表示ユニット5に信号を送信して表示を適合させることにより、および/または解釈ユニット7に信号を送信して適切な解釈データベース11a、11b、11cを選択することにより、制御装置1の動作モードを切り替えて、応用動作モードから基本動作モード(およびその逆)に切り替えるために、処理ユニット9は、手動選択手段(図示せず)を含むことができ、ユーザは、第1の実施形態に従って、この手動選択手段の上を押圧する。
【0051】
単一の選択手段を設けて、それにより動作モードを切り替えることもできるし、または更に、それぞれ1つの動作モードに関連して、それを起動する複数の選択手段を設けることもできる。
【0052】
この選択手段は、制御装置1の物理的なボタンであってもよいし、また更に、タッチ感応表面3の、関連したタッチ感応エリアであってもよいということは明らかである。
【0053】
ユーザが選択手段を押圧すると、処理ユニット9は、選択手段を活性化する入力パラメータを受信して、それにより動作モードを切り替える。
[自動的に動作モードを切り替える]
【0054】
第1の実施形態に代わり、動作モードの変更は、自動的に行われる。すなわち、ユーザの介入はない。
【0055】
この自動的な切り替えは、異なる入力パラメータによって行うことができる。これらのパラメータとしては、次に示すものがある。
− 車両の速度、
− タッチ感応表面3の上で検出されたジェスチャの作者、すなわち、運転者または乗客、
− タッチ感応表面3の上で検出されたジェスチャの、応用ジェスチャまたは基本ジェスチャへの分類。
【0056】
次に、これらの異なる場合に関する説明を行う。
[車両の速度に応じて、動作モードを自動的に切り替える]
【0057】
第2の実施形態では、車両の速度に応じて、自動的に切り替えを行う。
【0058】
この目的のために、処理ユニット9は、比較モジュール15に接続されている入力を備えている。比較モジュール15は、車両速度センサ(アンチロックブレーキシステム(ABS)の車輪センサ、または車両の他の任意の速度センサ等)と比較器とを備えている。比較器は、速度センサが測定した速度を所定の速度閾値と比較する。
【0059】
比較モジュール15はまた、少なくとも1つの処理手段を備え、比較した結果を、入力パラメータの形で処理ユニット9に送信する。この処理ユニット9は、これらの比較結果に従って、動作モードを切り替えるように構成されている。この切り替えは、次に示すように行われる。すなわち、測定した速度が、所定の速度閾値よりも低い場合には、これまで基本モードであったとすれば応用モードを開始し、既に応用モードであったとすれば何もしない。また反対に、測定した速度が所定の速度閾値よりも高い場合には、これまで応用モードであったとすれば基本モードにし、既に基本モードであったとすれば何もしない。
【0060】
従って、図4を参照して、各ステップを説明することができる。ステップE101において、速度センサは車両の速度を測定し、速度情報アイテムを比較器に送信し、ステップE102において、測定した速度を所定の速度閾値と比較する。測定した速度が所定の速度閾値よりも低い場合には、ステップE103において応用モードが選択され、そうでなければ、ステップE104において基本モードが選択される。
【0061】
車両の速度の動的状態パラメータ以外の動的状態パラメータもまた、例として、考えることもできる。
[検出されたジェスチャの分類に応じて、動作モードを自動的に切り替える]
【0062】
第3の実施形態は、タッチ感応表面3の上で検出されたジェスチャの分類に応じて、動作モードが自動的に切り替えられるという点が、第2の実施形態とは異なっている。
【0063】
例えば、運転者によって加えられたジェスチャが検出された場合には、自動的に基本動作モードに切り替えることができる。
【0064】
また、乗客によってジェスチャが加えられた場合には、応用動作モードを起動することが可能であることは言うまでもない。
【0065】
この目的のために、処理ユニット9(図1)は、1つの入力を備え、この入力は、検出されたジェスチャが運転者から発せられたものか、または乗客から発せられたものかを判定する判定手段(光のセンサ等)と接続されている。重さセンサを乗客の座席に設置することもまた可能である。この重さセンサが、乗客が座席の上にいないことに関する情報アイテムを送信した場合には、検出されたジェスチャは運転者によって発せられたものであると考えることができる。
【0066】
従って、ステップE201(図5)において、タッチ感応表面3の上に、ユーザによって加えられたジェスチャが検出された場合には、ステップE202において、検出されたジェスチャの発生元の問い合わせが行われる。例えば、その信号が光センサから受信されたものか、または乗客座席の重さセンサから受信されたものであるかを調べて、これらの信号を解析し、検出されたジェスチャの発生元を判定する。検出されたジェスチャが、運転者が加えたジェスチャである場合には、ステップE203において基本モードが選択される。一方、検出されたジェスチャが、乗客によって加えられたものである場合には、ステップE204において、応用モードを選択することができる。
[検出されたジェスチャの分類に応じて、自動的に動作モードを切り替える]
【0067】
第4の実施形態においては、タッチ感応表面3(図1)の上で検出されたジェスチャの分類(応用ジェスチャまたは基本ジェスチャ)に応じて、動作モードが自動的に変更される。
【0068】
具体的には、基本ジェスチャが検出された場合には、基本動作モードに自動的に切り替えられ、また応用ジェスチャが検出された場合には、応用動作モードに自動的に切り替えられる。
【0069】
この目的のために、制御装置1は、分類モジュール16備えている。分類モジュール16は、それぞれ、応用ジェスチャおよび基本ジェスチャに関連して記憶されている複数の規準を使用して、検出されたジェスチャを解析する。
【0070】
これらの解析規準は、例えば、制御装置1のメモリ17の中に記憶されている。
【0071】
応用ジェスチャに関連して記憶されている規準の例は、タッチ感応表面3の上に加えられた単一の押圧に関する規準と、タッチ感応表面3の上に加えられた圧力の一定性に関する規準と、タッチ感応表面3の上に加えられたジェスチャの多方向に関する規準と、更に、タッチ感応表面の上に加えられたジェスチャの、所定の加速度閾値よりも低い加速度に関する基準を含んでいる。
【0072】
同様に、基本ジェスチャに関連して記憶されている規準の例は、タッチ感応表面3の上に加えられた、圧力の一定性のなさに関する規準と、タッチ感応表面3の上に加えられたジェスチャの、所定の加速度閾値よりも高い加速度に関する基準と、タッチ感応表面3の上に加えられた、共通の方向への複数の押圧に関する規準とを含むことができる。
【0073】
応用ジェスチャを基本ジェスチャから区別することができる他の任意の規準も考えることができることは言うまでもない。
【0074】
分類モジュール16はまた、応用ジェスチャに関連して記憶されている規準の数と、基本ジェスチャに関連して記憶されている規準の数とを計数する計数器を備えることができる。検出されたジェスチャは、これらのジェスチャに対応が取られる。
【0075】
例えば、検出されたジェスチャが、応用ジェスチャに関連して記憶されている規準の大多数に対応している場合には、分類モジュール16は、検出されたジェスチャを応用ジェスチャとして分類する。
【0076】
一方、例えば、検出されたジェスチャが対応している、応用ジェスチャに関連して記憶されている規準の数が、基本ジェスチャに関連して記憶されている規準の数と等しい場合には、または、検出されたジェスチャが、基本ジェスチャに関連して記憶されている規準の大多数に対応している場合には、分類モジュール16は、検出されたジェスチャを基本ジェスチャとして分類する。
【0077】
図6を参照して、第1のジェスチャ「ジェスチャ1」を例として取り上げることにする。このジェスチャ1は、次の特徴を有する。
− 共通の方向への複数の押圧、
− 一定圧力、
− 所定の閾値よりも低い加速度。
【0078】
これらの中から、2つの応用ジェスチャ規準を考慮するとすれば、それらは、一定圧力、および所定の閾値よりも低い加速度であり、また更に基本ジェスチャ規準である、共通の方向への複数の押圧である。全部で、2つの応用ジェスチャ規準に対して1つの基本ジェスチャ規準が考慮される。
【0079】
ジェスチャ1に対しては、大多数の応用ジェスチャ規準が対応している。従ってこの場合には、ジェスチャ1は、応用ジェスチャとして分類される。
【0080】
同様に、第2のジェスチャ「ジェスチャ2」を例として取り上げることにする。このジェスチャ2は、以下の特徴を有する。
− 共通の方向への複数の押圧、
− 一定でない圧力、
− 所定の閾値より高い加速度。
【0081】
従って、3つの基本ジェスチャ規準を考慮することができる。この場合には、ジェスチャ2に対しては、基本ジェスチャ規準だけであり、従って、ジェスチャ2は、基本ジェスチャとして分類される。
【0082】
従って、ユーザが行う応用ジェスチャを、基本ジェスチャから簡単に区別することが可能になり、基本動作モードに切り替えることにより、ユーザは、ユーザの注意力を高いレベルに集中させる必要なく、制御装置1を使用することが可能になる。これは、特にユーザが車両運転中である場合に効果が大きく、従って安全性が改善される。
【0083】
従って、図7に示すように、第1のステップE301において、タッチ感応表面3の上に加えられたジェスチャが検出される。
【0084】
次に、ステップE302において、検出されたジェスチャは、記憶されている(例えば、メモリ17の中に)規準を使用して解析され、その解析結果に基づいて、検出されたジェスチャが応用ジェスチャであるか、または基本ジェスチャであるかが判定される。
【0085】
検出されたジェスチャが応用ジェスチャである場合には、ステップE303において、これまで基本動作モードであったとすれば、応用動作モードが選択され、既に応用動作モードであったとすれば、応用動作モードが保持される。
【0086】
その反対に、検出されたジェスチャが基本ジェスチャである場合には、ステップE304において、これまで応用動作モードであったとすれば、基本動作モードが選択され、既に基本動作モードであったとすれば、基本動作モードが保持される。
【0087】
従って、これまでに述べた制御装置1は、応用動作モードと基本動作モードとの間の動作モードを簡単に切り替えることができ、それにより、この制御装置は、車両の運転に適切に使用することが可能になり、運転者と他の人々との安全性を阻害するものではないということが理解されると思う。
【符号の説明】
【0088】
1 制御装置
3 タッチ感応制御表面
5 表示ユニット
5a 主表示
5b メニュー表示
7 解釈ユニット
9 処理ユニット
11a、11b、11c データベース
13 動きセンサ
15 比較モジュール
16 分類モジュール
17 メモリ
E101 速度センサが車両の速度を測定する
E102 測定した速度を所定の速度閾値と比較する
E103 応用モードを選択する
E104 基本モードを選択する
E201 ユーザのジェスチャを検出する
E202 ジェスチャの発生元を問い合わせる
E203 基本モードを選択する
E204 応用モードを選択する
E301 ユーザのジェスチャを検出する
E302 応用ジェスチャか基本ジェスチャかを判定する
E303 応用動作モードを選択/保持する
E304 基本動作モードを選択/保持する
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7