(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882911
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】発射体のプログラミングのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F42C 17/04 20060101AFI20160225BHJP
F41A 21/32 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
F42C17/04
F41A21/32
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-550371(P2012-550371)
(86)(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公表番号】特表2013-518237(P2013-518237A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】EP2011000388
(87)【国際公開番号】WO2011092022
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2013年11月27日
(31)【優先権主張番号】102010006528.5
(32)【優先日】2010年2月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506170476
【氏名又は名称】ラインメタル エア ディフェンス アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ロジャー フリック
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04144815(US,A)
【文献】
国際公開第2008/067876(WO,A1)
【文献】
特開平09−280798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42C 17/04
F41A 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラミングユニットによる砲身及び/又は砲口制退器を通過中の発射体のプログラミング方法であって、
信号発生器によって前記発射体のプログラミングのために調整されたキャリア周波数を生成する工程と、
生成された前記キャリア周波数であって前記プログラミングのための情報が変調されたキャリア周波数を、前記発射体の前記砲身及び/又は砲口制退器の通過中に、前記発射体に記録する工程と、
適用できる導波モードのカットオフ周波数未満で操作される導波管の通過中に前記プログラミングを実行する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記発射体のV0計測が、該V0計測のために生成された周波数によって前記導波管内で実行され、前記V0計測が、時系列的に前記プログラミングの前に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発射体において前記周波数が示され且つ分析されるように、電磁場が前記導波管内で励起された、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発射体へのエネルギー伝達が、該エネルギー伝達のために生成された周波数によって、前記導波管において実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリア周波数が、0Hzより大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
砲身及び/又は砲口制退器を通過する間に発射体をプログラミングするための装置であって、
プログラミングユニットであって、前記砲身、前記砲口制退器、又は、前記砲身の終端と前記砲口制退器の始端との間の付加的部分である、或いは、前記砲口制退器の終端に付加的に取り付けられた、少なくとも1つの導波管を有するプログラミングユニットと、
信号発生器(4)によってキャリア周波数を供給される少なくとも1つの送信カプラーと、
前記発射体のために提供された情報が前記キャリア周波数へと変調される少なくとも1つのモジュレーターと、
前記発射体内の貯蔵装置又はプロセッサーと電気的に接続された、少なくとも1つの受信カプラーであって前記発射体に組み込まれた、又は、前記発射体内の、少なくとも1つの受信カプラーと、を具備する装置。
【請求項7】
前記受信カプラーが、前記発射体上のコイル、前記発射体内又は前記発射体上に組み込まれたダイポール、及び/又は、スロットアンテナである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
受信カプラー及び該受信カプラーに接続可能な受信装置が付加的に組み込まれており、前記受信カプラー及び前記受信装置の信号が、前記プログラミングをテストするためのテスト信号として使用可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
V0計測及びエネルギー伝達のための構成要素が、前記プログラミング装置の前に組み込まれており、前記構成要素が共通の導波管を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記発射体が、前記周波数を備えた前記信号を受信し且つ前記発射体に充電する前記貯蔵装置に充電する前記エネルギー伝達のためのセンサーを有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
V0計測及び/又はエネルギー伝達のための構成要素が、送信カプラーと、受信カプラーと、計測装置及び/又はエネルギー伝達ユニットの信号発生器と、を含む、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砲身を通過する間、及び/又は砲口制退器を通過する間の発射体のプログラミングの問題に関する。関連する装置は、更にV
0計測のために適しており、全体を円形にすることも、発射体へのエネルギー伝達のために適している。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル砲弾のために、発射体へ爆発時間及び/又は飛翔経路に関する情報を通信させなければならず、つまり、発射体にプログラムを組み込まなければならない。計測された砲口速度V
0から爆発時間が計算されるシステムにおいて、情報は、早くても砲口で、且つ/又は、飛翔中に中継され得る。プログラミングが砲身からの放出前に実行されると、一般原理として、発射体は、砲口速度V
0でプログラミングユニットに対して相対運動しながら、プログラミングユニットを通過して飛翔する。
【0003】
公知のプログラミングユニットは、中国特許出願公開第691143号明細書に記載されている。送信コイルによって、情報が、発射体内又は発射体上のマッチングコイルを介して誘導的に送信される。このプログラミングユニットは構造が重く、質量及びトルクのため、銃砲に悪影響を与えかねない。同時に、プログラミング(ユニット)のシールドされていない送信コイルは、コイルがアンテナとしても機能するために、望まない放射を出しかねない。放射信号は検出され得るため、関連する銃砲の位置は、それから導き出されてしまう。
【0004】
光ビームの伝達によってプログラミングが実行される方法が、国際公開第2009/085064号から公知である。この目的を達成するために、発射体が、その外周に光学センサーを有する。
【0005】
先行文献ではないが、独国特許出願公開第102009024508号明細書は、特に中口径範囲の発射体又は砲弾のような発射体追跡を有する終末段階誘導砲弾の軌道修正の方法に関する。そこで、発火バースト(連続発火、高速個別発火)の後、個々の発射体に別々に通信することと、その間、個々の発射体のため、地球磁場の方向に関する追加の情報を送信することとが提案された。発射体追跡は、発射体のビームライディング誘導の原理を利用して行われている。この工程において、各発射体は、その発射体に向けられた誘導ビームのみを読み取り、修正パルスの修正トリガーを実現するために追加情報を利用してその空間の絶対回転姿勢を計測することができる。
【0006】
例えばマイクロ波送信器による別の伝達可能性は、欧州特許出願公開第1726911号明細書及び他の文献から当事者にとって公知である。
【0007】
飛翔中のプログラミングは、実際には技術的に可能であるが、結果として単純な干渉の影響も受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、シンプルな構造で最適なプログラミングを可能とするシステムを完成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的は、請求項1から請求項6に記載の特徴を通して達成できる。好適な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明は、発射体が砲身又は砲口制退器を通過する間の誘導的且つ/又は容量的なプログラミングの実行の考えに基づく。導波管の電磁場は集中しているため、導波管を使用することが提案された。
【0011】
発射体等の砲口速度を計測するために、カットオフ周波数未満の導波管を利用することは、既に独国特許出願公開第102006058375号明細書から公知である。この文献は、砲身又はランチャーチューブ、及び/又は、導波管(非常に高い導電性を備える壁を有する特徴的断面形状のチューブが、導波管とみなされる。主として、四角形及び円形の導波管が技術的に幅広く使用される。)としての砲口制退器の部品の使用を提案しているが、適用可能な導波モードのカットオフ周波数未満で使用されている。国際公開第2009/141055号は、この考えを更に使用し、V
0計測についての二つの方法を組合せた。
【0012】
本発明によれば、ここで導波管は、V
0計測のためのみならず、プログラミングのためにも使用される。導波管に加え、プログラミングシステム又はプログラミング装置は、信号発生器によって駆動されるプログラミングのための送信カプラーを有する。プログラミングされる発射体は、送信カプラーに機能的に接続されたプログラミングのための受信カプラーを有する。更に、受信カプラーによって取得された信号を評価する少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサー等が、発射体に配置されており、発射体をプログラムする。好適な実施形態において、プログラミングは、導波管に機能的に接続された受信カプラーからのテスト信号によって検証され得る。
【0013】
プログラミングのための導波管は、砲身、砲口制退器、又は、砲身の終端と砲口制退器の始端との間若しくは砲口制退器の終端にも取付けられ得る付加的部分になり得る。例えば、発射体又は破裂弾へのエネルギー伝達の際に好適であることが立証された、砲口制退器の開口部の前の領域での組み込みも、更に提供されている。
【0014】
V
0計測の場合として、信号発生器(例えばオシレーター)は、信号に、導波管の最低カットオフ周波数より低い値の一定中心周波数を供給する。送信カプラーの形状及び型(コイル、ダイポール等)に応じて多重導波モード(TEmn、ここでm=0、1、2、・・・及びn=1、2、3、・・・)が励起される。信号発生器は、連続波動作(CW動作)又は変調信号のキャリアを生成する。
【0015】
一つ以上の導波管によってV
0計測が実行されたとき、V
0計測後にプログラミングが実行されなければならない。ここで、砲口制退器の後にプログラミングのための導波管を組み込むと好適であることが、同様に立証されている。
【0016】
好適には、砲口速度V
0は、発射体の前及び/又は発射体の後に計測され且つ決定され得る。発射体の前の計測の際、発射体の先端が導波管を通過するときに、磁場に影響を与えるという事実が考慮される。発射体の後の計測の場合、底部の本質的に平面の又は平面的な表面が活用されるため、それにより、計測が、発射体の先端の形状に関係なく実行される。この工程において、底部は電磁場に影響する。それぞれの場合において、この変化は、受信カプラーによって検知され、分析装置に供給される。こうした方法は、国際公開第2009/141055号から公知である。オシレーターから信号を受信する部分としての送信カプラーと受信カプラーとの距離は、可変であり且つ導波管のモード選択に応じて個々に選択することができるが、口径、内部寸法、及び導波管の周波数に依存する。
【0017】
更に、装置は、増大又はエネルギー伝達システムとの結合が可能である。プログラマブル砲弾のため、発射体は、それに組み込まれた電子機器のため、及び、起爆導火線を開始するために、エネルギーを供給されなければならない。好適には、伝達は、誘導的に及び/又は容量的に導波管が使用され得る終端へ行われる。エネルギー伝達のため、既存の送信カプラー又は付加的な送信カプラーが使用され、このカプラーは、発射体のセンサーに対し、第三周波数の形式で必要なエネルギーを供給し、次いで、電気的にセンサーに接続された貯蔵装置に充電する。一方で、エネルギー伝達は、プログラミングの前に実行されなければならなく、プログラミングのための導波管が、砲口制退器の終端に固定されると好適であることが立証されており、結果、エネルギー伝達とプログラミングとの間のスペースが、プログラミングを実行するのに十分なスペースとなる。
【0018】
導波管の場の集中の結果として、信号対雑音比(SN比)のために、より低い供給エネルギーが要求される。カットオフ周波数未満の周波数の選択により、少量の外部への放射のみが生じるため、プログラミングはより妨害に抵抗し得る。
【0019】
本発明は、図を用いた例示的実施形態によって詳細に説明される。図は、略図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】プログラミングシーケンスを示すプロセスチャートである。
【
図3】V
0計測及びエネルギー伝達装置を備える装置の拡張である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、プログラミングユニット又はプログラミング装置1を示す。プログラミングユニット1は、少なくとも一の導波管2又は導波管区分、及び、少なくとも、オシレーター4によって周波数f
1を供給された送信カプラーによって構成される。参照番号5は、プログラミングユニット1を通過する際、例えば爆発時間のような必要な情報が記録された発射体を識別する。この設計において導波管2は、(実際に存在するとすれば、)(発射方向に向かって)砲口制退器6の後方に配置されることができ、又は、砲口制退器6と砲身7との間に組み込まれることもできる(これが組み込まれない場合は、
図4に示す、エネルギー伝達のための装置に類似)。
【0022】
操作方法又はプログラミングの方法は、以下のとおりである。
【0023】
周波数f
1を有する信号は、関連する導波モードのカットオフ周波数未満である。プログラミングが砲口速度V
0の大きさとは無関係となるため、周波数は0Hzより大きくなるべきである。この結果、低速の発射体のV
0は、高速の発射体と同様、プラグラミングに影響を与えない。周波数f
1のキャリアは、情報を載せて変調され(18)、変調信号は、次いで送信カプラー3に提供される。送信カプラー3はここで、関連する導波管2の電磁場を励起又は刺激する。発射体5が導波管2を通過するとき、発射体5は、発射体5に配置された受信カプラー8によって容量性カップリング及び/又は誘導性カップリングを用いた非接触な方法で信号を受信する。この目的において適切なのは、例えば、発射体又は破裂弾5のコイル、発射体5内に組み込まれたダイポール又は(スロットが表面に組み込まれた)スロットアンテナ等である。発射体5において、発射体5でプログラミングを実行するプロセッサー19等は、受信カプラー8に電気的に接続されている。
【0024】
導波管2内又は導波管2上に配置された受信カプラー9によって受信され、且つ、カプラー9に接続された受信装置10によって送信されるテスト信号は、プログラミングをテストするために使用され得るが、条件によって必要になるにすぎないため、このテストは省略することもできる。
図2はこのプログラミングのシーケンスの概観を示す。
【0025】
更なる変形例において、プログラミングはエネルギー伝達及び/又はV
0計測と組み合わされ得る。これは
図3において示されている。
【0026】
計測及びエネルギー伝達の両方に使用されている周波数が、既に最適な場合(同値 f
2=f
3)、好適には、周波数f2及びf3は、V
0計測及びエネルギー伝達の両方のために同様に利用することができる。
【0027】
プログラミングは、例えば装置20によってV
0計測後の時点で、又は、エネルギー伝達ユニット21によってエネルギー伝達後の時点で実行されるため、計測及び伝達のための構成要素(カプラー)は、発射体の動作の方向においてプログラミングのための導波管2の前方の、計測及びプログラミング装置に組み込まれる必要がある。砲身7と既存の砲口制退器2との間の付加的な導波管11の組み込みは、立証された装置として示されている。この設計において、この導波管は、装置20及び装置21の両方の構成要素である。
【0028】
発射体5が導波管11を通過したとき、砲口速度V
0は、送信カプラー12及び受信カプラー13によって、公知の方法で計測される。この目的を達成するために、送信カプラー12は、信号発生器22によって周波数f
2を供給される。計測に必要な受信信号は、受信カプラー13によって受信され、分析ユニット16に送られる。そこから計測された砲口速度は、プログラミングユニット1に提供されることができ、情報信号として、モジュレーター18によって周波数f
1を有するキャリアへと変調されることができる。
【0029】
付加的なエネルギー伝達として、発射体5が、付加的な信号発生器23から周波数f
3を有する信号を受信し、且つ、発射体5の貯蔵装置15に充電するセンサー14を有する。発射体5は、飛び出すときに必要な量のエネルギーを受けるため、貯蔵装置15は、導波管又は導波管区分11から出た後に充電される。この工程において、エネルギー伝達のために同じ送信カプラー12を使用することが可能だが、好適には付加的な信号発生器17によって供給する。
【0030】
V
0計測はエネルギー伝達前及び/又はエネルギー伝達後に実行され得る。しかしながら、両方の工程は、プログラミングの前に実行される。