(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882918
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】温度分配制御装置を用いる処理方法および処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20160225BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20160225BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/46
H01L21/68 N
【請求項の数】24
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-554991(P2012-554991)
(86)(22)【出願日】2010年12月14日
(65)【公表番号】特表2013-520833(P2013-520833A)
(43)【公表日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】US2010060258
(87)【国際公開番号】WO2011106064
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】61/307,497
(32)【優先日】2010年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504225666
【氏名又は名称】ビーコ・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】ガラリー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ベローソフ,ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】ボグスラフスキー,ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ミトロヴィッチ,ボヤン
【審査官】
境 周一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−252106(JP,A)
【文献】
特開2000−003879(JP,A)
【文献】
米国特許第06184154(US,B1)
【文献】
特開2007−109770(JP,A)
【文献】
特表2009−534824(JP,A)
【文献】
特開平05−013350(JP,A)
【文献】
特開2009−088088(JP,A)
【文献】
特開平06−021005(JP,A)
【文献】
特開平06−283431(JP,A)
【文献】
特開平04−024916(JP,A)
【文献】
特開平02−030695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/00−21/98
C23C 14/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを処理する方法において、
(a)1つまたは複数のウエハをキャリアの本体のウエハ保持ポケットに保持するステップであって、前記複数のウエハの各ウエハの底面が前記本体の面を覆って、前記各ウエハの前記底面と前記本体の前記面との間に間隙が画定されるようになっており、かつ前記各ウエハの上面が露出するようになっているステップと、
(b)前記キャリアから前記各ウエハと前記本体との間の前記間隙を横切る熱伝達によって、前記各ウエハを少なくとも部分的に加熱するステップと、
(c)前記加熱ステップ中に、前記各ウエハおよび前記本体のそれぞれの上面を各ウエハの周辺において前記間隙内に供給される処理ガス混合物に晒すステップと、
(d)前記晒すステップ中に、
ガス注入要素により処理ガスを前記ウエハの上面および前記本体の上面に導くステップと、
前記本体の前記ウエハ保持ポケットの中心に位置する入口ポートに延在する1つまたは複数のガス導管を介して充填ガスを前記各ウエハの下方の前記間隙内に供給するステップであって、前記充填ガスは、前記処理ガスと異なる熱伝導率を有しており、前記充填ガスおよび前記処理ガスは、前記周辺に隣接する前記各ウエハの下方の前記間隙内において互いに混合し、前記各ウエハの下方の前記間隙において前記充填ガスの濃度の勾配を生じるようになっているステップと
を含んでいる、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
各ウエハは、前記間隙の形状が前記晒すステップ中に時間と共に変化するように、前記晒すステップ中に変形し、前記充填ガスの濃度の勾配が、各ウエハの前記上面の温度分布に及ぼすこのような形状の変化の影響を少なくとも部分的に弱めるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度分布は、前記ウエハの周辺および前記ウエハの中心の温度測定値を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数のウエハをキャリア上に保持する前記ステップは、複数のウエハを、各ウエハの前記上面が前記キャリアの上面と実質的に同一平面をなすように、前記キャリアの前記上面によって画定されたポケット内に保持することによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数のウエハをキャリアの本体のウエハ保持ポケットに保持する前記ステップは、各ウエハを前記ウエハの周辺においてのみ支持するステップを含んでいることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各ウエハを支持する前記ステップは、前記キャリアと一体の複数の支持体によって前記ウエハを支持することを含んでおり、前記支持体は、前記ウエハの周辺に沿って互いに離間されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記処理ガス混合物の一種または複数種の成分が、各ウエハの前記上面に堆積物を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記充填ガスを供給する前記ステップは、前記間隙内のガスの組成を変化させるために、前記充填ガスの流量および前記充填ガスの組成の少なくとも1つを変化させるステップを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記各ウエハの前記上面の温度分布を監視するステップをさらに含んでおり、前記変化させるステップは、少なくとも部分的に前記監視ステップの結果に応じて行われることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記充填ガスを供給する前記ステップは、前記充填ガスを前記各ウエハの中心に隣接する前記キャリアのポートを通して前記各ウエハの下方の前記間隙内に導くことによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ウエハ処理装置において、
(a)処理チャンバと、
(b)前記チャンバ内に上下方向に延在する軸の周りに回転するように取り付けられたスピンドルであって、上端と、前記スピンドルの前記上端に隣接する開口を有するガス通路とを有しているスピンドルと、
(c)中心軸および前記中心軸を横切る実質的に平坦な連続的上面を画定する板状本体を有するウエハキャリアであって、前記本体は、前記上面から前記本体内に下方に延在する複数のウエハ保持ポケットをさらに有しており、前記複数のウエハ保持ポケットは、複数のウエハを、各ウエハの上面が露出するように、かつ各ウエハの底面と前記本体の面との間に間隙が生じるように保持し、前記スピンドルの前記上端は、前記ウエハキャリアが前記スピンドルに機械的に係合するように、かつ前記ウエハキャリアの前記本体の前記複数のウエハ保持ポケットに延在する複数のガス導管が前記ガス通路の前記開口に連通するように、前記ウエハキャリアに離脱可能に係合しているウエハキャリアと、
(d)前記スピンドルの前記ガス通路に連通する入口を有する回転接続具と、
(e)前記チャンバの上端に隣接して前記チャンバに取り付けられたガス注入要素であって、処理ガスを前記スピンドル、前記ウエハキャリア、および前記ウエハ保持ポケットに保持された前記ウエハに向かって下方に導くように構成かつ配置されているガス注入要素と、
(f)前記スピンドルに取り付けられた前記ウエハキャリアを加熱するために、前記チャンバ内に配置された加熱器と、
(g)流量制御装置を有する制御システムであって、前記流量制御装置は、前記前記ウエハキャリアの前記ガス導管を通って前記ウエハ保持ポケットに導かれる充填ガスの流量または組成の少なくとも1つを制御することによって、前記ウエハと前記本体との間の前記間隙に充満されるガスの熱伝導率を制御する制御システムと
を備え、
前記制御システムは、前記ウエハと前記本体との間の前記間隙に充満される前記ガスが、前記間隙の少なくともいくつかの部分において、前記ガス導管により導かれた前記充填ガスと前記ガス注入要素により導かれた前記処理ガスとの混合物とを含むように、前記充填ガスの流量を制御することを特徴とするウエハ処理装置。
【請求項12】
前記複数のガス導管は、前記本体の前記複数のウエハ保持ポケットの中心に配置された入口ポートに延在しており、前記制御システムは、前記ウエハと前記本体との間の前記間隙に充満される前記ガスの熱伝導率を、前記ウエハ保持ポケットの縁領域における前記ガスが前記ウエハ保持ポケットの前記中心における前記ガスの熱伝導率と異なる熱伝導率を有するように、制御することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御システムは、前記ウエハキャリアによって保持された前記ウエハの湾曲の影響を弱めるように、前記ウエハと前記本体との間の前記間隙に充満される前記ガスの熱伝導率を制御することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のウエハ保持ポケットの各ウエア保持ポケットは、前記本体の前記面から上方に延在する複数の互いに離間した支持体を有しており、前記支持体は、前記ウエハの対応する1つを保持するようなっており、前記制御システムは、前記ウエハが前記支持体から持ち上がらないように、前記充填ガスの流量を制御するようになっていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
(h)前記ウエハの表面温度を記録するように構成された温度監視装置をさらに備えており、前記制御システムは、前記温度監視装置によって記録された温度に応じて、前記充填ガスの流量または組成の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記加熱器は、前記ウエハキャリアの下方に配置されており、前記ウエハキャリアの底面を加熱するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項17】
(i)前記スピンドルを前記軸の周りに回転させるためのモータ駆動装置をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記スピンドルの前記上端は、上下端を有するテーパ部分を備えており、前記ガス通路の前記開口は、前記テーパ部分の前記下端の上方に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項19】
ウエハキャリアにおいて、
(a)中心軸と前記中心軸を横切る実質的に平坦な連続的上面とを画定する単一の板状本体であって、前記本体は、前記上面から前記本体内に下方に延在する複数のウエハ保持ポケットをさらに有しており、前記ウエハ保持ポケットは、複数のウエハを、前記ウエハの上面が露出するように、かつ各ウエハの底面と前記本体の面との間に間隙が生じるように、保持しており、前記ウエハ保持ポケットのそれぞれは、前記本体の前記面から上方に延在する複数の互いに離間した支持体を有しており、前記支持体は、前記ウエハの対応する1つを保持する本体と、
(b)前記本体の前記ウエハ保持ポケットの中心に位置する入口ポートに延在する1つまたは複数のガス導管を画定する構造であって、前記ガス導管に供給された充填ガスが前記ウエハの前記底面と前記本体との間の間隙内に導かれるようになっている構造と、
(c)前記本体の前記中心軸における取付け部であって、前記1つまたは複数の導管が前記取付け部とウエハ処理装置のスピンドルの上端との間に形成された空間に流体連通するように、前記スピンドルの前記上端に離脱可能に係合して前記ウエハキャリアを前記スピンドル上に保持する取付け部とを備え、
前記ウエハ保持ポケットのそれぞれは、前記ウエハ保持ポケットのそれぞれの前記入口ポート及びウエハキャリアの本体の上面とのみ流体連通している、
ことを特徴とするウエハキャリア。
【請求項20】
前記取付け部は、前記スピンドルを受けるために、下向き方向に開いた凹部を画定しており、前記1つまたは複数のガス導管は、前記凹部に連通していることを特徴とする請求項19に記載のウエハキャリア。
【請求項21】
前記凹部は、上向き方向に徐々に細くなっていることを特徴とする請求項20に記載のウエハキャリア。
【請求項22】
前記導管は、前記ポケットに連通していることを特徴とする請求項19に記載のウエハキャリア。
【請求項23】
前記各ポケットは、上面の下方に凹んだ床面、前記床面から前記上面に向かって上方に延在する周囲壁、およびウエハを前記床面の上方に支持するために前記床面の上方でかつ前記上面の下方に延在する複数の支持体を備えていることを特徴とする請求項22に記載のウエハキャリア。
【請求項24】
前記床面のそれぞれは、前記ポケットの中心に隣接して配置されたポートを有しており、前記導管は、前記ポートを介して前記ポケットに連通していることを特徴とする請求項23に記載のウエハキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2010年2月24日に出願された米国仮特許出願第61/307,497号の出願日の利益を主張するものであり、その開示内容は、引用することにより本明細書の一部となすものとする。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、ウエハ処理装置、このような処理装置に用いられるウエハキャリア、およびウエハ処理の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの半導体素子は、基板上で行われるプロセスによって形成される。基板は、典型的には、「ウエハ(wafer)」と一般的に呼ばれている結晶性材料の平板である。典型的には、ウエハは、結晶性材料から形成されており、円板の形態にある。一般的なプロセスの1つとして、エピタキシャル成長が挙げられる。例えば、III−V半導体のような化合物半導体から形成される素子は、典型的には、有機金属化学蒸着(MOCVD)を用いて化合物半導体の連続層を成長させることによって、形成される。このプロセスでは、ウエハは、ガスの組合せに晒される。これらのガスは、典型的には、有機金属化合物をIII族金属の源として含むと共に、V属元素の源も含んでいる。これらのガスは、ウエハが高温に維持されている間に、ウエハの表面上を流れる。典型的には、金属有機化合物およびV族源は、殆ど反応に関与しないキャリアガス、例えば、窒素と組み合わされている。III−V半導体の一例として、適切な結晶格子面間隔を有する基板、例えば、サファイアウエハ上での有機ガリウム化合物とアンモニアとの反応によって形成される窒化ガリウムが挙げられる。典型的には、ウエハは、窒化ガリウムおよび関連化合物の堆積中、約1000−1100℃の温度に維持されている。
【0004】
複合素子は、半導体の結晶構造およびバンドギャップを変化させるために他のIII族元素またはV族元素を添加するなど、反応条件をいくらか異ならせて、多数の層を連続的にウエハの表面上に堆積させることによって、製造可能である。例えば、窒化ガリウム基半導体では、半導体のバンドギャップを変化させるために組成比を変化させるのに、インジウム、アルミニウム、またはそれらの両方を用いることができる。また、各層の導電率を制御するために、p−型またはn−型ドーパントが添加されてもよい。半導体層の全てが形成された後、典型的には、適切な電気接点が施された後、ウエハは、個々の素子に切断される。このようにして、発光素子(「LED」)、レーザ、および他の光電子素子のような素子を製造することができる。
【0005】
典型的な化学蒸着プロセスでは、多くのウエハが、ウエハキャリアと一般的に呼ばれている装置上に、各ウエハの上面をウエハキャリアの上面に露出させて、保持されるようになっている。次いで、ウエハキャリアは、反応チャンバ内に配置され、所望の温度に維持される一方、ガス混合物がウエハキャリアの表面上に流されることになる。プロセス中、キャリア上の種々のウエハの上面のあらゆる点において均一な条件を維持することが、重要である。反応ガスの組成およびウエハ表面の温度のわずかな変動によって、得られた半導体素子の特性の望ましくない変動が生じる。例えば、もし窒化ガリウムインジウム層が堆積される場合、ウエハ表面温度の変動によって、堆積層の組成およびバンドキャップの変動が生じる。インジウムは、比較的高い蒸気圧を有するので、堆積層は、表面温度が高いウエハの領域では、低比率のインジウムおよび大きいバンドギャップを有することになる。もし堆積層がLED構造の能動発光層であるなら、該ウエハから形成されたLEDの発光波長も変動することになる。このような理由から、当技術分野において、均一な条件を維持することに向けて、これまで著しい努力が払われてきている。
【0006】
業界において広く受け入れられてきているCVD装置の一形式では、各々が1つのウエハを保持するように適合された多数のウエハ保持領域を有する大径ディスクの形態にあるウエハキャリアが用いられている。ウエハキャリアは、反応チャンバ内において、ウエハの露出面を有するウエハキャリアの上面をガス分配要素に向かって上向きにして、スピンドルに支持されるようになっている。スピンドルが回転される一方、ガスがウエハキャリアの上面に向かって下方に導かれ、該上面を横切って、ウエハキャリアの周辺に向かって流される。使用済みのガスは、ウエハキャリアの下方に配置されたポートを通って反応チャンバから排出される。ウエハキャリアは、加熱要素、典型的には、ウエハキャリアの底面の下方に配置された電気抵抗加熱要素によって、所望の高温に維持されている。これらの加熱要素は、ウエハ表面の所望の温度を超える温度に維持される一方、ガス分配要素は、典型的には、ガスの時期尚早の反応を防ぐために、所望の反応温度よりもかなり低い温度に維持される。従って、熱は、加熱要素からウエハキャリアの底面に伝達され、ウエハキャリアを通って、個々のウエハに向かって上方に流れることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野において、このようなシステムを最適化設計するために、これまで著しい努力が払われてきているが、さらに一層の改良が望まれている。特に、各ウエハの表面を横切る温度の良好な均一性をもたらすことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ウエハを処理する方法を提供している。一方法は、望ましくは、1つまたは複数のウエハをキャリア上に保持するステップであって、各ウエハの底面がキャリアの面と直接対向し、互いに対向する面間に間隙が画定されるようになっており、かつ各ウエハの上面が露出するようになっている、ステップを含んでいる。本方法は、好ましくは、キャリアから間隙を横切る熱伝達によって、ウエハを少なくとも部分的に加熱するステップと、該加熱ステップ中に、処理ガスをウエハの露出した上面に印加するステップと、をさらに含んでいる。最も好ましくは、本方法は、印加ステップ中に、間隙内に充満される充填ガスの熱伝導率を変化させるステップをさらに含んでいる。例えば、充填ガスは、印加ステップ中に間隙に供給されるとよく、供給される充填ガスの流量、該充填ガスの組成、またはその両方が、印加ステップ中に時間と共に変化されるようになっているとよい。以下にさらに説明するように、充填ガスの熱伝導率の変化によって、ウエハの表面温度の変動を最小限に抑えることができる。充填ガスの伝導率を変化させるステップは、ウエハの温度分布の監視に応じて、行うことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、処理ガスがウエハの周辺におけるウエハとキャリアとの間の間隙に入り込む傾向にある。充填ガスは、各ウエハの下方の間隙における充填ガスの濃度勾配(例えば、ウエハの周辺の近くにおける比較的高濃度の処理ガスおよび低濃度の充填ガスおよびウエハの中心近くにおける高濃度の充填ガス)を維持するように、供給されてもよい。これによって、各ウエハを横切る表面温度の変動をもたらす傾向にある他の影響を弱める熱伝導率の勾配をもたらすことができる。
【0010】
本発明のさらなる態様によれば、ウエハキャリアが提供されている。本発明のこの態様によるウエハキャリアは、望ましくは、中心軸および該中心軸を横切る上面を画定する本体を有している。本体は、望ましくは、ウエハ保持特徴部を有している。ウエハ保持特徴部は、複数のウエハを、ウエハの上面が露出するように、かつ各ウエハの底面と本体の面との間に間隙が生じるように、保持するように適合されている。ウエハキャリアは、望ましくは、本体のウエハ保持特徴部に延在する1つまたは複数のガス導管を画定する構造を有しており、これによって、ガス導管に供給された充填ガスは、ウエハの底面と本体との間の間隙内に導かれることになる。キャリアは、最も好ましくは、本体の中心軸における取付け部も備えている。取付け部は、1つまたは複数のガス導管がスピンドルの1つまたは複数のガス通路に連通するように、ウエハ処理装置のスピンドルに離脱可能に係合してウエハキャリアをスピンドル上に保持するように、適合されている。例えば、取付け部は、スピンドルを受け入れるために、下向き方向に開いた凹部を画定しているとよく、1つまたは複数のガス導管は、該凹部に連通しているとよい。ウエハ保持特徴部は、本体の上面内に複数のポケットを備えているとよく、上記の通路がこれらのポケットに連通しているとよい。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、ウエハ処理装置が提供されている。本発明のこの態様によるウエハ処理装置は、望ましくは、処理チャンバと、該チャンバ内に上下方向に延在する軸の周りに回転するように取り付けられたスピンドルと、を備えている。スピンドルは、望ましくは、スピンドルの上端に隣接する開口を有するガス通路を有している。スピンドルの上端は、ウエハキャリアがスピンドルに機械的に接続されるように、かつウエハキャリアのガス導管がガス通路の開口に連通するように、ウエハキャリアに離脱可能に係合するように適合されている。例えば、スピンドルは、前述したウエハキャリアの取付け部と相補的な取付け部を有しているとよい。本装置は、望ましくは、スピンドルのガス通路に連通する入口を有する回転接続具を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による化学蒸着装置を示す、簡略化した模式断面図である。
【
図2】ウエハと併せて
図1−3の装置の要素を示す、略部分断面図である。
【
図3】
図1の装置に用いられる要素の略上面図である。
【
図4】
図2の要素の一部を示す、略部分上面図である。
【
図5】異なる運転条件下にある
図2に示されている装置の要素およびウエハを示す、
図4と同様の図である。
【
図6】
図1−5の装置に用いられるいくつかの信号を示すグラフである。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態による装置の構成要素を示す、略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態による化学蒸着装置は、反応チャンバ10を備えている。反応チャンバ10は、該チャンバの一端に配置されたガス分配要素12を有している。ガス分配要素12を有するこの端は、本明細書において、チャンバ10の「上(top)」端と呼ばれている。チャンバのこの端は、典型的には、しかし必ずしも必須ではないが、通常の重力座標系においてチャンバの上端に配置されている。従って、重力の上下方向に沿っているかどうかに関わらず、本明細書に用いられる下向き方向は、ガス分配要素12から離れる方向を指しており、上向き方向は、チャンバ内においてガス分配要素12に向かう方向を指している。同様に、要素の「上(top)」面および「底(bottom)」面は、本明細書では、チャンバ10および要素12の座標系を基準として記述されている。
【0014】
ガス分配要素12は、ウエハ処理プロセスに用いられる処理ガス、例えば、キャリアガスおよび有機金属化合物、V族金属の源のような反応ガスを供給するために、供給源14a,14b,14cに接続されている。ガス分配要素は、種々のガスを受け入れ、処理ガスの流れを略下向き方向に導くように、構成されている。ガス分配要素12は、望ましくは、冷媒システム16にも接続されている。冷媒システム16は、運転中にガス分配要素の温度を所望の温度に維持するために、液体をガス分配要素内に循環させるように構成されている。チャンバ10の壁を冷却するために、同様の冷媒装置(図示せず)が設けられていてもよい。チャンバ10は、排気システム18も備えている。排気システム18は、ガス分配要素からガスが下向き方向に連続的に流れることを可能にするために、使用済みガスをチャンバの内部からチャンバの底またはその近くのポート(図示せず)を通して除去するように構成されている。
【0015】
スピンドル20が、該スピンドルの中心軸22を上下方向に延ばして、チャンバ内に配置されている。スピンドルは、従来式の回転貫通装置25によって、チャンバに取り付けられている。貫通装置25は、スピンドルが、スピンドルとチャンバ10の壁との間の密封を維持しながら、軸22の周りに回転することができるように、軸受およびシール(図示せず)を組み入れている。スピンドルは、その上端、すなわち、ガス分配要素12に最も近いスピンドルの端に、取付け部24を有している。以下にさらに説明するように、取付け部24は、ウエハキャリアに離脱可能に係合するように適合されている。図示されている特定の実施形態では、取付け部24は、スピンドルの上端に向かって徐々に細くなって平坦な上面で終端する略載頭円錐要素である。載頭円錐要素は、円錐台の形状を有する要素である。スピンドル20は、該スピンドルを軸22の周りに回転させるように構成された電動モータ駆動装置のような回転駆動機構26に接続されている。
図2に最もよく示されているように、スピンドル22は、該スピンドルの上端に隣接する取付け部24の開口30で終端する内部ガス通路28を有している。
【0016】
スピンドルは、ガス入口ポート38を有している。ガス入口ポート38は、スピンドルの上端から遠く離れた位置、具体的には、チャンバ10および貫通装置25の下方の位置において、ガス通路28に連通している。回転接続アセンブリ40が、ポート38を囲む空間42を画定しており、これによって、ポート38は、スピンドルの回転中、空間42に連通している状態を維持している。この回転接続具は、入口44を有している。入口44は、空間42に、従って、スピンドルのポート38およびガス通路28に連通している。この回転接続具は、空間42を外部環境から隔離する従来式シール46も備えている。これらのシールは、説明を簡単にするために、簡単なOリングとして図式的に描かれているが、どのような従来式のシールであってもよい。
【0017】
回転接続具40の入口44は、充填ガス供給源48a,48bに接続されている(
図1)。これらの供給源は、互いに異なる熱伝導率を有する互いに異なる2種類のガス成分を供給するように構成されている。供給源48a,48bの各々からのガスの流れを独立して調整するために、流量制御要素50a,50bが設けられている。流量制御要素は、制御システム52の信号出力部に接続されている。流量制御要素は、運転中に制御システム52によって与えられた制御信号に応じて調整可能となるように、構成されている。例えば、流量制御要素48a,48bは、回転接続具40と供給源48a,48bとの間の接続部に設けられた従来式の電気制御可能な弁または質量流量制御装置であってもよい。しかし、制御信号に応じてガス源からの流れを調整するのに用いられるどのような他の要素が用いられてもよい。
【0018】
スピンドルは、内部冷媒通路54,56も備えている(
図2)。内部冷媒通路54,56は、ガス通路28内において、スピンドルの略軸方向に延在している。内部冷媒通路は、さらに他の回転接続具58(
図1)を介して冷媒源60に接続されており、これによって、流体冷媒は、冷媒源から冷媒通路を通って冷媒源に循環することができる。冷媒源60は、循環する冷媒の温度および流量を調整するための従来式の装置を備えているとよい。
【0019】
加熱要素70が、スピンドル20の取付け部24の下の部分を包囲して、チャンバ内に取り付けられている。チャンバは、副チャンバ76に通じる入口開口72および該入口開口を開閉するためのドア74も備えている。ドア74は、
図1に概略的にしか描かれていず、ドアがチャンバ10の内部を副チャンバ76から隔離する実線で示された閉位置と破線74’で示された開位置との間で移動可能なものとして示されている。ドア74は、該ドアを開位置と閉位置との間で移動させるための適切な制御・作動機構を備えている。実際には、ドアは、例えば、米国特許第7,276,124号に開示されているような上下方向に移動可能なシャッターを備えているとよい。なお、この特許の開示内容は、参照することにより本明細書の一部となすものとする。本装置は、装填機構(図示せず)をさらに備えている。装填機構は、ウエハキャリアを副チャンバ76からチャンバ内に移動させ、作動状態にあるスピンドルに係合させることができると共に、ウエハキャリアをスピンドルから外し、副チャンバ内に移動させることができるようになっている。
【0020】
本装置は、複数のウエハキャリア80も備えている。
図1に示されている作動状態では、第1のウエハキャリア80aがチャンバ10内の作動位置に配置されており、第2のウエハキャリア80bが副チャンバ76内に配置されている。各ウエハキャリア80は、本体82を備えている。本体82は、中心軸84を有する実質的に円形ディスクの形態にある(
図2,3)。
図2に示されている作動位置では、ウエハキャリア本体の中心軸84は、スピンドルの軸22と一致している。本体82は、単一片として形成されていてもよいし、または複数片の複合体として形成されていてもよい。例えば、米国特許出願公開第2009/0155028号に開示されているように、ウエハキャリア本体は、中心軸84を囲む本体の小領域を画定するハブ86、およびディスク状本体の残りを画定する大きな部分を備えていてもよい。本体は、望ましくは、プロセスを汚染させずに、プロセス中に受ける温度に耐えることができる材料から形成されている。例えば、ディスクの大きな部分は、黒鉛、炭化ケイ素、または他の耐火材料のような材料から大半または全体が形成されているとよい。本体は、略平面状の上面88および底面90を有しており、これらの面は、互いに略平行にかつディスクの中心軸84と略直交して延在している。本体は、複数のウエハを保持するように適合された複数のウエハ保持特徴部も有している。
【0021】
図2,3,4に最もよく示されているように、各ウエハ保持特徴部は、上面88から下向きに本体内に延在する略円形ポケット92を備えている。各ポケットは、上面88の周囲部分の下方に配置された床面94を有している。各ポケットは、床面を包囲してポケットの周辺を画定する周囲壁面96も有している。周囲壁面96は、本体の上面88から床面に向かって下方に延在している。
図2に最もよく示されているように、周辺壁面は、少なくとも周囲の一部にわたって、ポケットの中心から離れるように外方に傾斜しているとよい。特に、ウエハキャリアの中心軸84から最も遠い周囲壁面の部分は、望ましくは、床面94に向かう下向きの方向においてウエハキャリアの中心軸84から離れるように外方に傾斜している。各ポケット90は、複数の互いに離間した支持体98も備えている。これらの支持体98は、床面94から上方に延在し、床面の上方でかつウエハキャリア本体の主上面88の下方で終端している。
【0022】
ウエハキャリアは、中心軸84の位置に取付け部100も備えている。取付け部100は、スピンドルの取付け部24に係合するように構成されている。取付け部100は、下向き開端102を有する載頭円錐状凹部100を備えている(
図2)。載頭円錐状凹部は、上向き方向に徐々に小さくなっており、その上端104で閉鎖されている。載頭円錐状取付け部100は、スピンドルの雄型載頭円錐状取付け部24の狭角よりもいくらか大きい狭角を有している。図示されている作動状態では、スピンドルの載頭円錐状取付け部24が、ウエハキャリアの取付け部100内に係合し、略円形の係合線に沿ってウエハキャリアに当接している。この構成によって、ウエハキャリアの安定した取付けがもたらされ、その結果、ウエハキャリアは、定位置にしっかりと固定して保持されるが、ウエハキャリアを軸22に沿って上方に持ち上げることによって、離脱可能になっている。係合位置において、スピンドルの雄型取付け部24は、雌型取付け具100の上端104の下方で終端しており、これによって、スピンドルの上端とウエハキャリアの取付け部の上端104との間に空間106がもたらされることになる。取付け部間の係合によって、空間106とチャンバ内の包囲内部空間との間に実質的に液密シールが得られることになる。この係合線に完全無欠なシールをもたらすことは、必ずしも必要ではない。
【0023】
ウエハキャリアの構造は、ウエハキャリア内に略水平に延在する複数の導管108を画定している。導管108は、取付け部100の上壁104に隣接する開口110を介して取付け部100の内部に連通している。作動状態では、取付け部24がウエハキャリアに係合しているので、開口110は、スピンドルの上端と取付け部100の上端との間に画定された空間106に連通している。導管108は、入口ポート112を介してポケット90にも連通している。
図2,4に最もよく示されているように、各ポケット92は、入口ポート112を有している。入口ポート112は、ポケットの中心に隣接して、好ましくは、ポケットの中心において、ポケットの床面94内に開いている。
図3に描かれている導管108のパターンは、図式的なものにすぎない。実際には、導管は、1つのポケットに延在する導管が他のポケットの下方を通らないように、配列されているとよい。また、これらの導管は、分岐されていてもよい。ポケットごとに取付け部に個々の開口110を設ける必要はない。多数のポケットに接続された導管が、単一ポート110に接続されていてもよい。
【0024】
本装置は、温度監視装置120をさらに備えている。温度監視装置120は、プロセス中に処理されるウエハの表面温度を監視し、プロセス中にウエハを横切る表面温度の分布を表す信号をもたらすように、構成されている。温度監視装置は、チャンバに取り付けられるかまたは図示されているようにガス分配要素12に取り付けられたパイロメーター122を備えているとよい。図示されている特定の実施形態では、温度監視装置は、2つのパイロメーター122a,122bを備えている。パイロメーター122aは、ディスク状キャリア本体82の周辺に隣接して配置されたポケット内に収容されたウエハの表面を横切る温度分布を監視するように、構成されている。パイロメーター122bは、中心軸84に隣接して配置された内側ポケット92に収容されたウエハの表面温度分布を監視するように、構成されている。パイロメーター自体は、従来形式の器具、例えば、ニュヨーク、プレーンビューのVeeco Instrument 社から「REALTEMP
TM」の商標で市販されているものであるとよい。パイロメーターは、望ましくは、監視されている表面の放射率を補正するように、構成されている。例えば、各パイロメーターは、監視されている点から放出される放射線を表す第1の信号およびその点の放射率を表す第2の信号を送達するように構成されているとよい。パイロメーターからの信号は、制御システム52に転送されるようになっている。以下にさらに説明するように、制御システム52は、ポケット内に収容されたウエハの周辺とウエハの中心との間の温度差を表す信号を取り出すように、構成されている。このような信号は、全てのポケット内に収容された種々のウエハの全てにわたる平均的な差を表す総合信号であってもよい。制御システムは、所望の値に対する総合温度差信号の偏差を表す誤差信号を取り出し、以下にさらに説明するように、該誤差信号に応じて流量制御要素50a,50bを制御するように、さらに構成されている。
【0025】
運転に際して、ウエハ124、例えば、サファイア、炭化ケイ素、または他の結晶質基板から形成されたディスク状ウエハが、各ウエハキャリアの各ポケット90内に配置される。典型的には、ウエハは、その主面の寸法と比較して小さい厚みを有している。例えば、約2インチ(50mm)の直径の円形ウエハは、約430μm以下の厚みを有しているとよい。
図2に最もよく示されているように、ウエハは、上面126を上向きにし、該上面がウエハキャリアの上端に露出するように、配置されている。ウエハの反対側の底面128は、その周辺が支持体98上に置かれている。支持体は、該底面の小さい部分のみに係合している。該底面の残りは、ポケットの床面94と直接対向しているが、ウエハの底面128とポケットの床面94との間に間隙130が生じるように、床面の上方に持ち上げられている。2つの面に関してこの開示に用いられている「直接対向する(directly confront)」という用語は、当該面の1つの少なくとも一部に対して、当該面間にどのような固体も介在していないことを意味している。換言すれば、1つの面と直交する線が、どのような固体も通ることもなく、その面から他の面に延在することを意味している。例えば、支持体98から離れてウエハ124の底面128と直交する線132は、どのような固体を通ることもなく、床面94まで延在している。間隙130は、ウエハの縁とポケットの周囲壁96との間の小さい空間131を介して、ウエハキャリアの外部、従って、チャンバ10内の雰囲気に連通している。
【0026】
運転に際して、本発明の実施形態によるプロセスでは、ウエハが装填されたウエハキャリア80が、副チャンバ76からチャンバ10内に装填され、
図1,2に示されている作動位置に配置される。この状態では、ウエハの上面は、ガス注入構造体12に向かって上方を向いている。加熱器70が作動され、スピンドル20、従って、ウエハキャリア80を軸22の周りに回転させるために、回転駆動装置26が作動される。典型的には、スピンドルは、約50−1500回転/分の回転速度で回転されるようになっている。ガスをガス注入要素12を介して供給するために、処理ガス供給ユニット14a,14b,14cが作動される。これらのガスは、ウエハキャリアに向かって下方に流れ、ウエハキャリアの上面88およびウエハの上面126を通り、ウエハキャリアの周囲を回って、出口および排気システム18に向かって下方に流れる。従って、ウエハキャリアの上面およびウエハの上面は、種々の処理ガス供給ユニットによって供給された種々のガスの混合物を含む処理ガスに晒されることになる。最も典型的には、上面における処理ガスは、その大部分がキャリアガス供給ユニット14bによって供給されたキャリアガスから構成されている。典型的な化学蒸着プロセスでは、キャリアガスは、窒素であるとよく、従って、ウエハキャリアの上面における処理ガスは、いくらかの反応ガス成分を含む窒素から主に構成されている。
【0027】
充填ガス供給ユニット48aは、第1の充填ガスを供給し、第2の充填ガス供給ユニット48bは、異なる充填ガスを供給する。充填ガスは、充填ガスの少なくとも一種が処理ガスと異なる熱伝導率を有するように、かつ互いに異なる2種類の充填ガスが互いに異なる熱伝導率を有するように、選択されている。好ましくは、充填ガスは、所望の反応を妨げないように選択されている。典型的な化学蒸着反応では、充填ガス供給ユニット48aによって充満される第1の充填ガスは、水素、ヘリウム、またはそれらの混合物であるとよく、ユニット48bによって充満される第2の充填ガスは、窒素であるとよい。水素およびヘリウムは、窒素よりもかなり高い熱伝導率を有している。
【0028】
充填ガスは、流量制御要素50a,50bを通過し、回転接続具40を通ってポート38(
図2)内に入り、ガス通路28内を出口30に向かって上方に流れながら、互いに混合されることになる。混合された充填ガスは、互いに嵌合している取付け部24,100によって画定された空間106内に入り、ポート110、導管108、およびポート112を通って、ウエハ底面128とポケット床面94との間の間隙130内に入る。充填ガスの一部は、ウエハの周囲を回って漏出する。また、充填ガスの一部は、互いに嵌合している取付け部24,100間の小さい漏れ口を通って、空間106から漏れることもある。しかし、互いに嵌合している取付け部から漏れるどのような充填ガスも、ウエハキャリアの底面90から下方に流れ、これによって、プロセスに実質的に悪影響を与えることなく、排気システム18によってシステムから外に取り出される。ウエハ底面と床面との間の間隙130は、充填ガスを含むと共に処理ガスの一部も含むことがあるガスによって充填されることになる。
【0029】
ウエハキャリア内に入る充填ガス混合物は、第1の充填ガスの一部を含んでいるので、この充填ガス混合物は、熱伝導率に関して処理ガスと異なっている。第1の充填ガスが処理ガス内に含まれるキャリアガスよりもかなり高い熱伝導率を有するガスを含む場合、この充填ガス混合物は、典型的には、処理ガスの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有することになる。充填ガスの流量は、間隙130内の充填ガスがウエハを支持体98から持上げないように十分少なくなっている。換言すれば、充填ガスの流入は、間隙130内のガス圧を高める傾向にある。しかし、ウエハの縁の周りの空間131によって、充填ガスは、ポケットから漏出することができる。従って、ポケット内の圧力は、該圧力がウエハを支持体から持ち上げるほど大きくならない。単なる例示にすぎないが、4インチ(100mm)の直径のウエハを処理するシステムの場合、ポケットは、100mmの直径よりもいくらか大きく、各ポケット内への充填ガスの全流量は、典型的には、約100sccm(標準状態における流量(cc)/分)よりも小さい。
【0030】
加熱器70は、主に輻射熱伝達によって、熱をウエハキャリアの底面90に伝達するようになっている。ウエハキャリアの底面に印加された熱は、ウエハキャリアの本体82内をウエハキャリアの上面88に向かって上方に流れる。また、本体内を上方に流れる熱は、間隙130内を各ウエハの底面128に向かって上方に流れ、次いで、ウエハ内をウエハの上面126に向かって上方に流れる。熱は、ウエハキャリアの上面88およびウエハの上面126から処理チャンバの温度の低い要素、例えば、処理チャンバの壁およびガス注入要素12に放射される。また、熱は、ウエハキャリアの上面88およびウエハの上面126から、これらの表面を横切る処理ガスにも伝達される。ウエハの上面126の温度は、ウエハキャリアの中実の本体82および間隙130を通る熱伝達とウエハの上面からの熱伝達との間の平衡を表している。間隙130におけるガスの熱伝導率は、本体82を構成する固体材料の熱伝導率よりも小さい。従って、ウエハキャリア上面88がウエハ上面の放射率と同じかまたは小さい放射率を有している場合、各ウエハ上面126の温度は、ウエハキャリアのウエハを包囲している上面88の温度よりも低い値になる傾向にある。ウエハの縁に隣接するウエハキャリアの領域は、ウエハキャリアの周辺の高温部分によって加熱されることになる。これによって、ウエハの縁領域が中心領域よりも高温になる不均一な表面温度分布が生じる傾向にある。逆に、ウエハキャリア上面がウエハ表面の放射率よりもかなり大きい放射率を有している場合、ウエハキャリアの上面は、ウエハの上面よりも温度が低くなり、これによって、逆の結果をもたらす傾向にある。
【0031】
ウエハの及ぶ範囲を横切る間隙の高さhのバラツキによって、熱伝達のバラツキが生じることがある。例えば、
図5に示されているように、中心が上方に湾曲したウエハは、ウエハ中心における間隙高さhcがウエハ縁における間隙高さheよりも大きい間隙130をもたらすことになる。中心における間隙の熱抵抗が増大し、これによって、中心におけるウエハ底面128に対する単位面積当たりの熱伝達の比率が、縁におけるよりも低くなる。これによって、中心におけるウエハ上面126の温度は、縁におけるウエハ上面126の温度よりも低くなる傾向にある。ウエハがその中心において下方に湾曲している場合、逆の効果が生じる。間隙の中心における高さhcは、間隙の縁における高さheよりも小さい。また、ポケットの床面94の非平面性によっても、同様の効果が生じる可能性がある。
【0032】
さらに、不均一性パターンは、処理中に変化する傾向にある。例えば、プロセスが基板の上面での化学蒸着およびエピタキシャル成長を含んでいる場合、堆積された材料は、ウエハ材料のものと異なる拘束されていない法線格子面間隔を有することがある。これによって、上面に圧縮変形または引張変形を生じさせ、ウエハの湾曲をもたらす傾向にある。ウエハ上面の放射率も、プロセス中に変化することがある。
【0033】
パイロメーター122a,122bが、プロセス中にウエハキャリアおよびウエハからの放射を監視するようになっている。軸22を中心とするウエハキャリアの回転によって、ウエハキャリア上面およびウエハ上面の連続的な部分が各パイロメーターと真っ直ぐに並ぶので、該パイロメーターからの信号は、変化することになる。パイロメーターによって監視されている表面からの放射を表す信号の変動の典型的なパターンが、
図6に示されている。このパターンでは、ウエハキャリアの上面88は、ウエハの上面126よりもかなり高い放射率を有している。このような放射率の差は、ウエハキャリアとウエハとの間のどのような温度差よりも大きい。従って、ウエハキャリア表面88の一部がパイロメーターと真っ直ぐに並んだときに得られる該表面から放出された放射線を表す信号S
88は、ウエハ上面126がパイロメーターと真っ直ぐに並んだときに得られる対応する信号S
126よりも大きい値を有している。その結果、パイロメーターからの信号は、その大きさが段階的に変化する繰返しパターンを含むことになる。これらの変化を検出することによって、制御システム52は、ウエハキャリア上面からの放射を表す信号S
88の部分とウエハ上面からの放射を表す信号S
126の部分とを識別することができる。単なる例示にすぎないが、簡単な一構成では、制御システムは、連続的なサンプリング期間Isにおいて信号を採取し、所定値よりも大きい信号の段階的な減少の後かつ信号の段階的な増大の前に生じたサンプルのみを、個々のウエハから採取されたサンプルを表すものとして、従って、ウエハ表面からの放射を表すものとして取得するようになっている。次いで、制御システムは、個々のウエハからの一組のサンプルを処理し、温度変動のパターンを決定するとよい。制御システムは、該組の最初の1つまたは複数のサンプル、該組の最後の1つまたは複数のサンプル、またはそれらの両方をウエハの縁領域の放射を表すものとして選択し、該組の中間における1つまたは複数のサンプルをウエハの中心部分からの放射を表すものとして選択するとよい。これらの信号は、パイロメーターからの放射率信号を従来の手法によって組み入れることによって、ウエハの温度に変換されるとよい。制御システムは、ウエハの中心と縁との間の差ΔTを計算してもよい。温度差は、ある大きさを有しており、ウエハの中心が縁よりも温度が高いかまたは低いかを示す(正または負の)記号を有している。種々のウエハに対する温度差信号を、(例えば、これらの信号の平均値または中央値を計算することによって)、数学的に組み合せ、全てのウエハの平均温度差を表す総合信号を得ることができる。この信号を温度差の所望の値(通常、0)と比較し、これによって、誤差信号を導くことができる。
図6に示されている特定の例では、ウエハの中心は、ウエハの縁よりも温度が低く、従って、差ΔTは、正である。
【0034】
制御システムは、総合誤差信号に応じて、充填ガス混合物の組成、流量、またはそれらの両方を変化させ、これによって、ウエハとポケットの床面との間の間隙130内の充填ガスの組成を変化させる。例えば、総合誤差信号が(ウエハの中心が縁よりも温度が低いことを示す)正の場合、制御システムは、流量制御装置50a,50bを作動させ、充填ガス混合物の全流量を一定に維持しながら、第1の充填ガス源48からの比較的高伝導率の充填ガスの比率を大きくし、これによって、ポケット130内に存在する混合充填ガスの熱伝導率を高めることができる。これは、ウエハ上面126の中心部分の温度をウエハ上面の周辺部分に対して高める傾向にある。この効果は、異なる機構によって得られてもよい。比較的低い充填ガス流量では、各ポケット130内に濃度勾配が存在する。ウエハの縁の近くでは、ポケット内への処理ガスの拡散によって、処理ガスの一部がポケットに供給された充填ガスと混合する。処理ガスが異なる熱伝導率を有しているので、ポケットの縁領域における混合ガスは、ポケットの中心における実質的に純粋な充填ガスと異なる熱伝導率を有することになる。例えば、充填ガスが処理ガスよりも高い熱伝導率を有している場合、ポケットの中心領域におけるガスは、ポケットの縁領域におけるガスよりも高い熱伝導率を有することになる。この効果は、充填ガスにおける高伝導率ガス成分の比率を高めることによって、強めることができる。ポケットの中心における充填ガスの高伝導率は、ウエハ中心の温度を縁領域の温度に対して高め、これによって、温度差を緩和する傾向にある。温度変動のパターンが
図6に示されているものと逆の場合、すなわち、中心領域が縁領域よりも温度が高い場合、制御システムは、逆の動作を行い、低伝導率の充填ガス成分の比率を高めるとよい。
【0035】
制御システムは、充填ガス混合物の流量を変化させてもよい。この効果によって、前述した濃度勾配の変化を生じさせることができる。高流量の場合、中心ポート112を通して供給された充填ガス混合物の流量が増大することによって、ポケット内への処理ガスの拡散の効果を大幅に弱め、これによって、濃度勾配を低減させることになる。逆に、低流量の場合、濃度勾配を高め、これによって、ポケットの中心領域のガスとポケットの周辺領域のガスとの間の熱伝導率の差を大きくすることができる。他の状況では、充填ガスの流量を高めると、他の機構によって、ウエハの表面温度に悪影響を与えることがある。導管108を通ってウエハキャリアの本体内に入るガス流は、本体の周囲部分と熱平衡に達する傾向にある。中心ポート112を通ってポケットに入る充填ガスの温度は、ポケット130内の他のガスの温度よりもいくらか高くなっているとよい。この効果によって、ウエハの中心への熱伝達を高め、これによって、ウエハの中心領域の温度をウエハの縁領域の温度に対して高めることができる。充填ガスの組成を変化させることによって、充填ガスの比熱を変化させ、これによって、温度分布に対する充填ガスの効果を変化させてもよい。
【0036】
本発明は、運転に関するどのような理論にも制限されるものではない。所定の大きさおよび形状のウエハキャリアに対して、および所定の大きさのウエハに対して、充填ガス組成、充填ガス流量、またはそれらの両方を変化させる効果は、再現可能である。充填ガス流量、充填ガス組成、またはそれらの両方の特定の変化によって、ウエハの中心の表面温度は、ウエハの縁の表面張力に対して再現可能に上昇または下降する傾向にある。その結果、種々の変化の効果を実験によって決定することができ、従って、制御システムをプログラム化することができる。すなわち、もし総合誤差信号が、ウエハの中心の表面温度がウエハの周辺の表面温度よりも高いことを示した場合、制御システムは、実験によってウエハの中心における温度を低下させるように決定された手法によって、充填ガスの流量、組成、またはそれらの両方を変化させることになる。もし総合誤差信号が、逆の補正を必要とすることを示した場合、制御システムは、実験によって逆の効果をもたらすように決定された充填ガス流量、充填ガス組成、またはそれらの両方の変化をもたらすように、流量制御装置50a,50bに指令を出すことになる。
【0037】
従って、制御システムは、動的に機能することができ、処理中に充填ガス流量、充填ガス組成、またはそれらの両方を経時的に変化させ、処理中に望ましくない表面温度の差を効果的に抑えることができる。ウエハは、比較的薄く、低熱慣性を有しているので、システムの応答時間は、処理の時間尺度および望ましくない温度変動の時間尺度と比較して、比較的短い。
【0038】
プロセスは、ウエハの望ましい処理が完了するまで、継続される。プロセス中、制御システム52は、前述したように、充填ガスの流量、組成、またはそれらの両方を継続して動的に変化させることができる。いったんプロセスが完了したなら、ウエハキャリア80は、スピンドルから取り外され、新しいウエハキャリアに取り換えられる。
【0039】
取外し可能なウエハキャリアのウエハ支持領域に充填ガスを供給する装置の能力は、著しい利点をもたらす。例えば、米国特許第6,685,774号および米国特許出願公開第2009/0155028号において検討されているように、ウエハキャリアおよびスピンドルの互いに嵌合している取付け部は、容易な取外し性および着座性をもたらし、また安定した接続をもたらす。なお、これらの特許の開示内容は、引用することにより本明細書の一部となすものとする。取外し可能なウエハキャリアを用いることによって、プロセスを連続させながら、ウエハを運ぶことができる。ウエハは、チャンバが他のキャリアによって運転している間に、装脱することができる。さらに、キャリアは、容易に清浄可能である。前述したように、ガス流接続具は、取外し可能なウエハキャリアへのガス流の効果的な接続を可能にしながら、これらの利点を維持する。
【0040】
前述した特徴の多数の変更および組合せが用いられてもよい。ウエハキャリアは、図示されかつ前述した数よりも多いかまたは少ないウエハ支持領域を備えていてもよい。ウエハ支持領域の形態が変更されてもよい。制御システムは、前述した方法と異なる方法によって、ウエハからの放射を表す信号とウエハキャリアからの放射を表す信号とを識別するようになっていてもよい。例えば、プロセス中にウエハキャリアの回転位置がスピンドルに対して一定に維持されるようになっていてもよい。従って、制御システムは、スピンドルの回転位置を表す信号を受信し、これらの信号を用いて、パイロメーターからの放射信号のどのサンプルがウエハの縁を表し、またどのサンプルがウエハの中心を表すかを決定することができる。
【0041】
プロセス中に温度変動のパターンを監視することは、必ずしも必要ではない。所定の組成および厚みを有するウエハおよび所定形状のウエハキャリアを用いる所定のウエハ処理プロセスの場合、補正措置を行わないプロセス中に生じる温度不均一のパターンは、再現性を有している。従って、充填ガスの流量、組成、またはそれらの両方の経時的な変化の所定のパターンは、表面温度分布のこれらの望ましくない変動を抑止する傾向がある。このパターンは、例えば、前述したような監視を行う機器を用いる試験的なプロセスを実行し、充填ガスの組成、流量、またはそれらの両方の変化のパターンを記録することによって、実験的に決定することができる。すなわち、このパターンは、温度変動のパターンを能動的に監視することなく、制御システムによって再現可能である。さらに他の変更例では、充填ガスの流量、組成、またはそれらの両方の経時的な変化のパターンは、いくつかの異なるパターンを用いてウエハを処理し、これらのウエハの特性を測定し、最も良好な特性を与えるパターンを選択することによって、選択されてもよい。例えば、プロセス中に、1つまたは複数の特性、例えば、光ルミネッセンス波長、半導体のシート抵抗、表面形態、または表面温度に関連する他の特性が、第1のパターンを用いるプロセスにおいて形成された各ウエハの複数の点において測定されてもよい。充填ガスの組成および流量の経時的なパターンは、ウエハの観察された特性の変化に基づいて調整可能である。この手順は、所望の結果が得られるまで、繰り返されるとよい。
【0042】
例えば、本発明の譲渡人に譲渡された同時係属中の米国仮特許出願第61/190,494号および米国特許出願第12/549,768号に記載されているように、ポケットの底面は、平坦でない表面を有していてもよい。なお、この開示内容は、引用することにより本明細書の一部となすものとする。例えば、ポケットの底面の中心がいくらか高くなっているとよく、これによって、平坦なウエハの中心に縁よりも小さい間隙をもたらすことができる。また、‘494出願に記載されているように、ウエハキャリアの底面は、各ポケットを支持する領域にウエハキャリア本体の熱抵抗の差をもたらすような非平面特徴部を有していてもよい。さらに他の変更例では、ウエハキャリア本体は、キャリア本体の周囲材料よりも高い熱抵抗をインターフェースにもたらすように、多数片から形成されていてもよい。このような構成は、例えば、米国特許出願第2007/0186853号に記載されている。この開示内容は、引用することにより本明細書の一部となすものとする。
【0043】
さらに他の変更例では、スピンドル、ウエハキャリア、またはそれらの両方の充填ガス送達特徴部は、種々の流量の充填ガスをウエハキャリアの種々のウエハ保持領域にもたらすように、変更されてもよい。
図7に示されるように、例えば、各ウエハキャリアの取付け部200は、前述した取付け部100と同様の略載頭円錐状の取付け部であるとよい。ウエハキャリアは、取付け部の頂部の近くの第1の組のポートに接続された第1の組の導管208を備えているとよい。これらの導管は、第1の組のウエハ保持領域、例えば、ウエハキャリアの中心軸の近くの第1の組のポケットに接続されているとよい。ウエハキャリアは、第2の組のポート211に接続された第2の組の導管209も備えているとよい。第2の組のポート211は、第1の組のポートから軸方向に離間した箇所、例えば、取付け部の上面204から遠く離れた箇所において、取付け部内に開いている。導管209は、望ましくは、第2の組のウエハ支持領域、例えば、ウエハキャリアの周辺近くの一組のポケットに接続されている。スピンドル220は、
図2を参照して前述した取付け部24と同様の略載頭円錐状の雄取付け部224も備えているとよい。取付け部224は、スピンドルの中心軸222の周りに周方向に延在する溝225を有しているとよい。このスピンドルは、溝225に連通する出口ポート231を有する第2のガス通路229を備えているとよい。第1および第2のガス通路228,229は、個別の回転接合部(図示せず)を介して、個別の組の充填ガス制御要素に接続されている。取付け部200,224が互いに係合され、スピンドル上のウエハキャリアが作動状態にあるとき、第1の組のポート210および第1の組の導管は、取付け部224の上端と取付け部100の上面との間の空間に連通し、これによって、第1の充填ガス通路に連通することになる。導管209は、取付け部内の凹部または溝225に連通し、これによって、第2の充填ガス通路229に連通することになる。従って、互いに異なる組のウエハ支持領域に充満される充填ガスは、独立して調整可能である。
【0044】
さらなる変更形態では、2つ以上の区域が設けられていてもよい。前述した載頭円錐状取付け部以外の離脱可能な取付け部が用いられてもよい。例えば、前述した米国特許第6,685,774号および米国特許出願公開第2009/0155028号に示されているような異なる取付け部が用いられてもよい。
【0045】
本発明は、種々のウエハ処理プロセス、例えば、ウエハの化学蒸着、化学エッチング、などに適用可能である。
【0046】
前述した特徴のこれらおよび他の変更または組合せが用いられてもよく、従って、好ましい実施形態の前述の説明は、請求項によって定義される本発明の制限を意図してなされたものではなく、単なる例示としてなされたものである。