特許第5882933号(P5882933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5882933接着剤組成物、接着物品、及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882933
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】接着剤組成物、接着物品、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/02 20060101AFI20160225BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20160225BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20160225BHJP
   C09J 11/02 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   C09J133/02
   C09J133/04
   C09J7/00
   C09J11/02
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-55620(P2013-55620)
(22)【出願日】2013年3月18日
(62)【分割の表示】特願2009-516679(P2009-516679)の分割
【原出願日】2007年6月19日
(65)【公開番号】特開2013-155377(P2013-155377A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年4月15日
(31)【優先権主張番号】60/815,078
(32)【優先日】2006年6月20日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ,マイケル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ラペレ,ジェイムズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,スコット アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジェネン,ジェイ エム.
【審査官】 ▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−521544(JP,A)
【文献】 特開2004−263165(JP,A)
【文献】 特表2008−500406(JP,A)
【文献】 特開2001−164221(JP,A)
【文献】 特開2002−372619(JP,A)
【文献】 米国特許第05100963(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 133/02
C09J 7/00
C09J 11/02
C09J 133/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤組成物の層を含む接着物品であって、
(i)1つ以上のモノマーAと1つ以上のモノマーBとの重合で得られる第1のアクリルコポリマーであって、150,000〜600,000の範囲にある数平均分子量Mを有する、ポリマーと、
(ii)1つ以上のモノマーCと1つ以上のモノマーDとの重合で得られる第2のアクリルコポリマーであって、10,000〜70,000の範囲にある数平均分子量Mを有する、ポリマーと、
のブレンドを含み、
前記モノマーA及びモノマーCが、炭素原子数1〜20個のアルキル基を有する、非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルから選択される1つ以上のモノマーを含み、
前記モノマーB及びモノマーDが、アクリル酸、メタクリル酸、又は炭素原子数1〜20個のアルキル基を有する他の不飽和酸から選択される1つ以上のモノマーを含み、
前記モノマーB及びモノマーDが、水素結合可能である少なくとも1つの反応性基を有し、前記第2のアクリルコポリマーが、前記第2のアクリルコポリマーの総重量に基づいて、合計で12重量部以上のモノマーDを含み、そして前記第2のアクリルコポリマー中の前記モノマーDの合計の重量部が、前記第1のアクリルコポリマー中の前記モノマーBの合計の重量部より多く、
前記接着剤組成物が硬化された、発泡体の層であり、そして前記発泡体の層が微小球を含
前記接着剤組成物が、電子ビーム照射への曝露後に70℃での応力緩和試験による測定において、0.10〜0.30の応力緩和比G(300)/G(0.1)を有し、
前記接着物品が、500gの吊り下げ荷重を70℃において少なくとも10,000分維持することによる静的剪断試験に合格する、接着物品。
【請求項2】
前記接着物品の密度が、0.30g/cc〜0.80g/ccである、請求項1に記載の接着物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高分子量のアクリルコポリマーと低分子量のアクリルコポリマーとを含む接着剤組成物に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様では、本開示は、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとのブレンドを含む接着剤組成物を目的とする。一つの代表的な実施形態では、接着物品は、モノマーAとBの重合から得られる第1のアクリルコポリマーのブレンドを含み、(i)前記第1のアクリルコポリマーは、少なくとも約150,000の数平均分子量M(又は少なくとも約450,000の重量平均分子量M)を有し、そして(ii)モノマーBは、水素結合可能である反応性基を少なくとも1つ有する。第2のアクリルコポリマーはモノマーCとDの重合から得られ、(i)第2のアクリルコポリマーは、約70,000未満の数平均分子量Mは(又は約100,000未満のM)を有し、(ii)モノマーDは、水素結合可能である少なくとも1つ反応性基を有し、そして(iii)第2のアクリルコポリマーは、第2のアクリルコポリマーの総重量に対して約10重量部(pbw)よりも多いモノマーDを含む。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマー中のモノマーDの重量部(pbw)は、第1のアクリルコポリマー中のモノマーBの重量部(pbw)よりも多い。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマー中のモノマーDの重量部(pbw)は、第1のアクリルコポリマー中のモノマーBの重量部(pbw)よりも少なくとも約3重量部(pbw)多い。
【0003】
本開示の更に代表的な実施形態では、接着物品は、(1)モノマーAとBから形成される第1のアクリルコポリマーであって、前記第1のアクリルコポリマーが、(i)少なくとも約150,000の数平均分子量M(又は少なくとも約450,000のM)を有し、及び(ii)第1のアクリルコポリマーの総重量に対して約10重量%(pbw)未満のモノマーBを含み、モノマーBは、水素結合可能である少なくとも1つの反応性基を有するものと、(2)モノマーCとDから形成される第2のアクリルコポリマーであって、前記第2のアクリルコポリマーが、(i)約70,000未満の数平均分子量M(又は約100,000未満のM)を有し、及び(ii)第2のアクリルコポリマーの総重量に対して約10pbwより多いモノマーDを含むものとのブレンドを含む。
【0004】
本開示のなお更に代表的な実施形態では、接着物品は、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの混合物を含む接着剤の発泡体の層を含み、前記第1のアクリルコポリマーは、(i)モノマーAとBから形成されており、モノマーBは、水素結合可能である少なくとも1つの反応性基を有し、(ii)少なくとも約150,000の数平均分子量M(又は少なくとも約450,000のMが)を有し、及び(iii)第1のアクリルコポリマーの総重量に対して約10.0重量%(pbw)未満のモノマーBを含み、そして前記第2のアクリルコポリマーは、(i)モノマーBとCから形成されており、(ii)約70,000未満の数平均分子量M(又は約100,000未満のM)を有し、及び(iii)第2のアクリルコポリマーの総重量に対してある重量%(pbw)のモノマーBを含み、第2のアクリルコポリマーのモノマーBのpbwは、第1のアクリルコポリマーのモノマーBのpbwよりも多い。
【0005】
別の態様では、本開示は、1つ以上の接着剤のコア層と、所望により1つ以上の追加層とを含む接着物品を提供する。本開示の一つの代表的な実施形態では、接着物品は、(a)比較的高分子量の第1のアクリルコポリマーと比較的低分子量の第2のアクリルコポリマーとの先に述べたブレンド又は混合物を含む接着剤のコア層、及び(b)前記接着剤のコア層の主表面上の少なくとも1つの追加層を含む。本開示の接着物品は、他の層を更に含んでいてもよく、前記他の層としては、感圧接着剤層及び/又は熱活性化可能な接着剤層などの第2接着剤層、少なくとも1つの剥離ライナー、少なくとも1つの非接着性基材層、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
別の態様では、本開示は、接着物品の製造方法も更に目的とする。一つの代表的な実施形態では、接着物品の製造方法は、(1)モノマーAとBから形成された第1のアクリルコポリマーであって、前記第1のアクリルコポリマーが、(i)少なくとも約150,000の数平均分子量M(又は少なくとも約450,000のM)を有し、及び(ii)前記第1のアクリルコポリマーの総重量に対して約10重量%(pbw)未満のモノマーBを含み、モノマーBは、水素結合可能である少なくとも1つの反応性基を有するものと、(2)モノマーCとDから形成された第2のアクリルコポリマーであって、前記第2のアクリルコポリマーが、(i)約70,000未満の数平均分子量M(又は約100,000未満のM)を有し、及び(ii)前記第2のアクリルコポリマーの総重量に対して約10pbwより多くのモノマーDを含むものとのブレンドを押し出しする工程と、前記押し出されたものを、前記第1のアクリルコポリマーと前記第2のアクリルコポリマーとの間で制御された程度の架橋を達成する量の放射線に曝露する工程と、を含む。望ましくは、前記第1のアクリルコポリマーと前記第2のアクリルコポリマーとの間での制御された程度の架橋は、70℃での応力緩和試験による測定において、約0.30以下、望ましくは約0.13〜約0.30の応力緩和比G(300)/G(0.1)を有する架橋された接着物品をもたらす。
【0007】
別の代表的な実施形態では、接着物品の製造方法は、加速電圧のための第1の制御と照射量のための第2の制御とを有する電子ビーム発生装置を準備する工程と、組成、厚さ、及び密度を有する、硬化される材料を準備する工程と、前記電子ビーム発生装置を用いて、制御された量の架橋から生じることができる1つ以上の所望の特性を決定する工程と、前記電子ビーム発生装置と硬化される材料のための照射量−深さプロファイルの検量線に基づく、前記材料の計算上の最小コア硬化の値を使用して、前記1つ以上の所望の特性をもたらす電圧及び照射量で前記材料を架橋する工程と、を含む。代表的な方法は、前記電子ビーム発生装置と硬化される材料とのための前記照射量−深さプロファイルの検量線を、前記材料の前記組成、厚さ、及び密度に基づいて作成する工程と、前記照射量−深さプロファイル検量線に基づいて、前記計算上の最小コア硬化の値を決定する工程と、を更に含んでいてもよい。
【0008】
本開示のこれら及びその他の特徴及び利点は、開示した実施態様についての以下の発明を実施するための最良の形態、及び添付の特許請求の範囲を検討することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施形態による代表的な接着物品の断面図。
図2】その外側表面の上に取り外し可能な剥離ライナーを有する代表的な接着物品を構成する巻物形態の、本開示のいくつかの実施形態による代表的なテープの断面図。
図3】本開示のいくつかの実施形態による接着物品を調製するための代表的な押し出しプロセスの概略図。
図4】実施例1の試料テープにおける、電子ビーム放射線を一方の外側表面へ曝露した後の電子ビーム放射線の照射量対テープ深さを示す代表的なグラフ。
図5】実施例1の試料テープにおける、電子ビーム放射線を両方の外側表面へ曝露した後の電子ビーム放射線の照射量対テープ深さを示す代表的なグラフ。
図6】実施例1の試料テープにおける、図5に示す試験で使用したものよりも低い加速電圧で電子ビーム照射を両方の外側表面へ曝露した後の電子ビーム照射の照射量対テープ深さを示す代表的なグラフ。
図7】実施例1〜8の試料テープにおける、70℃での応力緩和対計算上の最小コア硬化の値を示す代表的なグラフ。
図8】実施例1〜8の試料テープにおける、70℃での応力緩和対計算上の平均コア硬化の値(ACCC)と計算上の最小コア硬化の値(MCCC)との積を示す代表的なグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、本開示の接着剤組成物は、高分子量のアクリルコポリマーと低分子量のアクリルコポリマーとの混合物を含む。幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、所望により、以下に述べるような1つ以上の追加の構成成分を更に含んでいてもよい。
【0011】
高分子量のアクリルコポリマーはまた、本明細書では「第1のアクリルコポリマー」ともいう。第1のアクリルコポリマーは、モノマー(複数)Aとモノマー(複数)Bとから形成される。本明細書で使用するとき、用語「モノマー(複数)」は、1つ以上のモノマーが選択され得ることを示す。例えば、「モノマー(複数)A」には、モノマーAとして使用するのに好適なこれらモノマーから選択された1つ以上のモノマーが包含されてよい。同様に、「モノマー(複数)B」は、モノマーBとして使用するのに好適なこれらモノマーから選択された1つ以上のモノマーを指す。
【0012】
モノマーAに好適なモノマーとしては、1〜約20個の炭素原子(例えば3〜18個の炭素原子)を有するアルキル基を有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。かかるモノマーAとしては、限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート種とメタクリレート種のうちいずれか一方又は両方を指すために使用される。例えば、メチル(メタ)アクリレートは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びこれらの組み合わせを指す。
【0013】
モノマーBに好適なモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、又は炭素原子数1〜20(例えば、炭素原子数3〜18)のアルキル基を有する他の不飽和酸が挙げられるが、これらに限定されない。かかるモノマーBとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル、酸(fumaric, acid)、並びにイタコン酸モノエステル、シトラコン酸モノエステル、マレイン酸モノエステル、及びフマル酸モノエステル(これらは二塩基酸化合物であり、それらのモノエステルは酸性基を示す)、又はこれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なモノマーBには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、イソボルニルアクリレート、シアノエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、無水マレイン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド、塩化ビニリデン、スチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシアリールアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及びアルキルビニルエーテルが包含される。
【0014】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのモノマーBは、水素結合可能である少なくとも1つの反応性基(例えば、−COOH)をその上に有するモノマーを含む。
【0015】
幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは、第1のアクリルコポリマーの総重量に対して約10重量%(pbw)未満のモノマー(複数)Bを含む。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは、第1のアクリルコポリマーの総重量に対して約2〜約7pbwのモノマー(複数)Bを含む。
【0016】
高分子量のアクリルコポリマー構成成分(又は第1のアクリルコポリマー)は、従来の重合法を用いて形成されてよい。これらの方法は、当産業界では一般に既知であり、熱開始重合、光開始重合、懸濁重合などの方法が包含される。典型的に、モノマー(複数)A及びモノマー(複数)Bに加えて、適切な重合開始剤を用いてモノマーAとBとの重合を開始することができる。光開始反応に好適な反応開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、チバ−ガイギー(Ciba-Geigy(ニューヨーク州ホーソン(Hawthorne)))から市販されているイルガキュア(IRGACURE)(商標)651)、2−ヒドロキシ−1−(4−*2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチル−1プロパノン(2-hydroxy-1-(4-*2-hydroxyethoxy)phenyl)-2-methyl-1propanone)(例えば、チバ−ガイギーから市販されているダロキュア(DAROCURE)(商標)2959)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(例えば、チバ−ガイギーから市販されているダロキュア(商標)1173)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキサイド(例えば、BASF社(BASF Corporation(ニュージャージー州フローラム・パーク(Florham Park)))から市販されているルシリン(LUCIRIN)(商標)TPO)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバ−ガイギーから市販されているイルガキュア(商標)184)、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン(2-methyl-1-(4-(methythio)phenyl)-2-(4-morpholinyl)-1-propanone)(例えば、チバ−ガイギーから市販されているイルガキュア(商標)907)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン(例えば、チバ−ガイギーから市販されているイルガキュア(商標)369)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキサイド(例えば、チバ−ガイギーから市販されているイルガキュア(商標)819)、又はエチル2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(BASF社から市販されているルシリン(商標)TPO−L)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
更に、連鎖移動剤が重合反応中に存在してもよい。連鎖移動剤を用いて、得られるポリマーの分子量を制御して、重合反応後に残っている残留モノマー量を減少させてもよい。好適な連鎖移動剤としては、イソオクチルチオグリコレート(IOTG)(例えば、ダイセル化学工業株式会社(Daicel Chemical Industries, LTD(日本国東京))から、又はダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company(ミシガン州ミドランド(Midland))から市販されているIOTG)、n−オクチルメルカプタン(例えば、アルケマ(Arkema(ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia))から市販されているもの)、n−デシルメルカプタン(例えば、フィリップス・ペトロレウム(Philips Petroleum(テキサス州ヒューストン(Houston))から市販されているもの)、n−ヘキシルメルカプタン(例えば、アルケマから市販されているもの)、n−オクタデシルメルカプタン(例えば、ACIMAケミカル・インダストリーズ(ACIMA Chemical Industries(ペンシルバニア州フィラデルフィア))から入手可能なもの)、n−ドデシルメルカプタン(例えば、アルケマから市販されているもの)、tert−ドデシルメルカプタン(例えば、アルケマから市販されているもの)、及び2−エチルヘキシルチオグリコレート(例えば、アルケマから市販されているもの)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーの数平均分子量Mは少なくとも約150,000である。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは少なくとも約450,000の重量平均分子量Mを有する。本明細書で使用するとき、数平均分子量M及び重量平均分子量Mは、以下の「試験法」欄に記載のゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permation Chromatography)(GPC)試験法を用いて測定される。
【0019】
幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは、約150,000〜約600,000の範囲のM(及び/又は少なくとも約450,000〜約2,000,000のM)を有する。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは、約160,000〜約350,000の範囲のM(及び/又は少なくとも約480,000〜約1,000,000のM)を有し、また幾つかの実施形態では、約170,000〜約300,000の範囲のM(及び/又は少なくとも約500,000〜約900,000のM)を有する。
【0020】
一般に、第1のアクリルコポリマーは、得られる接着剤組成物の所望の特性に応じて変わる量で存在してよい。典型的に、第1のアクリルコポリマーは、接着剤組成物の総重量に対して約50重量%(pbw)より多い量で存在する。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは、約60pbwより多い量、約65pbwより多い量、あるいは約70pbwより多い量で存在する。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは、接着剤組成物の総重量に対して約75〜約98pbwの範囲にある量で存在する。
【0021】
本開示による接着剤組成物は、低分子量のアクリルコポリマーを更に含み、これを本明細書では「第2のアクリルコポリマー」とも呼ぶ。第2のアクリルコポリマーは、モノマー(複数)Cとモノマー(複数)Dとから形成される。モノマーCに好適なモノマーは、モノマーAに好適なものと同じであり、第1のアクリルコポリマーに関して先に述べられている。同様に、モノマーDに好適なモノマーは、モノマーBに好適なものと同じであり、第1のアクリルコポリマーに関して先に述べられている通りである。
【0022】
一般に、モノマー(複数)A、B、C、及びDは、独立して選択される。幾つかの実施形態では、モノマー(複数)Aとして使用するために選択されるモノマーのうち1つ以上はまた、モノマー(複数)Cとして使用するために選択されてもよい。同様に、幾つかの実施形態では、モノマー(複数)Bとして使用するために選択される1つ以上のモノマーはまた、モノマー(複数)Dとして使用するために選択されてもよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、第2のアクリルコポリマーの総重量に対して約10pbwよりも多くのモノマー(複数)Dを含む。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、第2のアクリルコポリマーの総重量に対して約12〜約30pbwのモノマー(複数)Dを含み、そして幾つかの実施形態では、約15〜約20pbwのモノマー(複数)Dを含む。
【0024】
典型的に、第2のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Dのpbwは、第1のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Bのpbwよりも多い。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Dのpbwは、第1のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Bのpbwよりも少なくとも3pbw多い。他の実施形態では、第2のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Dのpbwは、第1のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Bのpbwよりも少なくとも5pbw(又は少なくとも8pbw、又は少なくとも10pbw、又は少なくとも12pbw、又は少なくとも15pbw)多い。
【0025】
幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーの少なくとも1つのモノマーCは、第1のアクリルコポリマーの少なくとも1つのモノマーAと同一である。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Cはいずれも、第1のアクリルコポリマーのモノマー(複数)Aと同一である。別の実施形態では、第2のアクリルコポリマーのモノマーCはそれぞれ、第1のアクリルコポリマーの全てのモノマー(複数)Aと相違する。
【0026】
幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、「光開始剤モノマー」、すなわち、(i)光開始剤の存在下でラジカルを形成することが可能な反応性基を含有するモノマー、及び(ii)モノマーであって、それら自体が光活性ラジカル形成体であるものを実質的に含まない。このような代表的な実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、モノマーCと、モノマーDと、追加のモノマーが光開始剤モノマーでなければ、場合により、追加のモノマーと、から形成される。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーは更に光開始剤モノマーも実質的に含まない。
【0027】
低分子量のアクリルコポリマー構成成分(すなわち、第2のアクリルコポリマー)は、高分子量のアクリルコポリマー構成成分(又は第1のアクリルコポリマー)に関して先に述べたように、従来の重合法を用いて形成され得る。モノマー(複数)Cとモノマー(複数)Dに加えて、重合開始剤及び/又は連鎖停止剤が重合反応中に存在してもよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは約70,000未満の数平均分子量Mを有する。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは約100,000未満の重量平均分子量Mを有する。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、約10,000〜約70,000の範囲の数平均分子量M(及び/又は約14,000〜約100,000までのM)を有する。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、約15,000〜約60,000の範囲である数平均分子量M及び/(又は(and/(or)約20,000〜約84,000のM)を有し、そして幾つかの実施形態では、約20,000〜約55,000の数平均分子量M(及び/又は約28,000〜約77,000のM)を有する。
【0029】
第2のアクリルコポリマーは、得られる接着剤組成物の所望の特性に応じて変わる量で存在してよい。典型的に、第2のアクリルコポリマーは、接着剤組成物の総重量に対して約50pbw未満の量で存在する。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、約40pbw未満、又は約35pbw未満、あるいは約30pbw未満の約で(in an about)存在してよい。幾つかの実施形態では、第2のアクリルコポリマーは、接着剤組成物の総重量に対して約25〜約2pbwの範囲にある量で存在する。
【0030】
幾つかの実施形態では、様々な添加物又は他の成分を接着剤組成物に添加して、最終目的である接着剤組成物の特定の特徴を増強又は変性してもよい。添加物は、その量が接着剤組成物の所望の特性を不利に妨げない限り、いかなる量で存在してもよい。幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、1つ以上の添加物を、接着剤組成物の総重量に対して約50重量%までの量で含む。代表的な添加物としては、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤料、拡散体、繊維、長繊維、シリカ、処理済みシリカ、カーボンブラック、染料膨張性ポリマー微小球、非膨張性ポリマーもしくはガラス微小球、連鎖移動剤、化学発泡剤、炭酸カルシウム、高靭性化剤、難燃剤、アクリレート−不溶性ポリマー、微粉砕ポリマー粒子例えば、ポリエステル、ナイロン、又はポリプロピレン、安定化剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
一つの代表的な実施形態では、接着剤組成物は、接着剤組成物の少なくとも一部の全体に、空隙を有する発泡体を含む。空隙は、接着剤のコア層の形成前又はその形成中に、様々な添加物を接着剤のコア層に混入することによって形成され得る。例えば、膨張性ポリマー微小球、中空のポリマーもしくはガラス微小球、発泡剤、又はこれらのいずれかの組み合わせを、接着剤のコア層の少なくとも一部の全体に空隙を形成するために、接着剤のコア層に混入してよい。好適な空隙形成材料としては、米国特許第6,103,152号に開示されている空隙形成材料が挙げられるが、それらに限定されない。幾つかの実施形態では、膨張性ポリマー微小球、例えば、米国特許第6,103,152号に開示されているものを接着剤組成物に、接着剤組成物の総重量に対して約1pbw〜約15pbwの範囲にある量で、及び幾つかの実施形態では約2pbw〜約6pbwの範囲にある量で混入される。
【0032】
幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、接着物品の最も外側の層であってよい。幾つかの実施形態では、接着剤組成物は、2つ以上の類似の又は異なる基材の間に挟まれていてよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、本開示の接着物品は、高分子量アクリルコポリマーと低分子量のアクリルコポリマーとの架橋可能な混合物又は架橋した混合物を含む接着剤組成物から形成される少なくとも1つの層、例えば、コア層を有する1つ以上の層を含む。図1に示すように、代表的な接着物品40は、第1主表面42と第2主表面44とを有する接着剤のコア層41を含む。幾つかの実施形態では、接着物品40は、第1主表面42上の少なくとも1つの第1追加層43と、第2主表面44上の第2追加層45とを包含する。代表的な接着物品40は、第1追加層43上の第1外側主表面46と、第2追加層45上に第2外側主表面48とを更に含む。
【0034】
一般的に、接着剤のコア層は、先に述べた第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの均質な混合物(又はブレンド)を含む。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーを、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの間に所望の水素結合度が得られるように互いに混合する。幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーをある程度の水素結合が得られるように混合し、前記水素結合によって、所望の応力緩和量を有すると同時に、高温せん断中に所望の性能を維持する接着剤のコアがもたらされる。
【0035】
幾つかの実施形態では、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーは互いに実質的に混和し得ることから、得られる混合物は単一の相又はドメインを構成する。他の実施形態では、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーは、混合すると、互いに均質に混ざり合った2つの別個の相又はドメインを形成する。いずれの場合も、得られる混合物は、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの間にある程度の水素結合を示す。
【0036】
第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーを互いに押し出しする一つの代表的な実施形態では、ポリマーは互いに不混和性であり得ることから、各ポリマーの小さなドメインが押し出し可能な混合物中に存在する。混合と押し出しの時間を最小限にすることによって、又はインラインの静的混合を用いることによって、接着剤混合物の押し出しを、何らかの実質的な量の相分離が生じる前に行うことができる。押し出し品を比較的急速な方法で冷却することによって、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーは均質な混合物中に留まり、以下に述べるように、その後、続いて架橋することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物の応力緩和比(G(300)/G(0.1))値(すなわち、「SRR値」)は、(以下の「試験法」欄で述べるように)70℃で行われる「応力緩和試験」による測定において、約0.3未満、及びいくつかの実施形態では、約0.1〜約0.3である。特定の接着剤組成物のSSR値は、接着剤の(i)連続的な負荷の下で変形する能力と、(ii)連続的な負荷の下で接着剤が伸長するときに変形に耐える能力との目安を与える。図7は、電子ビーム照射に対する露光量が増加するときの、様々なポリマー組成物のSRR値の変化を示す代表的なグラフを示す。電子ビーム照射に対する制御された露光量は、以下の「試験法」欄で述べるように、計算上の最小コア硬化(「MCCC」)量として測定される。
【0038】
前記計算上の硬化は、電子ビームを供給するために用いられる特定の装置に左右され、そして当業者は使用される装置における照射量補正モデルを規定することができる。例えば、本開示では、放射線加工は、以下に述べるように、不活性室を通過する76.2マイクロメートル(μm)(0.003インチ)厚さ、30.48ミリメートル(mm)(12インチ)幅のポリエステルテレフタレート支持体フィルムを装備した、エナジー・サイエンス社(Energy Sciences, Inc.(マサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington))のモデルCB−300電子線発生装置で行われる。
【0039】
一つの代表的な実施形態では、接着剤組成物のSSR値は、電子ビーム照射に対する曝露後、約0.35未満、及びいくつかの実施形態では、約0.1〜約0.3であってよい。更なる代表的な実施形態では、接着剤組成物のSSR値は、電子ビーム照射に対する曝露後、約0.28未満、例えば、約0.12〜約0.25、あるいは約0.15〜約0.23であってもよい。
【0040】
上述のように、いくつかの実施形態では、接着剤組成物は発泡体のコア層を含む。固体の接着剤のコア層(すなわち、非発泡体の層)は、典型的に、約0.92g/cc〜約1.2g/ccの範囲の層密度を有するが、接着剤の発泡体のコア層自体は、典型的には約0.3g/cc〜約0.7g/ccの範囲の層密度を有する。典型的に、1つ以上の表面薄層と接着剤層との組み合わせから得られる物品は、約0.4g/立方センチメートル(g/cc)〜約0.8g/ccの範囲の全体密度を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、接着剤組成物は、静的せん断荷重に対する耐性を示し、これは、(以下の「試験法」欄に記載の)吊り下げ式せん断試験で測定される。吊り下げ式せん断は、2つの剛直な表面間で接着結合されたある画定面積の感圧接着剤(PSA)の、これら表面のうち一方の一端から吊り下がる固定重りを実質的に滑り落とさずに(落下させずに)保持する能力を測定する。それは、通常、特定面積(典型的には、約323平方mm又は635平方mm)及び特定荷重(典型的には、70℃において500g/323平方mm又は1000g/625平方mm、あるいは室温で2kg/625平方mm)を備えた吊り下げ時間(分)で測定される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示の接着剤組成物は、70℃及び室温の両方において、一方のパネルから500グラム重りを吊り下げている場合は5,000分後、そしていくつかの実施形態では10,000分後に元の状態のままである。70℃温度の目標は、通常、達成するのが比較的困難である。
【0043】
先に述べた接着剤のコア層に加えて、いくつかの実施形態では、本開示は、接着剤のコア層の両面に1つ以上の追加層を包含し得る接着物品を提供する。1つ以上の追加層はそれぞれ独立して、接着剤のコア層の外側表面に一時的に又は恒久的に接着されていてよい。好適な追加層を以下に述べる。
【0044】
図1に示す代表的な接着物品40を参照すると、第1追加層43及び/又は第2追加層45は接着剤層であることができる。1つ以上の追加接着剤層は、当技術分野において既知のいかなる好適な接着剤であってもよく、例えば、圧力、熱、又はこれらの組み合わせによって活性化可能な接着剤が挙げられる。好適な接着剤としては、(メタ)アクリレートコポリマー、ゴム/樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、又はこれらの組み合わせを含む接着剤組成物が挙げられるが、これらに限定されない。追加接着剤層はそれぞれ、接着剤のコア層の外側表面に、例えば、溶液コーティング法、水系コーティング法、又は、1つ以上の層が先に述べた接着剤のコア層と同時に形成されるホットメルト同時押し出し法を含むホットメルトコーティング法などを含んだあらゆる既知の方法によって塗布されてよい。追加接着剤層としてはそれぞれ、ホットメルトコーティング配合物、転写コーティング配合物、溶媒コーティング配合物、及びラテックスコーティング配合物、並びにラミネート加工、熱活性化可能な接着剤、及び水活性化接着剤、並びに結合剤を挙げることができる。いくつかの実施形態では、追加接着剤層のうち少なくとも1つは、存在する場合、感圧接着剤(PSA)、熱活性化可能な接着剤層(例えば、ホットメルト接着剤層)、又はこれらの組み合わせを含む。
【0045】
好適な感圧接着剤の例としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、及びポリブタジエンなどのジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、ブタジエン−アクリロニトリルポリマー、熱可塑性エラストマー、スチレン−イソプレンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンポリマー、並びにスチレン−ブタジエンポリマーなどのブロックコポリマー、ポリ−α−オレフィン、非結晶性ポリオレフィン、シリコーン、エチレン酢酸ビニル、エチルアクリレート、及びエチルメタクリレートなどのエチレン含有コポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ポリビニルピロリドン、及びビニルピロリドンコポリマー、ポリエステル、並びに上記の混合物又はブレンド(連続又は非連続相)の、一般組成に基づくPSAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
好適な熱活性化可能な接着剤の例としては、ポリオレフィン、オレフィンモノマーを含有するコポリマーなどの一般組成に基づく熱活性化可能な接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
接着剤のコア層に関して述べたように、追加接着剤層の接着剤組成物はそれぞれ、添加物を含有してよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、接着物品は、接着剤のコア層を、少なくとも1つの追加接着剤層と組み合わせて含み、少なくとも1つの追加接着剤層が、PSA層の形態で接着剤のコア層の主表面に上に存在する。更に代表的な実施形態では、接着物品は、接着剤のコア層を、接着剤のコア層の両方の主表面上のPSA層と組み合わせて含む。これらどの実施形態でも、PSAは、PSA含有スチレン−イソプレン非対称スターブロックコポリマー、例えば、ネスタガード(Nestegard)らに発行された米国特許第5,393,787号、マー(Ma)らに発行された米国特許第6,503,621号、又はカンプー(Khandpur)らに発行された米国特許第6630,531号に開示されているようなものを含んでいてよく、これら特許公報はいずれも、ミネソタ州セント・ポール(St.Paul)の3Mイノベイティブ・プロパティーズ・カンパニー(3M Innovative Properties Company)に譲渡されており、それらの主題の全てを、これによって本明細書に組み込む。
【0049】
先に述べた接着剤のコア層及びいずれかの任意選択の追加接着剤層に加えて、接着物品は、1つ以上の剥離ライナーを包含して、接着物品の接着剤のコア層又はいずれかの追加接着剤層の外側表面を保護してもよい。
【0050】
図2に示すように、代表的な接着物品50は、第1主表面52及び第2主表面54を有する接着剤のコア層51と、第1主表面52上の剥離ライナー53と、第2主表面54上の追加層55とを含む。代表的な接着物品50は、追加層55上の第1外側の主表面56と、剥離ライナー53上の剥離ライナーの内表面58及び剥離ライナーの外側表面60とを更に含む。
【0051】
剥離ライナーは当技術分野において周知であり、そしてあらゆる既知の剥離ライナーが使用できる。典型的に、剥離ライナーは、剥離剤でコーティングされたフィルム又は紙基材を含む。市販の剥離ライナーとしては、シリコーン被覆紙、及びシリコーン被覆フィルム、例えば、ポリエステルフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。好適な剥離ライナーの例としては、オランダ国ホイレン(Huerlen)のアクロジル・ユーロップ(Akrosil Europe)及びウィスコンシン州メネーシャ(Menasha)のインターナショナル・ペーパー(International Paper)から入手可能な取引表記アクロジル(AKROSIL)(商標)として販売されている剥離ライナー、並びにイリノイ州ディクソン(Dixon)のドーバート・コーティッド・プロダクツ社(Daubert Coated Products, Inc.)から入手可能な剥離ライナーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、アクロジル(AKROSIL)(商標)ペーパー・ライナーZG−3223(オランダ国ホイレン(Huerlen)のアクロジル・ユーロップ(Akrosil Europe))、又はアクロジル(商標)ペーパー・ライナーSBL 60 SC シロックス(SILOX)F1U/F4B(ウィスコンシン州メナーシャ(Menasha)のインターナショナル・ペーパー(International Paper))を含む。
【0052】
一つの代表的な実施形態では、先に述べた接着物品は、3Mイノベイティブ・プロパティーズ・カンパニー(3M Innovative Properties Company)に譲渡された米国特許第6,835,422号、米国特許第6,805,933号、米国特許第6,780,484号、又は米国特許第6,204,350号に開示されているような剥離ライナーを含む。
【0053】
図2を再度参照すると、剥離ライナー53は、剥離ライナーの内表面58、剥離ライナーの外側表面60、又はその両方に沿って剥離特性を与える場合があることに注意しなければならない。例えば、追加層55が追加の接着剤層、例えばPSAである場合、剥離ライナー53の剥離ライナーの外側表面60は、望ましくは剥離特性を有する。追加層55上の第1外側の主表面56に接着剤粘着性が全くない場合、剥離ライナー53の剥離ライナーの外側表面60には剥離特性を要しない。
【0054】
更なる実施形態では、接着剤のコア層51の第2主表面54上の追加層55はまた、剥離ライナー53と追加層55とが接着剤のコア層51の第1主表面52及び第2主表面54に対する保護を守る(protect protection)ように、剥離ライナーを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示の接着物品にはまた、更なる一時的又は恒久的な特性を接着物品に付与し得る1つ以上の追加層が包含されていてもよい。好適な追加層は、接着剤のコア層の片面又は両面に配置されていてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加層は、得られる接着物品がロールに巻き取ることができるように、可撓性である。1つ以上の追加層は、例えば、連結層、プライマー層、又はバリア層として機能する場合もある。好適な追加層としては、高分子フィルム、金属箔、紙、発泡シート、及び布地が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の追加層は、先に述べたような感圧接着剤によって又は接着剤のコア層の組成物自体によって、接着剤のコア層に付着されてもよい。
【0056】
好適な基材の例としては、ガラス、金属、プラスチック、木材、及びセラミック基材、これら基材の着色表面などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なプラスチック基材には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーのゴム、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、エンジニアリング熱可塑性樹脂(例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート)、及び熱可塑性エラストマーが挙げられる。基材はまた、例えば綿、ナイロン、ポリアミド、レーヨン、ガラス、カーボン、もしくはセラミック材料のような合成又は天然の材料の糸から形成された、織られたもしくは編まれた布地であってもよい。基材はまた、天然繊維もしくは合成繊維又はそれらのブレンドのエアレイドウェブなどの不織布から製造されてもよい。
【0057】
本開示は、更に、接着剤組成物及び接着物品の製造方法も提供する。一つの代表的な実施形態では、接着剤組成物の製造方法は、先に述べた接着剤組成物の構成成分を混合する工程を含む。望ましくは、構成成分を混合して、実質的に均質な接着剤組成物の混合物を形成する。その方法は更に、接着剤組成物の最終用途に応じて多数の任意選択の工程を含んでいてもよい。例えば、その方法は、接着物品の形成方法を含んでいてよく、その場合、その方法は、接着剤組成物を接着物品に成形する工程(例えば、コーティング工程又は押し出し工程)を含む。加えて、後−成形工程を用いて、成形された接着物品に所望の物理特性を付与してもよい。例えば、接着物品の形成方法は、成形された接着物品内で1つ以上の構成成分を架橋するために、成形された接着物品の一部を放射線に曝露することを更に含んでいてもよい。
【0058】
接着剤組成物及び接着物品の代表的な製造方法を以下に述べる。
【0059】
接着剤のコア層は、ゲールセン(Gehlsen)に発行された米国特許第6,103,152号に開示されているようなものなどの従来法の工程を用いて調製されてよい。典型的に、少なくとも1つの接着剤のコア層を含む接着物品の製造方法は、先に述べた接着剤構成成分を実質的に均質な混合物を形成するための溶融混合する工程、成形された接着物品を形成するための実質的に均質な混合物を成形する工程、成形された接着物品を冷却させる工程と、を含む。いくつかの実施形態では、成形工程は、接着剤組成物の混合物を一時的な基材(例えば、剥離ライナー)又は恒久的な基材(例えば、裏材層、又は他の接着剤層)上に、例えばコーティング工程によって提供することを含んでいてよい。その他の実施形態では、成形工程は、接着剤組成物混合物を一時的な基材(例えば、剥離ライナー)又は恒久的な基材(例えば、裏材層、又は他の接着剤層)上に、押し出し工程によって提供することを含んでいてよい。
【0060】
一実施形態では、接着物品の形成方法は、押し出し工程を含む。図3には、本開示のいくつかの方法で使用するのに好適な押し出し装置を示す。この代表的な実施形態では、先に述べたコポリマー(例えば、第1及び第2のアクリルコポリマー)をそれぞれ、先ず、第1加熱及び搬送装置10、例えばロールフィーダー、(図示するような)一軸スクリュー押し出し機、グリッド溶融装置、又はボナット(bonnot)へ供給してよく、そこで、投入材料、例えば、各コポリマーを融解する。コポリマーは、ペレット、ビレット、パッケージトランド、及びロープを包含するいずれかの都合の良い形態で加熱及び搬送装置10へ追加され得る。加熱及び搬送装置の最後部は(At the end the heating and conveying device)、典型的には計量装置(図示せず)、例えばギア融解ポンプであり、そこで、融解したポリマーの排出速度を制御することができる。計量ポンプの端では、加熱したホース(図示せず)を用いて、計量された排出を、例えば二軸スクリュー押し出し機12へ搬送してもよい。二軸スクリュー押し出し機12は、典型的に、計量された液体、例えば、融解したコポリマー、粘着付与剤、安定剤などを、通常は加圧下で投入するためのポート(図示せず)をその長さ方向と平行して装備している。二軸スクリュー押し出し機12はまた、加圧されていないオープンポート13を有していてもよく、そこには、乾燥固体、例えば、安定剤、顔料、ゴム、及び/又はプラスチックペレット、膨張性微小球などを供給することができる。乾燥固体材料は、典型的には、重量損失供給器(図示せず)を介してオープンポート13へ搬送されて、供給速度を制御する。混合ニーダ−び/又は搬送区分は、二軸スクリュー押し出し12の長さ方向と平行しており、これによって、別個に供給される材料の混合程度を制御することができる。二軸スクリュー押し出し機12の様々な区分を加熱又は冷却することで、混合及び搬送プロセスの温度、並びに二軸スクリューの回転速度を制御することができる。
【0061】
望ましくは、混合は、膨張性微小球が混合中に存在する実施形態では、実質的な微小球の膨張を二軸スクリュー押し出し機12内で生じさせるのには不十分な温度で行われる。例えば、混合温度は、約100℃〜約125℃までであってよい。他の実施形態では、微小球の膨張温度を超える温度を使用することも可能である(例えば、混合温度は、約125℃〜約160℃であってよい)。というのも、押し出し機/混合/搬送プロセスの圧力によって、混合物がコーティングヘッドに達するまで実質的な膨張が回避されるためであるか、又は前記温度が、微小球を添加する前に低下する可能性があるためである。実際の操作では、膨張性微小球のうちいくつかは混合中に破壊する可能性があり、かかる条件を最適化することで、この破壊を最小限にしてもよい。具体的な温度、圧力、ずり速度、及び混合時間は、加工される特定の組成物に基づいて選択される。
【0062】
押し出し機の終わりには、典型的に、ギア融解ポンプ16があり、それが圧力サージの排出ストリームをもたらす。計量された排出は、典型的に、加熱されたパイプ又はホース18からコーティングヘッド、例えばダイ14(例えば、コンタクトダイ又はドロップダイ)へ供給される。所望により、インライン混合装置(図示せず)、例えば静的ミキサーを、特に加熱されたパイプ又はホース18が長い場合に用いて、混合物及び温度の均一性を最適化してもよい。ダイ14内部の温度及び圧力は、望ましくは、組成物がコーティングヘッド14を出て標準的な大気条件までの圧力低下を経験するときに、膨張性微小球が(存在する場合)ダイリップ内で膨張を生じるように制御される。
【0063】
接着剤のコア層の形は、ダイ14の形によって決まる。様々な形を製造することができるが、接着剤のコア層は、典型的に、周縁部が互いに分離した外側の主表面を有する連続的又は不連続なシートの形状で製造される。
【0064】
図3に示すように、接着剤のコア層23は、所望により、供給ロール22から分配された一時的又は恒久的な層20(例えば、剥離ライナー)と組み合わされてよい。層20に好適である一時的な層は、シリコーン剥離ライナー、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、及びポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム)、並びに先に述べた他の剥離ライナーが挙げられるが、これらに限定されない。続いて、層20と接着剤のコア層を合わせて、一対のニップローラー24の間で積層する。積層後、接着剤のコア層を、所望により、電子ビーム供給源26からの放射線に曝露して、接着剤のコア層を架橋する。電子ビームは、一時的又は恒久的な層のいずれかを通って前記コア層の片側又は両側から、あるいは前記コア層の露出表面に直接、付与することができる。他の放射線供給源(例えば、イオンビーム、γ線、及び紫外線)も同様に使用してもよい。架橋は、接着剤のコア層の凝集強度を増強する。曝露後、積層体を巻き取って、巻取りロール28を形成する。
【0065】
いくつかの実施形態では、接着物品の形成方法は、接着剤のコア層の第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの間に制御された量の架橋をもたらすように、接着剤のコア層を電子ビーム照射に曝露することを含む。接着剤組成物の厚さ及び密度に応じて、特定の加速電圧及び照射量の電子ビームを、得られる接着剤のコア層の特性、例えばせん断強度や応力緩和などが所望の特性バランスを有するように、前記シートの片側又は両側から接着剤集団に向ける。
【0066】
いくつかの実施形態では、接着物品の形成方法は、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとのブレンドを押し出しする工程と、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの間に制御された程度の架橋が得られるように、前記押し出し品を、ある照射量で曝露する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、得られる接着物品の応力比G(300)/G(0.1)は、70℃での応力緩和試験による測定において、約0.30未満であり、そしていくつかの場合では、上述のように約0.10〜約0.30である。
【0067】
更に、上述のように、第1及び第2のアクリルコポリマー中のモノマー(複数)BとDとの相対量(すなわち、pbw)はそれぞれ、第1のアクリルコポリマーと第2のアクリルコポリマーとの間に所望の程度の水素結合がもたらされるように変えてもよい。上述のように、いくつかの実施形態では、第2のアクリルコポリマー中のモノマー(複数)Dのpbwは、第1のアクリルコポリマー中のモノマー(複数)Bのpbwよりも多く、そしていくつかの実施形態では、第1のアクリルコポリマー中のモノマー(複数)Bのpbwよりも少なくとも約3pbw多い。
【0068】
いくつかの実施形態では、接着物品の製造方法は、加速電圧のための第1の制御と照射量のための第2の制御とを有する電子ビーム発生装置を準備する工程と、組成と、厚さと、密度とを有する硬化される材料を準備する工程と、電子ビーム発生装置を用いて、制御された量の架橋から生じることができる1つ以上の特性を測定する工程と、前記電子ビーム発生装置と硬化される材料とのための照射量−深さプロファイル検量線に基づく材料の計算上の最小コア硬化の値を使用して、前記の1つ以上の所望の特性をもたらす電圧及び照射量で前記材料を架橋する工程と、を含む。例えば、1つ以上の所望の特性は、応力緩和、せん断強度、又はこれらの組み合わせを含んでよい。この代表的な方法は、電子ビーム発生装置と硬化される材料とのための照射量−深さプロファイル検量線を、前記材料の組成と、厚さと、密度とに基づいて作成する工程と、前記照射量−深さプロファイル検量線に基づいて、計算上の最小コア硬化の値を求める工程と、を更に含んでいてもよい。以下の実施例で説明するように、モンテカルロのコードを用いて、計算上の最小コア硬化の値の決定を補助することができる。
【0069】
電子ビーム発生装置と硬化される材料とのための前記照射量−深さプロファイル検量線に基づいて前記材料の計算上の最小コア硬化の値を用いた接着物品の代表的な製造方法は、望ましくは、硬化しようとする材料の厚さ方向の断面にわたって硬化勾配がもたらされる硬化手順を利用する。典型的に、硬化される材料は、特定のシート厚さを有するシートの形状である。望ましくは、硬化材料のための少なくとも1つの照射量−深さプロファイル検量線は、前記材料の厚さの中央の80%以内に、更に望ましくは、前記材料の厚さの中央の50%以内に、最小値を示す。更に、硬化材料のための少なくとも1つの照射量−深さプロファイル検量線は、下に凹のプロファイルを示す。
【0070】
電子ビーム発生装置と硬化される材料とのための前記照射量−深さプロファイル検量線に基づく前記材料の計算上の最小コア硬化の値を用いた接着物品の代表的な製造方法を利用して、接着物品例えば、高分子量のアクリルコポリマーと低分子量のアクリルコポリマーとのブレンドを含む前述のような接着物品を製造することができる。一つの代表的な方法では、硬化される材料は、(1)第1のアクリルコポリマーと(2)第2のアクリルポリマーとのブレンドを含み、第2のアクリルコポリマー中のモノマー(複数)Dのpbwは、第1のアクリルコポリマー中のモノマー(複数)Bのpbwよりも多い。
【0071】
本開示はまた、少なくとも1層の接着剤のコア層を含む多層物品の製造方法も対象とする。接着剤のコア層は、従来技術を用いて、1つ以上の追加層と組み合わせてもよく、前記従来技術には、積層、コーティング、同時押し出し等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な追加層には、先に述べた層も包含される。
【0072】
いくつかの実施形態では、多層接着物品は、望ましくは、第1及び第2のアクリルコポリマーを含有する先に述べた押し出し可能な接着剤組成物と、1つ以上の押し出し可能なポリマー組成物とを同時押し出しする工程によって形成される。ポリマー組成物の数と種類は、最終接着物品の所望の特性に基づいて選択される。例えば、接着剤のコア層の粘着性が室温では比較的低い(例えば、接着剤のコア層がPSAではない)場合、接着剤のコア層と1つ以上のPSA組成物とを組み合わせて、室温において外側表面の粘着性を有する接着物品を形成することが望ましい場合がある。同時押し出しによって調製され得るポリマー組成物の他の例としては、物品を剛性化するための比較的高い弾性率のポリマー組成物(半結晶性ポリマー、例えば、ポリアミド及びポリエステル)、物品の可撓性を増強するための比較的低い弾性率のポリマー組成物(例えば、可塑化ポリ塩化ビニル)、並びに追加的な発泡体の組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
一実施形態では、多層物品の製造方法は、同時押し出し工程を含み、追加的な押し出し可能なポリマー組成物は、先に述べた押し出し可能な接着剤組成物と共に同時押し出しされる。図3には、一対の追加層の間に挟まれた接着剤のコア層を含む多層物品を製造するための一つの同時押し出し法が例示されている。図3に示すように、ポリマー樹脂を所望により第1押し出し機30(例えば、一軸スクリュー押し出し機)に添加し、それを軟化して粒子に粉砕する。樹脂粒子を、続いて第2押し出し機32(例えば、一軸又は二軸スクリュー押し出し機)へ供給し、それらをいずれかの所望の添加物と混合する。その結果、得られた押し出し可能な組成物を次に移送管34からギアポンプ36を用いてダイ14の適切なチャンバーへ計量する。得られた物品は、その主表面上にそれぞれポリマー層を有する接着剤のコア層を特徴とする3層物品である(例えば、図1中のかかる3層物品、すなわち、代表的な接着物品40を参照のこと)。
【0074】
2層接着物品が製造されるように、あるいはダイ14を適切な供給ブロックに取り付けることによって、又は多羽根型ダイもしくは多マニホールドダイを用いることによって4層以上(例えば、10〜100層以上)の接着物品が製造されるように、同時押し出し法を行うことも可能である。多層接着物品はまた、追加層を接着剤のコア層に積層するか、又は接着物品がダイ14を出た後で同時押し出しされたポリマー層に積層することによって、調製することもできる。使用可能な他の技術としては、ストライプ・コーティングが挙げられる。
【0075】
本開示の様々な接着物品は、多くの用途で利用することができる。先に述べたように、接着物品は、単一の接着剤のコア層を有していてもよく、又は接着剤のコア層に加えて1つ以上の層を含んでいてもよい。接着物品は、ストリップ状、テープ状、テープのロールの形状、又は当技術分野において既知のいずれかの他の構造の形態で存在していてよい。接着物品を1つ以上の基材に結合して、接着物品とそれに結合された1つ以上の基材との間に所望の接触程度を有する多層物品を提供してもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、接着物品は、様々な用途において特に有用であることができ、それには航空宇宙用途、自動車用途、及び医療用途が挙げられる。本接着物品の特性は、所望の用途の要求を満たすように作ることができる。用途の具体例としては、振動減衰物品、包帯、テープ裏材再帰反射性シート裏材、疲労耐性マット、研磨物品裏材、ガスケット及びシーラントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本開示の様々な代表的な実施形態を先に説明し、そして更に実施例として以下にも例示しているが、これらは、本発明の範囲を多少なりとも限定する意図はない。一方、多種多様な他の実施形態、修正、及びその同等品に対する対策をとることができ、その対策は、当業者自らが、本明細書の記述内容を読んだ後で本発明の精神及び/又は添付の特許請求の範囲の範疇を逸脱することなく提案できるものであることを、明確に理解すべきである。
【実施例】
【0078】
これらの実施例は単に例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書中の部、百分率、比率等は全て、重量基準である。
【0079】
本明細書で使用するとき、シートは、一般に、発泡体シートなどの材料(複数)のシートを指し、その厚さは典型的に少なくとも約127ミクロン(5ミル)である。フィルムは、一般に、典型的に厚さが約127ミクロン(5ミル)以下のより薄いシートを指す。テープは、一般に、より狭い幅に切断されたシートを指す。実施例において、シート、フィルム及びテープという用語は互換的に使用することができる。
【0080】
試験方法:
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
ゲル透過クロマトグラフィーを用いて、ポリマーの分子量を求めた。得られるポリマーの試料をパッケージから取り出し、その試料について、製造者の一般注意事項と以下の手順に従ってゲル透過クロマトグラフィーを行って、分子量を求めた。各ポリマーに対して、約25ミリグラム(mg)の重さの3つの試料を試験した。各試料をテトラヒドロフラン10.00mLに3日間かけて溶解した後、0.25ミクロンのゲルマン(Gelman)PTFEシリンジフィルターを用いてろ過した。ウォーターズ・アライアンス2695分離モジュール(WATERS Alliance 2695 Separations Module)(マサチューセッツ州ミルフォード(Milford)のウォーターズ社(Waters,Inc.)から入手可能)を用いて、各試料溶液100マイクロリットルを2つのカラムセット(マサチューセッツ州ベリンガム(Bellingham)のジョルディ・アソシエーツ社(Jordi Associates Inc.)から入手可能)に注入した。一方のカラムは混合床を装備し、そして他方は500Aカラムを装備しており、いずれも25cmであった)。ウォーターズ(WATERS)2695クロマトグラフは、室温において、溶出剤としてテトラヒドロフランを用い、1.0mL/分の速度で流して操作した。メリーランド州コロンビア(Columbia)の島津サイエンティフィック社(Shimadzu Scientific Inc.)のRID−10A屈折率検出器を用いて、濃度変化を求めた。分子量計算は、7.50×10〜580までの分子量範囲の狭域ポリスチレンで作成した較正を基にした。
【0081】
計算上の最小コア硬化の値(MCCC)
計算上の最小コア硬化の値(MCCC)は、特定の組成、厚さ、及び密度を有する特定の材料(例えば、シート又はテープ)の厚さ方向の断面全体に様々な深さで供給される、制御された電子ビーム照射量の測度として用いた。特定の加速電圧での電子ビーム照射量を厚さに対してプロットして、テープの断面のほぼ中央部分に最小値を有する照射量−深さプロファイルを得た。テープ構造物それぞれの個別の試料を、異なる照射量及び加速電圧で処理した。各テープ及びプロセス条件について、コアのほぼ中央での最小硬化の値、すなわち、コアのその部分に供給される照射量を計算した。テープの厚さ全体に亙る平均硬化の値もまた、計算上の平均コア硬化の値(ACCC)として計算した。試料は、1つ以上の所望の最終特性、例えば、応力緩和及び吊り下げ式せん断強度について試験した。続いて、応力緩和比(SRR)として表される応力緩和を、計算上の最小コア硬化の値の関数としてプロットした。SRRはまた、ACCCとMCCCとの積(Prod)の関数としてもプロットした。この積は、プロットでは、幾分、より多くの値の描写を与え、そして正にMCCCのプロットと一致する。モンテカルロのコード(Monte Carlo code)の使用によって、装置及びテープ構造物、すなわち、組成、厚さ、密度に基づく深さ及び照射量の値を推算するのに役立て、所望の最終生成物を得るのに最適な照射量の送達を可能にするための、様々な深さでの電子ビーム照射量の調整を容易にした。この方法論は米国特許第6,749,903号に記載されており、それ故に、この主題の全体を本明細書に組み込む。
【0082】
計算上の硬化の値は、電子ビームを送達するために用いられる具体的な装置に依存し、当業者は、使用する装置について、照射量の検量線モデルを規定することができる。本明細書中に記載の実施例では、放射線法を、不活性室を通過する0.076mm(0.003インチ)厚、30.48cm(12インチ)幅のポリエステルテレフタレート支持体フィルムを装備したモデルCB−300電子ビーム発生装置(マサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington)のエナジー・サイエンス社(Energy Sciences, Inc.)から入手可能)で行った。両面にライナーの付いたテープの試料を、テープが一方の面からポリエチレン剥離ライナーを通じて処理されるように、支持体フィルムに貼付して約6.1メートル/分(20フィート/分)の速度で搬送した。より厚い試料、例えば、発泡体テープは、テープの断面全体に硬化勾配を示す場合があることから、テープを両面から電子ビーム照射に曝露することが望ましい。実施例では、機械を1回通過した後で試料を反転させて、機械に再度搬送させることによって、テープを両面から処理した。これにより、制御された照射量を接着剤テープの中央部分に付与することで、架橋、そしてそれ故に耐熱度が達成された。CB−300のチャンバー内の酸素濃度は、50〜100ppmの範囲に制限された。照射窓とウェブ通路との間の標準的な窒素ギャップは47mmであり、機械を通過するパス毎に同じ機械設定を用いた。
【0083】
試料を処理する前に、電子ビーム装置は、ASTM E 1818に従って、カリフォルニア州ガレッタ(Goleta)のファー・ウェスト・テクノロジーズ社(Far West Technologies,Inc.)から市販されている、放射線着色剤を含有するポリマーフィルムである10ミクロン及び45ミクロン線量計を用いた線量計測により検量した。検量により、加速電圧とビーム電流との関数としての、表面線量及び照射量/深さプロファイルの測度が与えられた。実際の試料の照射量は、基材1平方センチメートルに堆積したエネルギーを試料の密度で割ったものであることから、線量計とは異なる密度を有する基材のための照射量−深さプロファイルが正規化された。照射量−深さプロファイルは、テープ構造物(典型的に、ライナーと、特定組成の発泡体のコアと、前記発泡体のコア上の特定組成の任意の表面薄層とを有するもの)それぞれについて計算して、電子ビームが浸透してテープの中心に到達しなければならない異なる層の密度の差を明らかにした。応力緩和比(SRR)について試験した試料は、特定の加速電圧で特定の照射量を受けた、代表的な厚さと密度の試料であった。厚さ及び密度の測定は、一般的には、SRR測定を行った領域の直ぐ近くで行った。
【0084】
応力緩和比−G(300)/G(0.1)−(SRR)
応力緩和比(G(300)/G(0.1))試験を用いて、一定レベルのせん断歪みを試料に与えるときの接着物品、例えば、テープ試料の時間依存性を特性評価した。試料のせん断弾性率は、試験中に特定の時間間隔をおいて測定された。試験が完了したときに、300秒での弾性率を0.1秒での弾性率で割ったもの(G(300)/G(0.1))を用いて比を計算した。この「応力比」によって、材料の「堅固さ」(例えば、負荷の下での材料の感応性)の指標が与えられる。
【0085】
応力緩和比(G(300)/G(0.1))試験は、25mm平行板試験備品(Parallel PlateTest Fixture)の付いた最新式の粘弾性測定システム(Advanced Rheometric Expansion System)(ARES)(デラウェア州ニュー・キャッスル(New Castle)のTAインストルメンツ(TA Instruments)から入手可能))を用いて行った。そのレオメーターには、RSA調整器(Orchestrator)ソフトウェアを装備していた。テープ試料は、直径24.5mm(1インチ)及び厚さ約0.51mm(20ミル)の円形ディスクであった。0.51mmよりも薄い試料の場合、いくつかの層を合わせて積層して、必要な厚さを提供してもよい。試験は、70℃(+/−1℃)においてギャップ1mm及び歪み25%で行った。データは、時間(秒)に対する弾性率(G)のチャートに記録した。応力緩和比は、300秒での弾性率(G)を0.1秒での弾性率で割ることによって計算された。
【0086】
吊り下げ式せん断力
吊り下げ式せん断力試験は、高温でのテープの内部凝集強度の指標として用いた。2.54cm×1.27cmの大きさのテープ試料を2.54cm×5.08cmの大きさのエッチング済みアルミニウムパネルに、テープの両端がパネルの両端と同一の広がりを持つように積層した。パネルを1.27cm重ねることで、反対方向に延びるテープとパネルの自由端とを覆った。パネルの一方の端を、70℃に設定したオーブン内の棚に、テープ試料がせん断応力下にあるように、もう一方のパネルの端部の底から吊り下げた500グラムの重りと共に吊り下げた。下方のパネルが吊り下げパネルから剥がれる時間を10,000分まで測定した。試験結果は、合格、すなわち、オーブン内で10,000分後にパネルが互いにまだ接着していること、又は不合格、すなわち、下方のパネルが上方のパネルから10,000分未満で剥がれたこと、で記録する。
【0087】
感圧接着剤組成物
パッケージ化された感圧接着剤組成物は、これによってこの主題の全体を本明細書に組み込む米国特許第5,804,610号、に記載の方法に従って、以下に挙げるような組成物及び材料を用いて調製した。
【0088】
PSA−1−感圧接着剤(PSA)組成物は、IOA(イソオクチルアクリレート)45部と、BA(ブチルアクリレート)45部と、AA(アクリル酸)10部と、2,2ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.)から入手可能なイルガキュア(IRGACURE)(商標)651)0.15部と、IOTG(イソオクチルチオグリコレート)0.06部とを混合することにより調製した。組成物は、米国特許第5,804,610号(それ故に、この主題の全体を本明細書に組み込む)に記載されているようなおよそ10cm×5cm×0.5cm厚の大きさのパッケージに入れた。パッケージ用フィルムは、0.0635mm厚のエチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム(テキサス州ダラス(Dallas)のCTフィルム(CT film)から入手可能なVA−24フィルム)であった。パッケージを水浴に浸漬すると同時に、NISTユニットによる測定において約3.5ミリワット/平方センチメートルの強度及び約1680ミリジュール/平方センチメートルの合計エネルギーで紫外線に曝露した。PSAには、ポリマーとパッケージ用フィルムの両方が包含されていた。得られたポリマー、すなわちパッケージ用フィルムを除くものは、先に述べたゲル透過クロマトグラフィー手順による測定において、約5.75×10のM及び約1.98×10のMを有していた。
【0089】
PSA−2−PSA組成物は、組成物が2−EHA(2−エチルヘキシルアクリレート)95部と、AA 5部と、イルガキュア(IRGACURE)(商標)651光開始剤0.15部と、IOTG 0.02部とであったこと以外は、PSA−1についての先の手順に従って調製した。得られたポリマーは、先に記載したGPC手順に従って測定すると、約5.54×10のM及び約1.48×10のMを有していた。
【0090】
PSA−3−PSA組成物は、組成を次のように変えたこと以外は、PSA−2についての手順に従って調製した:イルガキュア(IRGACURE)(商標)651光開始剤0.2部、IOTG 0.8部、及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.)から入手可能なイルガノックス(IRGANOX)(商標)1076)0.4部を添加した。約4107mJ/平方cmの合計エネルギーを使用した。得られたポリマーは、約5.54×10のM及び約2.84×10のMを有していた。
【0091】
PSA−4−PSA組成物は、0.3部のIOTGを使用したこと以外は、PSA−3についての手順に従って調製した。約4107mJ/平方cmの合計エネルギーを使用した。得られたポリマーは、約1.28×10のM及び約5.15×10のMを有していた。
【0092】
PSA−5−PSAは、2−EHA 85部とAA 15部とを使用し、そして使用した合計エネルギーが約1785mJ/平方cmであったこと以外は、PSA−3についての手順に従って調製した。得られたポリマーは、約4.72×10のM及び約2.84×10のMを有していた。
【0093】
PSA−6−PSAは、IOTG 0.3部を使用し、そして合計エネルギーが約1778mJ/平方cmであったこと以外は、PSA−5についての手順に従って調製した。得られたポリマーは、約8.86×10のM及び約5.72×10のMを有していた。
【0094】
PSA−7−PSAは、2−EHA 80部とAA 20部とを使用し、そして使用した合計エネルギーが約1778mJ/平方cmであったこと以外は、PSA−3についての手順に従って調製した。得られたポリマーは、約3.94×10のM及び約2.54×10のMを有していた。
【0095】
PSA−8−PSAは、2−EHA 90部と、AA 10部と、IOTG 0.03部とを使用したこと以外は、PSA5についての手順に従って調製した。使用した合計エネルギーは約1530mJ/平方cmであった。得られたポリマーは、約5.75×10のM及び約1.98×10のMを有していた。
【0096】
表面接着剤(Skin Adhesive)−1(SA−1)
表面接着剤(Skin Adhesive)−1は、熱可塑性ゴム(クレイトン(KRATON)D−1340K、約9%スチレンとの多腕(multi-arm)ブロックコポリマーであって、テキサス州ヒューストン(Houston)のクレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers,Inc.)から入手され、及び、これによりこの主題の全体を本明細書に組み込む米国特許第5,393,373号に従って作製されたもの)約12.7部を、K−トロン(K-tron)(商標)重量損失フィーダーから、120℃に設定された10個の加熱領域を有する40mmバースターフ(Berstorff)二軸スクリュー押し出し機の領域1へ供給することによって調製した。スクリューは、領域1、4、8、9、及び10内には搬送区分を有し、そして後方の領域である2、3、5、6、及び7内には混合区分を有していた。他の構成成分は、次に示すような供給装置及び温度を用いて、押し出し機の異なる領域に供給した(量はいずれも、供給装置や速度などが異なるので、およその量である。):
領域2:2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート可塑剤(ニュージャージー州ブリッジポート(Bridgeport)のフェロー社(Ferro Co.)から入手可能な)サンチサイザー(SANTICIZER)141)6.2部−温度を室温に設定したゼニス(Zenith)ポンプ/ホース。
【0097】
領域3:脂肪族C−5粘着付与樹脂(英国ハンプシャー州サザンプトン(Southampton)のエクソンモービル・ケミカル社(Exxon Mobil Chemical LTD.)から入手可能なエキスコレッツ(EXCOREZ)1310LC)23.2部−温度を160℃に設定したグリッド溶融装置/溶融ポンプ/ホース。
【0098】
領域4:メルト・インデックスが約150のエチレン酢酸ビニルコポリマー樹脂中にカーボンブラックの50/50ブレンドを有する黒色顔料(ジョージア州スワニー(Suwanee)のMAハンナ・カラー(MA Hanna Color)から入手可能な4900 CMB)0.38部をディスク投与器から供給した。
【0099】
領域5:PSA−1 53.1部−温度を150℃に設定した51mmボナット(Bonnot)一軸スクリュー押し出し機/溶融ポンプ/ホース。
【0100】
領域6:安定化ロジン酸エステル粘着付与樹脂(イリノイ州シカゴ(Chicago)の荒川化学USA(Arakawa Chemical USA)から入手可能なスーパーエステル(Superester)W−115)3.8部を、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカル社(Ciba Specialty Chemical Co.)から入手可能なイルガノックス(IRGANOX)1010酸化防止剤)0.26部、及び2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−(tert)−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカル社から入手可能なチヌビン(TINUVIN)328紫外線吸収剤)0.26部と混合した−温度を160℃に設定したグリッド溶融装置/溶融ポンプ/ホース。配合した接着剤は、シリコーン剥離剤で裏打ちした箱に収容した。
【0101】
表面接着剤(Skin Adhesive)−2(SA−2)
SA−2は、熱可塑性ゴム(クレイトン(KRATON)D−1340K)11.5部と、エスコレッツ(ESCOREZ)1310LC粘着付与剤20部と、PSA−1 55.6部と、スーパーエステル(Superester)W−115粘着付与剤6部と、サンチサイザー(SANTICIZER)141可塑剤3部とを使用したこと以外は、SA−1についての手順に従って調製した。
【0102】
(実施例1)
発泡体のコア組成物は、PSA−3 97.7部を、領域1、4、8、及び9内に搬送区分を、そして後方部分の領域2、3、5、及び6内に混合区分を有する40mmバースターフ(Berstorff)二軸スクリュー押し出し機の領域1に供給することによって調製した。押し出し機は、10個の加熱された領域を有しており、それぞれ120℃に設定した。PSA−2は、温度を121℃/150℃/150℃にそれぞれ設定した溶融ポンプとホースとを有する51mm単一押し出し機(ボナット(Bonnot))装置から供給した。K−トロン(K-tron)(商標)T20供給装置を用いて、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとを含有するシェル組成物と、イソペンタンのコア(デュアライト(DUALITE)(商標)U010−185D膨張性微小球であって、オハイオ州エイボン(Avon)のソバライン・スペリャルティ・ケミカルズ社(Sovereign Specialty Chemicals Inc.)から入手可能なもの)とを有する膨張性微小球2.3部を添加した。微小球を含有する配合されたコアを、それぞれ約150℃に設定した溶融ポンプとホースから、192℃の温度に設定された鍵穴形状のマニホールドを有する25.4cm(10インチ)幅クローレン(Cloeren)3層型の調節可能な羽根型ダイの中央部分へ供給した。微小球の供給速度は、特定の目標密度を達成するように調節した。
【0103】
発泡体テープは、SA−1(表面接着剤(Skin Adhesive)−1)を約2.63kg/時の速度で、150℃の温度に設定した溶融ポンプとホースとを有する51mmの一軸スクリュー押し出し機(ボナット(Bonnot))から3層型クローレン(Cloeren)ダイの外側層部分へ供給することによって調製した。ダイの羽根は、前記表皮層がダイリップの両面にほぼ均等に分配されるように調節した。発泡体のコア組成物は、中央層へ約11.35kg/時で供給した。ダイを出たところで、同時押し出しされた層を、直径46cm(18インチ)を有し及び約1.37メートル/分の表面速度で操作されるシリコーン剥離剤を被覆したキャスティングロール上にキャスティングした。このロールを、約12℃の温度の水で冷却した。冷却した押し出し品を、キャスティングロールからシリコーンを被覆した0.117mm厚のポリエチレン剥離ライナーへ転写し、これを、キャスティングロールと同じ速度でウェブ搬送ラインの端まで移動させて、それを長さ約1.25メートルに切断した。同じ剥離ライナーのもう一枚のシートを各シートに手持ち式ゴムローラーを用いて手で積層し、閉じ込められた空気を抜いて、シートを積み重ねた。得られた発泡体テープの全体厚さは、デジタルノギスで測定すると約1.14mmであり、密度は約0.61グラム/立方センチメートル(g/cc)であった。コアの両面の表面接着剤(Skin Adhesive)層の厚さは0.076mm(0.003インチ)及び密度は約0.98g/ccであり、そしてコアの厚さは約0.99mm(0.039インチ)及び密度は約0.98g/ccであった。ライナーそれぞれの厚さは0.117mm(0.0046インチ)及び密度は0.99g/ccであった。
【0104】
テープに電子ビーム放射線を、加速電圧300KeV及び照射量10メガラッドでテープの一方の面から照射した。テープ厚さに対する照射量のプロットを図4に示す。照射は、電子ビームとは反対側のテープ面では、テープを架橋するのには十分ではなかった。
【0105】
この試料を反転させて、電子ビーム装置への二回目のパスを同じ加速電圧及び照射量で行った。得られたプロットを図5に示す。テープの中央での照射の追加効果は、両方の表面におけるよりも大きいことから、得られるプロットは凸状の曲線であった。
【0106】
加速電圧を230KeVまで下げて、2つめのテープ試料を装置に2回通過させた。テープの中央での照射の追加効果は、両方の表面におけるよりも小さいことから、得られるプロットは、図6に示すように、テープの断面の中央のほぼ三分の一に最小値を有する、下に凹のプロファイルであった。最小値、すなわち、MCCC(計算上の最小コア硬化の値)は、試料のせん断強度及び応力緩和と相関関係にあった。
【0107】
同じテープ構造物の更に5つの試料を、表1に示すように、様々な加速電圧及び照射量で処理した。応力緩和と静的せん断強度とをそれぞれのプロセス条件で測定し、断面内での最小の電子ビーム硬化の値を、MCCCを求めるための手順に従って計算した。テープの厚さ全体に渡る平均硬化の値もまた算出した。最小コア硬化の値と平均コア硬化の値との積(積)を算出した。この積は、単に最小硬化の値のみよりも多くのデータ解析をもたらすと考えられる。図7に示すように、各照射量について応力緩和値をMCCCに対してプロットした。応力緩和をまた、図8に示すように、計算上の平均コア硬化の値(ACCC)と計算上の最小コア硬化の値(MCCC)との積に対してもプロットした。
【0108】
モンテカルロのコード(MonteCarlo code)を用いて、各試料における加速電圧と照射量を選択するのに役立てた。この実施例は、本開示の代表的な方法を例示しており、ここでは、計算上の最小コア硬化の値を用いて、特定のテープ組成(ライナー、コア、表面接着剤)及び密度の性能要件を満たすように処理レベルを調節している。
【0109】
(実施例2〜8)
発泡体テープは、以下に述べる手順に従って調製した。各テープ構造物の2〜5個の試料を、表1に示す実施例番号の後の文字で示されるような様々な電子ビーム加速電圧(KeV)及び照射量(MRad)に曝露した。各試料を装置に2回パスさせるように曝露することで、テープ両面に照射を行った。各硬化試料のための電子ビーム照射量/深さプロファイルを先に述べた手順に従って検量した。計算上の最小コア硬化の値(MCCC)(メガラッド)のみならず、計算上の平均コア硬化の値(ACCC)(メガラッド)、及びMCCCとACCCとの積も求めた。各加速電圧及び照射量に対応する硬化したテープの代表的な試料の厚さと密度を測定し、そしてせん断強度(SS)及び応力緩和比(SRR)について試験した。結果を表1に示す。応力緩和を、図7に示すように、計算上の最小コア硬化の値の関数としてプロットした。応力緩和比(SRR)はまた、図8に示すように、平均硬化の値(積)と最小硬化の値との積の関数としてもプロットした。
【0110】
データは、様々な組成を有するテープの応力緩和特性が、電子ビーム装置における適切な照射量及び加速電圧を選択することによってどのように制御されて、接着剤テープの所望の特性を提供することができるかを示している。電子ビーム条件を、所望のせん断強度及び応力緩和特性を提供するように選択したことで、プロセスウィンドウが確立されて、所定の組成、厚さ、及び密度のテープを作製することができる。
【0111】
(実施例2)
発泡体テープは、次のようにしたことを除いて、実施例1の手順に従って調製した。発泡体の組成物は、PSA−2 84部を一軸スクリュー押し出し機から二軸スクリュー押し出し機へ供給することによって調製した。100℃/100℃/120℃の温度に設定した同じ一軸スクリュー押し出し機を用いて、PSA−3 13.7部を二軸スクリュー押し出し機の領域2へ供給した。キャスティングロール速度は約1.25m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.1mmであり、そして密度は約0.606g/ccであった。
【0112】
(実施例3)
発泡体テープは、一軸スクリュー押し出し機を用いて、PSA−4 13.7部を二軸スクリュー押し出し機の領域2へ供給したこと以外は、実施例2の手順に従って調製した。キャスティングロール速度は約1.22m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.16mmであり、そして密度は約0.623g/ccであった。
【0113】
(実施例4)
発泡体テープは、一軸スクリュー押し出し機装置の温度を93℃/107℃/120℃に設定し、そしてPSA−5 約13.7部を二軸スクリュー押し出し機の領域2へ供給したこと以外は、実施例2の手順に従って調製した。キャスティングロール速度は約1.4m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.09mmであり、そして密度は約0.623g/ccであった。
【0114】
(実施例5)
発泡体テープは、PSA−6 約13.7部を二軸スクリュー押し出し機の領域2へ供給したこと以外は、実施例4の手順に従って調製した。キャスティングロール速度は約1.5m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.13mmであり、そして密度は約0.637g/ccであった。
【0115】
(実施例6)
発泡体テープは、PSA−7 約13.7部を二軸スクリュー押し出し機の領域2へ供給したこと以外は、実施例4の手順に従って調製した。キャスティングロール速度は約1.58m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.19mmであり、そして密度は約0.635g/ccであった。
【0116】
(実施例7)
発泡体テープは、PSA−2 約83.2部を二軸スクリュー押し出し機の領域1へ供給し、PSA−5 約13.5部を領域2に供給し、そして膨張性微小球約3.3部を領域8に添加したこと以外は、実施例2の手順に従って調製した。キャスティングロール速度は約1.6m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.10mmであり、そして密度は約0.55g/ccであった。
【0117】
(実施例8)
発泡体テープは、PSA−8 約83.1部を二軸スクリュー押し出し機の領域1へ供給し、PSA−5 15部を領域2に供給し、そして膨張性微小球1.9部を領域8に添加したこと以外は、実施例4の手順に従って調製した。キャスティングロール速度は約1.3m/分であった。得られた発泡体テープの合計の厚さは約1.14mmであり、そして密度は約0.65g/ccであった。
【0118】
【表1】
【0119】
本明細書は、その特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、上述の事項を理解することにより、当業者がこれら実施形態に対する変更、その変形、及びそれらの同等物を容易に想起できることは明らかである。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのいかなる同等物の範囲であると査定されるべきである。
(態様)
(態様1)
接着剤組成物であって、
(i)1つ以上のモノマーAと1つ以上のモノマーBとの重合で得られる第1のアクリルコポリマーであって、約150,000〜約600,000の範囲にある数平均分子量Mを有する、ポリマーと、
(ii)1つ以上のモノマーCと1つ以上のモノマーDとの重合で得られる第2のアクリルコポリマーであって、約10,000〜約70,000の範囲にある数平均分子量Mを有する、ポリマーと、
のブレンドを含み、
前記モノマーB及びモノマーDが、水素結合可能である少なくとも1つの反応性基を有し、前記第2のアクリルコポリマーが、前記第2のアクリルコポリマーの総重量に対して、合計で約10重量部より多いモノマーDを含み、そして前記第2のアクリルコポリマー中の前記モノマーDの合計の重量部が、前記第1のアクリルコポリマー中の前記モノマーBの合計の重量部より多い、接着剤組成物。
(態様2)
前記組成物中に存在する前記第1のアクリルコポリマーの量が、前記組成物中に存在する前記第2のアクリルコポリマーの量よりも多い、態様1に記載の接着剤組成物。
(態様3)
前記第1のアクリルコポリマーが、前記第1のアクリルコポリマーと前記第2のアクリルコポリマーとの合計の重量に対して、約75〜約98重量部の範囲の量で存在し、そして前記第2のアクリルコポリマーが、約25〜約2重量部の範囲の量で存在する、態様2に記載の接着剤組成物。
(態様4)
前記第2のアクリルコポリマー中のモノマーDの合計の重量部が、前記第1のアクリルコポリマー中のモノマーBの合計の重量部よりも少なくとも約3重量部多い、態様1に記載の接着剤組成物。
(態様5)
前記第1のアクリルコポリマーが、前記第1のアクリルコポリマーの総重量に対して合計で約2〜約10重量部のモノマーBを含み、そして前記第2のアクリルコポリマーが、前記第2のアクリルコポリマーの総重量に対して合計で約10〜約25重量部のモノマーDを含む、態様1に記載の接着剤組成物。
(態様6)
前記モノマーA及びCが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、及びこれらのいずれかに相当するメタクリレート、並びにこれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立して選択される、態様1に記載の接着剤組成物。
(態様7)
前記モノマーB及びDが、アクリル酸、メタアクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、ネオデカン酸、ネオノナン酸、ネオペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、プロピオン酸、及びこれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立して選択される、態様1に記載の接着剤組成物。
(態様8)
前記接着剤組成物が硬化されている、態様1に記載の接着剤組成物の層を含む接着物品。
(態様9)
前記接着剤組成物が、電子ビーム照射への曝露後に70℃での応力緩和試験による測定において、約0.10〜約0.30の応力緩和比G(300)/G(0.1)を有する、態様8に記載の接着物品。
(態様10)
前記接着物品が、500gの吊り下げ荷重を70℃において少なくとも10,000分維持することによる静的剪断試験に合格する、態様8に記載の接着物品。
(態様11)
前記接着剤組成物の前記層が発泡体の層である、態様8に記載の接着物品。
(態様12)
前記接着物品の密度が、約0.30g/cc〜約0.80g/ccである、態様11に記載の接着物品。
(態様13)
前記発泡体の層が微小球を含む、態様11に記載の接着物品。
(態様14)
前記接着剤層の外側表面の上に少なくとも1つの追加の層を更に含む、態様8に記載の接着物品。
(態様15)
前記接着剤組成物の前記層の第1の外側表面の上に第1の接着剤層を、及び前記第1の接着剤層の反対側で、前記接着剤組成物の前記層の第2の外側表面の上に第2の接着剤層を更に含む、態様8に記載の接着物品。
(態様16)
前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層のうち少なくとも一方が、感圧接着剤を含む、態様15に記載の接着物品。
(態様17)
前記第1のアクリルコポリマーと前記第2のアクリルコポリマーとの間に、制御された程度の架橋を更に含む、態様8に記載の接着物品。
(態様18)
接着物品の製造方法であって、前記方法が、
態様1に記載の前記接着剤組成物を押し出す工程と、
前記押し出されたものを、前記第1のアクリルコポリマーと前記第2のアクリルコポリマーとの間で、制御された程度の架橋を達成する量の放射線に曝露する工程と、
を含む方法。
(態様19)
前記接着物品が、制御された量の放射線への曝露後に、70℃での応力緩和試験による測定において、少なくとも約0.10〜約0.30の応力緩和比G(300)/G(0.1)を有する、態様18に記載の方法。
(態様20)
接着物品の製造方法であって、前記方法が、
加速電圧のための第1の制御及び照射量のための第2の制御を有する電子ビーム発生装置を準備する工程と、
組成と、厚さと、密度とを有する、硬化される材料を準備する工程と、
前記電子ビーム発生装置を用いて、制御された量の架橋から生じることができる1つ以上の所望の特性を決定する工程と、
前記電子ビーム発生装置及び前記硬化される材料のための照射量−深さプロファイルの検量線に基づく、前記材料の計算上の最小コア硬化の値を使用して、前記1つ以上の所望の特性をもたらす電圧及び照射量で前記材料を架橋する工程と、
を含む方法。
(態様21)
前記電子ビーム発生装置と前記硬化すべき材料とに関する前記照射量−深さプロファイルの検量線を、前記組成、厚さ、及び密度に基づいて作成する工程と、
前記照射量−深さプロファイルの検量線に基づいて、前記計算上の最小コア硬化の値を求める工程と、を更に含む、態様20に記載の方法。
(態様22)
前記の1つ以上の所望の特性が、応力緩和、せん断強度、又はこれらの組み合わせを含む、態様20に記載の方法。
(態様23)
モンテカルロのコードが、前記計算上の最小コア硬化の値を決定するために使用される、態様20に記載の方法。
(態様24)
硬化後の前記材料が、前記材料の厚さの断面にわたって硬化勾配を示す、態様20に記載の方法。
(態様25)
前記照射量−深さプロファイルの検量線のうちの少なくとも1つが、前記材料の厚さの中央から80%以内に最小値を示す、態様20に記載の方法。
(態様26)
前記照射量−深さプロファイルの検量線のうちの少なくとも1つが、前記材料の厚さの中央から50%以内に最小値を示す、態様20に記載の方法。
(態様27)
前記照射量−深さプロファイルの検量線のうちの少なくとも1つが、下に凹のプロファイルを示す、態様20に記載の方法。
(態様28)
前記材料が、
(i)1つ以上のモノマーAと1つ以上のモノマーBとの重合で得られる第1のアクリルコポリマーであって、約150,000〜約600,000の範囲にある数平均分子量Mを有する、ポリマーと、
(ii)1つ以上のモノマーCと1つ以上のモノマーDとの重合で得られる第2のアクリルコポリマーであって、約10,000〜約70,000の範囲にある数平均分子量Mを有する、ポリマーと、
のブレンドを含み、
前記モノマーB及び前記モノマーDが、水素結合可能な少なくとも1つの反応性基を有し、前記第2のアクリルコポリマーが、前記第2のアクリルコポリマーの総重量に対して合計で約10重量部より多いモノマーDを含み、そして前記第2のアクリルコポリマー中の前記モノマーDの合計の重量部が、前記第1のアクリルコポリマー中の前記モノマーBの合計の重量部より多い、態様20に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8