特許第5882951号(P5882951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トプコンの特許一覧

<>
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000002
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000003
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000004
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000005
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000006
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000007
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000008
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000009
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000010
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000011
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000012
  • 特許5882951-飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882951
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20160225BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20160225BHJP
   G01C 1/02 20060101ALI20160225BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20160225BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20160225BHJP
   G01S 17/66 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   G05D1/10
   G01C15/00 103A
   G01C15/00 102C
   G01C1/02 L
   B64C13/20 C
   B64C39/02
   G01C15/00 104C
   G01S17/66
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-126100(P2013-126100)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-1450(P2015-1450A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2015年10月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】大友 文夫
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 薫
(72)【発明者】
【氏名】大佛 一毅
(72)【発明者】
【氏名】大谷 仁志
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−203638(JP,A)
【文献】 特開平01−282489(JP,A)
【文献】 特開平10−035579(JP,A)
【文献】 特開2003−127994(JP,A)
【文献】 特開2001−033549(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02832956(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 − 1/12
B64C 13/20
B64C 39/02
G01C 1/02
G01C 15/00
G01S 17/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操縦可能な飛行装置と、測距、測角、追尾が可能な測量機と、該測量機の測量結果に基づき、飛行体の飛行を制御する地上基地とを有する飛行体誘導システムであって、前記飛行体は、測定対象としての再帰反射体を具備し、前記測量機は、ノンプリズムで測距、測角を行うノンプリズム測量機能と、再帰反射体に対して測距、測角を行うプリズム測量機能と、前記再帰反射体を追尾し、測距、測角を行う追尾機能とを有し、前記測量機は飛行予定範囲をノンプリズム測定し、前記地上基地は前記ノンプリズム測定の結果に基づき安全飛行範囲を設定し、前記測量機による追尾測定の結果に基づき前記飛行装置を前記安全飛行範囲で飛行する様制御することを特徴とする飛行体誘導システム。
【請求項2】
前記測量機は、測定結果を距離、方向角の極座標で取得し、前記地上基地は極座標に基づき前記飛行装置を制御する請求項1の飛行体誘導システム。
【請求項3】
前記飛行装置がGPSユニットを具備し、前記地上基地は、前記測量機で取得した前記飛行装置の位置情報、前記GPSユニットで取得した前記飛行装置の位置情報のいずれかで前記飛行装置の飛行を制御する請求項1又は請求項2の飛行体誘導システム。
【請求項4】
前記測量機が異なる位置に複数台設置され、前記地上基地は、前記複数台の測量機による前記飛行装置の測定結果を共有し、前記飛行装置は、該飛行装置を測定可能な位置に設置された前記測量機による測定データに基づき飛行制御される請求項1〜請求項3の内いずれかの飛行体誘導システム。
【請求項5】
前記地上基地は、前記測量機からの極座標データを前記GPSユニットが測定する直交座標データに変換し、直交座標データに基づき前記飛行装置の飛行を制御する請求項3の飛行体誘導システム。
【請求項6】
前記飛行体は、ジンバルを介して任意の方向に傾斜自在に支持されたカメラと、該カメラと一体に傾斜し、該カメラと既知の関係に設けられた再帰反射体とを具備する請求項1〜請求項5の内いずれかの飛行体誘導システム。
【請求項7】
遠隔操縦可能な飛行装置と、ノンプリズム測定、追尾測定が可能な測量機と、該測量機の測量結果に基づき、飛行体の飛行範囲を設定し、且つ飛行を制御する地上基地とを用いた飛行体誘導方法であって、前記飛行範囲をノンプリズム測定により事前測定する工程と、事前測定の結果に基づき安全飛行範囲を設定する工程と、前記飛行装置を追尾測定し、追尾測定の結果に基づき前記安全飛行範囲で前記飛行装置を飛行させる様遠隔操作する工程とを具備することを特徴とする飛行体誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型無人飛行体(UAV:Unmanned Air Vehicle)を遠隔操作する飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、UAV(Unmanned Air Vehicle:無人飛行体)の進歩に伴い、UAVに各種装置を搭載して遠隔操作により、或は自動飛行により所要の作業が行われている。例えばUAVに写真測量用カメラを搭載し、高所から、或は人の立入れない場所での写真撮影、更に取得した写真により写真測量を行うことができる様になっている。
【0003】
遠隔操作を行う場合、UAVの現在位置をリアルタイムに測定する必要があり、通常、UAVにはGPSが搭載され、該GPSによりUAVの位置が測定されている。
【0004】
ところが、GPSは複数の衛星から発せられる信号に基づき位置を測定する様になっているので、ビルの谷間、トンネルの中等、衛星からの信号を受信できない場所では、GPSでは位置測定を行うことができなく、UAVを飛行させることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−285588号公報
【特許文献2】特開2010−38822号公報
【特許文献3】特開2006−10376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、GPSが利用できない場所、環境でもUAVの遠隔操作を可能とする飛行体誘導システム及び飛行体誘導方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遠隔操縦可能な飛行装置と、測距、測角、追尾が可能な測量機と、該測量機の測量結果に基づき、飛行体の飛行を制御する地上基地とを有する飛行体誘導システムであって、前記飛行体は、測定対象としての再帰反射体を具備し、前記測量機は、ノンプリズムで測距、測角を行うノンプリズム測量機能と、再帰反射体に対して測距、測角を行うプリズム測量機能と、前記再帰反射体を追尾し、測距、測角を行う追尾機能とを有し、前記測量機は飛行予定範囲をノンプリズム測定し、前記地上基地は前記ノンプリズム測定の結果に基づき安全飛行範囲を設定し、前記測量機による追尾測定の結果に基づき前記飛行装置を前記安全飛行範囲で飛行する様制御する飛行体誘導システムに係るものである。
【0008】
又本発明は、前記測量機は、測定結果を距離、方向角の極座標で取得し、前記地上基地は極座標に基づき前記飛行装置を制御する飛行体誘導システムに係るものである。
【0009】
又本発明は、前記飛行装置がGPSユニットを具備し、前記地上基地は、前記測量機で取得した前記飛行装置の位置情報、前記GPSユニットで取得した前記飛行装置の位置情報のいずれかで前記飛行装置の飛行を制御する飛行体誘導システムに係るものである。
【0010】
又本発明は、前記測量機が異なる位置に複数台設置され、前記地上基地は、前記複数台の測量機による前記飛行装置の測定結果を共有し、前記飛行装置は、該飛行装置を測定可能な位置に設置された前記測量機による測定データに基づき飛行制御される飛行体誘導システムに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記地上基地は、前記測量機からの極座標データを前記GPSユニットが測定する直交座標データに変換し、直交座標データに基づき前記飛行装置の飛行を制御する飛行体誘導システムに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記飛行体は、ジンバルを介して任意の方向に傾斜自在に支持されたカメラと、該カメラと一体に傾斜し、該カメラと既知の関係に設けられた再帰反射体とを具備する飛行体誘導システムに係るものである。
【0013】
更に又本発明は、遠隔操縦可能な飛行装置と、ノンプリズム測定、追尾測定が可能な測量機とを用いた飛行体誘導方法であって、飛行範囲をノンプリズム測定により事前測定する工程と、事前測定の結果に基づき安全飛行範囲を設定する工程と、該安全飛行範囲で前記飛行装置を飛行させる様遠隔操作する工程とを具備する飛行体誘導方法に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、遠隔操縦可能な飛行装置と、測距、測角、追尾が可能な測量機と、該測量機の測量結果に基づき、飛行体の飛行を制御する地上基地とを有する飛行体誘導システムであって、前記飛行体は、測定対象としての再帰反射体を具備し、前記測量機は、ノンプリズムで測距、測角を行うノンプリズム測量機能と、再帰反射体に対して測距、測角を行うプリズム測量機能と、前記再帰反射体を追尾し、測距、測角を行う追尾機能とを有し、前記測量機は飛行予定範囲をノンプリズム測定し、前記地上基地は前記ノンプリズム測定の結果に基づき安全飛行範囲を設定し、前記測量機による追尾測定の結果に基づき前記飛行装置を前記安全飛行範囲で飛行する様制御するので、GPSによる位置測定ができない環境でも、前記飛行装置の飛行制御を行える。
【0015】
又本発明によれば、前記測量機は、測定結果を距離、方向角の極座標で取得し、前記地上基地は極座標に基づき前記飛行装置を制御するので、制御用のデータ処理が簡略化でき、飛行始点から測定開始点まで、直線的に飛行させることができ、高速飛行が可能となる。
【0016】
又本発明によれば、前記飛行装置がGPSユニットを具備し、前記地上基地は、前記測量機で取得した前記飛行装置の位置情報、前記GPSユニットで取得した前記飛行装置の位置情報のいずれかで前記飛行装置の飛行を制御するので、GPSによる位置測定ができる環境か、前記測量機が位置測定できる環境かの少なくとも一方が測定可能な環境で前記飛行装置の飛行制御を行え、種々の環境での飛行制御を可能にする。
【0017】
又本発明によれば、前記測量機が異なる位置に複数台設置され、前記地上基地は、前記複数台の測量機による前記飛行装置の測定結果を共有し、前記飛行装置は、該飛行装置を測定可能な位置に設置された前記測量機による測定データに基づき飛行制御されるので、1台の前記測量機では視野に入らない、複雑な場所、死角が存在する環境での前記測量機による飛行制御が可能となる。
【0018】
又本発明によれば、前記地上基地は、前記測量機からの極座標データを前記GPSユニットが測定する直交座標データに変換し、直交座標データに基づき前記飛行装置の飛行を制御するので、前記GPSユニットを搭載する既存の飛行装置を利用して前記測量機の位置測定による飛行体の飛行制御が可能となる。
【0019】
又本発明によれば、前記飛行体は、ジンバルを介して任意の方向に傾斜自在に支持されたカメラと、該カメラと一体に傾斜し、該カメラと既知の関係に設けられた再帰反射体とを具備するので、前記測量機による測定結果に基づきカメラの位置が特定でき、写真測量に於ける画像処理が簡単になる。
【0020】
更に又本発明によれば、遠隔操縦可能な飛行装置と、ノンプリズム測定、追尾測定が可能な測量機とを用いた飛行体誘導方法であって、飛行範囲をノンプリズム測定により事前測定する工程と、事前測定の結果に基づき安全飛行範囲を設定する工程と、該安全飛行範囲で前記飛行装置を飛行させる様遠隔操作する工程とを具備するので、飛行体を測定対象物、或は障害物と接触することなく、安全に飛行させることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施例に係る飛行体誘導システムを示す構成図である。
図2】(A)は本実施例に係る飛行装置の斜視図、(B)は方向角センサの一例を示す斜視図である。
図3】前記飛行装置の断面図である。
図4】該飛行装置の制御系の構成図である。
図5】本実施例に係る測量機の一例を示す概略構成図である。
図6】本実施例に係る地上基地の概略構成、及び飛行装置、測量機、地上基地、遠隔操縦機の関連を示す図である。
図7】本実施例に於ける飛行体誘導の手順を示す説明図であり、(A)は事前測定、(B)は飛行体追尾測定、(C)は障害物が有る場合の追尾測定をそれぞれ示す。
図8】本実施例の作動を示すフローチャートである。
図9】飛行装置に障害物検知センサを設けた場合を示す斜視図である。
図10】本実施例の応用例を示す説明図である。
図11】他の実施例に係る飛行装置の制御系の構成図である。
図12】前記応用例の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0023】
先ず、図1により、本実施例に係る飛行体誘導システム1について説明する。
【0024】
該飛行体誘導システム1は、主に飛行装置(UAV)2、測量機3、地上基地4、遠隔操縦機5から構成される。
【0025】
前記飛行装置2は、主に飛行体15(後述)と、該飛行体15にジンバル機構を介して鉛直に支持された支持部材としてのシャフト6と、該シャフト6の下端、上端にそれぞれ設けられた下カメラ7、上カメラ8と、前記シャフト6の下端に設けられ、前記下カメラ7と一体化された再帰反射体としてのプリズム9と、前記地上基地4との間で通信を行う飛行体通信部11とを具備している。尚、前記下カメラ7、前記上カメラ8の光軸は、前記シャフト6の軸心と合致し、常に鉛直となる様に設けられている。前記プリズム9の光軸も鉛直となる様に設定され、更に該プリズム9と前記下カメラ7、前記上カメラ8との位置関係も既知となっている。尚、前記下カメラ7、前記上カメラ8及び前記プリズム9の光軸が鉛直になる様支持されればよく、前記シャフト6の軸心は必ずしも鉛直でなくてもよい。
【0026】
前記プリズム9は下方に向けて設けられ、該プリズム9下方全範囲から入射される光を再帰反射する光学特性を有している。又、前記プリズム9の代りに反射シールを前記シャフト6の所定位置に設けてもよい。
【0027】
前記測量機3は、プリズム測定(プリズム、再帰反射体を測定対象とする測定)及びノンプリズム測定(プリズム、再帰反射体を用いない測定)による距離測定が可能であると共に水平角、鉛直角が測定可能である。又、前記測量機3は、追尾機能を有している。前記測量機3は、既知点に設けられ、予定した飛行範囲をノンプリズム測定し、又、前記飛行装置2の飛行中は、前記プリズム9を追尾しつつ、該プリズム9の3次元座標を測定する。前記測量機3は前記地上基地4と有線或は無線により電気的に接続され、測定された3次元座標は座標データとして前記地上基地4に入力される。
【0028】
前記地上基地4は、例えばPCであり、演算機能を有する演算装置、データ、プログラムを格納する記憶部、更に基地通信部を有し、該基地通信部は測量機3と、前記飛行体通信部11との間で無線通信が可能な前記遠隔操縦機5と通信可能となっている。又、前記地上基地4は、ノンプリズム測定の結果に基づき飛行安全範囲を設定し、飛行安全範囲内で前記飛行装置2が遠隔操作される様、前記遠隔操縦機5に飛行範囲に関する制御データを送信する。
【0029】
前記遠隔操縦機5は、前記飛行装置2の飛行を遠隔操作するものであり、前記地上基地4より飛行範囲に関する飛行範囲制限データが送信された場合は、前記遠隔操縦機5から送信される飛行制御信号は飛行範囲制限データの制限を受け、前記飛行装置2が前記飛行安全範囲内を飛行する様に制御する。又、前記下カメラ7、前記上カメラ8のシャッタを遠隔操作可能となっている。
【0030】
次に、図2図3に於いて、前記飛行装置2について説明する。
【0031】
前記飛行体15は、放射状に延出する複数で且つ偶数のプロペラフレーム17を有し、各プロペラフレーム17の先端にプロペラユニットが設けられる。該プロペラユニットは、前記プロペラフレーム17の先端に取付けられたプロペラモータ18と、該プロペラモータ18の出力軸に取付けられたプロペラ19(図示では19a〜19h)により構成される。前記プロペラモータ18により前記プロペラ19が回転され、前記飛行体15が飛行する様になっている。
【0032】
前記飛行体15は中心に、中空円筒状の主フレーム21を有し、該主フレーム21の上端には外方に向って延出する外フランジ22、下端には中心に向って延出する内フランジ23が設けられている。該内フランジ23の中心部には、円形の孔24が形成される。
【0033】
前記プロペラフレーム17は棒状であり、前記主フレーム21の軸心と直交する平面内に配設され、水平方向に等角度間隔で所定数(少なくとも4本、好ましくは8本、図示では8本(17a〜17h)を示している)設けられている。前記プロペラフレーム17の内端部は、前記主フレーム21を貫通すると共に前記外フランジ22に固着されている。
【0034】
前記主フレーム21を上下に貫通する様に前記シャフト6が設けられ、該シャフト6はジンバル25により鉛直となる様に支持され、該ジンバル25は防振部材26を介して前記内フランジ23に設けられている。
【0035】
前記ジンバル25は直交する2方向の揺動軸27a,27bを有し、前記ジンバル25は前記シャフト6を直交する2方向に揺動自在に支持する。前記防振部材26は、前記プロペラモータ18、前記プロペラ19が回転した際の振動を吸収し、振動が前記シャフト6に伝達されない様にしている。
【0036】
傾斜センサ28は前記シャフト6の下端に設けられ、前記飛行体15の飛行状態の変化により生じる前記シャフト6の傾きを検出する。又、前記傾斜センサ28は前記シャフト6が鉛直に対して傾斜した場合、鉛直線と前記シャフト6の軸心との角度を検出するものであり、前記傾斜センサ28の検出結果は後述する制御装置35(図4参照)に送出される。
【0037】
方向角センサ29が前記主フレーム21の所要位置に設けられ、該方向角センサ29は前記飛行体15の向きを検出する。該飛行体15の向きとしては、例えば、前記測量機3が設置された方向を基準とした飛行体の向きである。又、前記方向角センサ29としては、方位センサが用いられ、或は図2(B)に示されるものが挙げられる。
【0038】
図2(B)は、前記方向角センサ29が制御ボックス31(後述)に設けられた場合を示している。該方向角センサ29を略述すると、前記制御ボックス31の4側面にそれぞれ受光センサ30a,30b,30c,30dを設け、該受光センサ30a,30b,30c,30dが前記測量機3から発せられる測距光或は追尾に用いられる追尾光を受光した場合に、受光信号を発する様に構成することで、どの位置の前記受光センサ30a,30b,30c,30dが測距光を受光しているかで、前記飛行装置2の前記測量機3に対する方向が検出される。
【0039】
前記シャフト6の下端には制御ボックス31が設けられる。該制御ボックス31の内部には、前記制御装置35が収納されている。前記制御ボックス31の下面に前記下カメラ7が設けられ、該下カメラ7に対し既知の距離L離反した位置にプリズム支柱32が垂設され、該プリズム支柱32の下端に前記プリズム9が設けられる。
【0040】
前記シャフト6の上端には、前記上カメラ8が設けられている。該上カメラ8の光軸、前記下カメラ7の光軸は前記シャフト6の軸心と一致しており、又前記プリズム9の光軸は前記シャフト6の軸心と平行となっている。前記下カメラ7は鉛直下方を撮影し、前記上カメラ8は鉛直上方を撮影する。
【0041】
前記制御ボックス31、前記下カメラ7、前記プリズム9等は、バランスウェイトとして機能し、前記シャフト6に外力が作用しない状態、即ち、フリーの状態では前記シャフト6は鉛直な状態となる様に前記制御ボックス31、前記下カメラ7、前記プリズム9の重量バランスが設定されている。
【0042】
前記制御ボックス31、前記下カメラ7、前記プリズム9等の、バランスウェイト機能で、前記シャフト6を鉛直に充分保持できる場合は特に設けなくてもよいが、前記シャフト6を鉛直姿勢に安定に保持する為、前記シャフト6が急激に傾斜した場合(前記飛行体15の姿勢が急激に変化した場合)に、迅速に鉛直状態に復帰できる様、バランス補助部材を設けてもよい。
【0043】
以下の例では、バランス補助部材としてダンパバネ16を設けた場合を説明する。
【0044】
前記プロペラフレーム17と前記シャフト6との間には、前記ダンパバネ16が掛渡される。該ダンパバネ16は少なくとも3本、好ましくは4本設けられ、前記ダンパバネ16は前記揺動軸27a,27bと平行に延出する前記プロペラフレーム17と前記シャフト6との間に設けられることが好ましい。
【0045】
又、4本の前記ダンパバネ16は、それぞれ前記シャフト6と前記プロペラフレーム17間に張力を作用させており、前記飛行体15が水平姿勢(前記プロペラフレーム17が水平な状態)で、張力のバランスにより前記シャフト6が鉛直状態を保つ様に設定されている。又、前記ダンパバネ16の張力、バネ定数は小さく設定されており、前記飛行体15が傾いた場合に、重力の作用で前記シャフト6が鉛直方向に向く様になっている。
【0046】
前記ダンパバネ16は、前記シャフト6を鉛直な状態に付勢する付勢手段であり、前記シャフト6が揺動、振動した場合に、迅速に鉛直状態に復帰させるものであり、振動を減衰させるものである。又、付勢手段としては、上記したダンパバネ16の他に前記ジンバル25の前記揺動軸27a,27bが回転した場合に、復帰方向に回転させる捩りコイルバネとしてもよい。
【0047】
前記飛行装置2の制御系を、図4を参照して説明する。
【0048】
前記制御ボックス31の内部に前記制御装置35が収納される。
【0049】
該制御装置35は、主に制御演算部36、クロック信号発生部37、記憶部38、撮像制御部39、飛行制御部41、ジャイロユニット42、モータドライバ部43、飛行体通信部11を具備している。
【0050】
前記下カメラ7、前記上カメラ8の撮影は、前記撮像制御部39によって制御され、又前記下カメラ7、前記上カメラ8によって撮影された画像は、画像データとして前記撮像制御部39に入力される。
【0051】
前記下カメラ7、前記上カメラ8としては、デジタルカメラが用いられ、静止画像が撮影できると共に動画像も撮影できる様になっている。又、撮像素子として、画素の集合体であるCCD、CMOSセンサ等が用いられ、各画素は撮像素子内での位置が特定できる様になっている。例えば、撮像素子のカメラの光軸が通過する点を原点とする直交座標によって各画素の位置が特定される。
【0052】
上記した様に、前記下カメラ7と前記上カメラ8の光軸は、前記シャフト6の軸心と合致しており、前記プリズム9の光軸は前記シャフト6の軸心と平行となっている。又、前記プリズム9の光軸と前記下カメラ7の光軸とは既知の位置関係となっている。
【0053】
前記記憶部38には、プログラム格納部とデータ格納部とが形成される。該プログラム格納部には前記下カメラ7、前記上カメラ8の撮影を制御する為の撮影プログラム、前記プロペラモータ18を駆動制御する為の飛行制御プログラム、取得したデータを前記地上基地4に送信し、又前記遠隔操縦機5からの飛行指令等を受信する為の通信プログラム、前記下カメラ7、前記上カメラ8で取得したデータを処理して格納する為のデータ処理プログラム、動画像を用いてトラッキングする為の画像トラッキングプログラム等のプログラムが格納されている。
【0054】
前記データ格納部には、前記下カメラ7、前記上カメラ8で取得した静止画像データ、動画像データ等が格納される。
【0055】
前記撮像制御部39は、前記制御演算部36から発せられる制御信号に基づき前記下カメラ7、前記上カメラ8の撮像に関する制御を行う。制御の態様としては、測定対象物に応じて使用するカメラの選定、前記下カメラ7、前記上カメラ8の同期制御、動画像を取得中、所定時間間隔で静止画像を取得する制御等であり、又前記下カメラ7、前記上カメラ8については前記クロック信号発生部37から発せられるクロック信号に基づき撮影時期が制御され、或は同期制御される。
【0056】
前記方向角センサ29は前記飛行体15の向きを検出し、検出結果を前記制御演算部36に入力し、前記ジャイロユニット42は前記飛行体15の飛行状態での姿勢を検出し、検出結果を前記制御演算部36に入力する。
【0057】
前記飛行体通信部11は、前記遠隔操縦機5で前記飛行体15の飛行が遠隔操作される場合に、前記遠隔操縦機5からの操縦信号を受信し、該操縦信号を前記制御演算部36に入力する。或は、前記下カメラ7、前記上カメラ8で撮影した画像データを、撮影した時刻と共に地上側の前記地上基地4に送信する等の機能を有する。
【0058】
前記制御演算部36は、前記記憶部38に格納された所要のプログラムに基づき画像取得する為に必要な制御を実行する。又、前記制御演算部36は、前記操縦信号及び前記ジャイロユニット42の検出結果に基づき、飛行に関する制御信号を演算し、前記飛行制御部41に出力する。
【0059】
該飛行制御部41は、前記制御演算部36から飛行に関する前記制御信号が入力されると、該制御信号に基づき前記モータドライバ部43を介して前記プロペラモータ18を所要の状態に駆動する。
【0060】
図5を参照して前記測量機3について説明する。
【0061】
該測量機3は、主に測量機制御装置45、望遠鏡部46(図1参照)、測距部47、水平角検出器48、鉛直角検出器49、鉛直回転駆動部51、水平回転駆動部52等を具備する。
【0062】
前記望遠鏡部46は測定対象物を視準するものであり、前記測距部47は前記望遠鏡部46を介して測距光を射出し、更に前記望遠鏡部46を介して測定対象物からの反射光を受光し、測距を行うものである。又、前記測距部47は、測定モードとしてノンプリズム測定モード、プリズム測定モード、更にプリズム測定を行いつつ測定対象物(プリズム)を追尾する追尾測定モードの3モードで測定対象物迄の距離を測定可能となっている。
【0063】
前記水平角検出器48は、前記望遠鏡部46の視準方向の内、水平角を検出し、又前記鉛直角検出器49は前記望遠鏡部46の視準方向の内、鉛直角を検出する。前記水平角検出器48、前記鉛直角検出器49の検出結果は、前記測量機制御装置45に入力される。
【0064】
前記測量機制御装置45は、主に演算処理部55、測距制御部56、測量機記憶部57、測量機通信部58、モータ駆動制御部59等を有する。
【0065】
前記測量機記憶部57には、ノンプリズム測定モード、プリズム測定モード、追尾測定モードの各モードにより測距を行う為の測定プログラム、前記飛行装置2及び前記地上基地4と通信を行う為の通信プログラム等のプログラム等が格納され、又測定対象物の測定結果(測距、測角)を格納する様になっている。
【0066】
前記測距制御部56は、前記演算処理部55からの測定モード選択指令に基づき、前記測距部47をノンプリズム測定モード、プリズム測定モード、追尾測定モードのいずれのモードで測定を実行するかを決定し、決定されたモードに従って前記測距制御部56を制御する。
【0067】
前記モータ駆動制御部59は、測定対象物に前記望遠鏡部46を視準させる為に、或は測定対象物を追尾させる為に前記鉛直回転駆動部51、前記水平回転駆動部52を制御し、前記望遠鏡部46を鉛直方向に、或は水平方向に回転させる。
【0068】
前記測量機通信部58は、追尾測定モードで測定対象物(前記プリズム9)を測定した結果(前記プリズム9の3次元位置)をリアルタイムで前記地上基地4に送信する。
【0069】
図6は、前記地上基地4の概略構成、及び前記飛行装置2、前記測量機3、前記地上基地4、前記遠隔操縦機5の関連を示す図である。
【0070】
前記地上基地4は、演算機能を有する演算処理装置61、基地記憶部62、更に基地通信部63を有する。
【0071】
前記演算処理装置61は、クロック信号発生部を有し、前記遠隔操縦機5を介して受信した画像データ、シャッタ時刻データ、座標データをそれぞれクロック信号に関連付け、クロック信号に基づき時系列のデータとして処理し、前記基地記憶部62に保存する。
【0072】
前記基地記憶部62には、インターネット等から得られる地図情報に基づき飛行範囲を設定する等の飛行計画を作成する飛行計画作成プログラム、前記飛行計画と前記測量機3によって得られる事前測定データとに基づき前記飛行装置2の飛行安全範囲を演算する飛行範囲演算プログラム、前記飛行安全範囲に基づき飛行制御データを作成し、更に前記飛行装置2の飛行を制御する為の飛行制御プログラム、写真測量に必要な演算プログラム、前記遠隔操縦機5と前記測量機3間でデータ通信を行う通信プログラム等の各種プログラムが格納され、更に前記飛行装置2で取得した画像、前記測量機3で測定した測定データ(座標データ)等の各種データが保存される。
【0073】
前記基地通信部63は、前記地上基地4と前記遠隔操縦機5との間で有線通信或は無線通信を行う。
【0074】
前記飛行体誘導システム1の作動の概略について、図7図8を参照して説明する。
【0075】
STEP:01 測定作業場所に測量機3を設定し基準位置とする。測定モードをノンプリズム測定モードに設定し、測定対象物65及び障害物についてノンプリズム測定(事前測定)をする(図7(A)、図7(C)参照)。
【0076】
STEP:02 ノンプリズム測定の測定データは、前記地上基地4に送信され、該地上基地4に於いて前記測定データに基づき安全飛行範囲を演算する。ここで、安全飛行範囲としては、測定対象物或は障害物に対して2〜3m以内に接近しない範囲、例えば建物の壁から2〜3m以内に接近しない範囲とする。尚、前記飛行装置2で取得した測定データは、水平角、高低角、及び距離の極座標データであり、測定データを極座標データとして保存すると共に直交3次元座標データに座標変換したものも保存する。
【0077】
前記地上基地4で、前記飛行装置2が安全飛行範囲を飛行する様に飛行コースを演算し、又飛行過程で撮影するポイント(座標)を設定する等の飛行計画を演算し、求める。
【0078】
STEP:03 測定モードを追尾測定モードに変更し、前記飛行装置2を追尾しつつ、水平角、高低角、及び距離を測定する。
【0079】
STEP:04、STEP:05 前記飛行装置2が追尾測定されると共に該飛行装置2が測定開始点に向って飛行する。飛行中の前記飛行装置2の制御については、位置データとして極座標が用いられる。追尾測定の場合、測定対象物(この場合、前記飛行装置2であり、且つ測定位置は前記プリズム9となる)が前記望遠鏡部46の視野内に含まれていることが必須の条件となる。従って、前記望遠鏡部46の光軸に対して直交する方向の、前記飛行装置2の飛行速度は、前記望遠鏡部46の追尾可能な速度に制限される。一方、前記望遠鏡部46の光軸方向の移動に対しては、速度に関係なく、前記飛行装置2は視野に含まれることから高速での移動が可能である。
【0080】
従って、前記望遠鏡部46で測定開始点を視準した状態で、前記飛行装置2を測定開始点に移動させる場合は、飛行コース66を前記望遠鏡部46の視準軸に合致させることで前記飛行装置2を測定開始点に高速度で移動させることができる(図7(B)参照)。
【0081】
又、前記測量機3から測定開始点に飛行する途中に、電線等の障害物67が存在する場合、STEP:01での事前測定により障害物67が測定され、STEP:02で安全飛行範囲を演算する場合に、前記障害物67が考慮される。従って、該障害物67を含む障害物領域68が演算され、該障害物領域68が安全飛行範囲から除外される。
【0082】
又、前記測量機3が測定開始点を視準した場合に、視準方向に前記障害物領域68が存在する場合は、前記測量機3は前記障害物領域68を外した方向を視準する。飛行コース66は、前記障害物領域68を外した視準軸に沿って飛行し、前記障害物領域68を越えた位置で、測定開始点に向って飛行する様に設定される(図7(C)参照)。
【0083】
測定開始点に到達すると、前記飛行装置2は安全飛行範囲を飛行計画に基づいて飛行を開始する。前記飛行装置2の現在位置(座標)は、前記測量機3により測定される。現在位置データは前記測量機3から前記地上基地4にリアルタイムで送信され、該地上基地4で現在位置データと飛行計画の位置データとが比較され、両位置データの偏差が求められ、該偏差に基づき飛行制御データが作成され、該飛行制御データは前記遠隔操縦機5を介して前記飛行装置2に送信され、該飛行装置2は前記飛行制御データに基づき飛行計画に沿った飛行となる様に制御される。
【0084】
STEP:06 飛行過程で、飛行計画で設定された位置で前記下カメラ7及び/又は前記上カメラ8により静止画像が取得される。
【0085】
静止画像は前記遠隔操縦機5を介して前記地上基地4に送信され、該地上基地4に保存される。該地上基地4では、静止画像に基づき測定対象物の状態が判断され、或は静止画像に基づき写真測量が実行される。
【0086】
上記した様に、障害物が存在する場合は、予め前記障害物領域68が設定されるが、更に安全装置が設けられてもよい。
【0087】
図9に示される様に、前記主フレーム21に障害物検知センサ69、例えば超音波センサが設けられ、前記飛行装置2が障害物が所定距離(例えば2m)以内に近づくと、前記障害物検知センサ69が障害物を検知し、それ以上の接近を阻止する様に前記制御装置35は前記飛行装置2の飛行を制限する。
【0088】
尚、上記説明では、飛行計画に基づいて前記飛行装置2を自律飛行させたが、前記遠隔操縦機5を作業者が操作し、マニュアルで前記飛行装置2を遠隔操作してもよい。この場合、前記飛行装置2が安全飛行範囲を逸脱する様な場合、或は前記飛行装置2が前記障害物領域68に進入する様な状態となると、前記遠隔操縦機5からの遠隔操縦信号よりも、前記制御装置35からの飛行制限信号の方が優先し、前記飛行装置2と前記測定対象物65或は前記障害物67との接触、衝突が防止される。
【0089】
図10は、本実施例の応用例を示している。
【0090】
本実施例では、測量機3によって飛行装置2の位置を測定しているので、前記飛行装置2の制御可能な範囲は、前記測量機3が視準可能な範囲に限られる。従って、図10に見られる様に、測定対象物65の正面に測量機3aを設置した場合、前記測定対象物65の側面を測定する場合には、前記飛行装置2を制御できない。従って、前記測定対象物65の側面に測量機3bを設置し、前記測量機3aで測定した前記飛行装置2の位置情報を常時前記地上基地4に送信する様にし、前記測量機3a、前記測量機3bによる測定結果を前記地上基地4で共有する様にしておけば、前記測量機3bで前記飛行装置2の位置を測定可能になった場合に、該測量機3bによる測定データに基づく制御への移行が中断することなく行え、前記飛行装置2の連続的な飛行制御が可能となる。
【0091】
而して、前記測量機3をお互いの視野を補う様に複数台設置すれば、複雑な場所、広範囲の場所での前記飛行装置2の飛行制御が可能となる。
【0092】
図11は、他の実施例を示している。尚、図11中、図4中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
該他の実施例では、飛行装置2がGPSユニット71を搭載し、該GPSユニット71による前記飛行装置2の位置測定と、測量機3による位置測定とを併用して前記飛行装置2の飛行制御を行う様にしたものである。
【0094】
尚、測量機3a,3bの座標は、前記GPSユニット71で測定した座標か、或は該GPSユニット71と、前記測量機3a,3bの両方が利用できる状態で両者の関係から求めた座標である。図10中上部は、GPS利用可能領域である。
【0095】
前記上カメラ8の代りに前記GPSユニット71を設ける。常に鉛直を維持するシャフト6の下端に下カメラ7が設けられ、前記シャフト6の上端に前記GPSユニット71が設けられるので、該GPSユニット71が測定する位置は前記下カメラ7の所定位置、例えば光軸に合致する。従って、前記下カメラ7が撮像した位置は、前記GPSユニット71で測定した位置となり、該GPSユニット71が測定した位置を補正する必要がない。
【0096】
前記GPSユニット71で測定した前記飛行装置2の現在位置は、前記制御装置35に取込まれると共に前記飛行体通信部11を介して前記地上基地4に送信される。該地上基地4は、前記測量機3で測定した前記飛行装置2の位置データと前記GPSユニット71で測定した位置データに基づき、前記飛行装置2の制御データを作成し、前記飛行装置2の飛行を制御する。又、本実施例では、前記測量機3で測定した位置データを優先し、前記測量機3で前記飛行装置2の位置データが得られない場合に前記GPSユニット71の位置データを利用する。
【0097】
前記GPSユニット71による前記飛行装置2の位置測定を併用することで、前記飛行装置2が前記測量機3の視界から外れた場合にも測定の連続性が途絶えることなく実行でき、更に前記測量機3が捉えることができない範囲に対しても測量を実施できる。
【0098】
図12は、前記GPSユニット71による前記飛行装置2の測定位置と、前記測量機3による前記飛行装置2の測定位置とを併用した場合の、信号処理の一例を示すものである。
【0099】
STEP:11 飛行計画から前記飛行装置2の現在の計画目標位置データ(座標、ヘディング角(本体の向き))を取得する。
【0100】
STEP:12 現在取得しているデータが前記測量機3で測定したものか、前記GPSユニット71で取得しているものかが判断される。尚、前記測量機3と前記GPSユニット71の両方からデータが取得できている状態であると、前記測量機3で測定したデータを優先する。
【0101】
STEP:13 STEP:12で取得しているデータが前記GPSユニット71からのデータであると、該GPSユニット71で測定した前記飛行装置2の位置データ(座標、ヘディング角(本体の向き)等のデータ)を読込む。
【0102】
STEP:14 前記地上基地4は、読込んだ位置データと計画現在位置データとを比較し、比較結果に基づき制御データを前記飛行装置2に送信して飛行を制御する。
【0103】
STEP:15 比較結果で読込んだ現在位置データと計画目標位置データとが一致するまでSTEP:12〜STEP:15を繰返す。一致した場合は、更に次の計画目標位置データを読込み、STEP:12〜STEP:15を繰返し実行して連続的に前記飛行装置2の飛行を制御する。
【0104】
STEP:16、STEP:17 STEP:12で、取得した位置データが前記測量機3で測定したデータであると判断されると、該データは極座標であるので、直交座標に変換される(測量機座標→GPS座標)。
【0105】
前記測量機3で測定したデータが直交座標に変換されて、前記飛行装置2の飛行が制御される。前記測量機3で測定したデータを座標変換することで、同一の制御系により前記飛行装置2の飛行が制御できる。尚、前記GPSユニット71で取得した位置データを極座標に変換し、極座標に基づき前記飛行装置2の飛行を制御してもよい。
【0106】
前記測量機3で取得した前記飛行装置2の位置情報、前記GPSユニット71で取得した前記飛行装置2の位置情報に基づき、前記飛行装置2の飛行を制御(遠隔操作)する様にしたので、前記測量機3で位置測定できない環境、前記GPSユニット71で位置測定できない環境の、いずれでも遠隔操作が可能となり、種々の環境での前記飛行装置2の遠隔操作が可能となる。
【0107】
尚、上記実施例では、前記遠隔操縦機5を介して前記飛行装置2を遠隔操作したが、前記地上基地4が前記遠隔操縦機5の機能を具備し、該地上基地4から直接、前記飛行装置2を遠隔操作してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 飛行体誘導システム
2 飛行装置
3 測量機
4 地上基地
5 遠隔操縦機
7 下カメラ
8 上カメラ
9 プリズム
11 飛行体通信部
15 飛行体
36 制御演算部
37 クロック信号発生部
38 記憶部
39 撮像制御部
41 飛行制御部
45 測量機制御装置
47 測距部
56 測距制御部
57 測量機記憶部
58 測量機通信部
61 演算処理装置
62 基地記憶部
63 基地通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12