(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、一般には、5員芳香族複素環を含む1級アミンをジアゾ化剤と反応させてジアゾニウム塩を形成し、さらにはこれを用いて顔料に処理し、インク組成物中での分散性が向上した変性顔料を形成し得る方法に関する。
【0016】
1級アミンは一般に5員芳香族複素環とアミノ基とを含む。一部の実施形態では、5員芳香族複素環が1級アミン中のただ1つの芳香環である。他の実施形態では、1級アミンは1つ以上のさらなる芳香環(例えば、芳香族複素環、または芳香族複素環原子を含まない芳香環)を含む。1つ以上のさらなる芳香環は、5員芳香族複素環に共有結合または縮合されていることもある。ある実施形態では、1級アミンは1つ以上のアミノ基(例えば、2または3のアミノ基)を含み得る。
【0017】
通常、アミノ基は5員芳香族複素環に直接結合している。理論に拘束されるつもりはないが、アミノ基が5員芳香族複素環に直接結合している1級アミンに由来するジアゾニウム塩は、アミノ基が5員芳香族複素環に直接結合していない1級アミンに由来するものと比べ、顔料を変性させる上で高い活性を示すと考えられている。加えて、理論に拘束されるつもりはないが、アミノ基が5員芳香族複素環に直接結合している1級アミンに由来するジアゾニウム塩は、アミノ基が5員芳香族複素環以外の芳香環(例えば、6員の芳香環または芳香族複素環)に直接結合している1級アミンに由来するものよりも、顔料を変性させる上で高い活性を示すと考えられている。
【0018】
一般的に、1級アミン中の5員芳香族複素環は、少なくとも2つの環内ヘテロ原子(例えば、2つ、3つ、または4つの環内ヘテロ原子)を含む。
【0019】
1級アミン中の5員芳香族複素環が3つの環内ヘテロ原子を含む場合は、環内ヘテロ原子のうち少なくとも2つが窒素原子であり得る。かかる5員芳香族複素環の例としては、1,2,4−トリアゾリル,1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、および1,2,5−オキサジアゾリルが挙げられる。
【0020】
1級アミン中の5員芳香族複素環が3つのヘテロ原子を含む場合は、1級アミンは、式(I):
【化3】
の化合物であり得る。
この式において、XはO、N(R
a)、またはSであり得、かつR
1はH、C
1−C
10アルキル、C
2−C
10アルケニル、C
2−C
10アルキニル、C
3−C
20シクロアルキル、C
3−C
20シクロアルケニル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、OR
b、COOR
b、OC(O)R
b、C(O)R
b、C(O)NR
bR
c、SO
3R
c、NR
bR
c、またはN
+(R
bR
cR
d)Yであり得、ここで、R
a、R
b、R
c、R
dは、それぞれ独立して、H、C
1−C
10アルキル、C
3−C
20シクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得、かつYは陰イオンであり得る。一般に、Yは任意の好適な陰イオン、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、トシレート、酒石酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グルクロン酸塩、乳酸塩、グルタル酸塩、またはマレイン酸塩であり得る。
【0021】
式(I)の化合物のサブセットは、R
1がH、C
1−C
10アルキル、COOR
a,C(O)NH(C
1−C
10アルキル)、またはC
1−C
10アルキルで任意に置換されたフェニル基であり得、ここで、C
1−C
10アルキルはフルオロ、OR
aCOOR
a、またはN
+(R
bR
cR
d)で任意に置換されている。例えば、式(I)の1級アミンは、下記に掲載する化合物1〜10であり得る。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0022】
本明細書で用いる場合、「アルキル」という用語は、例えば−CH
3または−CH(CH
3)
2など、飽和した直鎖又は分岐鎖の非環状炭化水素部分を指す。「アルケニル」という用語は、例えば−CH=CH−CH
3など、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分岐鎖の非環状炭化水素部分を指す。「アルキニル」という用語は、例えば−C≡C−CH
3など、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖または分岐鎖の非環状炭化水素部分を指す。「シクロアルキル」という用語は、例えばシクロヘキシルなどの飽和した環状炭化水素部分を指す。「シクロアルケニル」という用語は、例えばシクロヘキセ二ルなど、少なくとも1つの二重結合を含む非芳香族の環状炭化水素部分を指す。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、例えば4−テトラヒドロピラニルなど、少なくとも1つの環内ヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を持つ飽和した環状部分を指す。「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、例えばピラニルなど、少なくとも1つの環内ヘテロ原子(例えばN、O、またはS) および少なくとも1つの環内二重結合を持つ非芳香族の環状部分を指す。「アリール」という用語は、1つ以上の芳香環を持つ炭化水素部分を指す。アリール部分の例としては、フェニル(Ph)、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリル、およびフェナントリルが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を含有し、芳香環を1つ以上持つ部分を指す。ヘテロアリール部分の例としては、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、およびインドリルが挙げられる。
【0023】
本明細書に記載のアルキル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールは、別の記載のない限り、置換される部分および置換されない部分の両方を含む。シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールに対する置換基になり得るものとしては、C
1−C
10アルキル、C
2−C
10アルケニル、C
2−C
10アルキニル、C
3−C
20シクロアルキル、C
3−C
20シクロアルケニル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルケニル、C
1−C
10アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C
1−C
10アルキルアミノ、C
1−C
20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、C
1−C
10アルキルスルホンアミノ、アリールスルホンアミノ、C
1−C
10アルキルイミノ、アリールイミノ、C
1−C
10アルキルスルホンイミノ、アリールスルホンイミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオ、C
1−C
10アルキルチオ、アリールチオ、C
1−C
10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アシルアミノ、アミノアシル、アミノチオアシル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、アシル、チオアシル、アシルオキシ、カルボキシル、およびカルボン酸塩が挙げられるが、これに限定はされない。一方、アルキル、アルケニル、またはアルキニルに対する置換基になり得るものとしては、C
1−C
10アルキル、C
2−C
10アルケニル、およびC
2−C
10アルキニルを除いて、上述の置換基が全て挙げられる。シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールには、縮合環を含有するものも含まれる。
【0024】
1級アミン中の5員芳香族複素環が2つの環内ヘテロ原子を含む場合は、環内ヘテロ原子のうち少なくとも1つは窒素原子であり得る。かかる5員芳香族複素環の例としては、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、およびイソオキサゾリルが挙げられる。
【0025】
1級アミン中の5員芳香族複素環が2つの環内ヘテロ原子を含む場合は、1級アミンは、式(II)
【化14】
の化合物であり得る。この式において、XはO、N(R
a)、またはSであり得、かつR
1およびR
2がそれぞれ独立してH、C
1−C
10アルキル、C
2−C
10アルケニル、C
2−C
10アルキニル、C
3−C
20シクロアルキル、C
3−C
20シクロアルケニル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、OR
b、COOR
b、OC(O)R
b、C(O)R
b、C(O)NR
bR
c、SO
3R
c、NR
bR
c、またはN
+(R
bR
cR
d)Yであり得、ここで、R
a、R
b、R
c、およびR
dはそれぞれ独立してH、C
1−C
10アルキル、C
3−C
20シクロアルキル、C
1−C
20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得、かつYは陰イオン(例えば上述したようなもの)であり得る。式(II)の化合物のサブセットは、その中のR
1およびR
2がそれぞれ独立してH、シアノ、COOR
a、またはSO
3R
aであるものであり得る。例えば、式(II)の1級アミンは、
【化15】
【化16】
【化17】
【0026】
1級アミン中の5員芳香族複素環に4つの環内ヘテロ原子が含まれる場合は、環内ヘテロ原子のうち少なくとも3つが窒素原子であり得る。かかる5員芳香族複素環の一例に、テトラゾリルがある。テトラゾリルを含有する1級アミンの一例は、
【化18】
【0027】
本明細書に記載の1級アミンは、ほかにも1つまたは2つのイオン性基を含み得る。イオン性基とは、利用される媒質中でイオン基を形成することのできる基(例えば、陰イオン基または陽イオン基)である。陰イオンを形成するイオン性基には、例えば、酸性基またはその塩がある。かかるイオン性基の例としては、COOH、SO
3H、およびそれらの塩が挙げられる。陽イオンを形成するイオン性基には、例えば、アミノ基およびその塩がある。他の好適なイオン性基は、例えば、米国特許第5,992,118号明細書に記載されている。理論に拘束されるつもりはないが、イオン性基を含有する1級アミンに由来するジアゾニウム塩によって変性された顔料は、イオン性基を含有する変性顔料となり、利用される媒質(例えば、インクジェットのインク組成物中の水性媒質)の中での分散性が向上したものとなると考えられている。イオン性基は、1級アミン中の5員芳香族複素環に直接結合するか、またはC
1−C
10アルキル基またはアリール基(本明細書に記載の置換基によって任意に置換され得る)などのリンカーを通じて、5員芳香族複素環に結合することができる。
【0028】
本明細書に記載する1級アミンは、商業的な供給源から購入するか、または当分野で公知の方法によって作ることができる。
【0029】
一般に、5員芳香族複素環およびアミノ基を含有する1級アミンは、ジアゾ化剤と反応して5員芳香族複素環およびジアゾニウム基(即ち、−N
2+)を含有するジアゾニウム塩を形成し得る。この反応が起きている間、1級アミン中のアミノ基は、通常、ジアゾニウム基に転換されるが、5員芳香族複素環は未変化のままであることが多い。この反応に用いることのできる好適なジアゾ化剤としては、亜硝酸またはその塩(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むその塩)、ニトロシル基、硫酸、三酸化二窒素、亜硝酸アルキル、塩化ニトロシル、および臭化ニトロシルがある。ジアゾ化剤は、前もって作っておくことも、(例えば、1級アミンを含む混合物に窒化ナトリウムおよび酸を添加することによって)その場で作ることもできる。
【0030】
下記のスキーム1は、式(I)および式(II)の1級アミンを用いてジアゾニウム塩を合成するための代表的な方法を示したものである。このスキームにおいて、X、R
1、およびR
2は、上に定義したものと同じであり得る。
【化19】
【0031】
スキーム1に示す通り、式(I)および(II)の1級アミンは、ジアゾ化剤(例えば、HNO
2)と反応して、それぞれ式(Ia)および(IIa)の陽イオンを含むジアゾニウム塩を形成し得る。例えば、上記の化合物1〜3、および11〜14は、それぞれ次の陽イオン:
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
を含むジアゾニウム塩を形成し得る。
【0032】
スキーム1に示した反応は、通常は、例えば硫酸、リン酸、酢酸、もしくはプロピオン酸などの酸、またはその混合物の存在下で実施される。好ましくは、このような反応は、最大でも約2.5のpH(例えば、最大でも約2、最大でも約1.5、または最大でも約1)で実施される。1級アミンに酸性基(例えば、カルボン酸または硫酸の酸性基)が含まれる場合は、ジアゾニウム基の形成に必要な酸の追加量を減らすか、または追加を止めることさえできる。
【0033】
上記で形成されたジアゾニウム塩は、液体媒質中の顔料と反応して、顔料の表面に少なくとも1つの有機基(例えば、5員芳香族複素環を含む有機基)を加え、それによって、インク組成物中での分散性が向上した変性顔料を形成することができる。
【0034】
一般的に、顔料は、少なくとも1つの有機基の結合によって変性することが可能な任意の顔料であり得る。好適な顔料としては、カーボンブラック、および炭素以外の1級アミンを含まない着色顔料が挙げられる。着色顔料は、青、茶、シアン、緑、紫、マゼンタ、赤、または黄色、ならびにその混合物であり得る。好適な種類の着色顔料には、例えば、アントラキノン系、フタロシアニンブルー系、フタロシアニングリーン系、ジアゾ系、モノアゾ系、ピラントロン系、ペリレン系、複素環黄色系、キナクリドン系、および(チオ)インジゴイド系がある。フタロシアニンブルー系の例としては、銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(青色顔料15)が挙げられる。キナクリドン系の例としては、オレンジ色顔料48、オレンジ色顔料49、赤色顔料122、赤色顔料192、赤色顔料202、赤色顔料206、赤色顔料207、赤色顔料209、紫色顔料19、および紫色顔料42が挙げられる。アントラキノン系の例としては、赤色顔料43、赤色顔料194(ペリノン系赤色)、赤色顔料216(臭素化されたピラントロン系赤色)、および赤色顔料226(ピラントロン系赤色)が挙げられる。ペリレン系の例としては、赤色顔料123(ヴァーミリオン)、赤色顔料149(スカーレット)、赤色顔料179(えび茶色)、赤色顔料190(赤色)、紫色顔料、赤色顔料189(黄味がかった赤色)、および赤色顔料224が挙げられる。
【0035】
チオインディゴイド系の例としては、赤色顔料86、赤色顔料87、赤色顔料88、赤色顔料181、赤色顔料198、紫色顔料36、および紫色顔料38が挙げられる。
【0036】
複素環黄色の例としては、黄色顔料117および黄色顔料138が挙げられる。他の好適な顔料の例としては、黄色顔料1、74、155、180、185、213、218、220、および221、赤色顔料254および269、ならびに青色顔料16および60が挙げられる。他の好適な有色顔料の例は、Colour Index, 3rd edition (The Society of Dyers and Cikiyrusts, 1982)に記載されている。
【0037】
理論に拘束されるつもりはないが、本明細書に記載されたジアゾニウム塩は顔料を変性させる際に高い活性を示すことによって処理レベルの高い、従ってインク組成物(例えば、水性組成物)中の分散性が向上した変性顔料を生みだすと考えられている。加えて、理論に拘束されるつもりはないが、本明細書に記載のジアゾニウム塩を用いれば、従来のジアゾニウム塩では変性させることのできない顔料を有効に変性させることができると考えられている。例えば、化合物1、3、および11を用いて、本発明者が知る限り別のいかなる公知のジアゾニウム塩によっても変性させることのできない黄色顔料74を、有効に変性させることが可能である。
【0038】
上記の顔料変性反応に好適な液体媒質は、極性媒質であり得る。好適な媒質の例としては、水、水を含有する媒質、またはアルコール(例えば、エタノールまたはイソプロパノール)を含有する媒質が挙げられる。液体媒質は、溶液、分散液、スラリー、または乳濁液であり得る。
【0039】
ジアゾニウム塩は、現場で、つまり変性させる顔料の存在下で調製することができる。例えば、変性顔料は、まず1級アミン、酸、および顔料を液体媒質(例えば、水)に添加して混合物を形成し、次にジアゾ化剤を混合物に添加することによって調製することができる。かかる方法であれば、ジアゾニウム塩は顔料が形成されるとすぐにそれと反応することができるため、ジアゾニウム塩の分解を少なくすることができる。
【0040】
別の方法として、ジアゾニウム塩を前もって形成しておく、つまり、変性させる顔料を添加する前に混合物中に形成しておくこともできる。例えば、まず1級アミン、酸、およびジアゾ化剤(例えば、亜硝酸ナトリウム)を液体媒質(例えば、水)に添加してジアゾニウム塩を形成し、次に、このようにして形成された混合物の中に顔料を添加して変性顔料を調製する。5員芳香族複素環を含有する1級アミンは通常は塩基性が低いため、ジアゾニウム塩の形成には酸が大量に必要となる。ジアゾニウム塩を事前に作っておくことによって、かかる反応に用いる酸の超過量を最小に抑えることができる。一方、ジアゾニウム塩をその場で形成する場合は、かかる反応に必要とされる液体媒質の量が前もってジアゾニウム塩を形成しておく場合よりも多くなり、従って一層多くの酸がジアゾニウム塩の形成に必要となるが、変性顔料の単離過程でこの酸を除去するのはより困難となり得る。従って、その場でジアゾニウム塩を調製する方法と比べて、ジアゾニウム塩の事前形成は、製造経費を低下させ得る。
【0041】
ジアゾニウム塩は、変性させる顔料と反応することができる程度に安定であればよい。例えば、不安定で分解しやすいと考えられるジアゾニウム塩を用いて、顔料の変性反応を実施することもできる。さらに、ジアゾニウム塩が分解しやすいと思われるような高い温度で、顔料の変性反応を実施することもできる。温度が上昇するとジアゾニウム塩が分解によって多少失われるとはいえ、顔料の変性反応を高い温度で実施すると、ジアゾニウム塩の反応媒質中での溶解性または顔料に対するその反応性が上昇して有利となり得る。好ましくは、変性顔料は副産物または未結合化合物を含有しない。
【0042】
5員芳香族複素環を含有するジアゾニウム塩から調整される変性顔料では、5員芳香族複素環がその表面に結合している。例えば、式(Ia)および式(IIa)の陽イオンを含有するジアゾニウム塩は、顔料と反応してそれぞれ式(Ib)および(IIb)
【化27】
【化28】
の有機基が表面に結合した変性顔料を形成する。式(Ib)および(IIb)において、X、R
1、およびR
2は、式(I)および(II)に関して定義されたものと同じであり得る。一例として、上記の化合物1〜3、および11〜14に由来するジアゾニウムで変性された顔料では、次の有機基
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
が表面に結合している。ジアゾニウム塩中のジアゾニウム基の反応性または安定性によって、式(Ib)および(IIb)の有機基は、顔料の表面に直接かまたはジアゾ基(即ち、−N=N−)を通じて結合し得る。
【0043】
5員芳香族複素環は、変性顔料の窒素表面積に基づいて、約2.7mmol/cm
2〜約66.6mmol/cm
2の処理レベルで変性顔料の表面に存在し得る。「処理レベル」という用語は、本明細書で用いられる場合、変性顔料の表面の単位あたり有機基量を指す。上述した処理レベルの判定に用いる窒素表面積は、ASTMD−4820を使用することにより、得ることができる。顔料の表面にイオン性基(例えば、カルボン酸基)を含有する有機基が導入される場合は、有機基の処理レベルは、イオン性基に対する対イオンの量を測定することによって判定することができる。例えば、対イオンがナトリウムイオンである場合は、イオン選択性電極、原子吸光分光法、または誘導結合プラズマを用いてナトリウムイオン量を測定することができる。
【0044】
変性顔料にカーボンブラックが含まれている場合は、変性顔料の窒素表面積に基づき、処理レベルは、約2.7mmol/cm
2〜約53mmol/cm
2の範囲(例えば、約6.7mmol/cm
2〜約32mmol/cm
2)であり得る。変性顔料にカーボンブラック以外の着色顔料が含まれる場合は、処理レベルは、変性顔料の窒素表面積に基づいて約3.3mmol/cm
2〜約66.6mmol/cm
2の範囲(例えば、約8.3mmol/cm
2〜約40mmol/cm
2)であり得る。理論に拘束されるつもりはないが、変性顔料の処理レベルが低過ぎると、インク組成物に通常用いられる水性媒質中での分散性が十分ではなくなると考えられている。さらに、理論に拘束されるつもりはないが、処理レベルが高過ぎると、変性顔料を含有するインク組成物が紙と接触した際に凝固しないため、こすれて汚くなる可能性があると考えられている。
【0045】
理論に拘束されるつもりはないが、5員芳香族複素環を含有するジアゾニウム塩を用いれば、顔料の平均粒径を小さくすることができると考えられている。例えば、本明細書に記載のジアゾニウム塩で処理する前の顔料は、第1の平均粒径を有し、変性顔料は、第1の平均粒径より小さい第2の平均粒径を有し得る。第1の平均粒径は最小でも約140nm(例えば、最小でも約200nm、最小でも約300nm、最小でも約400nm、または最小でも約500nm)であり得、第2の平均粒径は、最大でも約130nm(例えば、最大でも約120nm、最大でも約110nm、最大でも約100nm、最大でも約90nm、最大でも約80nm、最大でも約70nm、または最大でも約60nm)であり得る。理論に拘束されるつもりはないが、平均粒径が小さくなった変性顔料は、インク組成物中で示す分散性が向上し、かかる顔料を含むインク組成物から印刷される画像の光沢を増すことができると考えられている。そのため、本明細書に記載のジアゾニウム塩を用いて顔料を変性させることの1つの利点は、平均粒径の小さい顔料を出発材料として用いること、また、変性顔料が作られた後に機械でその平均粒径を小さくすることは、通常、高い経費が掛かるため、平均粒径の小さい変性顔料の製造コストを大幅に低下させることができる点である。
【0046】
上記で形成された変性顔料は、液体ビヒクルと結合または混合してインク組成物(例えば、フレキソ印刷インキまたはインクジェット用インク組成物)を形成することができる。液体ビヒクルは、溶液、分散液、スラリー、または乳濁液であり得る。液体ビヒクルは、水(例えば、脱イオン水もしくは蒸留水)を含有する水性媒質、または有機媒質(例えば、アルコール)を含有する非水性媒質であり得る。例えば、インク組成物中の水または有機媒質の量は、インク組成物の重量に基づき、約60%〜約95%の範囲(例えば、約75%〜約90%)であり得る。フレキソ印刷インク組成物は、本明細書に記載された変性顔料、結合剤、および溶媒を含み得る。インクジェット用インク組成物は、本明細書に記載の変性顔料および水性ビヒクル(例えば、水または水含有混合物)を含み得る。
【0047】
インク組成物は、好適な添加剤(例えば、湿潤剤、殺虫剤、結合剤、乾燥促進剤、浸透剤、消泡剤、または界面活性剤)を含み、組成物の安定性を維持しながら特定の所望の性質を与えることが可能である。例えば、湿潤剤を添加すると、インク組成物中の水の蒸発速度を低下させて、プリントヘッドノズルの目詰まりを最小限にすることができる。インク組成物が乾燥し始めると湿潤剤の濃度が上昇し、蒸発がさらに低下する。湿潤剤としては、一般に、インク組成物およびそれで作られる印刷画像の他の特性、例えば粘度、pH、表面張力、光学密度、および印刷品質などにも影響を及ぼし得る。かかる湿潤剤には、一般に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール類、グリセリン、ジプロピレングリコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、アルカンジオール類、アミド類、エーテル類、カルボン酸類、エステル類、アルコール類、有機硫化物類、有機スルホキシド類、スルホン類、アルコール誘導体類、3−ピロリドン、エーテル誘導体類、アミノアルコール類、およびケトンが挙げられる。特定の添加剤の量は、ポリマーの分子量、粘度、添加された任意のアンモニウム塩の量、ならびにポリマーの性質、顔料に添加された任意の有機基の性質をはじめとする多様な因子によって変化する。
【0048】
好適な印刷装置(例えば、インクジェットプリンタ−)に組成物を組み込み、基板上に画像を生成させることによって、本明細書に記載のインク組成物から印刷画像を作製することができる。好適なインクジェットプリンターの例としては、感熱式プリンター、圧電式プリンター、連続式プリンター、およびバルブジェットプリンターが挙げられる。普通紙、ボンド紙、コート紙、透明材料、織物材料、プラスチック、ポリマー薄膜、および無機基板などの任意の好適な基板上に画像を印刷することができる。
【0049】
また本明細書に記載の変性顔料は、ペイントまたは仕上げ材料などの水性塗料にも用いることができる。例えば、塗料としては、液体ビヒクル(例えば、水またはアルコール)、本明細書に記載の変性顔料、および樹脂を挙げることができる。加えて、本明細書に記載の変性顔料は、トナー、カラーフィルター、および電気泳動ディスプレイに用いることもできる。例えば、トナーまたはカラーフィルター組成物には、本明細書に記載の変性顔料、樹脂、および1つ以上の好適な添加剤が含まれ得る。電気泳動ディスプレイ材料には、本明細書に記載の変性材料および電荷制御剤を含めてもよい。
【0050】
本明細書において参照された刊行物、参考資料、出願、および特許は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0051】
以下の実施例は、実例を示すためのものであり、限定する意図で記述されるものではない。
【0052】
実施例1:化合物1由来のジアゾニウム塩およびp−アミノ安息香酸(PABA)による赤色顔料122の処理
A.2−アミノトリアゾール−5−カルボン酸(即ち、化合物1)のジアゾ化
【化36】
ビーカー中の粉砕した6.4g(50mmol)の化合物1に、1MのNaOH溶液52.5mlと水100mlとを順次添加した。この混合物を、化合物1が完全に溶解するまで室温で撹拌した。2MのNaNO
2溶液25mlを添加した後、このようにして得た混合物を、蠕動ポンプを使って30分以内に、2MのH
2SO
440ml、氷40g、および水125mlの混合物に添加した。この工程の間、混合物の温度を5℃未満に維持した。添加が終了した後、KIデンプン紙を使って過剰亜硝酸塩を点検し、結果が陰性であれば、2MのNaNO
2を2、3滴添加した。ジアゾニウム塩溶液(ジアゾニウム含有量約50mmol)を氷上に保ち、30〜60〜以内に使用した。
【0053】
B.化合物1由来のジアゾニウム塩およびPABAによる赤色顔料122の処理
オーバーヘッドスターラー(テフロン(登録商標)ブレード)の付いた1リットル用三口丸底フラスコに、赤色顔料122のプレスケーキ89g(顔料を25g含有)を入れた。段階Aで生じたジアゾニウム塩溶液をすぐに顔料に加え、混合物を約100RPMで3時間撹拌した。反応混合物のサンプルを、H酸スポットチェックで試験し、ジアゾニウム塩の有無を確認した。以下の要領でH酸スポットチェックを実施した:H酸溶液1滴、つまり5%重炭酸ナトリウム溶液10mlにH酸(即ち、1−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−3,6−二スルホン酸)0.1gを溶かしたものを濾紙に置き、その横に反応混合物を1滴置いた。反応混合物の透明なランアウトがH酸のスポットに接触した時点で、反応混合物中にジアゾニウム塩が存在する場合は強い赤紫色が現れる。上述のH酸スポットチェックを用いてジアゾニウム塩を見つけることができなければ、赤色顔料122の処理が終了したと考えられた。反応混合物のpHを9に調整した後、MISONIXS−4000 Ultrasound Liquid Processorを用いて混合物を3時間超音波分解にかけた。このようにして得られた分散液をダイアフィルトレーションにかけ、透過水の導電率が200μジーメンス未満になるまで5倍量の(5 volumes of)脱イオン水で精製する。この時点で、分散液の固形分は15%前後だった。
【0054】
赤色顔料122は、また、比較として、ジアゾニウム塩由来の6.7g(50mmol)のPABA(6員芳香環含有1級アミン)でも上記の手順で処理された。
【0055】
ナトリウムイオン1mmolがグラフト化された陰イオン1mmolに相当すると仮定し、ミリボルト計に接続されたOrion−Rossナトリウムイオン選択電極を用いて最終分散液のナトリウム含有量を測定することにより(無水ベース)、ジアゾニウム塩中の有機基の顔料表面への組み込みを監視した。NANO TRACレーザー散乱計で変性赤色顔料122の平均粒径を測定した。変性赤色顔料122のナトリウム含有量および平均粒径を、下の表2にまとめた。
【表1】
【0056】
結果は、化合物1由来のジアゾニウム塩で変性された赤色顔料122のM
v平均粒径が、PABA由来のジアゾニウム塩で変性された赤色顔料122のM
v平均粒径よりも有意に小さかったことを示している。結果はさらに、化合物1由来のジアゾニウム塩が赤色顔料122の表面上に、PABA由来のジアゾニウム塩より約50%多く有機基を結合させたことも示している。
【0057】
実施例2:化合物1由来のジアゾニウム塩による様々な顔料の処理
4種類の顔料、即ち、赤色顔料122(PR122)、カーボンブラック(Cabot Corporation製のBP700級)、青色顔料15:4(PB15:4)、および黄色顔料74(PY74)、に対し、実施例1に記載の手順の後、化合物1由来のジアゾニウム塩による処理を行った。PR122の平均粒径M
vは、300nmであった。結果を下の表2に示す。
【表2】
【0058】
結果は、化合物1由来のジアゾニウム塩が、PR122、BP700、およびPB15:4の表面に有機基を結合させることによってこれらを有効に変性させたことを示している。加えて、化合物1由来のジアゾニウム塩によって変性されたPR122は、未変性の顔料より平均粒径がはるかに小さい。
【0059】
結果はまた、化合物1由来のジアゾニウム塩が、PY74の表面に有機基を結合させることによって、これを変性させ得ることも示している。Shakhnovich,“Dispersant Chemistry gives up its secrets”,Eur. Coatings J., Issue 6, p.28, (2006)に示されている通り、黄色顔料74は、p−アミノベンゼンスルホン酸のような6員芳香環を含有する1級アミンに由来するジアゾニウム塩およびPABAを用いて変性させることができない。
【0060】
実施例3:化合物2由来のジアゾニウム塩による赤色顔料122の処理
オーバーヘッドスターラー(テフロン(登録商標)ブレード)の付いた1リットル入り三口丸底フラスに、赤色顔料122のプレスケーキ89.2g(顔料を28%(即ち25g)含有)を、続いて脱イオン水700mlおよび2MのH
2SO
440mlを入れた。3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(化合物2)を4.2g(50mmol)添加した後、混合物が均質になるまで室温で45分間撹拌した。次に、撹拌を続けながら、2Mの亜硝酸ナトリウム25mlを5分間かけて混合物に添加した。添加の間に、多少の泡立ちが観察された。亜硝酸塩の添加が終了した後、H酸スポットチェックを実施して、強い陽性の結果が示された。室温で3時間撹拌を続け、この時点で、H酸スポットチェックは陰性の結果を示した。1MのNaOH溶液を添加することにより、混合物のpHを8に調整した。その後、MISONIX S−4000 Ulltrasound Liquid Processorを使って混合物を3時間超音波分解した。透過水の導電率が200μジーメンスを下回るまで、生じた分散液を6倍量の脱イオン水でダイアフィルトレーションにより精製した。この時点で、分散液の固形分は、13%前後だった。このようにして得た赤紫色の分散液は、NANO YRACレーザー散乱計で測定したM
v平均粒径が167.2nmだった。最終分散液(無水ベース)中の変性顔料は、1,160ppmだった。
【0061】
実施例4:化合物3由来のジアゾニウム塩による様々な顔料の処理
オーバーヘッドスターラー(テフロン(登録商標)ブレード)の付いた1リットル入り三口丸底フラスコに、黄色顔料74のプレスケーキ(顔料を37.3g含有)を256g、続いて3−(2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−5−yl)プロパン酸(即ち、化合物3)を7.68g(44.4mmol)、そして2MのH
2SO
4を219ml入れた。この混合物を45分間撹拌して、均質な混合物にし、これを氷浴により0℃前後まで冷却した。この温度に達した時点で、蠕動ポンプを使い、20分かけて2Mの亜硝酸ナトリウム溶液23mlを添加した。泡立ちがいくぶん観察され、添加の最後にH酸スポットチェックを実施したところ、強い陽性の結果を示した。この混合物を0℃で3時間継続的に撹拌した時点で、H酸スポットチェックの結果が陰性になった。反応混合物をろ過した後、変性した黄色顔料の沈殿物を600mlの脱イオン水で完全に洗浄した。次に、この沈殿物を脱イオン水500mlと混合し、1MのNaOH溶液を添加することにより混合物のpHを8に調整した。顔料を熟成させるため、混合物を80℃で1時間加熱した後、MISONIX S−4000 Ultrasound Liquid Processorを用いて3時間超音波分解した。生じた分散液を、6倍量の脱イオン水によるダイアフィルトレーションによって透過水の導電率が200μジーメンスを下回るまで精製した。この時点で、分散液の固形分は18%前後だった。これを4,500rpmで30分間遠心分離にかけて大型粒子を除去した。
【0062】
また赤色顔料122、BP700,および青色顔料15:4も、上述の手順を用いて化合物3由来のジアゾニウム塩で処理した。PR122の平均粒径M
vは300nmだった。
【0063】
この一連の変性顔料の最終分散液(無水ベース)の平均粒径およびナトリウム含有量を測定した。結果を下の表3にまとめる。
【表3】
【0064】
結果は、化合物3由来のジアゾニウム塩がPR122、BP700、およびPB15:4の表面に有機基を結合させることによって、これらを有効に変性させたことを示している。また結果は、化合物3由来のジアゾニウム塩が、p−アミノベンゼンスルホン酸などの6員芳香環を含有する1級アミンに由来するジアゾニウム塩およびPABAを用いて変性させることのできないPY74も有効に変性させたことも示している。
【0065】
実施例5:化合物11由来のジアゾニウム塩による様々な顔料の処理
A.2−アミノイミダゾール−4,5−ジニトリルのジアゾ化(化合物11)
【化37】
ビーカー中の3.99g(30mmol)の化合物11に35mlの1M H
2SO
4を添加した。次に、この混合物に、蠕動ポンプを使い、室温で30分間にわたって2MのNaNO
2溶液15.5mlを添加した。このようにして得た混合物を30分間撹拌した時点で、KIデンプン紙を使って過剰な亜硝酸塩を点検し、結果が陰性の場合は2MのNaNO
2を2、3滴添加しえた。このようにして形成されたジアゾニウム塩の分散液(ジアゾニウム含有量が約30mmol)は、室温で4〜6時間保存しても分解しない。
【0066】
B.化合物11由来のジアゾニウム塩による様々な顔料の処理
オーバーヘッドスターラー(テフロン(登録商標)ブレード)の付いた2リットル入りの三口丸底フラスコに、赤色顔料122のプレスケーキ(PR122;顔料を28%(即ち、60g)含有)を214g、続いて水214gおよび段階Aで生成したジアゾニウム塩溶液を入れた。この混合物を約100rpmで30分間撹拌した後、60℃で加熱し、45分間この温度に保った。この時点で、H酸スポットチェックが陰性結果を示し、反応によってジアゾニウム塩が完全に消滅したこと示した。次に、1M水酸化ナトリウム溶液を用いて反応スラリーのpHを9まで上昇させ、MISONIX S−4000 Ultrasound Liquid Processorを用いてスラリーを3時間超音波分解した。得られた混合物を、6倍量の脱イオン水を用いたダイアフィルトレーションによって、透過水の導電率が200μジーメンスを下回るまで精製した。この時点で、分散液の固形分は15%前後であった。次に、分散液を4,500rpmで30分間遠心分離にかけ、大粒子を除去した。
【0067】
化合物11を用いた青色顔料15:4(PB15:4)および黄色顔料74(PY74)の処理は、上述のものとは異なるやり方で実施した。結果を下の表4にまとめる。
【表4】
【0068】
表4に示す通り、化合物11由来のジアゾニウム塩は、PR122、PB15:4、およびPY74の表面に有機基を結合させることによって、これらを有効に変性させた。加えて、処理前には、この3種類の顔料の平均粒径M
vは400nm〜700nmの範囲であった。表4に示す通り、化合物11由来のジアゾニウム塩は、この3種類の顔料の平均粒径を有意に小さくした。
【0069】
実施例6:化合物12由来のジアゾニウム塩による様々な顔料の処理
赤色顔料122およびBP700を、化合物12由来のジアゾニウム塩で処理した。方法は実施例4とほぼ同じであったが、ただ2MのH
2SO
4を亜硝酸2当量に置き換えた。
【0070】
変性顔料の平均粒径および最終分散液(無水ベース)中の変性顔料のナトリウム含有量を測定した。結果を下の表5にまとめる。
【0071】
【表5】
表5に示す通り、化合物12由来のジアゾニウム塩は、PR122およびBP700を、その表面に有機基を結合させて平均粒径の小さい変性顔料を得ることによって有効に変性させた。
【0072】
実施例7:化合物13由来のジアゾニウム塩による赤色顔料122の処理
ステンレス鋼のビーカーに、赤色顔料122のプレスケーキ(顔料を30g含有)107gを入れ、続いて2−アミノトリアゾール−4−スルホン酸(即ち、化合物13)6.51gおよび脱イオン水350gを入れた。SILVERSON L4RT−Aローター・ステーター高せん断ミキサーを用いて6,500rpmで混合物を均質化した後、脱イオン水20ml中NaNO
22.54gの溶液を10分以内に滴状添加した。混合を2時間続けた。この期間の最後には、混合中の熱放出によって、温度が70℃に達した(外部熱は用いず)。1MのNaOH溶液で混合物のpHを4.0に調整した後、このようにして形成した混合物を、透過水の導電率が200μジーメンスを下回るまで、5倍量の脱イオン水で精製した。この時点で、分散液の固形分は16%前後であった。この分散液を、MISONIX S−4000 Ultrasound Liquid Processorを用いて1時間超音波分解し、20分間4,500rpmの遠心分離にかけて、大粒子を除去した。このようにして得た赤紫色の分散液は、NANOTRACレーザー散乱計で測定した平均粒径M
vが90nmであった。
【0073】
また比較として、赤色顔料122の処理をp−アミノベンゼンスルホン酸およびp-アミノ安息香酸由来のジアゾニウム塩でも行った。用いた方法は上述したものと同じであるが、p-アミノ安息香酸由来のジアゾニウム塩で赤色顔料122を処理した場合は、NaNO
2を添加する前に反応混合物に2当量の亜硝酸を添加した。
【0074】
結果は、化合物13(即ち、5員芳香族複素環を含有する1級アミン)に由来するジアゾニウム塩で顔料を処理することにより、超小粒径の変性顔料を調製することが可能であることを示している。これに反して,p−アミノベンゼンスルホン酸およびp−アミノ安息香酸(即ち、6員芳香環を含有する1級アミン)に由来するジアゾニウム塩で顔料を処理した時には、このようにして得られた変性顔料の平均粒径M
vが125〜135nm以上となった。
【0075】
実施例8:化合物13由来のジアゾニウム塩による様々な顔料の処理
4種類の顔料、即ち、赤色顔料122(PR122)、青色顔料15:4(PB15:4)、およびBP700を、化合物13由来のジアゾニウム塩を用いて、実施例7に記載した手順に従って処理した。結果を下の表6に示す。
【表6】
【0076】
結果は、化合物13由来のジアゾニウム塩が、PR122、PB15:4、およびBP700の表面に有機基を結合させて平均粒径の小さい変性顔料を得ることにより、これらの顔料を有効に変性させたことを示している。
【0077】
他の実施例を特許請求の範囲に記載する。
本発明はまた、以下の内容を包含する。
(1)
ジアゾ化剤を、5員芳香族複素環と前記5員芳香族複素環に直接結合したアミノ基とを含む1級アミンと反応させ、それによって前記5員芳香族複素環を含むジアゾニウム塩を含有する反応混合物を形成すること、及び
前記ジアゾニウム塩が形成された後に、前記反応混合物に顔料を添加し、それによって前記5員芳香族複素環を含む変性顔料を形成すること、
を含む方法であって、
前記5員芳香族複素環は、少なくとも2つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも1つが窒素原子である、方法。
(2)
前記1級アミンを、最大でも約2.5のpHで前記ジアゾ化剤と反応させる、項目1に記載の方法。
(3)
前記5員芳香族複素環は、3つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも2つが窒素原子である、項目1に記載の方法。
(4)
前記1級アミンは、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル,1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、または1,2,5−オキサジアゾリルを含む、項目3に記載の方法。
(5)
前記1級アミンは、1,2,4−トリアゾリルまたは1,3,4−チアジアゾリルを含む、項目4に記載の方法。
(6)
前記1級アミンは、式(I)
【化1】
の化合物であり、式中、
XはO、N(Ra)、またはSであり、
R1はH、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yは陰イオンである、項目3に記載の方法。
(7)
R1は、H、C1−C10アルキル、COORa、C(O)NH(C1−C10アルキル)、またはC1−C10アルキルで任意に置換されたフェニルであり、ここで、C1−C10アルキルは、フルオロ、ORa、COORa、またはN+(RbRcRd)で任意に置換される、項目6に記載の方法。
(8)
前記1級アミンは、
【化2】
【化3】
【化4】
である、項目7に記載の方法。
(9)
前記5員芳香族複素環は、2つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも1つが窒素原子である、項目1に記載の方法。
(10)
前記1級アミンは、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、またはイソオキサゾリルを含む、項目9に記載の方法。
(11)
前記1級アミンは、イミダゾリルまたはチアゾリルを含む、項目10に記載の方法。
(12)
前記1級アミンは、式(II)
【化5】
の化合物であり、式中、
XはO、N(Ra)、またはSであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yは陰イオンである、項目9に記載の方法。
(13)
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、シアノ、COORa、またはSO3Raである、項目12に記載の方法。
(14)
前記1級アミンは、
【化6】
【化7】
【化8】
である、項目13に記載の方法。
(15)
前記5員芳香族複素環は、4つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも3つが窒素原子である、項目1に記載の方法。
(16)
前記1級アミンは、テトラゾリルを含む、項目15に記載の方法。
(17)
前記1級アミンは、
【化9】
である、項目15に記載の方法。
(18)
前記顔料は、黄色顔料1、74、155、180、185、213、218、220、もしくは221、赤色顔料122、202、254、もしくは269、青色顔料15、16、もしくは60、または紫色顔料19を含む、項目1に記載の方法。
(19)
前記5員芳香族複素環は、前記変性顔料の窒素表面積に基づいて約2.7mmol/cm2〜約66.6mmol/cm2の処理レベルで前記変性顔料の表面に存在する、項目1に記載の方法。
(20)
前記顔料は、第1の平均粒子直径を有し、前記変性材料は、前記第1の平均粒子直径より小さい第2の平均粒子直径を有する、項目1に記載の方法。
(21)
前記第1の平均粒子直径は、最小でも約140nmであり、前記第2の平均粒子直径が最大でも約130nmである、項目20に記載の方法。
(22)
前記変性顔料を液体ビヒクルに取り込んで、インクジェット用インク組成物を形成することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(23)
顔料を、5員芳香族複素環と前記5員芳香族複素環に直接結合したジアゾニウム基とを含むジアゾニウム塩と反応させ、それによって前記5員芳香族複素環を含む変性顔料を形成することを含む方法であって、
前記5員芳香族複素環は3つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも2つが窒素原子である、方法。
(24)
前記ジアゾニウム塩は、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、または1,2,5−オキサジアゾリルを含む、項目23に記載の方法。
(25)
前記ジアゾニウム塩は、1,2,4−トリアゾリル、または1,3,4−チアジアゾリルを含む、項目24に記載の方法。
(26)
前記ジアゾニウム塩は、式(Ia)
【化10】
の陽イオンを含み、式中、
XはO、N(Ra)、またはSであり、
R1は、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yは陰イオンである、項目23に記載の方法。
(27)
R1は、H、C1−C10アルキル、COORa、C(O)NH(C1−C10アルキル)、C1−C10アルキルで任意に置換されたフェニルであり、ここでC1−C10アルキルは、フルオロ、ORa、COORa、NRbRc、またはN+(RbRcRd)で任意に置換される、項目26に記載の方法。
(28)
前記ジアゾニウム塩は、
【化11】
【化12】
【化13】
を含む、項目27に記載の方法。
(29)
顔料を、5員芳香族複素環を含むジアゾニウム塩と反応させ、それによって前記5員芳香族複素環を含む変性顔料を形成することを含む方法であって、
前記ジアゾニウム塩は式(IIa)
【化14】
の陽イオンを含み、
式中、
XはO、N(Ra)、またはSであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yは陽イオンであるが、ただし、R1およびR2の内少なくとも1つはHではない、方法。
(30)
R1およびR2は、それぞれ独立してH、シアノ、COORa、またはSO3Raである、項目29に記載の方法。
(31)
前記ジアゾニウム塩は、
【化15】
【化16】
【化17】
を含む、項目30に記載の方法。
(32)
液体ビヒクルと、
顔料および前記顔料に結合した有機基を含む材料であって、前記有機基はただ1つの芳香環を含み、前記ただ1つの芳香環は5員芳香族複素環である材料と、
を含むインク組成物であって、
前記5員芳香族複素環は3つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも2つは窒素原子である、インク組成物。
(33)
前記有機基は、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、または1,2,5−オキサジアゾリルを含む、項目32に記載の組成物。
(34)
前記有機基は、1,2,4−トリアゾリルまたは1,3,4−チアジアゾリルを含む、項目33に記載の組成物。
(35)
前記有機基は、式(Ib)
【化18】
の有機基であり、式中、
XはO、N(Ra)、またはSであり、
R1は、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは,それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
Yは陰イオンである、項目32に記載の組成物。
(36)
R1は、H、C1−C10アルキル、COORa、C(O)NH(C1−C10アルキル)、C1−C10アルキルで任意に置換されたフェニルであり、ここでC1−C10アルキルは、フルオロ、ORa、COORa、NRbRc、またはN+(RbRcRd)で任意に置換される、項目35に記載の組成物。
(37)
前記有機基は、
【化19】
【化20】
【化21】
である、項目36に記載の組成物。
(38)
前記材料は、黄色顔料1、74、155、180、185、213、218、220、もしくは221、赤色顔料122、202、254、もしくは269、青色顔料15、16、もしくは60、または紫色顔料19を含む、項目32に記載の組成物。
(39)
顔料と、
前記顔料に結合した有機基であって、ただ1つの芳香環を含み、前記ただ1つの芳香環は5員芳香族複素環である有機基と
を含む組成物であって、
前記5員芳香族複素環は3つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも2つは窒素原子である、組成物。
(40)
項目39に記載の組成物を含む物品であって、インクジェットプリンター、コーティング、ペイント、トナー、カラーフィルター、または電気泳動ディスプレイである、物品。
(41)
液体ビヒクルと、
顔料および前記顔料に結合した式(IIb)
【化22】
で表わされる有機基を含む材料と、
を含むインク組成物であって、式中、
Xは、O、N(Ra)、またはSであり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yは陰イオンであるが、ただし、R1およびR2の内の少なくとも1つはHではない、インク組成物。
(42)
R1は、H、シアノ、COORa、またはSO3Raであり、R2は、シアノ、COORa、またはSO3Raである、項目41に記載の組成物。
(43)
前記有機基は、
【化23】
【化24】
【化25】
である、項目42に記載の組成物。
(44)
前記材料は、黄色顔料1、74、155、180、185、213、218、220、もしくは221、赤色顔料122、202、254、もしくは269、青色顔料15、16、もしくは60、または紫色顔料19を含む、項目41に記載の組成物。
(45)
顔料と、
前記顔料に結合し、式(IIb)
【化26】
で表わされる有機基と、を含む組成物であって、
式中、
Xは、O、N(Ra)、またはSであり、
R1およびR2は、それぞれ独立してH、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C20シクロアルキル、C3−C20シクロアルケニル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、シアノ、ORb、COORb、OC(O)Rb、C(O)Rb、C(O)NRbRc、SO3Rc、NRbRc、またはN+(RbRcRd)Yであり、
Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、H、C1−C10アルキル、C3−C20シクロアルキル、C1−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Yは陰イオンであるが、ただし、R1およびR2の内の少なくとも1つはHではない、組成物。
(46)
項目45に記載の組成物を含む物品であって、インクジェットプリンター、コーティング、ペイント、トナー、カラーフィルター、または電気泳動ディスプレイである、物品。
(47)
液体ビヒクルと、
顔料および前記顔料に結合した有機基を含む材料であって、前記有機基が5員芳香族複素環を含む材料と
を含むインク組成物であって、
前記5員芳香族複素環は4つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも3つは窒素原子である、
インク組成物。
(48)
前記有機基は、テトラゾリルを含む、項目47に記載の組成物。
(49)
前記有機基は、
【化27】
である、項目47に記載の組成物。
(50)
前記変性顔料は、黄色顔料1、74、155、180、185、213、218、220、もしくは221、赤色顔料122、202、254、もしくは269、青色顔料15、16、もしくは60、または紫色顔料19を含む、項目47に記載の組成物。
(51)
顔料と、
前記顔料に結合された有機基であって、5員芳香族複素環を含む有機基と、を含む組成物であって、
前記5員芳香族複素環は4つの環内ヘテロ原子を含み、そのうち少なくとも3つは窒素原子である、組成物。
(52)
項目51に記載の組成物を含む物品であって、インクジェットプリンター、コーティング、ペイント、トナー、カラーフィルター、または電気泳動ディスプレイである、物品。