【文献】
          David Lickorish,Collagen-hydroxyapatite composite prepared by biomimetic process,J Biomed Mater Res,2003年  7月  3日,68A,19-27
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記固体無機成分が、2.05〜2.55の範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有するケイ素含有ヒドロキシアパタイトを含む、請求項5記載の骨移植片組成物。
  前記ヒドロゲルが、カルボキシメチルセルロース、コラーゲンまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の骨移植片組成物。
  前記ヒドロゲルが、ストロンチウム、マグネシウム、カリウム、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、セレン、銀およびフッ素から選択される1つ以上の元素のイオンをさらに含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の骨移植片組成物。
【背景技術】
【0002】
  疾患または外傷という理由から、外科医は、骨組織を置換する必要がある。彼らは、手術中に骨移植片(自家移植片または同種移植片)または骨を置換する合成材料を使用することができる。外科医は、骨を置換するために使用される合成材料のタイプのうち、金属(例えば、ステンレス鋼の股関節部または膝への埋没物)、ポリマー(例えば、寛骨臼カップにおけるポリエチレン)、セラミックス(例えば、マクロ多孔性骨移植片としてのヒドロキシアパタイト)または無機−有機複合物(例えば、固定プレート用のヒドロキシアパタイト−ポリ(乳酸)複合物)を使用する。これらの合成骨置換材料の多くが、体内で(治癒期間にとって適切な期間内において)再吸収可能でなく、埋没物周辺または埋没物内において新しい骨の形成を刺激しない。
【0003】
  特定の興味を抱かせた材料としては、合成リン酸カルシウム(CaP)骨移植片代用物が挙げられる。このタイプの材料は、担体としての有機ポリマーゲル(例えば、ヒドロゲル(例えば、カルボキシメチルセルロースCMCベースのヒドロゲル))に組み込まれた顆粒を含む送達系の形態で、意図される骨再生部位に送達され得る。
【0004】
  そのような送達系は、CaP顆粒の取り扱いが改善されるように、および手術部位への骨移植片の配置が容易になるように、設計される。その担体は、直ちに(通常、3〜30日以内に)体内で再吸収されるかまたは溶解されることにより、移植片と骨とが相互作用するためのCaP顆粒が露出される。
【0005】
  これらの送達系において使用される担体は、その取扱特性、安全性、および体内で直ちに再吸収されるまたは溶解される能力について選択される。通常、選択される担体におけるポリマーは、天然のポリマー(例えば、コラーゲンまたはゼラチン)または承認された合成ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC))である。その担体は、骨の修復において積極的な役割を果たさない(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースまたはグリセロールの場合)。その担体は、取扱補助物質として作用し、有効なCaP顆粒を骨再生部位に運び、次いで、溶解するかまたは再吸収される。
【0006】
  本明細書中で言及される担体は、ゲルとして作用する。一般的には、ゲルの定義は、重量基準で主に液体からなるが固体として存在し、定常状態では流動性を示さない、ゼリー様物質である。ゲル内では、ポリマー鎖(ゲルの「固相」)は、ゲルの「液相」中に存在し、ポリマー鎖間の化学架橋(例えば、共有結合)および/または物理的な相互作用(例えば、水素結合またはファンデルワールス結合)を介して相互作用する。これらのポリマー鎖間の相互作用こそが、ゲルの構造および粘弾性に寄与する。
【0007】
  ヒドロゲルは、水が液相を構成する特殊なタイプのゲルである。通常、その固相(すなわちポリマー)は、その特殊なヒドロゲルが形成されるのに適切な条件下で水に分散される。例えば、酸溶性のI型コラーゲンが、希酸性条件(例えば、酢酸)下で水に分散(溶解)され得、37℃に温めると(その溶液を事前に好適な塩基で中和してまたはせずに)ゲルを形成する。
【0008】
  ゲル形成(ゲル化)は、特定の条件下だけで生じるので、そのゲルの成分の混合物は、実際には、ゲルの形態で存在しない可能性がある。ゲル化を起こしていないそのような溶液は、本明細書中で「ゲル溶液」と呼ばれる。ゲル溶液は、ゲル化を起こすことにより、ゲルを形成する。
【0009】
  ケイ素は、骨の形成および骨の代謝において重要な役割を果たすと示されている。ゆえに、ケイ素含有骨移植片材料を形成する試みが行われた。ケイ素置換ヒドロキシアパタイト材料の合成は、(特許文献1)および対応する(特許文献2)に記載されている。これらの材料は、動物研究およびヒト臨床研究において骨の治癒速度を加速させると示されたが、これらのケイ素置換材料は、なおも非常に不溶性である。
【0010】
  いくつかの合成CaPバイオマテリアルが、ケイ素イオンをシリケートとして組み込んでいる。例としては、生体活性ガラス、アパタイト−珪灰石ガラスセラミックス、ケイ素置換ヒドロキシアパタイトおよびケイ素置換リン酸三カルシウムが挙げられる。(非特許文献1)では、低レベルのケイ素が、ケイ素置換ヒドロキシアパタイトから組織培養液に放出されることが示唆されている。最高およそ0.5μg/mlのケイ素が報告された。(非特許文献2)では、培養液中で24時間インキュベートされたケイ素含有生体活性気泡ガラスが報告されている。得られた培養上清を希釈せずにまたは培養液で1:1もしくは1:4希釈し、その中で細胞を培養した。ケイ素の放出は、無希釈の溶出液において230μg/ml、培養液で1:1希釈されたとき120μg/ml、および培養液で1:4希釈されたとき47μg/mlと報告された。(非特許文献3)では、45%SiO
2w/wを含む生体活性ガラスのBioglass45S5が報告されている。このガラスの710〜300μm直径の1%w/vの微粒子を、37℃で24時間、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中でインキュベートし、残った微粒子を濾過により除去した。次いで、95%大気湿度および5%CO
2の37℃において、その培地に10%ウシ胎児血清、2mM  l−グルタミン、50U/mlペニシリンG、50μg/mlストレプトマイシンBおよび0.3μg/mlアンホテリシンBを補充した。この溶液中のカルシウム、ケイ素、リンおよびナトリウムの元素含有量を誘導結合プラズマ分析によって測定した。Xynosらは、コントロールDMEMでは0.19ppm±0.01Si、およびBioglass45S5培養上清DMEMでは16.58ppm±1.78という含有量を報告している。
【0011】
  (特許文献3)(未公開)は、2.05〜2.55という範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有する、より溶解性のシリケート置換リン酸カルシウムヒドロキシアパタイトを記載している。これらのケイ素置換ヒドロキシアパタイトは、ヒドロキシアパタイトセラミックスまたは以前に報告されたケイ素置換ヒドロキシアパタイトセラミックスと比べて高レベルの溶解性を示し、溶液に浸漬されると高レベルのケイ素を放出する。例えば、(特許文献3)に記載されたシリケート置換ヒドロキシアパタイトからは、以前に報告されたケイ素置換ヒドロキシアパタイトと比べておよそ10〜100倍多いケイ素が放出される。
 
【発明を実施するための形態】
【0029】
  (固体無機成分)
  本発明の骨移植片送達系の固体無機成分は、通常、顆粒または粉末の形態で含められる。
 
【0030】
  例えば、その固体無機成分は、0.001〜10mm、より好ましくは、0.5〜5mm、最も好ましくは、1〜2mmの直径を有する顆粒の形態で含められ得る。この直径のおかげで、固体無機成分の表面積が大きくなり、骨治癒能が高まる。
 
【0031】
  その固体無機成分は、いくつかの実施形態において、ヒドロゲルのマトリックス全体に分布する粒子として存在する。その粒子は、ヒドロゲルのポリマーマトリックスによって保持される。
 
【0032】
  その固体無機成分は、合成のものであってもよいし、非合成のものであってもよい(例えば、同種移植片またはDBM(脱塩骨基質))。当然のことながら、各々独立して選択される2種以上の骨移植片材料が存在してもよい。
 
【0033】
  例えば、本発明の骨移植片系は、2つの固体無機成分を含み得、一方は、合成のものであり得、他方は、非合成のものであり得る。
 
【0034】
  好適な固体無機成分としては、二相性リン酸カルシウム(BCP)、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、イオン置換ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸八カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、ブルシャイト、モネタイト、リン酸四カルシウム、ピロリン酸カルシウム、バイオガラス、ケイ酸カルシウムガラス、ケイ酸カルシウムベースのガラス、リン酸カルシウムガラス、リン酸カルシウムベースのガラス、ケイ酸カルシウムベースのガラスセラミック、リン酸カルシウムベースのガラスセラミック、生体活性ガラス、生体活性ガラスセラミックス、生体適合性ガラス、生体適合性ガラスセラミックス、アルミナおよびジルコニアが挙げられる。
 
【0035】
  例となる二相性リン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)およびβ−リン酸三カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)を含む。これらの成分の含有比は、様々であり得る。例えば、二相性リン酸カルシウムは、50%ヒドロキシアパタイトおよび50%リン酸三カルシウムであり得る。その代わりに、他の比を使用することもできる。
 
【0036】
  ケイ素含有ガラスまたはケイ素含有ガラスセラミックの好適な例としては、XO−Y
2O−SiO
2またはXO−Y
2O−SiO
2−P
2O
5の系に基づく組成物(式中、Xは、通常、Ca(カルシウム)および/またはMg(マグネシウム)および/またはSr(ストロンチウム)であり、Yは、通常、Na(ナトリウム)および/またはK(カリウム)である)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの組成物において、各Xは、独立して、Ca、MgおよびSrからなる群から選択され得る。各Yは、独立して、NaおよびKからなる群から選択され得る。
 
【0037】
  好適なケイ酸カルシウムベースの組成物としては、結晶性ケイ酸カルシウム相(例えば、CaSiO
3(珪灰石))またはCaO−SiO
2系としての非晶質ケイ酸カルシウムガラス組成物が挙げられる。
 
【0038】
  好ましい固体無機成分としては、ヒドロキシアパタイトおよびケイ素含有ヒドロキシアパタイトが挙げられる。
 
【0039】
  例となるヒドロキシアパタイトは、Ca
10(PO
4)
6(OH)
2である。例となるケイ素含有ヒドロキシアパタイトは、Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2)OH)
yであり、式中、yは、存在するOH
−イオンの量を表し、通常、0〜1である。yは、理想的には0であるが、反応条件によって、不定量のOH
−イオンが存在し得る(SiO
44−ではなくいくらかのSi
2O
76−が形成される)。
 
【0040】
  本骨移植片系の固体無機成分として使用するために特に好ましい材料は、2.05〜2.55の範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有するケイ素含有ヒドロキシアパタイトである。このタイプの材料は、国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されている。これらの材料は、他の公知のヒドロキシアパタイト材料よりも溶解性が改善されている。
 
【0041】
  細胞培養液に浸漬されたこのタイプのケイ素含有ヒドロキシアパタイト(0.5g/50ml)は、浸漬の1時間後に17ppmのケイ素イオンを放出すると見出されている。
 
【0042】
  好ましくは、そのような固体成分のケイ素原子含有率は、2.9〜6wt%の範囲内である。1つの実施形態において、そのような固体成分は、式(I):
Ca
10−δ(PO
4)
6−x(SiO
4)
x(OH)
2−x(I)
によって表され、式中、1.1≦x≦2.0であり、かつ
δは、Ca/(P+Si)モル比が1.667未満の値を有するようなCa不足を表す。
 
【0043】
  好ましくは、1.2≦x≦2.0であり、より好ましくは、1.4≦2.0であり、最も好ましくは、1.6≦x≦2.0である。通常、そのような固体成分は、ヒドロキシルイオンを含むことが望ましい。
 
【0044】
  そのような材料の例は、上で述べられたCa
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
yである。
 
【0045】
  これらのタイプのケイ素含有ヒドロキシアパタイトは、ヒドロキシアパタイトセラミックスまたは以前に報告されたケイ素置換ヒドロキシアパタイトセラミックスと比べて高レベルの溶解性を示し、溶液に浸漬されると高レベルのケイ素を放出すると見出されている。
 
【0046】
  ケイ素含有ヒドロキシアパタイトがヒドロゲル中に存在するとき、より多量のケイ素イオンを放出するために、その成分のケイ素原子含有率がより高いことが望ましい。いくつかの実施形態において、ケイ素原子含有率は、好ましくは、少なくとも2.9wt%、より好ましくは、少なくとも3.5wt%、最も好ましくは、少なくとも5wt%である。国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているタイプのケイ素置換ヒドロキシアパタイトでは、これらの値は、それぞれ、少なくとも9.5wt%、少なくとも11.5wt%および少なくとも16wt%というシリケート(SiO
4)含有率と等しい。ケイ素原子含有率は、好ましくは、3.5〜6wt%の範囲内(11.5〜20wt%のシリケート)、より好ましくは、5〜6wt%の範囲内(16〜20wt%のシリケート)である。
 
【0047】
  国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているタイプのケイ素置換ヒドロキシアパタイトでは、カルシウムとリンの含有イオンのモル比(Ca/P比)は、化学量論のヒドロキシアパタイトにおいて観察される比(それは、10:6もしくは1:0.6であるか、または1.67というCa/P比である)またはリン酸カルシウムにシリケートを組み込んでいる従来技術の材料において観察される比よりも高い。本骨移植片系の固体成分が、国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているタイプのケイ素置換ヒドロキシアパタイトである1つの実施形態において、そのヒドロキシアパタイトのCa/Pモル比は、少なくとも2.05である。好ましくは、Ca/Pモル比は、少なくとも2.1、より好ましくは、少なくとも2.2、最も好ましくは、少なくとも2.3である。最大のCa/Pモル比は、2.55、好ましくは、2.5である。したがって、Ca/Pモル比は、2.05〜2.55、好ましくは、2.1〜2.55、より好ましくは、2.2〜2.5または最も好ましくは、2.3〜2.5の範囲内であり得る。
 
【0048】
  国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているタイプのケイ素置換ヒドロキシアパタイトでは、Ca/(P+Si)モル比は、1.66未満、好ましくは、多くとも1.65であり、それは、他のケイ素含有ヒドロキシアパタイト組成物の1.667というCa/(P+Si)モル比よりも有意に低い。好ましくは、Ca/(P+Si)モル比は、1.50〜1.65の範囲内、より好ましくは、1.60〜1.65の範囲内、なおもより好ましくは、1.60〜1.64の範囲内である。
 
【0049】
  (ヒドロゲル)
  本発明において、ヒドロゲルは、担体として使用される。ヒドロゲルは、任意の好適なタイプのものであってよく、例えば、天然のポリマー(例えば、コラーゲンまたはゼラチン)または生物学的に適合性の合成ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)を含むものであってよい。
 
【0050】
  好ましいヒドロゲルとしては、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、ゼラチン、グリセロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または合成オレフィンもしくは酸化オレフィンポリマーであるポリマー成分を含むヒドロゲルが挙げられる。1つの例は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体(例えば、Pluronic(登録商標)F127またはF68,BASF  SE)である。
 
【0051】
  典型的なカルボキシメチルセルロース成分は、中程度のまたは高い粘度を有する。例となるゲル溶液は、5重量%のカルボキシメチルセルロースを含む。
 
【0052】
  いくつかの好適なゲル溶液は、5〜40重量%、好ましくは、20〜30重量%のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体(例えば、Pluronic(登録商標)F127またはF68,BASF  SE)を含む。種々の鎖長を有する他のポリマーも使用してよい。
 
【0053】
  ヒドロゲルは、そのような成分の組み合わせも含み得る。例えば、そのヒドロゲルは、カルボキシメチルセルロースとグリセロールの両方を含み得る。グリセロールを加えることによって、本発明におけるCMCヒドロゲルの取扱特性が改善されることが見出されている。
 
【0054】
  例となるゲル溶液は、5重量%のカルボキシメチルセルロースおよび10重量%のグリセロールを含む。
 
【0055】
  ゲルの形成は、公知の方法によって達成され得る。例えば、カルボキシメチルセルロースを含むゲル溶液は、約50℃に加熱されることにより、そのカルボキシメチルセルロースが溶解され、次いで、室温に冷却されることにより、ゲル化を起こし得る。コラーゲンを含むゲル溶液は、ゲル化が生じるまで、約40℃(例えば、37℃)で一晩熟成され得る。Pluronic(登録商標)共重合体を含むゲル溶液は、約5℃(例えば、4℃)で一晩撹拌されることにより、そのPluronic(登録商標)が溶解され、次いで、約40℃(例えば、37℃)に一晩温められることにより、ゲル化が生じ得る。あるいは、Pluronic(登録商標)を含むゲル溶液は、約70℃〜80℃において調製され、次いで、20℃〜40℃に冷却されることにより、ゲル化が起き得る。
 
【0056】
  ケイ素イオンは、ヒドロゲルの水性成分(すなわち、ゲルの液相)の中に保持され、そのゲルがインビボで溶解、分解または再吸収されると、ケイ素イオンが放出される。次いで、それらは、骨の修復、治癒などを助けるように作用し得る。
 
【0057】
  このヒドロゲルからのイオン送達の「分解時の放出」メカニズムは、同様にヒドロゲルに存在し得る他のイオンにも適用可能である。そのようなさらなる随意の添加物は、下記で詳細に論じられる。
 
【0058】
  ヒドロゲルは、別個に形成され、後でそれとケイ素イオンが混合されることにより、上に記載されたケイ素含有ゲルが形成され得る。水性ポリマー相(ヒドロゲル)と混合されたときにその水性ポリマー相(ヒドロゲル)に適切なレベルのケイ素イオンを放出する合成骨移植片材料が使用され得る。
 
【0059】
  あるいは、ケイ素含有骨移植片材料でもあり得るケイ素イオン源(例えば、本明細書中に記載される(適切なレベルのケイ素イオンをインビトロで放出できる)もの)が、水溶液に浸漬されることにより、ケイ素イオンが放出され得る。このケイ素含有水溶液は、次いで、ヒドロゲルを形成するために使用され得る。
 
【0060】
  (ヒドロゲル中のイオン成分)
  本発明の骨移植片系において、ヒドロゲルは、ケイ素イオンを含む。そのケイ素イオンは、任意の好適な方法(例えば、ケイ素イオンをヒドロゲルに放出できるケイ素含有合成骨移植片とヒドロゲルを混合すること、ケイ素イオン源を水溶液に溶解し、次いで、その水溶液を使用してヒドロゲルを形成すること、またはインビトロでケイ素イオンを放出できるケイ素含有骨移植片材料を水溶液に浸漬し、次いで、その水溶液を使用してヒドロゲルを形成すること)によって組み込まれ得る。
 
【0061】
  ケイ素イオンは、任意の好適なケイ素イオン源によって組み込まれ得る。ケイ素イオン源からのケイ素イオンをヒドロゲルに組み込むいくつかの方法が、本明細書中で論じられる。
 
【0062】
  ケイ素イオンをゲル担体に組み込む1つの方法は、ケイ素イオン源からイオンを直接(ヒドロゲルまたはその後ヒドロゲルを形成するために使用される水溶液に直接)放出することによる方法である。例えば、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カルシウムが、ケイ素イオン源として使用され得る。
 
【0063】
  シリケートが使用される場合、様々な形態(例えば、(ケイ酸ナトリウムの場合)Na
4SiO
4、Na
2SiO
3、Na
2Si
2O
5、Na
2Si
3O
7、これらのケイ酸ナトリウムの水和型、ケイ酸ナトリウムの非晶質組成物など)が好適である。
 
【0064】
  ケイ素イオン源として使用するために好ましいシリケートは、Na
2SiO
3である。
 
【0065】
  Na
2SiO
3が使用される場合、0.0011〜0.436gのNa
2SiO
3を50mlの水に溶解することによって、水において5〜2000ppmという最終濃度を得ることができる。これは、下記の実施例7(表1)に示される。
 
【0066】
  Na
2SiO
3などのケイ酸ナトリウムは、水に溶解されることにより、その後ヒドロゲルを形成するために使用されるケイ素イオン含有溶液を形成し得る。
 
【0067】
  別の例は、ケイ素イオン源としてケイ素含有ガラスもしくはケイ素含有ガラスセラミックスまたはケイ酸カルシウムベースの組成物を使用することである。
 
【0068】
  ケイ素含有ガラスまたはケイ素含有ガラスセラミックスの好適な例としては、XO−Y
2O−SiO
2またはXO−Y
2O−SiO
2−P
2O
5系に基づく組成物が挙げられるが、これらに限定されない(式中、Xは、通常、Ca(カルシウム)および/またはMg(マグネシウム)および/またはSr(ストロンチウム)であり、Yは、通常、Na(ナトリウム)および/またはK(カリウム)である)。これらの組成物において、各Xは、独立して、Ca、MgおよびSrからなる群から選択され得る。各Yは、独立して、NaおよびKからなる群から選択され得る。
 
【0069】
  好適なケイ酸カルシウムベースの組成物としては、結晶性ケイ酸カルシウム相(例えば、CaSiO
3(珪灰石))またはCaO−SiO
2系としての非晶質ケイ酸カルシウムガラス組成物が挙げられる。
 
【0070】
  ケイ素イオン源として使用するために好ましい材料は、2.05〜2.55の範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有するケイ素含有ヒドロキシアパタイトである。このタイプの材料は、国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されている。これらの材料は、他の公知のヒドロキシアパタイト材料よりも溶解性が改善されている。
 
【0071】
  これらの材料およびその好ましい特性は、本骨移植片系の固体成分として含められることについて上に記載されたとおりである。
 
【0072】
  そのような材料は、水に浸漬されることにより、ケイ素イオンをその水に放出し得る。次いで、そのように生成されたケイ素イオン含有溶液は、ヒドロゲルを形成するために使用され得る。
 
【0073】
  いくつかの実施形態において、さらなるイオン、特に、カルシウムイオンおよび/またはリン酸イオンが、ヒドロゲルに組み込まれ得る。すなわち、そのヒドロゲルは、ケイ素イオンおよびカルシウムイオン、ケイ素イオンおよびリン酸イオン、またはケイ素イオン、カルシウムイオンおよびリン酸イオンを含み得る。
 
【0074】
  カルシウムイオンとリン酸イオンの両方が、骨の再生を促進すると知られている。リン酸イオンが、PO
43−に限らず多くの形態で存在することは、当業者に周知である。任意の形態のリン酸イオンが、本発明のヒドロゲルに含められ得る。
 
【0075】
  さらに、ヒドロゲルは、他の成分も含み得る。ヒドロゲルは、骨の治癒反応を増強するおよび/または抗菌効果を示すイオン、例えば、ストロンチウム、マグネシウム、カリウム、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、セレン、銀またはフッ素のイオンを含み得る。
 
【0076】
  さらに、ヒドロゲルは、活性な生体分子(例えば、成長因子タンパク質(例えば、骨形態形成タンパク質)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)または他の薬学的薬物、サイトカインまたは抗体)を含み得る。
 
【0077】
  (方法)
  本発明の別の態様は、ケイ素イオン源をヒドロゲルと混合する工程を含む、骨移植片系を作製する方法である。
 
【0078】
  いくつかの実施形態において、この方法は、骨移植片材料である固体無機成分をヒドロゲルと混合するさらなる工程を含む。
 
【0079】
  ケイ素イオン源は、そこから適切なレベルのケイ素イオン(上で説明されたような)がヒドロゲルに放出されるように選択される。例えば、インビトロで>2ppm(好ましくは、>3ppm、より好ましくは≧5ppm)のケイ素イオンを放出できるケイ素置換リン酸カルシウムが使用され得る。あるいは、ケイ素含有ガラスもしくはケイ素含有ガラスセラミックスまたはケイ酸カルシウムベースの組成物が、この方法におけるケイ素イオン源として使用され得る。好適なケイ素イオン源は、上で詳細に論じられている。
 
【0080】
  本発明のいくつかの実施形態において、ケイ素イオン源自体は、骨移植片材料ではない。そして、骨移植片材料である固体無機成分もまた、本発明に係る骨移植片系を形成するケイ素含有ゲルに含められる。
 
【0081】
  他の実施形態では、ケイ素イオン源自体が、骨移植片材料であり、それがケイ素イオンをヒドロゲルに放出した後に、そのように作用し続ける。その混合物は、さらに変化せずに、本明細書中に記載されるような骨移植片系として使用され得る。あるいは、さらなる固体無機成分(骨移植片材料)が、その混合物に加えられ得る。
 
【0082】
  ゆえに、ケイ素イオン源と同じであるかまたは異なり、かつ骨移植片材料である、固体無機成分が、得られる混合物に加えられることにより、本発明に係る骨移植片系が形成され得る。
 
【0083】
  本発明の別の態様は、(a)好適なケイ素イオン源を水溶液に浸漬するかまたは溶解して、>2ppmのケイ素イオンを含む溶液を形成する工程;(b)得られた水溶液をポリマーと混合して、ゲル溶液を形成する工程;(c)そのゲル溶液のゲル化を生じさせて、ヒドロゲルを形成する工程;および(d)得られたヒドロゲルと固体無機成分を混合して、骨移植片系を作製する工程を含む、骨移植片系を作製する方法である。
 
【0084】
  本発明のさらなる態様として、(a)好適なケイ素イオン源を水溶液に浸漬するかまたは溶解して、>2ppmのケイ素イオンを含む溶液を形成する工程;(b)得られた水溶液をポリマーと混合して、ゲル溶液を形成する工程;(c)そのゲル溶液と固体無機成分を混合する工程;および(d)そのゲル溶液のゲル化を生じさせて、骨移植片系を形成する工程を含む、骨移植片系を作製する方法が提供される。
 
【0085】
  すなわち、ゲル溶液(ケイ素イオンおよびポリマーを含む水性混合物)のゲル化は、固体無機成分が加えられる前に生じてもよいし、その成分が加えられた後に生じてもよい。ゲル化は、ある特定の条件下だけで生じるので、ゲル化の時点を制御することにより、このバリエーションが可能になり得る。
 
【0086】
  いくつかの実施形態において、工程(a)において使用されるケイ素イオン源は、ケイ素含有骨移植片材料である。
 
【0087】
  好ましくは、そのケイ素イオン源は、>2ppm、好ましくは、>3ppm、より好ましくは、≧5ppmのケイ素イオンをインビトロで放出できる。最終的なポリマーにおけるケイ素イオンのレベルは、>2ppm、好ましくは、>3ppm、より好ましくは、≧5ppmであるべきである。
 
【0088】
  ヒドロゲルと混合される固体無機成分は、最初の水溶液に浸漬されるケイ素イオン源と同じかもしくは類似であり得るか、または異なる固体無機成分であり得る。幅広い固体無機成分/ヒドロゲルの組み合わせがこの方法において使用され得ると想定される。
 
【0089】
  いくつかの実施形態において、ケイ素イオン源は、ケイ酸ナトリウムである。好適なケイ素イオン源は、上で詳細に論じられている。いくつかの実施形態において、ケイ素イオン源は、Na
2SiO
3である。
 
【0090】
  好ましい実施形態において、ケイ素イオン源は、2.05〜2.55の範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有するケイ素含有ヒドロキシアパタイトである。このタイプの材料は、国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されている。
 
【0091】
  そのようなケイ素含有ヒドロキシアパタイトを細胞培養液に浸漬すること(0.5g/50ml)によって、浸漬の1時間後に17ppmのケイ素イオンが放出されると示された。適切な時間にわたって適切な量のそのような材料を水に浸漬することにより、その材料からの放出に起因して、所望の濃度のケイ素イオンを含む溶液がもたらされ得る。次いで、このケイ素イオン含有水は、所望のポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)を加えることによって、ゲル溶液を形成するために使用され得る。次いで、例えば顆粒または粉末の形態の、固体無機成分(合成骨移植片材料)が、ゲル溶液(ゲル化の前に加えられる場合)または得られたゲル(ゲル化の後に加えられる場合)と混合され得る。
 
【0092】
  本発明のいくつかの実施形態において、ケイ素イオン源は、Na
2SiO
3、ならびに国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているタイプの2.05〜2.55の範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有するシリケート置換リン酸カルシウムヒドロキシアパタイトから選択される。固体無機成分は、独立して、ヒドロキシアパタイト、ならびに国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているタイプの2.05〜2.55の範囲内のCa/P比および1.66未満のCa/(P+Si)モル比を有するシリケート置換リン酸カルシウムヒドロキシアパタイトから選択され得る。
 
【0093】
  (プレパック)
  本発明の別の態様は、(i)骨移植片材料である固体無機成分;(ii)脱水されたヒドロゲル;および(iii)>2ppmのケイ素イオンを含む水溶液を含むプレパック骨移植片を提供する。
 
【0094】
  その固体無機成分(例えば、合成骨移植片)、脱水されたヒドロゲル(例えば、凍結乾燥/フリーズドライされたカルボキシメチルセルロース含有ヒドロゲル)および水溶液を混合することにより、固体無機成分および所望のレベルのケイ素イオンを含むヒドロゲルを含む骨移植片送達系が形成される。次いで、それらのイオンは、上に記載されたように、インビボでヒドロゲルの分解中に放出される。
 
【0095】
  この方法では、凍結乾燥/フリーズドライは、ケイ素イオンを含まないヒドロゲルに対して行われる。そのようなヒドロゲルは、固体無機成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。そして、乾燥された成分は、固体無機成分およびヒドロゲルのポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)を含む(ヒドロゲル中に固体無機成分が存在する場合、そのポリマーは、その固体無機成分の粒子(例えば、顆粒)に接着される)。このフリーズドライされた成分は、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。次いで、それは、適切な体積の水溶液(例えば、ケイ素イオンを含む、滅菌水、滅菌食塩水溶液または骨髄穿刺液、例えば、実施例7に記載されるような100ppmのケイ素イオン含有溶液)を用いて再水和され得る。
 
【0096】
  あるいは、凍結乾燥/フリーズドライは、上に記載されたようなケイ素含有骨移植片系に対して行われることにより、固体無機成分の粒子(例えば、顆粒)に接着された、ヒドロゲルのポリマー成分(例えば、カルボキシメチルセルロース)およびケイ素イオンがもたらされる。すなわち、乾燥された成分は、固体無機成分、ヒドロゲルのポリマー、およびヒドロゲルのケイ素イオンを含む。このフリーズドライされた成分は、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。次いで、それは、適切な体積の水溶液(例えば、滅菌水、滅菌食塩水溶液または骨髄穿刺液)を用いて再水和され得る。
 
【0097】
  したがって、ゆえに、本発明のさらなる態様は、(i)骨移植片材料である固体無機成分;(ii)ある量のケイ素イオンを含む脱水されたヒドロゲル;および(iii)水溶液を含むプレパック骨移植片を提供し;ここで、その脱水されたヒドロゲル中のケイ素イオンの量は、その水溶液と混合されたときに、そのヒドロゲルの水性成分の100万重量部あたりのSiの重量部として算出される>2ppmのケイ素イオンを含むヒドロゲルが形成されるような量である。
 
【0098】
  そのようなプレパックは、これらの成分を混合することによって、ユーザーにとって都合のよい時間および場所で所望の骨移植片系を調製することを可能にする。
 
【0099】
  上に記載された本発明の骨移植片系の随意かつ好ましい特徴を含むすべての特徴が、本発明のプレパック骨移植片において適切であるとき、適用可能である。
 
【0100】
  ゆえに、本発明のさらなる態様は、成分(i)、(ii)および(iii)を混合する工程を含む、上に記載されたようなプレパック骨移植片から骨移植片系を作製する方法を提供する。
 
【0101】
  上に記載された各方法において、ケイ素イオンの組み込みだけが、明示的に論じられた。しかしながら、本明細書中に記載されるように、ヒドロゲルは、他の成分、例えば、カルシウムイオンまたはリン酸イオンを含み得る。これらは、カルシウムを放出する成分を水溶液に浸漬することなどの上に記載された方法と類似の方法を用いて、または混合することによって、骨移植片系に組み込まれ得る。
 
【実施例】
【0102】
  (本発明の実施形態および実験データ)
  ここで、以下の非限定的な例および添付の図面を参照して本発明が例証される。
【0103】
  (実施例1)
  (ケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−カルボキシメチルセルロースゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。得られた溶液に、2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)顆粒(1〜2mmの直径)と混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0104】
  (実施例2)
  (ケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−コラーゲンゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を25mlの脱イオン水に溶解した(2000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。25mlの0.5M酢酸に、酸溶解性のウシ1型コラーゲン(1g,4wt%)を加え、溶解した。この溶液を上記25mlのケイ素イオン溶液と混合することにより、1000ppmのケイ素イオンを含む2wt%のコラーゲン溶液を得た。その混合物のpHを、1M  NaOHを用いておよそ7.4というpHに調整した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)顆粒(1〜2mmの直径)と混合することにより、ヒドロキシアパタイト顆粒およびコラーゲンヒドロゲル溶液からなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成され、これを、ゲル化が生じるまで37℃で一晩熟成させた。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−コラーゲンゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0105】
  (実施例3)
  (ケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−Pluronic(登録商標)ゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液を4℃に冷却し、Pluronic(登録商標)F−127(10g,20wt%)を加えた。その溶液を4℃で一晩撹拌することにより、Pluronic(登録商標)ポリマーを溶解した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)顆粒(1〜2mmの直径)と混合することにより、ヒドロキシアパタイト顆粒およびPluronic(登録商標)ヒドロゲル溶液からなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成され、この混合物を37℃に一晩温めることにより、ゲル化を生じさせた。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−Pluronic(登録商標)ゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0106】
  (実施例4)
  (ケイ素イオンを含む二相性リン酸カルシウム−カルボキシメチルセルロースゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。得られた溶液に、2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)二相性リン酸カルシウム(50%ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2);50%β−リン酸三カルシウム(Ca
3(PO
4)
2))顆粒(1〜2mmの直径)と混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、二相性リン酸カルシウム顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含む二相性リン酸カルシウム−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0107】
  (実施例5)
  (ケイ素イオンを含む二相性リン酸カルシウム−コラーゲンゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を25mlの脱イオン水に溶解した(2000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。25mlの0.5M酢酸に、酸溶解性のウシ1型コラーゲン(1g,4wt%)を加え、溶解した。この溶液を上記25mlのケイ素イオン溶液と混合することにより、1000ppmのケイ素イオンを含む2wt%のコラーゲン溶液を得た。その混合物のpHを、1M  NaOHを用いておよそ7.4というpHに調整した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)二相性リン酸カルシウム(50%ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2);50%β−リン酸三カルシウム(Ca
3(PO
4)
2))顆粒(1〜2mmの直径)と混合することにより、二相性リン酸カルシウム顆粒およびコラーゲンヒドロゲル溶液からなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成され、これを、ゲル化が生じるまで37℃で一晩熟成させた。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含む二相性リン酸カルシウム−コラーゲンゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0108】
  (実施例6)
  (ケイ素イオンを含む二相性リン酸カルシウム−Pluronic(登録商標)ゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液を4℃に冷却し、Pluronic(登録商標)F−127(10g,20wt%)を加えた。その溶液を4℃で一晩撹拌することにより、Pluronic(登録商標)ポリマーを溶解した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)二相性リン酸カルシウム(50%ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2);50%β−リン酸三カルシウム(Ca
3(PO
4)
2))顆粒(1〜2mmの直径)と混合することにより、二相性リン酸カルシウム顆粒およびPluronic(登録商標)ヒドロゲル溶液からなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成され、この混合物を37℃に一晩温めることにより、ゲル化を生じさせた。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含む二相性リン酸カルシウム−Pluronic(登録商標)ゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0109】
  (実施例7)
  (ケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiC
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液に、2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0110】
  (実施例8)
  (ケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−コラーゲンゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を25mlの脱イオン水に溶解した(2000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。25mlの0.5M酢酸に、酸溶解性のウシ1型コラーゲン(1g,4wt%)を加え、溶解した。この溶液を上記25mlのケイ素イオン溶液と混合することにより、1000ppmのケイ素イオンを含む2wt%のコラーゲン溶液を得た。その混合物のpHを、1M  NaOHを用いておよそ7.4というpHに調整した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と混合することにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびコラーゲンヒドロゲル溶液からなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成され、これを、ゲル化が生じるまで37℃で一晩熟成させた。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−コラーゲンゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0111】
  (実施例9)
  (ケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−Pluronic(登録商標)ゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液を4℃に冷却し、Pluronic(登録商標)F−127(10g、20wt%)を加えた。その溶液を4℃で一晩撹拌することにより、Pluronic(登録商標)ポリマーを溶解した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と混合することにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびPluronic(登録商標)ヒドロゲル溶液からなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成され、この混合物を37℃に一晩温めることにより、ゲル化を生じさせた。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−Pluronic(登録商標)ゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0112】
  (実施例10)
  (ケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMC−グリセロールゲル)
  結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末(0.05gのケイ素に相当する、0.218g)を50mlの脱イオン水に溶解した(1000ppmのケイ素イオンを含む溶液が得られた)。pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液に、2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)および5gのグリセロールを加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMC−グリセロールヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMC−グリセロールゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0113】
  (実施例11)
  (様々なケイ素イオン濃度を含む骨移植片ゲル)
  さらなる実施例によって、実施例1〜10のいずれかに記載されたようなゲル溶液を作製するために、一連のケイ素含有溶液を調製した。表1に記載される結晶性ケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)粉末の量を用いて、一連の濃度のケイ素含有溶液を作製した。表1中の各量を50mlの脱イオン水に加えることにより、5、10、50、100、250、500、1000および2000ppmのケイ素イオンという最終濃度を有する溶液を得た。各溶液に対して、pHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。次いで、これらの溶液を用いて、実施例1〜9に記載されたような合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系を作製した。
【0114】
【表1】
【0115】
  表1は、5、10、50、100、250、500、1000および2000ppmというケイ素イオン濃度を有するケイ素イオン含有溶液を作製するために50mlの脱イオン水に加えられたNa
2SiO
3粉末の量(g)を示している。
【0116】
  (実施例12)
  (ケイ素含有ヒドロキシアパタイト由来のケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−CMCゲル)
  粉末(75〜212μmの粒径)の形態の、国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているようなケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)を1時間にわたって脱イオン水に浸漬したところ(0.5g/50ml)、およそ20ppmのケイ素イオンがその水に放出された。その溶液のpHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液に、2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)顆粒(1〜2mmの直径)と混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。この方法はまた、実施例2、3、5、6、8および9に記載されたような、コラーゲンおよびPluronics(登録商標)を含む骨移植片系を作製するためにも使用され得る。
【0117】
  (実施例13)
  (ケイ素含有ヒドロキシアパタイト由来のケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲル)
  粉末(75〜212μmの粒径)の形態の、国際出願PCT/GB2009/002954号明細書に記載されているようなケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)を1時間にわたって脱イオン水に浸漬したところ(0.5g/50ml)、およそ20ppmのケイ素イオンがその水に放出された。その溶液のpHを測定し、必要に応じ、1M  HCl溶液を加えることによって7〜7.8に調整した。この溶液に、2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素イオンを含むケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。この方法はまた、実施例2、3、5、6、8および9に記載されたような、コラーゲンおよびPluronics(登録商標)を含む骨移植片系を作製するためにも使用され得る。
【0118】
  (実施例14)
  (ケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲル)
  2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を50mlの脱イオン水に加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのヒドロゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と15分間混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。ケイ素イオンが、それらの顆粒からヒドロゲルに放出された。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0119】
  (実施例15)
  (ケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲル)
  2.5g(5wt%)のカルボキシメチルセルロース(CMC,ナトリウム塩,高粘度)を50mlの脱イオン水に加え、CMCが溶解するまで50℃でその混合物を撹拌および加熱した。次いで、5mlのこのゲル溶液を15mlの多孔性(75%という総多孔度の)ケイ素含有ヒドロキシアパタイト(Ca
9.85(PO
4)
4(SiO
4)
2(OH)
y)顆粒(1〜2mmの直径,およそ5.2wt%のケイ素イオンを含む)と12時間混合し、次いで、室温に冷却してゲル化を起こすことにより、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系が形成された。ケイ素イオンがそれらの顆粒からヒドロゲルに放出され、12時間という延長された混合時間によって、実施例14と比べて、顆粒からヒドロゲルに放出されたケイ素イオンの量が増加した。この骨移植片系を、さらに使用するまで、密閉された容器内に保管した。このケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。
【0120】
  (実施例16)
  (凍結乾燥/フリーズドライされたケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲル)
  実施例7、実施例10、または実施例13〜15のいずれか1つに記載されたような、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系を、凍結乾燥/フリーズドライすることにより、ヒドロゲルから水を除去し、それにより、CMCおよびケイ素イオンがその顆粒に接着することができる。この凍結乾燥/フリーズドライされたケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。次いで、これは、適切な体積の水溶液(例えば、滅菌水、滅菌食塩水溶液または骨髄穿刺液)を用いて再水和され得る。
【0121】
  (実施例17)
  (ケイ素イオン含有溶液を用いて再水和される、凍結乾燥/フリーズドライされた合成骨移植片−CMCゲル)
  実施例1、4、7、10または12〜15のいずれか1つに記載されたような、合成骨移植片顆粒およびCMCヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系を、凍結乾燥/フリーズドライすることにより、ヒドロゲルから水を除去し、それにより、CMCがその顆粒に接着され得る。この凍結乾燥/フリーズドライされたケイ素含有ヒドロキシアパタイト−CMCゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。次いで、これは、ケイ素イオンを含む適切な体積の水溶液(例えば、滅菌水、滅菌食塩水溶液または骨髄穿刺液)(例えば、実施例11に記載されたような200ppmのケイ素イオン含有溶液)を用いて再水和され得る。
【0122】
  (実施例18)
  (凍結乾燥/フリーズドライされたケイ素含有ヒドロキシアパタイト−コラーゲンゲル)
  実施例8に記載されたような、あるいは、実施例13〜15においてCMCヒドロゲルに対して記載された方法を用いて得られる、ケイ素含有ヒドロキシアパタイト顆粒およびコラーゲンヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系を、凍結乾燥/フリーズドライすることにより、ヒドロゲルから水を除去し、それにより、コラーゲンおよびケイ素イオンが顆粒に接着し得る。この凍結乾燥/フリーズドライされたケイ素含有ヒドロキシアパタイト−コラーゲンゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。次いで、これは、適切な体積の水溶液(例えば、滅菌水、滅菌食塩水溶液または骨髄穿刺液)を用いて再水和され得る。
【0123】
  (実施例19)
  (ケイ素イオン含有溶液を用いて再水和される、凍結乾燥/フリーズドライされた合成骨移植片−コラーゲンゲル)
  実施例2、5または8のいずれか1つに記載されたような、あるいは、実施例12〜15においてCMCヒドロゲルに対して記載された方法を用いて得られる、合成骨移植片顆粒およびコラーゲンヒドロゲルからなる合成骨移植片代用物−有機ポリマー担体系を、凍結乾燥/フリーズドライすることにより、ゲルから水を除去し、それにより、コラーゲンが顆粒に接着し得る。この凍結乾燥/フリーズドライされた合成骨移植片−コラーゲンゲルは、ガンマ線照射などの標準的な産業的方法を用いて滅菌され得る。次いで、これは、ケイ素イオンを含む適切な体積の水溶液(例えば、滅菌水、滅菌食塩水溶液または骨髄穿刺液)(例えば、実施例11に記載されたような200ppmのケイ素イオン含有溶液)を用いて再水和され得る。