(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態によれば、第1のバインダ樹脂を含む樹脂微粒子、ロイコ染料及び顕色剤を含有する顕色剤・呈色剤含有微粒子、前記第1のバインダ樹脂の軟化点温度よりも高い軟化点温度をもつ第2のバインダ樹
脂と消色剤とを含有する消色剤含有微粒子、及び、媒体を含む分散液を調製
する工程と、前記媒体中で前記樹脂微粒子、前記顕色剤・呈色剤含有微粒子及び前記消色剤含有微粒子を凝集させ
て凝集体を得る工程と、
前記凝集体を前記ロイコ染料の消色温度以下で加熱して前記凝集体の融着及び粒子化を生じさせることによ
り消色可能な現像剤
を得る工程とを含む現像剤の製造方法が提供される。
【0012】
実施形態においては、微粒子分散体に、金属塩等の凝集剤を添加し、水等の媒体中で、各微粒子の分散状態を意図的に崩すことにより凝集させ、凝集粒子を得た後、その凝集粒子を加熱処理し凝集粒子を融着させることによりトナー粒子を得ることができる。
【0013】
融着は凝集と同時に行なうこともできる。
【0014】
実施形態にかかる方法を用いると、ナノオーダーの粒子を凝集させて作成するため小粒径化が可能であり、融着させる加熱処理の条件を変更することにより、形状を変えることができる。また、この方法を用いると、ロイコ染料等所望の組成を有する消色素材微粒子を、機械的せん断力等で破壊することなくバインダー樹脂等と混合粒子化することが可能である。
【0015】
また、バインダー樹脂のTgを超える温度であれば、たとえば80℃未満の比較的低い温度でも、凝集体の融着、粒子化が可能であることから、ロイコ染料等の消色温度以下でのトナー粒子製造が可能である。
【0016】
さらに、消色剤を含有する粒子の融点を調整することにより、製造工程における消色を回避し、冷却工程を無くすことで、安価な製品を提供できる。さらにまた、画像形成時の定着工程での消去を回避することが可能である。
【0017】
微粒子中の消色剤は、微粒子から溶出し、呈色剤と反応し得るため、消色剤含有微粒子は、消色温度到達時に溶融軟化し得る。
【0018】
消色剤を含有する微粒子は、バインダーを含み得る。
【0019】
消色剤を含有する微粒子の溶融温度を、例えば下記式(1)を満足するように、画像定着時到達温度よりも高くなるようバインダー材料を選択することにより、画像定着時の消色を防止することが可能である。
【0020】
T2−T1≧10℃…(1)
なお、式中、T1はトナーバインダ樹脂軟化点、T2は消色剤含有微粒子溶融温度を各々示す。
【0021】
T2−T1は10ないし50℃にすることができる。
【0022】
10℃未満であると、定着時に消色剤含有微粒子がわずかに溶融し消色が開始する傾向があり、50℃を超えると、消色時にトナーバインダーの溶融による軟化がすすみすぎるため、消色装置等に不具合を生じる可能性がある傾向がある。
【0023】
例えば、消色剤と組み合わせて用いるバインダーとして、トナーバインダー樹脂の軟化点よりも溶融温度が高いバインダーを選択することができる。
【0024】
また、消色剤含有微粒子は、消色温度到達時に、瞬時に溶融することが望ましい。よって、バインダーとして、金属石鹸、PPワックス、PEワックス等の、溶融温度が比較的高く、かつ、シャープメルトな材料が使用できる。
【0025】
トナーバインダー樹脂として、例えばポリエステル、スチレンアクリル、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、等を使用することが出来る。
【0026】
ロイコ染料及び顕色剤を含有する微粒子は、定着時に溶融し得るものを用いることが出来る。
【0027】
ロイコ染料とは、顕色剤により発色することが可能な電子供与性の化合物である。例えば、ジフェ二ルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
【0028】
具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等である。さらに、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。これらは、2種以上混合して使用しても良い。
【0029】
顕色剤は、例えばロイコ染料にプロトンを与える電子受容性化合物である。顕色剤として、例えば、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、モノフェノール類、ポリフェノール類、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体等があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等、さらにそれらの金属塩が挙げられる。これらは、2種以上混合して使用しても良い。
【0030】
具体的には、フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシ安息香酸またはそのエステル、たとえば2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、レゾルシン、没食子酸、没食子酸ドデシル、没食子酸エチル、没食子酸ブチル、没食子酸プロピル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4’,4’’−エチリデントリスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレントリス−p−クレゾール等を用いることが出来る。
【0031】
消色剤として、脂肪族高級アルコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ヒンダードアミン誘導体等が挙げられる。
【0032】
ヒンダードアミン誘導体としては、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β,β-テトラメチル-3,9-(2,4,6,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバゲート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート等がある。また、ヒンダードアミン誘導体の商品名としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製として、CHIMASSORB 2020 FDL、CHIMASSORB 944 FDL、TINUVIN 622 LD、TINUVIN 144、TINUVIN 765、TINUVIN 770 DF、TINUVIN 111 FDL、TINUVIN 783 FDL、TINUVIN 783 FDL、TINUVIN 791 FB、旭電化工業製として、アデカスタブLA52、アデカスタブLA57、アデカスタブLA63P、アデカスタブLA77Y、アデカスタブLA68LD、アデカスタブLA77G、アデカスタブLA402XP、アデカスタブLA502XP、アデカアークルズDN-44M等を使用することが出来る。
【0033】
顕色剤及びロイコ染料等の呈色剤を含有する微粒子を製造する際は、消色剤と反応する恐れがないため、幅広い製造条件での、微粒子の調製が可能である。顕色剤及び呈色剤を含有する微粒子は、その他のトナー組成物とは粒子間界面のみで接するため、ロイコ染料はトナー組成物からの化学的影響を受けにくく、発色特性を阻害されにくい。よって、トナー特性上好ましい任意のトナー組成物(例えばポリエステル樹脂等)を選択することが可能である。
【0034】
顕色剤と消色剤を、個別の粒子で調製することにより、比較的容易にカプセル粒子が調製可能となる。また、消色温度の調整が、比較的容易となる。
【0035】
また、消色剤を用いているため、復色しない、所謂不可逆な、消色トナーを提供できる。顕色剤も、温度ヒステリシスが小さい材料が使用できるため、材料選択の自由度が高くなる。
【0036】
実施形態にかかる消色可能な現像剤は、その非オフセット領域が120ないし200℃であり、この現像剤を用いた画像形成時の定着温度を120ないし170℃及び消色温度を180ないし200℃とすることができる。
【0037】
図1に実施形態にかかる消色可能な現像剤の製造方法の一例を表すフローを示す。
【0038】
少なくとも顕色剤・呈色剤を含有する微粒子分散体と、少なくとも消色剤を含有する微粒子分散体を個別に調製し、少なくともトナーバインダー樹脂を含有する微粒子分散体とともに、水等分散媒中に分散させる。続いて、分散された微粒子を凝集させることにより略トナー粒子径を有する粒子を得る(Act 1)。得られた凝集粒子を加熱融着する(Act 2)。その後、洗浄(Act 3)、及び乾燥(Act 4)することにより、トナー粒子を得ることが出来る。また、得られたトナー粒子に、任意に、外添等による表面処理を行うことにより、消色可能なトナーを得ることができる。
【0039】
実施形態にかかる現像剤の製造工程における最高温度は、融着工程となる。
【0040】
また、顕色剤・呈色剤を含有する微粒子分散体の微粒子、および、消色剤を含有する微粒子は、カプセル化された微粒子を用いることができる。カプセル化の方法は、界面重合法、コアセルベーション法、in situ重合法、液中乾燥法、液中硬化被膜法、等により、樹脂やゼラチン等の被膜中に、ロイコ染料、顕色剤、消色剤をマトリックスとともに含有するものである。ただし、消色温度到達時に、カプセル膜が破壊するか、消色剤がカプセル膜を浸透する必要があるため、カプセル膜の材料選択、厚さ調整は適宜行われる必要がある。
【0041】
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
【0042】
顕色剤・呈色剤含有微粒子分散液の調製
まず、ロイコ染料と顕色剤を溶融混合する。
ロイコ染料:CVL(山本化成株式会社 製)…50g
顕色剤:ビスフェノールA…100g
得られた溶融混合物150g、1%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液1500gを混合し、60℃まで加熱し、ホモジナイザーであるT25(IKA製)を用い分散した。
【0043】
得られた粒子は、体積平均径が12μmであった。
【0044】
続いて、原料投入部としてホッパー、加熱部としてオイルバス中に浸された12mの熱交換用高圧配管、加圧部として0.13μmと0.28μmを連装したノズルを含む高圧配管、減圧部として0.4、1.0、0.75、1.5、1.0μmの孔径を有するセルを連装した中圧配管、冷却部として水道水にて冷却可能な12mの熱交換配管が設置されたNANO3000(美粒製)の高圧式微粒機にて、150MPa、80℃にて機械的せん断に供し、微粒子化を行った。得られた微粒子は体積平均径が0.2μmであった。この分散液を冷凍庫にて冷却した後、常温で放置し、青色に発色した微粒子分散液を得た。
【0045】
消色剤含有微粒子分散液の調製
消色剤とバインダー樹脂Aを溶融混合する。
【0046】
消色剤:コール酸…50g
バインダー樹脂A:ポリエステル樹脂(Tm=135℃)…100g
得られた溶融混合物150g、及び1%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液1500gを混合し、60℃まで加熱し、ホモジナイザーであるT25(IKA製)を用い分散した。
【0047】
得られた粒子は、体積平均径が12μmであった。
【0048】
続いて、原料投入部としてホッパー、加熱部としてオイルバス中に浸された12mの熱交換用高圧配管、加圧部として0.13μmと0.28μmを連装したノズルを含む高圧配管、減圧部として0.4、1.0、0.75、1.5、1.0μmの孔径を有するセルを連装した中圧配管、冷却部として水道水にて冷却可能な12mの熱交換配管が設置されたNANO3000(美粒製)の高圧式微粒機にて、150MPa、80℃にて機械的せん断に供し、微粒子化を行った。得られた微粒子は体積平均径が0.2μmであった。
【0049】
トナーバインダー樹脂を含むトナー組成物微粒子の調製
トナーバインダーB(Tm=110℃)を含むトナーバインダー組成物微粒子分散液を、下記のようにして調製した。
【0050】
トナーバインダー組成物(トナーバインダー用ポリエステル樹脂94 wt%、ライスワックスLAX−N−300A 5 wt%、保土谷化学工業製TN−105 1wt%)を、乾式ミキサーで均一化混合の後、2軸混練機(池貝鉄工所、PCM−45)にて溶融混練する。
【0051】
得られたトナー組成物を、ピンミルにて2mmメッシュパスに粉砕する。
【0052】
トナー組成物粉砕物(30重量%)を、界面活性剤花王製PELEX−SSL(0.9重量%)、中和剤ジメチルアミノエタノール(0.45重量%)とともに、純水中(68.65 %)に分散させる。
【0053】
分散液を高圧ホモジナイザー(美粒社製、nano3000)に通すことより、約200nmの微粒子分散体を得る。
【0054】
トナーバインダーを含むトナー組成物微粒子は、スチレンアクリル樹脂の機械乳化、乳化重合微粒子、及び転相乳化法等により有機溶剤に溶解させた樹脂を析出させて得られた粒子も使用可能である。
【0055】
凝集、融着
ロイコ染料含有微粒子分散液、消色剤含有微粒子分散液、トナー組成物微粒子分散液を、10:10:80で混合し、40℃にて攪拌しながら硫酸アルミニウムを添加する。
【0056】
攪拌しながら、徐々に温度を上げ、80℃にて保持し、粒径10μmの融着粒子を得る。
【0057】
凝集は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等、1価または多価の金属塩による凝集、塩酸等によるpH調整による凝集、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー等の有機凝結剤等が使用可能である。
【0058】
また、トナー粒子の高機能化等の目的により、実施形態を逸脱しない範囲で、任意の材料を凝集融着工程の任意の段階で、添加することができる。
【0059】
洗浄、乾燥、外添処理
ろ紙、及びフィルタープレス等の任意の方法により、洗浄ろ過を繰り返し、含水ケーキを得る。含水ケーキは、気流乾燥機、振動乾燥機、及びオーブン等の任意の乾燥装置を用いて、水分量1wt%程度まで乾燥する。乾燥体は、任意の方法例えばヘンシェルミキサーを用いて解砕する。得られる乾燥粒子を、体積平均粒径10μmであった。シリカ、酸化チタン等により外添処理を行い、消色可能なトナーを得る。
【0060】
画像形成
得られた消色可能なトナーを、シリコーン樹脂で被覆したフェライトキャリアと混合し、東芝テック製MFP(e−studio 4520c)の改造機にて画像出力をおこなった。定着器温度を120−160℃に設定し、紙送り速度を100mm/secに調整し、画像濃度1.0 の画像を得た。
【0061】
画像消色確認
得られた画像を、定着器温度を180−190℃に設定し、紙送り速度100mm/secで搬送することにより、画像が透明になることが確認された。また、消色時に定着器に画像オフセットは生じなかった。
【0062】
画像復色確認
消色画像を−30℃の冷凍庫に保管したが、復色しないことを確認した。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
ロイコ染料及び顕色剤を含有する微粒子、消色剤を含有する微粒子、及びトナーバインダー樹脂を含有するトナー粒子を含み、消色剤含有微粒子溶融温度は、トナーバインダー樹脂軟化点よりも10℃以上高いトナー。
[2]
消色剤含有微粒子溶融温度は、トナーバインダー樹脂軟化点よりも10ないし50℃高いことを特徴とする[1]記載のトナー。
[3]
ワックスをさらに含有することを特徴とする[1]記載のトナー。
[4]
前記バインダー樹脂はポリエステル樹脂であることを特徴とする[1]記載のトナー。