特許第5883130号(P5883130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883130有益な前側腰部領域及びランディング区域構成を有する、2部分からなる吸収性物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883130
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】有益な前側腰部領域及びランディング区域構成を有する、2部分からなる吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/66 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   A41B13/08 E
【請求項の数】12
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2014-517262(P2014-517262)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2014-519961(P2014-519961A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012044821
(87)【国際公開番号】WO2013003677
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】61/503,215
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/503,189
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/275,365
(32)【優先日】2011年10月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】オスカー、アントニオ、ルイス
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/083287(WO,A1)
【文献】 特表2009−518160(JP,A)
【文献】 特表2010−515519(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/083260(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/083293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側カバー及び交換可能な吸収性インサートを含む、着用可能な2部分からなる吸収性物品であって、前記外側カバーは、内表面及び外表面を含み、並びに、
前側腰部領域、前記前側腰部領域と長手方向に反対側の後側腰部領域、及び前記前側腰部領域と前記後側腰部領域を接続する股領域を含み、
前記物品は、
前記前側腰部領域の実質的に全てにわたって延びるランディング区域であって、ループ材料を含み、かつ外周を有する、ランディング区域と、
前記前側腰部領域において前記内表面上に配置されたインサートファスナー構成要素であって、前記ループ材料に直接固定された、インサートファスナー構成要素と、を更に備え
前記ランディング区域の少なくとも一部分の下の補強部材を更に備え、前記補強部材は、前記前側腰部領域の実質的に全てにわたって延び、
前記ランディング区域が、100〜300N/mの曲げ剛性を有することを特徴とする、物品。
【請求項2】
前記前側腰部領域の長手方向に外側寄りの縁部に沿って、補強されていないウエストバンドを更に備える、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記補強部材が、フォーム層を含む、請求項に記載の物品。
【請求項4】
記後側腰部領域の着用者に面する表面上に配置された2つのファスナー構成要素を備え、前記ランディング区域は、前記前側腰部領域の衣類に面する表面上に配置され、前記前側腰部領域の実質的に全てにわたって横方向に延びる、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記補強部材が、前記前側腰部領域の実質的に全てにわたって横方向に延びる、請求項に記載の物品。
【請求項6】
前記外側カバーが、内層及び外層を含む、請求項のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記補強部材が、内層と外層との間に配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記補強部材が、前記ランディング区域の前記外周に沿って前記内層及び前記外層に結合される、請求項に記載の物品。
【請求項9】
前記補強部材が、前記物品の横方向軸及び長手方向軸の両方に垂直な方向において、2.76kPa(0.4psi)下で、垂直圧の20〜50%圧縮可能である、請求項3に記載の物品。
【請求項10】
前記ランディング区域は、山型の形状又はブーメランの形状である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記ランディング区域は、本明細書のランディング区域の曲げ剛性試験に基づいて、3箇所全てで100〜300N/mの曲げ剛性を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記前側腰部領域の前記ランディング区域部分は、本明細書のランディング区域の横ひずみ試験に基づいて、横方向の力下で20%〜60%の横ひずみを呈する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、排泄物の閉じ込め及び吸収のための機能を有するおむつ及びその他の着用可能吸収性物品の分野に関し、より詳細には、使い捨て吸収性インサート及び再利用可能な外側カバーを有するこのような物品に関する。
【背景技術】
【0002】
布の発明以来、布で作製された再利用可能なおむつが使用されてきたと思われる。しかしながら、再利用可能な布おむつは、衛生に関するニーズに関連した困難さ、並びに再使用のために汚れたおむつを取り扱う、洗濯する、及び効果的に衛生的にする上での困難さを引き起こす。再利用可能な布おむつはまた、排泄物を収容することに関して比較的信頼性がない(すなわち、再利用可能な布おむつは漏れる傾向があり得る)。濡れた布おむつが皮膚と直接接触するので、濡れていることを迅速に感知して濡れたおむつを除去しなければ、着用者の皮膚の水分過剰を促進して、皮膚がおむつかぶれになりやすくなる可能性がある。
【0003】
比較的最近になって使い捨ておむつが導入されたことで、多くの人にとってのこれら不利点が緩和された。一般に、着用者から取り除く際に、汚れた使い捨ておむつを有意な規模で空にする、洗濯する、又は処理する必要はなく、むしろそのままで廃棄することができる。次に、着用者の身体の任意の汚れた領域を清潔にすることができ、必要に応じて清潔な新しい使い捨ておむつを着用者に着けさせることができる。多くの現用の使い捨ておむつは、排出物を収容するという点でこの使い捨ておむつを従来の布おむつよりも比較的効果的にする構造を有している。多くの現用の使い捨ておむつは、液体排出物を着用者の皮膚から離して運びかつ貯蔵するという点で、使い捨ておむつを比較的より効果的にする構造及び材料を有している。一部の使い捨ておむつは、それらが「空気を容易に通す」ことができるようにして、おむつの内側の湿度を低減する機能を有し、一部の使い捨ておむつは、おむつが着用されたときに皮膚に移動するスキンケア組成物を更に有する。そのような機能は、皮膚の水分過剰の可能性及び/又は程度を低減することができ、さもなければ皮膚の健康を促進する又はこれを維持するのを助けることができる。
【0004】
経済的理由で、現在のところ、ほとんどの使い捨ておむつは、かなり大きな割合でポリプロピレン及び/又はポリエチレンなどの石油由来の材料で製造されている。これらの材料は、布様不織布ウェブ材料を形成する紡糸繊維、あるいは又はこれに加えて、フィルムの形態で見られることが多い。
【0005】
最近では、あらゆる種類の人間活動の「環境フットプリント」についての懸念が生じている。おむつの製造及び使用は、特に人口増加、すなわち、乳児の数の増加を考えると、決して例外ではない。1つの見方は、通常使い捨ておむつを製造する材料は再生不可能な資源由来であり得、それらを製造するのに相当量のエネルギーを必要とするので、使い捨ておむつの使用は環境にとって有害になるというものであるように思われる。更に、使い捨ておむつは、典型的には再使用又は再利用されないので、一部の人は、それらの使用が埋立地などのごみ処分施設に不満足な方法で重い負担をかけると考える場合がある。しかしながら、代替物が再利用可能な布おむつである場合、別の見方は、それらおむつが通常使用される割合で汚れたおむつを洗濯するのに必要な(例えば、機器を運転する、洗濯用の水を加熱する、及び廃水を処理するための)エネルギー、及び薬品(例えば、洗剤及び水処理剤)の使用の増加、及び付随する廃水の処理は、それ自体が環境への一連のストレスを引き起こすことになるというものであるように思われる。理解されるように、どの代替物がより「環境に優しい」のかに関する分析は複雑であり、どちらにしても、誰もが認める結論はまだ存在しないように思われる。
【0006】
しかしながら、どの代替物がより環境に優しいと考えることができるかにかかわらず、先進国では、現在の使い捨ておむつは一般に、乳児及び幼児の世話人の間では再利用可能な布おむつよりも好ましいように思われる。これは恐らく、不快感、衛生面に関する懸念、並びに汚れた再利用可能な布おむつの取り扱い及び洗濯に関連する手間及び/又は出費の低減若しくは排除、排出物のより良好な閉じ込め、並びに皮膚の健康の促進及び/又は維持の援助の有効性といった利点に起因する。
【0007】
完全に使い捨てであるおむつの製造は、一般に、資本集約的ビジネスであると考えられる。これは、多くの場合、経済的に実現可能な生産率で入ってくる材料の流れから製品を製造するのに必要な、複雑な機械装置によってもたらされ、この生産率は多くの場合、製品製造ラインあたり1分間に物品450個以上を超える。必要なプロセス若しくは設備の簡略化、又は材料費の低減につながる可能性を有するあらゆる技術革新は、製造業者及び消費者にとっては、物品あたりの費用の低減につながる潜在性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
再利用可能な布の外側カバーと、再利用可能又は使い捨て吸収性インサートとを有するいくつかのおむつデザインは、製造かつ市販されている。しかしながら、ユーザーにとっては、これらのデザインは依然として、従来の布おむつの不利点の少なくともいくつかを引き起こしており、一方で現行の使い捨ておむつのデザインから得られる利点のいくつかを提供しない。
【0009】
上述の懸念を考慮し、使い捨て及び再利用可能なおむつの代替物のそれぞれの不利点を低減しながら、使い捨て及び再利用可能なおむつの両方からもたらされる利点を提供する着用可能な吸収性物品が得られれば有利であろう。製造プロセスを簡略化し及び/又は経費を削減することが可能な構成体が提供されれば、更に有利であろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】着用者により下部胴体の周りに着用されて示されている、着用可能な吸収性物品の斜視図。
図2A】外表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2B】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2C】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2D】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2E】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2F】外表面(衣類に面する表面)が見る人に面している、開かれ、平にされたインサートの平面図。
図2G】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2H】外表面(衣類に面する表面)が見る人に面している、開かれ、平にされたインサートの平面図。
図2I】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2J】外表面(衣類に面する表面)が見る人に面している、開かれ、平にされたインサートの平面図。
図2K】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2L】外表面(衣類に面する表面)が見る人に面している、開かれ、平にされたインサートの平面図。
図2M】内表面が見る人に面している、開かれかつ平らにされた外側カバーの平面図。
図2N】外表面(衣類に面する表面)が見る人に面している、開かれ、平にされたインサートの平面図。
図2O】見る人に面している、開かれかつ平らにされた内表面(着用者に面する)の一端の平面図。
図2P】見る人に面している、開かれかつ平らにされた内表面(着用者に面する)の一端の平面図。
図2Q】見る人に面している、開かれかつ平らにされた内表面(着用者に面する)の一端の平面図。
図2R】外側カバー上に示される、内表面(着用者に面する)が見る人に面している、開かれかつ平らにされたインサートの一端の平面図。
図2S】外側カバー上を覆っているのが示される、内表面(着用者に面する)が見る人に面している、開かれかつ平らにされたインサートの一端の平面図。
図2T】外側カバー上を覆っているのが示される、内表面(着用者に面する)が見る人に面している、開かれかつ平らにされたインサートの一端の平面図。
図3】自立した弛緩状態で示されている、外側カバーから切り離されて示されている使い捨て吸収性インサートの斜視図。
図4】身体に面する面が見る人に面している、延伸され平らにされて示されている使い捨て吸収性インサートの平面図。
図5A図4の線5A−5Aで切断された、図4に示されるようなインサートの例の断面図。
図5B図4の線5B−5Bで切断された、図4に示されるようなインサートの例の断面図。
図5C図4の線5C−5Cで切断された、図4に示されるようなインサートの別の例の断面図。
図5D図4の線5D−5Dで切断された、図4に示されるようなインサートの別の例の断面図。
図5E図4の線5E−5Eで切断された、図4に示されるようなインサートの別の例の断面図。
図5F図4の線5F−5Fで切断された、図4に示されるようなインサートの別の例の断面図。
図6A】含まれた試験サンプルを有する、本明細書の縁部偏向力測定法(Edge Deflection Force Measurement Method)で用いられる一定速度の伸展引張試験機で使用される締付具の正面図。
図6B】本明細書の縁部偏向力測定法で用いられる一定速度の伸展引張試験機で使用される下部締付具の側面図。
図7】本明細書の縁部偏向力測定法で試験するための、末端支持補強材(end support stiffener)を含むインサートの試験サンプルの準備を例示している。
図8】本明細書の曲げ剛性測定法で用いる一定速度の伸展引張試験機で使用される下部締付具の正面図。
図9】本明細書の曲げ剛性測定法で用いる一定速度の伸展引張試験機で使用される上部締付具の側面図。
図10】本明細書の曲げ剛性測定法で用いる一定速度の伸展引張試験機で使用される上部締付具の正面図。
図11】曲げ曲線上のピーク曲げ力及び勾配計算領域を示すグラフ。
図12A】本明細書に記載の垂直引張試験で使用される上部及び下部固定具の概略的な正面図。
図12B】本明細書に記載の垂直引張試験で使用される下部固定具であり、試験サンプルが下部固定具に対して向けられているのを示す、概略的な透視図。
図12C図16Aに示される下部固定具の概略的な12C−12Cの断面図。
図13】係合解除時に、締結システムにより生じる音圧レベルを測定するための締付具及び装置の図。
図14】吸収性物品のための例示的な外側カバーの平面図。
図15】着用するように構成されている吸収性物品の例示的な外側カバーの斜視図。
図16】例示的な吸収性物品の平面図。
図17】例示的な吸収性物品の平面図。
図18A】例示的な吸収性物品の前側部分の平面図。
図18B】代替の吸収性物品の前側部分の平面図。
図18C】代替の吸収性物品の前側部分の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
この説明の目的上、以下の用語は、次に記載の意味を有するものとする。
「吸収性インサート」及び「インサート」とは、尿、糞便、経血又はこれらの任意の組み合わせを収容及び/又は吸収するように適合され、かつ構成部分単位として外側カバーに設置可能及び外側カバーから取り外し可能であるように適合された、着用可能吸収性物品の構成要素を意味する。本明細書において、吸収性インサートは「吸収性組立体」と呼ばれることもできる。用語「吸収性インサート」、「インサート」、及び「吸収性組立体」は、本明細書では互換可能に使用されることができる。
【0012】
「シャーシ」とは、着用者の下部胴体の周りに着用されるように適合され、かつ吸収性インサートを支持して、インサートを着用者の身体の近くに保持するように適合された、着用可能な吸収性物品の構成要素を意味する。本明細書では、シャーシは「外側カバー」と呼ばれることもできる。用語「外側カバー」及び「シャーシ」は、本明細書の目的上、互換的である。
【0013】
「使い捨て」とは、吸収性インサートについて言及する場合、吸収性インサートが、通常の家庭での洗濯プロセス及び通常の住宅設備で効果的に衛生的に洗濯されるように適合又は意図されておらず、したがって通常は、排出物によって汚れて外側カバーから取り外された後に、新品同様の意図された機能及び性能を提供するために、衛生的かつ効果的に再使用するのに好適でないことを意味する。非限定的な例として:再使用の際に新品同様に有効となるように通常の家庭での洗濯及び乾燥を経て、それらの実質的な新品同様の物理的形状又は構造を維持することができない;水性液体を吸収し、再使用の際に新品同様に有効となるように通常の家庭用乾燥装置及び通常の乾燥サイクルで十分に乾燥/脱水されることができない;通常の家庭での洗濯又は乾燥によって溶解して又は実質的に分解して、インサートが実質的に損傷を受ける又は役に立たなくなる;及び/又は、通常の洗濯によって、再使用のために衛生上又はその他で許容可能となるように排出物質を有効に洗浄することができない、材料及び/又は構成体を含むことによって、効果的な洗濯が失敗させられ又は阻止されて、インサートが使い捨てにされる可能性がある。
【0014】
「ファスナー構成要素」とは、第1の構造体と第2の構造体の取り外し可能な締結、取り付け、又は保持をもたらすシステムの任意の構成要素を意味する。このシステムは、単一ファスナー構成要素、例えば、第2の構造体の1種類以上の表面に付着するように適合された第1の構造体上の接着パッチ、若しくはフック、又は第2の構造体の1種類以上の表面を引っかけるように適合された第1の構造体上のフックのパッチ、を備えてもよい。更なる例として、第2の構造体を全て又は一部において捕捉する及び保持するように構成された、第1の構造体上のポケット、ストラップ、フック、バックル等の任意の構造体は、本明細書において使用される「ファスナー構成要素」である。システムはまた、2つ以上のファスナー構成要素、例えば、面ファスナー式締結システム(例えば、VELCRO)の各要素、凝集剤材料が塗布された各表面、雄型及び雌型スナップファスナー構成要素、ボタン及びボタン穴、スロット又はループ、他の締結可能に協働する要素などを含み得る。ファスナー構成要素の他の実施例はジッパー構成要素、「ジップロック」係合構成要素、ループ、ポスト、ポケット、バンド又はストラップ、マイクロファスナー、マクロファスナー、及び米国特許第6,936,039号、同第6,893,388号、同第6,669,618号、同第6,432,098号、及び同第6,251,097号、並びに、米国特許出願公開第2005/0234419号、同第2005/0215971号、同第2005/0215970号、同第2005/0130821号、同第2004/0023771号、同第2003/0233082号、同第2003/0119641号、同第2003/0088220号、同第2002/0169431号に記載されるファスナー構成要素が挙げられる。
【0015】
「横方向」(及びその文法的変形)とは、着用者に関し、着用者の前部から後部(又は逆もまた同様)に延びる方向と略横断する又は交差する方向に沿っていることを意味する。着用可能な吸収性物品の構成要素に関し、「横方向」(及びその文法的変形)とは、構成要素が着用者の上に適切に位置している場合に着用者の前部から後部(又は逆もまた同様)に構成要素に沿って延びる方向と略横断する又は交差する方向に沿っていることを意味する。
【0016】
「長手方向」(及びその文法的変形)とは、着用者に関し、着用者の前部から後部(又は逆もまた同様)に概ね延びる方向に沿っていることを意味する。着用可能な吸収性物品の構成要素に関し、「長手方向」(及びその文法的変形)とは、構成要素が着用者の上に適切に位置している場合に着用者の前部から後部(又は逆もまた同様)に構成要素に沿って概ね延びる方向に沿っていることを意味する。
【0017】
「ループ材料」は、外側カバー上に配置され、及び/又は外側カバーの一部を形成する任意の分離性の布、ウェブ又はシート材料の層であり、これは、表面積当たり、より大きな非圧縮キャリパー及び/又はより大きな取り付け強度を有することによって、外側カバー上に配置され、及び/又は外側カバーの他方の部分を形成する、隣接する別の材料とは差異化することができ、並びに、外側カバー上で、フック材料を取り付け可能に受け取り、これを係合するのに適した位置(「受け取り位置」)において存在し、外側カバーの設計された機能を果たす。「表面積当たりの取り付け強度超」とは、ループ材料のサンプルが、所与の表面積の、適用された、面しているフック材料からの分離に対して、隣接する別個の材料のサンプルよりも大きな抵抗を呈するということを意味する。この分離は、外側カバーを適用する人によってループ材料にかけられるであろう通常量の圧力によって、ループ材料にかけられたもの、すなわち、対応の平坦な試験面上に載置されたときに、対応する材料によって近似される面にかけられる分離力によってかけられたものである。非限定的な例として、受け取り位置は、前側腰部縁部に隣接する、又はこの近くの外側カバーの前側部分にあってもよく、したがって、例えば外側カバーの後側領域から、横方向に延びる締結部材又は締結耳部上に配置されたフック材料を受け取るためのランディング領域を形成する。
【0018】
「外側カバー」とは、着用者の下胴部の周りに着用されるように適合され、かつ吸収性インサートを支持して、インサートを着用者の身体の近くに保持するように適合された、着用可能吸収性物品の構成要素を意味する。本明細書において、外側カバーは「シャーシ」と呼ばれることもできる。用語「外部カバー」、及び「シャーシ」は、本明細書における目的のために、互換可能であり、本明細書において記載される機構を有し、おむつ、おむつカバー、下着、ブリーフ、トレーニングパンツ、ショーツなどとして構成される衣類を含むがこれに限定されない。
【0019】
「再利用可能」とは、外側カバーについて言及する場合、外側カバーの実質的に新品同様の機能性を提供するのに必要な外側カバーのあらゆる構成要素を実質的に破壊することなく、かつ、インサートの交換の後にあらゆる修理又は再構築の必要なく、少なくとも第1のインサートの取り外し、及び少なくとも第2のインサートとの交換を可能にするように適合された外側カバーを意味する。
【0020】
「使用」とは、外側カバーに関し、吸収性インサートが交換されるまで外側カバーを着用する1つの事象を意味する。
【0021】
「ユーザー」とは、着用可能な吸収性物品を着用者に適用することができる世話人又はその他の人を意味する。着用者が着用可能な吸収性物品を自分自身に身に着けることができる場合、着用者もまた「ユーザー」である。
【0022】
「着用者」とは、本明細書に記載の着用可能な吸収性物品を着用することができる人を意味する。
【0023】
「着用可能な吸収性物品」とは、下部胴体の周りに着用されるように、並びに尿、糞便、経血又はこれらの任意の組み合わせを収容及び/又は吸収するように設計された任意の物品を意味する。「着用可能な吸収性物品」には、(「テープ」締結可能な、別の方法で締結可能な、「プルアップ式」の、又は任意のその他の種類の)乳児又は幼児用おむつ、トレーニングパンツ及び成人用失禁パンツ、ブリーフ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
2部分からなる着用可能な吸収性物品
図1は、着用者により着用されて示されている、一定の特徴を有する着用可能な吸収性物品10の例を示す。着用可能吸収性物品10は、前側腰部縁部21と、後側腰部縁部22と、一対の脚部開口部縁部23とを有する外側カバー20を包含してもよい。
【0025】
図2A図2B及び図2Cは、開かれかつ平らにされて示されている外側カバー20を示している。図2Aでは、外側カバー20の外側、すなわち、衣類に面する表面が見る人に面しており、図2B及び図2Cでは、外側カバー20の内側、すなわち、着用者に面す表面が見る人に面している。前側及び後側腰部縁部21、22は、それぞれ、図面の上部及び下部に示されている。外側カバー20は、股領域26と、前側領域27と、後側領域28と、後側領域28から横方向に延びる一対の締結用耳部29とを有していてもよい。外側カバー20は、前側腰部縁部21の一番前の部分から後側腰部縁部22の一番後ろの部分までの長さLCと、この長さを均等に分割する外側カバー横方向軸45とを有する。したがって、前側領域27は外側カバー横方向軸45より前方であり、後側領域28は外側カバー横方向軸45より後方である。外側カバー20は、前側及び後側インサートファスナー構成要素33、32など、その上に配置された1つ以上のインサートファスナー構成要素を有してもよい。
【0026】
図3は、外側カバー20から切り離されて、自立した弛緩状態で示されている、着用可能吸収性物品10の内部構成要素を形成することができる使い捨て吸収性インサート50を斜視図で示している。インサート50は、身体排出物を収容及び/又は吸収するように設計されていてもよく、以下に更に記載されるような可撓性材料で作製されてもよい。インサート10は、前方領域54と、後方領域55と、を備えており、前側ファスナー構成要素56と、後側ファスナー構成要素57と、を備えていてもよい。インサート10は、身体に面するライナー又はトップシート51と、外側ライナー又はバックシート52と、一対の起立カフ53と、を含んでもよい。図4を参照すると、インサート50は、前方領域54の一番前の部分から後方領域55の一番後ろの部分までの長さLを有し、インサート横方向軸70はこの長さを均等に分割する。したがって、前方領域54はインサート横方向軸70より前方であり、後方領域55はインサート横方向軸70より後方である。
【0027】
図2B及び図3を参照すると、インサート50は、インサート上に配置された後方ファスナー構成要素57を備えてもよい。あるいは、又はこれに加えて、外側カバー20は、その上に配置された後側インサートファスナー構成要素32を有していてもよい。同様に、インサート50は、インサート上に配置された前側ファスナー構成要素56を備えてもよい。あるいは、又はこれに加えて、外側カバー20は、その上に配置された前側インサートファスナー構成要素32を有していてもよい。2つの要素からなる締結システムを使用する場合、ファスナー構成要素対57、32及び56、33は、これらの対応の要素が合体されたときにそれらの間に締結をもたらす協働要素であってもよい。したがって、示されている例では、吸収性インサート50を外側カバー20内に設置するために、ユーザーは外側カバー20を平らに置き、内表面25を上に向け、後側ファスナー構成要素57が後側インサートファスナー構成要素32に面しかつ前側ファスナー構成要素56が前側インサートファスナー構成要素33に面するようにインサート50を広げて向きを定め、それらの間に締結をもたらすためにこれら対応のファスナー構成要素対57、32及び56、33を合体させることができる。
【0028】
外側カバー20が再利用可能であることが望ましい場合は、インサートの取り外し及び交換の後に外側カバー20が(洗濯又は廃棄を必要とせずに)実質的に衛生的で有用であるのを保つために、着用者が排泄物(特に糞便)を排出した後に、外側カバー20の全ての部分を実質的に汚されていない状態に保つことが望ましくあり得る。したがって、インサート50を外側カバー20内に設置する際に、少なくとも排出物を排泄する着用者の身体特徴に近接する領域内において、インサート50の着用者に面する表面のかなりの部分に付けられている又はこれを覆う外側カバー20の取り外し可能でない部分又は構成要素が存在しない(別の表現をすると、着用可能吸収性物品が着用されたときに、外側カバー20の取り外し可能でない部分又は構成要素が、インサート50のかなりの部分と着用者との間に位置しない)ことが望ましくあり得る。したがって、着用可能吸収性物品が着用されたときに、外側カバー20は、外側カバー20内のインサート50の着用者に面する表面のかなりの部分を覆う又は収容する取り外し可能でないカバーシート等を含まず、そしてまた、排出物の排泄ポイントに近接するインサートを実質的に包み込む又は覆う、あるいは実質的にインサート50と着用者の肛門及び/又は生殖器との間に位置する、ポケット、ストラップ又はフラップなどの上部構造を含まないのが望ましくあり得る。外側カバー20がそのような上部構造を有さない場合、このことは、着用者の排出物がインサート50のみに接触し、外側カバー20の一部分に接触しない可能性を高める。
【0029】
図1図2A及び図2Bを参照すると、股領域26が着用者の脚の間にあり、前側腰部縁部21及び後側腰部縁部22を図1におおよそ示されるような位置に持っていき、それから締結用耳部29を前側領域27に固定して、図1に示されるように着用者の周囲にパンツ様衣類が形成されるように、着用者の脚の間及び臀部の下に外側カバー20を包み込むことによって、着用可能吸収性物品10が着用者の上に配置され得るのがわかる。インサート50が外側カバー20の中に設置されると、次に、インサート50は外側カバー20内で着用者の近くに配置され、起立カフ53は向きを定められて、脚縁部23の内側部分に隣接して長手方向に(すなわち、着用者の脚の間で長手方向に)延びる。
【0030】
考えられる外側カバーの詳細の例
締結システム
図2A及び図2Bを参照すると、締結用耳部29と前側領域27との締結を可能にするために、締結用耳部29は、その上に配置された外側カバーファスナー構成要素30を有することができる。あるいは、又はこれに加えて、前方領域27は、前方領域上に配置された1つ以上の受け側ファスナー構成要素31を有することができる。ファスナー構成要素30、31は、耳部29と前方領域27の締結をもたらすために協働するように選択され得る。
【0031】
一例を挙げれば、外側カバーファスナー構成要素30はフックのパッチを有してもよく、受け側ファスナー構成要素31はループのパッチを有してもよい。好適なフックアンドループ締結システムの例は、VELCROシステム(Velcro Industries B.V.の製品)である。面ファスナー式締結システムは特定の利点を提供する。個々のフックアンドループ要素はシート状で供給されるので、これらシート状の要素を適切な形状のパッチに切断することができ、このパッチを、接着剤結合、機械的結合、超音波接合、縫合、縫製、縁かがり、縁取り等の様々な手段で、布又は不織布基材に添着することができる。図2Bに示されるように、フック又はループのパッチを締結用耳部29に添着して外側カバーファスナー構成要素30を形成する場合、図2Aに示されるように、協働するフック又はループ材料の横方向に延びるパッチは、外側カバー前側領域27に添着されて受け側ファスナー構成要素31を形成することができる。耳部29と前方領域27の締結を、その上の横方向に異なる位置に提供することにより、この構成は、着用可能な吸収性物品の腰部開口部寸法の容易で単純な調節機能をもたらす。
【0032】
別の例では、上述の通り、外側カバー締結システムは他の種類のファスナー構成要素を含んでもよい。腰部開口部寸法の調節機能を提供するために、前側領域27に配置された拡張された面又は複数の協働ファスナー構成要素と協働する、締結用耳部29上に配置されたファスナー構成要素を使用してもよい。受け側ファスナー構成要素は、前側領域27上の横方向に配列された異なる位置に多重配置されて、対応の耳部29を前側領域27の横方向に異なる位置に締結可能にすることができる。
【0033】
図2Bを参照すると、外側カバー20は、その上に配置された1つ以上の対応のファスナープロテクタ39を更に有してもよい。この特徴は、保管、運搬、洗濯、及び同様の/関連した活動の間に、外側カバー、又は他の物品の一部分に無作為に又は意図せずに係合しやすい及び引っかかりやすい特徴を有するファスナー構成要素が、そのようになるのを防止して、そのような活動中に起こり得る塊化(bunching)、絡み合い及び/又は外側カバー20若しくは他の物品のいずれかへの損傷を回避することができる。例えば、ファスナー構成要素30がフックのパッチである場合、適切に載置されたファスナープロテクタ39は、対応するループのパッチを含んでもよい。これにより、耳部29をファスナープロテクタ39に係合するためにユーザーが耳部29を折り重ね、それらを折り重ね位置に保持することが可能になり、その結果、外側カバー20が着用されていないときには耳部29上のフックが覆われて、フックが他の物品に引っかかることが防止される。
【0034】
材料
外側カバー20、及び/又は外側カバー20の層若しくは一部分は、意図される着用者の皮膚との適切な適合性を有している、任意のニット生地、織布、若しくは不織布地、又は布様材料で製造されることができる。外側カバー20は、耐久性のある材料及び/又は半耐久性の材料で構成されてもよい。一般に、本明細書における参照のみを目的として、「耐久性のある」は、洗濯可能な衣類物品の構成要素として使用され得る、あらゆる種類の繊維材料又はニット生地材料を指す。本明細書において使用するとき「耐久性のある」とは、Donald C.Roe(Procter & Gamble、代理人整理番号第11557号、同11558号、及び同11559号)により、同日に出願された、係属中の米国特許出願番号第12/687,412号、同第12/687,528号、及び同第12/687,425号、各表題「REUSABLE OUTER COVER FOR AN ABSORBENT ARTICLE」、「REUSABLE OUTER COVER FOR AN ABSORBENT ARTICLE HAVING ZONES OF VARYING PROPERTIES」、及び「LEG AND WAISTBAND STRUCTURES FOR AN ABSORBENT ARTICLE」に定義及び記載されるように、「洗濯可能な」材料を含む。一般に、本明細書における参照のみを目的として、「半耐久性」は、外側カバーの材料として使用されるときに、役に立たない状態になる程度までその構造的一体性を失わずに、インサートを備えた1回を超える使用に耐えることができる不織布材料又はその積層体を指す。本明細書で使用するとき、「半耐久性」は、すぐ上で特定された同時係属の米国特許出願に定義されかつ記載されているような「洗濯耐性」である材料を包含する。このように、外側カバー20は、外側カバー20を再利用可能及び/又は洗濯可能にする材料及び構成体で構成され得る。
【0035】
外側カバー20を作製することができる耐久性のある材料は、おむつ、パンツ、下着、高性能衣類、スポーツ衣類、又は一般的な衣類若しくは紡織分野において既知の、任意の天然又は合成繊維材料を含むことができる。耐久性のある材料は、綿、亜麻布、羊毛、竹、麻布、絹、レーヨン等の天然繊維、並びに、これらの繊維のいずれかと他のいずれかとのブレンド、又はこれらの繊維のいずれかと合成繊維とのブレンドで作られる織布又はニット生地を含むことができる。耐久性のある材料の構成要素として使用するのに好適な合成繊維の例には、ポリエステル、ナイロン、スパンデックス及び/又はその他のエラストマー繊維が挙げられる。耐久性のある外側カバーの材料はまた、GORE−TEX(W.L.Gore & Associates,Inc.(Elkton,MD)の製品);OUTLAST COMFORTEMP繊維(Outlast Technologies,Boulder,COの製品、例えば、米国特許第6,514,362号及び同第6,207,738号を参照のこと)等のマイクロカプセル化した相変化高分子材料を含む繊維、COOLMAX(Invista(Wichita,KS)の製品などの、通気性の良い撥水加工を施した材料を包含することができる。
【0036】
好適な耐久性のある材料は、バーズアイ織物、テリー織、フリース、フランネル、ニット、ストレッチニット、シェルパ、スエード布地、マイクロフリース、サテン、ベロア、バーレイニットなどを含む任意の模様又は織物の形態であり得る。好適な例としては、POLARTECH POWER DRY、POWER STRETCH、及びWIND PRO(Polartec,LLC(Lawrence,MA)の製品)が挙げられる。織布材料又は不織布材料よりも本質的に伸縮性があり弾性であり得るニット生地は、より良好な密着、快適性及び/又は外観を外側カバーに付与することができる。スパンデックス繊維又は他のエラストマー繊維を組み込むことにより、伸縮性及び弾力性を高めることができ、それにより、そのような弾性繊維を含まない布地よりも良好な密着、快適性及び/又は外観を外側カバーに付与することができる。
【0037】
耐久性のある外側カバーの材料の特定の好適な例には:レーヨン(93%)とスパンデックス(7%)繊維;モーダル(94%)とスパンデックス(6%)繊維;綿とスパンデックス繊維;及び竹とスパンデックス繊維、のブレンドのジャージーニットが挙げられる。約2X以上の伸張能力を有する材料が望ましくあり得る。好適な材料の例は、一層当たり約0.09〜0.15g/インチの坪量又は他の坪量を有することができる。
【0038】
米国特許出願公開第2008/0119813号、同第2008/0119814号、同第2008/0119815号、及び同第2008/0119816号に記載の材料及びストレッチ機構は、外部カバー20又は股部区域などの、任意の部分の構造及び構成に使用され得る。
【0039】
耐久性のある外側カバーの材料は、所望の快適性、外観及び性能を外側カバー20に付与するように選択されてもよい。ある状況では、広範囲にわたって汚れる又は損傷を受けた場合に、費用及び罪悪感の問題を最小限にして廃棄できるように、十分に安価な耐久性のある外側カバーの材料を選択するのが望ましくあり得る。
【0040】
半耐久性の外側カバーの材料は、おむつ又はパンツの分野で既知の、任意の天然又は合成の不織布ウェブ及び/又はフィルム材料を包含することができる。外側カバー20を構成することができる半耐久性の材料は、使い捨ておむつの構成要素として用いられる不織布ウェブ材料を形成するために使用される、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、並びに任意のその他の合成繊維、及びこれらのブレンドの不織布ウェブ材料を包含することができる。綿、亜麻布、羊毛、竹、麻布、絹、レーヨン等の天然繊維は、外側カバー20の構成要素層として好適なそのような不織布ウェブを形成するために、合成繊維とブレンドされてもよい。
【0041】
半耐久性の外側カバーの材料として使用されることが考慮され得る繊維、不織布、及び不織布とフィルムとの積層体の非限定的な例は、米国特許第7,223,818号、同第7,211,531号、同第7,060,149号、同第6,964,720号、同第6,905,987号、同第6,890,872号、同第6,884,494号、同第6,878,647号、及び同第5,518,801号、並びに米国特許出願公開第2008/0319407号、同第2008/0045917号、同第2007/0293111号、同第2007/0287983号、同第2007/0287348号、同第2007/0249254号、同第2007/0203301号、及び同第2005/0164587号に見出すことができる。
【0042】
半耐久性の外側カバーの材料はまた、所望の快適性、外観及び性能を外側カバー20に付与するように選択されてもよい。ある状況では、広範囲にわたって汚れる又は損傷を受けた場合に、費用及び罪悪感の問題を最小限にして廃棄できるように、十分に安価な半耐久性の外側カバーの材料を選択するのが望ましくあり得る。
【0043】
外側カバーはまた、又は更に、改善された液体浸透耐性及び/又は弾性特性を提供するために、弾性であってもよい、積層された又は実質的に独立したフィルム層を有してもよい。弾性特性は、弾性ストランド、バンド、スクリム等などの他の材料を、層、バンド、又はストリップ形式で外側カバーに加えることによって付加される又は強化されることもできる。フィルム層は、耐久性のある材料又は半耐久性の材料と共に積層されてもよい。フィルム層は、KRATON(Kraton Polymers U.S.,LLC,Houston,Texasの製品)ベースのエラストマーを含んでもよく、又は更なる例として、ExxonMobil Chemical Company,Houston,TXから入手可能なVISTAMAXXをベースとするエラストマー;FLEXAIRE、EXTRAFLEX又はFABRIFLEX(Tredegar Film Products Corporation,Richmond,VAの製品)、及びFulflex Elastomerics Worldwide(Greenville,TN)から入手可能な種々のラテックスを含有しないエラストマーシートを含んでもよい。
【0044】
エラストマー材料を布若しくは不織布層の繊維状構成要素として又はフィルム層として含有することは、着用者の臀部及び/又は腰部エリア周囲などにかけての着用者の生体構造及び動きに順応するために有用となり得る伸縮性及び弾性の改良、並びにフィット及び快適さの改善をもたらす。更に、フィルム層を含む場合には、更なる液体閉じ込め能力を外側カバーに付与することができる。着用されている状態の外側カバー内に通気性を提供して湿度を低減し、液体閉じ込め能力が望ましい場合に皮膚が水分過剰になる可能性を低減するために、フィルム層は、実質的に液体不透過性であるが蒸気透過性であるフィルムを包含してもよい。通気性の良いフィルムは、様々なプロセスによりフィルムを機械的に穿孔又は開口することによってもたらされてもよい。このようなプロセスの例は、同時係属中の米国特許出願番号第12/366,825号、及び同第12/534,353号に記載される。
【0045】
図2Aを参照すると、1つの例において、外表面24は、耐久性のある材料又は半耐久性の材料の第1の層により形成されてもよい。選択される材料は、疎水性を有して、かかる第1の層に改善された液体閉じ込め特性を提供する繊維を包含することができる。しかしながら、別の例では、材料がもっと簡単に液体を吸収及び/又は透過することができるように、選択される材料が、親水性繊維、又は親水性になるように処理された繊維を包含することが、ある状況では望ましくあり得る。これは、液体排出物がインサートから流出する事象に対して外側カバー内に追加の吸収性を提供する、又は液体排出物がインサートから流出したことをユーザーに知らせる1つの方法を提供するのに貢献することができる。更に、ある状況では、ユーザー及び/又は着用者が魅力的だと感じる心地よい感触を有するように、選択される材料は柔らかな触覚性を有するのが望ましくあり得る。材料はまた、色合い、光沢、質感等を非限定的に含む所望の外観を有するように選択されてもよい。
【0046】
外側カバー20は、耐久性のある材料又は半耐久性の材料の単一層で形成されてもよく、あるいは、前側領域27及び/又は後側領域28内に2つ以上の層を有してもよい。したがって、図2Bを参照すると、別の例において、内表面25は、耐久性のある材料又は半耐久性の材料の第2の層で形成されてもよい。選択される材料は、疎水性を有して、第2の層に改善された液体閉じ込め特性を提供する繊維を包含することができる。しかしながら、別の例では、選択された材料は、親水性繊維、又は親水性になるように処理された繊維を包含するのがある状況では望ましくあり得る。これは、内表面25を形成する材料が、もっと簡単に液体を吸収する、又は液体が材料を透過することができるようにするために、ある状況では所望であり得る。これは、液体排出物がインサートから流出する事象に対して外側カバー内に追加の吸収性を提供し、外側カバーが漏れる可能性を低減するのに貢献することができる。あるいは、湿気が外表面上で可視であるように湿気を外側カバーの外層まで透過させることによって、液体排出物がインサートから流出したことをユーザーに知らせる1つの方法を提供することができる。あるいは、より乾燥したより快適な感触を目的として、皮膚から水分を引き離す傾向がある層を提供するのに役立つ可能性がある。
【0047】
更に、ある状況では、皮膚に対して、特に外側カバーと着用者の皮膚との間にインサートのどの部分も存在しないことが見込まれる領域内の皮膚に対して心地よい感触を有するように、内表面25用に選択される材料は柔らかな触覚性を有するのが望ましくあり得る。
【0048】
別の例では、材料の第2の層は、例えば、エラストマー材料の繊維(例えば、スパンデックス)を含むなどして強化された弾力性を有する繊維材料で形成されてもよい。別の例では、中間フィルム層を別の層と共に包含してもよく、積層してもよく、又は積層しなくてもよい。
【0049】
上述のように、1つを超える層(例えば、2つ、又はそれより多くの層)の外側カバー20を形成することにより、様々な利益を提供することができる。第2の層(及び任意の追加層)は、外側カバー20全域に、横方向と長手方向の両方の追加の引張強度を提供することができる。更に、第1の層は第1の一連の特性のために選択されてもよく、第2の層は第2の一連の特性を目的として選択されてもよい。例えば、第1の層を形成する材料は、比較的高い弾力性、並びに特定の質感、色及び/又はその他の外観に関連した特性を有するように選択されてもよく、第2の層を形成する材料は、内層の目的上、比較的高い疎水性、親水性及び/又は皮膚に対する柔軟性を有するように選択されてもよく、2つの層は組み合わされて、所望の特性の組み合わせを外側カバーに付与する。例えば、内層は、吸収力、及び流体流出(漏れ)の可能性の低下をもたらすように、親水性の材料で形成されてもよい、及び/又はより親水性になるように処理されてもよいのに対して、外層は、例えば、周囲の汚れを阻止するために、又は内層から外層への液体透過を阻止するために、より疎水性の材料で形成されてもよい。更に、単一層と比べて、複数の層は、より滑らかでより魅力的な外観を目的として、インサートの隆起、角部、シーム、又はその他の特徴を包み隠すように良好に機能する。
【0050】
異なる材料の異なる層を形成するのに加えて、異なる材料の単一層、例えば、外側カバーのそれぞれの前側領域、股領域及び/又は後側領域の材料が異なる単一層を形成するのが望ましくあり得る。そのような異なる材料は、内部シーム40及び/又は外部シーム41などのシームで結合されてもよい。例えば、後方区域28の内表面を主に形成する材料は、主として、着用者の体輪郭の周囲に密着嵌合(snug fit)を提供し、かつ着用者の動き(すなわち、臀部及び腰回りの周囲)に適合するように良好に機能し得る弾性特徴を目的として選択されてもよい。これに対して、前側領域27及び/又は股領域26の内表面を主に形成する材料は、主として、液体排出物を収容するように良好に機能し得る疎水性又は親水性を目的として選択されてもよい。
【0051】
外側カバーの層又はその他の要素は、例えば、接着剤、機械的結合、超音波接合、縫合、縫製、縁かがり、縁取り等の任意の好適な手段によって互いに結合されてもよい。
【0052】
上記の構造及び材料に加え、又はこれの代替として、他のカバーが構成され、Donald C.Roe(Procter & Gamble、代理人整理番号第11557号、同11558号、及び同11559号)により、同日に出願された、係属中の米国特許出願番号第12/687,412号、同第12/687,528号、及び同第12/687,425号、各表題「REUSABLE OUTER COVER FOR AN ABSORBENT ARTICLE」、「REUSABLE OUTER COVER FOR AN ABSORBENT ARTICLE HAVING ZONES OF VARYING PROPERTIES」、及び「LEG AND WAISTBAND STRUCTURES FOR AN ABSORBENT ARTICLE」に定義及び記載されるように、「洗濯可能な」材料を含む。
【0053】
伸縮性腰部バンド、脚部バンド
図1図2A及び図2Bを再び参照すると、前方腰部バンド部分34、後方腰部バンド部分35、及び脚部バンド部分36が図示されている。これらバンド部分34、35、36の1つ以上は、スパンデックス又はスパンデックスと他の繊維とのブレンドなどのエラストマー材料を含む1つ以上のストランド又はストリップで形成されてもよく、このストランド又はストリップは、外側カバー20の内層及び/又は外層を形成する材料の縁部を包含し得る不織布又は繊維材料に被包されて、それぞれのバンド部分を形成しかつ伸縮性を持たせる。弾性材料は、ピンと張った状態で、又は加えられたひずみゼロで、外側カバー層に又は外側カバー層内に添着され得る。弾性ストランド又はストリップを被包する繊維材料は、弾性ストランド又はストリップの周囲に縫い付けられて、それらをそれぞれのバンド部分の中の定位置に保持することができる。製造プロセス中に、これらのバンド部分を形成するために弾性材料が被包される及び添着される前に及びその間に、弾性材料がピンと引っ張られると、弛緩の際に、被包材料及び隣接する外側カバーの材料にギャザーが寄り、それに沿って波打ち構造(ruffle)37が形成され、ギャザーの付いた外側カバー材料をもたらす。これは、密着嵌合、着用者の快適性及び外観を改善するのを助けることができる。バンド部分は、外側カバーの縁部に沿って配置されてもよく、ある状況では、外側カバー20が着用されている間、着用者の脚及び/又は腰部を実質的に若しくは完全に包囲するバンドを形成するように、脚部及び/又は腰部開口部のほぼ全長に沿って位置付けられたバンド部分を有するのが望ましくあり得る。波打ち構造37内のギャザーが付けられた材料は、腰部バンド部分34、35及び脚部バンド部分36の伸縮に適合するように機能し得る。記載されたような伸縮性脚部バンド部分36を含むこの構成は、着用者の脚の周囲により良好な密着をもたらすことができるだけでなく、適切に寸法設定されかつ成形された材料で作製された場合に、外側カバー20が着用されたときに股領域に袋様構造体75(図1参照)を形成するのを可能にすることができ、この袋様構造体75は、外側カバー内にインサート50(図3)を収容するための空隙を提供し、かつインサート50を外側カバー20内の定位置に、股領域内で実質的に横方向に中心合わせされた位置に保持するのを助けるように機能し得る。このことは、以下に更に説明されるように任意の長手方向中間位置にではなく、インサート50の各末端部の近くのみに位置決めされたファスナー構成要素によって、インサート50が外側カバー20内に取り付けられる例において有利であると考えることができる。あるいは、又は代替として、腰部バンド部分34、35及び脚部バンド部分36の弾性ストランド又はストリップは、外側カバー内のそれぞれの端部の位置又は端部の近くのみ、例えば、外側カバーの材料で形成された袋状、管状又は被包構造体の中に固定されてもよい(本明細書では「引きひも弾性」とも呼ばれる)。これにより、弾性材料及び関連する外側カバーの材料は、互いに自由に及び独立して伸張及び移動することができることになり、密着及び快適性を促進することができる。そのような伸縮性のある脚部バンド部分36によってもたらされる着用者の脚の周囲の密着嵌合は、着用可能吸収性物品の閉じ込め能力を高める働きをすることができる。
【0054】
腰部バンド部分34、35及び脚部バンド部分36の1つ以上は、上記のやり方で、又はその他の手段により伸縮性を持たされてもよい。例えば、弾性腰部バンド及び脚部バンド、又は従来の布製下着、ブリーフ、若しくはその他の衣料品のその他のバンド機能を形成するために使用されるような伸縮性のあるバンド/ストリップ材料は、独立して製造されて、その製造中に、外側カバー20を形成する材料に任意の好適な方法で添着されてもよい。
【0055】
別の例では、腰部バンド部分34、35及び脚部バンド部分36の1つ以上は、接着剤及び/又は圧縮結合を用いて、脚部開口部及び/又は腰部開口部の縁部の周囲に簡単に添着された弾性材料で形成されてもよい。別の例では、弾性ストリップ材料は、複数のピンと張られたエラストマーストランド又はストリップを、未延伸の不織布ウェブ材料又はフィルムの1つ以上のストリップに添着することにより形成されてもよい。得られた弾性ストリップ材料を弛緩させると、未延伸の材料は、ギャザーの付いた未延伸の材料を含む横皺を形成し、弾性ストリップ材料の伸縮に適合することになる。腰部バンド部分34、35及び/又は脚部バンド部分36の1つ以上に弾性ストリップ材料を添着することにより、この弾性ストリップ材料を使用して、伸縮性腰部バンド部分34、35及び/又は脚部バンド部分36の1つ以上を形成することができる。
【0056】
固定バンド
図2A図2Bに示されるように、外側カバー20はまた、外側カバー後側領域28上に又は外側カバー後側領域28内に配置される固定バンド38のような固定補助具を有してもよい。図2A及び図2Bに示されるように、固定バンド38は、層に沿って添着されるか、又は層の間に配置されて、外側カバー20の内表面25及び外表面24を形成する。固定バンド38は、外側カバー20の後部角部に近い位置又は締結用耳部29に近い位置に添着される、材料のエラストマーの又は伸縮性のあるストリップ又はバンドを有してもよい。したがって、固定バンド38は、固定バンド38の末端部のみによって、又は固定バンド38の限定された数の選択された中間部横方向位置においてのみ外側カバーに取り付けられるので、固定バンド38は、外側カバー20の内表面及び外表面を形成する層から、その横方向長さに沿った外側カバーの他の層から部分的に又は実質的に力分離(force-decoupled)され得る。例えば、固定バンド38は、固定バンド38の末端部においてのみ、外側カバー20に取り付けられてもよい。別の例では、固定バンド38は、固定バンド38の末端部においてのみ、又は固定バンド38の横方向中心においてのみ、外側カバー20に取り付けられてもよい。この実質的に力分離される構成により、固定バンド38及び外側カバー20の周囲部分が、実質的に互いに独立して伸張する及び動くことが可能になり、より良好な密着及び快適性が促進され得る。しかしながら、別の例では、固定バンド38は、固定バンド38の実質的に全長に沿って、外側カバーの内表面及び外表面のいずれか又は両方を形成する伸縮性材料の層が積層された、ないしは別の方法でこの層に固定された、弾性バンド、ストリップ又はストラップであってもよい。
【0057】
着用者に適用するために横方向に引っ張られると、固定バンド38は、物品の横方向張力を着用者の腰部の周囲に提供する(又は補完する)ように機能して、腰部開口部をゆるやかに引く傾向があり、密着を強化し、かつ着用者の腰部の周囲への着用可能な吸収性物品の固定を強化することができる。固定バンドの弾性率は、包囲する、隣接する、又は同一の広がりを持つ外側カバーの材料の弾性率よりも大きい。
【0058】
固定バンド、又は1つ以上の固定バンド部材のシステムは、例えば、次の文献に記載されている任意の追加特徴を有してもよい:係属中の米国特許出願番号第11/810,741号、同第11/810,708号、同第12/101,476号、同第12/028,317号、同第11/810,745号、同第11/810,742号、同第11/810,734号、同第11/810,779号、同第11/810,715号、同第11/810,733号、同第11/810,736号、同第11/810,777号、同第11/599,862号、同第11/810,901、及び11/599,851号、同第11/899,812号、同第12/204,844号、同第12/204,849号、同第12/204,854号、同第12/204,858号、同第12/204,864号、同第11/899,810号、同第11/899,656号、同第11/899,811号、同第11/899,812号、同第12/204,844号、同第12/204,849号、同第12/204,854号、同第12/204,858号、及び同第12/204,864号、並びにDonald C.Roe(Procter & Gamble、代理人整理番号第11225M号、同11565号及び同11566号)により同日に出願された同時係属中の米国特許出願第12/687,437号、及び同第12/687,554号、同第12/687,444、それぞれ表題が「REUSABLE WEARABLE ABSORBENT ARTICLES WITH ANCHORING SYSTEMS」、「REUSABLE WEARABLE ABSORBENT ARTICLES WITH ANCHORING SUBSYSTEMS」、及び「REUSABLE OUTER COVERS FOR WEARABLE ABSORBENT ARTICLES」に記載される任意の追加的な機構を有し得る。
【0059】
別の例では、図2A及び図2Bの固定バンド38の図示された位置により示したように実質的に横方向に配向されるのではなく、又はこれに加えて、固定バンドを形成する1つ以上の部材は、長手方向と横方向との間に斜めに配向されてもよい。例えば、図2Aに示されるように、一対の斜めの固定バンド38aは、外側カバーの角部及び/又は締結用耳部29に近接する位置エリアにおいて固定されるそれぞれの腰部末端部を有してもよく、図2Aに示されるように、外側カバー20の横方向及び長手方向両方の中心に向かってそれぞれ延びてもよい。バンド38aのそれぞれの中心末端部は、図2Aに示されるように、外側カバーの横方向中心近くの位置において外側カバーに添着されてもよく、バンド38aは、上述のように、バンド38aの長さに沿って外側カバーから力分離される又は外側カバーに力結合(force-coupled)されてもよい。以下に更に記載されるように追加的な長手方向支持を目的としてインサートが固定バンドに接続される例では、斜めの固定バンド38aなどの斜めの固定バンドは、外側カバー20に沿った追加の長手方向張力を提供して、その中に追加の長手方向支持を提供するように機能することができる。
【0060】
外側カバーの非対称性
外側カバー20の密着、着用者の快適性、及び外観を向上させる及び/又は最大にするために、意図される着用者の解剖学的輪郭及び体の動きに適合するように外側カバー20を形作るのが望ましくあり得る。例えば、図2A及び図2Bに示されるように、外側カバー20は、後側領域28において前側領域27と異なる形状及び/又は前側領域27よりも大きな材料表面積を有してもよい。下胴部/腰回り/太腿領域の人体構造は、体の横平面を中心に非対称である、すなわち、人体の前側の幾何学的形状は後側の形状と異なる。より良好な密着及び快適性を提供するために、外側カバーの形状及び伸縮性などの機能性は、適宜適合され得る。後側領域における異なる形状及び/又はより大きな材料表面積は、着用者の動作(座る及び/又は腰の位置で体を前に曲げるを含む)を通して臀部をより良好に覆うのに役立つことができ、前側領域における少ない材料表面積は、特に着用者が座る及び/又は腰の位置で体を前に曲げるなどといった姿勢にあるときに、材料が塊化する及び/又は着たときの外観が悪くなるのを回避するのに役立つことができる。その結果、外側カバーの形状又は表面積は、外側カバー横方向軸45に対して非対称であってもよい。
【0061】
この説明の目的上、外側カバーに関して用いられる場合、「非対称な」及び「非対称」とは、外側カバー横方向軸45の片側の特徴、幾何学的形状(例えば、形)、材料及び/又は構成体が、外側カバー横方向軸45の反対側のそれらと、いくつかの点で実質的に異なることを意味する。そのような非対称な構成体は、着用可能吸収性物品の閉じ込め/吸収性能、快適性、密着及び/若しくは外観を改善するために、並びに/又は材料の使用を節約するために、意図される着用者の前側と後側で異なる身体特徴及び機能に適合するように設計された外側カバー20の様々な特徴を有することによりもたらされる。「非対称な」及び「非対称」は、純粋に表面的な色合い又は表面装飾;インサートの締結(例えば本明細書に記載のファスナー構成要素);外側カバーを束ねる、折り畳む、保管する、又は運搬する;外側カバー内でインサートの向きを定める(逆もまた同様)ための印(例えば本明細書に記載の向きの印)の目的だけのため、又は着用可能な吸収性物品の性能、快適性、密着及び/若しくは物理的外観に影響を与えるための、並びに/又は材料の使用を節約するための、意図される着用者の前方と後方で異なる身体特徴及び機能に実質的に関連しない他の目的のために、外側カバー上に含まれる場合がある特徴に起因する外側カバーの横方向軸に対する違いを指さない。
【0062】
外側カバー横方向軸45に対する他の非対称は、同様に存在してもよい。例えば、図2A及び図2Bに示されるように、上で説明したように腰部開口部の調節機能を目的として、比較的局所化された外側カバーファスナー構成要素30が、それぞれ、締結用耳部29上に配置されてもよく、比較的横方向に拡張された受け側ファスナー構成要素31が、外側カバー前側領域27上に配置されてもよい。締結耳部29は、前側領域27上に同じように存在しない、後側領域28からの横方向延長部を形成することができる。外側カバー横方向軸45に対して外側カバーの機能的及び構造的非対称を作り出す違いの例が存在する。本明細書に記載のタイプの吸収性物品は、通常、着用者がユーザーにほぼ向かい合っているときに交換されるので、そのような構成は、これらの締結及び腰部開口部の調節機能の特徴を、ユーザーに面している着用者の前方腹部に位置付けることによってユーザーの便宜を高める。
【0063】
非対称の別の例では、様々な組成、構成及び/又は特性の材料は、後側領域28と比べて、前側領域27を主に形成してもよい。例えば、後側領域28を形成する材料は、前側領域27を形成する材料と比べて、改善された伸張/弾性特性を目的として選択されてもよい。この例では、改善された伸張/弾性特性を有する材料は、臀部の輪郭上でより良好に適合、伸張、及び収縮し、かつ、座る及び/又は腰の位置で体を前に曲げるなどの体の動きに適合して、より良好な被覆及び密着を提供するように機能してもよい。
【0064】
非対称の更なる例では、外側カバー20は、前側領域27と後側領域28とで異なる、弾性バンド、固定バンド及び/又は他の部材などの構造を有してもよい。
【0065】
非対称の更なる例では、外側カバー20を形成する材料は、前側領域と後側領域とで異なるレベルの親水性及び/若しくは疎水性、異なるレベルの通気性、異なる摩擦係数、並びに/又はその他の異なる機能的属性を有していてもよい、又はこれらが付与されてもよい。
【0066】
したがって、外側カバー横方向軸45に対する外側カバーの非対称は、ただ1つの前側領域とただ1つの後側領域とを有するような外側カバーの設計及び構成の結果であること、すなわち、外側カバー20の密着、快適性、性能及び外観が最適であるとしたら、前側領域及び後側領域は相互に交換可能でないことが理解される。
【0067】
追加の外側カバー、前側腰部領域及びランディング区域の詳細
ここで図14図18Cを参照すると、吸収性物品10は内側の、着用者に面する表面を有する。意図する通り、着用者にフィットさせるとき、着用者に面する表面は、着用者に最も近い吸収性物品10の表面である。図14では、外側カバー20の着用者に面する表面及び吸収性インサート50が可視である。図14の底面右側角において、外側カバー20は2つの別個の層、内層201及び外層202を有しているのが示されている。外層202の着用者に面する表面及び内層201の衣類に面する層が可視であるように、内層201は、外層202から分離され、折り畳まれているのが示されている。図15は、衣類に面する表面が最も可視であり、脚部開口部203及び腰部開口部204を通じて着用者に面する表面の一部が可視である、着用するように構成された吸収性物品10を示す。
【0068】
前側腰部領域205若しくは後側腰部領域206、又は両方は、外側カバーファスナー構成要素30を含む場合がある。図14は、後側腰部領域206上の着用者に面する側上の外側カバーファスナー構成要素30を示す。吸収性物品10は、着用者の臀部の下に後側腰部領域206を配置し、前側腰部領域205を脚部と腹側の尻部若しくは胴体との間で上方に引き(おむつの腰部が着用者上でどこに位置することを意図されているかによって)、後側腰部領域206の着用者に面する表面上でファスナーを前側腰部領域205の衣類に面する表面に締結することによって、着用者に適用され得る。また、例えば後側腰部領域206の衣類に面する表面上のファスナーを前側腰部領域205の着用者に面する表面上に締結することも可能である。したがって、締結システムの説明、及び具体的には、ランディング区域もこのように構成要素が逆になる実施形態も考慮するということが理解される必要がある。
【0069】
図16は、外側カバー20の衣類に面する表面を示す。外側カバー20の衣類に面する表面は、前側腰部領域205内にランディング区域207を有し得る。ランディング区域207は、外側カバーファスナー構成要素30を介して後側腰部領域206と前側腰部領域205を結合するように構成され得る。外側カバーファスナー構成要素30は、機械的ファスナー、例えばスナップ、ボタン若しくはボタン穴、結び目、ジッバー、ホック、面ファスナーなどを含んでもよい。外側カバーファスナー構成要素30は、感圧式接着剤、接着剤、選択的接着剤、又は粘着剤などの化学的ファスナーを含んでもよい。ランディング区域207は、外側カバーファスナー構成要素30と係合可能に協働する表面又は用具を含んで、それらの間の締結をもたらしてもよい。例えば、外側カバーファスナー構成要素30が機械的である場合、ランディング区域207は、スナップ、ボタン若しくはボタン穴、結び目、ジッバー、ホック、針穴又はループを含み得る。物品10が再利用可能である場合、外側カバーファスナー構成要素30及びランディング区域207を、汚れに耐性のあるシステムとして提供することが望ましい場合がある。例えば、一部の接着システムは、おむつを交換する際に一部の介護者によって使用され得るような粉類又は油類に露出されたときに無効となり得る。再利用可能な物品10は代わりに、機械的ファスナー、又は、いくつかの選択的な接着システム若しくは密着力のあるシステムのような、汚れることに強い、若しくは汚れた後に再生成することができる化学的ファスナー、のいずれかの締結システムを含んでもよい。再利用可能な物品10で有用であり得る、代表的な化学的ファスナーは、米国特許第7,722,592号(Dalalら)、同第5,908,695号(Kobeら)、及び米国特許出願公開第2008/0058753号(Dalal)に説明されており、これらはそれぞれその全体を本明細書に援用するものである。再利用可能な物品10に関して、少なくとも5回、又は少なくとも10回、又は少なくとも15回の、洗濯機内での洗濯サイクルを締結性能において顕著な劣化を有することなく経験することができる締結システムを使用することが望ましい場合がある。より好ましくは、再利用可能な外側カバーの締結性能は、外側カバー1年以上の通常使用で有用でありつづけることが望まれているように、30、40、又は更には50回の洗濯の後に実質的に劣化しないということが望ましい場合がある。これに関して、締結性能の「実質的な劣化」とは、2つの締結構成要素が、複数の状況下で意図された締結係合にされ、次いで係合力のかかる方向と同じ方向に沿って、分離力によって分離された後の、分離に対する初期の耐性の50%超の損失を意味する。
【0070】
図16では、ランディング区域207が、物品10の横方向の腰部縁部に実質的に平行な、横方向に延びる縁部を有しているのが示されている。一部の実施形態では、図17では、ランディング区域207は代わりに、山型の形状又はブーメランの形状であってもよい。かかる実施形態では、物品10の外周は、ランディング区域207の外形に追随してもよく、又は図17において示されているように、追加材料208が、ランディング区域207の長手方向縁部の上方で物品10の腰部を隆起させるのに使用されてもよい。追加材料208は、例えば、内層201又は外層202と同じ材料であってもよい。一部の実施形態では、内層201及び/又は外層202は、内層201及び/又は外層202が前側腰部領域205及び股領域26の少なくとも一部分を通って連続であるように、ランディング区域207の下で連続的に延びてもよい。
【0071】
物品にいくらかの曲げ剛性を、特に前側領域に、より具体的にはランディング区域に付与することが望ましい場合がある。物品の前側領域が過度に柔軟である、すなわち「だらりと垂れる」場合には、これは、着用者に対して物品を適用する際に、材料を適切な位置に制御し、かつ制御するのが難しい状況をもたらすおそれがあり、それは物品が着用されている間に丸まってしまう傾向もあり得る。したがって、前側領域、及び特にランディング区域にいくらかの曲げ剛性を付加することは、物品の着用時の取り扱い及び制御を促進するのを助け、これはまた、前側領域の材料が丸まってしまうのを防止するのに役立つ。いくらかの曲げ剛性は望ましい場合があるが、曲げ剛性が高すぎるのは、着用者にとって不快感の原因を作り得る。望ましい曲げ剛性を有するランディング区域を構成することが可能である。
【0072】
例えば、2部分からなる物品の外側カバーは、ランディング区域207が締結システムのループ部分を含む、面ファスナーを含んでもよい。様々な裏打ち、又は異なる厚さ、ループの高さ、若しくは材料の曲げ剛性に寄与する他の機構を有するループ材料の中から選択することによって、前側腰部領域205において、ループ材料の剛性のみに依存してランディング区域207を形成しながら、望ましい曲げ剛性を得ることが可能である。一実施例では、適したループ材料は、8オンス/平方ヤードの坪量を有する編地又は織布ポリエステルフリース布地であり得る。この材料は、一方の面又は両面が毛羽立てられて、圧縮可能な嵩張り及び厚さを付与することによって、曲げ剛性に寄与する一方で、圧縮可能かつ柔軟な感触を更に有してもよい。かかる布地は、面ファスナー式締結システムのループ構成要素として使用するのに適した、ランディング領域材料としての役割を果たす。より大きな程度の毛羽立てを有する面は、内側に配置されて、ランディング区域の構造に圧縮可能な厚さを付与することが期待されてもよく、その一方で、相対的により小さな毛羽立てを有する面又は毛羽立てされていない面は、ランディング区域の外側(衣類に面する)表面を形成し、面ファスナー式締結システムのフック構成要素との好適な締結可能係合性をもたらしてもよい。
【0073】
一部の状況では、補強部材209を提供することが望ましい場合があり、これはランディング区域207を形成する材料と、内層201を形成する材料との間に配置され得る。別個の補強部材209は、締結システム自体の特性を変えることなく、ランディング区域207の特性の修正を可能にする。例えば、面ファスナー式締結システムにおいて、より長い、又はより高いループは、システムを解放するのに必要とされる力を、恐らく望ましくない程度まで変え得る。補強層を含んで、ランディング区域に曲げ剛性を付与し、望ましくない効果を軽減することができる。
【0074】
一部の実施形態では、補強部材209は、ポリマーフォーム又は他の圧縮可能な材料を含んでもよい。フォームの補強部材209は、物品10が着用者にとって不快となるほどランディング区域207を硬くすることなく、物品10を取り扱いしやすく、適用しやすくし、及び/又は交換しやすくするのに十分な剛性をランディング区域207にもたらすことができる。具体的には、多くのループ材料の裏打ちとは異なり、補強部材209は圧縮可能であってもよく、これによって前側腰部領域205は、制御不可能な程だらりと垂れることなく「柔軟な」感触であり、これによって補強部材209は、着用者に対して押圧された場合に補強部材209自体に圧縮され得、これによって前側腰部領域205を様々な着用者の寸法及び形状に対してより適合させる。一部の実施形態では、補強部材209及びランディング区域207は、製造されたときに前側腰部領域205がz方向において(すなわち物品10の横方向軸45及び長手方向軸46の両方に垂直な方向)、2.76kPa(0.4psi)下で、垂直圧の20〜50%、又は25〜40%、又は25〜35%圧縮可能である。
【0075】
曲げ剛性に関して、ランディング区域207を形成する材料(例えばループ材料)は、補強部材209を有さずに、1つ以上の特定の位置において、本明細書のランディング区域の曲げ剛性試験を使用して測定されたときに、60〜120N/m、より好ましくは70〜110N/m、更により好ましくは80〜100N/mの曲げ剛性を有するように選択されてもよい。より大きな厚さ及び圧縮率が望ましい場合では、補強部材はループ材料の背後に提供されてもよく、100〜300N/mの曲げ剛性を付与するのに役立ち得る。言及したように、フォーム層を使用して補強層を形成してもよい。
【0076】
かかる曲げ剛性は、少なくとも1箇所、しかしより好ましくは、ランディング区域の曲げ剛性試験において説明するように3箇所全てで存在するのが望ましい場合がある。これは有利に硬く、介護者に物品を適用させ、素早くかつ容易にランディング区域にファスナーを係合させるランディング区域と、前側領域における材料の纏まりの回避とのバランスを取りながらも、望ましい柔軟性、従順性、及び着用者にとっての快適性をランディング区域にもたらす。
【0077】
また、前側腰部領域の横方向の伸縮性は制御可能であることが望ましい場合がある。前側腰部領域の快適性及び認識される柔軟性を提供するために、いくらか限定された伸縮性が望ましい場合があるが、同時に、前側腰部領域における締結の位置に近接する過剰な伸縮は、着用時、特に着用者の排出物の重量が詰まっているときに、着用したときに、許容できない物品の緩いフィット及びたるみに寄与する場合がある。したがって、限定された伸縮性を有する材料の選択によって、伸縮性を制御することが望ましい場合がある。一部の実施形態では、補強部材209及びランディング区域207を形成する材料は、ランディング区域207を有する前側腰部領域205の部分が、製造されたときに限定された伸縮を有するように選択されてもよい。例えば、前側腰部領域205のランディング区域部分は、本明細書のランディング区域の横ひずみ試験に従って測定したときに、100Nの横力下で60%以下、又は更には50%以下、又は更には45%以下の横ひずみを呈するように構成されてもよい。しかしながら、認識される柔軟性及び快適性のためには、前側腰部領域205のランディング区域部分は、本明細書のランディング区域の横ひずみ試験に従って測定したときに、100Nの横方向の力下で20%以上の横ひずみを呈するように構成されてもよい。このように、前側腰部領域205のランディング区域部分が、100Nの横方向の力下で20%〜60%、又は20%〜50%、又は更には20%〜45%の横歪みを呈することが望ましい場合がある。
【0078】
吸収性フォームは当該技術分野において公知であるが、補強部材209はいずれの状況においても吸収性である必要はない。一部の実施形態では、補強部材209が疎水性内層201に対して積層された場合、吸収性物品10に排出された排出物に対して補強部材209はほとんど露出されないか、又は全く露出されない場合がある。一部の実施形態では、例えば内層201が使用されていない場合、又は内層201が液体透過性である場合、補強部材209は吸収性であり得、及び吸収性物品10の全体的な吸収能力に寄与することができ、並びに/又は前側腰部領域205の縁部に沿って吸収性物品10から外への排出物の漏出を防止するのに有用であり得る。代表的な吸収性フォームは、例えば米国特許第5,331,015号(DesMaraisら)、同第5,387,207号(Dyerら)、及び同第6,083,211号(DesMaraisら)に説明されている。
【0079】
一部の実施形態では、フォーム又は他の圧縮可能な補強部材209は、一般的なファスナーの裏打ちよりも静かであり得る。すなわち、フォームの補強部材209は、操作されたときにカサカサと音を立てたり、又は他のノイズを生じない可能性がある。したがって、フォームの補強部材209は、その音響特性からより柔軟、かつより快適な物品10を作製することができる。当然、補強部材209は、芯地及び可溶材料(例えば、Pellon Consumer Products LLC(St.Petersburg,Florida,USA)から入手可能)などを物品に着用のための本体部分を提供するために、本明細書に説明するように圧縮可能な補強部材209とともに使用される追加層として、又は本明細書に説明するように、圧縮可能な補強部材209を含まない、物品10の他の部分においてのいずれかで他の従来の補強部材と共に使用することができる。
【0080】
一部の実施形態では、前側腰部領域205はランディング区域207によって画定され得る。あるいは、反対に、ランディング区域207は前側腰部領域205の実質的に全てにわたって延びてもよい。これは、介護者にとって、着用者に物品を適用する際に最大の利便性(すなわち、取り付けに関して大きな標的面積)と、腰部バンド外周の寸法決めにおいて最大の調節力とを提供し、かつ以下に説明されるように望ましくあり得る、前側腰部領域に対する剛性を付与する方法も提供する。これに関して、「前側腰部領域205の実質的に全て」は、ランディング区域207が、可能性のあるトリム、シームの許容量等を除き、前側腰部領域205と同一の広がりを持ち、いずれの場合においても、前側腰部領域205と85%未満の同一の広がりを持つということを意味する。一部の実施形態では、ランディング区域207は製造時に前側腰部領域205と90%未満の同一の広がりを持つ場合があり、前側腰部領域205と95%未満の同一の広がりを持つ場合がある。トリムは、弾性体、腰部バンド、並びにレース、リボンなどのいずれかの装飾物、又は前側腰部領域205に取り付けられ得る他の装飾物を含む。一部の実施形態では、ランディング区域207は、前側腰部領域205の横方向に実質的に全てわたって延びてもよく、又は前側腰部領域205の長手方向に実質的に全てにわたって延びてよいが、前側腰部領域205の全体に同一の広がりを持たない。補強部材209が存在する場合、補強部材209はランディング区域207と同一の広がりを持ってもよく、又は実質的に同一の広がりを持ってもよい。一部の実施形態では、補強部材209は、股領域26及び/若しくは後側腰部領域206の別個の部分内へ延びるように、又は股領域26及び/若しくは後側腰部領域206に配置されるように、前側腰部領域205を越えて存在してもよい。例えば、補強部材209は、物品10の長手方向の長さを通って延びてもよく、又は外側カバーファスナー構成要素30付近の後側腰部領域206の耳部において、若しくは外側カバーファスナー構成要素30と同一の広がりを持つ後側腰部領域206の耳部において延びてもよく、又は後側腰部領域206と実質的に同一の広がりを持って延びてもよい。一部の実施形態では、補強部材209は、股領域26における嵩を低減するために、股領域26からは除かれる。一部の実施形態では、補強部材209は物品10の長手方向長さ212の少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%から除かれる。補強部材209は、股領域26に少なくとも部分的に対応する、吸収性物品10の長手方向長さ212の一部から除かれる場合がある。補強部材209は前側腰部領域205にのみ、配置されてもよい。
【0081】
前側腰部領域205は、腰部バンド部分34を含み得る。腰部バンド部分34は、前側腰部領域205の外側寄り長手方向縁部に取り付けられた織布若しくは不織布材料の補強されていないスパン又はループを含み得る。腰部バンド部分34は弾性であってもよい。すなわち、それは製造された物品10のその長さの150%以下に延ばされたときに戻り力を作る傾向があり得る。腰部バンド部分34が作製される材料は、本来弾性であり得る。例えば、腰部バンド部分34はスパンデックス又は他の弾性材料を含み得る。一部の実施形態では、腰部バンド部分34は弾性要素を組み込んでもよい。例えば、腰部バンド部分34は、弾性構成要素を包囲する材料のループであってもよく、又は弾性の糸、糸状物、若しくはリボン等の弾性部材に縫い付け若しくは糊付けされてもよい。腰部バンド部分34は、特にそれが弾性であるときに、使用時においてランディング区域207の外側寄りの長手方向縁部を着用者の身体に対して折り畳む、又は引くのに役立ち得る。物品10の合計容量は超えてはいないが、排出物が身体から比較的短時間にわたり比較的に多くの量で排出されるときなど、流体捕捉の速度が超過するときなどに、物品10の縁部を着用者に対して引くことは、内部にある流体若しくは身体排出物を、これらの排出物が物品10によって吸収され得るまで保持することによって、漏出を防ぐのに役立つことができる。
【0082】
任意の弾性要素はさておき、腰部バンド部分34は補強されなくてもよい。すなわち、腰部バンド部分34は、被覆層又は下層を全く含まなくてもよく、並びに補強部材209若しくは補強材料を全く含まなくてもよい。補強されていない腰部バンド部分34は、漏出の防止及び/又は物品10の見て美しいフィットに有用であり得る。しかしながら、補強されていない腰部バンド部分34は垂れてしまう傾向があり得、これは腰部バンド部分34の効用及び/又は審美性を阻害する場合がある。腰部バンド部分34は、物品10の長手方向軸46に沿って中心を合わせて、前側腰部領域205の長手方向に外側寄りの縁部の90%未満、又は80%未満、又は75%未満ではあるが、50%超、又は60%超に沿って延びるのが望ましい。腰部バンド部分34は、前側腰部領域205の長手方向に延びる横方向縁部26に延びない場合、垂れ難いか、又はそれ自体の上に折り畳まれ難いであろう。
【0083】
上記の通り、前側腰部領域205は内層201及び外層202を含み得る。内層201及び外層202は異なる特性を有し得る。例えば、使い捨て物品10では、内層201は液体透過性トップシートであってもよく、外層202は液体不透過性バックシートであってもよい。他の実施例として、再利用可能であるか、又は再利用可能な外側カバーを有する物品では、内層201は、液体又は他の排出物を有用し、それらが吸収されるまで、それらを吸収性インサート50付近で保持するために疎水性であってもよく、外層202は、物品10を逃れたいずれかの排出物を吸収し、その広がりを制限するために吸収性であってもよい。内層201及び外層202の特性の様々な変形、並びに内層201若しくは外層202内の特性の変形は、例えば米国特許出願公開第2010/0179503(Roeら)に説明されている。
【0084】
内層201及び外層202はまた、互いに異なって構造化されてもよい。例えば、内層201は、前側腰部領域205の前側腰部縁部21から後側腰部領域206の後側腰部縁部22まで連続的であってもよい。一部の実施形態では、内層201は前側腰部領域205の少なくとも下に延び、より具体的には、ランディング区域207及び補強部材209(存在する場合)の下に延びる。一部の実施形態では、外層202は、ランディング区域207及び/又は補強部材209(存在する場合)の最も内側寄りの長手方向縁部に沿って、ランディング区域207に結合される。すなわち、外層202は、外層202がランディング区域207及び/又は補強部材209(存在する場合)の下又はその上に延びないように、ランディング区域207の開始部において終わってもよい。同様に、内層201は、ランディング区域207及び/又は補強部材209(存在する場合)の最も内側寄りの長手方向縁部に結合され得る。一実施形態では、着用者に面する側から衣類に面する側まで、物品10の前側腰部領域205は内層201、フォームの補強部材209、及びランディング区域207を含む。外層202は、フォームの補強部材209に、ランディング区域207に、又はフォームの補強部材209及びランディング区域207の両方に結合されてもよい。一部の実施形態では、外層202は前側腰部領域205の最も内側寄りの長手方向縁部に沿って内層201に結合されない(しかし、前側腰部領域205の外周に沿って内層201、又はその一部に結合されてもよい)。一部の実施形態では、外層202は、前側腰部領域205の最も内側寄りの長手方向縁部に沿って内層201に結合される。
【0085】
一部の実施形態では、股領域26は、脚部バンド部分36を含んでもよい。脚部バンド部分36は、股領域26において長手方向に延びる脚部開口部縁部23の少なくとも一部分に沿って延び得る。脚部バンド部分36は、後側腰部領域206内に長手方向に延び得る。一部の実施形態では、脚部バンド部分36は前側腰部領域205内に延びない。脚部バンド部分36は弾性又は非弾性であってもよく、腰部バンド部分34に関して上記変形例と同様な構造を有してもよい。一部の実施形態では、脚部バンド部分36及び腰部バンド部分34は、それらは長さ、幅、及び外形に関して、物品10内の異なる位置のために異なる場合もあるが、材料及び全体体構造に関して同じである。一部の実施形態では、脚部バンド部分36及び腰部バンド部分34は異なる材料から作製される。
【0086】
2つ以上の外側カバーファスナー構成要素30は、後側腰部領域206の着用者に面する面に結合され得る。外側カバーファスナー構成要素30は、ランディング区域207と係合可能に取り付け可能であり得る。例えば、ランディング区域207がループ材料を含む場合、外側カバーファスナー構成要素30はフックを含み、面ファスナーを形成することができる。1つ以上のファスナーが、取り付け点24において、内層201の着用者に面する表面に結合されてもよい。外側カバー20の着用者に面する表面のファスナーは、例えば吸収性インサート50に取り付けるために使用される場合があり、外側カバーファスナー構成要素30とは別個に選択されてもよい。一部の実施形態では、後側腰部領域206の着用者に面する表面上の外側カバーファスナー構成要素30は、様々なファスナーをどこに取り付けるのか混乱を回避するために、取り付け点210におけるファスナーとは異なる寸法又は形状となっている。
【0087】
取り付け点210は、内層201の着用者に面する表面に配置されてもよい。一部の実施形態では、1つ以上の取り付け点210はランディング区域207の下に位置する。一部の実施形態では、取り付け点210は、ランディング区域207及び/又は補強部材209に直接結合される。吸収性インサート50が取り付け点210に取り付けられる実施形態では、取り付け点210をランディング区域207及び/又は補強部材209に直接結合することは、構造内で吸収性インサート50を固定し、支持するのに役立つことができる。例えば、取り付け点210が内層201上に配置され、内層201が、前側腰部領域205の外周に沿ってのみ、又は前側腰部領域205の外周の一部分にのみ沿ってランディング区域207に結合される場合、内層201、及びしたがって取り付け点210は使用時に、着用者及び/又はランディング区域207に対して移動できる可能性がある。したがって、吸収性インサート50も着用者及び/又はランディング区域207に対して移動できる可能性がある。かかる相対運動は、フィット、快適性又は排出物封じ込めの不足を生じさせる恐れがある。しかしながら、取り付け点210をランディング区域207及び/又は補強部材209に直接固定することによって、吸収性インサート50は、ランディング区域207及び/又は補強部材209に間接的に取り付けられることができる。これは、使用時の吸収性インサート50の移動を減少させることができ、吸収性インサート50と着用者の身体との間の間隙を通じた排出物の漏出を低減又は防止するのに役立つことができる。一部の実施形態では、取り付け点210をランディング区域207及び/又は補強部材209に固定することは、使用時の吸収性物品10の腰部のたるみ、又は変位、又は内側への引張若しくはたるみ(着用者の方向へ)を防止するのに役立ち得る。単独ではないが特に、吸収性インサート50に排出物が充填されているとき、取り付け点210をランディング区域207及び/又は補強部材209に結合することは、より重く充填されたインサート22をその意図された位置において保持するのに役立つことができる。一部の実施形態では、取り付け点210は、前側腰部領域205の外周内でランディング区域207及び/又は補強部材209に取り付けられる。一部の実施形態では、取り付け点210は1つ以上の別個の点において、ランディング区域207及び/又は補強部材209に(例えば縫製又は他の取り付け機構によって)直接留められる。一部の実施形態では、取り付け点210は、取り付け点210の外周に沿ってランディング区域207及び/又は補強部材209に結合される(取り付け点210の外周の少なくとも一部分の周辺において、取り付け点210をランディング区域207及び/又は補強部材209に縫い付けることによるように)。一部の実施形態では、取り付け点210は、ランディング区域207及び/又は補強部材209に間接的に結合される(例えば、吸収性物品10にいずれの単一の縫製又はシームがないものには、取り付け点210並びにランディング区域207及び/又は補強部材209の両方からの材料を含み得る)。例えば、取り付け点210は内層201に結合されてもよく、内層201はランディング区域の外周内の1つ以上の別個の点において、ランディング区域207及び/又は補強部材209に取り付けられてもよい。他の実施例として、内層201は、前側腰部領域205の外周内の取り付け点210の外周の少なくとも一部分に隣接して、ランディング区域207及び/又は補強部材209に直接取り付けられてもよい(例えば、シームは、内層201並びにランディング区域207及び/又は補強部材209に結合されてもよく、シームは取り付け点210を包囲する)。
【0088】
構成体に関して、前側腰部領域205の実質的に全てにわたって横方向及び長手方向に同一の広がりを持つ内層201(含まれる場合)、補強部材209、及びランディング区域207を提供することは有利であり得る。図18Aに示すように、前側腰部領域205の2つ又は3つの層が実質的に同一の広がりを持つ場合では、それらは単一の連続シーム211によって結合することができる。腰部バンド部分34が使用される場合、腰部バンド部分34は、前側腰部領域205の形成前にランディング区域207に結合されてもよく、あるいは、腰部バンド部分34は同じ単一のシーム211によってランディング区域207に結合されてもよい。図18Aでは、シーム211は、シーム211が縫製された場合のように、物品10の衣類に面する表面から可視であるのが示されているが、シーム211が物品10の衣類に面する表面から見えないようにシーム211接着結合などの技術を使用して作製することもできる。対称的に、図18Bで示されているように、前側腰部領域205の層が実質的に同一の広がりを持たない場合、複数のシーム211A、211B及び211Cを形成して、物品10の前側腰部領域205に腰部バンド部分34、補強部材209及びランディング区域207を結合する必要があり得る。図18Bは、外層202に結合された腰部バンド部分34、補強部材209、及びランディング区域207を示しているが、腰部バンド部分34、補強部材209、及びランディング区域207は、内層201、又は内層201及び外層202の両方に結合することができる。これらの代替実施形態は追加的なシームを必要とする場合がある。例えば、図18Cで示されているように、腰部バンド部分34、補強部材209、及びランディング区域207を物品10に結合するための他のシームに追加して、シーム211Dは、内層201(図18Cでは図示せず)を外層202に結合するのに使用されてもよい。当然、別個の部分としてランディング区域207及び/又は補強部材209を提供することも可能であり、これらは物品10に対して必要とされるシームの数を更に増加させ得る。自動化された場合でさえも、各シームは製造プロセスに費用と複雑さを追加する。これは製造プロセスを遅くする可能性があり、また不具合に関する、より多くの可能性に関連し、シームの問題に起因する個々の物品に対する再作業、割引又は廃棄が必要になる可能性を高くする(例えば、シーム又は取り付けられるべき1つ以上の層の不適切な間隔又は位置決め、全ての望まれる層の質の悪い取り付け等)。
【0089】
一部の実施形態では、補強部材209はランディング区域207に積層されてもよい。例えば、補強部材209は、接着剤又はホットメルト接着剤によって、又は超音波溶接若しくは共押出、又は当該技術分野において既知の他のプロセスによってランディング区域207に結合することができる。補強部材209及びランディング区域207が別個に形成され、互いに積層される場合、それらは実質的に、補強部材209表面積全体にわたって取り付けられてもよく、又は別個の点若しくは別個の「線」のにおいて結合されてもよい。接着剤の、又は圧縮、熱、超音波接合等によって結合され形成されるパターンの「線」は、直線であっても、曲線であってもよく、又はパターン化されてもよく、連続的若しくは不連続的であってもよい。例えば、補強部材209及びランディング区域207は、螺旋、点線、ストライプ、若しくは点の「線」に沿って、又は重なる螺旋、編み目、ランダム、若しくは他のパターンを一列に並べた線に沿って結合されてもよい。一部の実施形態では、補強部材209をランディング区域207に積層することは、吸収性物品10の後側腰部領域206を前側腰部領域205に結合するために、より強度のある締結システムの使用を促進することができる。「より強度のある」締結システムは、外すのにより大きな力を必要とし、着用者に吸収性物品10を固定するのに役立ち、又は1つ以上の他の外側カバーファスナー構成要素30がランディング区域207から予期せぬ時に外れる、「突然外れる(pop-off)」のを防止することができる。一部の実施形態では、具体的には、締結システムとして面ファスナーのいくつかの組み合わせを使用するとき、ランディング区域207が補強されていない場合、あるいは前側腰部領域205の外周又は外周の一部分にのみ沿って、補強部材209に結合されている場合よりも、ランディング区域207が補強部材209に積層されている場合に、外側カバーファスナー構成要素30をランディング区域207から外すのがより容易であり得る。積層された補強部材209及びランディング区域207として有用な1つの代表的な材料は、商標VELTEXで販売されている、ポリエステルのフォームコア及びナイロントリコットの裏打ちを備えるナイロン布を含むものである。
【0090】
一部の実施形態では、補強部材209及びランディング区域207は実質的に同一の広がりを持ち、腰部バンド部分34は、補強部材209及びランディング区域207の両方に結合される。上記の通り、補強部材209及びランディング区域207は、前側腰部領域205が特定の曲げ剛性を有するように選択され得る。前側腰部領域205は特定のキャリパーも有する場合がある。例えば前側腰部領域205は、0.69kPa(0.1psi)において2〜6mm、3〜5mm、又は4〜6mmのキャリパーを有する場合がある。物品10の長手方向軸46に沿って中心を合わせて、前側腰部領域205の長手方向に外側寄りの縁部の90%未満、又は80%未満、又は75%未満ではあるが50%超又は60%超に沿って取り付けられたとき、具体的には、前側腰部領域205が上記の曲げ剛性及び/又はキャリパーを有するときに、補強されていない腰部バンド部分34は、それ自体の上に巻き付く、又は折り畳まれる傾向が少ない場合がある。前側腰部領域205の圧縮性は、腰部バンドの巻き付き又は折り畳みにおけるこの減少にとって重要ではないように思われる。腰部の巻き付き又は折り畳みの減少は、腰部バンド部分34が使用中にランディング区域207の前面で巻き付く、又は折り畳まれない場合、物品10がより良くフィットするように見える、又は更にはより心地よいように思われるという点で見て美しいものとなり得る。腰部バンドの巻き付き又は折り畳みの減少は、腰部バンド部分34が、着用者の身体に対して、前側腰部縁部21に沿った物品10からの排出物の動きに対して追加的なバリアを形成しながら、位置する場合、使用中に排出物は前側腰部縁部21に沿って物品10から排出物が逃れる可能性が少ないため、物品10の漏出保護を改善することもできる。一部の実施形態では、腰部バンド部分34は、この点においていくつかの改善を提供するために伸縮性である必要はなく、また着用者に対してピンと張っている必要もない。
【0091】
この説明は、図14に示すような使い捨て物品10よりも再利用可能な物品10においてより多く見られる可能性が高い構造体の外側カバー20に言及するものである。しかしながら、外側カバー20の構造体及び特性は、使い捨てオムツに適用するとことが理解される必要がある。比較として、外側カバー20の外層202は、使い捨ておむつのバックシートの衣類に面する表面に対応し得、外側カバー20の内層201は、使い捨ておむつのバックシートの着用者に面する表面に対応し得、一部の実施形態では、外層202及び内層201はそれぞれ、物品10内のバックシート及び別個の層に対応し得る。
【0092】
可能な吸収性インサートの詳細の例
吸収性インサート50の特徴の例が、図3図4及び図5A図5Fを参照して説明される。
【0093】
上述の通り、図3は、自立し、弛緩状態であり、外側カバーから切り離されて示されている、本明細書に記載の着用可能吸収性物品の内部構成要素を形成することができる使い捨て吸収性インサート50を斜視図で示している。図4は、身体に面する表面が見る人に面している、(図3に示されるのと同様の位置にもたらされる弾性に誘発される収縮に逆らって)延伸され平らにされて示されているインサート50の例を図示している。図5A図5Fは、図4で示されたインサート50の断面を様々な可能な例で示している。
【0094】
インサート50は、以下に更に説明されるもののような吸収性コア材料のための外被様エンクロージャを形成するトップシート51と、バックシート52と、を備えてもよい。トップシート51及びバックシート52は、長手方向シーム64に沿って、及び横方向シーム69に沿って互いに添着されてもよい。インサート50はまた、これに沿って添着される長手方向起立カフ53を備えてもよい。
【0095】
トップシート
トップシート51は、液体透過性不織布ウェブ材料で形成されてもよい。トップシート51を形成する材料は、着用者の皮膚に順応し、ソフトな触感で、刺激がないのが望ましくあり得る。トップシート51の少なくとも一部分は液体透過性であり、液体がその厚さを簡単に貫通することができるのが望ましくあり得る。適切なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、又は天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維又はポリプロピレン繊維)、若しくは天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布若しくは不織布材料などの、広範囲の材料から製造されてもよい。トップシート51が繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド、カード、湿式堆積、メルトブロー、水流交絡、ないしは当該技術分野において既知の別の方法で加工されてよい。
【0096】
ステープル長さのポリプロピレン繊維の不織布ウェブを含む1つの好適な材料は、商標名P−8でVeratec,Inc.のDivision of International Paper Company(Walpole,MA)により製造されている。成形フィルムを含む更なる好適な材料は、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、及び同第5,006,394号に記載されている。米国特許第4,609,518号及び同第4,629,643号にしたがって他の好適なトップシート30を作製してもよい。成形及び/又は有孔フィルムの好適な例には、Procter & Gamble Company(Cincinnati,Ohio)によってDRI−WEAVEとして、及びRichmond,VAに拠点を置くTredegar CorporationによってFRESHFEELとして製造される製品が挙げられる。好適なトップシートの材料には、TredegarによりCOMFORTFEEL、COMFORTQUILT、SOFTQUILT、及びCOMFORTAIREとして製造される、フィルムと不織布ウェブとの積層体を挙げることができる。
【0097】
ある状況では、トップシート51の少なくとも一部分は、吸収性コア71に含まれる液体から着用者の皮膚を隔離するために、疎水性材料で作製される、又は疎水性になるように処理されるのが望ましくあり得る。トップシート51を主に疎水性材料で作製する場合、トップシート51の上面の少なくとも一部分を親水性になるように処理して、液体がトップシートを通ってより迅速に移動するようにするが望ましくあり得る。トップシート51は、界面活性剤で処理することにより、又は界面活性剤をトップシート中に組み込むことにより、親水性にすることができる。トップシート51を界面活性剤で処理するのに好適な方法として、トップシート材料に界面活性剤を噴霧すること、及び/又は材料を界面活性剤中に浸漬することが挙げられる。そのような処理及び親水性のより詳細な説明が、米国特許第4,988,344号及び同第4,988,345号に含まれている。トップシートに界面活性剤を組み込む特定の好適な方法について、米国法定発明登録第H1670号により詳細に議論がなされている。しかしながら、別の例では、トップシート51は、疎水性である有孔ウェブ又はフィルムを含んでもよい。これは、以下に記述されるように、生産プロセスから親水性化処理工程を省くことにより、及び/又はSCOTCHGUARDのようなポリテトラフルオロエチレン化合物又は疎水性ローション組成物などでトップシート材料に疎水処理を施すことにより達成されてもよい。そのような例では、開口は、普通であれば疎水性に起因する著しい抵抗なく尿のような水性流体が貫通できるほど十分に大きいのが望ましくあり得る。開口は、低粘度の糞便物質の貫通が可能となるほど十分な有効孔面積及び/又は開口寸法を有するのが更に望ましくあり得る。これらの要件を満たすトップシートの例は、米国特許第5,342,338号、同第6,414,215号、及び同第6,010,491号に記載されている。
【0098】
トップシート51の任意の部分は、当該技術分野において既知のローション又はスキンケア組成物でコーティングされてもよい。好適なローションの例には、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、及び同第6,716,441号に記載されているものが挙げられる。ローションは、単独で又は他の剤と組み合わされて、上述の疎水化処理として機能することができる。
【0099】
トップシート51はまた、抗菌剤を含むかこれにより処理されてもよく、そのいくつかの例は、米国特許出願番号第08/212,441号(法定特許登録H1732として公開)に開示される。
【0100】
更に、トップシート51、バックシート52、又はトップシート若しくはバックシートの任意の部分は、より布様の外観をもたらすために、エンボス加工及び/又はつや消し仕上げされてもよい。
【0101】
トップシート51は、全体的に又は部分的に伸縮されてもよく、あるいは収縮させてトップシート51とコア71との間に空隙を形成してもよい。伸縮性を与えられた又は収縮されたトップシートを備える代表的な構造体は、米国特許第4,892,536号、同第4,990,147号、同第5,037,416号、及び同第5,269,775号に更に詳細に記載されている。
【0102】
バックシート
バックシート52は、一般に、衣類に面する表面を形成するインサート50の外側ライナー部分であり、インサート50内に吸収かつ収容された排出物が、外側カバーを通って吸い上げられて、外側カバーを汚すのを防止する。ある状況では、バックシート52は、実質的に液体に対して不透過性であるのが望ましくあり得る。
【0103】
バックシート52は、フィルム、不織布、又はフィルムと不織布との積層体で形成されてもよい。バックシート52は、実質的に液体不透過性の積層体又はフィルムと不織布ウェブとの複合体で形成されてもよい。バックシート52は、液体排出物を収容し、かつ外側カバー、外側衣類及び/又は着用者の環境から隔離するように、実質的に液体不透過性の不織布ウェブ、又は不織布ウェブと実質的に液体不透過性のフィルムとの積層体で形成されてもよい。同時に、インサート及び着用可能な吸収性物品の通気性を提供して、インサートと着用者の身体との間の領域の湿度を低減し、皮膚の水分過剰が原因で生じる場合がある皮膚のかぶれ及び/又は発疹の可能性を低減するのを助けるために、バックシート52は蒸気透過性であってもよい。
【0104】
バックシート52を形成する材料は、約0.012mm(0.5mil)〜約0.051mm(2.0mil)の厚さを有する、熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムを含むことができる。好適なバックシートの材料はまた、蒸気を逃すのを可能にし、なおかつ液体が通過するのを防ぐ、通気性の良い材料であってもよい。好適な例には、Richmond,VAに拠点を置くTredegar Corporationにより製造され、商品名CPC2、X15306、X10962、及びX10964フィルムで販売されているものを挙げることができる。他の例には、Mitsui Toatsu Co.(Japan)により商品名ESPOIR NOで製造されているような、及びExxon Chemical Co.(Bay City,TX)により商品名EXXAIREで製造されているようなミクロ孔質フィルム、並びにClopay Corporation(Cincinnati,OH)により商品名HYTRELブレンドP18−3097で製造されているようなモノリシックフィルムを挙げることができる。いくつかの追加の例には、PCT国際公開特許WO 95/16746号、並びに米国特許第5,938,648号、同第5,865,823号、及び同第5,571,096号に記載されているような、通気性の良い複合材料を挙げることができる。他の例では、バックシート52は、エラストマーフィルム、発泡体、ストランド、又はこれら他の好適な材料と不織布若しくは合成フィルムとの組み合わせを含んでもよい。
【0105】
特定の実施形態において、バックシートは、WSP 70.5(08)にしたがって、37.8℃及び相対湿度60%で測定して、約2000g/24h/mを超える、約3000g/24h/mを超える、約5000g/24h/mを超える、約6000g/24h/mを超える、約7000g/24h/mを超える、約8000g/24h/mを超える、約9000g/24h/mを超える、約10000g/24h/mを超える、約11000g/24h/mを超える、約12000g/24h/mを超える、約15000g/24h/mを超える水蒸気透過度(WVTR)を有してもよい。インサートのバックシート52は、従来の使い捨ておむつのバックシートのように着用可能物品の外表面を形成せず、むしろ外側カバーの材料の1つ以上の層(この層はそれ自体が、ある状況では、複合構造体のWVTRを低減するように作用する)で覆われるので、この特定用途においてはより高いWVTRが望ましくあり得る。
【0106】
バックシート52は、当該技術分野において既知の任意の好適な取り付け手段によって、インサート50のトップシート51、吸収性コア71又は任意のその他の要素に結合され得る。例えば、取り付け手段としては、接着剤の連続線若しくは連続層、接着剤の模様付き層、又は接着剤の分離した線、螺旋、若しくは点の配列を挙げることが可能である。取り付け手段の一例は、米国特許第4,573,986号に開示されているような、接着剤フィラメントのオープンパターンネットワークを含む。他の好適な取り付け手段として、米国特許第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に示される装置及び方法により例示されるような、螺旋模様に渦を巻く接着剤フィラメントのいくつかの線が挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minnesota)によって、HL−1620及びHL−1358XZPの名称で製造されている。あるいは、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは他の任意の好適な取り付け手段、又は当該技術分野で既知であるこれらの取り付け手段の組み合せを含むことができる。
【0107】
上記の外側カバーは、伸縮して着用者の解剖学的特徴及び体の動きに適合することによって、着用者の排泄物の排出に起因する吸収、膨張、及び付加重量により一般に使い捨ておむつに与えられる構造負荷の大部分に耐えかつこれを支持するような材料及び構成体で構成され得ることは理解されるであろう。そのため、使い捨ておむつの内部構成要素に要求される強度と比べて、そのような外側カバーを使用する場合には、インサートの構造強度の要件が少なくなる可能性がある。したがって、本明細書に記載のような物品は、石油系の材料(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)のような使い捨ておむつの製造で通常使用されるものとは異なる材料から製造される使い捨て吸収性インサートを包含することができる。例えば、上で特定された材料の他に、木材、綿、亜麻(亜麻布)、麻布、竹、又は他のセルロース繊維(例えば、紙)の製品で形成されたトップシート、バックシート、起立カフ及び/又は他の構成要素の1つ以上を有する使い捨て吸収性インサートが想到される。例えば、バックシート及び/又は起立カフにとって水性液体浸透性に対する耐性又は実質的な液体不透過性が望ましい場合、紙などの通常の親水性繊維で形成された材料に、皮膚適合性の油又はワックスなどの疎水性材料をコーティングする又は浸透させて、水性液体浸透性に対する所望の耐性を付与することができる。インサートを形成する材料のそれぞれは、水又は水溶液中に分散する、フラッシャブルである、生分解性である、及び/又は(好ましくは農業関連で使用可能な腐植土又は土壌改良に)コンポスタブルであるように選択されてもよい。
【0108】
吸収性コア
図5A図5Fを参照すると、インサート50は、トップシート51及びバックシート52で形成される外被様構造体内に吸収性コア71を有してもよい。吸収性コア71は、一般に圧縮性であり、柔軟性があり、着用者の皮膚に対して刺激がなく、並びに尿及び他のある種の身体排出物などの液体を吸収して保持できる、任意の吸収性材料を含んでもよい。吸収性コア71は、一般にエアフェルトと呼ばれている粉砕木材パルプ等といった、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に通常使用される多種多様な液体吸収性材料を含んでもよい。その他の好適な吸収性材料の例には、捲縮セルロース塊、コフォームを包含しているメルトブローンポリマー、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュラップ及びティッシュ積層体が含まれるティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又は他のいずれか既知の吸収性材料、又は材料の組み合わせが挙げられる。
【0109】
吸収性コア71は、液体獲得/分配材料65、及び貯蔵材料66を含んでもよい。一般に、獲得/分配材料65は、比較的迅速な吸収特性及び吸上特性を有し得るが、限定された吸収能力を有してもよい。反対に、一般に、貯蔵材料66は、比較的遅い吸収特性及び吸上特性を有し得るが、より大きな吸収能力を有してもよい。つまり、獲得/分配材料65は、尿などの液体の流出を迅速に吸収及び分配する役割を果たし得る一方で、より大きな吸収能力を有する貯蔵材料66は、獲得/分配材料からかかる液体を吸収して、それをインサートが交換され得るまでの必要な時間貯蔵する役割を果たし得る。
【0110】
吸収性コア71は、多種多様な寸法及び形状(例えば、矩形、砂時計形、「T」字形など)に製造されてもよい。吸収性コア71の形状及び構成は様々であり得る(例えば、吸収性コア又は他の吸収性構造体は、様々なキャリパーゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の獲得ゾーンを有してもよく、あるいは1つ以上の層又は構造体を含んでもよい)。吸収性コア71として使用される吸収性構造体の例には、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,834,735号、同第4,888,231号、同第5,137,537号、同第5,147,345号、同第5,342,338号、同第5,260,345号、同第5,387,207号、及び同第5,625,222号に記載されているものを挙げることができる。
【0111】
吸収性コアの全体的な寸法及び/又は厚さを低減し、それにより着用者の快適性を改善し、かつ汚れたインサートによって生じる処理可能な廃棄物の量を低減するために、性能制約内で可能な最小量のコア材料を使用して吸収性コアを作製するのが望ましくあり得る。このような目的で、好適な吸収性コアの好適な材料及び構成の例が、同時係属米国特許出願第12/141,122号、同第12/141,124号、同第12/141,126号、同第12/141,128号、同第12/141,130号、同第12/141,132号、同第12/141,134号、同第12/141,141号、同第12/141,143号、及び同第12/141,146号に記載されているが、これらに限定されない。これらの出願は、超吸収性ポリマー粒子と組み合わされる、エアフェルト又は他の形態のセルロース繊維の必要性及びこれらの混入を最小限にする又は排除する吸収性コア構造(以下「実質的にエアフェルトを含まないコア」と称する)を一般的に記述している。エアフェルト及びその他のセルロース繊維は、使い捨ておむつの吸収性コアの吸収性充填剤として使用されてきた。そのような繊維は吸収性特性を有しており、吸収性コアにいくらかの吸収能力を付与するが、超吸収性ポリマー及び/又は吸収性ゲル材料の分散粒子を保持するための構造マトリックスを提供するためにも含まれる。そのような粒子の含有は吸収能力を強化する一方で、そのような粒子を適切に分散した状態に保つことは、使用中に粒子が液体を吸収して膨張したときに「ゲルブロッキング」して、吸収能力の損失をもたらすのを防止するために重要であり得る。エアフェルト又はその他のセルロース繊維を、超吸収性粒子のためのマトリックスとして含ませることは、ゲルブロッキングを低減又は防止するのに役立つ可能性がある。しかしながら、このことはまた、あらゆる液体を吸収する前にも吸収性コアに嵩を付与する。
【0112】
すぐ上で特定された同時係属の出願の開示を踏まえて、本明細書の図5C及び図5Eに示された例を参照すると、実質的にエアフェルトを含まない部分を有する吸収性コア71は、トップシート51とバックシート52との間に配置されてもよい。コア71は、少なくとも部分的に基材で形成された層と、超吸収性ポリマー又は吸収性ゲル材料の分散した吸収性粒子66と、分散吸収性粒子66を捕捉し、かつ基材の少なくとも一部分に接着して、吸収性粒子66を基材上に又は基材に近接して、及び基材に対して不動化する熱可塑性接着剤組成物とを包含することができる。
【0113】
本明細書に記載の外側カバー20の特徴は、現在入手可能な全体として使い捨ておむつである多くのタイプと比べて、(外側衣類として又は他の衣類の下で)比較的改善された肌着のような(又は下着のような)密着、快適性及び外観を有する着用可能吸収性物品を提供する。そのような特性を有する外側カバー20を、相当量のエアフェルト又はその他のセルロース繊維を組み込んだ吸収性コア71を有するインサート50と共に使用すると、外側カバー20によってもたらされる改善された肌着のような密着、快適性及び外観は、インサートの嵩高性によって損なわれる可能性がある。したがって、外側カバー20の改善された肌着のような密着、快適性及び外観のいくらか又は大部分を良好に保つために、すぐ上で引用された特許出願の1つ以上に記載されるような、比較的薄い吸収性コアをもたらす特徴を有して、インサート50の吸収性コア71を構成するのが望ましくあり得る。
【0114】
嵩の低い吸収性コアを提供するのに加えて、実質的にエアフェルトを含まないコアは、一般に、相当量のエアフェルト又はその他のセルロース繊維を含有する吸収性コアよりも可撓性であり得る。この高い可撓性は、使用中にコア及び関連インサートが着用者の身体の周囲により良好に適合できるようにして、着用可能物品10の改善された快適性及び嵩高の小さい外観を提供することができる。
【0115】
更に、エアフェルト又は他のセルロース繊維材料を少なくする又は排除することによって、実質的にエアフェルトを含まないコアは、製造中に消費される材料の量を低減し、梱包及び出荷されなければならない単位当たりの空隙の量(及びある状況では、重量)を低減するので、この点で資源を保護し、かつ、使用済みの/汚れたインサートの廃棄に関連して廃棄されなければならない材料及び嵩の量を低減する。
【0116】
副層
インサート50はまた、トップシート51とバックシート52との間に配置される副層を含んでもよい。副層は、身体排出物を受容、貯蔵又は不動化することのできる任意の材料又は構造体であってもよい。したがって、副層は、単一の材料又は互いに動作可能に関連した複数の材料を含んでもよい。更に、副層は、インサート50の別の要素と一体であってもよく、又はインサート50の1つ以上の要素と直接的に又は間接的に結合した1つ以上の別個の要素であってもよい。更に、副層は、コア71から分離した構造体を含んでよく、コア71の少なくとも一部分を含むか又はその一部であってよい。
【0117】
副層として使用するのに好適な材料としては、大型連続気泡発泡体、マクロ孔質耐圧縮不織布嵩高品、連続気泡発泡体及び独立気泡発泡体の大型寸法粒子状成形物(マクロ及び/又はミクロ孔質)、嵩高不織布、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン発泡体又は粒子、多数の垂直配向のループ状繊維ストランドを含む構造体、打ち抜き穴又は窪みを有する上述の吸収性コア構造体、などを挙げてもよい。副層の一例は、3M Corporation(Minneapolis,Minnesota)からXPL−7124として入手可能な、約1.5mmの非圧縮厚さを有する機械的締結ループランディング要素を有している。別の例は、1平方m当たり110グラムの坪量と7.9mmの非圧縮厚さを有する、捲縮され樹脂結合された6デニールの不織布嵩高体を含み、この不織布嵩高体は、Glit Company(Wrens,Georgia)から入手可能である。他の好適な吸収性及び非吸収性の副層は、米国特許第6,680,422号及び同第5,941,864号に記載されている。更に、副層若しくはそのいずれかの部分は、その要素の性能若しくは他の特性を付加し、強化し、又は変化させる、ローション若しくは他の既知の物質を包含するか、又はそれらでコーティングされてよい。
【0118】
起立カフ
インサート50はまた、その長さに沿って部分的に又は全体的に取り付けられる一対の長手方向起立カフ53を備えてもよい。好適な長手方向起立カフ(種々の公開された例では「レッグカフ」、「バリアカフ」、「ガスケッティングカフ」等と定義されている)は、次の文献に記載されているがこれらに限定されないもののような材料及び構成体で形成され得る:
米国特許第6,786,895号、同第6,420,627号、同第5,911,713号、同第5,906,603号、同第5,769,838号、同第5,624,425号、同第5,021,051号、及び同第4,597,760号、及び同時係属米国特許出願公開第2007/0239130号、及び米国特許出願第11/195,272号。図3に示されるように、起立カフ53は、それに沿って長手方向に配置されるカフ弾性体58a、58bの1つ以上のストランド又はストリップを有してもよい。そのようなカフ弾性体58a、58bが、起立カフ53を形成するウェブ材料に固定される前に予めピンと張られると、得られるこれに沿った長手方向張力は、起立カフ53を形成するウェブ材料に図示のようなギャザーを寄せ、かつカフをインサートの本体から(図3に関しては上方に)延出させる、つまりカフを「起立」させる。この特徴により、起立カフ53は、インサート50を包含する物品が着用されると、排泄物が排出される解剖学的特徴の両側に長手方向に、着用者の身体に沿ってガスケット構造を形成する。こうして、起立カフ53は、インサート50の、そして結果として着用可能な吸収性物品の排出物閉じ込め能力を強化するように機能し得る。バックシート52と同様に、起立カフ53は実質的に液体不透過性ウェブで形成されて、液体排出物を収容し、かつ外側カバー、外側衣類及び着用者の環境から液体排出物を隔離することができる。同時に、インサート及び着用可能な吸収性物品の通気性をもたらして、インサートと着用者の身体との間の領域の湿度を低減し、皮膚の水分過剰が原因で生じる場合がある皮膚のかぶれ及び/又は発疹の可能性を低減するのを助けるために、起立カフ53は蒸気透過性であってもよい。
【0119】
別の例では、例えば、非限定的な例として、同時係属の米国特許出願公開第2007/0239130号に記載のように、起立カフ53を形成する材料は、バックシート52を形成する材料と一体であってもよい。この特定の例では、図3を参照すると及びこれと関連して、連続した1枚の材料は、一方の起立カフ53を形成し、インサートの下を包み込んでバックシート52を形成し、反対側を上方に包み込んでもう一方の起立カフ53を形成することができる。このラップアラウンド構造の例は、起立カフ53と、バックシート52と、を含む外側の液体を収容する面に沿ったシームを排除することにより、インサート50に改善された液体閉じ込め能力を提供することができる。この構造の別の例は、米国特許第4,808,178号に図示及び記載されている。
【0120】
しかしながら、ある状況では、製造上の制約及び/又は経済的制約がこのような構造を阻む場合がある、あるいは、起立カフ53及びバックシート52を形成する材料は異なる特性を有するのが望ましい場合がある。例えば、用途によっては、起立カフ53が、依然として流体をはじき、かつ収容する傾向があり得るが、一般に、フィルムなどの実質的に液体不透過性の積層体よりも通気性の良い、近接して位置する疎水性繊維を含む不織布ウェブ材料で別の方法により形成される場合、起立カフ53が実質的に液体不透過性であることが必要であると考えられない可能性がある。この場合、図3に示したように、起立カフ53を形成する材料でインサートの下側にある長手方向角部の下を部分的にのみ包み込み、この材料を、最も外側の下側角部ではなく、インサートの下のシームで固定することにより、改善された強度及び液体閉じ込め特性を依然として付与することができる。この構成の一例は、米国特許出願第11/158,563号、具体的にはその図13及び関連する文章に示され、記載される。
【0121】
インサートの非対称性
図4を参照すると、インサート50は、その長手方向長さを均等に分割するインサート横方向軸70を有する。インサート50は、インサート横方向軸70に対して非対称である構造を有してもよい。この説明を目的として、インサートに関して使用するとき、「非対称な」及び「非対称」とは、インサート横方向軸70の片側の特徴、幾何学的形状(例えば、形)、材料及び/又は構成体が、インサート横方向軸70の反対側のそれらと、いくつかの点で実質的に異なることを意味する。そのような非対称な構成体は、着用可能吸収性物品の閉じ込め/吸収性能、快適性、密着及び/若しくは外観を改善するために、材料の使用を節約するために、並びに/又は処理可能な廃棄物の量を低減するために、意図される着用者の前側と後側で異なる身体特徴及び機能(すなわち、体輪郭、排出器官及び排除機能)に適合するように設計されたインサート50の様々な特徴を有することによりもたらされる。「非対称な」及び「非対称」は、純粋に表面的な色合い又は表面装飾;外側カバーの締結(例えば本明細書に記載のファスナー構成要素);ユーザーがインサートを把持する(例えば本明細書に記載の把持構造体);外側カバー内でインサートの向きを定めるための印(例えば本明細書に記載の向きの印)の目的だけのため、又は着用可能な吸収性物品の性能、快適性、密着及び/若しくは物理的外観に影響を与えるための、材料の使用を節約するための、並びに/又は処理可能な廃棄物の量を低減するための、意図される着用者の前方と後方で異なる身体特徴及び機能に実質的に関連しない他の目的のために、インサート上に含まれる場合がある特徴に起因するインサート横方向軸に対する違いを指さない。
【0122】
一例として、図4に示されるように、トップシート51は、そこを通る1つ以上の開口63を、主に股領域及び/又は後方領域55内に有してもよい。開口63は、液体又は低粘度の糞便物質を、トップシート51を貫通して、そのような開口を有さない場合よりも迅速に、これを吸収性コア71の吸収性材料に到達させ、インサート50の液状の糞便の吸収及び閉じ込め能力を向上させることができる。
【0123】
別の例では、例えば、同時係属の米国特許出願第11/224,779号、同第11/786,890号、及び同第11/894,087号に記載のような1つ以上のポケット、スペーサー、低粘度の糞便管理要素、張設された伸縮性トップシート内の開口部などの糞便管理機能が、物品の後部に配置されてもよい。つまり、トップシート51は、後方領域内に1つ以上の比較的大きな開口を備えて、固形物又は高粘度の排泄物を制限なく又は比較的制限が少なくそこを通して移動させてもよい。開口の寸法は、所望の糞便封入性能を達成するうえで重要であり得る。開口が小さすぎる場合、排出点と開口位置との位置合わせがうまくいかないのが原因で、又は糞塊が開口より大きな寸法を有するのが原因で、排泄物が開口を通過しない可能性がある。しかしながら、開口が大きすぎる場合、収容された排泄物からの「再湿潤」にさらされる可能性がある皮膚面積が大きくなる。開口は、約10cm〜約50cmの面積を有することができる。ある状況では、開口は、約15cm〜35cmの面積を有するのが望ましくあり得る。
【0124】
インサートの吸収性コアは、非対称性を有していてもよい(吸収性コアの非対称性)。吸収性コアの非対称性は、前方と後方で異なる着用者の生体構造の特徴及び機能に従って、吸収性コアの特定の材料及び特徴をそれらが最も必要とされる及び/又は最も有効である場所に位置付けるための、吸収性コア内の材料及び特徴の配列によってもたらされてもよい。
【0125】
例えば、図5A図5B図5C図5D、及び図5E図5Fをそれぞれ比較することによって理解され得るように、インサート50の後方領域55の全て又は一部分は、獲得/分配材料71を含むが、前方領域54と比べて貯蔵材料66が少ないか含まなくてもよい。この特定の吸収性コアの非対称によって、貯蔵材料66は、着用されたときに主に着用可能な吸収性物品の前方に位置付けられることができる。これは、インサートの尿貯蔵能力の優位な割合を着用者の尿排出点の近くに提供して、漏れの可能性を低減し、かつ、特に貯蔵材料66が液体を吸収して膨張する際の潜在的な不快感並びに/又は不体裁な寸法及び嵩を、着用者の脚の間又は臀部領域から除去することができる。更に、この特定の非対称は、貯蔵材料66を、実質的にインサート全体に沿ってではなくインサートの一部分のみに位置付けることによって、使用する貯蔵材料66の量の節約をもたらす。米国特許第6,278,037号に開示されているティーバッグ遠心能力テストで測定した場合、吸収性コアの前方領域の液体貯蔵能力は、吸収性コアの後方領域の液体貯蔵能力よりも高くてもよい。吸収性コアの前方領域の液体貯蔵能力は、後方領域の液体貯蔵能力よりも、少なくとも約10%、20%、50%、又は更には100%以上高くてもよい。そのような構成では、前方領域54及び後方領域55の両方に位置付けられる獲得/分配材料65は、液体(通常は、尿)を獲得し、主に前方領域54内に位置付けられる貯蔵材料66にそれを移動させるように機能することができる。あるいは、又は更に、インサートの前方領域内の獲得システム又は構成要素材料の面積及び/若しくは坪量は、後方領域のそれより、少なくとも約10%、20%、50%、又は更には100%以上大きくてもよい。あるいは、又は更に、吸収性コア71の表面積、断面積及び/又は横方向幅は、後方領域55と比べて前方領域54の方が大きくてもよい。例えば、吸収性コア71の表面積、断面積及び/又は横方向幅は、吸収性コアの前方領域内に存在するより大きな割合の獲得/分配及び/又は貯蔵材料に適合するために、後方領域55と比べて前方領域54の方が大きくてもよい。
【0126】
図5A図5C及び図5Eを参照すると、他の例では、前方領域54の吸収性材料66は、それぞれ、獲得/分配材料65内に分散されてもよく(図5A)、獲得/分配材料65と流体連通する独立した液体透過構造体若しくは被包67内に収容されてもよく(図5C);又は保持材料68の接着性マトリックスの上若しくはその中に分散されて、獲得/分配材料65と流体連通してもよい(図5E)。反対に、後方区域55は、主に獲得/分配材料65を収容し、貯蔵材料66は前方領域54と比べて少ないか、全くない(図5B図5D図5F)。前方領域54内の材料は、同時係属の米国特許出願第12/141,122号、同第12/141,124号、同第12/141,126号、同第12/141,128号、同第12/141,130号、同第12/141,132号、同第12/141,134号、同第12/141,141号、同第12/141,143号、及び同第12/141,146号の1つ以上に記載されている構成に従って配置されてもよく、後方区域55は異なる構成を有する。
【0127】
別の例では、図5Cに示されるように、貯蔵材料66及び獲得/分配材料65は、吸収性コア71の異なる別個の層を占有してもよい。ある状況では、獲得/分配材料65を含む層の表面積(すなわち、図4に示される平らにされたインサートに関する平面図の表面積)を、貯蔵材料66を含む層よりも大きくするのが望ましくあり得る(逆もまた同様)。例えば、獲得/分配材料65を含む層が、前方領域54内にインサートを横切って大きな表面積を有するように形成される場合、前方領域内のより多くの量の獲得/分配材料に空隙を提供するのに役立つことができる。このことは、前方領域に向けて放出された比較的大量な尿の流出を迅速に吸収し、かつ分配するためのより大きな収容力を前方領域に付与することができ、これは、例えば、年齢が上の男の乳児及び幼児用の着用可能な吸収性物品にとって望ましくあり得、インサートの閉じ込め能力を高めることができる。
【0128】
しかしながら、別の例では、例えば新生児及び幼い乳児などでは、尿の大量の流出は予想されないが、比較的相当量の液体又は低粘度の糞便物質が予想される。したがって、この群の意図される着用者用の着用可能な吸収性物品は、大きな表面積を占める大きな寸法の獲得/分配層を、インサートの後方領域55に有してもよい。このことは、後方領域に向けて放出された液体の流出又は低粘度の糞便物質を迅速に吸収するためのより大きな収容力を後方領域に付与して、インサートの閉じ込め能力を高めることができる。
【0129】
前方領域と後方領域との違いはまた、睡眠中に使用するインサートのために含まれてもよい。起きている間に使用するように設計されたインサートは、上記のように、その液体貯蔵能力の優位な割合を前方領域54内に有していてもよい一方で、例えば、幼い乳児が睡眠中に使用するように設計されたインサートは、流体排出物が重力の影響で流れる場所に貯蔵能力の優位な割合を位置付けることによって仰向けに眠る乳児に適合するために、その液体貯蔵能力の優位な割合を後方領域55内に有していてもよい。
【0130】
インサートの後方領域55の吸収性コアの中に増粘剤を配置するのもまた望ましくあり得る。増粘剤は、液体又は低粘度の糞便物質の粘度が高くなり、それにより不動となり、インサート内に収容され易くなるという追加の保証をもたらすのに有用であり得る。
【0131】
インサート50はまた、非対称な全体的形状/バックシートを有していてもよい。例えば、図4に示されるように平らにした状態で見て、インサート50は、インサート横方向軸70の片側に、反対側より大きな表面積を占めてもよい。このことは、バックシート材料の使用中の快適性、身体被覆、外観、性能及び/又は節約の目的で有用であり得る。例えば、貯蔵材料66の優位な割合を含むと共に、インサート50の前方領域54は、貯蔵材料を収容するためのインサート内の大きな空隙に関連して、大きな表面積を占有してもよく、例えば、うつ伏せで眠る着用者の夜間の吸収及び閉じ込め能力を改善し、特に吸収性材料が液体を吸収して膨張する際に、インサートが平らな状態を維持できるようにする。そのような大きな表面積は、インサート横方向軸70の反対側で後方領域55が占める表面積よりも、インサート横方向軸70の片側で大きくてもよい。
【0132】
インサート50はまた、外側カバーの股領域にあるエリア内に狭い領域を有してもよい。股領域のこの狭まりは、脚の間の寸法及び嵩を排除することによって、着用者の快適性を改善するのに役立つことができる。図2Bを参照すると、股領域のこの狭まりは、インサート50が限られた量の吸収性材料をその中に有しかつ限られた幅を有することで、外側カバー20の股領域26の空隙の収容力を超えて膨張しないのを確実にすることによって、外側カバー20の股領域26が、インサート50の横方向に中心合わせされた位置を収容しかつ維持しやすくなるように機能することができる。そのような狭まりは、例えば、インサートの後方部分へと続いて、全体的形状/バックシートの非対称を作り出すことができる。
【0133】
インサート50はまた、上記されたものと同じ、関連した、又はその他の目的に貢献するために、他の方法でインサート横方向軸70に対して非対称であってもよい。
【0134】
したがって、インサート横方向軸70に対するインサートの非対称は、ただ1つの前側領域とただ1つの後側領域とを有するようなインサートの設計及び構成の結果であること、すなわち、インサート50の意図される密着、快適性、性能及び外観が完全に実現されるとしたら、前側領域及び後側領域は相互に交換可能でないことが理解される。
【0135】
把持機構、除去及び廃棄補助部
図2G図2H図2Q図3及び図4を参照すると、インサート50はまた、各ユーザー把持構造体59、61を有してもよい。ユーザー把持構造体59、61は、ユーザーがインサート50をその各端部で迅速かつ容易に把持できるようにするために提供され得る。
【0136】
図示され及び/又は提案される把持構造体は、ユーザーがインサート50をより迅速に把持し、かつ図3に示されるのと同様の収縮位置から、図4に示されるのと同様の伸展位置まで伸張できるようにすることができ、これは、インサート50を外側カバーの中に設置するために望ましくあり得る。図示のように、ユーザー把持構造体59、61がインサート50の各端部に近接して中心合わせされると、これは、以下により詳細に記載される各中心合わせされたファスナー構成要素対を同じ場所に配置するための視覚的補助をユーザーに提供することもできる。
【0137】
更に、ユーザー把持構造体59、61は、ユーザーがインサート50をそれぞれの端部で迅速かつ容易に把持できるようにするのに役立つ可能性があり、このそれぞれの端部は、着用者の身体の排出点からの距離により、インサート50の交換が必要又は望ましくなったときに汚れにくい。したがって、ユーザーは、汚れたインサート50を外側カバー20から取り外すときに、着用者の排出物がユーザーの手と接触するのをうまく回避できるようになり得る。図2Qに示されるように、インサート角部付近に横方向に延びる把持構造59を有する構造は、汚れたインサートを外部カバーから除去する際に、ユーザーの点が汚れるのを防ぐことを可能にし、ユーザーが廃棄のために汚れたインサートを折るか又は巻くことを更に可能にし得る。
【0138】
図2G図2H及び図2Qに示される例を参照すると、ある状況では、インサート上に1つを超える把持構造体59を含むのが望ましくあり得る。これは、図2G図2H及び図2Qに示されるような、1つを超えるファスナー構成要素56がインサートの端部上に配置されている例において有用であると考えることができる。このような状況では、各ファスナー構成要素56に関連付けられかつ近接した独立した把持構造体59を有することによって、ユーザーは、適切に同じ場所に配置及び/又は位置合わせされたファスナー構成要素59、33を用いて、インサートをより簡単に正確に外側カバー内に位置付ける及び設置するように、インサートの一部分を操作することができる。外側カバーからインサートを取り外すことが必要な場合に、ファスナー構成要素の分離をもたらすのに必要な場所にユーザーの牽引力を集中させることによって、ユーザーが対のファスナー構成要素33からファスナー構成要素56をより簡単に引き離して、それらを分離させることができるようにすることも可能である。
【0139】
ユーザー把持構造体59、61は、図2E図2F図2Q図2S図2T図3及び図4に示されるようなタブ状拡張部を有してもよく、インサート50が外側カバー20内に設置されるときに自由端は内部に取り付けられず、容易に把持可能である。ユーザー把持構造体は様々な形態を有してもよい。非限定的な例として、ユーザー把持構造体は、インサート50の端部から延びるループ様拡張部分、インサート50の端部近くを貫通する指穴、インサートの横方向中心線70に向かい合う開口部を有するポケット、及びインサート50をその端部に近接する位置で把持及び引張やすくするその他の構造体、の形状をとることができる。
【0140】
更に、把持構造体59、61は、ユーザーがインサートをしっかりと把握しかつ引張やすくするために、高い摩擦係数(例えば、少なくとも約0.5)を有する材料、弾性的な圧縮性材料、及び/又は三次元レリーフを有する表面で形成されてもよい。
【0141】
把持構造体59、61はまた、インサートの横方向中心線に向けてインサートのそれぞれの末端部の上又は下に折り重ねられることができるように構成又は適合されてもよい。このことは、把持構造体を他の材料の背後に隠して、排泄物による汚れから把持構造体を保護する役割を果たすことができる。あるいは又はこれに加えて、このことは、ユーザーにとっての利便性を増す役割を果たすことができる。
【0142】
図2Q図2S図2T、及び図3に示されるように、把持構造59、61は、端部支持補強材60、62(以下で更に記載される)を形成する材料の長手方向、横方向又は他の延長部の形態であり得る。
【0143】
図3を更に参照し、インサートはまた、汚れたインサートを外側カバーから除去した後の良好な処理及び、廃棄の利便性のために、インサートを折り畳まれるか巻かれた構成に保持するように構成された、廃棄補助部81を含み得る。図3に示されるように、廃棄補助部81は、取り外し可能/最締結可能なテープのストリップの形態であり得る。汚れたインサート50を外側カバーから取り除く際、ユーザーは、これをバックシート52が外側を向くようにして長手方向に折り畳むか、又は巻くことができ、その後テープ型の廃棄補助部81をバックシートへと持ち上げて再締結し、インサートが折り畳まれるか、又は巻かれた状況にあることを確実にする。トップシート51を内側、バックシート52を外側にした状態で、インサート50を折り畳まれるか巻かれた状態に保持するように機能する、他の形態の廃棄補助部が使用され得る。
【0144】
インサート/外側カバーファスナー構成要素、向きの印他の可能な特徴
図2B図3及び図4に戻って参照すると、先述の通り、外側カバー20は、その上に配置された前側及び/又は後側インサートファスナー構成要素33、32などの1つ以上のインサートファスナー構成要素を有してもよい。インサート50は、インサート上に配置された前側及び/又は後側ファスナー構成要素56、57を有してもよい。インサート50上の各前側及び/又は後側ファスナー構成要素56、57は、外側カバー20上に配置された対応の前側及び/又は後側インサートファスナー構成要素33、32との締結を可能にするように協働するよう選択及び/又は適合され得る。
【0145】
締結位置のタイプ、位置、及び位置決め
一例を挙げれば、インサート50の各前側及び後側ファスナー構成要素56、57と、外側カバー20上の対応の前側及び後側インサートファスナー構成要素33、32との締結を可能にするために、対応の締結対56、33及び57、32は協働ファスナー構成要素を有することができる。好適な面ファスナー式締結システムの例は、Velcro Industries B.V.の製品であるVELCROシステムであり、このシステムの構成要素は、Velcro USA,Inc.(Manchester,New Hampshire)から入手可能である。面ファスナー式締結システムは特定の利点を提供する。各ファスナー式要素はシート状又はストリップ状で供給されるので、この要素を適切な形状のパッチに切断することができ、このパッチを、接着剤結合、機械的結合、超音波接合、縫合、縫製、縁かがり、縁取り等の様々な手段で布基材に添着することができる。対応の面ファスナー式パッチをファスナー構成要素として使用する場合、締結は、ファスナー構成要素を対面接触させて置き、ゆるい圧力を加えるだけで達成されるので、比較的容易な締結、ユーザーにとっての容易さ及び便宜(例えば、ボタンとボタン穴といったファスナー構成要素と比較して)は、もたらされるいくつかの利点のうちの1つである。
【0146】
一部のタイプのフック構成要素は、ある状況では、意図される対応するループ要素以外の様々な材料に望ましくなく引っかかる又はからみつく傾向があり得るが、現在入手可能であるほとんどのタイプのループ要素は、この傾向を有さない。したがって、ある状況では、ループ要素のパッチがインサートファスナー構成要素33、32の一方又は両方を形成し、フック要素のパッチがファスナー構成要素56、57の一方又は両方を形成するのが望ましくあり得る。この構成では、引っかからないインサートファスナー構成要素を外側カバー上に定置する。これは、外側カバー20が再利用可能となるように設計されている場合などある状況において望ましくあり得、外側カバー20上の要素が外側カバー20の他の部分に、又は、外側カバー20と一緒に保管又は洗濯される衣類物品などの他の物品に、望ましくなく引っかかる可能性を低減する。
【0147】
しかしながら、締結対56、33及び57、32は、面ファスナー式締結システムの対応の要素を必ずしも有する必要はなく、2つの要素からなる締結システムの対応の要素を必ずしも有する必要はない。むしろ、締結システムは、1つのファスナー構成要素しか必要としなくてもよく、又は他のタイプのファスナー構成要素を使用してもよい。使用するファスナー構成要素は、インサート又はその一部分と係合する、これを固定する、及び別の方法で保持するように適合されてもよい。外側カバー20上のファスナー構成要素には、接着剤のパッチ、比較的高い摩擦係数の領域を有する構造体、ポケット、フラップ、ストラップ、あるいはその他の捕捉、保持及び/又は固定表面、デバイス、又は構造体を挙げることができる。したがって、一例である図2Cを参照すると、外側カバー20の内側は、外側カバー20の内表面25上に又は内表面25に沿って位置付けられた1つ以上のポケット構造体32a、33aを、例えば、前側領域27又は後側領域28内に有してもよい。このようなポケット構造体は、(立位姿勢の着用者に対して、及び図2Bに対して)下方及び上方を向く開口部を有してもよい。ポケット構造体は、例えば、インサート50の前方領域54の前縁部及び一部分を受容、嵌合及び捕捉するように構成されてもよい。ポケット構造体33a、33bは、横方向軸45と向かい合う開口部を有してもよく、インサート50の末端部はその中に挿入されかつそれによって保持される。別の方法としては、ポケット構造体は、横方向軸45とは反対側を向く開口部を有してもよく、インサート50の末端部はその中に挿入されかつそれによって保持され、次にインサート50はかかる開口部の上に横方向軸45に向かって折り返されることができる。図2Dを参照すると、別の例では、インサート50の角部がポケットの中に挿入されかつ保持されるように位置決めされた1つ以上のポケット32b、33bが、外側カバー20の内表面の前側及び/又は後側領域内に設けられてもよい。そのようなポケットは、材料32c、33cの縁部によって画定され、横方向及び長手方向軸の両方に対して約0〜90度、より好ましくは約30度〜60度の角度を形成する、個別の開口部を有してもよい。このようなファスナー構成要素の1つ以上は、外側カバー20の前側領域及びインサート50の前方領域に配置された他のファスナー構成要素の代わりに、これらに加えて、又はこれらと組み合わされて設けられてもよい。一例として、外側カバー20は、後側ファスナー構成要素32を形成するループ要素のパッチ(図2B参照)と一緒に、前側領域27内にポケット構造体33a(図2C参照)を有してもよい。このような構造体、及びフックのパッチをファスナー構成要素57として有する適切に適合されたインサート50を使ってインサートを設置するために、ユーザーは、インサート50の前縁部をポケット構造体33aに挿入し、次に、対応のファスナー構成要素32、57を係合することによって、インサート50の後方部分を外側カバー20の後側領域の中に締結することができる。
【0148】
別の例において、ファスナー構成要素32、33はそれぞれフック要素のパッチであってもよく、一方でファスナー構成要素56、57は、単に、そのようなフック要素によって取り付け可能に係合可能であるように適合された織布又は不織布材料で形成された表面であってもよい。更なる別の例において、ファスナー構成要素56、57はそれぞれフック要素のパッチであってもよく、一方でファスナー構成要素32、33は、単に、そのようなフック要素によって取り付け可能に係合可能とされるのに好適な、又は取り付け可能に係合可能であるように適合された織布又は不織布材料で形成された表面であってもよい。
【0149】
また、締結対56、33及び57、32のそれぞれの要素を含むあらゆる形態のファスナー構成要素が、インサート50又は外側カバー20のいずれかの上に配置されてもよい。例えば、フックパッチがインサート50又は外側カバー20のどちらかの上に配置され、協働するループパッチがインサート50又は外側カバー20のもう一方の上に配置されてもよい。
【0150】
外側カバー20上の構成要素32などのインサートファスナー構成要素は、固定バンド38、又は斜めの固定バンド38aなどの固定システムの少なくとも一部分に取り付けられても又は接続されてもよい。これは、上で引用した1つ以上の特許出願の、固定バンドの説明において記載されているように、利点の1つとして、吸収又は収容された排出物の重量によって生じる構造負荷の分布をもたらすことができる。
【0151】
締結位置は、例えば、インサート50の4つの角部のそれぞれと、外側カバー20上のこれに対応する位置に、並びに、適切に選択されかつ配置されたファスナー構成要素によって生じるインサート50及び外側カバー20に沿った他の位置にも、複合的に配置されてもよい。例えば、ファスナー構成要素は、インサートの前方及び/又は後方領域内のインサートの末端部に近い長手方向側部に沿って配置されてもよい。ファスナー構成要素は、インサートの縁部に隣接して配置されてもよく、又は縁部の横方向及び長手方向内側(inboard)に配置されてもよい。例えば、ファスナー構成要素は、インサートの全ての縁部から少なくとも1、2、又は3cmの位置に配置されてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つのファスナー構成要素が、インサートの横方向又は長手方向縁部から、又はその両方から、少なくともインサートの幅の4分の1に等しい距離の位置に配置される。1つの実施形態では、ファスナー構成要素は、長手方向軸の長さの少なくとも約5分の1に沿って配置される。
【0152】
ファスナー構成要素は、衣類に面する表面上に材料を担持する接着剤、感圧接着剤、又は凝集剤材料のパッチ若しくはストリップの形態を有してもよく、ないしは別の方法により、接着剤、感圧接着剤又は凝集剤材料から形成され得る。パッチ又はストリップは、インサートの衣類に面する表面の約20%、50%、75%、又は更に実質的に全てを被覆することができる。このようなパッチ又はストリップは、インサートの衣類に面する表面の少なくとも一部に取り付けられてこれを被覆し、かつ任意により、剥離紙によって被覆されて、接着剤/凝集剤を保存し、ユーザーがインサートの挿入に備えるまで、貯蔵及び運搬の間、汚染及び意図しない接着を防ぐ。ユーザーが外側カバー内へのインサートの挿入に備えると、ユーザーは剥離紙を剥離し、それによって接着剤/凝集剤を露出して、外側カバー内にインサートを接着させるように機能するべく利用可能にする。接着剤又は凝集剤を含むファスナー構成要素は、インサートの、本明細書において記載される他の種類のファスナー構成要素と、締結構成において組み合わされてもよく、又はインサートの一端が1つ以上の接着剤又は凝集剤タイプのファスナー構成要素を有してもよく、インサートの他端が、本明細書において記載される1つ以上の他の種類のファスナー構成要素を有し得る。
【0153】
ファスナー構成要素対56、33及び57、32のいずれかといった締結システムは、図示のように、前方/前方及び/又は後方/後部端部/領域のそれぞれあるいはいずれかの近くに、単一化され、横方向で中心に合わせ、かつ局所化された締結位置を形成してもよい。図2B及び図3に示される、挿入端部の一方又は両方において、インサート及び外側カバー上それぞれにおいて、実質的に横方向で中心に合わされた、単一化した、局所化した締結位置を有することが、一定の利益を提供し得る。
【0154】
ユーザーが、インサートの端部において、インサート50を外側カバー20に移し、締結しなければならない、位置の単一化及び局所化により生じる、ユーザーのための、挿入の単純性及び容易性が、1つの利益であり得る。
【0155】
第2の利点は、締結位置の単一化、局部化により生じる、外側カバー20内のインサート50の部分的な力分離取り付けから生じ得る。この力分離構成により、ファスナー構成要素33、32を包囲する外側カバー20の一部分、例えば腰部バンド部分34、35、及び前方領域27及び特に後方区域28は、インサート50及びその一部分の構造とは実質的に独立し、かつこれに妨げられずに、横方向に伸張及び収縮することができる。これは、外側カバー20の横方向収縮による、インサート50の端部に沿った横方向座屈又は塊化(これは不快感を生じ得、及び/又はインサートの端部の着用者に面する表面と着用者の皮膚との間に隙間を生じ、漏れに対する弱さを生じる)を避けることがある。これはまた、インサート50の構造が外側カバー20の横方向の伸張又は収縮を制限するのを防ぐ(これは、本来、その間のより力結合した構成の結果として生じ得る)。このような外側カバーの伸張及び収縮の横方向の塊化、座屈、又は制限は、さもなければ通常、例えば、所与の長手方向位置に近接してインサート50の幅にわたって1つを超える締結位置を用いて、又はインサート50の幅の大部分に沿った横方向に非局在化/拡張された連続的な締結位置を用いて、インサート50の幅の大部分を外側カバー20に力結合するやり方で、外側カバー20内にインサート50を締結するのに付随して起こり得る。力分離はしたがって、フィットの向上、収容性能、外見及び着用者の快適性、意図されるインサートの形状及び着用中の性能の維持能力の改善を提供し得る。
【0156】
したがって、位置実施例において、図2Oを参照し、インサート50に取り付けられる、ファスナー構成要素56及び/又は57を形成するフック構成要素のパッチは、インサート状に実質的に横方向で中心に合わされてもよく、インサート50に沿った有効幅Wを有してもよく、これは、端部支持補強材を含まないインサート50の最大横幅Wの約50%以下だけ延びる(以下に記載)。これにより、例えば、インサート50が外側カバー20の中に設置されたときに、インサート50の幅の約50%以下が、フック構成要素のパッチの作用によって外側カバーに力結合されることになり、それに応じて、この幅の約50%(すなわち、幅Wに沿ってインサートに取り付けられない又は力結合されない幅Wの部分)は、外側カバー20から力分離されることになる。ある状況では、外側カバーから力分離されるインサート50の前方領域54及び/又は、特に、後方領域55の横方向幅のこの部分は、約50%をも超えるのが望ましくあり得る。このように、例えば、連続的に取り付けられるフックのパッチを含むファスナー構成要素56又は57の幅Wは、幅Wの約40%以下、約30%以下、又は更には約20%以下であるのが望ましくあり得る。別の例では、前方領域54及び/又は後方区域55における横方向幅の少なくとも幅W約50%が、外側カバーから力分離されるのが、ある状況では望ましくあり得る。ある状況では、外側カバーの中に設置されるときに、幅Wの約50%超過、約60%超過、約70%超過、又は更には約80超過が、外側カバーから力分離されるのが望ましくあり得る。
【0157】
しかしながら、一定の状況において、幅Wの約50%超が、外側カバーから力分離されることは重要でないことがある。いくつかの状況において、有用な利益が、別の目的を満たす一方で、インサート幅のより小さい部分を力分離することによってもたらされ得る。例えば、インサート50は、利用可能なフックタイプ構成要素よりも比較的積極的でない、フックのパッチから形成されるファスナー構成要素56及び/又は57を含む場合があり、したがって、良好な締結性能を提供するために、比較的より大きな接触表面を必要とする。これらの、及び他の状況において、外側カバーに力分離されるインサートの横幅の約90%未満、より好ましくは約75%未満、更により好ましくは約60%未満が、以前として必要な締結/保持性能を提供する一方でいくらかの力分離利益を達成するために、十分であり得る。
【0158】
このように単一化されかつ比較的横方向に局所化された締結位置を提供して、インサート50の少なくとも一方の末端部の横方向幅にわたって限られた力結合を提供する、他のファスナー構成要素が可能である。他の好適なファスナー構成要素は、タブ及びスロットファスナー、マクロフック及びループファスナー、ボタンファスナー、インターロックファスナー、フック及びスロットファスナー、スナップファスナー、接着剤ファスナー、及び他の利用可能なファスナータイプが挙げられる。
【0159】
上記の単一化され、局所化された締結位置が上記の利益を提供し得るが、いくつかの状況においてこれらはまた、不利益をもたらし得る。いくつかのインサート実施形態において、インサート50の外側角部は、外側カバーに固定されない場合、着用中に、着用者の運動若しくは位置、又は排出物の充填(例えば、股部区域)に反応し、インサート横方向軸70に向かって、又はインサートの主な位置の外形外に、座屈、弛み、又は回転しやすくなる場合がある。更に、図3を参照すると、及び上述された縁部58に沿ったカフ弾性体58a、58bを備える起立カフ53の説明から、予め延伸されたカフ弾性体58a、58bによって長手方向張力が付与されると、起立カフ53は、インサート50の各外側の角部を互いに向けて長手方向に引っ張る傾向があり得ることが理解される。これらの力に抵抗する構造が存在しない場合、インサート50の外側の角部は弛む又は座屈する可能性があり、起立カフ53は緩む、弛む、又は更にはつぶれる可能性がある。これにより、カフの縁部58と着用者の身体との間に隙間が生じ得る。その結果、このことはカフのガスケット機能を損なって、漏れリスクを高くする可能性がある。
【0160】
上記で特定される利益は、いくつかの状況において、インサートの前方領域においてより大きな関心となり得る。インサートの角部の制御は、インサートの両末端部において重要であり得るが、尿道により近位であるという理由から、前方領域54において特に重要であり得る。排出された尿が主に前方領域で貯蔵されるインサート設計は、排出物充填の重量及び膨張応力を、インサート50の前方領域56、ひいては前方角部に集中させる可能性がある。前方角部、又はその付近において作用するインサートの前部における応力はまた、着用者の脚の前方への関節運動(這う、又は歩くときに、一緒に又は交互に)、又は腰部に向けて胴体を折り曲げることにより、適用されるか又は倍増され得る。
【0161】
同時に、いくつかの状況において、力分離は、インサート28及びシャーシ55の後方区域において、より望ましいことがあるが、これは後部におけるウエストバンド伸長に対するより大きな要求が、解剖学的特徴及び身体の運動の様式から生じ得るためである。例えば、着用者は尻部において通常前方に曲がるが後方には曲がらず、臀部及び尻部の外形と組み合わされたこのような運動は、フィット、快適性及び外観の目的のために、前方ウエストバンド領域よりも、後方ウエストバンド領域において、横方向伸張及び収縮に対する大きな要求を課す。
【0162】
したがって、図2E図2F及び図2G図2Hに示されるように、単一化/局所化され、横方向で中心に合わされ、力分離されたファスナー構成要素対32、57は、例えば、外側カバー20の後方区域28、及びインサート50の後方区域55など、物品の前方又は後方の一方のみにおいて利用され得、一方でインサート50の前方角部を効果的に制御するファスナー構成要素対33、56は、外側カバー20の前方領域27、及びインサート50の前方領域54など、他の区域において利用され得る、実施例が想到される。この構成は、力分離が最も所望され得る一区域における力分離を可能にし、角部制御が最も所望され得る別の区域においてインサート角部制御を提供する。
【0163】
インサートの構成要素又は部分の緩み及び/又は回転の可能性を低減するための角部の制御は、一連の実施例において、ファスナー構成要素対の配置及び/又は形成によって改善され得る。図2E図2F、及び図2G図2Hを再び参照し、例えば、外側カバー20及びインサート50のそれぞれの前側/前方領域にあるファスナー構成要素対33、56は、インサート50が挿入されたときに、インサート50の前方角部が外側カバー20に効果的に捕捉及び保持されるように配設、成形、寸法設定及び/又は載置され得ることが分かる。したがって、インサート上に配置されたファスナー構成要素56は、インサートの幅の約4分の1、又は2分の1と少なくとも等しい有効幅Wを有してもよい。いくつかの例では、ファスナー構成要素の幅Wは、幅Wの約50%〜100%、又は約75%〜95%、又は更には約85%〜95%であってもよい。(W及びWに関して参照するために、図2O及び図2Pを参照されたい。)多くのファスナー構成要素56が含まれる場合(例えば、直線上、配列、又は他のパターンで)、ファスナー構成要素幅Wは、横方向に最も外側のファスナー構成要素56の締結可能な効果的な部分の横方向に最も外側の縁部の間の、横方向の間隔であるものと考えられる。(本明細書の目的のため、「締結可能な有効部分」とは、インサートの幅の一部を外側カバーへと有効に力分離するファスナー構成要素のいずれかの部分を意味する。)
【0164】
図2G図2Hを参照し、インサートの所与の長手方向縁部において2つ以上のファスナー構成要素56を有する実施例において、端部に沿ったインサート横方向幅の非取り付け部分は、ファスナー構成要素56の横方向内側縁部間に存在する。非取り付け部分を横断するインサートの端部の緩み及び/又は座屈の可能性、及びひいては、着用者の不快感又は端部に沿った排出物の漏れの可能性を生じ得る。
【0165】
インサート末端支持補強材
上記の力分離、又は力結合及びファスナー構成要素の配置により生じ得る問題に更に対処するため、インサートの一端又は両端の付近に強化構成要素を含めることが望ましい場合がある。例えば、いくつかの場合において、インサート端部が、インサート長手方向軸にわたる、過剰な曲げ、塊化、又は座屈に対して抵抗性であることが望ましい場合がある。他の状況において、上記のように、インサート角部が弛み又は座屈に抵抗性であることが望ましい場合がある。
【0166】
図3及び図4を参照し、端部支持補強材60及び/又は62が、インサートの一端及び両端において含まれ得る。このような端部支持補強材は、ユーザーがインサートを外側カバーに係合するのを援助し、インサート50が外側カバーの下に装着されている間にその意図される形状及び配置を維持するのを助ける、すなわち、意図される形状、位置及びガスケット機能(例えば、起立カフ53の)を維持するのを助けるように機能することができる。端部支持補強材60、62はまた、インサート上に含まれるファスナー構成要素の寸法、タイプ又は位置にかかわらず、インサートの角部を制御するのを助けることができる。カフ縁部58の長手方向の引張に対する抵抗をもたらすのに加えて、末端支持補強材60、62は、あらゆる方向への又はあらゆる平面における曲げに対する抵抗を提供することができる。
【0167】
端部支持補強材60、62は、インサート50内にその一端又は両端の付近において、取り付けられるか又は組み込まれてよい(図3及び図4に示される)。使用中にインサート50が最適な形状を維持する傾向を増加させるのに加えて、このような端部支持補強材は、インサート50が外側カバーに設置される前に、インサート50の関連付けられた端部が開いて平坦なままでいる傾向を増加させることができる。インサート50の端部は、設置前にユーザーが保管及び/又は運搬する間、普通は折り重ねられる又は束ねられる可能性があるので、端部支持補強材は、インサート50の関連付けられた端部に、外側カバー内に設置するためのユーザーによる操作をそれほど必要としない形状/配置を維持又は追求させることによって、ユーザーの便宜を向上させることができる。
【0168】
図4を参照し、1つ以上の端部支持補強材60、62は、インサートに対して横方向の向きで配置され、任意の平坦なシート状、又はカード上材料、又は任意の平坦な効果アセンブリで形成されてもよく、これはインサート横方向軸70のより近くに位置する隣接部分の剛性を上回る。一例を挙げれば、末端支持補強材は、インサート末端部の材料の一部分を折り重ねて、材料の折り畳まれた層を含む補強領域を形成することによって形成されてもよい。別の例では、端部支持補強材60、62は、インサート50の端部の上に、液状接着剤若しくは半流動体接着剤又はその他の材料の横方向のバンド、ストリップ、又はその他の形状若しくは模様の堆積物を堆積することによって形成されてもよく、この堆積物は剛化状態に硬化又は冷却して、適用される基材に追加の補強を付与する。別の実施例において、端部支持補強材は、シート形状の厚紙又は同様の材料で形成され得る。好適な補強材の一例は、シート形状で提供される、0.078cm(0.031インチ)厚さのVOLARA 6Aフォーム(Sekisui Voltek,LLC(Lawrence,MA)の製品)であり、同じ厚さの同じもの、及び同様の材料が入手可能であり使用され得る。補強材は、補強、適用、添着、若しくは任意のその他の好適な方法によって含有されるために、インサート50の一部分に積層されても、又は接着剤を介して適用されてもよい。好適な補強材の他の例は、不織布の追加層;タフト状不織布;フィルム;フィルム、不織布、及び/又は他の材料の積層体;ファスナーループ又はフック構成要素のパッチ;好適な把持構造の部分;1つ以上の他のインサート及び/又はコア材料の部分などが挙げられる。当業者は、本明細書に記載の試験によって説明され、測定される剛性が、インサート端部に対して、様々な方法で材料の選択及び/又は材料の追加することによって増加されることを容易に理解するであろう。
【0169】
端部支持強化材60、62は、これらが位置するインサート50の領域の平坦な横方向及び/又は長手方向の剛性を、このような強化材に隣接し、平面図に関して(例えば、図4)横方向軸70により近い、インサートの部分と比較して高くしてもよい。剛性のこれらの異なる配向特性は、インサートの様々な特性に影響を与え得る。例えば、図3を参照すると、端部支持補強材60、62(補強部分)を含む部分の、起立カフ53の長手方向張力に抵抗する能力(特に縁部58に沿って)は、補強材の平面及び長手方向剛性の1つ以上の影響を受け得ることが分かる。補強部分の存在に付随する柔軟性、及び関連する着用者の快適性又は不快感は、補強材の平面剛性の影響を受け得る。
【0170】
起立カフの長手方向張力に抵抗する補強部分の能力に関連した剛性の1つの尺度は、縁部偏向力であり、これは、以下に記載の縁部偏向力測定法にしたがって測定される。構造的剛性及び快適性という、潜在的に相容れない目的の観点から、インサート端部の強化部分(すなわち、端部支持強化材を含む端部)は、上記の縁部偏向力測定方法により測定した際に、少なくとも約0.2N、より好ましくは少なくとも約0.5N、又は代替的に、及び更により好ましくは、それぞれ、約0.2N〜約3.0N、又は約0.4N〜約2.0N、又は更に約0.50N〜約1.70Nの平均縁部屈曲力(30)を有することが望ましい場合がある。(用語「ピーク縁部偏向力(y)」、又は「縁部偏向力(y)」が本明細書において使用されるとき、「y」は、縁部偏向力測定方法において記載される際に間隔1010のmmによる横方向寸法であり、本明細書において図6Aに示される。)
【0171】
補強部分の快適性に関する剛性の他の測定は、以下に記載の曲げ剛性測定法に従って測定されるピーク曲げ力及び曲げ剛性(Peak Bending Force and Bending Stiffness)である。快適性の観点から、挿入端部の強化部分(すなわち、端部支持強化材を含む端部の部分)は、約0.1N〜4.0N、より好ましくは約0.1N〜3.7N、更により好ましくはそれぞれ、約0.2N〜3.0N、又は約0.5N〜2.5Nの平均ピーク曲げ力を有する。加えて、又は代替的に、挿入端部の強化部分は、約100N/m〜1,000N/m、より好ましくは約100N/m〜600N/m、更により好ましくは、それぞれ、約200N/m〜500N/m、又は300N/m〜400N/mの平均曲げ剛性を有する。
【0172】
端部支持補強材60、62は、インサート50の端部の一方若しくは両方に隣接して又は近くに位置付けられてもよく、その幅のかなりの部分に沿ってインサートを補強するために、その横方向中心から横方向に延在してもよい。あるいは、補強材は、その長手方向で最も外側の縁部(インサートに対して、すなわち、横方向軸70から最も遠い縁部)が、インサート50の関連する端部から少なくとも約0.5、1、2cmに配置され、インサートの長手方向中央線の周囲で実質的に横方向で中心に合わされ得るように配置され得る。1つ以上の端部支持補強材60、62は、少なくとも、幅Wの約30%、より好ましくは約40%、更により好ましくは約50%〜約100%を有してもよく、又はインサートを形成する他の材料の長手方向縁部を超えて延びてもよい。端部支持補強材60、62は任意の長手方向寸法を有することができるが、インサートの長さLの25%未満の長手方向寸法が、着用者の快適性をより良好に保証することができ、したがって望ましくあり得る。いくつかの実施例において、端部支持補強材60の長手方向寸法Lis図2O、2Pを参照のこと)は、補強材の長手方向に最も外側の縁部から、補強材の長手方向最も内側の範囲(すなわち、最も近い横方向軸70)まで測定した際に、約5mm〜約50mmであってもよい。補強材はまた、インサートを形成する他の材料の長手方向縁部の一方又は両方を超えて横方向に延びてもよく、その端部のインサートを形成する他の材料の横方向縁部を超えて長手方向に延び得る。インサートの一方又は両方の末端部が末端支持補強材を有してもよい。補強材は、フック材料のストリップ又はパッチなどのファスナー構成要素を含むか、これにより形成されるか、又はこれにより更に補強されてもよい。インサートが両端に補強材を含む例では、各端部支持補強材は、異なる形状、寸法、剛性、厚さ、色、構造、配置、材料、又は組成物を有してもよい。端部支持補強材はまた、上述のように、かつ図3に示されるように、把持構造体又はファスナー構成要素を包含してもよく、又はこれらと一体であってもよい(端部支持補強材60は把持構造体59と一体に描かれている)。
【0173】
ファスナー構成要素の構成及び端部補強の特徴
上記のように、インサートの端部において、効果的に力分離され、単一化/局所化された締結システムの使用は、利益と不利益の両方を呈し得る。利益のいくつかは、端部支持強化材を含めることにより、又は代替的に、インサートの角部において支持を提供する、更なる力分離締結システムの使用によって、緩和され得る。
【0174】
同様に、角部、又はその付近の端部における、2つの分離したファスナー構成要素を有する締結システムの使用は、利益及び不利益(製造における費用の増加及び複雑性を含む)の両方を呈することがある。不利益のいくつかは、端部支持補強材を含めること、及び/又は比較的力分離した、単一化/局所化した締結システムを使用することによって緩和され得る。
【0175】
インサート上に端部支持補強材を含めることは、有益な効果を有し得るが、これはまた着用者の快適性、製造における費用の増加及び複雑性の問題を生じることがある。
【0176】
これらの様々な種類のインサート・外側カバー締結、及び/又は支持システムが呈する各利益及び不利益を考慮し、ユーザーの利便性、フィット、構造支持、インサート及び起立カフの一体性、及び収容機能に対処するこれらのシステム、着用者の快適性、並びに製造における費用及び複雑性の最小化の組み合わせを利用することが望ましいことがある。
【0177】
ある状況において、インサートの端部角部を外側カバーに効果的に取り付けるファスナー構成要素のペアを含めることは、費用及び/若しくは複雑性の理由により望ましくないことがあり、又は上記のように、インサート50の各端部の近位のただ1つの単一化/局所化した、横方向で中心に合わされた締結位置を有することの利益を犠牲にし得る。例えば、外側カバー28の後方区域では、上記の理由から、力分離される構成をもたらす単一化及び比較的局所化された締結位置が望ましくあり得る。しかしながら、この効果が、角部支持及び起立カフの支持の望ましくない損失である場合、端部支持補強材は、単一化/局所化締結システムと共に、望ましい場合がある。
【0178】
1つ以上の端部支持補強材60、62を含むインサート50の一部分は、起立カフ53の張力に効果的に耐え、インサート50の使用中に起立カフ53及びその縁部58をガスケット形状に実質的に維持し、かつインサート50の角部を横方向に拡張された位置に実質的に維持して、角部の座屈又は塊化を防止するのに十分なほど硬いのが望ましくあり得る。所望の追加の剛性の程度は、補完的な端部支持補強材を有さないインサート材料の固有の剛性、物品が着用される際の起立カフ内の張力の程度及び/又は範囲、横方向の最も外側のファスナー構成要素の横方向の最も外側の縁部とインサートの最も近い長手方向縁部との間の間隔を含む、様々な要因に依存し得る。同時に、着用者の快適性及び安全性の目的上、1つ以上の端部支持補強材60、62を含むインサートの一部分は、着用者の体の動きと共に楽に屈曲する、及びなんらかの打撲傷、摩擦、又は炎症危険が存在する前に降伏するか又は潰れるのに十分なほど柔軟であるのが望ましくあり得る。硬化した部分が弾性の性質であり、よって曲げるか、折りたたまれるか、又は拗られた後に、特定の形状(例えば、実質的に平坦又は平面的な)構成に戻る傾向を有することが望ましい場合がある。したがって、端部支持補強材が、エラストマーのポリマー材料から形成されてもよい。
【0179】
図2O及び図2Pは、自由縁部58を備える起立カフ53を有するインサート50の端部に関する2つの可能な形態を概略的に示す。図2Oは、横方向で中心に合わされた、単一化したファスナー構成要素56を有する端部を表す。図2Pは、横方向に分離され、インサートの隅部付近に配置された、2つのファスナー構成要素56を有する端部を示す。これらの図において、Wは、端部支持補強材を含まない、インサートにわたる最も大きな幅であり、Wは、ファスナー構成要素の締結可能な有効部分の横方向に最も外側の範囲の間のWの部分であり、LUD(横方向外側の固定されない寸法)は、いずれかのファスナー構成要素の締結可能な有効部分の横方向に最も外側の範囲の横方向外側に位置する幅Wの部分であり、CUD(中央の固定されない寸法)は、2つの横方向に分離したファスナー構成要素の締結可能な有効部分の横方向に最も内側の間に位置する、幅Wの部分である。(本明細書の目的のため、「締結可能な有効部分」とは、インサートの幅の一部を外側カバーへと有効に力分離するファスナー構成要素のいずれかの部分を意味する。Lisは、補強材の長手方向に最も外側の縁部から、補強材の長手方向に最も内側の範囲(すなわち、最も近い横方向軸70)まで測定した、端部支持補強材の長手方向寸法である。
【0180】
理論により束縛されることを意図せず、インサートにおける、寸法W、LUD、CUD及び/又は曲げ剛性は、ユーザーの利便性、フィット、構造的支持、インサート及び起立カフにおける一体性及び収容機能、並びに着用者の快適性を含む、属性間の良好なバランスを生じるために有効であり得るものと考えられる。(用語「ピーク縁部偏向力(y)」、又は「縁部偏向力(y)」が以下において使用されるとき、「y」は、縁部偏向力測定法において記載される際に間隔1010のmmによる横方向寸法であり、本明細書において図6Aに示される。)
【0181】
ファスナー構成要素構成によらない、インサート端部曲げ剛性
・インサート端部は、少なくとも約100N/m、又はより好ましくはそれぞれ、少なくとも約200、300又は400N/m、又は代替的に、約200〜約500N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、端部支持補強材を有し、かつ少なくとも約100N/m、より好ましくは、それぞれ、少なくとも約200、300又は400N/mの曲げ剛性を有し、又は代替的に、約200〜約500N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、端部支持補強材を有し、かつ端部支持補強材が少なくとも約50N/m、より好ましくは、それぞれ、少なくとも約100、200又は300N/mの曲げ剛性を有し、又は代替的に、約100〜500N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、約50mm以下のLisを有し、インサート端部は、少なくとも約100N/m、より好ましくは、それぞれ、少なくとも約200、300又は400N/mの曲げ剛性を有し、又は代替的に、約200〜約600N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、少なくとも約10mmのLisを有する端部支持補強材を有し、インサート端部は、約1,000N/m以下、より好ましくは約500N/m以下の曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、約50mm以下のLisを有し、補強材は、少なくとも約50N/m、より好ましくは、それぞれ、少なくとも約100、200、又は300N/mの曲げ剛性を有し、又は代替的に、約100〜約500N/mの曲げ剛性を有する。
【0182】
非ゼロLUDを有するインサート端部曲げ剛性、及びピーク縁部曲げ
・インサート端部は、ゼロ(0)を超えるLUDを有し、少なくとも約0.50N、より好ましくはそれぞれ、少なくとも約0.60N、約0.70N、約0.80N、約0.90N又は約1.0N又は代替的に約0.50N〜約1.0Nの、ピーク縁部偏向力(30)を有する。
・インサート端部のいずれのLUDも約40mmを超えず、インサート端部は、少なくとも約200N/m、より好ましくは少なくとも約300N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、少なくとも約40mmのLUDを有し、インサート端部は、少なくとも約300N/m、より好ましくは少なくとも約400N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、少なくとも約5mmのLUD、及び少なくとも約200N/m、より好ましくは300N/m、更により好ましくは400N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は端部支持剛性を有し、少なくとも約40mmのLUDを有し、少なくとも約300N/m、及びより好ましくは400N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は端部支持強化材を有し、少なくとも約40mmのLUDを有し、端部支持補強材は、少なくとも約50N/m、より好ましくは100N/m、より好ましくは200N/m、及び更により好ましくは300N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、少なくとも約40mmのLUDを有し、LUDを含むインサート端部区域の少なくとも一部に位置する端部支持強化材を有し、端部支持補強材は、少なくとも約50N/m、より好ましくは約100N/m、より好ましくは200N/m、及び更により好ましくは300N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は端部支持補強材を有し、少なくとも約5mmのLUDを有し、端部支持補強材は、少なくとも約0.2N、より好ましくは、それぞれ、少なくとも約0.3N、約0.5N、0.7N又は約1.0Nのピーク縁部偏向力(30)を有する。
【0183】
非ゼロCUDを有する挿入端部曲げ剛性
・挿入端部は、約100mm以下、より好ましくは約80mm以下、より好ましくは約60mm以下のCUD、又は代替的に約30mm〜約80mmのCUD、かつ少なくとも約200N/m、より好ましくは少なくとも約300N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は少なくとも約5.0mm、より好ましくは少なくとも約10mm、20mm、更により好ましくは少なくとも約50mm、及びより好ましくは約80mmのCUD、かつ少なくとも約300N/m、より好ましくは少なくとも約400N/m、及び約500N/m以下の曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、補強材を有し、約100mm以下、より好ましくは80mm、より好ましくは60mmのCUD、又は代替的に、約30mm〜約80mmのCUDを有し、かつ少なくとも約50N/m、より好ましくは100N/m、及びより好ましくは200N/mの曲げ剛性を有する。
・インサート端部は、少なくとも約5.0mm、より好ましくは少なくとも約20mm、更により好ましくは少なくとも約50mmのCUDを有し、少なくとも約0.2N、より好ましくは0.5N、及び更により好ましくは0.7Nのピーク縁部偏向力(30)を有する。
【0184】
外側カバー及びインサートファスナーシステムの選択
図2A及び図2Bを参照して上記で説明したように、締結耳部29と前側領域27との締結を可能にするために、締結耳部29は、そこに配置された外側カバーファスナー構成要素30を有することができる。あるいは、又はこれに加えて、前方領域27は、前方領域上に配置された1つ以上の受け側ファスナー構成要素31を有することができる。ファスナー構成要素30、31は、協働し耳部29と前側領域27の係合解除可能かつ再係合可能な締結、すなわち再締結可能な締結をもたらすように選択することができる。そのような締結システムを含んで、ユーザーは、外側カバー20を着用者の下部胴体付の周囲で固定し、物品の適合を調節し、ユーザーが汚れ等に関して物品の内部を調べることができるよう開いて、再度閉めて/再度締結するのを可能にし、並びに非破壊的な取り外し、インサートの交換、及び交換の後に着用者の下部胴体の付近において物品の再締結を可能にすることができる。一般的に、各面上の後側領域28の横方向に外側寄りの部分、例えば締結耳部29は、対応する面上の前側領域27に取り外し可能に、かつ再締結可能に取り付けることができ、並びに、受け側要素31を含む締結係合領域に取り外し可能に、かつ再締結可能に取り付けることができる。様々なタイプの締結システムを採用することができる一方で、面ファスナー式締結システムは、上記の通り有利である。ファスナー構成要素30があるところでは、フックの断片及び受け側要素31はそれぞれ、ループ材料の断片であり、好適に快適でありぴったりとフィットすることをもたらすように選択された適切な位置において、締結耳部29及びファスナー構成要素30を受け側要素31に対して押圧することによって、物品は着用者の下部胴体の周囲に固定することができる。
【0185】
面ファスナー式システムはまた上記の通り、外側カバー内でインサート50を取り付け、保持し、それを着用中に外側カバー内及び外側カバーに対して望ましい向き及び位置において保持する目的で望ましいと見なすことができる。
【0186】
様々な市販されている面ファスナー式締結システムが選択されてもよいが、締結可能に係合されるときは、着用者の身体の動きによって、外側の衣類との相互作用及びこれとの相対運動による摩擦によって、着用者の身体排出物による重量追加によって、又は介護者が望まない時間において、一部の着用者が物品を引っ張る、外す、又は取り除き得る試みによる重量追加によって、物品上に与えられた力の下で係合解除に耐える十分な保持力をもたらす面ファスナー式の構成要素の組み合わせを外側カバーに関して選択することが望ましい。
【0187】
外側カバー内にインサートを保持する締結システムに対する保持力に関する要件は異なる場合があり、又は外側カバーを締結するものよりも要件が少ない場合がある。本明細書に記載される、2つの部分からなる着用可能な物品は、インサート50よりはむしろ外側カバー20が一般的に、より多くの割合の構造的支持をもたらすように設計されてもよく、この構造的支持は排出物が効果的に収容されるように、着用者の身体に対してインサート50を保持する。外側カバー20は、着用者の動き及び排出物の重量から生じる力の大半を持ちこたえるように設計されてもよい。外側カバー20内にインサート50を保持する締結システムは、それらが摩擦による力にあまり暴露されず、外部の物質を捕捉し、又は着用者によって引っ張られることがあまりないように、実質的に又は全体的に外側カバー20によって被覆されてもよい。したがって、外側カバー20内にインサート50を保持する締結システムは、着用者の身体に対して定位置にインサート50を保持するための実質的な構造的支持をもたらすのではなく、外側カバー内で、かつ外側カバーに対してインサートの位置/場所を維持するためのみに必要とされる場合がある。定位置にインサート50を保持する締結システムは、外側カバーとインサートとの間のせん断力による係合解除に対する好適な耐性を有するだけで十分であってもよく、すなわち面ファスナー式システムは一般的に適切で効果的である。
【0188】
外側カバー締結システムと同じ程度の保持力を有して、外側カバー内にインサートを保持する締結システムもまた望ましくない場合がある。外側カバー締結システムが、比較的高い保持力を有し、同じ締結システムが外側カバー内のインサートを保持するために使用される場合、これは、ユーザーがインサートを交換したいときに取り外すのを過度に、かつ不快に難しくする場合がある。これは収容された排出物でインサートがひどく汚れたときに特に不便であり、腹が立つものであり、なぜならば、それはユーザーが外側カバーからインサートを取り外すのに相当な力で引っ張るリスクを増加させ、排出物を制御及び収容できなくなり、ユーザーの手又は回りの物体を汚す恐れがあるからである。したがって、インサートと外側の締結システムは、構造的性能要件を満たしながら、できるだけ簡単に取り外されることが望ましいということが理解される。
【0189】
以下に説明される垂直引張試験(VPT)を使用して、面ファスナー式締結システムの組み合わせの保持力の性能を評価することができる。VPTによって測定された少なくとも2つのパラメータがこれに関して重要であり得る:垂直ピーク負荷/係合面積(これは係合した締結の組み合わせを完全に外すのに要求される、係合表面積の単位当たりの力の基準である)、及び、0.5mmの垂直変位における垂直負荷/係合面積(これは、係合表面積単位当たりの、係合解除プロセスを開始するのに必要とされる力の基準である)。垂直ピーク負荷、及び0.5mmの垂直変位における垂直負荷は、本明細書の目的のために、1.00mmのせん断変位において測定される。
【0190】
面ファスナー式システム(すなわちファスナー構成要素30及び受け側要素31がそれぞれフック材料及びループ材料である)を含む外側カバー20締結システムに関して、物品が着用されている間に、例えば、赤ちゃんによる突然の引張により、システムによって耳部が締結されるなどの締結システムの偶然又は意図しない係合解除に適切に耐えるために、システムを形成するファスナー構成要素の対によって維持される垂直ピーク負荷/係合面積は少なくとも0.045N/mmであることが望ましい場合がある。同時に、ユーザーにとって物品を意図的に取り外すのに過度に難しくないように、システムによって維持される垂直ピーク負荷/係合面積が0.076N/mm以下であることが望ましい場合がある。同様に、意図しない係合解除に対する耐性をもたらすことと、意図的な係合解除の容易さをもたらすこととのバランスを取るために、外側カバー締結システムによって維持される、0.5mmの垂直変位における垂直負荷/係合面積は少なくとも0.0015N/mm、0.015N/mm以下であることが望ましい場合がある。これらの値は、通常の環境下で幼児及び低年令小児を対象として、本明細書に記載されるタイプの物品に好適であり得る。しかしながら、異なる環境に関して(例えば非常に活動的な子供;そのような物品を着用する場合がある夜尿症を患る、より大きく、より年齢の高く、より活動的な子供;そのような物品を着用する場合がある失禁に悩む成人、非常に小さな若しくは非常に大きな締結システムの接触面積を備える物品の設計)、異なる値が選択されてもよいということが理解される。
【0191】
面ファスナー式システムを含むインサートと外側カバーの締結システムに関して(すなわち、ここで締結対56、33及び57、32(例えば、図2E図2N)の一方又は両方はそれぞれ、フック材料及びループ材料である)、そのような対に関する垂直ピーク負荷/係合面積は少なくとも0.0061N/mm、又は更には少なくとも0.015N/mm、しかし0.030N/mm以下、そして通常は、外側カバー締結システムの垂直ピーク負荷よりも小さいことが望ましい場合がある。同様に、そのようなインサートと外側カバーの締結システムの対の、0.5mmの垂直変位における垂直負荷/係合面積は、外側カバー締結システムに関して測定された同じ値よりも小さくてもよい。
【0192】
上記の保持力は、面ファスナー式ファスナー構成要素の対の係合表面積当たりの相対的な保持力を反映し、剥がすことによる漸進的な係合解除に対して、この対が有し得る抵抗のレベルを反映する。好適な絶対保持力値を最適化することが望ましい場合もある。所与のタイプのフック及びループを備える任意のファスナー構成要素の対に関して、絶対保持力値は、係合表面積、すなわち関連ループ材料とのフック材料の係合の面積を調整することによって調整されてもよい。このように、外側カバー締結システム構成要素の対に関して、ループ材料に対するフック材料の係合の表面積は、650mm〜1,300mmであることが望ましい場合がある。
【0193】
保持力に加えて、面ファスナー式締結システムは音声の認知(acoustic attributes)を有する。そのようなシステムを精通している者は、面ファスナー式ファスナーを外すこと(典型的には、フック構成要素をループ構成要素から剥がすことによって、又はその反対によって実施される)は、個々のフック及びループが分離力下で互いから離れるときに、対応材料内の急激な運動によって生じる引き裂き(ripping)、すなわち引き裂き(tearing)音を発生させるということを理解するであろう。生じた音の音量及び頻度は、フック及びループの下層の基材の特性及び形状、並びにフック及びループの設計及び粘着性によって決まる。
【0194】
おむつは多くの場合、着用者(例えば、幼い乳児)が眠っている間に交換される。介護者は、睡眠期間中に汚れた物品を外し、それを清浄なものと交換して、快適さを確保し、着用者の皮膚の健康を守り、寝具又は着用者の眠っている環境における他の物体を汚すことを防ぎたいと望む場合がある。交換のために必要とされる係合解除中に、一部の面ファスナー式ファスナーによって作り出される音が、鋭く、着用者の眠りを邪魔する程大きい場合があり、更には、のんびりとした、邪魔されない及び/又は長時間の眠りが必要とされる場合には、着用者を起こす場合がある。
【0195】
所望の保持力を有するように選択されることに加えて、外側カバー、及びインサートと外側カバーの締結システムは、係合解除中にそれらが生じさせる潜在的な雑音の量を最小にするように選択され、設計されてもよい。
【0196】
面ファスナー式締結システムのサンプルの係合解除により生じる音圧レベルの規模は、本明細書に記載されるファスナー音響試験方法に従って特徴付けられ、測定され、デシベル(dB)で報告することができる。400Hz以上の周波数における音は、それらがヒトにとって可聴であり、潜在的に嫌な周波数の範囲内にまともに落ちるため、より有意である場合がある。
【0197】
以下のファスナー音響試験で測定され、録音されたように、外側カバー締結システムの係合解除によって生じる、500Hzに最も近い周波数における音圧レベルは、好ましくは40dB以下、より好ましくは38dB以下、更には35dB以下である。ファスナー音響試験で測定され、録音されたように、外側カバー締結システムの係合解除によって生じる、1,000Hzに最も近い周波数における音圧レベルは、好ましくは40dB以下、より好ましくは38dB以下、更には35dB以下である。ファスナー音響試験で測定され、録音されたように、外側カバー締結システムの係合解除によって生じる、2,000Hzに最も近い周波数における音圧レベルは、好ましくは50dB以下、より好ましくは46dB以下、更には40dB以下である。
【0198】
インサートと外側カバーの締結システムの音圧レベルは、外側カバー締結システムの音圧レベルよりも大きくてもよい場合があり、なぜならば、いったんインサートを有する外側カバーが着用者から外されると、インサートは着用者から離れている場所で交換されてもよいからである。それにもかかわらず、インサートは典型的に、着用者が眠っている同じ部屋か、そうではないものの、かなり便利に着用者に近接して交換される場合があり、よって音の発生を念頭にインサートと外側カバーの締結システムを選択することが依然として望ましい場合がある。したがって、以下のファスナー音響試験で測定され、録音されたように、インサートと外側カバーの締結システムの係合解除によって生じる、500Hzに最も近い周波数における音圧レベルは、好ましくは45dB以下、より好ましくは40dBである。ファスナー音響試験で測定され報告されたように、インサートと外側カバーの締結システムの係合解除によって生じる、1,000Hzに最も近い周波数における音圧レベルは、好ましくは45dB以下、より好ましくは40dBである。ファスナー音響試験で測定され報告されたように、インサートと外側カバーの締結システムの係合解除によって生じる、2,000Hzに最も近い周波数における音圧レベルは、好ましくは40dB SPL以下、より好ましくは35dB SPLである。
【0199】
現在製造されており、外側カバー及び外側カバー/インサート物品に選択され、寸法決めされ、これに適用され得る全ての面ファスナー式締結システムは、上記で説明された保持力及び音発生基準の一部又は全てを満たす必要はない。しかしながら、これらの基準の一部又は全てを満たす面ファスナー式締結システムの構成要素として機能することができる好適な材料は容易に利用可能であり、並びに日常の実験を通じて当業者によって選択され、寸法が決められ得る。外側カバー締結システムに関して説明された1つ以上の基準を満たすことができるフック及びフック締結の組み合わせの例には、商品名ETN−21で販売されているナイロン縫い付け可能フック材料、及びPerfectex Plus,LLC(Huntington Beach,California)によるSoft Tricot Fabric Loopとして既知のループ材料が挙げられる。インサートと外側カバー締結システムに関して説明された1つ以上の基準を満たす面ファスナーの組み合わせの例は、表記960EでAplix,S.A.(Paris,France)(及び米国の関連会社Aplix,Inc.(USA))によって販売されているフック材料、及びTouchTape,Inc.(St.Augustine,Florida)によるStandard Sew Onナイロン布として既知のループ材料が挙げられる。
【0200】
目安印、向きの印、及び位置合わせ印
上述のように、インサート50は、その横方向軸に対してインサート50を非対称にする特徴を付与されてもよい。そのような非対称の形状にもかかわらず、図4に示されるように、インサート50は、その横方向軸に対して非対称であるように見えない全体輪郭を有していてもよい。例えば、図4に示されるように、インサート50は、開かれかつ平らにされたときに、実質的に矩形であり、したがってその横方向軸70に対して対称に見える全体輪郭を有してもよい。横方向軸に対して対称に見える全体輪郭を有するその他のインサートの輪郭もまた可能である。更に、インサート50が横方向軸に対して非対称である全体輪郭を有する場合でも、どの部分が前方部分であり、どの部分が後方部分であるかは、その輪郭からだけでは明確でない可能性がある。このように、インサートのどの部分が前方部分で、どちらが後方部分かを示す十分に認識可能なシグナルが存在しない場合、ユーザーがこれを判断するのは困難な可能性があり、その結果、間違った前後の相対的な向きでインサートを外側カバーの中に設置しようと試みて、結果として準最適な密着、外観、排出物閉じ込め及び/又は快適性が生じる可能性がある。
【0201】
インサート及び/又は外側カバーは、インサートの一部分の外側カバー内への正しい位置決め及び関連付けを指示する、容易にする及び/又は強要するための1つ以上のインサート目安印を含んでもよい。インサート目安印は、着用可能吸収性物品の最適性能を可能にするように、インサートと外側カバーの正しい領域との係合、及びそれらの正しい向きでの係合を指示する又は強要するように寸法設定されかつ形成された、言葉の又は言葉でない指示印、視覚的目安印、協働する幾何学的特徴、協働するタイプのファスナー構成要素、又はファスナー構成要素の協働する設計を含んでもよい。可能な目安印の構成要素の他の例には、1つ以上の協働する色、形状、模様、線、輪郭、シルエット、その他の幾何学的特徴、凸部又は凹部、質感、パターン、目標線又は十字線、ブルズアイ表現等が挙げられ、これらは外側カバー及び/又はインサートの上に配置されて、外側カバー内におけるインサートの正しい位置決めを示す。一実施形態において、図2M(角部、外形画像80)に例示されるように、外側カバーの内表面は、インサートの外形又はインサートのシルエット、若しくはその一分を印刷されてもよく、ないしは別の方法で印を付けられてもよい。図2Q図2S、及び図2Tに示される別の例において、把持タブ59などのインサート50の1つ以上の部分は、そこに、又はこれを通じた孔、ウィンドー、若しくは他の形状59aの形態の標的印を有してもよく、外側カバー29の内側は、その上の対応する標的印を有してもよく(例えば、点又は他の画像59b)、これは、インサートが外側カバー内に位置付けられる際に、形状59aを通じて可視であり及び/又はこれと位置合わせされる。あるいは、インサートの前方領域54及び後方領域55の一方又は両方は、外側カバーの形状、又はその一般化した形を示す、その上に配置されたピクトグラムを有してもよく、外側カバーの前後は寸法、色、コントラスト、又は他の何らかの表示で示され、正しいインサートの設置の向きを示す。例えば、インサートの後方領域55に配置される外側カバーのピクトグラムは、明るい色、矢印、円等で示される後側外側カバー領域又はその一部分を有してもよく、インサートの前方領域54に配置される外側カバーのピクトグラムは、同様に示される前側外側カバー領域又はその一部分を有してもよい。
【0202】
目安印はまた、1つは外側カバー20の上、もう1つはインサート50の上の少なくとも2つの協働要素を含んでもよく、これら2つの要素が関連付けられると、外側カバー/インサートシステムの各要素は互いに対して適切に向きを定め、最も適切に機能することになる。一例を挙げれば、外側カバーの内表面には、インサートの位置を指し示す第1の矢印がプリントされてもよく、インサートには、インサートと外側カバーとが正しく相対的に位置決めされると第1の矢印を指し示す第2の矢印がプリントされてもよい。
【0203】
印は、正しい最適な配置を示す相関性と、間違った準最適な配置を示す非相関性とを認知的に関連付けるか、又は関連付けない。対応の認知的に関連する目安印は、インサート上の印と認知的に関連する外側カバー上の印を含んでもよく、インサートと外側カバーとの正しい相対位置決め及び係合をユーザーに示す。例えば、インサート上、及び外側カバー上の各認識的に対応する印は、共通の色、形状又は感触を有し得る。(本明細書において使用するとき、「共通の色」には、第1の色、及び認識可能な色彩、又はその変化形が挙げられ、これは、物品の全ての特徴を考慮し、物品の別の色から視覚的、かつ認識的に区別可能である。
【0204】
図2B図3及び図4を参照すると、インサート50が上記のように非対称である場合、最適な前方領域54は1つだけであり、最適な後方領域55は1つだけであり得る。同様に、外側カバー20が上記のように非対称である場合、最適な前側領域27は1つだけであり、最適な後側領域28は1つだけであり得る。したがって、これらの非対称の一方又は両方が存在する場合、間違った前後の相対的な向きで外側カバー20内にインサート50を設置すると、着用可能吸収性物品が最適に密着及び/又は機能しない可能性がある。したがって、外側カバー20及び/又はインサート50に、これらの構成要素の正しいそれぞれの前後の向きをユーザーに知らせるように適合された1つ以上の印を組み込むことが、ある状況では望ましくあり得る。そのような印はそのような情報を、機能的に、触覚的に及び/又は視覚的にユーザーに提供することができる。
【0205】
機能的な印は、正しい前後の向きでは適切に、有効に及び/又は最適に機能するが、間違った前後の向きでは適切に、有効に及び/又は最適に機能しないファスナー構成要素を包含し得る。
【0206】
例えば、図2B及び図3を参照すると、外側カバー20上の前側インサートファスナー構成要素33は、最適な/最大限の締結保証をもたらすために、インサート50上の前側ファスナー構成要素56とだけ協働することができるが、インサート50上の後側ファスナー構成要素57とは協働しない。同様に、外側カバー20上の後側インサートファスナー構成要素32は、最適な/最大限の締結保証をもたらすために、インサート50上の後側ファスナー構成要素57とだけ協働することができるが、インサート50上の前側ファスナー構成要素56とは協働しない。
【0207】
図2K図2Lから概念的に理解されるより具体的な例では、外側カバー20上の前側インサートファスナー構成要素33はループのパッチを有してもよく、インサート50上の前側ファスナー構成要素56は噛み合うフックのパッチを有してもよい(図2K図2Lにおいて要素33、56の斜め線で示される噛み合い関係)。それに対応して、外側カバー20上の後側インサートファスナー構成要素32はフックのパッチを有してもよく、インサート50上の後側ファスナー構成要素57は噛み合うループのパッチを有してもよい(図2K図2Lにおいて要素32、57の斜め線なしで示される噛み合い関係)。したがって、この特定の例では、ユーザーが誤って、インサート50上の後側ファスナー構成要素57(ループ)を外側カバー20上の前側インサートファスナー構成要素33(ループ)と締結しようと試みると、適切な又は最適な締結はもたらされず、このことは、正しい/最適な前後の向きでインサートを外側カバーに設置するためには、ユーザーがインサート50を180度回転させなければならないことを、ユーザーに伝達することになる。
【0208】
図2K図2Lから同様に概念的に理解される別の具体的な例では、外側カバー20上の前方インサートファスナー構成要素33は雌スナップファスナー構成要素を有してもよく、インサート50上の前方ファスナー構成要素56は噛み合う雄スナップファスナー構成要素を有してもよい(図2K図2Lにおいて要素33、56の斜め線で示される噛み合い関係)。それに対応して、外側カバー20上の後方インサートファスナー構成要素32は雄スナップファスナー構成要素を有してもよく、インサート50上の後方ファスナー構成要素57は噛み合う雌スナップファスナー構成要素を有してもよい(図2K図2Lにおいて要素32、57の斜め線なしで示される噛み合い関係)。したがって、この特定の例では、ユーザーが誤って、インサート50上の後側ファスナー構成要素57(雌スナップファスナー構成要素)を外側カバー20上の前側インサートファスナー構成要素33(雌スナップファスナー構成要素)と締結しようと試みると、要素は互いに適切に密着せず、適切な又は最適な締結はもたらされず、このことは、正しい/最適な前後の向きでインサートを設置するためには、ユーザーがインサート50を180度回転させなければならないことを、ユーザーに伝達することになる。
【0209】
このように、機能的な印は、インサート50及び外側カバー20が適切に向きを定められると、適切に及び/又は最適に機能して、これらの間に締結及び最大限の締結保証をもたらすが、そうでなければ適切に又は最適に機能しない、任意のファスナー構成要素を包含することができる。任意の異なるタイプのファスナー構成要素又はシステムを組み合わせて、インサートの前方領域と後方領域とを区別して、外側カバー内の正しい配向を示してもよい。一般に、このような機能的な印を使用すると、インサートの前方領域及び外側カバー前側領域のファスナー構成要素のタイプは、インサートの後方領域及び外側カバーの後側領域の対応のファスナー構成要素のタイプと、それぞれ適合性がないか、又は有意に有効性が低い。このような機能的な印の別の例として、前側インサートファスナー対33、56はフック・アンド・ループファスナーシステムでもよく、後側インサートファスナー対32、57はスナップ締結システムでもよい。別の例では、前方インサートファスナー構成要素はポケット又はフラップ構造体を包含してもよく、ファスナー構成要素は異なる締結システムを具現化してもよい。前側及び後側インサートの締結システムは、本明細書に開示の、ないしは別の方法で入手可能な、任意の2つの異なる締結システムを含んでもよい。
【0210】
別の例では、機能的な印は、類似の又は適合性のある締結システムタイプの相互排他的な幾何学的形状を有する締結対33、56及び32、57によって具現化されてもよい。例えば、図2E図2F、及び図2G図2Hに示されるように、前方締結対33、56は第1の配置及び幾何学的形状を有してもよく、後方締結対32、57は第2の配置及び幾何学的形状を有してもよく、その結果、間違った前後の向きでインサート50を外側カバー20内に設置しようと試みると、目で見て正しく、かつ機能的に有効な取り付けをもたらすように締結対が整列せず、正しい/最適な前後の向きで設置するためには、ユーザーがインサート50を180度回転させなければならないことを、ユーザーに伝達することになる。別の同様の例では(図示せず)、前側インサートの締結システムは、輪状又はドーナッツ状の形状を有してもよく、後側インサートの締結システムは、前側インサートの締結システムの輪の中央開口部の直径よりも小さな直径を有する円の形状を有してもよい。更に別の例では(図示せず)、前側及び後側インサートの締結システムは、主として物品の長手方向軸(すなわち、インサート及び外側カバーの両方の長手方向軸)の片側に位置付けられてもよい。この例では、インサートが間違った前後の向きで外側カバーに適用されると、インサートファスナー構成要素及びファスナー構成要素は正しく整列しないことになる。別の例では(図示せず)、前側インサートの締結システムは、物品の長手方向軸の方向に沿って配向された連結ファスナーを含んでもよく、後側締結システムは、物品の腰部縁部又は横方向軸の方向に沿って配向された連結ファスナーを含んでもよい。図2E図2F及び図2G図2Hから概念的に理解することができる別の例では、前方締結システムは、インサートの長手方向縁部に沿って配置される1つ以上のファスナー構成要素33、56を包含してもよく、後方締結システムは、インサート幅より幅が狭く、かつ物品の長手方向軸上に配置される単一締結対32、57を包含してもよい。
【0211】
機能的な印は必ずしもファスナー構成要素に限られる必要はない。機能的な印はまた、間違った(逆の)、準最適な前後の向きに対して、正しい、最適な前後の向きで、外側カバー及びインサートが互いにどのように密着又は機能するのかに影響を与える、外側カバー及びインサートの他の特徴で具現化されてもよい。このように、機能的な印は、追加的に、外側カバー又はインサートの別の機能要素と関連付けられてもよく、又は組み合わされてもよい。印は、腰部バンド、サイドパネル、伸張要素、レッグカフ、物理的保持ファスナー構成要素(例えば、ポケット又は保持ストラップ)等などの外側カバーの要素と関連付けられてもよい。印は、腰部キャップ、腰部バンド、起立カフ、糞便管理機能、インサート位置決め補助具、インサート補強補助具、インサート取り外し補助具、又はインサート廃棄補助部などのインサートの要素と関連付けられてもよい。
【0212】
以上から、他の形態の機能的な向きの印が、上記説明の原理の範囲内で可能であることが理解されるであろう。更に、記載された異なるタイプの印のいずれかは、任意の組み合わせで単一物品内に含まれてもよい。
【0213】
他の可能な例では、上記のような対応の機能的に協働する/協働しない要素対に代えて、インサート50及び外側カバー20は、触覚性又はその他の知覚的な印のような対応の非機能的な印を有してもよい。
【0214】
例えば、前側インサート及び外側カバーファスナー構成要素は、第1の触覚性の特性を有するように選択又は形成されてもよく、後側インサート及び外側カバーの要素は、第2の触覚性の特性を有するように選択又は形成されてもよい。別の例では、インサート及び外側カバーの特徴は、最適な前後の向きでは噛み合う又は幾何学的に協働するが、逆の準最適な前後の向きでは噛み合わない又は幾何学的に協働しない三次元形状などの特徴を有してもよい。
【0215】
他の可能な例では、上記のような対応の機能的に協働する/協働しないファスナー構成要素対又は触覚性の印要素に代えて又はこれに加えて、インサート50及び外側カバー20は対応の視覚的印を有してもよい。外側カバー20は、前側領域27及び後側領域28の上にそれぞれ配置される対応の前側及び後側視覚的印73、74を有してもよい。インサート50及び外側カバー20上に配置される対応の視覚的印は、外側カバー20内のインサート50の正しい/最適な配向及び配置の視覚的合図をユーザーに提供するように適合され得る。
【0216】
例えば、視覚的印及び視覚的合図の構成要素は、共通の色を使用するものであってもよい。1つの具体的な例では、外側カバー20上に配置される前方及び/又は後方視覚的印73、74は、相互に可視的に区別できる対応の共通の色を含んでもよい。(本明細書において使用するとき、「共通の色」には、第1の色、及び認識可能な色彩、又はその変化形が挙げられ、これは、物品の全ての特徴を考慮し、物品の別の色から視覚的、かつ認識的に区別可能である。)インサート50は、そこに配置される又は具現化される対応の協働する印を有してもよい。したがって、例えば、インサート50の上の前部及び後方ユーザー把持構造体59、61は、前方及び/又は後方視覚的印73、74に含まれる色とそれぞれ共通の及びその色に対応する色を有してもよく又はこの色で着色されてもよい。より詳細には、例えば、前方視覚的印73及び、前方ユーザー把持構造体59などのインサートの特徴は、共に第1の共通の色を有してもよく又はこの色で着色されてもよく、後方視覚的印74、及び後方ユーザー把持構造体61などの特徴の一方又は両方は、第1の共通の色と可視的に識別可能な第2の共通の色で着色されてもよい。
【0217】
図2I図2J図2M図2N及び図3から概念的に理解され得る別の特定の例では、外側カバー20上に配置される前側及び後側視覚的印73、74は、前部及び後部ユーザー把持構造体59、61並びに/又はファスナー構成要素56、57などのインサートの特徴の上に具現化された又は描かれた対応する形状若しくは寸法と一致する、又は認知的に相関する、視覚的に相関する対応の形状若しくは寸法の画像を具現化してもよく、又は該画像を有してもよい。より詳細には、例えば、前側視覚的印73又は前部ユーザー把持構造体59は共に三角形の画像を具現化又は有してもよく、後側視覚的印74又は後部ユーザー把持構造体61は共に円の画像を具現化又は有してもよい。インサートの上、及び外側カバーの上のこれに対応する位置にそれぞれ配置される認知的に相関する印の他の例には、野球のボールとグローブ、サッカーボールとゴール、鳥と巣、及びよく認識された組み合わせの構成要素の任意のその他の画像が挙げられ、これらは、このような画像を有する又は具現化する2つの部分が、インサート50を外側カバー20内に設置する間に合体されることをユーザーに示すことになる。
【0218】
別の特定の例では、外側カバー20上に配置される前側及び後側視覚的印73、74は、「前側」及び「後側」の言葉又は記号による表示の画像を有して、前部及び後部ユーザー把持構造体59、61などのインサートの特徴の上の対応する言葉又は記号による表示と一致させてもよい。更なる特定の例では、前方視覚的印73及び前方ユーザー把持構造体59は共に、文字「F」(すなわち、「前方」)の画像を有してもよく、後方視覚的印74及び後方ユーザー把持構造体61は共に、文字「R」(すなわち、「後方」)の画像を有してもよい。
【0219】
別の特定の例では、外側カバー20上に配置される前側及び/又は後側視覚的印73、74は、期待通りにユーザーが認識可能な形状、キャラクター、物体等のそれぞれの一部分の画像を具現化又は有して、前部及び/又は後部ユーザー把持構造体59、61などのインサートの特徴の上に具現化された又は描かれた期待通りにユーザーが認識可能な形状、キャラクター、物体等の対応する一部分と一致させてもよい。更なる特定の例では、前方視覚的印73及び前方ユーザー把持構造体59は共に、適切に合体されると、期待通りにユーザーが認識可能な第1の形状、キャラクター、物体等の認知的に完全な画像を形成する第1の画像のそれぞれの一部分を具現化又は有してもよく、及び/又は後方視覚的印74及び後方ユーザー把持構造体61は共に、適切に合体されると、期待通りにユーザーが認識可能な第2の形状、キャラクター、物体等の認知的に完全な画像を形成する、第1の画像と異なる第2の画像のそれぞれの一部分を具現化又は有してもよい。実施例を例示するため、図2Rを参照し、インサート50の1つの上に配置される視覚的なしるし73aは、インサート50の縁部73cに沿って切り取られたユーザーにより認識可能となり得る画像(例えば、ハート型)の第1の部分であってもよく、一方で、外側カバー20上に配置される、視覚的印73bは、同じ画像の第2部分であってもよく、このようなユーザーにより認識可能となり得る画像は、各印73a及び73bが一致し、適合して画像を完成するようにして、外側カバー内のインサートが適切に配置及び位置付けされた際に完成される。示されるハート型の画像は、しかしながら、標的及び/又は位置合わせの印として、このような方法で機能し得る、いくつかのユーザーにより認識可能となり得る画像、及びその各部分の一例である。画像及びその部分はまた、製品と関連してメーカーによって使用される商標、又は特定の区別可能な若しくは差別的な図柄の形態を取り得る。
【0220】
更に別の特定の例では、視覚的な向きの印は、外側カバー20及びインサート50の上にそれぞれ表示される視覚的印の単一対に単純化されてもよい。1つのそのような例では、外側カバー20の内表面25は、前側縁部21を長手方向に指す矢印の画像を有してもよく、インサート50は、その前方末端部を長手方向に指す矢印の画像を有してもよい。
【0221】
向き情報を提供するように適合された他の好適な視覚的な向きの印の例には、言葉を含む英数字テキスト、矢印、記号、図形、絵文字、アイコン、漫画、概念図、及び任意のその他の視覚的印を挙げることができる。
【0222】
ユーザーが両方の組の印を見るとき、外側カバー及びインサートの前側部分に関連する印は、外側カバー及びインサートの後側部分に関連する印と、認知的でなく相関する、又は認知的に相関しない、及び逆もまた同様であるのが望ましくあり得る。
【0223】
以上から、他の形態の視覚的な向きの印が、上記説明の原則の範囲内で可能であることが理解されるであろう。
【0224】
外側カバーに対するインサートの正しい前後の向きを示す及び/又は強要する印を提供することに加えて、物品の意図される最適な閉じ込め、密着、快適性及び外観を提供するために、外側カバー内のインサートの正しい長手方向及び横方向位置合わせ示す及び/又は強要する印を設けることもまた望ましくあり得る。図2E図2Nに示される例では、対応のファスナー構成要素対32、57及び33、56は、位置合わせ印として機能するように構成されかつ配置される。適切な締結をもたらすためにこれらのファスナー構成要素対の一方又は両方を同じ場所に配置することは、適切な長手方向及び横方向位置合わせももたらすので、ファスナー構成要素は、正しい前側/後側の向きを示す及び/又は強要するだけでなく、外側カバー20に対するインサート50の正しい長手方向及び横方向位置合わせも示す及び/又は強要するように構成されかつ配置され得ることが、これらの例から理解され得る。他の例では、この目的のために、外側カバー20及びインサート50上にそれぞれ配置される、例えば、長手方向位置合わせ印79a、79b及び横方向位置合わせ印78a、78bといった独立した視覚的印を含んでもよい(図2E図2F)。図2E図2Fを参照すると、外側カバー20の中にインサート50を設置する際に、位置合わせ印対78a、78b及び79a、79bが一致する、又は互いに密接に近接するのを確実にすることによって、インサート50が外側カバー20内で長手方向及び横方向に位置合わせされ得ることが分かる。視覚的な位置合わせ印は、外側カバー20の内表面上に配置される整合している直線線分、形状、インサートの端部又は角部の輪郭イメージ80(例えば、図2M図2N参照)等が挙げられるが、これらに限定されない他の形態をとってもよい。
【0225】
商品
本明細書に記載のような1枚又は複数の外側カバーと、1枚又は複数のインサートとを含む商品が作製され、そのまま販売され得ることが想到される。例えば、1枚又は複数の関連インサートと共に、1〜12枚、又はそれ以上の外側カバーを含むパッケージをアセンブルして、一緒にパッケージ化して販売してもよい。パッケージの中の各外側カバー及びインサートは、本明細書に記載される整合/相補的締結システム、向きの印及び/又は位置合わせ印を有してもよい。
【0226】
そのような商品では、それぞれ便利な枚数の外側カバーとインサートのセットを構成するために、インサートと外側カバーとの比率を決定するのが望ましくあり得る。例えば、セットに含まれる1枚の外側カバーに対して、およそ半日又は1日分のインサートを含むのが好適であると考えられ得る。つまり、例えば、商品は、インサートと外側カバーの比率が1:1、2:1、3:1、4:1、5:1又は更には6:1で、インサートと外側カバーとを含んでもよい。したがって、例えば、セットを付随するパッケージは、1枚の外側カバーと、1、2、3、4、5又は6枚のインサート;2枚の外側カバーと、2、4、6、8、10又は12枚のインサート;3枚の外側カバーと、3、6、9、12、15又は18枚のインサート、などを包含してもよい。初めての購入者のような特定の消費者向けの「スターター」セットとして、又は他の状況では、パッケージは2〜14枚の外側カバーを含むのが望ましくあり得、この数は、洗濯が必要になる前に使用できる清潔な外側カバーのおよそ1日から1週間分の供給量に相当し得る。
【0227】
複数のインサートを含むセットでは、異なる環境下で使用するのに適している異なるデザインの複数のインサートを含むのもまた望ましくあり得る。一例を挙げれば、例えば、吸収性材料の位置及び吸収能力といった特徴に関して、複数のインサートの中の1枚以上は長時間又は夜間使用(睡眠中の使用)に適しており、1枚以上は日中の使用に適していてもよい。複数のインサートの中の半数、又は半数以下は、睡眠中の使用に適していてもよい。この実施形態の一例では、セットはまた、例えば、月、星、夜の空の色、及び他の夜の場面の画像、眠っている動物、眠っている人、眠っている擬人化されたキャラクター等の画像といった、夜間/睡眠に関連するテーマが施してある1枚以上の外側カバー;及び、例えば、太陽、鳥、明色、昼の空の色、及び他の昼の場面の画像、起きている/遊んでいる動物、人、擬人化されたキャラクター等の画像といった、日中/遊んでいる時間に関連するテーマが施してある1枚以上の外側カバーを含んでもよい。
【0228】
更なる実施形態では、パッケージの中のセットは、男児及び女児のいずれかに特別に適合されてもよい。例えば、パッケージは、女の子に関連した表面装飾及び装飾、例えば、ピンク、ラベンダー及び/若しくはその他の優しいパステルカラースキームの使用、花、蝶、ウサギ、子猫、小さな女の子、お姫様、女性の漫画キャラクター若しくは女性の擬人化されたキャラクター等の画像、又は通常女の子に関連するその他の装飾特徴、を有する1枚以上の外側カバーを含んでもよい。反対に、パッケージは、男の子に関連した装飾、例えば、青、黒、暗い若しくは力強いカラースキームの使用、車、電車、飛行機、船、ロケット、宇宙船、スポーツに関連する物、男の子、男性的な漫画キャラクター若しくは男性的な擬人化されたキャラクター等の画像、又は通常男の子に関連するその他の装飾特徴、を有する1枚以上の外側カバーを含んでもよい。男児又は女児用にデザインされたパッケージはまた、機能要素によるか、非機能的で装飾的な/装飾要素によるかにかかわらず、男児又は女児のいずれかに特別に適合された、関連の対応するインサートを含んでもよい。あるいは、パッケージは、男女の区別のない飾り/装飾及び機能要素を有する、男児又は女児のいずれかで使用するのに適した1枚以上の外側カバー及びインサートを含んでもよい。
【0229】
更なる実施形態では、パッケージのセットは、他の点で異なる機能設計を有する何種類かのインサートを含んでもよい。例えば、パッケージは、トップシートの中の糞便受容開口部、糞便を隔離するためのトップシートの下の空隙、及び/又は、例えば、同時係属米国特許出願第11/224,779号、同第11/786,890号、及び同第11/894,087号に記載のような関連特徴の1つ以上を有する1枚以上のインサートを含んでもよい。
【0230】
更なる実施形態では、パッケージの中のセットは、特定状況で使用されるように特別に適合されてもよい。例えば、セットは、水泳又は公共の場で水遊びする間に着用するのに適した、1枚以上の外側カバー及び関連インサートを含んでもよい。この例では、外側カバー及びインサートは、水に濡れる及び/又は浸漬している間の満足のいく使用に適していてもよく、及びその間構造的一体性を実質的に保持するように適合されてもよい。例えば、含まれる外側カバーは、濡れたときに引張強度、伸張又は弛みを実質的に損なわない材料で構成されてもよい。この例では、主に高分子材料、疎水性材料、及び/又は伸縮性のある繊維材料で外側カバーを形成するのが望ましくあり得る。同様に、意図される使用期間中ずっと構造的一体性を実質的に損なわずに浸漬及び濡れに耐える材料で、含まれるインサートを形成するのが望ましくあり得る。超吸収性ポリマー又は吸収性ゲル材料を含まずにこのようなインサートを形成するのも望ましくあり得る。これらの吸収性材料は、多くの場合通常のおむつ吸収性コアに含まれるが、そのような材料は、浸漬されると水をすぐに吸収し、吸収した水によって膨張し膨れ上がるので、すなわち、吸収能力がなくなり、嵩及び重量が加わり、利点を有さなくなるので、水泳又は水遊びの間に着用される物品での使用に適さないと考えられる可能性がある。しかしながら、同じ外側カバーが水泳/水遊び、及び水泳以外、水遊び以外の活動の目的で使用され得るように、同じセットの中に、水泳以外、水遊び以外での使用を目的とした1枚以上のインサートが含まれてもよい。水泳以外、水遊び以外での使用を目的とする1枚以上のインサートは、超吸収性ポリマー又は吸収性ゲル材料を含む吸収性コアを有してもよい。
【0231】
更なる実施形態では、パッケージの中のセットは、耐性のある外側カバーごとに寸法が異なる脚部開口部縁部23によって画定される脚部開口部を有する、複数の耐久性のある外側カバー20を含んでもよい。そのような耐久性のある外側カバーの逐次使用は、複数の耐久性のある外側カバーの中の1枚を、そのような異なる寸法を有する複数の耐久性のある外側カバーの中の別の1枚と交換するたびに、着用者の皮膚を包囲する及び着用者の皮膚と接触する脚部バンド部分36及び脚部開口部縁部23の位置に変化をもたらすのに有用であり得る。これは、着用者の動きに起因し得るそのような接触位置における着用者の皮膚の擦傷の可能性及び重症度を低減するという利点をもたらすことができる。そのような擦傷は、普通は、集中した又は局所化されたやり方で繰り返される皮膚との包囲接触をもたらし得る、実質的に変わらない寸法の脚部開口部を有する一連の耐久性のある外側カバーの反復使用によって生じる又は悪化する可能性がある。したがって、例えば、ユーザーは、複数の中の第1の耐久性のある外側カバーを適用してもよく、着用者は第1の期間(その日)それを着用してもよく、ユーザーは複数の中の第2の耐久性のある外側カバーを適用してもよく、着用者は第2の期間(例えばその夜又は翌日)それを着用してもよく、以下同様であり、こうして、着用者の皮膚の上の脚部開口部縁部及び脚部バンドが包囲及び接触する位置を効果的に変化させて、擦傷の可能性及び重症度を低減する。図2Cを参照すると、外側カバー股幅WC、外側カバー前側幅WC、外側カバー後側幅WC、外側カバー長さLC及び脚部バンド長さLLBのいずれか、又は任意の組み合わせを変化させることは、同じ着用者に適用する際に、耐久性のある外側カバー20の脚部開口部の寸法を変化させる効果を有すると理解され得る。したがって、パッケージの中の少なくとも第1及び第2の外側カバーのセットは、平面上に水平に展開されて、最大限の延伸されていない(弛緩した)寸法まで延伸された各外側カバーで測定した場合に、外側カバー股幅WC、外側カバー前側幅WC、外側カバー後側幅WC、外側カバー長さLC又は脚部バン長さLLBのいずれかの違いをそれらの間に有してもよい。寸法WC、WC、WC、LC又はLLBのいずれかは、第1の耐久性のある外側カバーと第2の耐久性のある外側カバーとの間で、少なくとも約10%、15%、20%、又はそれ以上異なってもよい。しかしながら、別の例では、例えば、それぞれ脚部バンド部分36に含まれる異なるタイプの弾性ストランド若しくはストリップ、又は異なる寸法の弾性ストランド若しくはストリップ、あるいは異なる数の弾性ストランド若しくはストリップを使用することによって、又は更には脚部バンド部分36の構造を変えることによって、脚部バンド36の張力を、1枚の耐久性のある外側カバーと次のものとで変化させてもよい、すなわち、これらのいずれかは、パッケージの中の耐久性のある外側カバーごとに脚部開口部縁部23の寸法を変化させることができる。
【0232】
更なる実施形態では、様々なタイプのセットを含む様々なパッケージは、様々な商品として提示されてもよい。一例を挙げれば、パッケージの中のセットの一部を形成する1枚以上の外側カバーは、機能又は飾り/装飾要素のいずれか、又はその両方によって、事実上ある季節に限られてもよい。外側カバーの別個のセットは、例えば、材料の坪量、絶縁特性、通気性など、セット間で属性が異なっていてもよい。例えば、「冬」又は「寒い天候」用の外側カバーは、比較的高い坪量を有する材料から別個に、又は組み合わせて形成されてもよく、一方で「夏」又は「厚い」天候用の外側カバーは、比較的軽い材料、及び/又はより高い通気性を有する材料(WVTRにより特徴付けられ、かつ比較され得る)から形成され得る。
【0233】
別の例では、第1のパッケージの中のセットの一部を形成する1枚以上の外側カバーは全て、第1のデザイナーによってデザインされた飾り/装飾要素を有してもよく、及び/又は第1のデザイナーの名前又はブランドで標示又は銘柄を付けられてもよく、第2のパッケージの中のセットの一部を形成する1枚以上の外側カバーは全て、第2のデザイナーによってデザインされた飾り/装飾要素を有してもよく、及び/又は第2のデザイナーの名前又はブランドで標示又は銘柄を付けられてもよい。別の例では、第1のパッケージの中のセットの一部を形成する1枚以上の外側カバーは全て、デザイナーの第1の特定の「コレクション」又はデザインテーマと関連する飾り/装飾要素並びに/又は標示及び/若しくは銘柄を有してもよく、第2のパッケージの中のセットの一部を形成する1枚以上の外側カバーは全て、デザイナーの第2の特定の「コレクション」又はデザインテーマと関連する飾り/装飾要素並びに/又は標示及び/若しくは銘柄を有してもよい。
【0234】
上記の例のいずれにおいても、各個別商品の中の外側カバー及び関連インサートは、互いに最適に適合するように寸法設定される。したがって、更なる例では、各パッケージは、寸法で区別される外側カバー及び関連インサートのセットで作製及び提示されてもよい。例えば、第1のパッケージは、「寸法1」の子供に適合された外側カバーと関連インサートとを含んでもよく、第2のパッケージは、「寸法2」の子供に適合された外側カバーと関連インサートとを含んでもよく、以下同様である。
【0235】
縁部偏向力測定法
測定される力がセルの限度の10%〜90%以内であるロードセルを使用し、コンピュータインターフェース(好適な機器は、MTS Systems Corp.,Eden Prairie,MNから入手可能なようなTestworks 4.0ソフトウェアを使用したMTS QTest/1Lである)により一定速度の伸展引張試験機で縁部偏向力を測定する。図6aを参照すると、可動(上方)空気ジョー1001に2.54cm×2.54cm(1インチ×1インチ)のダイヤモンド面グリップ1002が装着されている。
【0236】
引張試験機を圧縮試験用に構成する。0.01Nの力が検出されるまでクロスヘッドが5.0mm/分の速度で下降するように引張試験機をプログラミングする。時間及び伸展チャネルをゼロにして、取得レート100Hzでデータ収集を開始する。クロスヘッドを50mm/分の速度で10mm下降させ、続いてクロスヘッドを元の標点距離に戻す。力対伸展曲線からピーク力(N)を記録するようにソフトウェアをプログラミングする。
【0237】
図6a及び図6bを参照すると、下部締付具1000は、幅90mm×奥行き40mm×厚さ6mmの基部1005で構成される。基部1005は、試験機の固定式マウントに連結するように適合された下側の取り付けシャフト1006を有する好適な取り付け装置に固定される。下側の取り付けシャフト1006は図のようにねじ付きであり、ロッキングカラー1007を有している。下側の取り付けシャフト1006を試験機の固定式マウントに連結したら、ロッキングカラー1007を固定式マウントに向けて回転させて基部1005を試験機の固定式マウントに対して固定し、試験中それらの間に相互作用なく基部1005は固定式マウントに対して静止した状態を維持する。Teflonなどの低摩擦性材料で作製された幅30mm×奥行き30mm×高さ30mmのV字型切欠のあるブロック1003を基部1005に載せる。別方向からの図6bを参照すると、ブロック1003は、側面から中央まで「V字形」に、10度の角度1004で切り込みが入っている。基部1005に載せたら、ブロックを前後に中心合わせして取り付けシャフト1006の中心軸から32.7mmの距離1012だけオフセットさせ、「V字型」切欠の頂点によって画定される線が取り付けシャフト1006の中心軸と交差すようにする。
【0238】
試験用に10枚のインサートから10個のサンプルを次のように入手する:インサートの前方又は後方部分のどちらを試験するかを決定し、それに従って10個のサンプルの全てを当該部分から取り出す。外側/衣類に面する表面を上に向けてインサートを水平面に置く。
【0239】
(a)インサート端部のサンプル(全ての層及び構成要素を含む)
全ての層及びその構成要素を含むインサート端部の値を測定すると、以下のサンプルが得られる:図7を参照して、端部の強化部分1009の内側部分1022を視覚的に特定する(すなわち、端部支持強化材60又は62を有する部分)。インサートの特定の構成に起因して内側縁部1022を視覚的に識別するのが困難な場合は、インサートを対象末端部を有する領域に沿って長手方向に十分に平らにし(カフ弾性体によってよってもたらされるあらゆる収縮に逆らってインサートを延伸する)、一般に1020で示される位置で一方の手をインサートの末端部近くの上に置いてインサートを延伸された/平坦な位置に保持し、もう一方の手で外側外端1021を垂直に持ち上げて、内側縁部1022を識別してもよい。天然の「ヒンジ」位置が補強部分と隣接する補強されていない部分との間の接合点に存在するので、インサートは最初に内側縁部1022に沿って折れ曲がる傾向がある。補強部分1009を縁部1022に沿ってインサートから切り離す。これで補強部分1009が試験されるサンプルになる。(端部が、上記の方法によって明瞭に識別可能な強化部分を有さない場合、インサートを水平な表面に、着用者に面する表面を上にして配置する参照のために図2Oを考察し、カフ53のいずれかの縁部58を形成する材料の長手方向に最も外側の範囲101から、30mmの間隔でインサートの内側を測定する。このような間隔で位置する、直線1023に沿って、かつインサート横方向軸と平行に、インサートの端部を切断する。切断された部分がサンプルとなる。)ファスナー構成要素、把持構造など、いずれの構成要素も除去しない。外側縁部1021が、把持構造59、61などの、別個の機構によって切断された縁部から独自に容易に区別可能でない場合、後に特定するために外側端縁部1021をマーキングしてもよい。
【0240】
(b)インサート端部強化材のサンプル(インサートから除去される)
追加された挿入端部支持補強材自体の値を測定する場合、前の項(a)によるインサート端部のサンプルを得る。いずれかの接着剤の粘着性を低減する必要性に応じて凍結スプレーを噴霧し、端部サンプルの他の全ての構成要素又は層を、端部支持強化材部分から、強化部分を損傷しないように注意しながら、静かに剥離する。
【0241】
全ての試験を約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度に維持された調湿室で実施する。サンプルを試験前に2時間、約23℃±2℃、約50%±2%の相対湿度で予め調湿する。
【0242】
方向及び位置配向に関して図6aを参照すると、内側縁部1022を水平かつ上に向けて配向し、外側外端1021を下に向けて配向し、グリップ1002の底縁部と同一線上に合わせてサンプル1009をグリップ1002の中に位置付ける。加えて、距離1010測定されるピーク縁部偏向力(y)、又は縁部偏向力(y)の値が決定されると共に設計され、距離1011が10mmであるようにして、グリップ1002のサンプル1009を位置付ける。サンプル1009が試験中に滑ったり回転したりしないようにしっかりと固定されるが、試験中にグリップにおいてサンプルの破断が生じるほどきつくなくグリップ1002を閉じる。
【0243】
ロードセル及びクロスヘッド位置をゼロに合わせる。引張試験機のプログラムを開始し、データを記録する。ピーク力(縁部偏向力)(単位はNで)を±0.001Nまで報告する。各サンプルに対し左右両側に試験を実施し(図7参照)、両側に関する縁部偏向力を記録する。10個のサンプルを試験する。10個のサンプルの両側の平均縁部偏向力を計算する。
【0244】
曲げ剛性測定法
ピーク曲げ力及び曲げ剛性は、10Nのロードセルを装着した、コンピュータインターフェースを有する一定速度の伸展引張試験機(好適な機器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能なTestWorks 4ソフトウェアを使用したMTS Allianceである)を使用して測定する。図9(正面図)及び図10(側面図)に示したプランジャブレード2100を上部可動試験用締付具に使用する。図8に示す基部支持プラットフォーム2200を、下部の固定式試験用締付具として使用する。全ての試験を約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度に維持された調湿室で実施する。
【0245】
プランジャ2100の構成要素は、アルミニウムなどの軽量材料から作製され、利用可能なロードセル容量を最大にする。シャフト2101は、引張試験機に適合するよう機械で作られ、プランジャを安定させベース支持プラットフォーム2204と直交する位置合わせを維持するようロッキングカラー2102を有する。ブレード2103は、長さ2108が115mm、高さ2107が65mm、幅2109が3.25mmであり、連続半径が1.625mmの材料接触末端部を有する。ブラケット2104には、ブレードを水平にするために使用される止めねじ2105と、調節後それを所定の場所に堅固に保持するための主止めねじ2106が取り付けられる。
【0246】
下部締付具2200が、シャフト2201とロッキングカラー2202とを有する引張試験機に取り付けられる。2つの可動支持プラットフォーム2204が、レール2203に実装される。各試験表面2205は、幅2206が85mm、長さ(図面の平面内)が115mmであり、最小の摩擦係数を有するように研摩されたステンレス鋼から作製される。各プラットフォームは、個々のプラットフォーム位置を読み取るデジタル式の位置モニター2208及び調節後それらの位置をロックするための止めねじ2207を有する。2つのプラットフォーム2204は、間隙末端部で正方形であり、プレート末端部は、前側から後側まで平行としなければならない。2つのプラットフォームは、調節可能な間隙幅2210を有する間隙2209を形成する。
【0247】
支持プラットフォーム2204の上面と直交し、それらの間隙末端部に対してゆがみを示さないようにプランジャブレード2103を正確に(±0.02mm)そろえる。位置モニター2208を使用し、プランジャブレード2103が間隙内に正確に(±0.02mm)中心合わせされた状態で支持プラットフォーム2204の2つの間隙末端部の間の間隙2210を正確に25.00±0.02mmに設定する。圧縮試験用の引張試験機をプログラミングする。プランジャブレード2103下部から支持プラットフォーム2204上面までのゲージ長を15mmに設定する。
【0248】
25mmの距離にわたって500mm/分で降下するようにクロスヘッドを設定する。データ取得レートを200Hzに設定する。
【0249】
上記の縁部偏向力測定法の説明において記載されるように、10個の試験サンプル1009を得る。(ファスナー構成要素、把持構造などのいずれの構成要素も除去しないが、ただし、いずれかの剥離紙がいずれかの接着剤ファスナー構成要素上に存在する場合は剥離紙を除去する。)サンプルを試験前に2時間、約23℃±2℃、約50%±2%の相対湿度で予め調湿する。
【0250】
試験されるサンプル1009を任意の露出した接着剤について調べ、必要に応じて接着剤にベビーパウダーを塗布することによって任意の露出した接着剤を非活性化する。サンプルを、着用者に面する表面が上に向いた状態で、間隙2209をまたいで支持プラットフォーム2204の表面上に平坦に置く。縁部1022を間隙に対して垂直にした状態で間隙を中心にサンプル1009を中心合わせする。ロードセルをゼロにし、引張試験機とデータ収集を開始する。
【0251】
構成された力(N)対伸展(m)曲線から最大ピーク曲げ力(N)及び剛性(N/m)を計算するようにソフトウェアをプログラミングする。剛性は、曲線の直線区域の曲げ力/伸展曲線の勾配として計算され(図11参照)、合計ピーク曲げ力の少なくとも25%の最少直線線分を使用して勾配を計算する。
【0252】
0.1Nの単位でピーク曲げ力を、0.1N/mの単位で曲げ剛性を報告し、結果を記録する。試験を繰り返し、10個のサンプル全てに関する結果を記録する。平均ピーク曲げ力及び平均曲げ剛性を計算する。
【0253】
垂直引張試験
本試験は、力、力の関数としての変位(及び逆もまた同様)、及び/又はフックファスナー構成要素のサンプルを、ループ構成要素との係合から分離するのに必要とされる作業を測定するように設計されており、その構成要素は面ファスナー式締結システム(例えば着用可能な物品にしばしば見られるものなど、多くの種類の使い捨ておむつが挙げられる)を形成するのに使用され得る。場合によっては、ループ構成要素は単に、物品のより大きな部分を同様に形成する材料であってもよく、一部の着用可能な物品の設計では、フックと効果的に係合可能である、十分にループされた繊維状で耐久性のある表面を材料だけで提供し、所望の取り付けをもたらす。
【0254】
試験サンプルの調製
以下の通り、試験のためにフック及びループ材料のサンプルを準備する。
ループ材料
1.物品のループ式のファスナー構成要素を特定する。(例示の実施例に関して、図2Aを参照して、又は図2E図2Nを参照して締結要素32、33において、ループ式構成要素は、受け側要素31によって構成されてもよい。)
a)ループ式ファスナー構成要素が下層上に適用された1つの層から形成されている場合、ループ材料の層を、それを損傷させることなく注意して取り外す。必要に応じて、いずれかの接着剤による結合を弱めるために凍結スプレーを使用し、いずれかのステッチを切るための鮮鋭な上質の切断用具を使用して、下層からループ材料(「LOOPS材料」)の分離を促進する。
b)ループ式ファスナー構成要素を形成する層が、損傷させることなく下層材料から分離できない場合、又はループ式ファスナー構成要素が、締結領域の外部の物品を形成する包囲材料と同じ材料から形成されている場合、以下の工程によって、要求されているサンプルを提供するのに十分な寸法の材料の一部分を切り出す。損傷させることなく可能な限り、いずれかの腰部形状、又は締結領域の下の下層材料若しくは層を取り除いて、層によって作られている嵩を低減する。残っている材料は、LOOPS材料から取り除かれる。
2.LOOPS材料をテーブルの上に、ループ(締結面)面を下にして置く。物品が使用されるときに、LOOPS材料上で関連するフック構成要素によって引かれる通常の方向を決定する。フェルト先端部の油性マーカー(例えばSHARPIE)及び定規を使用して、材料の周囲のいくつかの場所において、LOOPS材料上に実質的に直線の矢印を描き、LOOPS材料上におけるフックによる通常の引張方向を示す。
左側及び右側の両方の上で延びる締結領域、例えば図2Aによって例示されている受け側要素31を有する外側カバー20の締結領域からLOOPS材料がとられている場合、この方向は、外側カバーの長手方向軸に垂直であり、この軸から外側を向いている。マーカー及び定規を使用して、LOOPS材料の中心を通る長手方向線(外側カバーに対して)を描き、この線に実質的に垂直かつそれから外側を指すいくつかの矢印を、材料上で、線のいずれかの側上で描く。(例示の実施例に関して、図15C、LOOPS材料22a、長手方向線22b、矢印22cを参照のこと)。
インサートが締結されている外側カバーの内側部分からLOOPS材料が取られる場合は、この方向は外側カバーの長手方向軸と平行であり、外側カバーの横方向軸の方を指す。
3.以下の通り固定具にLOOPS材料を結合して両面テープを用意する:3M 1524 Transfer Adhesiveの接着剤面を3M 9589 Double Coated Film Tapeのストリップの接着剤面に結合させて、両面テープの積層体を形成する。(試験時にこれらの製品のいずれか、又は両方が入手できない場合は、サンプルを表面の下に接着させ、試験時の層間剥離に耐えるために十分な同等の製品で置き換えられてもよい。)
4.3M 1524 Transfer Adhesive面を上にした状態で、用意した両面テープをテーブルの上に平らに置く。剥離裏材を取り除いて、3M 1524 Transfer Adhesiveの接着剤を露出させる。ループ面を上にして、両面テープ積層体の露出させた接着剤表面の上に静かにLOOPS材料を置く。約25g/cm±10%を使用して実質的に均一な圧力をLOOPS材料に適用して、それを接着表面に対して押しつける(平坦な底面を有する適切な重りが使用されてもよい)。泡又は皺の形成を避けるために、LOOPS材料は均一にテープに適用されるべきである。いずれかの方向において約3mmを超える寸法を有する泡又は皺が形成された場合、いずれかのサンプルの泡又は皺を有する部分を試験に使用しないこと。
5.より短い辺が矢印の方向と実質的に平行な状態で、約50mm×約25mmの、実質的に矩形のLOOPS材料/テープ積層体のサンプルを切り出す。これらはLOOPSサンプルである。(注記:LOOPSサンプルの寸法は、上記で特定された寸法のサンプルが利用可能でない場合は調整されてもよい。上記で特定された寸法は、以下に指定される寸法のHOOKSサンプルの全体領域を係合するのに、十分なループ材料が都合良く利用可能であるという、ある程度の確信をもたらすために選択されるが、割当量のマージンが調整のために提供されているということが理解される。)
【0255】
フック材料
1.フック断片を損傷させることなく、物品から取り外す。必要に応じて、任意の接着剤による結合を弱めるために凍結スプレーを使用し、いずれかのステッチを切るための鮮鋭な、上質の切断器具を使用して、下層からフック断片の分離を促進する。フック断片を下層からそれを損傷させることなく取り除くことができない場合、単にその外側縁部を切断し、それを物品の残り部分から切断する。フックを下向きにして、テーブル上に分離されたフック断片(「HOOKS材料」)を置く。
2.以下の通り固定具にHOOKS材料を結合して両面テープを用意する:3M 1524 Transfer Adhesiveの接着剤面を3M 9589 Double Coated Film Tapeのストリップの接着剤面に結合させて、両面テープの積層体を形成する。(試験時にこれらの製品のいずれか、又は両方が入手できない場合は、サンプルを表面の下に接着させ、試験時の層間剥離に耐えるために十分な同等の製品で置き換えられてもよい。)
3.3M 1524 Transfer Adhesive面を上にした状態で、用意した両面テープをテーブルの上に平らに置く。剥離裏材を取り除いて、3M 1524 Transfer Adhesiveの接着剤を露出させる。フック面を上にして、両面テープ積層体の露出させた接着剤表面の上に静かにHOOKS材料を置く。約75g/cm±10%を使用して実質的に均一な圧力をHOOKS材料に適用して、それを接着表面に対して押しつける(平坦な底面を有する適切な重りが使用されてもよい)。泡又は皺の形成を避けるために、HOOKS材料は均一にテープに適用されるべきである。いずれかの方向において約3mmを超える寸法を有する泡又は皺が形成された場合、いずれかのサンプルの泡又は皺を有する部分を試験に使用しないこと。
4.より短い辺が通常使用時においてHOOKS材料を引く方向と実質的に平行な状態で、HOOKS材料/テープ積層体13mm×25.4mm、±0.25mmから、1つ以上の実質的に矩形のサンプル(許容HOOKS材料の寸法)を切断する。これはHOOKSサンプルである。
(注記:上記で指定された寸法のHOOKSサンプルは330mm2の係合面積を有する。これらの寸法のHOOKSサンプル及び/又は係合面積が、問題となっている物品上で利用可能でない場合、利用可能な最も大きいサンプルを入手し、測定によってこの面積を決定する。垂直ピーク負荷/0.5mmの垂直変位における垂直負荷/係合面積に関する値が、上記の明細書で求められている場合、0.5mmの垂直変位における垂直ピーク負荷及び垂直負荷が、以下の試験プロトコルに従って特定され、次いで、HOOKサンプル係合面積によって除され、垂直ピーク負荷/係合面積、及び0.5mmの垂直変位における垂直負荷/係合面積を決定する。)
【0256】
製造された完成品の着用可能な物品からまだ切断されていないが、物品の製造前にそのような材料の供給源から取られた対応のループ材料及びフック材料のサンプルは、上記に説明された同様な方法で準備することができる。材料は、それらが完成した製品に見られる方向及び寸法に従って、方向付けられ、切断されるべきである。
【0257】
試験装置
本試験用に適切なロードセルを装着した、コンピュータインタフェースを有する一定速度の伸展引張試験機(例えばTestWorks 4ソフトウェアで制御された、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能な、MTS SYNERGIE 200引張試験機)を本試験に使用する。ロードセルは、表記されている最大負荷の10%〜90%内で動作させるように選択されるべきである。引張試験機は、クロスヘッドが下方に移動しサンプルを圧迫すると、圧迫を示すマイナスの力表示が生成されるように、設定される。
【0258】
本試験用に2つのカスタム固定具を作らなければならない。図12Aを参照して、第1固定具503は、試験機のロードセルに接続し、かつクロスヘッドの移動の経路に直交する、下方に面する平坦な表面522(そこにHooksサンプルが取り付けられる)を有する矩形脚部520を含む。第2固定具504は、引張試験機の底部の固定式マウントに接続し、基部513と、クロスヘッドの移動の経路に直交する、上向きの平坦な表面511(この上にLOOPSサンプルが取り付けられる)を有するソレノイド起動のスライドプレート510とから構成される。したがって、試験が実施されるとき、LOOPSサンプルのループ側はHOOKSサンプルのフック側に向けて、かつこれに平行に方向付けられる。
【0259】
更に図12Aを参照して、上部固定具503は、引張試験機の移動可能なクロスヘッドに取り付けられるときに、ロードセルに取り付けられるように適合される好適な取り付け装置、例えば上方の取り付けシャフト528に取り付けられる矩形脚部520からなる。上方の取り付けシャフト528は、示されているようにねじ付きであり、ロッキングカラー527を有する。上方の取り付けシャフト528がロードセルのマウントに接続されるとき、ロッキングカラー527はマウントに対して回転され、表面522が移動軸に直交したままであるように固定具503を固定する。脚部520はアルミニウムで形成され、下方を向いた、クロスヘッドの移動の経路に直交する、平坦なブラシ仕上げの表面522を備える。下方を向く表面522は、フックサンプルの全体(左から右の方向で延びている、より短い辺)を許容するのに十分な長さ及び幅でなくてならず、かつ上方の取り付けシャフト528の軸を中心に、実質的に中心を合わせなくてはならない。
【0260】
図12A図12Cを参照して、下部固定具504は、その端部に固定された2つの垂直プレート514及び515を有する基部513からなる。電気ソレノイド516(McMaster Carr(Atlanta,Georgia)のSealed Linear Solenoid Actuator Extended Life−Sealed Pull type,Part No.9719K112又は好適な同等物)は左の垂直プレート514上に搭載され、そのプランジャ517は右に延び、かつプレート514内の孔を通じて突出しており、孔はプランジャ517の自由な左右の移動を許容するのに十分大きい。マイクロメーター518(マイクロメーターヘッド、電気型、2.54mm(1インチ)、最大測定範囲0.0013mm(0.00005インチ)解像度、部品番号74477589、MSC Industrial Supply(Melville New York)又は同等物)が、右の垂直プレート515上に搭載され、そのスピンドル519は左に延び、プレート515内の孔を通じて突出しており、孔はスピンドル519の自由な左右の運動を許容するのに十分大きい。ソレノイドプランジャ517及びマイクロメータースピンドル519は実質的に同軸である。基部513は、試験機の固定式マウントに搭載するように適合された下方の取り付けシャフト529を含む好適な取り付け装置に固定される。下側の取り付けシャフト529は、示されているようにねじ付きであり、ロッキングカラー526を有する。下方の取り付けシャフト529は試験機の固定式マウントに取り付けられ、この固定式マウントに対してロッキングカラー526が回転され、試験機の固定式マウントに対して基部513を固定し、これによってそれは、試験中に表面511がクロスヘッドの移動経路に直交したままであるように、固定式マウントと共に固定されたままである。
【0261】
水平スライドプレート510は、示されているように一体化したタブを有し、ソレノイドプランジャ517に接続されている。スライドプレート510は、プレートガイド512に取り付けられ、これは内部に切削された水平の左−右トラックを有し、このトラックはガイドレール523と嵌合し、著しい上下方向の遊びもなく自由な左右運動を可能にする。(嵌合プレートガイド512及びガイドレール523は、McMaster−Carr(Atlanta,Georgia)、Part No.9880K3(Frelon Plain−Bearing Guide Block)及びPart No.9880K13(Frelon Plain−Bearing Rail)から入手される。)
【0262】
ガイドレール523は基部513に取り付けられる。この構成の結果としてプレートガイド512及びそれに応じてスライドプレート510は、基部513に対して、ソレノイド516の起動に対応して、水平に、左右方向で移動し得る。スライドプレート510の右方向の移動は、マイクロメータースピンドル519の遠位端によって制限され、ここでスライドプレート510は最も右方向の位置で当接する。スライドプレート510の左方向の移動はスタンドオフ525によって制限され、ここでプレートガイド512は最も左方向の位置で当接する。
【0263】
ガイドレール523は、スタンドオフ525で終端し、これはまた基部513に取り付けられる。スタンドオフ525は2つの凹んだバネ524を保持し、これはプレートガイド512に対して十分な力を適用し、ソレノイド516が起動されていないときに、マイクロメータースピンドル519の遠位端と当接する関係にサンプルプレート510を押す。いったん起動すると、ソレノイド516は、プレートガイド512がスタンドオフ525に対して停止するまで、スライドプレート510を左の方向に引く。
【0264】
平面状のブラシ仕上げの、上向きの表面511を有するアルミニウムのサンプルプレートが、スライドプレート510の上面に取り付けられる。上向きの表面511は、LOOPSサンプルの全体(左から右の方向で延びている、より短い辺)を許容するのに十分な長さ及び幅でなくてならず、かつ下方の取り付けシャフト529の軸を中心に、実質的に中心を合わせなければならない。
【0265】
固定具は、上部固定具503及び下部固定具504の両方が試験機上に取り付けられたとき、上方取り付けシャフト528及び下方取り付けシャフト529は実質的に同軸であるように、すなわちクロスヘッドの引っ張る方向に沿って位置合わせされるように構成される。固定具は、HOOKS及びLOOPSサンプルがそこに正しく配置され、かつ固定具が試験機上に設置されるように構成され、サンプルの形状の幾何学的な中心は、サンプルが係合され、せん断変位によってオフセットされる前に垂直軸上で実質的に位置合わせされる。試験機上に設置されたとき、上部固定具503上の下方表面522及び下部固定具504上の上向きの表面511は、互いに平行であり、クロスヘッドの移動の垂直線に直交するように、固定具は適合されるべきである。
【0266】
試験プロトコル
全ての試験は、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持される調整室内で行なわれる。約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、試験前に約2時間にわたって、サンプルを事前に調湿する。
【0267】
矩形のHOOKSサンプル502及びLOOPSサンプル501は、それらの対応する、互いに引く方向が、物品内における使用時に、左−右方向に沿った状態で(図12Bにおいて、方向534〜536の方向に沿って)、並びにソレノイド516によって生じるせん断変位に対して、材料が完成物品上で使用中に引かれるせん断力の方向に対応する水平面内の相対的な回転方向において、下方に面する表面522及び上方に面する表面511上にそれぞれ取り付けられる。図12A及び図12Bを参照して、ソレノイド516は、選択されたせん断変位に関して、HOOKSサンプル502に対してLOOPSサンプル501を左に(図12Bに示される方向536)に移動させる。この観点から、HOOKSサンプル502及びLOOPSサンプル501が、固定具上で互いに対して正しく方向付けられるために、それらは、試験中に面する関係で係合されたとき、対応する材料が物品上で係合する際に互いに対して(a)方向付けられ、かつ(b)せん断力によって促される様式をそれらが示すようにして、上部に配置されるべきである。同様な方式で、任意の原料サンプルは、それらが完成した物品上で方向付けられるように、試験される。
【0268】
LOOPSサンプル上で剥離裏材を取り除く。LOOPSサンプルを上記のように方向付けて、上向きの表面511上に静かに配置する。正しく位置合わせした後、LOOPSサンプルは、サンプルの全体の表面積にわたって均一に適用された、約250gの力を使用して、同時に表面511は水平に方向付けられて、表面511に取り付けられるべきである。次いでHOOKSサンプル上の剥離裏材を取り除く。HOOKSサンプルを、上記のように方向付けて、下向きの表面522上に静かに配置する。正しく位置合わせした後、HOOKSサンプルは、サンプルの全体の表面積にわたって均一に適用された約250gの力を使用して、その一方で表面522は水平に方向付けられて、上向きで表面522に取り付けられるべきである。
【0269】
下部固定具504及び上部固定具503を、引張試験機上に設置する。標点距離を表面522と511との間で50mmに設定する。ロードセルをゼロに合わせる。
【0270】
ソレノイド516を起動させ、プレートガイド512がスタンドオフ525に当接するように、スライドプレート510を移動させる。マイクロメーター518を調節して、スピンドル519を、それがスライドプレート510と当接するまで伸ばす。マイクロメーターをゼロにする。次いで、マイクロメーターを調節して、スピンドル519を所望のせん断変位(例えば、1.00mm±0.005mm)まで後退させる。ソレノイド516を停止し、スライドプレート510が右に移動するのを可能にして、マイクロメータースピンドル519の遠位端にそれが当接するようにする。(校正を確実に行うために、20サンプル毎にマイクロメーターは所望のせん断距離にリセットする必要がある。)
【0271】
引張試験機は、クロスヘッドをそれが40mm移動するまで、5.0mm/秒で下方に移動させ、次いでサンプルにそれを係合するために1.00Nの圧縮力が適用されるまで更に0.5mm/秒で降下するようにプログラムされる。3秒後、ソレノイド516は起動されて、スピンドルプレート510を左(せん断変位)位置に移動させ、更に3秒間保持する。次いで、クロスヘッドをゼロに設定する。
【0272】
引張試験機プログラムを開始して、5mm/秒でクロスヘッドの移動を最高50mmまで実施して、データを回収する。垂直のクロスヘッド変位(mm)に対する力(N)としてデータをプロットする。
【0273】
各LOOPSサンプル及び各HOOKSサンプルは1回の試験のみに使用され得る。試験中に、いずれのサンプルも表面511、522から部分的に剥離されないことを確認する。いずれかの剥離が検出された場合、その結果は無効である。
【0274】
表面からのサンプルの除去に続いて、適切な溶媒を使用して、いずれかの接着剤の残留物を表面から清浄し、新しいサンプルを取り付ける前に表面を乾燥させる。
【0275】
以下の計算は力/変位曲線から実施される。
1.調節されたクロスヘッド変位(「ACD」):力が0.0Nを超えるプラス方向の変位(mm)。サンプルのせん断の結果として、開始の力が0.0Nを超える場合、調節されたクロスヘッド変位は0.00mmとしてとられる。±0.01mmで記録される。
2.垂直ピーク負荷:サンプルの対によって支持される最大力(N)は、ACDと50mm変位との間で記録される。±0.01Nで記録される。
3.垂直ピーク負荷での変位:ACDから垂直ピーク負荷までの変位(mm)。±0.01mmで記録される。
4.0.0〜0.5mmの垂直変位間の最大垂直負荷:サンプルの対によって維持される最大力(N)は、ACD及びACD間で+0.5mmの垂直変位で記録される。±0.01Nで記録される。
5.0.0〜1.0mmの垂直変位間の最大垂直負荷:サンプルの対によって維持される最大力(N)は、ACD及びACD間で+1.0mmの垂直変位で記録される。±0.01Nで記録される。
6.完全な除去のためのエネルギー:エネルギー(mJ)、すなわちACD〜50nmの垂直変位の力/変位曲線下の合計面積。±0.1mJで記録される。
7.除去に耐えるためのエネルギー:エネルギー(mJ)、すなわちピークまでのACD〜垂直変位間の力/変位曲線下の合計面積。±0.1mJで記録される。
【0276】
本明細書の目的のために、選択されたループ及びフックの組み合わせの結果を得るために、最低10個のサンプルの対(n=10)を試験し、平均として記録する。
【0277】
垂直引張試験は、いずれか他の具体的なそのような締着結合を用いて、ループ材料とフック材料のいずれか具体的な組み合わせを比較するために使用されてもよく、どの組み合わせが特定の用途における使用により適しているかを決定するために有用であり得る。しがたって、垂直引張試験は、例えば本明細書に記載の、しかしこれに限定されない着用可能な物品に適したループ材料及びフック材料の締着結合を選択するために使用されてもよい。
【0278】
ファスナー音響試験
機械的締結システム上の音響測定は、係合したシステムが90度の引張試験に供されるときに録音された。記録は0.64cm(0.25インチ)ダイアフラム、測定用ウルトラリニアマイクロフォン、例えば「Earthworks M30 Ultra−linearマイクロフォン」(Earthworks Inc.(Milford,NH))を、16ビットプリアンプA/D D/A、最小サンプリングレート44.1KHzのケーブル、例えばPreSonus Audio Electronics(Baton Rouge,Louisiana)から入手可能な「PreSonus Firestudio Mobile Preamplifier」又は同等物と共に使用して実施された。+48ボルトのファンタム電源は、プリアンプによりマイクロフォンに供給される。Rational Acoustics(Putnam,Connecticut)から入手可能なSIA Smaart Acoustic Toolsソフトウェア・パッケージ又は同等物を使用して音響録音を収集し、処理する。音響システムの校正は、100Hzで音圧レベル114dBが可能な音響校正器、例えばScantech Inc.(Columbia,Maryland)などから入手可能な「Norsonic 1251 Sound Calibrator」で実施される。
【0279】
90度剥離力は、適切なロードセルが取り付けられた、コンピュータインターフェースを備える伸展引張試験機(好適な機器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能なTestWorks 4ソフトウェアの下にあるMTS Alliance)であり、測定される力はセルの容量の10%〜90%である。図13を参照して、下部固定具601は、平滑な左右摺動作用を可能にする精密軸受上に載置された、水平方向に可動なプラットフォーム602と、引張試験機の非可動基部に取り付けるのに好適な固定カラー605を備える取り付けシャフト603と、から構成される90度剥離固定具から構成される。可動プラットフォーム602は、5cm(W)×15cm(L)×2mm(H)のスチールのサンプルプレート606の取り付けを容易にするクランプ604を有する。好適な90度剥離固定具は、ChemInstruments,Inc.(Fairfield,Ohio)から入手可能なモデル番号「TT−PF−90」である。正しく取り付けられたとき、固定カラー605は可動式プラットフォーム602をXY面において水平に保持する下部固定具601を安定させるために使用される。上部可動式固定具は、空気圧グリップ607であり、試験片の幅よりも広いゴム面のグリップ608が装着されている。好適なグリップセットは、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能な10N ADVANTAGE空気圧グリップである。更に、音響隔離チャンバの上にクロスヘッドのクリアランスを可能にするために、十分な長さの延長ロッド609が必要とされる。組み立てられたときに、固定カラー610及び611が使用されて、上部グリップ607を安定化させ、可動式プラットフォーム602に直交する位置合わせを維持する。引張試験機は、ループ部分613がフック部分612から完全に離れるまで、305mm/分の速度でクロスヘッドを上にして移動される。図13を参照して、マイクロフォン611は45度の角度で、及びマイクロフォンの先端部から、載置されたサンプルの基部まで50mm±1mmの距離612で取り付けられる。
【0280】
図13に示される引張試験機固定具は、周囲雑音から隔離される。厚さ1.27cm(0.5インチ)のPVC隔離壁部から作られた41cm(W)×61cm(H)×61cm(D)の隔離チャンバが引張試験機上に載置される。チャンバの前側はドアのように蝶番で連結される。全ての面は、Auralex Acoustics(Indianapolis,Indiana)から入手可能な厚さ5.08cm(2インチ)のAurelex鉱物繊維の遮音物品で遮音される。直径80mmの2つ穴が、チャンバの上部及び底部に切り取られ、引張試験機への上部600及び底部601の取り付けを容易にする。
【0281】
音響機器の校正
マイクロフォンは、高品質xlrケーブルを使用してプリアンプに接続される。+48ボルトのファンタム電源はプリアンプによってマイクロフォンに供給される。校正器をマイクロフォンの端部に取り付ける。プリアンプのゲインをその最低設定まで設定する。音響ソフトウェア内で、マイクロフォンを入力として選択する。サンプリングレートは44.1kHz及び16ビット/秒を選択する。録音を開始し、10秒間データを収集する。高速フーリエ変換(FFT)処理をサイズ1k、オーバーラップ50%と共に適用し、ハニング窓に設定する。周波数対振幅点のトレースから1つのスライスを選択し、オクターブ当たり24スライスとして表示する。1000Hzにおいて振幅点を記録する。ゲイン設定がクリッピングする信号を生じるまで、プリアンプのゲインの各設定に対してこの手順を繰り返す。
【0282】
1000Hzで取られた振幅点の表示値を、Microsoft Excelに移し、振幅点対ゲイン設定をプロットし、最小二乗法の直線回帰を適用する。この方程式は、一定のオフセットを提供して、記録された振幅点を以下の通り、dB FS(フルスケールデジタル)からdB SPL(音圧レベル)に変換する:
Δ=114−(mx+b)
式中、
m=フィッティングされた回帰からの勾配
x=ゲイン設定
b=フィッティングされた回帰からの切片
Δ=測定された振幅値に加えられたデルタ値(dB FS)
【0283】
サンプル調製
試験前に、23℃±2℃、50%±2%の相対湿度でサンプルを2時間、前処理する。物品の表面上でループ部分及び関連するフック部分を特定する。物品が使用されるときに、ループ材料上でフック部分によって引かれる通常の方向を決定する。いずれの片も損傷することなく、鋏を使用して物品からループ部分及びフック部分を切断する。下部が接触している全ての層が、ループ部分及びフック部分上で損傷していない。シアノ−アクリル酸接着剤を使用して、フック部分試験片を、フック部分を上向きにして、スチールプレート606上に載置する。フック部分の引張方向は、スチールプレート606の長い縁部に対して平行であるべきである。ループ部分を、ループを下向きにして、フック部分の頂部上に定置する。向きは、物品が使用されるときに、ループ部分上で向きがフック部分による引張の通常方向と一致するようなものである。500gのローラーを使用して、ループ部分及びフック部分を3回転がす。クランプ604を介して、可動式プラットフォームにスチールプレート606を取り付ける。静かにループ部分613を持ち上げ、それを空気圧グリップ607に定置し閉じる。上部グリップにおいてループ部分613が、試験面に対して垂直に垂れ、試験片がフック部分612と接触する点において90度の角度を形成するように、試験片及び試験固定具を位置合わせする。試験片の垂直部分は、ピンと張っているべきであるが、ロードセル上で0.05Nを超えないこと。最初の標点距離は、ループ部分の長さを収容するのに必要なように調整されてもよい。
【0284】
サンプルが搭載された後、ロードセル及びクロスヘッドの位置をゼロに合わせる。隔離チャンバのドアを閉める。プリアンプのゲインを+30dBに設定する。音響ソフトウェア内で、マイクロフォンを入力として選択する。サンプリングレートは44.1kHz及び16ビット/秒を選択する。録音及びデータの収集を開始し、引張ソフトウェアを開始する。ループ部分及びフック部分の分離が検出されるまで、クロスヘッドは128mm/分で上昇する。音響データの収集を停止する。同一の物品から採取された3つの複製ループ部分/フック部分の組み合わせが回収される。
【0285】
データ分析
記録されたwaveファイルを開く。高速フーリエ変換(FFT)処理をサイズ1k、オーバーラップ50%と共に適用し、ハニング窓に設定する。引張の合計時間にわたる周波数の関数として、振幅の強度を平均化する。平均振幅(dB FS)対周波数(狭周波数帯スケールでHz)をプロットする。
【0286】
振幅(dB FS)対周波数(Hz)データをASCIIファイルに保存し、Microsoft Excelにインポートする。dB FSを校正されたdB音圧レベルに変換するために、Excelにおいて具体的な記録されたゲインレベルでΔ値を、全ての振幅値に加える。3つの複製剥離データ全てがインポートされた後、それぞれ別個の周波数において各剥離測定値から校正された振幅を平均化する。平均振幅(dB音圧レベル)対周波数(Hz)を20〜20,000Hzまでプロットする。校正された振幅値を500Hz、1,000Hz、及び2,000Hzに最も近い周波数値で0.001dB単位で記録する。
【0287】
ランディング区域の曲げ剛性試験
ランディング区域の曲げ剛性は10Nのロードセルを装着した、コンピュータインターフェースを有する一定速度の伸展引張試験機(好適な機器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能なTestWorks 4ソフトウェアを使用したMTS Allianceである)を使用して測定する。図8〜11を参照して、プランジャブレード2100は、図9(正面図)及び図10(側面図)において示されているように、上部可動試験固定具に使用される。図8に示す基部支持プラットフォーム2200を、下部の固定式試験用締付具として使用する。全ての試験を約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度に維持された調湿室で実施する。ここにおいて、試験サンプルの幅及び長さは、サンプルが切り出される外側カバーサンプルに対応する方向名称を使用して、横方向幅及び長手方向長さであり、「横方向」及び「長手方向」は本明細書で定義されている。
【0288】
プランジャ2100の構成要素は、アルミニウムなどの軽量材料から作製され、利用可能なロードセル容量を最大にする。シャフト2101は、引張試験機に適合するよう機械で作られ、プランジャを安定させベース支持プラットフォーム2204と直交する位置合わせを維持するようロッキングカラー2102を有する。ブレード2103は、長さ2108が115mm、高さ2107が65mm、幅2109が3.25mmであり、連続半径が1.625mmの材料接触末端部を有する。ブラケット2104には、ブレードを水平にするために使用される止めねじ2105と、調節後それを所定の場所に堅固に保持するための主止めねじ2106が取り付けられる。
【0289】
下部締付具2200が、シャフト2201とロッキングカラー2202とを有する引張試験機に取り付けられる。2つの可動支持プラットフォーム2204が、レール2203に実装される。各試験表面2205は、幅2206が85mm、長さ(図面の平面内)が115mmであり、最小の摩擦係数を有するように研摩されたステンレス鋼から作製される。各プラットフォームは、個々のプラットフォーム位置を読み取るデジタル式の位置モニター2208及び調節後それらの位置をロックするための止めねじ2207を有する。2つのプラットフォーム2204は、間隙末端部で正方形であり、プレート末端部は、前側から後側まで平行としなければならない。2つのプラットフォームは、調節可能な間隙幅2210を有する間隙2209を形成する。
【0290】
支持プラットフォーム2204の上面と直交し、それらの間隙末端部に対してゆがみを示さないようにプランジャブレード2103を正確に(±0.02mm)そろえる。位置モニター2208を使用し、プランジャブレード2103が間隙内に正確に(±0.02mm)中心合わせされた状態で支持プラットフォーム2204の2つの間隙末端部の間の間隙2210を正確に25.00±0.02mmに設定する。圧縮試験用の引張試験機をプログラミングする。プランジャブレード2103下部から支持プラットフォーム2204上面までのゲージ長を15mmに設定する。
【0291】
25mmの距離にわたって500mm/分で降下するようにクロスヘッドを設定する。データ取得レートを200Hzに設定する。
【0292】
約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、試験前に約2時間にわたって、外側カバーサンプルを事前に調湿する。
【0293】
試験のための試料を準備する:
1.外表面を上に向けた状態で、サンプルの外側カバーを台に置く。前側腰部領域の外側上のループ材料の区分により、サンプル上でランディング区域を確認する。ループ材料の区分の下方の範囲(すなわち股領域に向かう方向で腰部縁部から最も遠く)に、直定規を横方向にかつこれに接するように置く。ループ材料の区分と隣接する材料とを結合するシームが存在する場合、シームの構造体が直定規の完全に上に位置するように、直定規をシームの下に配置させる必要がある。鋭利なナイフを使用して、ランディング区域を有する前側腰部領域の部分をサンプルの外側カバーの残部から明瞭に切るように、直定規に沿ってサンプルの全ての材料を通じて切断する。
2.ループ材料の区分の上方の範囲(すなわち股領域から離れる方向で腰部縁部に最も近く)に、直定規を横方向にかつこれに接するように置く。ループ材料の区分と隣接する材料とを結合するシームが存在する場合、直定規は、シームの構造体が直定規の完全に下に位置するように定規をシームの上に配置する必要がある。鋭利なナイフを使用して、ランディング区域の上の前側腰部領域の任意の材料をその部分から明瞭に切るように、直定規に沿ってその部分の全ての材料を通じて切断する。(一部のサンプルでは、ランディング区域は、腰部縁部の全体に延びる場合があり、この工程で切り離すものはないということが理解されるであろう。)この工程は試料部分の隔離を企図する。
3.吸収性インサートを取り付ける目的で、試料の内側(着用者に面する)表面上に配置されたいずれかの構成要素(スナップ構成要素、ボタン、フック又はループ材料の区分若しくはパッチ、又は他の構造体)を、実質的にその下の材料を損傷しないような方法で(かかる構成要素の取り付けによってそれらの構成要素が損傷を受ける可能性を超えないだけ)取り除く。これで試料部分の準備を完了する。
4.試料の横方向幅を測定する(すなわち、図14において横方向軸45の方向に沿って)。先端を細くした油性ペンを使用して、左端部から横方向幅の20%において、横方向幅の中間点、すなわち50%において、及び右端部から横方向幅の20%においてサンプルの内側/着用者に面する表面に印を付ける。各端部から10mm横方向内側(中間点に向って)に追加の印を付ける。
【0294】
試料を、内側/着用者に面する表面が上に向いた状態で、間隙2209にわたって支持プラットフォーム2204の表面上に平坦に置く。上記の通り横方向幅の20%及び50%においてつけられた印は、各位置における曲げ剛性測定のための、3つの曲げ剛性測定位置に印を付け、間隙2209を形成するプラットフォーム2204において、試料の横方向幅を、間隙2209を形成するプラットフォーム2204の縁部に垂直に方向付けた状態で(すなわち試料の長手方向は、間隙2209を形成するプラットフォーム2204の縁部に平行である)、間隙2209を形成するプラットフォーム2204の縁部間で印を中心にする。このように、試料は正しくプラットフォーム上に配置されたときに、プランジャブレード2103の底縁部は、試料の長手方向及び選択された印と位置合わせされ、プランジャブレードは試料と接触し、印を通る長手方向の折り目を形成し、試料をこの長手方向の折り目の周囲で曲げる。
【0295】
ロードセルをゼロにし、引張試験機とデータ収集を開始する。
【0296】
構成された力(N)対変位(m)曲線から最大ピーク曲げ力(N)及び剛性(N/m)を計算するようにソフトウェアをプログラミングする。剛性は、この曲線の直線領域の力/変位曲線の傾き(図11を参照)として計算し、この傾きを計算するのには、総ピーク曲げ力の少なくとも25%の最小線分を用いる。0.01Nの単位でピーク曲げ力を、0.1N/mの単位でランディング区域の曲げ剛性を報告する。5つのサンプルを試験し、各曲げ剛性測定の位置の平均値を計算する。
【0297】
ランディング区域ひずみ試験
100Nにおけるひずみ率は、250Nのロードセルを装着した、コンピュータインターフェースを有する一定速度の伸展引張試験機(好適な機器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能なTestWorks 4ソフトウェアを使用したMTS Allianceである)を使用して測定する。可動式(上部)空気圧つかみ具及び固定式(下部)空気圧つかみ具の双方に、試料の幅よりも広い菱形面のグリップ(これもMTS Systems Corpから入手可能)を装着する。全ての試験を、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持される調整室内で行う。本明細書において、サンプルの幅及び長さは、本明細書に定義されるように、横方向幅及び長手方向長さである。サンプルを試験前に2時間、約23℃±2℃、約50%±2%の相対湿度で予め調湿する。
【0298】
横方向幅の20%及び50%において配置された印がひずみ試験では必要とされないということを除いて、ランディング区域の曲げ剛性試験では上記の方法で試料が準備される。
【0299】
試料の横方向幅を、1mm単位で測定する。横方向寸法までのグリップ面間の標点距離をマイナス20mmと設定する。クロスヘッド位置をゼロにする。試料の横方向長さを上部のジョー及び下部のジョー内と垂直になるように位置合わせした状態で、試料を上部グリップ内に挿入する。試料の最上部10mm(試料上に配置された10mmの印によって示される)は、面内で水平方向に中央に合わせ、上部グリップは閉じられる。上部グリップから自由にぶら下がっている試料の部分は、下部グリップ内に挿入される。ロードセルをゼロにし、下部グリップを閉じる。サンプルは、いかなるたるみをも除くのに十分な、ただしロードセル上の力が0.05N未満となる引張力下になければならない。引張試験機をプログラムして、クロスヘッドを100mm/分の速度に上げ、100Nの力に達するまで、100Hzの獲得率で力対伸長データを収集しながら伸展試験を実施する。引張試験及びデータ収集を開始する。100Nにおける%ひずみを計算するようにソフトウェアをプログラムする:
%ひずみ=100N(mm)における伸展/最初の標点距離(mm)×100
5個の複製した試料を用いて試験を繰り返し、平均値を計算する。100Nにおける%ひずみの平均値を0.1%単位で報告する。
【0300】
本明細書に記載の特徴のいくつか又は全てを有する吸収性物品は、従来の完全に再利用可能な布おむつ及び従来の完全に使い捨てのおむつの両方に優る利点を提供することができる。外側カバーを形成するために半耐久性の材料及びより耐久性のある材料を使用することに関する潜在性は、1回を超えて使用することができる、及び選択される材料によっては何度も使用及び洗濯することができる外側カバーを提供する。本明細書に記載の特徴のいくつか又は全てを有する外側カバーは、使い捨て外側カバー構造体の必要性を排除することができるので、典型的な使い捨ておむつと比べて、ユーザーが廃棄しなけれなばならない汚れた廃棄物の量が低減される。更に、通常使い捨ておむつにかかる構造負荷のほとんどを支持する再利用可能な外側カバーの可能性が存在するので、使い捨ての吸収部分はより簡略化された設計を有して、使い捨ておむつと比べて製造費及び材料費を低減することができる。非従来型の再生可能な材料(例えば紙)の使い捨て可能な吸収性インサートを製造する可能性が提起される。同時に、本明細書に記載の特徴のいくつか又は全てを有する使い捨て吸収性インサート及び外側カバーは、多くの状況において、着用者の排出物による外側カバーの汚れのほとんど又は全てを防いで、取り扱い及び保管に付随する衛生及び臭気問題を軽減し、必要な洗濯頻度を低減し、かつ従来の布おむつに付随する洗濯資源、労力及び/又は出費の必要性を低減することができる。本明細書に記載の特徴のいくつか又は全てを有する使い捨て可能な吸収性インサートは、従来の布おむつと比べて、排出物をより良好に吸収し、かつ着用者の皮膚、並びに着用者の衣類及び環境から排出物をより良好に隔離することも可能である。
【0301】
外側カバーに耐久性のある材料を使用することで、使い捨ておむつと比べて改善された及び/又はより魅力的な快適性、密着、デザイン、色、模様等を目的として材料の使用の選択肢を創出する際に、その他の付帯利益を提供することも可能である。本明細書に記載の特徴を有する外側カバーは、着用可能吸収性物品をより魅力的に見せる及び/又はより衣類品又は外出着のように見せるための多種多様な選択肢を提供する。上記の利点に加えて、非対称構造及び向きの印を有するインサートを使用することにより、前側と後側で異なる着用者の生体構造及び身体機能に合わせたインサートの設計、より良好な性能、並びに材料の設計、構成、及び使用の更なる節約が可能になるのと同時に、ユーザーが外側カバー内におけるインサートの正しい前後の向きを確実にすることができる。上記の説明からその他の利点が明らかである。
【0302】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0303】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用される文献は全て、明白に除外される、ないしは別の方法で限定されている場合を除いて、本明細書中にその全容を援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0304】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、添付した特許請求の範囲はそのような変更及び修正の全てを含み、上記のいかなる説明又は図面も本明細書の範囲を制限せず、添付の特許請求の範囲だけがこれらを制限するものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図2N
図2O
図2P
図2Q
図2R
図2S
図2T
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C